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- 変形性股関節症
- 股関節
太ももの付け根が痛くなると、歩くときや座っているときなど日常生活にも影響が出てしまいます。 この痛みの原因は、筋肉疲労や関節の問題から深刻な病態までさまざまです。 しかし、原因がわからないとどう対処すればよいのか悩む方も多いのではないでしょうか。 本記事では、太ももの付け根が痛む原因として考えられる病態を解説します。 それぞれの対処法やセルフケア方法、セルフケアで改善しない場合の医療機関での治療方法についても取り上げています。 痛みの原因を理解し、適切に対処するための参考にしてください。 太ももの付け根が痛い原因 太ももの付け根が痛いのは、大腿骨や筋肉に異常が起きているのが原因です いずれも、股関節もしくは周囲が痛むと歩行に障害がでます。放っておくと日常生活に大きな支障をきたすため、早めに整形外科等の専門医に相談しましょう。 太ももの付け根が痛い原因の詳細は以下の記事で解説しているので、ぜひあわせてご覧ください。 太ももの付け根(股関節)について 太ももの付け根には、股関節が位置しています。 骨盤と大腿骨で構成される股関節は可動域が広く、さまざまな筋肉や神経・血管が近くを走行しています。 股関節の代表的な筋肉でいうと、大殿筋や中殿筋などの臀部の筋肉、ハムストリングスと呼ばれる臀部から太ももの裏側にかけての筋肉などです。 また太ももの前面を覆っている大腿四頭筋や、恥骨から大腿部の内側に位置する内転筋などは、安定した歩行に欠かせない筋肉です。 神経には太い神経の坐骨神経、大腿部の前側を走行している大腿神経があります。 血管も大腿動脈や大腿静脈など、血流量の多い血管が走行しています。鼠径部にはリンパ節があり、老廃物の代謝などに重要な器官です。 太ももの付け根(股関節)の基本的な動き 股関節は球関節であるため、さまざまな軸で動作を行います。 伸展は臀部の筋肉やハムストリングスが主に筋力を発揮し、屈曲では大腿四頭筋や腹筋、深部にある腸腰筋などが筋力を発揮します。 外転の場合は臀部の筋肉が主動作筋として働き、内転は内転筋群が作用します。 さらに外旋動作では臀部の深層にある梨状筋などが筋力を発揮し、内旋動作では中臀筋・小臀筋の前部線維が働きます。 太ももの付け根が痛む際に考えられる病態 考えられる病気として以下の9つを紹介します。 単なる疲労だろうとの自己判断は禁物です。顕著な疼痛(とうつう)症状が出た場合は、早めに医療機関を受診しましょう。 1.筋肉疲労 筋肉疲労は長時間の作業や立ち仕事、スポーツなどが原因です。 捻挫や打撲などの怪我ではなく、もちろん病気でもありません。 しかし、臀部や股関節の筋肉が硬い場合や、足首や膝に痛みや不安を抱えている場合などは、太ももの付け根にダメージを蓄積する可能性が考えられます。 腸腰筋や大腿四頭筋に軽微な外力によるダメージが蓄積した結果、歩行時や立ち上がり時などの動作時に太ももの付け根が痛くなる場合があります。 筋肉疲労の場合は治療よりも、安静にして疲労回復に努めましょう。 2.変形性股関節症 変形性股関節症は、股関節の関節面に位置している関節軟骨が少しずつすり減ってしまい、関節内で炎症と変形を起こしてしまう病態です。 交通事故など一度の大きな衝撃によって変形性股関節症になるのではなく、日常生活を送る上での負担の積み重ねが、少しずつ変形性股関節症を作り上げていきます。 負担の蓄積が原因である以上、年齢と共に発生リスクが上がることは避けられません。 保存療法によって股関節に負担をかけない動作を獲得していくほか、あまりにも日常生活に支障が出るようであれば、人工関節などの手術が考えられます。 変形性股関節症の詳細は以下の記事で解説しているので、ぜひあわせてご覧ください。 3.関節リウマチ 関節リウマチは自己免疫疾患の一つで、関節を自分の免疫力で攻撃してしまう病態です。 本来であれば外から侵入してきた病原菌やウイルスに対して免疫力を発揮するはずの機構が、なんらかのエラーで自らの健康な細胞を攻撃してしまう原因不明の病気でもあります。 通常は四肢の末端部分の関節から少しずつ炎症や変形などの症状が出始め、全身の関節に痛みが起こります。 そのため股関節の痛みが太ももの付け根の痛みとして感じられることもあるのです。 関節リウマチの詳細は以下の記事で解説しているので、ぜひあわせてご覧ください。 4.大腿骨近位部骨折 大腿骨近位部骨折は、高齢者に多い骨折です。 転倒などによって外力を受け、大腿骨頭に向かう大腿骨頸部で骨折してしまうこともあります。大腿骨頸部で骨折があると荷重で激痛を引き起こします。 大腿骨頸部骨折は関節内と関節外で重症度が異なる点が特徴です。関節内に骨折線がかかっている場合は、治療もより長期になります。場合によっては髄内釘などの手術が必要です。 年齢によっては、大腿骨近位部骨折から寝たきりになってしまう可能性もあるので、とくに骨粗鬆症がある方は注意しなければなりません。 5.大腿骨頭壊死症 大腿骨頭壊死症とは、大腿骨頭を栄養している大腿骨頭動脈がなんらかの原因で遮断されることによって起こる病態です。 壊死によって変形した大腿骨頭に重心がかかり、太ももの付け根に痛みを感じます。大腿骨頭壊死症の原因は未だに不明であり、ほとんどが特発性です。 大腿骨頭壊死症のリスクを高める要因としては、アルコールの大量摂取が挙げられます。 他にも治療などによるステロイドの使用歴が多いと、大腿骨頭壊死症のリスクを高めると言われています。 大腿骨頭壊死症は初期段階では、保存療法が可能です。 しかし大腿骨頭は常に体重がかかる関節であるため変形も進みやすく、人工関節置換術の適応になる場合もあります。 6.腰椎椎間板ヘルニア 椎間板ヘルニアとは、脊柱の中を通っている脊髄や神経根が変形し、飛び出した椎間板によって圧迫される病態です。 圧迫されている高位によっては太ももの付け根が痛む場合もあれば、下腿部で痛みが出ることもあります。 またヘルニアによって神経を圧迫している痛みに加え、筋緊張が強くなることによって走行している神経を絞扼してしまうケースも考えられます。 腰椎椎間板ヘルニアの原因は、長期間の負担の積み重なりです。 重い物を持つ仕事や長時間運転など、腰に負担を溜めやすい生活習慣がある方は腰椎椎間板ヘルニアを発症しやすいです。 治療としては、ブロック注射を含む保存療法によって筋緊張の緩和と股関節や腰椎の柔軟性を取り戻すことで症状の緩和を目指す方法があります。 それでも日常生活に大きな支障をきたしている場合は、手術も選択肢の1つです。しかし手術したからといって腰椎椎間板ヘルニアの痛みが100%消える保証はなく、別の高位で再発するケースもあります。 7.脊柱管狭窄症 脊柱管狭窄症は、脊柱の不良姿勢や脊柱管内の変形によって神経や血管を圧迫してしまう病態です。 腰に慢性的に負担がかかると脊柱管狭窄症の発生リスクを高めます。脊柱管狭窄症になってしまうと、太ももの付け根や足の先で神経的な痛みが起こります。 最も特徴的な症状は間欠性跛行です。間欠性跛行は一定の時間歩くと痛みやしびれで下肢に力が入りにくくなります。 一定の時間休めば回復しますが、安静時でも腰や下肢が痛いケースもあり、坐骨神経痛を伴うことも多いです。 脊柱管を狭窄している原因が姿勢不良などのマルアライメントなら、姿勢の改善や骨盤矯正によって症状を改善できます。しかし場合によっては手術も選択肢に入ります。 8.鼠径ヘルニア 鼠径ヘルニアは別名「脱腸」とも呼ばれ、主に小腸が鼠径部から皮下に飛び出してしまう病態です。 鼠径部に筋膜が脆弱な部分があり、腹圧が高まることでそこから内臓が出てきてしまいます。 原因はほとんどが先天的な要因ですが、年齢と共に筋力が落ちるため鼠径ヘルニアの発生リスクが高まります。 飛び出してきた小腸が嵌頓してしまい、徒手整復でも元に戻らなくなってしまった場合は、早急に手術が必要です。 嵌頓している組織が壊死を起こしてしまうと、重篤な状態になりかねません。 鼠径ヘルニアは太ももの付け根に痛みが出るだけでなく、体表からでも膨らみを確認できます。 9.リンパ節炎 リンパ節炎とは、1つまたは複数のリンパ節に感染が起き発症する病態です。 鼠径部にはリンパ節が位置していますが、ウイルス感染などで炎症を起こしてしまうと、太ももの付け根に痛みが出ます。 また全身性エリテマトーデスのような自己免疫疾患でも、リンパ節の腫脹を認めることがあります。 太ももの付け根が痛くなった時の対処法 太ももの付け根に痛みを感じた場合、早めに適切な対処を行うことが重要です。 症状が軽度であれば、自宅でのセルフケアで改善するケースもあります。 これらの方法を試しても改善しない場合や、痛みが強い場合は、自己判断せず医療機関を受診することをおすすめします。 早めの対応が、症状の悪化を防ぎ、回復への近道となります。 安静にする 荷重をなるべくしないように気を付け安静にして痛みが治まるのであれば、筋肉疲労や保存療法で十分改善できます。 股関節は常に荷重されている関節なので、負担も溜まりやすいです。 腰や股関節のストレッチをする 腰から来ている神経を圧迫していて太ももの付け根に痛みが出ているのであれば、ストレッチで痛みが緩和される場合があります。腰の屈曲や伸展のストレッチをしてみて、痛みが憎悪しないか確認してみてください。 牽引によってストレッチ効果を出すのも有効なので、鉄棒などにつかまってぶら下がるだけでも痛みが緩和されます。 また股関節はとくに臀部のストレッチが有効です。坐骨神経痛や梨状筋症候群などの症状で太ももの付け根が痛い場合は、大殿筋や中殿筋といった臀部の緊張が取れるだけでもかなり変化します。 温める お風呂などで温めると痛みが軽減されるケースもあります。とくに股関節の前側には太い血管が通っており、血流が悪くなるだけでもしびれや痛みが出やすい部分です。 血流が悪いと下肢の疲労も抜けにくく、冷えやむくみも出やすくなります。太ももを温めて、痛みを和らげましょう。 医療機関を受診する 太ももの付け根の痛みが、安静やストレッチ、温めるといった対処法で改善しない場合は、医療機関の受診をおすすめします。 医療機関での主な治療方法は以下の通りです。 治療方法 説明 リハビリ・運動療法 筋力を強化し、柔軟性を向上させることで痛みを軽減、再発防止を目指す治療法。 ヒアルロン酸注射 関節のクッションとなる成分を補充して炎症を抑える、関節の動きをスムーズにする効果が期待される治療法。 手術 痛みの原因が進行した場合に行う外科的治療法。症状の程度によって適切な手術方法が選択される。 再生医療 幹細胞を用いて損傷した組織を修復し、痛みの原因を根本的に改善する治療法。副作用が少なく、慢性的な痛みにも対応可能。 もし、再生医療での治療に興味がある場合、一般的なクリニックや病院では受けられないため、当院へお問い合わせください。 当院は厚生労働省から認可を受けた再生医療専門クリニックです。 太ももの付け根が痛い方からよくある質問 太ももの付け根に痛みを感じる原因を知ることで、適切な対応が取りやすくなります。 以下によくある質問をまとめました。 これらの質問について、それぞれの原因や対処法を詳しく解説します。 自身の症状と照らし合わせながら、早期に適切な対応を検討してください。 女性が片方の足の付け根に痛みを感じる原因は? 片方の足の付け根に痛みを感じる場合、その原因にはさまざまな疾患が考えられます。 とくに女性は、特定の病態により痛みを引き起こすリスクが高い傾向があります。 痛みが続く場合やその他の症状を伴う場合は、早めに医療機関を受診して適切な治療を行うことが重要です。 外側の太もも付け根が痛い原因は? 外側の太ももの付け根に痛みを感じる場合、いくつかの疾患がその原因となっている可能性があります。 この部位の痛みは、股関節や周囲の組織、神経の問題が関与していることが多く、症状によっては日常生活に支障をきたします。 これらの原因はいずれも早期の診断と治療が重要です。 日常生活で気になる症状がある際は、早めの対応が回復への近道となります。 改善しない太もも付け根の痛みは医療機関に相談しよう 太ももの付け根に痛みを感じたら、まずは本記事で解説した簡単なセルフケアで対処するのがおすすめです。 もしセルフケアで痛みが変わらない場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。 精査をしておきたいなら整形外科で、壊死など器質的な異常でない場合は接骨院や整骨院でも治療が可能です。 大阪で医療機関をお探しの方は、ぜひ当院(リペアセルクリニック)をご検討ください。 当院は厚生労働省に「第二種・第三種再生医療提供計画」を提出し、再生医療による治療を提供しています。 再生医療は、幹細胞や成長因子を用いて損傷した組織を修復し、慢性的な痛みの改善が期待できる治療法です。 当院では来院前に「メール相談」も受け付けています。気になる症状がある場合は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
2019.04.17 -
- 肘
痛い!肘の筋肉に内側?外側?場所によって異なる病気を医師が徹底解説! 肘の痛む箇所によって違う病気が考えられます。痛みが出る原因としては、肩関節から上腕骨を走行して肘関節をまたぐ筋肉や、前腕部の筋肉、さらには手首の部分も考えられます。 打撲など、明らかに外からの力によって筋肉が損傷し、痛む場合は分かりやすいのですが、日常生活やスポーツ活動を繰り返す中で少しずつ負担が溜まり、いつの日か急に痛みが出ることもあります。さらには、骨折を起こした際にも、その後の経過で肘周辺に痛みが出る可能性があります。 今回は、肘の筋肉で痛みが出ている場合に考えられる原因と、その対処法についてご紹介していきます。 肘の筋肉の仕組み 肘の筋肉といっても、動作によって様々な筋肉が存在しています。 代表的なものは「上腕骨外側上顆(じょうわんこつがいそくじょうか)」や「内側上顆(ないそくじょうか)」につく、前腕の筋肉です。上腕骨外側上顆から起始する筋肉は、前腕の伸筋群で主に手関節の伸展、手指の伸展、前腕の回外に作用しています。 具体的な筋肉でいうと、 ・橈側手根伸筋(とうそくしゅこんしんきん) ・尺側手根伸筋(しゃくそくしゅこんしんきん) ・総指伸筋(そうししんきん) ・回外筋(かいがいきん) といった筋肉です。 上腕骨内側上顆から起始する筋肉は前腕の屈筋群で、 ・尺側手根屈筋(しゃくそくしゅこんくっきん) ・長掌筋(ちょうしょうきん) ・浅指屈筋(せんしくっきん) ・円回内筋(えんかいないきん) などです。 ほとんどの筋肉が上腕骨から手根骨、または手指骨に停止している二関節筋です。 そのため、どこか一つの関節の動きだけに作用するわけではなく、肘関節の屈曲や伸展、前腕の回外と回内、手関節の屈曲や伸展、手指骨の屈曲や伸展、といった動作に関与しています。 肩甲骨からも肘関節を動かす筋肉が走行している 肘関節に関わる筋肉の中には、上腕から前腕にかけて起始停止を持つ筋肉だけでなく、肩関節を超えて肩甲骨から走行してくる筋肉もあります。 屈筋側で言えば上腕二頭筋が代表的で、肘関節の屈曲や前腕の回外に作用しています。伸筋側では上腕三頭筋が最も力の大きな筋肉で、肩甲骨から尺骨の肘頭まで走行しています。肘関節の伸展に関わる主動作筋です。 肘の動き以外にも痛みが出る場合がある ここまでご紹介してきた代表的な筋肉は全て、肘関節の動作だけに関わる筋肉ではありません。したがって、肘の筋肉で痛みが出ている場合、肘関節の動き以外でも痛みを発するケースが多いです。 肩関節の屈曲や外転などでも肘関節部にかけて痛みが出ることや、手関節の屈曲や伸展でも肘関節付近で痛みが出ることがあります。さらには手指の動きも同様で、握りこむまたは手をいっぱいに開くという動作で、肘関節部に痛みが出るケースも考えられます。 肘関節の動作以外でも痛みを感じる場合は、肩関節や手関節など他の関節の運動療法が必要な場合もあるのです。必ずしも痛みのある部位と原因となっている関節が一致するわけではないので、注意が必要です。 肘の筋肉が痛い場合に考えられる病気 肘の筋肉に痛みを感じる場合、どんな病気が考えられるのかご紹介していきます。 外側上顆炎(テニス肘、テニスエルボー) 肘の筋肉が痛いときにまず考えられるのが、外側上顆炎です。上腕骨の外側上顆から、前腕の伸筋側にかけて痛みを発生します。原因は筋肉の使い過ぎやダメージの過度な蓄積で、テニス肘と呼ばれることもあります。 前腕の伸筋群に繰り返し負担をかけることで少しずつ疲労を蓄積し、筋力発揮をするたびに外側上顆で牽引力がかかります。そこから炎症に発展し、安静時でも痛みを伴うケースも珍しくありません。 テニス肘と呼ばれる由来は、テニスのバックハンドの際に外側上顆から起始する筋肉に過度な負担をかけるので、テニスプレーヤーに多い症状であるからです。 もちろん、テニスを経験したことが無い方でも、日常生活動作の中で負担を蓄積し、外側上顆炎に発展するケースは多々あります。手のひらを下に向けた状態で物を掴んで持ち上げるという動作は、全て外側上顆から起始する筋肉に負担をかけるのです。 家事の中でも、包丁を使う、買い物の袋を持つといった些細な動作でも外側上顆炎の一因になります。痛みが出るのは、安静時、肘関節屈曲伸展時、前腕回外時が多いです。 内側上顆炎(ゴルフ肘) 外側上顆炎と同じような発生機所で、内側上顆でも痛みを発生させることがあります。上腕骨の内側上顆から、前腕の屈筋群にかけて痛みを発生させます。 やはり筋肉の使い過ぎや過度な疲労の蓄積が発症の引き金になり、別名ではゴルフ肘と呼ばれることもあります。野球肘の一種と括られることもあり、投球動作を繰り返すことで手関節の屈曲力や手指の屈曲力を必要とするので、内側上顆で痛みを発生させることもあります。 日常生活の中でも、仕事によって内側上顆炎を発生させることも少なくありません。重いものを持つことが頻繁にある方や、指先の細かい作業で手指の動作を行う方など、強い衝撃でなくとも内側上顆炎になる可能性は十分です。 そのため、肘の筋肉で痛みが出ても、自分では何が原因なのか把握できないケースも多いという特徴があります。ゴルフの動作の場合は、スイングの際に後ろ側の手で押し込むような力が加わるので、初心者のゴルファーで内側上顆炎になるケースが多いです。 体幹の捻りを上手く使えず、上肢だけで飛距離と正確性をコントロールしようとするので、余計な力が入って内側上顆炎を発生させます。 側副靭帯損傷 肘関節には、内側と外側に上腕骨から前腕に伸びる靭帯が存在しています。肘関節が異常な動きをしないように、安定性を高める役割を果たしている靭帯です。 外側が外側側副靭帯、内側が内側側副靭帯です。それぞれ、一度の強い外力によって側副靭帯が断裂または部分損傷させられることがあります。 柔道など格闘技系のスポーツ活動によって、肘が過度に外反または内反させられたときに、側副靭帯が耐えきれずに損傷してしまいます。単なる外反や内反だけでなく、回旋力が加わると側副靭帯損傷の可能性は高まるでしょう。 一方で、軽微な外力を繰り返し受けることによって、微細な側副靭帯損傷を繰り返して痛みを発生させるケースもあります。例えば投球動作の繰り返しなどで、コッキング期からアクセレレーション期にかかる肘への外反力によって、内側側副靭帯に損傷を起こします。 肘関節の屈曲や伸展、前腕の回外な回内といった動作で痛みを発生させることが多いので、肘の筋肉で損傷が起きていると感じるかもしれません。 一度の強い外力で側副靭帯が損傷したものについては、保存療法や場合によっては手術も選択肢に入ります。負担の蓄積によって損傷した側副靭帯については、原因となる動作を禁止して安静にすることが第一です。 プロスポーツ選手など、特別な事情がある場合には手術も考えられます。 頸椎ヘルニア 筋肉が痛いと感じていても、実はそれが神経症状であるというケースも考えられます。それが頸椎ヘルニアや頚椎症、ストレートネックといった首の病態で引き起こされるのです。 頸椎部分から派出する神経は、肩甲骨や上腕付近を走行して、前腕から指先へと到達していきます。頸椎ヘルニアや頚椎症が起こっている高位によっては、上腕や肘付近、前腕の感覚を司っている神経を圧迫してしまうこともあります。 そうなれば、肘の筋肉の痛みとして最初は感じられるかもしれません。痛み方の特徴としては、安静時でも痛みやしびれがあり、長時間同じ姿勢を続けていると症状が憎悪します。 場合によっては仰向けで寝ると痛みが増すケースもあり、横向きでしか寝られなくなることもあるくらいです。頸椎ヘルニアや頚椎症の発生原因としては、日々の負担の蓄積にあります。 デスクワークが長時間続く方や、スマートフォンを長時間見続けている方、調理場など前かがみの姿勢が続く方など、物理的に首への負担が大きい方はリスクが高いです。 首凝りや肩凝りが酷くなり、ある日を境に肘関節付近の痛みが強くなるので、頚椎から上肢へ神経が走行している仕組みを知らなければ大変驚くはずです。 筋肉損傷などの痛みと鑑別する方法としては、頸椎の動作によって痛みが憎悪するかどうかを確かめる方法です。 頸椎ヘルニアや頚椎症である場合は、頸椎の伸展や回旋動作によって肘関節付近の痛みが増すことがあります。この場合は早めに受診して、原因を特定する必要があります。これは、神経の通り道が狭くなる動きなので、神経根の圧迫が強くなるためです。 腱鞘炎の可能性も考えられます。手首を繰り返し使う動作で、腱周りの組織が炎症を起こすと、肘周辺にも痛みが起こり得ます。 この場合は肘関節付近の筋肉にいくらアプローチしても、痛みが改善されるどころか時間の経過と共に悪化していきます。整形外科で精査をし、リハビリを行うのか場合によっては手術を行うのか検討していく必要があるでしょう。 肘の筋肉が痛い場合の対処法 肘の筋肉で痛みが出た場合、自分ではどのような対処法を行えばいいのかご紹介していきます。 肘を温める 筋肉の緊張やオーバーユースによって出ている痛みなら、肘を温めると血流が良くなって筋緊張が取れ、痛みも少し緩和することがあります。 お風呂に入った直後など、今まで痛みがあった動作が楽にできるようであれば、温めることは有効なセルフケアです。ホッカイロをあてておくだけでも良いですし、お風呂でよく温まることが大切です。 ただ、温めるというのは時と場所を選ぶケアなので、冷やさないということが重要になってきます。夏場であればクーラーの風があたることで痛みが悪化することもありますし、温度管理に気を配ってみてください。 ストレッチをする 上腕から前腕の筋肉をストレッチすることで、痛みを緩和できるケースもあります。側副靭帯損傷の場合は当てはまりませんが、筋肉そのものが原因で痛みが出ている場合は有効です。 頸椎ヘルニアがきっかけで出ている痛みでも、少し緩和されることもあります。肩関節を水平屈曲させたり、外転させたりして、腕から肩甲骨にかけての筋肉をストレッチします。 また、前腕の筋肉は手関節を過屈曲または過伸展することによってストレッチでき、前腕の回旋も加えることで効果的なストレッチが出来ます。もし動作で痛みがある場合は、無理せず痛みのない範囲で行いましょう。 人間は、痛みを感じると自分の体を守ろうとして筋肉を緊張させることがあります。無理なストレッチで、筋緊張を起こせば痛みが悪化してしまう可能性もあるので注意が必要です。 軽くマッサージをする 前腕や上腕部の、自分で硬さがあると思う部分を軽くマッサージするのも非常に有効です。あまり大きな筋肉ではないので、強く揉みすぎると防衛反応が起きてかえって筋肉が緊張することもあります。 痛みがあるようならさする程度でも大丈夫です。心地よいと感じる程度の強さでセルフマッサージを行うと、筋緊張を緩和することに繋がります。 湿布を貼る 湿布は温湿布でも冷湿布でもどちらでも大丈夫です。ただ、長時間貼っていると皮膚がかぶれてしまいますし、湿布の上からホッカイロをあてるなどすると、肌荒れに繋がるので注意です。 湿布が根本的な改善になるわけではないですが、痛みを軽減して日常生活を送ることができるでしょう。 専門医に相談する 筋肉の損傷なのか、靭帯の損傷なのか、神経症状なのか自分では見当がつかないという場合、すぐに専門医に相談してください。病院であれば整形外科ですし、接骨院や整骨院でも良いです。 筋肉に疲労が溜まっていることが肘の痛みの原因であれば、安静にすることで落ち着くかもしれません。しかし、靭帯損傷や神経症状の場合、放置しておくと痛みが悪化するケースもあります。 痛みをかばいながら行動することで、背骨に歪みを招くことになれば、肩こりや腰痛など二次的な症状に繋がってしまいます。 まとめ・肘の筋肉痛は肘だけの問題ではない! いかがでしたでしょうか。場所によって異なる病気をご紹介いたしました。 肘の筋肉で出る痛みの原因として多いのは外側上顆炎など、オーバーユースによるものです。肘の治療をしっかり行うことも大切ですが、肘に負担をかけすぎないような身体全体の使い方を考えることも、早期治癒と再発予防に繋がります。 自分では見当がつかないという場合、整形外科や接骨院、整骨院などの専門医に相談しましょう。 この記事がご参考になれば幸いです。 監修:リペアセルクリニック大阪院 再生医療やスポーツ医療についての専門医がいない方へ リペアセルクリニックは、第二種・第三種再生医療提供計画を厚生労働省に提出し受理された厚生労働大臣許可医療機関です。当院では来院前でも「メール相談」を受付けています。どうぞ事前にご相談ください。 メール相談・お問い合わせフォームはコチラ 肘の痛み、筋肉の痛みに関連する記事はこちら ・肘から下の痛みは背骨が原因か?前腕が痛む原因で考えられる疾患 ・テニス肘とゴルフ肘の正しい治し方となりやすい条件とは ・肘をぶつけてからずっと痛みが治まらない時、考えられる原因は? ・肘の外側が痛い場合の対処法は?外側上顆炎や神経痛の場合も 肩の痛み、肩の関節の痛みに関連する記事はこちら 肩の関節が痛い場合に有効な治し方と痛みの原因は? 腕に関連する記事はこちら 腕が上がらないのは病気のせい?考えられる症状は何
2019.04.16 -
- 肩
肩の関節が突然痛くなる!その原因と治し方を徹底解説 いつもと変わらず日常生活を過ごしているのにも関わらず、突然肩が痛くなることは、珍しいことではありません。首や肩の筋肉に知らず知らずのうちに負担をかけていて、ある日一線を超えたかのように痛みとして感じられるようになります。 今回は、肩の関節が痛くなる原因と、その治し方についてご紹介していきます。 肩の関節は可動域が広い 肩の関節の大きな特徴は、可動域が広いということです。肩甲骨の関節窩と、上腕骨頭で構成されている肩関節は、球関節なので様々な軸で動作を行うことができます。 上腕の外転や内転、上腕の外旋や内旋、肩関節の屈曲と伸展という動きが主です。 脱臼をしやすい関節でもある 肩関節は可動域の広さが確保されているのと同時に、構造上脱臼をしやすい関節でもあります。肩甲骨にある関節窩が浅く、上腕骨頭を支持するには形態的に足りないのです。 特に、肩関節を外転外旋位にもっていくと、脱臼のリスクが高まります。一度脱臼をすると周囲の軟部組織や骨を損傷することがあり、再脱臼を起こしやすいというのも特徴です。そんな肩関節の支持性を高めているのがローテーターカフと呼ばれるインナーマッスルで、棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋の 4 つで構成されています。 ローテーターカフで正しい動作と安定性を補っている ローテーターカフの役割はただ単に肩関節を安定させるだけでなく、動作の中で肩甲骨や上腕の細かな動きを調整しています。例えば肩関節を外転させていく場合、ローテーターカフがしっかり働かなければ上腕骨頭の下制力が無くなり、そのまま肩甲骨の上部へと脱臼してしまいます。 ローテーターカフが明らかに筋力を発揮しているのを感じることは難しいですが、機能していないと肩関節の動きはかなり制限されることになります。 肩関節の動きには様々な骨が関わる 日常生活の中で肩関節が突然痛みを発しやすい原因の一つとして、関わる骨や筋肉が多いということも挙げられます。 肩関節を動かすためには、肩甲骨と上腕骨の動きはもちろん、鎖骨、胸骨、肋骨など様々な骨に付着する筋肉が関わっています。 そのため、鎖骨で異常が起きても肩関節の動きに影響しますし、胸骨や肋骨で異常が起きても肩関節の可動域は狭くなるのです。 肩の関節が痛いときの原因とは 肩関節で痛みが出る原因には、何が考えられるのでしょうか。 五十肩 五十肩は外傷などの後遺症として発生することもありますし、明確な原因なくある日突然痛みを発生させることもあります。肩関節周辺の筋肉に負担を蓄積し、緊張した筋肉によって動きのズレを生み、そこから肩関節の炎症へとつながっていくのです。 中高年の年代に多いことから五十肩と呼ばれますが、医学的な用語で説明すると、肩関節周囲炎ということになります。五十肩は炎症期といって特に痛みの強い時期が存在します、そこを過ぎれば少しずつ痛みは軽減していくものです。 しかし、痛みの軽減後も可動域の制限が残るケースがあります。これは炎症を抑える治療だけでは改善しきれないので、運動療法や背骨の矯正などで少しずつ可動域を戻していくことが必要です。 野球肩 野球など投球動作の繰り返しによる負担の蓄積で起きた症状を、野球肩と言います。オーバーユースによっておきた肩関節周辺の軟部組織損傷を総称している言葉なので、一言で野球肩といっても人によって病態は様々です。 筋肉に疲労を溜めすぎて硬くなっているだけというケースもありますし、関節唇の損傷を起こしているケースもあります。中にはそこから肩関節の亜脱臼を起こすこともあります。 野球肩になってしまった場合は、まず投球動作の中止が必要です。投球をしながらだと、治療期間もかなり長くなります。投球動作の中で、特にコッキング期からアクセレレーション期に移行する瞬間に負担がかかりやすいので、体の使い方そのものを改善していく治療方法が有効です。 石灰沈着性腱板炎 腱板とは棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋それぞれの腱の束のことで、その付近に石灰が沈着して炎症を起こす病態です。特徴的なのは夜間痛で、痛みのために睡眠が邪魔されることもあります。 五十肩と症状の出方が似ていますが、夜間痛や動作時の痛みの強さ、画像診断などで判断していきます。カルシウムの代謝異常が原因であることはわかっていますが、何がきっかけで石灰沈着が起こるのか不明な点も多い病態なのです。 腱板断裂 上記の項目でもご紹介した、4 つの筋肉の腱から構成される腱板を断裂してしまっていると、当然肩の関節で痛みを引き起こします。腱板が断裂してしまう原因は様々で、転倒や打撲による負傷、肩関節のオーバーユースなど、急性でも亜急性でも両方考えられます。 特に棘上筋が断裂する頻度が一番高く、フルキャン(フルカン)テストなどでどの筋肉に問題が起きているのか鑑別することが可能です。 上腕二頭筋長頭腱炎 上腕二頭筋の長頭が、上腕骨の結節間溝を走行しています。結節間溝は肩関節の前側にあり、長頭と摩擦が起きることで炎症になることがあります。上腕二頭筋の過度な緊張や使い過ぎによって徐々に起こるものです。 肩の動き、肘の動き、前腕の動き全てに関わる筋肉なので、日常生活の中でも痛みの頻度は高いでしょう。 肩峰下滑液包炎 肩鎖関節の下あたりに位置する肩峰下に、関節の滑りを良くする滑液包が存在しています。動作の中でその肩峰下にある滑液包を挟み込んで炎症を起こしてしまい、肩関節の痛みとして感じられることがあります。多くは注射などの外科的治療が選択されることになります。 肩の関節が痛いときの治し方 それでは、肩の関節が突然痛くなってきたときに、どのように対処したらよいのかご紹介していきます。 肩や首を温める 筋肉が硬くなっていることによって肩関節で痛みが出る場合もありますが、それは温めることで痛みを緩和させることが出来ます。100 %痛みが軽減するとは言いきれませんが、多くの場合は一時でも楽になります。 血流が良くなれば筋肉の緊張も取れやすくなるので、ぶつけていないし捻ってもいない、自分では原因が不明な肩関節の痛みについては温めてみるという価値は十分あります。お風呂に浸かってじっくり温まることも良いですし、蒸しタオルを肩や首にあてるだけでも良いセルフケア方法です。 逆に冷えてしまうことで痛みを悪化させるケースもあるので、温めないまでも冷やさないということが大切です。 安静を保つ 肩を動かすと痛いという場合は、痛みのある動きをなるべく避けることも大切です。人間は痛みを感じると、無意識のうちにそこをかばって行動するようになります。 肩の関節で痛みが出れば、背骨や肘、手首の動きで肩関節の機能低下を代償するようになるので、必然的に他の部位でも不調が起こります。まずは安静にして、少しでも痛みが和らぐのか確認してみてください。 しかし、あまりにも肩を気にしすぎて全く動かさなくなると、そこから五十肩に移行したり、すでに五十肩の場合は治療期間を長引かせたりすることにもなりかねません。痛みのない範囲では積極的に動かしておきましょう。 整形外科に相談する 突然肩の関節が痛くなり、しばらくしても痛みが引かない場合は、整形外科を受診するのがまず確実です。レントゲンや、場合によってはMRIを使って精査してくれることもあります。石灰沈着を起こしていればレントゲンでわかりますし、関節の変形なども画像診断で判断できます。 逆に、骨や代謝物の異常が無いということもわかるので、筋肉にアプローチすべきなのか治療方法を絞り込むこともできます。肩で痛みが出た場合に、精査した結果何も異常が見つからないと余計に心配になることがあるかもしれません。 しかしそれは、アプローチすべき個所が絞られるとも言えるのでむしろプラスに捉えるべきでしょう。 接骨院に相談する 石灰沈着などは注射などの薬物療法が行われることもありますが、肩関節周囲炎など筋肉が原因で起きている痛みの場合、接骨院での治療で十分改善していくことが可能です。 場所によっては整形外科よりも受付時間が長いことの方が多いので、通院しやすいかもしれません。接骨院ではレントゲンは撮影できませんし、薬の処方も出来ません。痛み止めを使うほどの痛みでは無ければ、手技療法や電気療法、罨法などを熱心に施術してくれる接骨院を選びましょう。 肩関節の治療方法 肩関節の治療のやり方には、どのような方法があるでしょう。 電気治療 電気治療の目的は、筋緊張の緩和と血流の改善です。低周波や干渉波の治療器が肩関節の痛みに有効であるケースもあります。電気治療が受けられるのは整形外科や接骨院で、一般的には接骨院の方が使用頻度も高いでしょう。 ただ、捻挫や打撲などと違う、日常生活の軽微な外力で発生した肩関節の痛みについては、電気治療が根本的な治療方法になるわけではありません。電気治療に加えて、運動療法など他のアプローチも組み合わせることになるでしょう。 温熱療法 温めることで肩関節の痛みが緩和されることもあります。ホットパックと呼ばれる電気の温熱器具を使ったり、ホットタオルなど蒸しタオルを使ったりする方法です。 ホットパックは乾性の温熱で、ホットタオルは湿性の温熱と呼ばれています。温めるという効果は同じなので、よりリラックスできる方が良いでしょう。その他にも、赤外線を使って患部を温熱する方法もあります。 赤外線の良いところは、より深部の組織を狙って温めることができるという点です。整形外科でも接骨院でもどちらでも受けることが出来ます。 手技療法 いわゆるマッサージやストレッチなどの治療方法で、自分で肩関節を動かすというよりは、施術者の手によって他動的な運動で動作を行っていきます。マッサージにもストレッチにも言えることですが、あまりにも強すぎる刺激は逆効果になることがあります。 刺激が強すぎると、自分の体を守ろうとして逆に筋緊張を起こすこともあるのです。リラクゼーション目的であれば自分の好きな強さで施術を受ければ良いですが、目的が治療なのであれば、強ければ強いほど良いというわけではありません。 運動療法 肩の動かし方が悪いせいで、肩関節に痛みを発生させているケースがあります。ゴムチューブなどを使ってローテーターカフを鍛えたり、正しく筋力発揮ができるようにしたりするのが目的です。 肩関節が痛い場合、多くのケースでは筋力が足りないわけではありません。筋肉の量の問題なのではなく、使い方に問題があるのです。軽微な外力によって負担を溜めることで、徐々に筋緊張が広がっていきます。 その結果肩関節の動作で微妙にズレを起こし、動作のたびに痛みを発生させるのです。 背骨や骨盤の矯正 肩関節の痛みが、実は背骨のゆがみのせいで起きているというケースもあります。背骨が歪んでいれば肩甲骨の動きが悪くなり、肩関節の可動域制限に繋がります。 自分でも試してみるとすぐに感じられると思いますが、背中を極端に丸めて両腕を挙上するよりも、背中をまっすぐ伸ばして両腕を挙上した方が挙げやすいはずです。このように、肩関節自体に問題が無くても、背骨のゆがみのせいで可動域制限や痛みを発生させていることは大いに考えられることなのです。 肩関節は放っておいても改善しにくい 少しぶつけた程度あれば、時間が経過すれば回復するものです。しかし、肩関節の痛みは時間が経過しても改善しない症状も多く、むしろ悪化する可能性が高いです。早めに専門医に相談して、対処しておきましょう。以上、肩の関節が突然痛くなる!その原因と治し方を徹底解説いたしました。参考になれば幸いです。 お近くに再生医療やスポーツ医療についての専門医がいない方へ さかもとクリニックは、第二種・第三種再生医療提供計画を厚生労働省に提出し受理された厚生労働大臣許可医療機関です。当院では来院前でも「メール相談」を受付けています。どうぞ事前にご相談ください。 メール相談・お問い合わせフォームはコチラ 監修:リペアセルクリニック大阪院 肘や筋肉の痛みに関連する記事はこちら ・肘・筋肉の痛みは?原因と対策は? ・肘から下の痛みは背骨が原因か?前腕が痛む原因で考えられる疾患 ・テニス肘とゴルフ肘の正しい治し方となりやすい条件とは 肘をぶつけてからずっと痛みが治まらない時、考えられる原因は? ・肘の外側が痛い場合の対処法は?外側上顆炎や神経痛の場合も 腕に関連する記事はこちら 腕が上がらないのは病気のせい?考えられる症状は何 当院の治療についての考え方や 再生医療についての内容もお読みください ・スポーツ外傷・障害の痛みに対する当院の治療 ・再生医療とは ・PRP(多血小板血漿)療法とは ・ご相談から治療までの流れ
2019.04.15 -
- 変形性股関節症
足の付け根が痛い場合は手術が必要?考えられる病態とは 足の付け根が痛くなる原因には、股関節や骨盤、脚自体に何か問題が起きているケースと、それ以外の病気などによるケースと様々です。 どちらも、転倒などでぶつけたり急な動作によって捻ったりして足の付け根が痛くなるということよりも、思い当たる原因がわからないことの方が多いです。今回は、足の付け根が痛くなる原因と、どのような治療方法があるのかご紹介していきます 足の付け根の痛みは股関節が原因であることが多い 足の付け根にあたる部分で最も問題が起きやすいのは、股関節です。股関節で炎症が起きていたり、何か病気があったりすれば痛みが出ることがあります。鼠径部の前側や、大腿骨の外側で痛みが起きるということもよくあることです。股関節の動きは意外と複雑で、屈曲や伸展などの単純な前後動作だけでなく、外転や内転、さらには外旋や内旋といった捻り動作も加わります。稼働する筋肉は、大殿筋や中殿筋といった臀部の大きな筋肉、大腿四頭筋やハムストリングスなど大腿部に付着する筋肉などが主です。股関節を動かす筋肉でも特徴的なのが、縫工筋や腸腰筋といった筋肉で、縫工筋は股関節の屈曲、外転、外旋という大部分の動作に関わります。腸腰筋は、股関節を直角以上に屈曲するときに稼働する筋肉なので、直角以上まで股関節を曲げた時に痛みが出る場合は腸腰筋の異常も疑われます。 足の付け根には血管と神経が通る 足の付け根の前側、いわゆる鼠径部では、太い血管と神経が走行しています。体表から触診する場合の指標となる大腿三角という部分に、大腿動脈、大腿静脈、大腿神経といういずれも太い組織が位置しています。大腿動脈の拍動は比較的強く、体表からでも拍動を触れることが出来ます。鼠径部を走行する大腿部の筋肉が緊張したり、股関節の動作で不具合を起こしたりして血管や神経を圧迫すれば、それで痛みが出ることもあります。さらに、大腿動脈や大腿静脈は下肢全体の血流を左右するので、そこの血流悪化が下肢全体のむくみや冷えにも大きく影響しています。 妊娠で足の付け根が痛くなることも 妊娠をしてある程度の週数が経過してくると、足の付け根で痛みが出るようになることがあります。胎児が大きくなってきて体も重くなり、単純に負荷が大きくなるから痛みが出るということもあるでしょう。また、出産の前後の時期になってくると、ホルモンの影響で骨盤周辺の靭帯などの軟部組織が緩くなってきます。その結果体の使い方が少し変わり、足の付け根や恥骨部分で痛みを発生させることがあるのです。さらに、お腹が大きくなってくるとどうしても骨盤が後ろに傾くような傾向になり、座位でも立位でも骨盤の前後のゆがみが目立つようにもなってきます。骨盤が後傾すると、股関節前側の筋肉も硬くなり、立ち上がったり歩いたりするたびに足の付け根で痛みを発生させることにも繋がります。これは出産後も同様で、妊娠中に身についた骨盤の傾きが残ることで、歩く時や動作の開始時に痛みを発生させるという不調も起こります。 足の付け根が痛くなる原因とは? 足の付け根が痛くなる原因として考えられることは何があるでしょうか。病気や整形外科的な疾患、単なる筋肉疲労など様々な可能性を探っていきます。 こちらも併せてご参照ください 筋肉への負担蓄積 捻挫や打撲、炎症とは違い単に股関節付近や腰の筋肉にダメージが蓄積してしまっていることで、足の付け根が痛くなることもあります。日常生活の中で股関節周辺に負担を溜め続け、ある日突然足の付け根となって現れてくることが多いので、自分の中で明確な原因が把握できないことが多いです。負担蓄積の原因としては、姿勢が悪く座位でも立位でも常に腰や骨盤周辺に過剰な負担がかかっていることが大きな要因です。特に骨盤の後傾や、ストレートネック、猫背といった身体の前後のバランスでゆがみが出ていると足の付け根でも痛みを発生させやすいです。骨盤の歪みが足の付け根の痛みに繋がることは想像しやすいと思いますが、上半身のゆがみが関連していることは意外でしょうか。例えば、猫背の場合、横から身体を見た時に常に頭の位置が少し前に出ている形になります。頭の主さは4kg以上あるので、重心が前に引っ張られないように骨盤を後ろに傾ける形でバランスを取ります。そうして出た全身のゆがみが足の付け根の痛みに繋がるのです。 治療方法 筋肉への負担を減らすことが最も有効な治療方法です。腰や大腿部の筋肉をマッサージ、ストレッチなどでほぐすことも大切です。しかし、多くの場合は体の使い方や姿勢など、マッサージだけでは改善できない原因が隠れています。筋肉をほぐすということだけでなく、背骨の歪みや骨盤の歪みを矯正して根本的な負担の原因を取り除くことが、最も大切な治療方法になります。精査しても特に病気などが無いのに足の付け根で痛みがある場合、股関節周辺だけを一生懸命治療しても良くなりません。視野を広げて改善方法を探っていくことが必要ですね。 変形性股関節症 股関節にある関節軟骨がすり減ってしまい、関節内で炎症を起こしてしまう病態です。歩行時など、動作をするときに足の付け根で痛みが出ます。年齢と共に荷重や筋緊張、姿勢や体の使い方などの影響で股関節の負担を溜めていき、少しずつ股関節の変形を起こしてしまいます。一度軟骨がすり減ってしまうと基本的には元には戻らず、なるべく痛みが出ないような体の使い方をリハビリで習得するか、股関節の人工関節置換術を行うことになります。生まれつきの形態である、臼蓋形成不全などがあると、変形性股関節症のリスクも高まります。 治療方法 根本的な治療方法となると、やはり人工関節置換術になります。しかし、人工物による関節なので、永久的に問題が起きないという保証はありません。現在では、だいたい20年が耐用年数と言われており、若い年代で股関節の人工関節置換術を行うことは稀です。手術を行うとしても、60代以降になることが多いです。それ以前の年代における変形性股関節症では、保存療法で痛みの出ない動作を獲得することを目指します。股関節を保護するために、臀部や大腿部の筋力強化が主です。エアロバイクを使うなど、なるべく股関節に負担をかけない形で筋力を強化していきます。 鼠径ヘルニア 内臓が鼠径部に飛び出してきてしまう病態のことです。鼠径部の上からふくらみを確認することが出来、痛みを伴うことがあります。鼠経ヘルニアで飛び出してしまう臓器は、ほとんどが小腸です。そのため、鼠経ヘルニアではなく脱腸という名前で呼ばれることも多いのが特徴です。鼠経ヘルニアになってしまう原因は、生まれつきの形態異常によってリスクが高いことがほとんどです。また、筋膜に損傷がある場合などは、鼠経ヘルニアを起こしやすいです。加齢と共に組織が脆弱化して鼠経ヘルニアを発症するケースもあります。喘息などで慢性的に咳が多い方など、腹圧が急激に強くなる機会が多い方は、鼠経ヘルニアを何度も繰り返してしまいます。特に立位の状態で鼠径部のふくらみや痛みを感じることが多く、仰向けなど横になると飛び出していた内臓が元に戻ることもあります。 治療方法 鼠経ヘルニアで飛び出してしまった臓器が、挟み込まれて元に戻らなくなってしまうこともあります。そうなれば、一刻も早く手術をする必要があります。挟み込まれて圧迫されることで血流が止まり、壊死してしまうことがあるからです。鼠経ヘルニアが根本から自然治癒することはほぼ無く、徒手的にヘルニアを戻すことで対応することもありますが、再発予防には手術が最も有効な手段です。子供で起こることもあり、鼠径部のふくらみや急に泣き出すなどの症状が繰り返されます。 腰部脊柱管狭窄症 脊柱の形態的な異常によって、脊髄や神経根を圧迫してしまう病態です。脊柱のゆがみや腫瘍など、何らかの原因で脊柱管が狭くなることによって起こります。神経と血管を圧迫するので、歩行を継続することが困難にもなります。神経や血管を圧迫することで症状が出るので、腰部を屈曲させるなどして脊柱の形を変えるだけで症状が緩解することも特徴です。腰部から派出する神経は下肢を支配しているので、脊柱管狭窄症によって足の付け根で痛みが出ることは十分あります。足の付け根から足趾まで、痛みや痺れをきたし、場合によっては両脚にでることもあります。最も特徴的な症状は間欠性跛行で、ある一定の距離を歩くと痛みやしびれが強くなり、少し休むと再び歩けるようになる症状です。 治療方法 手術の場合は、脊柱管狭窄症を起こしている部分を切開し、神経や血管の通り道を確保することになります。ただ、基本的には保存療法で行うことが一般的でもあります。ブロック注射や湿布、コルセットをつけて痛みの軽減や症状の予防に努めます。普段の体の使い方によって少しずつ脊柱管狭窄症の症状を悪化させていくという背景もあるので、背骨の歪みや骨盤の歪みを正して足の運び方を改善することも大切です。圧迫が出ない体の使い方が獲得できれば、症状がほとんど出ないように生活することも可能なのです。 関節リウマチ リウマチは自己免疫疾患の一つで、通常の免疫機能が異常な働きをすることによって症状が出ます。なぜ発症するのか原因は不明で、以前はほとんど治らないと言われてきました。しかし現代では、リウマチ症状がほとんど出ないように治療を行っていくことも可能になってきています。通常は病原菌やウイルスに対して攻撃を行う免疫細胞が、異常によって体の細胞を攻撃することによってリウマチ症状は起こります。全身のどの関節でも痛みや炎症が起こり得るので、足の付け根で痛みを発生させることもあります。ほとんどの場合は手先の関節で症状が出始めることが最初なので、リウマチによって足の付け根で痛みが出ている場合は、おそらく他の部位でも痛みを感じているはずです。 治療方法 基本は薬物療法です。抗リウマチ薬やステロイドを使用し、経過を観察します。病状が進むと関節破壊が起こってくるので、可動域を確保するために運動療法などでリハビリを行うことも大切です。それでも関節破壊が進んで変形が強くなってしまった場合は、人工関節など手術も視野に入ってきます。 大腿骨頭壊死症 大腿骨を栄養する血管が障害され、大腿骨が壊死してしまう病態です。原因が特定されないことが多く、突然症状を感じることがほとんどです。誘因の一つと言われているのがアルコール中毒の方や、ステロイドの多用です。大腿骨頭が壊死して変形してしまうので、荷重をしなくても動作で足の付け根の痛みを発生させます。 治療方法 保存療法で、痛みのない動作が再現できれば手術をしないケースもあります。しかし、日常生活を送る中で変形が進行していき、生活レベルが下がるようなら手術をする必要があります。人工関節を入れることも視野に入ってくるでしょう。 足の付け根の痛みには早く対処すべき ご紹介してきたように、足の付け根の痛みは単なる筋肉疲労だけでなく、手術が必要な症例がいくつもあります。痛みが長く続くようなら、できるだけ早く専門医に相談してください。 お近くに再生医療やスポーツ医療についての専門医がいない方へ リペアセルクリニックは、第二種・第三種再生医療提供計画を厚生労働省に提出し受理された厚生労働大臣許可医療機関です。当院では来院前でも「メール相談」を受付けています。どうぞ事前にご相談ください。 https://youtu.be/o2ASEGbQ-R8?si=ExQEWCeDUSupKBYW 監修:リペアセルクリニック メール相談・お問い合わせフォームはコチラ 関連記事 太ももの痛みに関連する記事はこちら 太ももの付け根が痛いときは股関節の異常?考えられる病態とは 人工股関節、人工関節に関連する記事はこちら 人工股関節術後に脱臼する可能性と生活の注意点をチェック 膝の人工関節手術は失敗がある?知っておくべきリスクとは 再生医療による膝の治療に関連する記事はこちら 膝の症例 現役プロスポーツ選手 ひざの痛みにPRP治療 足の裏の痛みに関連する記事はこちら 足の裏が痛いのは足底腱膜炎が原因か?治療法や予防法も確認 当院の治療についての考え方や再生医療についての内容もお読みください スポーツ外傷・障害の痛みに対する当院の治療 変形性股関節症に対する当院の治療 再生医療とは PRP(多血小板血漿)療法とは ご相談から治療までの流れ
2019.04.14 -
- 肘
肘から下(前腕)の痛みが出る場合は、神経が圧迫されている・筋肉の使い過ぎ・皮膚疾患などさまざまな要因が考えられます。 そこで本記事では、肘から下に出る腕の痛みの主な原因を疾患別で紹介します。対処法もあわせて解説しているので、肘から下の腕の痛みにお悩みの方は最後までご覧ください。 腕(肘から下)が痛む主な原因|スポーツによる疾患 腕(肘から下)が痛む代表的な原因はスポーツによる疾患です。スポーツ特有の繰り返し動作が知らず知らずの間に部位を傷つけています。 この項目では、スポーツによって腕の痛みを引き起こす主な原因(疾患)について紹介します。 ゴルフ肘(上腕骨内側上顆炎) ゴルフ肘(上腕骨内側上顆炎)は、肘の内側にある骨のとがった部分(内側上顆)に付着する筋肉が炎症する疾患です。 この筋肉は前腕を通って手首や指まで伸びているため、前腕から手にかけての痛みを引き起こします。名前の通り、ゴルフのスイングが原因で発症するケースが多い一方、他のスポーツの繰り返し動作でも発症しうる疾患です。 テニス肘(上腕骨外側上顆炎) テニス肘(上腕骨外側上顆炎)は、上記で紹介した内側上顆炎と類似した疾患で、肘の外側にある骨のとがった部分に付着する筋肉の炎症で引き起こされます。 テニスのバックハンドストロークといった肘を伸ばす繰り返しの動作が原因とされていますが、テニス以外のスポーツや日常生活でも発症します。 野球肘 野球肘は、投球における繰り返し動作によって引き起こされる疾患です。肘の内側・外側の靭帯や骨に負担がかかることで発症します。 主な症状は、肘の内側や外側の痛み・可動域の制限・投球時のパフォーマンス低下です。また、痛みの部位によって、内側型・外側型・後方型に分類されます。 成長期の子どもに多く見られ、適切な処置をしないと将来的に大きな問題につながる可能性があります。 変形性肘関節症 変形性肘関節症は、とくに肘から下の腕部分に痛みや違和感を感じる慢性的な疾患です。加齢や長年の疲労による肘関節軟骨の摩耗や変性が主な原因となります。 年齢と共に発症リスクは高まりますが、繰り返しの動作を伴う職業の方やスポーツ選手などの若い方でも発症します。 主な症状は、肘の痛み・関節の腫れや硬直・可動域の制限です。とくに朝起きたときや長時間の安静後に症状が強くなることがあります。また、天候の変化で症状が悪化することもあります。 骨折 腕または肘から下に対して強い衝撃を受けた場合に考えられるのが骨折です。 肘から下には橈骨(とうこつ)と尺骨(しゃっこつ)の2本の前腕骨がありますが、どちらかが損傷していると肘から下に痛みが生じます。 転倒や衝突といったさまざまな不意の事故で骨折してしまう恐れがあり、誰しもが起こりうる疾患です。 腕(肘から下)が痛む原因|日常生活で起こりうる疾患 腕(肘から下)の痛みは日常生活においても発症します。 スポーツと同様に繰り返しの動作により引き起こされやすく、多くの方の悩みの種となっています。 そこでこの項目では、日常生活で起こりうる疾患について詳細に紹介します。 腱鞘炎 腱鞘炎は、手や指を頻繁に使う人によく見られる症状です。 私たちの手や指の動きは、前腕の筋肉によってコントロールされています。この筋肉が過度に使われると、筋肉と骨をつなぐ腱や腱を覆う腱鞘に炎症が起こります。その結果、前腕から手にかけての痛みやしびれが生じます。 たとえば、長時間のキーボード入力・スマートフォンの使用・楽器の演奏などは腱鞘炎のリスクを高めます。家事や育児でも、同じ動作を繰り返すことで腱鞘炎を発症することがあります。 肘部管症候群 肘部管症候群は、肘の内側を通る尺骨神経が圧迫されることで起こります。 主な原因は、肘を曲げた姿勢の長時間維持です。たとえば、デスクワークで肘をつく・運転中に肘掛けに肘をのせる・就寝時に肘を曲げた姿勢をとるなどの習慣が挙げられます。また、肘の怪我や関節炎などが要因となるケースもあります。 症状としては、肘の内側から小指側の前腕、手、指にかけてのしびれや痛み、握力の低下などがあります。肘を曲げた状態で長時間過ごした後に症状が強くなるのが特徴です。 肘内障 肘内障は、幼児に多く見られ「肘が抜けた」状態を指します。 主な原因は、腕を強く引っ張られたり、突然持ち上げられたりすることです。たとえば、子どもの手を引いて歩いているときに転びそうになり、急に腕を引っ張ってしまうような状況で頻繁に発生します。 主な症状は激しい痛みと腕を動かせなくなることで、子どもが突然泣き出したり、腕をだらんと下げたままにしていたりすると要注意です。 手根管症候群 手根管症候群は肘から下に痛みを発生させるだけでなく、しびれや運動障害を起こす疾患です。 手根管とは手首の屈筋側にある部位のことで、神経や筋肉の腱などを束ねて正しい動きに導く役割を持っています。この手根管は靭帯によって覆われていて、ほとんど伸び縮みができないバンドのような構造をしています。その狭い空間の中に、正中神経と9本の筋肉の腱が通っているので圧迫されやすい部位です。 前腕の屈筋群を繰り返し使うことによって引き起こされる疲労の蓄積が原因の場合もありますし、腫瘍が出来ているケースや骨折の後遺症として発生するケースもあります。しかし、多くの場合は特発性の手根管症候群で、原因の追求が難しい疾患です。 OKサインのような手の形がとりにくくなることが代表的な特徴です。したがって、細かい作業がしにくくなり日常生活に大きな影響を及ぼします。 頚椎ヘルニア 頚椎ヘルニアは、首にある椎間板が変形・突出し、脊柱の中を通っている脊髄や神経根を圧迫することで発症します。頚椎ヘルニアを引き起こす部位によっては肘から下に痛みを生じます。 頚椎ヘルニアには、急性的なものと亜急性(徐々に進行する)のものがありますが、多くは亜急性です。頚椎に微細な負担を長時間蓄積させ続け、少しずつ椎間板の変形を招くのです。 肘から下の痛みであることから見逃されがちな疾患ですが、頚椎から派出した神経が前腕から手指までつながっていることを理解しておきましょう。 頚椎症 頚椎症は頚椎ヘルニアと似たような発生機序で、背骨を構成している椎骨の変形によって前腕の神経を圧迫する病態です。 頚椎ヘルニアと同様に亜急性が多く、長時間にわたり同じ姿勢を取ることで筋肉の緊張を招いて少しずつ頚椎を変形させていきます。 日常生活の中で首に負担がかかる猫背やストレートネックなどの姿勢が定着していれば、若い世代でも十分に発症しえる疾患です。 頚肩腕症候群 頚肩腕症候群は、筋肉の緊張や血流の悪化によって痛みを引き起こす疾患です。 パソコンが普及し始めたころの、いわゆるキーパンチャーと呼ばれる人たちに続出した疾患でもあります。デスクワークが主流となりつつある現代でも同じリスクを抱えています。 首から前腕まで通過している神経は、さまざまな筋肉の間を縫うように通っています。その過程で、筋肉が緊張したり関節の悪い動かし方をしたりしていると、慢性的に神経を圧迫して痛みを伴うのです。 血管の圧迫による痛みにくわえ、しびれ・ふるえ・冷え・運動障害を引き起こすことが特徴です。また、手先が真っ白になるレイノー現象を引き起こすこともあります。 胸郭出口症候群 胸郭出口症候群は、腕神経叢(わんしんけいそう)と呼ばれる神経群の圧迫によって発症する疾患です。 胸郭出口症候群は首が長い方・なで肩の女性・やせ型の男性といった身体的特徴をもつ方の発症率が高い一方で、日常生活において座っている時間が長い方でも発症リスクが高まります。 また、腕を上げ続けることによって痛みやしびれが悪化する点が特徴で、筋肉の緊張や鎖骨の動きによって腕神経叢が圧迫され肘の下や指先に痛みを発生させることもあります。 そのため、腕を上にあげている時間が長い美容師・理容師の発症率も高い傾向にあります。 肘から下の腕が痛い時の対処法 腕(肘から下)の痛みは自分で対処するよりも病院を早期に受診する方が確実かつ効果的に対処できます。しかし、痛みに我慢できる程度であれば「仕事や子どもの世話などの都合で様子を見てから」とお考えの方も多いことでしょう。 そこで本項目では、腕(肘から下)が痛いときの対処法をまとめて紹介します。 ストレッチ 寝起きに痛みを感じる場合や、重だるさを感じる場合は、腕の筋肉が温まっていないことで痛みを感じている可能性があります。 そんな腕の痛みや、だるい時におすすめしたいのがストレッチです。 あくまで気持ち良いと感じられる程度のストレッチで十分です。痛みが酷くなるほど強く、あるいは繰り返して行う必要は全くありません。 たったこれだけで肘から下の腕の筋肉をほぐせます。 片方が終わったら反対側も同様に伸ばしてください。血行が促進され、筋肉が少しずつ温まり痛みの解消につながります。 繰り返しになりますが、痛みが酷い場合の無理なストレッチはNGです。強い痛みを感じた際には速やかに医療機関を受診しましょう。 テーピング 仕事や作業などでどうしても腕を動かさねばならない方にはテーピングが効果的です。 上手に活用できれば、痛みを軽減しつつ腕をスムーズに動かすことも可能です。 また、ブレスレットをはめるようなテーピングもおすすめです。 あくまでも、テーピングは痛みを軽減する補助的な役割に過ぎません。ストレッチ同様、痛みが続くようであれば医療機関を受診しましょう。 背骨のゆがみを取る 頚椎ヘルニアや頚椎症などの神経症状はもちろん、前腕の筋肉疲労が原因で起きている痛みには背骨のゆがみを取ることが有効です。 根本となる背骨のゆがみが矯正されれば肩甲骨の動きも自然と改善され、前腕にかかる負担も大幅に軽減できます。 痛みのある部分だけを治療してもなかなか良くならない場合は、背骨といった根本的な部位のアプローチが必要と覚えておきましょう。 薬物療法を使う あまりにも強い痛みの場合は、痛み止め(消炎鎮痛剤)やビタミン剤の服用といった薬物療法も選択肢のひとつです。 症状によってはすぐに効果を感じられないこともありますが、とにかく痛みを解消したい際に有効な治療法です。 肘を温める 筋肉の緊張やオーバーユースによって出ている痛みに対しては肘を温め、血流を促すことで痛みの緩和につながります。 ホッカイロをあてておくだけでも良いですし、お風呂でよく温まることも効果を発揮します。 また、時と場所を選ぶケアなので実施する環境には注意しましょう。たとえば、クーラーの風があたってしまうと痛みが悪化する可能性もあります。 専門医に相談する 筋肉の損傷・靭帯の損傷・神経症状なのか自分で判断できない場合は専門医に相談してください。ひとまず整形外科の受診を推奨します。筋肉の疲労蓄積が原因の場合は安静処置で完治するかもしれませんが、靭帯損傷や神経症状の場合は悪化してしまうことも考えられます。 また、痛みをかばいながら行動してしまうと、肩こりや腰痛といった二次的な疾患を発症してしまいます。 腕(肘から下)の痛みに悩む方からよくある質問 この項目では、腕(肘から下)の痛みに悩む方からよく寄せられる質問とその回答をまとめました。これらの情報を参考に、適切な対処法を見つけてください。 肘から下が急に痛くなったらどうすれば良い? 肘から下の腕が急に痛くなった場合、まず考えられる原因と適切な対処法の把握が重要です。 激しい痛みや、腫れ・変形が見られる場合は骨折や脱臼の可能性があるため、すぐに医療機関を受診してください。 軽度から中程度の痛みの場合は、以下の対処法を試してみましょう。 1.RICE処置:Rest(安静)・Ice(冷却)・Compression(圧迫)・Elevation(挙上)を行います。とくに、冷却は炎症を抑える効果があります。 2.痛み止めの使用:市販の消炎鎮痛剤を服用したり、湿布を貼ったりすることで痛みが和らぎます。 3.動作の制限:痛みを感じる動作を避け、腕を休ませることが大切です。 4.ストレッチ:痛みが和らいできたら、軽いストレッチを行い、血行を促進させましょう。 外側からくる肘下の痛みの原因は? 外側からくる肘下の痛みで代表的な原因は上腕骨外側上顆炎(テニス肘)ですが、他にもさまざまな要因が考えられます。 これらの症状は、似たような痛みを引き起こすため自己診断が難しいです。 痛みが長引く場合や、日常生活に支障をきたす場合は整形外科医の診断を受けることをおすすめします 腕(肘から下)が痛い原因を特定し適切な対処を行おう 原因不明の痛みが急に発症したり、徐々に悪化している場合は整形外科やスポーツクリニックといった病院を早期に受診することが重要です。 疾患によっては、痛みのある局部を集中的に治療しても改善しないケースもあります。 当院でもメールやオンライン相談を受け付けているので、ご気軽にお問い合わせください。
2019.04.13 -
- ゴルフ肘
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低周波治療器は、電気刺激を利用して筋肉の痛みをやわらげる医療機器のことです。パッドを貼って微弱な電流を体に流して治療を行います。 肘の外側に痛みが生じるテニス肘にも低周波治療は有効で、症状の緩和に役立つ可能性が高いです。 そこで本記事では、テニス肘に低周波治療器を使う方法や併用がおすすめの治療法について詳しく解説します。低周波治療器を有効に活用して、テニス肘の痛みをやわらげてください。 テニス肘における低周波治療器の貼り方 テニス肘(上腕骨外側上顆炎)は、上腕骨の遠位部に位置する外側上顆で炎症が起きて発症します。 低周波治療器は、痛みを感じている部分に貼るのが重要なので、テニス肘の症状を緩和したい場合は肘の外側に貼ります。 炎症が強い急性期には適していない場合が多く、症状が落ち着いてきた亜急性期から慢性期に使用しましょう。 治療前に必ず医師の診断を受け、適切な治療法と時期を判断してもらうのが重要です。電気刺激を行うと以下の効果が得られます。 ・血流が良くなり、疲労物質の排出が促進される ・筋肉の緊張が緩和される ・外側上顆や内側上顆への負担が軽減される テニス肘の治療方法【低周波治療器以外】 テニス肘の治療法として、以下の方法も効果的です。自分の状態に合わせて取り入れてください。 ・ストレッチを行う ・冷やす・温める ・病院で温熱治療を受ける ・運動療法を行う ・患部をマッサージする ・整体に通う ・ステロイド注射を打つ ・手術を受ける ・テニスエルボーバンドを装着する ストレッチを行う テニス肘は前腕の筋肉が緊張したり過度な負担がかかったりして発生します。筋肉が硬くなっているため、前腕の筋肉を伸ばすストレッチが有効です。 テニス肘の場合はとくに手首の伸筋群(前腕)を入念にストレッチしましょう。肘を伸ばした状態で、手首を掌側(手のひら)に反対の手で手首を曲げると手首の伸筋群のストレッチが出来ます。 逆に、手首を伸展方向に他動的に曲げると前腕の屈筋群のストレッチが出来ます。どちらのストレッチも、肘の関節が伸びている状態で行ってください。 前腕の屈筋群も伸筋群も、肘関節と手関節をまたぐ筋肉なので、肘が伸びていないとストレッチ効果が半減します。 冷やす・温める テニス肘の症状に対するケアは、状態によって異なります。 自宅で患部を温める場合は以下のケア方法がおすすめです。 ・お風呂でゆっくり温まる ・電子レンジで温めた蒸しタオルを患部に当てる ・カイロを活用する また、慢性期では患部を冷やさないよう注意が必要です。長袖を着用したり、上腕から前腕まで覆うサポーターを使用したりするのも効果的です。 いずれの場合も、症状の程度や経過によって適切なケア方法が異なるため、必ず医師の診断を受け、指示に従いましょう。自己判断でケアを行うのではなく、専門家のアドバイスを受けながら、症状に合わせた適切な対応を心がけてください。 病院で温熱治療を受ける 自宅で患部を温めるだけでなく、整形外科や接骨院などで受けられる温熱療法も効果的です。 筋肉を温めるという点ではまったく同じですが、温熱治療器を使えば芯の部分からしっかり温められます。赤外線治療器なら、体表面よりも深部を温められるため、効率的です。 さらに、ホットパックという道具を使うと温度を一定に保てるので、自宅で行うよりもよく温まります。 運動療法を行う 肘関節の屈曲や伸展、手関節の屈曲や伸展、手指の屈曲や伸展といった動作をスムーズに行うために、運動療法を受けるのも効果的です。運動療法は患部外を含めた練習動作も行います。 スポーツにおける体の動かし方が間違っているとすぐに再発してしまいます。また、テニス肘やゴルフ肘の痛みが軽減してからは、筋力強化も重要です。 前腕の屈筋群と伸筋群、肘の屈曲動作に関わる筋肉を強化すると、テニス肘やゴルフ肘の再発を予防できます。最初はあまり大きな負荷でやらずに、500mlのペットボトルを上げ下げする程度の運動がおすすめです。もし、痛みや違和感を感じた場合は、直ちに運動を中止し、医療専門家に相談しましょう。 患部をマッサージする 前腕の屈筋群や伸筋群をマッサージしたり、上腕・肩甲骨周辺のマッサージをしたりするのも重要です。マッサージによって筋肉の緊張を取り除き、外側上顆にかかる牽引力を軽減できます。 肩甲骨周りの動きが制限されると肩から指先にかけて負担がかかるため、上腕や肩甲骨周辺までマッサージを行います。 マッサージをあまりにも強い力でやりすぎると、かえって自分の体を守ろうとして筋肉が硬くなる可能性もあるため、マッサージが強ければ強いほど良いわけではありません。 整体に通う テニス肘の治癒を早くするために、全身のバランスも整えましょう。背骨の歪みによって、前腕に大きな負担をかける場合があります。 テニス肘が発症する理由は、単に前腕の屈筋群や伸筋群の使い過ぎだけでなく、体のバランスの崩れも考えられます。 たとえば猫背やストレートネックなど、肩甲骨の動きが悪くなるような姿勢だと、上肢全体の動きが悪くなります。通常よりも前腕の屈筋群や伸筋群に大きな負担をかけるので、テニス肘のリスクが高まるのです。 肘や前腕の治療を集中的に行っても痛みがなかなか軽減しない場合は、医師に相談した上で、姿勢や体全体のバランス評価を受けることを検討しましょう。医師の指示のもと、理学療法士や整体師など他の専門家の助言を得ると、より包括的なアプローチが可能です。 早期治癒と再発予防を目指す場合は、医師の診断と指示に基づいて、適切なリハビリテーションプログラムや姿勢改善エクササイズを取り入れるのが効果的です。 ステロイド注射を打つ テニス肘は、上腕骨外側上顆炎とも言われており、肘の外側に痛みが出る病気です。痛みが強い場合はステロイド注射をする場合もあります。 ステロイド注射は頻繁に打つと肘の腱が弱まるため、打てる回数が決まっています。打てる回数は年に3~4回程度で、1回目の注射から3カ月間の期間を空けてください。 ステロイド注射は即効性があり、数日から数週間効果が持続します。湿布などで痛みを取り除けず日常生活に支障を来す場合は、医師に相談してみましょう。 手術を受ける テニス肘は、症状が重症化すると手術が必要になる可能性があります。テニス肘は進行すると腕を曲げきれない、伸ばしきれないなどの症状が出るケースがあります。 症状がでるとスポーツはもちろん、日常生活にも大きな支障をきたしかねません。そのため、症状が進行した患者さんには、手術による治療が勧められています。 テニス肘になりやすい人の特徴 テニス肘になりやすい人には以下の特徴があります。テニス肘を再発予防するためにも、ぜひ押さえておきましょう。 ・テニス初心者 ・肘以外に痛みを抱えている人 ・姿勢が悪い人 テニス初心者 初心者の場合、ラケットのスイング動作を上肢の力に頼って行う人が多いです。 長年経験している方や、スポーツが上手い方のは、体幹の力を上手く使って体全体を回転させて打ちにいけますが、出来ないうちは肘や手首に負担がかかります。 結果的に外側上顆に付着する筋肉へと負担が集中するため、痛みを発症しやすいです。 肘以外に痛みを抱えている人 肩や腰など、前腕以外に痛みを抱えている人はテニス肘のリスクを高めてしまいます。テニスは回転動作を行うスポーツのため、腰に不安があると体の回転が甘くなります。 その分パワーを発揮するには上肢の筋力を発達させなければなりません。その結果前腕に力が入り、テニス肘を発症しやすくなってしまうのです。 日常生活の中でも、肩に痛みがあれば腕が上がりにくくなります。例えば腕を上げて行わなければならない洗濯物を干す動作をすれば、前腕に余計な負担をかけてしまうでしょう。 なお肘だけを治療しても改善に時間がかかります。肘以外の痛みの治療も並行して行いましょう。 姿勢が悪い人 背骨のバランスが悪い人は、肩を中心とした上肢の筋肉に慢性的な負担がかかり続けます。猫背などのように、横から見たときに頭の位置が体幹からかなり前に出ている人は、首から背中にかけて日常的に負担をかけ続けています。 その結果肩甲骨の動きが悪くなって肩の可動域が狭まり、肘から先にも疲労を溜めやすくなるのです。さらに姿勢が悪い人は背骨のしなやかさが失われている場合が多く、仰向けや横向きになったときに体が休まりません。 すると睡眠時の回復力が低下してしまうので、疲れが抜けにくく筋肉の疲労を蓄積してしまいます。疲労からテニス肘の症状につながるケースがあるので、姿勢の改善はとても重要です。 テニス肘と低周波治療器に関するよくある質問 テニス肘と低周波治療器に関するよくある質問にお答えしていきます。以下を参考にして、効果的に低周波治療器を使用しましょう。 ・低周波治療器は使いすぎるとどうなりますか? ・低周波治療器の効果的な使い方を教えてください ・テニス肘の安静期間はどのくらいですか? 低周波治療器は使いすぎるとどうなりますか? 長時間の治療や出力を強くしすぎた場合は、過剰な刺激になってしまい筋肉が疲労します。(文献1)心地良いと感じる強さで1カ所あたり3〜15分程度行いましょう。 症状に合わせて刺激時間を30分程度に長くしても問題ありませんが、人によっては疲れを感じやすいため注意が必要です。 低周波治療器の効果的な使い方を教えてください 低周波治療器を効果的に使うためには、正しいパッドの貼り方と電気刺激の強度を知ることが重要です。 パッドは痛みのある部位に貼りましょう。痛みのある部位に合わせて上下または左右で挟むように貼るとより効果的です。強さは強すぎず心地良いと感じる強さで実施してください。(文献2) テニス肘の安静期間はどのくらいですか? テニス肘は原因となった動作を行うと痛みが出るので、安静にする必要があります。 軽い場合は数週間程度で治りますが、症状によっては2〜3カ月ほど安静期間が必要です。重症になると、さらなる安静期間をすごさなければなりません。 テニス肘の可能性がある人は、早期に医療機関を受診して医師の診断を受けましょう。 低周波治療器を効果的に貼ってテニス肘の痛みを改善しよう テニス肘の治療法として有効な低周波治療器のパッドの貼り方や、それ以外に併用できるおすすめの治療法を解説しました。発症時期に合わせて適切に低周波治療器を使用すると、テニス肘の痛みの改善が期待できます。 テニス肘になりやすい特徴に当てはまっている方は、その他の原因の治療も必要です。自分ひとりで解決しようとせず、症状が重症化する前に早期治癒と再発予防に努めましょう。 手術を避けたい場合は、再生医療も選択肢の1つです。当院では来院前の無料相談をメールで受け付けておりますので、まずは一度ご連絡ください。 参考文献 文献1^ Yoon YS, Ko MH, Cho IY, Kim CS, Bajgai J, Jang HY, Kim KE, Lee KJ, Lee M. Effects of Personal Low-Frequency Stimulation Device on Myalgia: A Randomized Controlled Trial. Int J Environ Res Public Health. 2022 Jan 10;19(2):735. doi: 10.3390/ijerph19020735. PMID: 35055558; PMCID: PMC8775751. 文献2^ Chesterton LS, Lewis AM, Sim J, Mallen CD, Mason EE, Hay EM, van der Windt DA. Transcutaneous electrical nerve stimulation as adjunct to primary care management for tennis elbow: pragmatic randomised controlled trial (TATE trial). BMJ. 2013 Sep 2;347:f5160. doi: 10.1136/bmj.f5160. PMID: 23999980; PMCID: PMC3759476.
2019.04.12 -
- 肘
ぶつけた肘の痛みがなかなか治らない、曲げると痛みがあるといった肘に関するお悩みの声をよく耳にします。日頃から感じる何気ない肘の痛みは小さなストレスとして蓄積され、出来るだけ早く解決したい悩みの種かと存じます。 そこで本記事では、ぶつけた肘の痛みが治らない原因から関連する病態や対処法を紹介します。ぜひ参考にしていただき、肘の痛みから解放された快適な生活を取り戻しましょう。 ぶつけた肘の痛みが治まらない原因 肘の関節は、脂肪や筋肉で覆われていないためぶつけると痛みを感じやすい部位です。 ぶつかった際の衝撃にもよりますが、骨折を引き起こしている場合もあります。また、小児に多い上腕骨顆上(じょうわんこつかじょう)骨折や、肘の先端をぶつけておこる肘頭(ちゅうとう)骨折なども考えられます。 継続する肘の痛みは筋肉・骨の異常を疑う 肘をぶつけて曲げると痛い場合は、筋肉に異常が出ているケースと骨折など器質的な異常が出ているケースが考えられます。 肘を曲げるための主な筋肉は上腕二頭筋や上腕筋で、これらの筋肉に炎症や打撲があれば肘を曲げたときに痛みが出るでしょう。また、肘の伸展に作用する筋肉の上腕三頭筋に異常が起きている場合も痛みが出ます。 骨に異常が出ている場合は、肘頭の骨折や上腕三頭筋付着部での炎症が考えられます。肘頭は上腕三頭筋の停止部でもあるので、肘を曲げることで骨片が無理に引き離されます。それが痛みを発生させる原因になるのです。 肘を曲げると痛い!考えられる病態一覧 肘をぶつけて曲げると痛い場合、筋肉が原因なのか骨が原因なのかを見極める必要があります。発生機序や症状から、考えられる病態と治療方法をご紹介していきます。 肘頭骨折 肘頭は尺骨の近位端部に位置する部位で、肘関節の大部分を構成しています。体表に近い部分まで骨が出ているので、ぶつけることで骨折が起こることも十分に考えられます。 肘を曲げると痛いのはもちろん、場合によっては肘の動作がかなり制限されます。伸ばす動作・曲げる動作がしにくくなるので、生活に支障をきたします。 肘をぶつけた後に肘頭部で強い痛みがある場合は、肘を動かさないよう安静にしてから整形外科を受診しましょう。 治療方法 肘頭の骨折では、保存療法と手術のどちらも考えられます。保存療法の場合はまず硬性材料によって1カ月以上の固定が必要です。ただ、肘頭骨折は固定が難しい骨折でもあり、偽関節を作りやすい部位でもあります。 固定には細心の注意を払い安静を守ります。骨癒合した後は、少しずつ肘の可動域を広げていくための物理療法・運動療法・手技療法が有効です。 手術の場合はプレートで骨片を固定します。当然ですが、保存療法よりもしっかり骨片が癒合するので、早期にリハビリを開始できるメリットがあります。 上腕骨顆上骨折 小児に多い骨折ですが、高齢者でも発症のリスクがあります。上腕骨の下端部の内側上顆や外側上顆よりも近位部で折れてしまう骨折です。 高いところから落ちて手をついたり、後ろ向きに転倒して手をついたりして発症します。 上腕骨顆上骨折を起こすと、明らかな変形を認め運動がかなり制限されます。曲げようとすると激痛が走るので筋肉の損傷とは違う痛みがでます。 治療方法 上腕骨顆上骨折は変形が著しいケースが多く、手術となることもあります。また、折れた骨片が深く入り込んで短縮してしまうため、牽引しながら治療することもあります。 手術をせずとも、保存療法による改善も可能ですが、ギプスでしっかりと固定されるのでしばらくは肘を使えなくなります。骨折が起きたときに神経や血管を圧迫したり、固定の仕方によって圧迫してしまったり、二次的な症状が起こることもあります。 小児の上腕骨顆上骨折では、変形したまま骨癒合してしまう内反肘という後遺症が残る可能性もあります。 テニス肘(テニスエルボー) テニス肘は、肘の外側で痛みが起こる症状です。テニスプレーヤーがバックハンドの際に肘の外側で痛みを訴えることが多いことからテニス肘と呼ばれており、正式には外側上顆炎や肘外側の側副靭帯の損傷を指します。 肘をぶつけたことで痛みを発生しますが、1回の外力によってテニス肘を発生させることは稀です。よほどの大きな外力で肘関節に捻りが加わると側副靭帯の損傷を起こしますが、多くは軽微な外力の繰り返しで受けるダメージ蓄積が要因です。 テニスをはじめとするスポーツ競技はもちろん、パソコンのタイピングや、包丁をよく使う料理人なども発症する可能性があります。 治療方法 テニス肘の基本治療は保存療法です。側副靭帯が損傷していない限りは、固定することはほとんどありません。痛みのある動作をなるべく避けて安静にすることが第一です。 前腕の回内や回外・肘関節の屈曲・伸展で痛みが出やすいため、日常生活が少し制限される場合もあるでしょう。 前腕の伸筋群にかかる負担や疲労を取り除くことが、早期治癒のカギです。マッサージやストレッチなど、自分でできるケアをしていくことも重要になります。 野球肘 野球肘とは、肘の内側側副靭帯の損傷や上腕骨内側上顆炎の総称です。 小学生や中学生の年代で、繰り返し投球動作で肘の内側に過度な負担がかかると発症することから野球肘と呼ばれます。 肘の内側についている靭帯・軟骨・筋肉・腱が損傷している状態なので、肘を曲げる動きで痛みが出ます。手首の屈曲や手指の屈曲など、前腕の屈筋群に負担をかけ続けると野球肘発生のリスクも高まります。 治療方法 骨自体に裂離骨折などが起きているケースは少なく、保存療法が一般的です。 野球をやっている場合は投球動作を中止し、安静が第一になります。上腕部の筋肉から前腕の屈筋群にかけての負担を減らすことが大切です。 肩甲骨の動きが悪いと代償動作として肘に負担がかかるので、再発の予防をするためには肩甲骨や背骨のゆがみから取り除いていかなければなりません。 変形性肘関節症 変形性肘関節症は男性に多い症状で、長年にわたる肘関節の酷使で肘に変形が起き、可動域制限や痛みを発生させる症状です。 スポーツ経験者や、重い物を持つなどの重労働を繰り返してきた方に発症のリスクがあります。 骨棘ができることで肘の関節面にある軟骨がすり減り徐々に変形していきます。場合によっては肘の屈曲可動域が大幅に制限されるので、日常生活に大きな支障をきたすケースもあります。 肘部管症候群と呼ばれる尺骨神経を圧迫する症状が特徴的です。ロッキングを起こすこともあります。 治療方法 日常生活にどの程度の支障をきたすかによって、手術・保存療法の選択が判断されます。 保存療法の場合は温熱療法や薬物療法、筋力トレーニングのリハビリを行います。手術の場合は、変形して出来た骨棘を取り除く施術となります。 関節リウマチ 関節リウマチは、手指など遠位部で炎症や痛みが起きることが多いですが、肘関節でも痛みを発生させることがあります。発生の原因がはっきりしておらず、何が誘因になっているのか不明な点も多いです。 病態としては免疫の異常であり、本来であれば病原菌などの侵害物に対して攻撃を行う免疫が、体の細胞に対して攻撃を行ってしまう現象です。 関節の組織を破壊してしまうため、肘で発症すれば曲げるときに痛みが出ますし、変形することもあります。 治療方法 薬物療法や運動療法が主な治療法です。 変形が進んでしまっている場合には手術も選択肢に入り、変形による血管や神経の圧迫を防ぎます。また、人工関節の置換術が行われることもあります。 肘を曲げて痛いときの対処法 肘を曲げた時に痛みが出るような場合に、自分でできる対処法にはどのようなものがあるでしょうか。 それぞれの対処法を詳しく解説します。 整形外科を受診する 肘に関する症状を精査するなら整形外科を受診してください。レントゲンやMRIを希望する場合は、大きな病院の中にある整形外科に行った方が確実です。 骨折が疑われる場合はもちろん、明らかに変形が起きている場合も精査が必要です。腫れが顕著な場合や肘がほとんど曲がらない状態であれば、骨折を含め器質的な異常が隠れているかもしれません。 接骨院を受診する 肘を曲げて痛い原因が筋肉の炎症や関節の動かし方にある場合は、接骨院や整骨院でも有効な治療を受けられます。 整形外科で精査してもらい、骨折や病気でないことを確認してから接骨院や整骨院を受診しましょう。物理療法・運動療法・手技療法などさまざまなアプローチが可能です。 整体を受ける 肘を曲げると痛い要因が、肩甲骨の動きや背骨のゆがみによって起きているケースもあります。姿勢が悪く肩甲骨の動きも悪ければ、必然的に肘にも負担がかかります。 肘自体の問題よりも、周りの機能によって二次的なダメージを溜めているケースもあるのです。肘関節に電気治療を行ったり、肘の動きを良くするような手技療法だけでは改善しません。 そのため、整体を受けて姿勢の改善から取り組むことが重要です。 温める 捻挫や打撲でない場合や痛みが出てから数日経過している場合は、温めることが有効なセルフケアになります。 温めることで血流が良くなり、損傷している組織の代謝も上がって回復力がアップします。サポーターを付けて冷やさないための工夫や、お風呂でしっかり温まるなど簡単なケアで十分です。 安静にする 早く治そうと思ったら安静にするのが一番です。 リウマチなど放置で症状が進行してしまう場合は別ですが、そうでない限り肘を休めて筋肉疲労・痛みの軽減を目指すことが先決です。 ただし、安静時にも肘まわりの筋力は低下しています。症状が改善し次第適度な運動を取り入れましょう。 再生医療を受ける スポーツによる障害や変形を伴った関節症など、肘に痛みが出る疾患はさまざまですが、痛みを取るには自己の自然治癒力を高めることが重要です。 有効なアプローチとして近年注目を集めているのが再生医療です。自身の血液や脂肪を用いて「自然治癒力=再生する力」を高める治療法となっています。 血液を用いたPRP(多血小板血漿)療法は、傷を修復させる血液成分を抽出して患部に注射します。スポーツ選手がケガをした際、手術をせずに早期復帰を目指す治療法としても取り入れられています。 また、脂肪を用いた脂肪由来幹細胞も有効な再生医療です。幹細胞とは臓器・皮膚・骨・筋肉・靭帯などさまざまな細胞に分化する能力があります。 自身の脂肪から幹細胞を培養し、それを体内に戻すことで自然治癒力が向上します。この治療法は患部に注射する方法だけでなく、点滴により全身に幹細胞を届けることも可能です。 肘をぶつけて痛みが発生しやすい箇所 肘をぶつけて痛みが発生しやすい箇所は、、肘の背面に位置している尺骨の肘頭という部位です。 後ろ向きの転倒や、肩関節の伸展動作による打撲が主な要因です。肘頭は筋肉や脂肪で覆われておらず、打撲や骨折が起こりやすい部位です。 また、上腕骨下端にある外側上顆や内側上顆もぶつけやすい部位のひとつです。外側上顆・内側上顆は骨が少し外側に出っ張っているため、皮膚の上からでも容易に触わることが出来るくらい体表に近くなっています。そのため、転倒などによるダメージをもろに受けやすい特徴があります。 肘の痛みから全身が痛くなることもある 「肘の痛みだからちょっと様子をみよう」「我慢できるから病院に行かなくて良いだろう」といった油断は禁物です。 初期の痛みはわずかかもしれませんが、、知らず知らずの間に肘をかばって生活するようになり、肩や背中に負担をかけてしまいます。そこから派生するように全身の疾患・痛みにつながっていくのです。 そのため、自己判断や油断は避け、違和感を感じたら医療機関を受診するよう心がけましょう。 継続する肘の痛みは当クリニックにご相談ください! リペアセルクリニック大阪院は、第二種・第三種再生医療提供計画を厚生労働省に提出し受理された厚生労働大臣許可医療機関です。 当院では来院前でも「メール相談」を受付けています。継続する肘の痛みにお悩みの方はどうぞ事前にご相談ください。
2019.04.11 -
- 足底腱膜炎
足の裏が痛いのは足底腱膜炎が原因か?その治療法や予防法を確認 長く歩いた次の日や、慣れない靴を履いたときなど、急に足の裏が痛くなることもありますよね。転倒や打撲でないにも関わらず、足の裏が地面に着くだけで痛い場合、いくつかの原因が考えられます。今回は、足の裏が痛い場合に疑うべき病態と、その治療方法や対処方法をご紹介していきます。 足の裏はアーチ構造になっている 足の裏は、いわゆる土踏まずと呼ばれるアーチ構造があります。足の裏側を踵(かかと)側からつま先に向かって作られる縦アーチと、母指球から小指球に向かって伸びる横アーチの二つの構造があり、もっと深くみていくと縦アーチは内側と外側で分かれています。これも含めると、全部で3種類のアーチ構造によって体を支えている仕組みです。 足が接地したときの衝撃吸収を担っている 足の裏のアーチ構造は、歩行時やジャンプの着地時など、足の裏から伝わる衝撃を吸収する役割を持っています。アーチが正常に作られていることによって、足の裏から背骨に直接衝撃が伝わるのを防いでいるのです。もしこのアーチ構造が何らかの原因で機能しなくなった場合、足を接地したときの衝撃が直接身体に伝わり、様々な不調をきたします。脛骨で起こる疲労骨折や、臀部が緊張することによって起こる坐骨神経痛、慢性的な腰痛、肩こり、股関節痛など様々な症状が考えられます。もし背骨付近で慢性的な症状があり、どんな治療法を試しても改善が見られない場合、アーチ構造を含め足部に問題があるのかもしれません。 足の裏のアーチは筋肉や腱によって出来ている 人間にとって非常に重要なこのアーチ構造ですが、足部の筋肉やその腱によって支えられています。これを足底腱膜と呼びます。主に足趾や足関節の屈筋群で、中には下腿部から走行してきている筋肉もあります。そのため、これらの筋肉が硬くなったり疲労が溜まったりすれば、アーチ構造を支える力が低下してしまいます。また、足関節や膝関節、足趾の関節の使い方が悪ければ、アーチ構造が破綻しやすくなります。足の裏のアーチが機能しなくなってくると、偏平足や浮指などの外見的な症状も現れてくるのです。 足の裏のアーチに問題が起きるのはなぜ? 幼少期に裸足で生活する機会が多い程、足の裏のアーチ構造が構成されやすいと言われています。近年では、室内でもスリッパを履くなど足の裏を直接地面に着ける機会が少なくなっているので、足の指でしっかり地面を掴まなくても歩けてしまうことが問題視されています。足の裏のアーチ構造を構成している筋肉を使わなくても生活が出来てしまうので、だんだんと筋力が低下し、偏平足や浮指になってしまうのです。また、骨盤の歪みや背骨の歪みによっても、足の裏にかかる負担は増えます。例えば骨盤の歪みによって股関節の可動域が狭くなると、歩行時にも膝関節や足関節が普段よりも大きな動きで股関節を代償しなければならなくなります。その状態が長期間続くと、足の裏が悲鳴をあげるのです。 足の裏が痛いときに考えられる症状 激しいスポーツ活動を繰り返しているわけでもなく、転倒した記憶もなく、激しく打ち付けたことも無いのに足の裏が痛いというとき、まず初めに考えられるのが足底腱膜炎です。足底腱膜炎の発生頻度は多いので、詳しく解説していきます。 足底腱膜炎とは 足の筋肉を使いすぎる、または上手く稼働出来ていないことによって足底腱膜で炎症を起こす病態です。足底腱膜は足の裏全体を覆う筋肉や腱で構成された膜のことで、足の裏のアーチ構造の大きな役割を担っています。足底腱膜炎であるということは、足関節を動かす筋肉、更には足の指を動かす内在筋といった細かい筋肉も含めて負担がかかっていることが考えられます。多くは一回の外力で足底腱膜炎を発症するというよりも、長く歩くことが続いたり、ハイヒールなど慣れない靴で長期間過ごしたりすることによって徐々に痛みが起こります。 足底腱膜炎の症状 足底腱膜炎の主な症状は足の裏の痛みで、歩行時や立ち上がる動作など、普段なら何でもない動作で痛みが発生します。足の裏を地面につけて少し荷重するだけでも痛いので、日常生活に大きな支障をきたします。安静時でも足の裏が痛むこともあり、少し触れるだけでも痛みが増悪するケースも稀ではありません。痛みをかばいながら行動することになるので、そこから身体全体のゆがみを生み、逆足の足底腱膜炎や膝痛、腰痛などに発展することもあります。足底腱膜炎を放置しておくと、足の裏のアーチによる衝撃吸収が機能していないので、疲労骨折になることもあります。中足骨や脛骨で起こることもあるので、足の裏の痛みだけでなく他の部位にも痛みが広がり出したら早急に治療が必要です。 足底腱膜炎の原因 足底腱膜炎のリスクが高いのは、元々偏平足の方や、外反母趾、浮指になっている方です。合わない靴など、日常生活で足趾や足関節が上手く使えていないことも足底腱膜炎の原因になります。また、女性の場合は男性よりも足底腱膜炎の発生リスクが高いと言えます。それは、妊娠が出来るという女性の特徴が関係していて、ホルモンの作用によって足の靭帯が男性に比べて緩みやすくなっています。そのため足底腱膜で支える足の裏のアーチ構造が崩れやすく、外反母趾や偏平足になりやすいのです。ある時期だけ歩く距離が異常に長くなったり、立っている時間が長いことが続いたりということも、足底腱膜炎を助長する一因です。 足底腱膜炎の治療 足底腱膜炎は保存療法が選択されます。炎症であるという特性上、患部を安静にすることが第一ではあります。しかし、足は通常生活をしていれば完全に安静にすることは難しく、治療が長期化しやすいという側面もあるので注意が必要です。 電気治療 低周波や干渉波など、電気治療が施されることが多いです。筋肉への負担を減らし、血流を良くして足底腱膜の弾力性を取り戻すことが狙いです。電気治療だけで足底腱膜炎を治癒させることは難しいですが、治癒までの期間を少しでも短くするためには有効な手段の一つです。 マッサージ 足底やふくらはぎなど、下腿部のマッサージで筋肉をほぐすことも有効です。要はダメージの蓄積によって起きている症状であり、簡単な言葉で言い換えれば足底腱膜炎は足の使い過ぎということです。足の裏を押すと痛いこともあるので、痛みがある部分は避けた方がいいでしょう。 ストレッチ 足の裏やふくらはぎのストレッチが、足底腱膜炎の改善や予防に効果的です。足の指を足の甲側に反らせるようにストレッチすると、足底腱膜がよく伸びます。筋肉の緊張を緩和することで足の裏の痛みが軽減するので、日ごろからストレッチを習慣にしておくと治癒した後の予防に繋がります。 整体 背骨のゆがみを矯正することや、骨盤のゆがみを正すことで足の使い方が改善され、結果的に足底腱膜炎の改善にも繋がります。むしろ、足の裏が痛いからといって足ばかりを治療するのではなく、体全体のバランスも一緒に整えた方が治りも早いのです。単純に、体のバランスが整えば重心が改善され、足の裏の負担も減ります。 足底腱膜炎の予防方法 足にあった靴を履く サイズが大きすぎる靴を履いていると、靴が脱げないように無意識のうちに力が入り、足底腱膜を構成している筋肉に余計な負担をかけることになります。それが足底腱膜炎を助長するので、日ごろから自分に合ったサイズの靴を履くことが効果的な予防になるのです。 足首を良く回しておく お風呂に入った後などに、足首を良く回すだけでも足底腱膜炎の予防に繋がります。足首の動きを良くしておくことで、足底腱膜を構成している筋肉の負担を減らせるのです。逆に足首が硬くなると、指を動かす筋肉などが普段よりも過剰な筋力発揮をしなければならず、足底腱膜炎のリスクを高めてしまいます。 骨盤の後傾を防ぐ 椅子に座っているときなどに、背中が丸くなって骨盤が後ろに傾くような姿勢を続けていると、足底腱膜炎のリスクを高めてしまいます。これには理由が二つあり、一つは、骨盤が後ろに傾くことで股関節の動きが悪くなり、歩行などの際に足首や足趾を動かす筋肉にかかる負担が増してしまうからです。もう一つは、骨盤の後傾と共に股関節前側の筋肉が硬くなり、下肢全体の血流が悪くなります。血流が悪くなれば筋肉も硬くなりやすく、また代謝も落ちるので筋肉に溜まった疲労が抜けにくくなります。その結果足底腱膜の筋肉に慢性的なダメージを蓄積してしまい、徐々に足底腱膜炎に移行していくことになるのです。 足底腱膜炎以外で考えられる足の裏の痛み 足の裏で痛みが起こるのは、100%足底腱膜炎というわけではありません。その他にも考えられる症状をご紹介していきます。 行軍骨折 疲労骨折の一つで、足の第二中足骨や第三中足骨で起こります。一回の大きな外力によって中足骨が折れてしまうわけではなく、激しいスポーツ活動の長期間の継続や、長距離ランニングの継続など、細かい負担が継続的にかかってダメージが蓄積した結果起こる骨折です。一番は足の甲で痛みが出ますが、接地時にも痛みが出るので足の裏の痛みとして感じられることもあります。 ジョーンズ骨折 第五中足骨の基底部で発生する疲労骨折のことで、再発しやすいという特徴があります。足の背面や側面の痛みと共に、足の裏側で痛みを感じることもあります。圧痛があるので、足をついたときにも痛みを発生します。スポーツ活動で起こることがほとんどなので、治りかけからスポーツ再開をして痛みを再発させるというケースも少なくありません。 足の裏の痛みが出たらどうすればいい? 足の裏の痛みは、多くの場合明確な原因がなく急に襲ってきます。もし朝起きた時に急に足の裏が痛かったらどうすればいいのか、対処法をご紹介していきます。 整形外科を受診する 足底腱膜炎なのか、骨自体で何か問題が起きているのか、精査できるのは整形外科です。レントゲンを撮ったり触診したりして、確定的な診断を出してもらいましょう。もし骨折など骨の異常であった場合は、固定や安静が必要です。足底腱膜炎だった場合は、リハビリなど長期的な計画で治療をしていく必要があるでしょう。 接骨院・整骨院の受診 骨折だった場合、骨が戻るまでは固定と安静しかありません。しかし、足底腱膜炎だった場合は接骨院や整骨院でも有効な治療ができます。もちろん、いきなり接骨院や整骨院に行って治療を開始するのでも良いです。しっかり骨に異常が無いことを確認したい場合は、まず整形外科に行ってから近くの通いやすい接骨院に行ってください。罨法や手技療法、運動療法など様々な角度から治療が行えるでしょう。必要があれば、テーピングなどもしてもらえます。 温める 足底腱膜炎である場合、体が温まることで足の裏の痛みが軽減することもあります。お風呂でしっかり温まることはもちろん、足湯をする、電子レンジで蒸しタオルを作って足の裏にあてるなども効果的です。 足の裏の痛みは全身に影響する 足の裏は体全体を支える重要な器官です。痛みをかばうことで、知らず知らずのうちに全身に悪影響を与えてしまいます。二次的な症状を起こさないためにも、早めに治療を開始してください。 お近くに再生医療やスポーツ医療についての専門医がいない方へ リペアセルクリニックは、第二種・第三種再生医療提供計画を厚生労働省に提出し受理された厚生労働大臣許可医療機関です。当院では来院前でも「メール相談」を受付けています。どうぞ事前にご相談ください。 以上、足の裏が痛いのは足底腱膜炎が原因か?その治療法や予防法を確認について記しました。参考になれば幸いです。 メール相談・お問い合わせフォームはコチラ 監修:リペアセルクリニック 当院の治療についての考え方や再生医療についての内容もお読みください スポーツ外傷・障害の痛みに対する当院の治療 変形性股関節症に対する当院の治療 再生医療とは PRP(多血小板血漿)療法とは ご相談から治療までの流れ
2019.04.10 -
- テニス肘
- スポーツ医療
- 肘
日常生活で特に思い当たる原因がないのに、ジンジンとした痛みや違和感を抱える方は少なくありません。 このような痛みが続くと、普段の動作に支障をきたしたり、不安を感じたりすることもあります。 本記事では、肘の外側が痛む原因として考えられる上腕骨外側上顆炎(テニス肘やスマホ肘)や神経痛について詳しく解説します。 肘の痛みを抱える方が少しでも安心して対策を講じられるよう、お役立ち情報をお届けします。 何もしてないのに肘(外側)が痛む原因 何もしていないのに肘の外側が痛む主な原因は、上腕骨外側上顆炎(じょうわんこつがいそくじょうかえん)と呼ばれる肘の病気です。 別名でテニス肘やスマホ肘とも呼ばれ、老若男女問わず発症する可能性があります。 上腕骨外側上顆炎の概要や治療法、予防法について詳しく解説します。 上腕骨外側上顆炎(テニス肘・スマホ肘)とは 上腕骨外側上顆炎とは、別名でテニス肘・スマホ肘と呼ばれる病態です。上腕骨にある外側上顆で炎症が起きる症状を指します。 上腕骨外側上顆炎の根本的な原因は、肘関節よりも前腕の筋肉群で生じる過度な負担です。手関節や手指の伸展動作に関わる筋肉で、前腕の伸筋群と呼ばれます。 前腕の伸筋群は上腕骨の外側上顆から前腕を通過し、手関節の先まで通っています。そのため、前腕の伸筋群を使いすぎによるダメージの蓄積が外側上顆にも負担をかけているのです。 ぶつけていないのに肘が痛くなるのはなぜ? 手関節や手指を繰り返し動かすことで前腕伸筋群が伸張を繰り返し、その牽引力が外側上顆の一点にかかります。 これが長時間・長期間続くことで徐々に外側上顆が炎症を起こし、結果的に伸ばすと痛い・曲げると痛いといった何もしなくても肘の外側に異常が生じるのです。 前腕の筋肉を酷使するテニスプレーヤーに多い症状であることから、テニス肘と別名がついています。 また、長時間にわたる操作でスマホを持つ(支える)前腕の筋肉が硬直し、外側上顆に負担をかけることからスマホ肘とも呼ばれています。 そのため、前腕をよく使うスポーツ選手はもちろん、何気ない日常生活から万人が発症します。 肘関節の構成 肘の関節は、上腕骨・前腕の橈骨(とうこつ)・尺骨(しゃっこつ)の3つの骨で構成されています。 肘関節を詳細に分類すると3つの関節が1つの関節包の中に納まっています。 肘関節を動かす最も大きな筋肉は上腕二頭筋です。肘関節の屈曲と前腕の回外の運動に関わっています。 上腕二頭筋は肩甲骨から上腕を通過して前腕まで通っているため、肩関節の異常が肘関節に影響する可能性もあります。 また、肘関節伸展に関わる主な筋肉は上腕三頭筋です。これも肩甲骨から上腕を通過して前腕まで通っています。 肩関節から肘関節にかけてコントロールする筋肉なので、肩関節の使い方次第で肘関節に影響を及ぼします。 上腕骨外側上顆炎の症状 上腕骨外側上顆炎はどなたでも起こり得る症状ではありますが、30~50代の女性の発症率が高い傾向にあります。筋力の弱さやホルモンバランスが関係しているとされています。 外側上顆炎は伸筋群が原因であるにも関わらず、手関節の伸展や手指の伸展以外の動作でも肘の外側に痛みを発生させます。 日常生活の動作では、以下の状況で痛みを感じます。 打撲や捻挫のように、一度の外力で急に外側上顆炎になることよりも、日常生活の動作の中で少しずつ負担を蓄積して発症するケースが多いのが特徴です。 そのため、治療が長期間に及ぶことも珍しくありません。 上腕骨外側上顆炎の治療方法 医療機関での上腕骨外側上顆炎の治療方法を紹介します。 上記の治療方法は、症状の程度や患者さんの状態に応じて選択されます。 とくに、再生医療は組織の修復や回復を促進する方法として、効果が期待されています。 1.電気治療 痛みがある肘の外側・前腕の筋肉を中心に行う、低周波や干渉波の電気治療が行われることがあります。 主な目的は前腕の筋肉で起きている緊張を取り除くことと、血流を良くすることです。 しかし、上腕骨外側上顆炎は炎症かつ筋肉の緊張による牽引力が原因であることから、稀に電気治療によって悪化してしまうケースもあります。 電気刺激が強すぎると、かえって自分の体を守ろうとする防衛機能が働き、逆に筋緊張を強めてしまうのです。 同反応が見られた場合は、電気刺激を弱めるか別の保存療法を選択します。 2.手技療法 前腕の筋肉をマッサージやストレッチでほぐすことが主な手技療法です。 上腕骨から指先まで通っている伸筋群もあるため、前腕だけでなく手指の動きを良くすることにもつながります。 手指の動きが良くなれば必然的に外側上顆の負担は減り、肘の外側の痛みが改善する仕組みです。 3.温熱療法 外側上顆炎の患者の中には、お風呂に入った後に少し痛みが軽減する方もいます。 これは、温められることによって血流が良くなり、前腕伸筋群の緊張が和らいだことが要因です。 そのため、赤外線などで外側上顆から前腕にかけて温熱療法を行いつつ、手技療法や運動療法をあわせて行うことで改善を早めます。 4.運動療法 運動療法は、肘関節の正しい動かし方を身につけたり、手関節や手指関節の動きをスムーズにしたりとさまざまな療法が存在します。 もちろん、痛みの程度を見ながら無理のない範囲で徐々に行うことが大切です。 肩関節や肩甲骨の動きが間接的に肘関節に影響を及ぼすため、肩関節の動きを良くして可動域を広げることが外側上顆炎の治療において重要です。 5.背骨の矯正 背骨や骨盤のゆがみを改善することで、外側上顆炎の改善効果が期待できます。 矯正によって姿勢が整うと、肩甲骨や胸椎の動きが正しくスムーズになり、肩関節の可動域が広がります。 肩関節の可動域が広がることで、肘関節への負担が軽減され、結果として手関節や手指の動きがスムーズになるのです。 外側上顆炎の治療では、肘だけに焦点を当てるよりも、背骨のゆがみを含めた全身のバランスを整える方が早期の改善につながりやすいとされています。また、再発予防にも効果的です。 6.再生医療 再生医療は幹細胞や血液を活用して損傷した組織の修復や再生を促進する治療法です。 上腕骨外側上顆炎のような慢性的な炎症や組織損傷に対して、有効な治療方法の一つとして挙げられます。 再生医療は従来の治療法では改善が難しい症例にも効果が期待され、早期の症状緩和や機能回復が目指せます。また、自身の細胞を利用する再生医療は副作用が少ない点も特徴です。 肘の痛みが長引いている場合や、より根本的な治療を検討している方は、ぜひ当院へお気軽にご相談ください。 上腕骨外側上顆炎の予防方法 上腕骨外側上顆炎は一度なってしまうと治癒まで比較的時間がかかる症状であり、一度良くなった後も再発するケースが多いです。 そこでこの項目では、自分でできる上腕骨外側上顆炎の予防方法をご紹介します。 肘の痛みにお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてください。 1.ストレッチ 前腕の伸筋群に疲労が蓄積することで外側上顆炎のリスクが高まることから、こまめな前腕のストレッチが予防に有効です。 外側上顆炎を発症した初期はストレッチの動作でも痛みを感じることがあるので痛みが軽減してから習慣にしてください。 やり方は簡単で、手関節の屈曲と伸展方向にゆっくりと伸ばすだけです。 しかし、伸筋群のみのストレッチでは外側上顆炎の再発予防としては不十分です。 屈筋群に緊張があるままだと、手関節伸展がしにくくなり、余計な筋力を発揮させて伸展動作を行わなければならなくなります。 外側上顆の負担を増す原因になるので、屈筋群もあわせてストレッチしておくことが大切です。 2.肘と前腕を温める 冷えは筋肉の緊張を生みやすいので、基本は温めるようにした方が改善の助けになります。 お風呂でしっかり温まることはもちろん、電子レンジなどで蒸しタオルを作って肘の外側から前腕にあてておくだけでも良いセルフケアです。 安価な物でも良いので、肘全体を覆うタイプのサポーターをするのも冷え対策につながるためおすすめです。 神経痛によって肘の外側が痛むこともある! 首から上肢にかけて通っている神経が圧迫されることによって肘の外側で痛みを発生させている場合もあります。 この項目では、肘の痛みの原因となる神経痛の概要や治療方法についてご紹介します。 頚椎ヘルニア・神経痛とは? 神経を圧迫する主な原因の一つに、頚椎ヘルニアが挙げられます。 この疾患は、神経が圧迫されることでさまざまな症状を引き起こします。 姿勢の悪いデスクワーク、バイクの長時間運転などにより、頚椎ヘルニアになってしまうと上記のような症状が現れます。 また、姿勢の悪さから頸椎ヘルニアになった場合は、肩甲骨の内側や外側の痛みや首自体の痛みも同時に感じるケースが多くあります。 肘の外側の痛みに加え、体幹に近い部位に痛みが点在している場合は、神経症状が原因である可能性を考慮することが重要です。 頚椎ヘルニア・神経痛の治療方法 肘の外側で出る痛みが神経痛であった場合、肘の動きの改善や前腕・上腕のマッサージは根本的な治療にはなりません。 神経が発生している背骨から治療していく必要があります。 この項目では、頚椎ヘルニア・神経痛の主な治療方法を5つご紹介します。 1.薬物療法 痛み止めや、ビタミン剤が薬物療法として主に使用されます。 あくまでも薬物療法は鎮痛作用を促すためのものです。 完治にはつながりにくいものの、日常生活に支障をきたす辛い痛みを防ぐ補助的な目的で利用します。 2.温熱療法 神経痛においても温めることが有効な治療方法です。 血流が良くなる上に筋肉の緊張が取れるため、神経の圧迫の軽減につながります。 3.牽引治療 整形外科では、頚椎を牽引して治療することが多いです。 牽引により背骨全体の筋肉がストレッチされ、神経の通り道を広くすることに期待できます。 しかし、牽引治療だけでは完治に至らない場合が多いです。 4.整体 姿勢を改善して首の負担を取り除くことや、関節の動かし方を改善して頚椎から出る神経を圧迫しないような体作りをしていきます。 手術以外の方法の中でも有効な治療方法であり、早期改善と再発予防につながりやすいです。 5.手術療法 スポーツ選手など特別な事情がある場合を除いては稀な選択と言えますが、頚椎の手術も有効な治療のひとつです。 頚椎のシビアな場所だけに、一般的には最終手段として選択される治療方法です。 肘に痛みが生じている際のストレッチ 肘の痛みが生じている際には、適切なストレッチを行うことで症状の緩和が期待できます。 以下に、肘の外側および内側に効果的なストレッチ方法をご紹介します。 肘の外側に効果的なストレッチ 肘の外側の痛みを和らげたいときは、下記のストレッチを試してみてください。 ストレッチは無理をせず、痛みを感じない範囲で行いましょう。 肘の内側に効果的なストレッチ 続いては、肘の内側の痛みを和らげるストレッチです。 ストレッチを行う際は、無理のない範囲でゆっくりと行い、痛みが強くなる場合は中止してください。 また、症状が長引く場合は専門医にご相談ください。 肘が痛む際に自分でできる対処法はある? 肘の痛みを和らげるために、自宅で簡単にできる対処法をいくつかご紹介します。 対処法 効果と説明 サポーターの使用 肘を固定し、動きを制限することで負担を軽減。炎症や痛みの緩和が期待でき、作業や運動中に効果的。 湿布を貼る 消炎鎮痛効果のある湿布で炎症や痛みを緩和。冷感タイプは急性の痛みに、温感タイプは慢性的な痛みに適している。 テーピング 筋肉や関節をサポートして痛みを軽減。専門家に貼り方を教わると効果的で、運動や日常動作の負担を軽くする。 安静にする 痛みが強い場合は肘を安静に保ち、過度な動作を避けることで症状を悪化させない。負荷のかかる作業や運動を控える。 冷却または温める 急性の痛みにはアイスパックで冷却、慢性的な痛みには温める方法が有効。痛みのタイプに応じて使い分ける。 これらの対処法は一時的な痛みの軽減に役立ちますが、痛みが長引く場合や悪化する場合は、医療機関での診察を受けることをおすすめします。 何もしてないのに肘の外側が痛む方からよくある質問 肘の外側が何もしていないのに痛む症状について、多くの方が疑問や不安を抱えています。 そこでこの項目では、よくある質問に対して医師の観点から回答します。 これらの質問に対する正しい理解を深めることで、症状への不安を軽減し、適切な対応が取りやすくなります。 気になる症状がある場合は、自己判断せず早めに医療機関を受診しましょう。 何もしていない肘の痛みはガンの可能性もある? 結論から言えば、肘の痛みがガンである可能性は非常に低いですが、完全に否定はできません。 肘の痛みの大半は、上腕骨外側上顆炎(テニス肘)や神経痛によるものです。 ただし、痛みが長期間続く、急激な体重減少を伴うなどの場合はガンの可能性も考えられるため、専門医の診断を受けることをおすすめします。 ガン以外にも、関節リウマチなどの自己免疫疾患の可能性もあるため、早期発見・早期治療が重要です。 不安な症状がある場合は、まずは医療機関を受診し、適切な検査と診断を受けましょう。 ジンジン・ズキズキする肘の痛みはすべて神経痛やテニス肘? ジンジンやズキズキといった肘の痛みは、必ずしもすべてが神経痛やテニス肘が原因ではありません。 肘部管症候群・滑膜ひだ症候群・単純な筋肉の張りなど、考えられる疾患はさまざまです。 正確な診断と適切な治療のためには、症状の詳細な観察と医師による専門的な診断が重要です。 自己診断は避け、持続する痛みがある場合は整形外科をはじめとする医療機関を受診しましょう。 何もしていない肘の痛みは内側にも発症する? 肘の痛みは外側だけでなく、内側にも発症する可能性があります。 何もしていないのに肘の内側に痛みを感じる主な原因として、上腕骨内側上顆炎が考えられます。 この症状は、手首を曲げる筋肉や前腕の筋肉が肘の内側の骨(上腕骨内側上顆)に付着する部分で炎症を起こすことで生じます。 とくに、ゴルフやテニスのバックハンド、野球の投球動作など手首を曲げる動作を繰り返す人に多く見られます。 また、デスクワークなどで長時間同じ姿勢を取り続けることでも発症することがあります。 本記事で紹介した上腕骨外側上顆炎の内側版と覚えていただいても差し支えありません。 何もしてないのに肘の外側が痛む原因まとめ 肘の外側で起きる痛みは、肘や前腕で問題が起きている場合と頚椎など中枢に近い部分で問題が起きている場合の2種類があります。 両者は治療方法も異なるので、どこで問題が起きているのか見極めるのが大切です。 何もしていないのに発症する外側の肘の痛みを早期に改善したい方は、医療機関を受診し専門医に相談するよう心がけましょう。 また、当院でも肘の痛みに関するご相談を受け付けています。どうぞお気軽にお問い合わせください。
2019.04.08 -
- 変形性膝関節症
ひざの内側が痛むのなら変形性膝関節症かもしれません! 変形性膝関節症を発症した患者さんが訴える症状の多くが「膝の内側の痛み」です。この膝の内側の痛みが何故起こるのか?そもそも膝はどのような構造になっているのか? 関節の構造はどうなっているのか?変形性膝関節症とはどのような病気でどのような治療をするのかについて説明していきたいと思います。 膝の構造や関節の構造はどうなっているのか? 膝は人体の諸関節の中で最大の関節であると同時に損傷を受けやすい関節でもあります。膝は大腿骨、脛骨、膝蓋骨という3つの骨で構成されています。大腿骨と脛骨の表面には関節軟骨があり、関節軟骨と関節軟骨の間には半月板があります。この関節軟骨と半月板と関節軟骨の3つが膝が滑らかに動くようにしたり、荷重を分散させています。 大腿骨と脛骨は前十字靱帯、後十字靱帯、内側側副靭帯、外側副側靭帯という4つの靭帯によって結ばれています。この4つの靭帯の働きによって脱臼防止や関節の伸展・屈曲・内旋・外旋がスムーズに行われています。 膝にはもう1つ膝蓋大腿関節があり、この骨の表面にも関節軟骨が存在して、筋肉の力を効果的に下腿に伝える働きをしています。そして、これらの関節を包みこんでいる袋が関節包であり、この関節包の内膜は滑膜と呼ばれ、関節液を分泌したり吸収する働きをしています。 関節軟骨という言葉が出てきましたが、関節軟骨とはどのような物なのか? 関節軟骨の組成は60~80%が水分であり、残りはコラーゲンとプロテオグリカンです。関節軟骨の基質はⅡ型コラーゲンを主体とするコラーゲン線維の隙間を、アグリカンと呼ばれる巨大プロテオグリカン分子が埋める構造をしています。 プロテオグリカンは保水性に富み、スポンジのように水分の出し入れを行っています。軟骨細胞は小腔内に独立して存在し、軟骨組織には血管もリンパ管も存在しないため、軟骨細胞の代謝は関節運動による関節液の浸透によって行われています。このため、関節運動が行われないと軟骨の萎縮を起こします。また、軟骨組織は自己修復力がほとんどなく、ひとたび関節軟骨が損傷を受けると変性に陥ります。 関節包と滑膜について 通常大部分の関節には関節包とその内面を包む滑膜があります。前述の通り膝関節にも関節包と滑膜が存在しています。滑膜は関節の潤滑と栄養をつかさどる関節液を合成するとともに、関節内に生じた異物を除去する働きがあります。関節液の主成分は、グルコサミノグリカンの一種であるヒアルロン酸です。これはヘパリンと同種の組成であるため、関節内に出血が起きても血が固まりません。 関節の機能について 関節は、その種類によって運動の方向や正常な可動範囲が定まっており、関節運動はその方向によって決まった名称で呼ばれます。関節の可動域をROMといい、各関節はその構造上から運動の方向・機能と可動域を持っています。関節運動の方向には下記のような種類があります。 屈曲↔伸展 外転↔内転 外旋↔内旋 回内↔回外 掌屈↔背屈 関節可動域は年齢、性別、ときには職業によっても異なります。膝の運動方向は屈曲と伸展であり、可動域の範囲は屈曲が0~130、伸展が0です。 膝の痛みはなぜおこるのか? 関節を構成する靱帯や関節包には痛覚神経線維の終末が多数存在し、関節が異常運動を行った場合は強い痛みを生じて警告を発し、非生理的な関節運動が起こる事を予防しています。これらの組織に機械的刺激や化学的刺激が加わると、強く鋭い関節痛を生じます。これに加えて、滑膜の炎症によって増加した関節液や外傷による関節内出血は関節内圧の上昇をまねき、鈍重な痛みの原因となります。 変形性膝関節症とはどのような病気か? 変形性膝関節症とはその名の通り膝関節が変形し、痛みやしびれ、運動障害を起こす慢性関節疾患です。変形性関節症の中では最も頻度の高いもので、日本人の生活様式である畳の上に座るという習慣が影響していると考えられています。また、加齢や肥満、膝へのストレスが原因とされています。 原因についてさらに詳しく説明します。関節リウマチや大腿骨の顆部壊死、過去の骨折経験などもともと何らかの原因が元になっている場合が10%程度ありますが90%は原因がはっきりわかっていません。年齢では30代ではほとんど見られませんが40代以降、年齢を重ねるにつれて患者数が増えています。理由としては加齢によって関節組織(軟骨)の退行性変性が起きるためです。性別では女性の方が男性に比べ1.5~2倍くらい多い傾向にあります。特に閉経後の女性は急速に進むケースが多いです。これはエストロゲンという女性ホルモンに要因があると考えられています。肥満については、体重が増えることにより膝への負担が大きくなる事や、脂肪組織で生成されるレプチンという物質が影響することが原因と考えられています。レプチンとは食欲の抑制とエネルギー代謝の調節に関わるホルモンです。これらのような加齢や性別、遺伝、肥満や重労働やスポーツなどの膝への過度なストレスなど様々な要因が引き金となって、膝の軟骨が変形し、膝の中にある滑膜が炎症を起こします。 変形性膝関節症の進行と症状について 膝関節の腫れや痛みを主な訴えとして、関節の可動制限はそれほど著しくないが、最大伸展位を取る事が出来ずに、運動時のコツコツやゴリゴリといった軋轢音、関節裂隙(かんせつれつげき)の圧痛がみられます。高度になると内反膝あるいは外反膝の変形が起こりますが、日本では内反膝変形が多くみられます。 変形性膝関節症の症状は進行度によって症状が変化します。 【軽度】 骨と骨の隙間が少し狭くなり軟骨がすり減ってきます。起床時の第一歩の「膝の違和感」が最も早く現れる症状です。この段階では動作時のみの痛みですが、一時的でしばらく休むと痛みがなくなる場合がほとんどです。「立ち上がる時に膝が痛む」「膝がこわばる」「動き始めに膝が痛む」このような症状が現れます。 【中等度】 関節軟骨や半月板がすり減り、骨と骨の隙間がさらに狭くなります。痛みの頻度が多くなり、炎症が生じて膝の周辺が腫れたり、熱を持ったりします。膝に水がたまる事により膝を曲げると張って重くだるくなります。膝の変形が目立ち、膝に力のかかる動きをすると、コツコツやゴリゴリといった異音を自覚します。「膝が完全に曲げられない」「正座ができない」「階段の上り下り、とくに下りで膝が痛む」「膝に水がたまる」等のような症状が現れます。 【重度】 軟骨や半月板がほとんどなくなり、骨がむき出しになって、骨と骨が直接触れあうようになります。膝関節の変形も進行し、痛みも強くなります。日常生活に支障が起きるほどの痛みになります。そのため、買い物や仕事や旅行などの活動が思うようにできなくなり、活動範囲が狭まります。高齢者では家の外に出ない生活が続くと痴呆症状が現れる人もいます。骨の変形が相当進むので外見的にも関節の変形が目立ち、O脚(ガニ股)となります。「じっとしていても膝が痛む」「膝の曲げ伸ばしが難しい」「歩くときに膝が横揺れする」「歩行困難」等の症状が現れます。 変形性膝関節症の検査はどのような検査を行うのか? 【X線撮影】 膝の骨の変形の具合を調べます。骨と骨の関節部分は何も写りませんが、この関節の隙間が狭いほど関節軟骨がすり減っているという事になります。 【関節液検査】 膝に炎症が起きて腫れている場合、注射器で関節液を抜き取りその性状により病気の判定をします。変形性膝関節症では、黄色透明の関節液が排出されますが、リウマチや関節炎では、黄色混濁した関節液が出ますので鑑別診断ができます。 【MRI検査】 関節軟骨、半月板や骨内の病変の有無を調べます。変形性膝関節症が進行すると、半月板が痛んで断裂したり、骨内に骨のう腫という穴が開いたりして痛みの原因となります。また、膝関節の大腿骨内顆骨壊死が発見されたりします。 【血液検査】 関節リウマチではCRPやリウマチ因子が陽性となる事が多いですが、変形性膝関節症では通常CRPやリウマチ因子は陰性です。 変形性膝関節症の治療はどのようなものがあるのか? 変形性膝関節症の治療の1つとして肥満の人には体重を軽くするように指導するとともに大腿四頭筋の筋力強化、温熱療法が勧められます。変形性膝関節症は進行度により治療が行われます。整形外科での治療は主に保存療法(リハビリ)と手術療法です。 保存療法(リハビリ) 症状が軽い場合には痛みどめの内服薬や外用薬を使った痛みを軽減する薬物療法が行われます。関節内で炎症が起きると痛み物質が発生し、滑膜が刺激されてさらに炎症が進むことによる悪循環に陥るため、この悪循環を断ち切るために鎮痛剤の処方が行われます。 そして、痛みを起こさせないようにするために重要なのが運動療法になります。膝関節を支える筋肉を鍛えることにより、膝がしっかり安定して関節への負担が減ります。また、膝を動かすことにより血行が促進され、関節液中の痛みを起こす物質が血中に吸収されて減っていきます。さらに運動によって肥満が改善され、膝への負担が軽減されます。 次に軟骨や関節液の重要な成分であるヒアルロン酸を潤滑成分として注射して軟骨表面の保護を行う治療があります。同様に注射治療の1つに炎症を強力に抑え込み、鎮痛効果も高いステロイドの注射があります。しかしステロイドの頻繁の使用は軟骨や靭帯を弱くしてしまうので2カ月から3カ月に1回の注射が安全とされています。 手術療法 上記の一般的な保存療法に抵抗し、軟骨破壊が内側に偏しているような時は高位脛骨骨切り術という手術療法が行われます。内反変形を矯正して、内側にかかる荷重を正常な軟骨や半月板が残っている外側の関節に分散させる手術です。手術後は自分自身の関節が温存されるため、可動域が改善されスポーツなどの重労働にも耐えられます。また、時間の経過とともに筋力が増強し関節機能が改善することがこの手術の特徴となります。 高度の関節破壊のある場合には人工膝関節置換術という手術が行われます。痛みのある片側だけを置き換える片側置換術と関節面全体を金属に置き換える全置換術があります。手術後は翌日から数日で立ったり歩いたりするリハビリが始まり2週から4週程度で退院し、比較的速やかに日常生活に戻る事が出来ます。 注目されている最新の治療法があります!! 近年再生医療の分野が医学界ではめざましい進歩をあげておりますが、この再生医療を応用した治療が変形性膝関節症にも治療適応されています。 再生医療も治療の選択の1つです。再生医療とはこちらを参照ください。 変形性膝関節症に対する再生医療分野の治療は脂肪幹細胞と多血小板血漿(PRP)を用いた治療になります。脂肪幹細胞を用いた治療ではご自身のお腹や太ももの皮下脂肪を吸引し、幹細胞を採取します。採取した幹細胞を培養し関節内に投与します。これにより関節の炎症を治めるだけでなく関節軟骨の変形を抑えたり痛んだ軟骨の修復や再生を促します。 多血小板血漿(PRP)を用いた治療とは自身の血液から特殊な技術で血小板が多く含まれる血漿を取りだし、膝関節内に注入する治療法で患者さん自身が持つ修復力をサポートする治療法です。自分の血液ですので副作用もありません。 膝関節症の患者さんの多くが訴える膝の内側の痛みについて、骨の構造や関節の機能、膝関節症とは何かについて説明してきましたが、膝関節症は原因の90%が明らかになっていない疾患です。 しかし変形性膝関節症の治療法の選択肢も増えてきています。ご自身のライフスタイルや症状に合った治療を選択していきましょう。変形性膝関節症や再生医療についてさらに詳しく知りたい時には専門医に話を聞いてみましょう。 お近くに再生医療についての専門医がいない方へ さかもとクリニックは、第二種・第三種再生医療提供計画を厚生労働省に提出し受理された厚生労働大臣許可医療機関です。当院では来院前でも「メール相談」を受付けています。どうぞ事前にご相談ください。 以上、ひざの内側が痛むのなら変形性膝関節症かもしれない!についてご説明させて頂きました。参考になれば幸いです。 メール相談・お問い合わせフォームはコチラ 監修:リペアセルクリニック大阪院 膝の痛みに関連する記事はこちら 膝の痛みと腫れが突然出た!考えられる原因は? 完治まで膝から水はなくならない?膝に水が溜まる原因と治し方 正座すると膝が痛いのは危険サインか?変形性膝関節症の可能性も 膝を曲げると痛いのは病気のサイン?音が鳴る原因は 膝をつくと痛い!痛みの原因や症状考えれる病態は? 膝の上が痛い原因は使い過ぎ?痛みに繋がるリスクとは 膝の皿が痛いのはなぜ?考えられる原因や病名は 再生医療による膝の治療に関連する記事はこちら 膝の症例 現役プロスポーツ選手 ひざの痛みにPRP治療 人工股関節、人工関節に関連する記事はこちら 人工股関節術後に脱臼する可能性と生活の注意点をチェック 膝の人工関節手術は失敗がある?知っておくべきリスクとは 当院の治療についての考え方や再生医療についての内容もお読みください 再生医療とは PRP(多血小板血漿)療法とは ご相談から治療までの流れ
2019.04.08 -
- 股関節
股関節!人工股関節術後に注意!脱臼する可能性と、ならないために生活上の注意点 股関節に何らかの疾患を抱えてしまった場合、保存療法や関節鏡による手術でも改善が見込めない場合は人工関節に置換することが選択されます。人工股関節に置換すれば、早期から荷重をすることも出来ますし、左右の下肢の長さなど器質的な異常も改善することが出来ます。 そんな人工関節置換術について、どんな症状や疾患の場合に適応されるのかということや、手術後の生活を送る上での注意点などをご紹介していきます。 股関節は球関節に分類される 股関節の一番の特徴は、なんといっても常に荷重がある関節だということです。立位はもちろん、座位でも股関節には体重がかかります。股関節は骨盤の骨と大腿骨の骨で構成されており、関節の形で分類すると球関節に該当します。 球関節は運動の自由度が最も高い関節であり、様々な軸で関節を動かすことが可能です。股関節を前後に動かす屈曲や伸展という動作を筆頭に、左右に動かす外転や内転、下肢全体を捻る外旋や内旋といった動きは全て可能です。 関節包や関節唇で安定性を増している 股関節は荷重を大きく受ける球関節であるために、運動の自由度だけでなく安定性も求められる関節です。そのため、可動域の制限を最小限にとどめる範囲で関節包や関節唇が安定性を保っています。 関節包や関節唇は、股関節にはまり込んでいる大腿骨頭をしっかり覆うように位置していて、靭帯なども強固に付着しているため脱臼の頻度は少ないです。関節唇には神経も通っており、損傷すると痛みを発生します。 何らかの原因で大腿骨頭を取り囲む関節唇を損傷してしまうと、歩行や立ち上がりなど軽微な動作でも痛みを感じるようになってしまいます。 年齢と共に股関節疾患のリスクは上昇する 常に荷重がかかる関節であることも関係して、年齢を重ねると共に股関節関連の疾患を発症するリスクは上がっていきます。股関節の人工関節置換術など、大きな手術が適用になるケースは50代、60代以降の方に多いのが特徴です。 また、大腿骨頭から股関節の関節面に伸びている大腿骨頭靭帯には、血流が豊富に流れているという特徴があります。関節軟骨の代謝など、股関節を栄養する血管の血流が悪化することによっても、股関節の機能が低下する原因になってきます。 股関節の疾患から二次的な症状が多く発生する 股関節に痛みがあったり、違和感があったり、何らかの股関節疾患を発症することによって二次的な症状を多く発生させるという特徴もあります。人間はどこかに痛みが出ると無意識にそこをかばって行動するようになり、股関節の使い方がおかしくなったり骨盤や背骨が歪んだりすることもあるのです。 そこから腰痛や膝痛、周囲の筋肉の緊張が原因で起こる坐骨神経痛や梨状筋症候群など、様々な症状に繋がっていく可能性もあります。そういった二次的な症状が出てきた場合、股関節の疾患を改善するだけでは解決できないケースも出てくるのです。 股関節は人工関節置換術が選択される場合もある 疾患が起きた場合に手術が行われるケースは多々ありますが、股関節は人工関節置換術が選択される場合もある数少ない関節です。人工関節置換術は、基本的に膝関節か股関節に適応される外科的治療で、その他の治療方法が全く奏功しなかった場合に行われるケースが多いです。 股関節のその他の治療方法とは 保存療法 多くの整形外科的な股関節疾患に対しては、まず保存療法が行われます。内容は体重のかけかたや歩き方の指導、杖や車いすなど道具の使用方法といった生活指導が中心です。 その他臀部や大腿部の筋力トレーニング、エアロバイクを使用した運動療法、水中での運動療法などが主です。手術を行うよりもリスクが少ない治療方法ではありますが、大腿骨頭壊死症など股関節の変形が強く進行している場合には荷重することで悪化させてしまうケースも考えられます。 薬物療法 薬物療法は保存療法の一つと考えることも出来ます。基本的には痛み止めや炎症を抑えるための薬が処方されます。ただ、荷重関節であるために薬を処方しても痛みが長期間続くことも多く、長期の薬物の服用によって副作用を起こす恐れも否定できません。 薬を体内で処理するために腎臓に負担をかけたり、胃に負担をかけたりするので内臓の疾患に繋がってしまうかもしれません。薬物療法を行っている間も、主観的な痛みなどの感覚はもちろん、レントゲンやMRIなど客観的な評価でも治療の進行度を測る必要があります。 骨切り術 先天的な疾患でもある臼蓋形成不全によって股関節に痛みを発生させている場合、人工関節置換術ではなく骨切り術が選択されることがあります。臼蓋形成不全は、簡単に説明すると股関節が浅すぎるという器質的な問題がある疾患で、根本的には運動療法や薬物療法で解決することが難しい疾患です。 骨切り術は、股関節の大腿骨頭がはまり込む寛骨臼というくぼみを深く切り抜き、大腿骨頭を深くはまりやすくするための手術です。形態的な部分から改善できるため、股関節の痛みはもちろん、将来的な変形性膝関節症などを予防することにも繋がります。 人工股関節の手術が選択される症状とは 人工股関節の手術を選択されるケースは、日常生活にかなりの支障をきたしたり、他の保存療法でも治療が困難であったりする場合です。どんな症状から人工股関節の手術に踏み切る場合があるのか、ご紹介していきます。 変形性股関節症 股関節の中にある関節軟骨の変形によって、関節内で慢性的な炎症を起こしてしまっている症状です。何か一度の外力で急に股関節の軟骨が損傷して変形してしまうというよりも、日常生活の中で負担を積み重ねて少しずつ変形を進行させるケースの方が多いと言えます。 年齢と共に筋力が低下して股関節を支える力が無くなっていったり、姿勢が悪く股関節の動かし方が悪いせいで関節軟骨のすり減りを助長していたり、仕事の中で負担がかかることが多いなど理由は様々です。 一度変形してしまった関節軟骨は元には戻らないので、痛みが強く常に続いている場合などは人工股関節の手術が適応になります。人工股関節の手術以外で治療をするなら、股関節の運動療法、背骨や骨盤の矯正による荷重の改善などが有効です。 大腿骨頭壊死症 大腿骨頭から関節内に流れる大腿骨頭動脈の血流が断絶され、大腿骨頭の骨細胞が徐々に壊死していく疾患です。アルコール中毒や、ステロイドの使用歴など、大腿骨頭壊死症に繋がる原因はいくつか指摘されていますが、決定的な原因が解明できない症状でもあります。 そのため、大腿骨頭壊死症のほとんどが、原因不明の特発性と判断されているのです。大腿骨頭壊死症が見つかり次第すぐに人工股関節の手術が行われるわけではなく、経過観察されるケースもあります。壊死した骨が潰れるので、荷重がかかることによって痛みを生じます。 壊死した部分に負担をかけないような体の使い方ができたとしたら、手術を回避することも出来るのです。しかし、運動の自由度が高い関節であるため、大腿骨頭の破壊は時間と共に進んでいき、最終的には人工股関節の手術になることが多いでしょう。 関節リウマチ リウマチは自己免疫疾患とも呼ばれ、免疫が異常な動作を起こして体の健康な細胞を攻撃してしまう疾患です。手先など全身の関節で症状が出る可能性がありますが、股関節でもリウマチの症状を起こします。基本的には薬物療法で生活改善を試みることが多いですが、 著しい歩行時痛や歩行困難など、日常生活動作に大幅な支障をきたしている場合は人工股関節の手術になります。しかし、健康な組織を攻撃してしまうという疾患の特徴ゆえに、リウマチが進行しすぎると人工股関節の手術さえできなくなることもあります。 もし人工股関節の手術を視野に入れるなら、比較的早い段階で決断することが必要な場合もあるのです。 人工股関節の手術は年齢によっても変わる 一般的には、人工股関節の手術をするのは60代以降の年齢になります。日常生活の具合や、症状の程度、運動習慣などを加味して50代や40代で行われるケースもありますが、基本的には高齢になってから行うものです。 というのも、人工股関節にも耐用年数があるからです。近年では技術の向上によって人工股関節の耐久も上がってきましたが、それでも20年くらいが1つの目安と言われています。もちろん股関節の使い方や、生活レベルによっても大きく左右されます。 使えば使うほど摩耗していくことは当然なので、人工股関節の手術後にもスポーツや旅行などを楽しみたいという場合は、筋力を取り戻すリハビリも長期間にわたって行う必要があるわけです。 人工股関節の手術後に日常生活で注意すること 人工関節の手術をした後は、股関節に余計な負担をかけないように注意しなければならない点もいくつかあります。 脱臼肢位を避ける 人工股関節の手術後に最も怖いのは、脱臼してしまうことです。これも、近年では手術の技術や人工股関節の精度も高まり、心配は少しずつ軽減されてはいます。しかし、脱臼しやすい肢位を取ってしまうと、通常の股関節に比べて脱臼しやすい状態であることには変わりありません。 股関節が深く屈曲するような体勢や、あぐらのように過度な外線外転肢位になると、脱臼のリスクが高まります。これらの動作は意外と日常生活の中でも頻繁に起こる姿勢で、例えばお風呂の低い椅子に座るなどすると股関節が深く曲がり込みます。 床に座って前かがみになって靴下を履くときもそうです。正座をしたまま遠くの物を取ろうとした時も、股関節の屈曲が強くなります。意識していないとやりがちな体勢なので、人工股関節の手術後は注意を払いましょう。 また、人工股関節の手術をした足を軸にして片足で立ち、高いところに手を伸ばすなどの姿勢も危険です。今度は股関節に伸展力が強く加わってしまうので、脱臼のリスクが高くなってしまうのです。とにかく、過度な屈曲伸展、外転や外旋などの動作を避けることです。 激しい運動を避ける よく言われるのが、スキーやサッカー、バレーボール、バスケットボール、野球など激しくジャンプや捻り動作を行うスポーツを避けるべきだということです。人工股関節が脱臼してしまうリスクがあるとともに、人工股関節の摩耗を早めてしまいます。 ただ、せっかく股関節の手術をしたのだから好きにスポーツを楽しみたいという考えもあります。その場合は動作を制限するなど、なるべく負担を軽減して楽しむことが大切です。運動すること自体は良いことなので、水中でのウォーキングや散歩など、人工股関節への負担が少ない活動を選ぶようにしましょう。 リハビリを長期間続ける 人工股関節の手術後は、筋力が低下しています。手術したことによって動作がしにくいということもありますが、人工股関節にしなければならないほどの症状を患っていたわけです。多くの場合は人工股関節に至るまでに、長年にわたって症状と向き合い続けてきています。 その間に日常生活が大きく制限されるほどの痛みを伴っていたのですから、当然筋力は大きく低下しています。何年もかけて低下した筋力を、短期間で取り戻すのは難しいです。 人工関節の手術後にどのくらいの生活レベルを目指すかにもよりますが、リハビリも長いスパンで計画を立てる必要があるわけです。 再生医療も発達してきている 今の日本では、再生医療をリードしようという動きもみられています。一度失ってしまった機能を、細胞移植によって再び取り戻そうという医学です。再生医療に関心のある方当院まで、ご遠慮なくお問い合わせ下さい。 監修:リペアセルクリニック大阪院 人工関節に関連する記事はこちら 膝の人工関節手術は失敗がある?知っておくべきリスクとは 足の付け根の痛みに関連する記事はこちら 足の付け根が痛い場合は手術が必要?考えられる病態とは 当院の治療についての考え方や再生医療についての内容もお読みください スポーツ外傷・障害の痛みに対する当院の治療 変形性股関節症に対する当院の治療 再生医療とは PRP(多血小板血漿)療法とは ご相談から治療までの流れ 監修:リペアセルクリニック大阪院
2019.04.08