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変形性膝関節症の発症原因と痛みを感じる仕組み 変形性膝関節症は膝の痛みや違和感を伴うので、この病気になると日常生活に支障をきたしてしまうことが少なくありません。しかし、なぜこの病気が発症してしまうのでしょうか。こちらでは、変形性膝関節症になる原因についてまとめました。 変形性膝関節症になってしまう原因 変形性膝関節症は、膝の軟骨がすり減ることによって発症します。軟骨は、年齢を重ねるにつれて、どうしても摩耗されるので、高齢になるほど変形性膝関節症を発症する人の割合が増えてきます。 また、体重の負荷や激しい運動によっても膝の軟骨がすり減ります。ですから、肥満体型の方や若いころから激しいスポーツをしているという人は、年齢が若くても発症することがあります。 変形性膝関節症は軟骨の「削りかす」が原因 変形性膝関節症で厄介なのは、痛みです。この痛みが日常の動作に悪影響を及ぼすため、多くの患者さんを悩ませています。先ほど「変形性膝関節症は膝の軟骨がすり減ることによって発症する」ということをお伝えしたので、その痛みは軟骨がすり減った際に生じると思ってしまいがちです。 ですが、痛みの原因はすり減った軟骨の「削りかす」です。削りかすが炎症を引き起こすので、痛みが発症するのです。変形性膝関節症で痛みが出てしまう仕組みをもう少し詳しくお話しますね。 変形性膝関節症で痛みを感じる仕組み 軟骨の削りかすが痛みを引き起こす仕組みとして「関節包(かんせつほう)」が大きく関わっています。通常、関節包は大腿骨とけい骨(すねの骨)を覆っているのですが、軟骨がすり減り削りかすが出た時、この関節包の内部にある滑膜(かつまく)という膜に炎症が起こります。 そして、炎症が起きると膝関節の周辺に腫れや痛みが生じるのです。 変形性膝関節症の「水」とは 関節の痛みや違和感などが気になって整形外科を受診すると「水が溜まっていますね」などと言われることがあるかと思いますが、この「水」とは、炎症の結果、増えた関節液のことです。 関節包には、軟骨へ酸素と栄養を与えるための関節液が常に数cc存在していて、炎症が起きると、その関節液の量が増えるのです。すると、膝の曲げ伸ばしの時に違和感があったり、痛みを感じたりします。 変形性膝関節症は悪循環に陥りやすい 変形性膝関節症は、最初に炎症が起きた時に痛みを無視してしまうと、症状が悪化しやすいという特徴があります。 なぜなら、炎症が起こっている状態で軟骨へ負担をかけると、さらに軟骨がすり減って削りかすが出てしまいます。すると新たに出来た削りかすが出て、繰り返し炎症を起こす事態に繋がるのです。 変形性膝関節症の末期に膝が変形する原因 変形性膝関節症の末期には、膝が伸ばせなくなったり膝の形が変わったりします。これは、膝で繰り返し炎症を起こした結果、何度も削られた軟骨が減ったことが原因です。 また、軟骨が減ると周辺の骨が硬くなったり、余分に出来たりするため、膝自体も変形してしまいます。 まとめ/変形性膝関節症の発症原因と痛みを感じる仕組み 変形性膝関節症の原因についてまとめました。症状が強くなってしまうと日常生活に支障をきたしてしまうので、重症化を防ぐためにも違和感や痛みを感じたら早めに整形外科など専門医を受診しましょう。 早めに病院を受診し、治療を開始することで変形性膝関節症の重症化を予防することができます。いつまでも元気に活動できるように、膝関節を大切にいたわってあげてくださいね。 監修:リペアセルクリニック大阪院 変形性膝関節症に関連する記事はこちら こちらも併せてご参照ください
最終更新日:2024.03.18 -
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変形性膝関節症のステージ(初期、中期、末期)毎の症状について 膝関節は私達が歩行するのに欠かせない部位ですが、年齢を重ねるにつれて「膝が痛い」、「膝を曲げるときに違和感がある」というような症状を伴う変形性膝関節症を発症しやすくなります。 こちらでは、膝関節の病気の1つ「変形性膝関節症」とはどのような病気なのか、その特徴と対処法についてまとめました。 変形性膝関節症の特徴 変形性膝関節症は、50歳以上の方に発症しやすい膝関節の病気です。「膝が痛い」、「膝の曲げ伸ばしがしづらい」などの症状で整形外科を受診する患者さんの多くに、この病名が当てはまるといわれています。 また、男性よりも女性の患者さんが多いことも特徴の1つとして挙げられます。男性に比べて筋力が弱く、女性ホルモンの影響も受けやすいということがその原因とされています。 変形性膝関節症のステージごとの症状について 変形性膝関節症は、段階ごとに症状の出方が異なります。初期から末期までの症状をまとめましたので、参考にしてみてくださいね。 初期の症状 初期は立ち上がりや歩き始めといった、動作を始める時に痛みが出ます。少し休むと痛みが治まるのが初期の特徴です。 中期の症状 中期になると、正座や階段の昇り降りがつらくなっていきます。中期も安静にしていれば痛みは軽くなります。 末期の症状 末期になると、安静にしている時にも痛みが起こります。また、膝が変形したことにより、歩く時にも膝がピンと伸びなくなります。そのため、歩行自体が難しくなります。 変形性膝関節症が起こる仕組み 変形性膝関節症は、膝の軟骨へ負担がかかることと関係しています。 軟骨は負担がかかるとすり減ります。このすり減ったものが分解され、老廃物として膝にたまっていきます。そうなると、滑膜(かつまく)という膜に炎症が起き、水がたまったり痛みが生じたりするのです。 また、炎症が起きている状態で膝に負担がかかると、ますます軟骨のすり減りが進みます。痛みを無視していると、どんどん悪循環に陥ってしまうため、注意が必要です。 変形性膝関節症になった時の対処法 急に膝が痛み出すと不安ですし、日常生活にも影響が及ぶと不便も感じると思いますが、変形性膝関節症を疑う場合は、まず安静にしてみましょう。無理に動いてしまうと炎症がひどくなってしまい、さらに痛みが増すことがありますから、くれぐれもご無理をされないようにしてくださいね。 安静にする期間の目安としては3日から1週間程度です。この間は、激しい運動は控えて、日常生活を行える必要最低限の動きに抑えることが大切です。もし、1週間で痛みが治まらない場合や最低限の日常生活を行うのが難しいほどの痛みがあるという場合は、迷わず整形外科を受診し治療を受けてください。 また、症状が悪化してしまうと先ほど「変形性膝関節症の症状」のところでご紹介したように、安静にしているときにも痛みが生じるようになってしまうので、時間に余裕がある方は、痛みがそれほど強くない状態であっても受診し、診察を受けておくと安心です。 まとめ・変形性膝関節症のステージ(初期、中期、末期)毎の症状について 変形性膝関節症は、年齢を重ねる程発症しやすくなるといわれ、50歳過ぎの方、特に女性に多い膝関節に痛みを伴う病気です。若い方でも、スポーツを行っていた方や、急に激しい運動をすることによって発症することもあります。膝に痛みや違和感を感じたら、我慢せず早めに整形外科を受診しましょう。 監修:リペアセルクリニック大阪院/ ▼こちらも併せてご参照ください
最終更新日:2022.10.21 -
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膝の人工関節手術で決断前に知っておきたいリスクとは! 膝の疾患では、人工関節を入れる手術が選択されることがあります。もちろん、年齢や生活習慣によって、人工関節を入れた方がいいかどうかの判断基準は変わってきます。保存療法でどうしても良くならない膝の疾患については、人工関節を入れることで劇的に生活が改善されることもあります。 しかし、100%手術をすることによって生活レベルが上がるという保証はなく、稀ではありますが膝に人工関節を入れることによって、重大な悪影響を及ぼすこともあります。今回は、膝の人工関節手術についてご紹介していきます。 膝に人工関節手術を行うケースとは 膝に人工関節置換術を行うのは、どのような場合なのでしょうか。 保存療法で改善の見込みがない場合 膝で起こる病態は、ほとんどの場合は整形外科的な疾患です。変形性膝関節症や関節リウマチなど、薬物療法や保存療法で改善を目指すことが多いので、基本的には手術は最終手段になります。 しかし、あまりにも病状が進行して、関節の変形や痛みが日常生活に大きく支障をきたしている場合、人工関節の手術が選択されます。発症してからいきなり人工関節置換術になるケースは稀で、まずは保存療法によって処置が行われます。 膝にかかる負担があまりにも大きいときや、病態の悪化が著しい場合に人工関節置換術が検討されるのです。 高齢者の場合 40代、50代の年齢層で、膝の人工関節置換術が行われるのは稀なケースです。というのも、あまりにも若いうちから膝の人工関節置換術を行ってしまうと、人工関節の摩耗によって再手術を行わなければならない可能性があるからです。 近年では人工関節の精度も上がっているので、耐用年数も少しずつ上がってきてはいます。しかし、それでも何十年も機能を維持することは難しく、さらに膝が荷重関節であるという特徴も重なって20年程度が限度だと言われています。したがって、膝の人工関節置換術が行われるのは、多くが60代以降の患者です。 生活レベルが下がっている場合 膝に患った疾患によって、著しく生活レベルが下がってしまっている場合は、人工関節置換術が選択されることがあります。通常の歩行が困難になっている場合や、立ちあがる、座るなどの動作も自立して出来ないようなケースでは、人工関節置換術によって機能を早急に回復することが目指されます。 膝の痛みや可動域制限によって生活レベルが下がれば、そこから筋力はどんどん低下し、再び日常生活を自立して行えるように回復するまでかなりの時間を要することになります。リハビリとの兼ね合いも考慮して、生活の支障度合いでは早めに膝の人工関節手術をすることもあるのです。 膝に人工関節の手術を行う可能性のある疾患 膝関節に人工関節手術を行う可能性があるのは、ほとんどが慢性的にダメージを蓄積する疾患です。 変形性膝関節症 一度の外力によって膝に障害を受けるわけではなく、日常生活の中で受ける軽微な外力の積み重ねによっておこる症状です。体重や足の使い方などで、膝関節の中にある関節軟骨を少しずつすり減らしていきます。 その結果、大腿骨の膝関節面と、脛骨の膝関節面が直接ぶつかるようになり、炎症を起こすとともに変形していきます。まずは保存療法によって、膝に負担がかかりにくいような関節運動を獲得することを目指します。 さらに、体重管理や、筋緊張を緩和させる手技療法なども有効な治療方法です。しかし、それでも変形性膝関節症の症状が進行していき、日常生活に著しく支障をきたすような場合は人工関節手術が選択されることがあります。 あまりにも変形が強くなると、内側の半月板や骨が潰れて外観でも変形がはっきりわかるようになります。そこまで病状が進むと、通常の歩行が困難になることもあるので、生活レベルを取り戻すための手術でもあるのです。 関節リウマチ 自己免疫疾患の一つで、自らの関節を免疫機能が攻撃してしまう病態です。指先の関節で起こる症状が有名ですが、関節リウマチの症状が膝で起こることもあります。膝でリウマチ症状が出ると、腫れがひどくなったり、変形が進んだりします。 当然痛みも伴うので、痛みをかばって行動することで、結果的に膝の負担を増やすケースもあるのです。そこからさらに膝の変形が進むと、リウマチによる症状に加えて二次的な負担が加わります。 膝が変形したことによって荷重のかかり方に変化が起き、余計に膝のダメージを悪化させるのです。立位の保持や、通常の歩行でも強い痛みと可動域制限が起こるようになると、膝の人工関節手術が視野に入ってきます。 膝の人工関節手術におけるリスクとは 人工関節を入れるということは、皮膚や筋肉を切開することになるので、それなりのリスクもつきまといます。人工関節の手術をすることで、100%生活が向上するわけではありませんから、考えられるリスクもご紹介していきます。 人工関節の摩耗 人工関節はやはり人工物なので、何十年経過しても全く機能が劣化せずに一生保てるという保証はありません。一般的には、現在の膝に使われる人工関節の耐用年数は、長くて20年ほどと言われています。 ということは、60歳で手術をした場合、80歳あたりで再手術を行う必要が出てくるわけです。再手術といっても、60歳と80歳では当然体力に差があり、高齢の体にとっては非常に負担になります。手術の後にしっかりリハビリを行わないと、生活レベルが保てないので、想像以上に過酷です。 中には、人工関節が一生持つというドクターや有識者もいますが、必ず一生保てるということはありません。人体構造の中に人工物を入れるわけですから、人工関節と元々の膝関節の間に隙間が出来たり、緩みが出たりして不具合が起きる可能性は十分あります。 膝の人工関節手術を検討する場合は、年齢についても考慮しなければなりません。 必要なリハビリとそのリスク 人工関節を入れれば、術後すぐに痛みが無く歩けるというわけではありません。人工関節を入れるために、膝周辺の組織を一度切開しているわけですから、筋力や可動域を取り戻すためにはリハビリをこなしていかなければなりません。 膝の筋力を回復することはもちろん、股関節や足関節の動作によっても膝の負担を減らしていく必要があります。人工関節には神経が通っているわけではないですが、膝の使い方が悪ければ、元々の骨と接する部分で痛みを発生させる危険性もあります。 膝の疾患が再発する恐れがある 膝に人工関節手術をしなければならない疾患は、多くが慢性的に膝へダメージを与える疾患です。そのため、膝に人工関節を入れて膝そのものを回復させたとしても、手術前と体の使い方が変わらなければ、膝の負担も変わらないということです。 人工関節を入れることで、今出ている痛みの発生源は取り除かれるかもしれませんが、膝の痛みに繋がる根本的な原因は改善されないのです。膝に人工関節を入れる手術をしても、結局は運動療法などで膝に負担を溜めすぎない体づくりをしないと、痛みを再発させる可能性は高いです。 さらに、人工関節の摩耗も早めてしまうので、手術後に全身のバランスを整えることや関節の動かし方を改善することは必須になります。 感染症のリスクがある 手術をするということは、本来であれば無菌状態の関節を切開するということです。もちろん確率は低いですが、その分感染症のリスクは高まります。特に、水虫など元々持病を患っている方は要注意です。 もし膝関節に何らかの病原菌が侵入すれば、一度人工関節を抜いて洗うという工程が必要になります。もし、人工関節置換術を行った後に感染症が発覚し、人工関節が挿入できないということになったら最悪です。 人工関節を取り除いて、残った骨で関節を繋ぎ合わせなければいけないので、左右の下肢の長さが大幅に違ってきます。通常の歩行も困難になり、生活レベルを著しく下げてしまう恐れもあるのです。 死亡の可能性もある こちらも稀ではありますが、手術の影響で血栓を発生させ、深部静脈血栓症や肺塞栓に陥る可能性もあります。どちらも手術中に発生した血栓が、静脈に詰まる病態です。これは生命の危機に繋がる病態で、膝の人工関節置換術においてもその可能性は否定できません。 しかも、死の可能性が否定できない手術であるにも関わらず、手術をしたことで膝の痛みが必ずしも改善される保証はないという点も知っておくべきです。そのあたりのリスクも加味して、手術を検討してください。 膝の人工関節手術を避けるためには 前の項目でご紹介したように、膝の人工関節手術にはリスクもあります。できれば手術を回避できた方が良いので、手術を検討しなければならない状態まで悪化させないために、今からできることをご紹介していきます。 痛みを早めに相談する 膝で何か異変が起きたと感じたときに、なるべく早く専門医に相談することが大切です。整形外科に行けばレントゲンなどで精査も出来ますし、腫脹が出ていれば関節内に溜まった成分を検査して病気を診断することもできます。 接骨院や整骨院でも、膝の痛みに対して専門的な知識によって治療を受けることが出来ます。基本的に膝の病態は、放置しておくと悪化する一方です。早めに膝の状態が分かれば、適切な治療によって病態の悪化を食い止めることが出来ます。 変形などは元に戻らないとしても、今よりも悪化させなければ生活レベルは保つことが出来るのです。 全身のバランスを整える 姿勢を整えたり、背骨や骨盤のゆがみを矯正したりしておくことも、膝の負担を減らすとても有効な手段です。姿勢が悪いせいで膝に余計な負担をかけ、変形などの症状を助長しているケースもあります。 さらに、体のゆがみによって股関節や足関節の可動域が制限され、その結果膝の負担を増やしていることもあるのです。この場合、膝だけを集中して治療しても改善しないので、全身のバランスを整えることが必要になるのです。 体重を急激に増やさない 無茶なダイエットをする必要はありませんが、肥満状態の継続や、急激な体重増加は膝の疾患を助長します。常に荷重がかかる関節でもあるので、単純に体が重くなれば変形や痛みも強くなるのです。 実際に治療の現場でも、肥満傾向にある方は変形性膝関節症になったときに変形の進行も早いので、今から体重管理をしておくことが大切です。膝に痛みが出てしまってからだと、運動が制限されるので痩せるのが難しくなります。 食事制限をするしかなくなるので、年齢によっては代謝も落ちていますから時間がかかります。 膝の人工関節手術は最終手段!うまくいくとは限らない 膝に人工関節を入れる手術を行うのは、あくまでも最終手段と思った方が良いでしょう。ご紹介したように、人工関節手術にはリスクも伴います。しかも、人工関節を膝に入れたからといって、絶対に痛みが消えてスムーズな歩行ができるとは限らないのです。 年齢によっては再手術の必要も出てきますし、まずは保存療法で改善することを最優先にする方が良いでしょう。それでも膝の人工関節手術を検討する場合は、感染のリスクや再発のリスク、さらには死亡のリスクも頭に入れた上で検討するべきです。 人工関節後は、後戻りできません、再生医療という可能性 再生医療は、手術不要、入院不要で膝の再生を行える先端医療です。ただ通常の病院、医院、クリニックで受けることができません。再生医療専門院を受診する必要があります。当リペアセルクリニックは、第二種・第三種再生医療提供計画を厚生労働省に提出し受理された厚生労働大臣許可医療機関です。 再生医療専門院であり、再生医療専門医の診察と治療を受けることが可能です。詳しくは、こんな疑問を聞いても・・・などとご心配なさらずご相談ください。 監修:リペアセルクリニック大阪院 メール相談・お問い合わせフォームはコチラ 人工股関節に関連する記事はこちら 人工股関節術後に脱臼する可能性と生活の注意点をチェック 膝の痛みに関連する記事はこちら 膝の痛みと腫れが突然出た!考えられる原因は? 完治まで膝から水はなくならない?膝に水が溜まる原因と治し方 正座すると膝が痛いのは危険サインか?変形性膝関節症の可能性も 膝を曲げると痛いのは病気のサイン?音が鳴る原因は 膝をつくと痛い!痛みの原因や症状考えれる病態は? 膝の上が痛い原因は使い過ぎ?痛みに繋がるリスクとは 膝の皿が痛いのはなぜ?考えられる原因や病名は 膝の内側の痛みの原因は?症状や治し方について 再生医療による膝の治療に関連する記事はこちら 膝の症例 現役プロスポーツ選手 ひざの痛みにPRP治療 当院の治療についての考え方や再生医療についての内容もお読みください スポーツ外傷・障害の痛みに対する当院の治療 変形性股関節症に対する当院の治療 再生医療とは PRP(多血小板血漿)療法とは ご相談から治療までの流れ
最終更新日:2024.03.18 -
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膝が突然、腫れたり、痛むという症状は、意外にも多くあるものです。ぶつけたわけでもなければ、捻ったわけでも無い、けれどもある時突然、膝に痛みを発生させ、ひどく腫れるという現象はなぜ起こるのでしょうか。 知識がなければ、細菌感染などを起こして腫れているのか、それとも悪い病気なのかと考えがよぎってしまうこともあるでしょう。そこで今回は、膝の痛みが突然発生し、腫れてしまう症状の原因についてご紹介していきます。 突然の痛みと腫れは膝の使い過ぎ 膝が突然腫れて痛みを発生させるのは、ほとんどの場合使い過ぎが原因です。長距離ランナーなど明らかな負担だけでなく、姿勢や体重、生活習慣など様々な要因が重なって膝で不調を起こします。 膝だけでなく全身のバランスを見直し、生活習慣や癖を改善することが必要になるかもしれません。 膝が腫れるのは炎症が起きているから 膝で突然起こる腫れというのは、関節内で炎症が起きていることによって発生します。コンタクトのあるスポーツなどで、人に乗っかられたり激しくタックルされたりして膝が腫れた場合には、外傷による靭帯損傷などが考えられます。 しかし、明確な原因がなく突然膝が腫れる場合、慢性的な外力によって起こった関節炎であるという可能性が高いのです。炎症が起きれば炎症物質によって関節内が充満し、いわゆる膝に水が溜まった状態になります。そのため、外からみると膝が腫れあがった状態に見えるのです。 腫れの成分を見れば病態がわかる 膝が腫れている場合、関節内に溜まった物質を注射などで抜く治療方法があります。よく、膝の水を抜くと癖になると言いますが、それは間違いで、炎症が治まっていないから膝が腫れ続けるのです。ですから、ひどい腫れによって日常生活が制限されている場合、早めに水を抜いて確かめることが大切です。 腫れを作っている液体成分を検査すれば、関節内で何が起こっているのか見えてくるのです。炎症物質であれば、関節炎を起こしているとわかります。血が混じっていれば、前十字靭帯などの軟部組織損傷が起こっていることがわかります。膿が混じっていれば、感染性による化膿のせいで膝が腫れているのだとわかるわけです。 炎症が起きれば痛みも発生する 膝が突然腫れた場合、ほとんどのケースで痛みを伴います。なぜなら、腫れの原因が炎症であれば、当然関節内にダメージが蓄積しているので痛みを発生させるのです。関節軟骨が亜急性の損傷を起こしている可能性もありますし、大腿骨や脛骨が陥没して変形し始めていることもあります。 膝が突然腫れて痛い場合に考えられる病気 膝に突然腫れが出現し、なおかつ痛みも伴っている場合に、どんな病態が起きている可能性があるのかご紹介していきます。 変形性膝関節症 一度の激しい外力によって膝関節を壊すわけではなく、日常生活の中でかかる繰り返しの外力によって少しずつ膝関節を変形させていく症状です。変形性膝関節症のリスクは年齢が上がるとともに高まり、50代以降で突然膝に痛みと腫れを発生させた場合はまず変形性膝関節症を疑います。 長年にわたって膝関節に負担をかけ続け、それがある日長く歩いたり、重い物を持って作業したり、何かの引き金で炎症に発展します。当事者からすれば、それほど負担がかかる動作でなくとも急に発症するので、明確な原因がわからないこともあります。 しかし、あくまでもそれは引き金にすぎず、変形性膝関節症の本質は慢性的な膝への負担にあるのです。膝関節にある関節軟骨をすり減らし、骨が変形してしまうほどのダメージなので、当然関節内で炎症を起こして腫れます。 痛みも伴い、通常の歩行時でも痛みを感じるケースもあるくらいです。膝の腫れが酷くなると、階段の上り下りもかなり支障をきたします。 対処法 腫れの原因が変形性膝関節症であった場合、まずは安静にして膝の負担を減らします。それによって膝の腫れが引けば、そこから運動療法などを行って膝に負担をかけにくい体の使い方を作ることが大切です。 もし膝の腫れが長期間引かない場合は、膝の関節に針を刺して液体成分を抜き取る処置ですぐに緩解します。しかし、膝の炎症自体が治まっていなければ、すぐに膝の腫れは再発するでしょう。 膝の水を抜いたら、後療、罨法、手技療法、運動療法などで膝にかかる負担を減らすようなアプローチが必要になります。整形外科でリハビリをしても良いですし、水を抜いた後は接骨院や整骨院でも膝の治療が可能です。 関節リウマチ リウマチでは、関節に慢性的な炎症を起こすので、変形と腫れを起こします。通常は関節リウマチの症状は指先から発生していきます。そこから徐々に範囲を広げて、全身の関節で痛みを起こす可能性が出てきます。 その中でも、荷重関節である膝関節で起きた場合の炎症は、比較的強い腫れを認めることもあるのです。変形性膝関節症の場合は、簡単な言葉で表現すると、使い過ぎ(オーバーユース)によって発生します。 しかし、関節リウマチの場合は免疫機能の異常で、病原菌やウイルスに対する免疫機能が、自分の体を構成している細胞に対して働いてしまっている状態です。ですから、自らを攻撃して炎症を起こしている状態とも言えます。腫れと変形が出てくるので、可動域も狭まり運動機能が低下していく恐れもあります。 対処法 関節リウマチに対処するには、薬物療法や運動療法、手技療法が有効です。あまりにも日常生活に支障が出ている場合は、膝の人工関節置換術など外科的手術を実施する場合もあります。薬物療法によって炎症を抑え、腫れを引かせます。 その後、膝の変形や痛みを緩和するため、運動療法によって負担のかかりにくい体の使い方を獲得していきます。手技療法によって膝を動かす筋肉の緊張を緩和できれば、可動域が回復していく可能性は十分あると言っていいでしょう。 痛風 痛風は突然の激しい痛みを特徴とする病気です。足の親指や足の裏、かかと、膝などに症状が現れることがあります。発症すると1日から2日でピークを迎えますが、適切な治療を行わないと再発する間隔が短くなり、関節破壊を引き起こす可能性があります。 対処法 痛風発作に対しては、鎮痛薬を用いて痛みを和らげることが一般的です。症状が落ち着いたら、尿酸値を下げる治療薬の使用が検討されます。日常生活では、尿酸値を上げる食べ物を控えめにし、適度な運動を心がけることが大切です。 オスグッド病 オスグッド病は、膝の痛みを引き起こす疾患の一つです。主に成長期の子どもに多く見られ、膝のお皿の裏側にある骨の成長と太ももの筋肉の発達のバランスが崩れることが原因と考えられています。 対処法 オスグッド病の治療は、主に安静と炎症を抑えることが中心となります。膝への負担を減らすために、スポーツ活動を一時的に制限することが必要です。痛みが強い場合は、医師の指示のもと、鎮痛剤や湿布などを使用して症状を和らげます。 また、ストレッチや筋力トレーニングを行い、膝周りの柔軟性と筋力を高めることも重要です。さらに、痛みを引き起こす動作そのものを見直し、バランスの取れた動作を習得することも症状の改善に役立ちます。例えば、膝に負担のかかる動作を避け、正しい姿勢や動作を身につけることで、膝への過度な負担を減らすことができます。 半月板・靭帯損傷 半月板や靭帯の損傷は、膝関節の腫れや痛みの原因となります。スポーツ活動だけでなく、日常的な膝への負荷の繰り返しによっても発症する可能性があります。 対処法 半月板や靭帯の損傷に対する治療は、損傷の程度によって異なります。軽度の場合でも、医師の診察を受けることをおすすめします。 医師の指示のもと、安静とともに、湿布や鎮痛剤で症状を和らげます。中等度以上の損傷では、専門医による詳細な診察と治療が必要です。理学療法やリハビリテーションを行い、膝関節の機能回復を図ります。場合によっては、手術療法が検討されることもあります。いずれの場合も、早期の診断と適切な治療が重要です。 打撲・強打 膝の打撲や強打は、外部からの強い衝撃によって引き起こされます。スポーツ中の事故やつまずいて転倒した際などに発生しやすいです。 対処法 打撲や強打による膝の痛みに対しては、RICE処置が有効です。Restは安静、Iceは冷却、Compressionは圧迫、Elevationは患部の挙上を意味します。痛みが強い場合や腫れが引かない場合は、医療機関を受診し、専門医の診察を受けることが大切です。 膝裏のリンパが詰まっている 膝裏のリンパ節が腫れると、膝の痛みや違和感を引き起こすことがあります。リンパ節は、体内の不要なものや細菌、ウイルスなどを処理する役割を持っています。ただし、リンパ節の腫れは、感染症や炎症、腫瘍などが原因で起こることもあるため、注意が必要です。 対処法 膝裏のリンパ節の腫れに対しては、まずは安静にすることが大切です。過度な運動は控え、患部を冷やすことで腫れを和らげます。また、マッサージやストレッチを行い、リンパの流れを促進することも効果的です。症状が長引く場合や腫れが大きい場合は、医療機関を受診し、専門医の診察を受けましょう。 膝の腫れと突然の痛みを起こしやすいのはこんな人 明確なきっかけが無いのに、突然膝に腫れや痛みを発生させるのは、どんな特徴の人に多いのでしょうか。 股関節が硬い人 股関節の動きが悪い場合、その分を膝関節で代償するようになるので負担が増えます。歩行の動作を例にとると、股関節が動きにくいせいで足を前に進める力が弱くなります。その分、膝関節を大きく動かして足を前に進めるようになるので、通常時よりも負担が増えてしまうのです。 この場合、膝関節で起きた炎症を抑えるための治療はもちろん、股関節の可動域を増やすような運動療法が必要です。 立ちっぱなしの人 仕事柄や生活習慣上、1日の大半を立ちっぱなしで歩き回って過ごすという方の場合、変形性膝関節症などのリスクを高めるので、突然膝に痛みと腫れを起こすこともあります。 1日であれば大したダメージにはならないかもしれませんが、これが何日、何週間、何年と続くと大きな症状に繋がります。意識的に座ることや、膝の荷重を避ける瞬間を作れると良いでしょう。 姿勢が悪い人 猫背や巻き肩、ストレートネックなど、明らかに姿勢が悪い人は、膝にかかる負担も大きいです。特に、上半身のゆがみが膝に影響を与えることも多く、頭の位置が前に出ているほど膝の不調を起こすリスクは高まります。頭はとても重い部位であり、体の重心から少し外れるだけでも負担が何倍にも増えてしまいます。 また、腰が曲がって骨盤が後ろに傾いている人も、股関節の動きが悪くなって膝の負担を増やします。そこから変形性膝関節症の進行を早め、なかなか治まらない炎症を発生させていくのです。ただ単に膝を使いすぎるだけでなく、通常よりも少し大きな負担をかけ続けていることが問題なのです。 足関節の動きが悪い人 足首が硬いと、やはり膝で代償するようになるので負担が増えます。足首が硬くなる原因は、筋肉を使いすぎて疲労を溜めていることもあります。さらに、足関節捻挫の後に治療をしっかり行わず、後遺症を残してしまった場合も考えられます。 特に足関節捻挫をしっかり治さないと、背屈制限が残ることがあるので、足関節捻挫を軽く見てはいけません。それが将来的に変形性膝関節症のリスクを高めることになるのです。 体重が重い人 体重が重ければ、単純に考えて物理的負担が増えるので膝の不調も起こりやすくなります。実際、肥満の方は変形性膝関節症のリスクも高く、年齢と共に多くの方が膝に不安を抱えるようになります。 膝の使い方や姿勢をいくら良くしたところで、物理的に荷重が大きすぎれば膝関節の半月板はつぶれていきます。そこから炎症に発展し、常に膝が腫れている状態になってしまうのです。定期的に膝の水を抜くことになりますが、それこそ膝の腫れ癖になったかのような錯覚に陥るかもしれません。 しかし、水を抜いたことで癖になったのではなく、膝で炎症を起こす原因が解決されていないということなのです。また、元々体重が重かった人はもちろん、急激に太った場合も膝の不調リスクは高まります。 一度膝が腫れたことがある人 以前に膝が腫れた経験がある人は、再発する可能性も高いです。突然の外傷以外では、日常生活の軽微な外力によって膝の炎症を起こします。原因が生活習慣にあるので、しっかり意識して変えていかないとすぐに炎症は再発するものです。 一度良くなって完治した後も、良い状態をキープできるように定期的に体のメンテナンスをすることが大切になります。 突然膝が腫れて痛かったらどうすればいい? もし、突然膝に腫れと痛みが出たら、どのように対処すればいいのかご紹介していきます。 大腿部をマッサージする 軽い力でさする程度でいいので、大腿部の筋緊張を取り除くことが重要です。膝で炎症が起きる原因の多くは、膝の使い方にあります。膝の使い方を大きく左右するのが大腿部の筋肉なので、特に大腿四頭筋を自分でマッサージします。 筋緊張が緩和されれば、膝にかかる圧力も減って、自然と腫れが吸収されていく可能性もあります。あまり強い刺激を加える必要はないので、優しくもみほぐすイメージで行ってみてください。 お風呂でよく温まる 急性外傷でない限りは、温まることで症状が緩和されるケースも多いです。細菌感染など、病気でないことが前提ですが、変形性膝関節症や筋肉疲労が原因であれば有効な対処法です。温まることで筋肉の緊張もほぐれ、血流が良くなります。 その結果、腫れの成分も周りの組織に吸収されやすくなり、腫れも痛みも引くようになるのです。 整形外科に行く 突然の腫れと痛みを検査するには、整形外科が最も適しています。レントゲンも撮影できますし、場合によってはMRIで精査することもできます。外科的処置も出来るので、腫れの原因をはっきり知ることが出来るでしょう。根本的な治療でなくとも、膝の水を抜くなどの対症療法はかなり楽になります。 接骨院に行く 接骨院では、膝の腫れが出た原因を確定診断することは出来ません。しかし、有効な手技療法や後療法、運動療法などの処置ができるので、膝の負担のかかり方をコントロールするのに最適です。整形外科と接骨院を併用することもできるので、上手く使い分けてください。 まとめ 膝は骨や関節、靭帯、腱などの構造が不安定な部位であるため、普段の姿勢などちょっとしたことが原因で膝へ負担がかかり、炎症が起きて腫れや痛みが生じやすい部位になります。 膝の腫れや痛みなどの治療を受けても改善されず、手術しかないのだろうかと思っている人は再生医療という治療方法もあります。治療法の選択肢として、再生医療も検討してみてはいかがでしょうか。 >メール相談・お問い合わせフォームはコチラ 監修:リペアセルクリニック大阪院 膝の痛みに関連する記事はこちら ・完治まで膝から水はなくならない?膝に水が溜まる原因と治し方 ・正座すると膝が痛いのは危険サインか?変形性膝関節症の可能性も ・膝を曲げると痛いのは病気のサイン?音が鳴る原因は ・膝をつくと痛い!痛みの原因や症状考えれる病態は? ・膝の上が痛い原因は使い過ぎ?痛みに繋がるリスクとは ・膝の皿が痛いのはなぜ?考えられる原因や病名は ・膝の内側の痛みの原因は?症状や治し方について 再生医療による膝の治療に関連する記事はこちら ・膝の症例 現役プロスポーツ選手 ひざの痛みにPRP治療 人工股関節、人工関節に関連する記事はこちら ・人工股関節術後に脱臼する可能性と生活の注意点をチェック ・膝の人工関節手術は失敗がある?知っておくべきリスクとは 当院の治療についての考え方や再生医療についての内容もお読みください ・スポーツ外傷・障害の痛みに対する当院の治療 ・変形性股関節症に対する当院の治療 ・再生医療とは ・PRP(多血小板血漿)療法とは・ ・ご相談から治療までの流れ ▼こちらもご参照ください 変形性膝関節症の発症原因と痛みを感じる仕組み
最終更新日:2024.06.18 -
- ひざ関節
膝の水の正体と水が溜る原因、考えられる病気の種類と治療方法を徹底解説 膝に起こる異変の一つとして、水が溜まるという現象があります。 膝の水が溜まってしまう原因は様々で、膝の水を検査することでどんな病態が隠れているのか知ることもできます。決して年齢が高いから膝に水が溜まるわけではなく、若年層でも膝に水が溜まるケースは考えられます。 そこで今回は、膝に水が溜まる原因と、完治までどのような経過をたどっていくのかご紹介していきます。 膝の水の正体と、水が溜まる原因 膝に水が溜まる原因は、関節内に炎症が起こるからです。炎症の原因は、まず一つに「靭帯損傷」や「半月板損傷」といった外傷で膝に水が溜まる場合、もう一つは、「変形性膝関節症」などの慢性的な症状によって膝に水が溜まる場合です。 膝関節の動きに重要なものに「関節液」があります。この関節液は、関節の動きがスムーズにする潤滑剤の役割をしています。よく耳にする「膝に水が溜まる」という言葉、実のところ、この関節液が正体なのです。 このように「膝の水」は、関節液なので誰の膝関節にも存在していて、問題はその量ということです。膝に水が溜まると言われる状態は、何らかの原因で関節液が増えてしまった状況です。 この膝関節内に溜まっている膝の水(関節液)は、純粋な水分というわけではなく、血液が混じっていたり、化膿して発生した物質が混ざったりすることがあります。 その膝に溜まっている水を注射で抜き、どんな成分が含まれているか検査をすることで、膝関節で起こっている病変を特定することにも役立ちます。 その成分が、「炎症成分であれば、関節炎が起きていることが分かり」、「血液であれば靭帯損傷などの軟部組織損傷」であることがわかるのです。 膝の水 関節液 ▲炎症成分 関節炎 ▲血液 靭帯損傷、軟部組織損傷 膝の水を抜くと癖になる?! 膝に水がたまると、「水を抜くと癖になる」という話。膝に溜まった水を抜くと、何度も繰り返すようになってしまうという噂ですが、これは正しい情報ではありません。 実際に、一度膝に溜まった水を抜き、その後も何度も処置をしなければならないケースはありますが、抜いたことで癖になっているのではありません。単純に、膝関節内での炎症が治まっていないから腫れが引かないだけなのです。 ですから、癖になるからと言って膝関節の水を抜くことをためらっている方もいらっしゃいますが、我慢する必要は全くないのです。むしろ、膝の水を放置しておくことで、悪影響が出ることもあります。 水を抜くと癖になる ✕(嘘) 炎症が収まっていないから溜る 〇(抜いたほうが良い) 抜くのを我慢する ✕(意味がないので抜いたほうが良い) 膝の水を放置する ✕(悪影響も) 膝の水を放置すると、どうなるか? 膝の水を放置すると膝関節にズレが出やすく悪影響となる恐れがあります。通常であれば関節包内で関節軟骨がスムーズな動作や衝撃吸収のシステムを作り出していますが、関節内に水が充満しているとそれらの機構が上手く機能しなくなるからです。 その結果、膝をかばった動作を行うことで膝周辺の筋肉に余計に負担をかけ、その周辺に異常な緊張が生まれ、膝関節の安定性をさらに低下させてしまいます。 膝の動作でズレが出るので、膝の水が引いたあとも再び関節炎を起こしやすくなり、膝に水が溜まる現象を繰り返すことになります。また、可動域制限がかかった膝をかばうことで、股関節や足関節の負担が増加し、新たな障害の可能性が増すだけです。 膝の水を放置することは、膝だけの問題であったものが二次的に他の関節にも痛みを生じさせることになってしまうのです。 膝にたまった水の放置 ▼膝関節のスムーズな動作を阻害 ▼膝をかばった動作となり、その他の関節に負担が出る ▼新たな障害の可能性が増える 膝にたまった水を放置してはいけません 膝の水は、完治するまで無くならない ここまでご紹介してきたように、「膝に溜った水は抜いても癖になりません。」むしろ「放置しておくことは逆効果」で、炎症が治まっていない限りは膝の水は発生し続けます。 膝に水が溜ることを完治させるためには、水が無くなるまで注射で抜き続けるのではなく、膝で炎症を起こしている根本的な原因を改善しなければなりません。その原因が解決されない限りは、膝の水が溜まる現象は完治することは無いのです。 水が溜る ▼水がなくなるまで抜く ✕ 水が溜る根本原因を改善する 〇 ▲水が溜らなくなる 水を抜く必要がなくなる 膝に水が溜まる病気の種類について 膝に水が溜まるという現象が起こり得る病態とは、どのようなものがあるでしょうか。 変形性膝関節症 変形性膝関節症とは、打撲や捻挫をしたわけでもないのに、慢性的な症状で膝に水を溜める大きな原因が「変形性膝関節症」です。特に50代以降で、「外傷の可能性が無いのに膝に水が溜まってきている」場合、高い確率で「変形性膝関節症」だと思ってください。 変形性膝関節症は関節の軟骨が摩耗により、大腿骨と脛骨の関節面が直接擦れ合うようになり、関節内で炎症を起こす病態です。膝関節に負担を蓄積することで、少しずつ関節が変形していきます。 一度変形が起きた骨は元に戻ることはなく、炎症を抑えるためには体の使い方を見直す必要があります。股関節の動かし方や膝関節の動かし方、さらには背骨のゆがみや骨盤のゆがみなど、全身のバランスから改善することが必要なる場合もあります。 変形性膝関節症による炎症が落ち着けば、膝の水も無くなっていくので、必ずしも水を抜く処置を受ける必要はありません。 関節リウマチ 関節リウマチとは、全身のどの関節でも起こる可能性がある炎症です。この炎症は、免疫機能が異常を起こし、健康な骨や筋肉を構成している細胞を攻撃してしまう病態で、関節内での炎症と変形が主な症状となります。 痛みもあるので関節の可動域も狭くなり、変形が起きればさらに関節が動かしにくくなります。そこから慢性的な膝関節炎を起こし、膝全体が腫れあがったような水のたまり方をすることもあります。 薬物療法や運動療法などで炎症が軽減されれば、膝の水は自然と吸収されていきます。 靭帯損傷 靭帯損傷は、膝を支える靭帯に大きな外的衝撃を受けた場合に起こる損傷です。中でも膝に腫れを起こしやすいのが、前十字靭帯の損傷です。前十字靭帯は、他の膝関節の靭帯である後十字靭帯や内側と外側の側副靭帯に比べて、血流量が多いという特徴があります。 そのため、損傷すると関節内に出血を起こしやすく、血腫が溜まるので外から見ると膝に水が溜まったように見えるかもしれません。関節内に存在しているという構造上、保存療法だけではしっかり靭帯が治癒しないことも多くあります。 この場合、膝の腫れに対して対処するというよりは、「前十字靭帯の再建術など外科的処置を受けることによって、膝の水も治まっていく」という過程をたどります。 しかし、前十字靭帯損傷後には後遺症として、膝関節の負担が大きくなったことで慢性的な膝関節炎に移行するということが考えられます。この場合、再び膝に水が溜まる可能性もああり、運動療法などで膝に負担をかけない動かし方を獲得していく必要があります。 半月板損傷 膝の半月板を損傷するのは、外傷など強力な一回の外力によって起こるものと、変形性膝関節症などゆっくりと時間をかけて少しずつ損傷していくものとがあります。 どちらにせよ、膝関節にかかる荷重の衝撃を吸収するクッション作用が弱まるので、膝関節内で炎症を起こすことになります。そこから膝に水が溜まるようになるため、膝の水を抜くことが根本的な改善策になるわけではありません。 結局、膝の負担が変わっていなければ、すぐに膝の水は再度溜まっていきます。また、外傷によって半月板損傷を起こしている場合、半月板だけの単独損傷である場合は少なく、周辺の靭帯や軟部組織損傷を伴っていることがほとんどです。 膝に水が溜まったとき、やってはいけないこと 膝に水がたまった場合、早く完治させるために気を付けなければならないポイントをご紹介します。 我慢しすぎない 前述したように、膝に溜まった水を抜くことで癖になることはありません。必ず外科的な処置によって抜かなければならないわけではありませんが、放置すると膝関節の安定性は低下してしまいます。 屈曲角度が著しく制限されている場合や、日常生活に大きく支障が出ている場合は、我慢せずに早めに整形外科などで相談してください。放置しすぎることによって、かばった体の使い方が定着してしまい、腰痛など二次的な不調を引き起こす可能性が高まります。 痛みを無理して動かす 膝に水が溜まっているということは、少なくとも何か膝に負担をかける要因があるわけです。炎症かもしれませんし、軟部組織損傷かもしれません。いずれにせよ、痛みがありながら無理して動かすことで、プラスに働くことは無いと思ってください。 むしろ、痛みを我慢しながら動かすことで、炎症を悪化させて関節の内圧をさらに高めてしまうこともあります。安静にすることもとても大切なケアなので、膝に水が溜まってきたら出来る限り安静にしてみてください。 それでも膝の水が完治しなければ、医療機関を早めに受診してください。 過剰に冷やす よく炎症が起きた時にはアイシングをすると良いという話を聞くことがあると思います。しかし、過剰に冷やすことは、かえって膝の炎症が完治するのを遅らせてしまうこともあります。 確かに冷やすことで感覚が鈍って、痛みを感じにくくなるかもしれません。しかし、常に冷やしていると血流も悪くなり、代謝が下がって膝の水が吸収されにくくなります。 結局のところ、組織を早期に治癒させるためには、豊富な血流が必要なので基本的には温めるべきです。例外としては、前十字靭帯損傷後に、血腫が大量に溜まっている場合くらいです。急性期の大きな外傷の場合は温めることはせず、安静にしてください。 膝に水が溜まった場合の対処について 膝に水が溜まった場合、完治させるためにはどのような対処法を行うべきでしょうか。 ストレッチをする 出来る限りでいいので、ストレッチなどで膝関節周辺にある筋肉の緊張を緩和させることが大切です。筋肉の緊張が緩和すれば、膝関節の動きもスムーズになって腫れも早く引きます。 膝の水は、抜かなくても自然と吸収されるので、その機能を最大限引き出すつもりでゆっくりストレッチをしてみてください。大腿部や下腿部のストレッチが有効です。 安静にして荷重を避ける 膝が炎症を起こしてしまうのは、荷重による異常がほとんどです。荷重の角度が悪かったり、荷重の頻度が高すぎたり、荷重が重すぎたりすることでダメージを蓄積していきます。 膝に水が溜まるくらいまで炎症が進んでいるようなら、安静にして荷重を避けるだけでも完治を早めることに繋がります。 サポーターなどの装具を使う 膝関節を保護するために、ただ巻くだけの簡易的なサポーターでも良いです。荷重を分散させてくれるような高価なサポーターももちろん良いですが、一時的な対処法であることは自覚しておいた方が良いでしょう。 サポーターを付けることで慢性的な症状に対して、冷えを防ぎ安定性を高めてくれます。実際に装着してみて、少しでも楽に過ごせるようなら使い続けてみてください。 その際には、四六時中サポーターを装着して生活するのではなく、寝るときは外すなどメリハリをつけることも大切です。特に慢性的な症状が原因で出ている膝の水であれば、根本的な体の使い方を見直さない限り完治には至りません。 整形外科で水を抜いてもらう 膝関節の水を抜けるのは、整形外科です。関節に針を刺して抜く方法で、対処してもらえます。膝に水が溜まっているから即座に抜くというわけではなく、生活への支障度合いなどを考慮して選択されます。 水を抜いて検査をしてみれば、実際に何が炎症の原因になっているか判断できるので、長期間続いている場合は早めに抜いてもらってみてください。 接骨院や整骨院にいく 接骨院や整骨院では、外科的処置ができないので、水を直接的に抜くことは出来ません。しかし、周りの筋肉の緊張を緩和させたり、運動療法を行うことによって膝のダメージを軽減させたりすることは出来ます。 その結果、自然と膝の水は吸収されていくので、可動域の制限度合いによっては真っ先に受診するのも良いでしょう。 膝の水は吸収されていく 膝に水が溜まるという現象は、あくまで関節内で炎症が起きていることのサインです。炎症が治まれば、周辺の組織に吸収されて無くなっていきます。膝の水を完治させるためには、なぜ炎症を起こしているのか原因を突き止め、根本を改善することが大切です。 お近くに再生医療やスポーツ医療についての専門医がいない方へ リペアセルクリニックは、第二種・第三種再生医療提供計画を厚生労働省に提出し受理された厚生労働大臣許可医療機関です。当院では来院前でも「メール相談」を受付けています。どうぞ事前にご相談ください。 メール相談・お問い合わせフォームはコチラ 監修:リペアセルクリニック大阪院 膝の痛みに関連する記事はこちら ・膝の痛みと腫れが突然出た!考えられる原因は? ・正座すると膝が痛いのは危険サインか?変形性膝関節症の可能性も ・膝を曲げると痛いのは病気のサイン?音が鳴る原因は ・膝をつくと痛い!痛みの原因や症状考えれる病態は? ・膝の上が痛い原因は使い過ぎ?痛みに繋がるリスクとは ・膝の皿が痛いのはなぜ?考えられる原因や病名は ・膝の内側の痛みの原因は?症状や治し方について 再生医療による膝の治療に関連する記事はこちら 膝の症例 現役プロスポーツ選手 ひざの痛みにPRP治療 人工股関節、人工関節に関連する記事はこちら ・人工股関節術後に脱臼する可能性と生活の注意点をチェック ・膝の人工関節手術は失敗がある?知っておくべきリスクとは 当院の治療についての考え方や 再生医療についての内容もお読みください ・スポーツ外傷・障害の痛みに対する当院の治療 ・変形性股関節症に対する当院の治療 ・再生医療とは ・PRP(多血小板血漿)療法とは ・ご相談から治療までの流れ こちらもご参照ください
最終更新日:2023.08.30 -
- ひざ関節
- 変形性膝関節症
正座ができない!膝の痛みを引き起こす7つの病気と4つの対処法 膝が最も深く曲がる動作と言えば、正座ですよね。 普段は何気ない座り方であっても、膝でなにか問題がおきると正座をするときに強い痛みが出るようになります。ぶつけたり捻ったりした、いわゆる外傷後であれば原因もわかりやすいですが、正座の際の痛みは外傷だけではありません。 自分では何も思い当たる原因がないのに、ある日突然正座をすると痛いということが起こり得るのです。今回は、正座をすると膝が痛いという場合に、どんな問題が起きている可能性があるのかご紹介していきます。 正座をすると痛いときに考えられる7つの病態 正座をすると痛いという場合に、どんな問題が起きている可能性があるのか、詳しく掘り下げていきます。 1.変形性膝関節症 膝をぶつけたり捻ったりしたわけでもないのに、正座をすると痛い、または正座がほとんど出来ないとなれば変形性膝関節症を疑います。年齢にもよりますが、50代以降で正座の際に痛みが出る場合は、変形性膝関節症の可能性としては高いです。 変形性膝関節症は、大腿骨の下端と脛骨の上端で構成される膝関節が、少しずつ潰れて変形してしまう病態です。間に挟まっている関節軟骨が、繰り返しの外力によって少しずつ摩耗し、穴が開いたり破れたりしていきます。 すると、体重がかかったときのクッション作用が上手く機能せず、骨自体が直接影響を受けて潰れてしまうのです。特に膝関節の内側で変形が起こるケースが多く、変形性膝関節症が進行するとO脚のような形が酷くなっていきます。 この状態で膝を最大屈曲させるような、正座の動作をすれば、関節内に異常な圧迫力がかかって痛みを伴います。さらに、変形性膝関節症であるということは、通常の歩行時にも痛みを伴っているケースも多いです。 それが長期間続けば、膝関節周辺の軟部組織を損傷している可能性も高いので、それによって正座で痛みが出ていることも考えられます。いずれにせよ、変形性膝関節症がある状態で再び問題なく正座をするためには、根気強いリハビリが必要になります。 2.靭帯損傷 膝の周辺には、関節内にある前十字靭帯と後十字靭帯、関節の内側にある内側側副靭帯、関節の外側にある外側側副靭帯の4つが存在しています。これらで損傷が起きていると、膝関節の最大屈曲位で痛みが出るので、当然正座でも痛みが発生します。 また、膝関節周辺のこれらの靭帯は、それぞれが強固な作りになっています。そのため、どれか一つの靭帯が損傷されるほどの外力がかかっているということは、他の靭帯も一緒に損傷している可能性が高いです。 例えば、前十字靭帯が損傷するほどの外力がかかっていれば、内側側副靭帯も一緒に損傷している頻度が高いのです。正座をすることによって膝の屈曲角度が鋭角になり、損傷している靭帯に牽引力がかかって痛みが出ます。 さらに、靭帯損傷をしたことによって膝関節で腫脹がでていれば、正座の屈曲によって関節内の圧力が高まって痛みを感じることもあります。さらに、膝関節の靭帯損傷が起きている場合、関節軟骨の損傷を伴っていることも多いです。 仮に関節軟骨を損傷していれば、膝関節を屈曲させたときに関節内で嵌頓してしまい、痛みを発生させることも考えられます。靭帯損傷している場合では、正座をするということはほぼ不可能でしょう。 3.関節軟骨損傷 膝関節にある関節軟骨は、内側半月と外側半月の2つに分かれています。それぞれ、三日月のようなC字状の形をしています。靭帯損傷を伴うほどの外力によって一回の衝撃で関節軟骨を損傷する場合もあれば、軽微な外力の積み重ねで少しずつ関節軟骨を摩耗していく場合もあります。 通常は、関節軟骨があることによって、膝の屈曲伸展などの動きがスムーズに作用します。さらに、ジャンプの着地時など、地面から伝わる衝撃をうまく吸収する役割も果たしています。 この関節軟骨が損傷している状態だと、大腿骨の関節面と脛骨の関節面の間で、滑りが悪くなります。そのため、膝関節を最大屈曲させる正座という動作では、動きのズレを起こして痛みを伴いやすくなるのです。 さらに関節軟骨が摩耗して、ほとんど存在しないようなケースも見受けられます。この場合、大腿骨や脛骨の関節面が直接ぶつかることになるので、正座でも歩行でも痛みを伴うでしょう。 4.大腿四頭筋腱炎 大腿四頭筋を繰り返し使い、疲労を蓄積することで脛骨粗面や膝蓋骨周辺に微細な損傷を起こします。そこから、大腿四頭筋腱炎に発展するのです。大腿四頭筋腱炎はジャンパーズニーとも呼ばれ、膝蓋骨の下から脛骨粗面まで続く膝蓋靭帯での炎症も起こします。 そのため、大腿四頭筋腱が位置している膝蓋骨の上部や、膝蓋靭帯がある膝蓋骨の下部でも痛みを発生させることがあります。発生機序としては大腿四頭筋の使い過ぎでバレーボールやバスケットボールなど、ジャンプを繰り返す競技に力を入れている方がなりやすい症状でもあります。 大腿四頭筋腱に微細な損傷を起こしているので、牽引力が加わることで痛みを発生させます。膝を最大屈曲する正座では、大腿四頭筋の牽引力も強くなるので痛みを伴いやすいのです。大腿四頭筋腱の炎症が治まれば、再び正座も問題なく行えるようになります。 しかし、炎症が起きた後にすぐ同じようにスポーツ活動を再開すれば、いずれまたすぐに大腿四頭筋腱炎を再発させる可能性が高いです。そのため、早期治癒と再発予防を目指すなら、股関節や足関節の柔軟性を高めて膝関節にかかる負担を減らせるようにすることが大切です。 5.膝関節炎 膝関節が何らかの原因で炎症を起こしていると、正座のときでも痛みが出ます。変形性膝関節症があれば、膝関節内で炎症を起こしていることもあります。それ以外でも、関節軟骨の損傷や靭帯損傷の二次的な症状としても現れることがあるでしょう。 そういったわかりやすい損傷以外にも、膝関節を動作させる筋肉に異常な緊張があると膝関節内で炎症を起こすことがあります。例えば大腿四頭筋が異常な緊張を起こしていれば膝蓋骨が大腿骨の関節面に強く押し付けられる形になり、そのまま膝関節の屈曲伸展を繰り返すことで摩擦が起きます。 摩擦力で負ったダメージによって、膝蓋大腿関節で炎症を起こし、正座をすると痛いという状況に陥るのです。他にも、大腿部外側の筋肉が異常な緊張を起こし、内転筋とのバランスが悪くなることで膝関節内での炎症に繋がることがあります。 打撲などの外傷が無くても、足に合わない靴を履いていたり、足関節の動きが悪かったり、股関節の動きが悪かったりすれば大腿部外側の筋肉が硬くなることがあります。膝関節がO脚のように引っ張られていくので、膝関節の内側で摩擦が起きて炎症に繋がるのです。 6.オスグッド オスグッドは10代特有の症状でもありますが、大腿四頭筋の牽引力によって脛骨粗面で炎症が起きる病態です。まだ骨が成長しきっていない年代で起こることが多くサッカーやバスケットボールなど、ジャンプやダッシュで大腿四頭筋が強く緊張することが多いと起こりやすいです。 大腿四頭筋で筋力発揮をするたびに、停止部である脛骨粗面に強い牽引力が加わり、微細な損傷を起こしながら炎症していきます。その結果、正座をすることで大腿四頭筋の牽引力が高まって痛みが出ますし、地面に脛骨粗面が当たることでも痛みを発生させます。 一回の激しい外力でオスグッドを発症するというよりは、日々のスポーツ活動において負担を少しずつ蓄積することで発症していきます。そのため、普段から大腿四頭筋のストレッチを行っておくことや、股関節をはじめとする下半身の使い方を見直し、ダメージの蓄積を防ぐことが大切です。 また、オスグッドによる痛みを発生させる前に、正座をする習慣があるとオスグッドの発生率は低くなります。 7.肉離れ 大腿部の後面にあるハムストリングス、または下腿部の後面にある下腿三頭筋で肉離れを起こしていれば、正座をするときに膝で痛みを発生させることもあります。もちろん、正座をすることで損傷部位に圧力をかけることになるので、それによって痛みを発生させるということもあります。 そういった直接的な原因だけでなく、肉離れによる痛みをかばって膝に異常な負担をかけていることで、二次的な膝の痛みに繋がるのです。下肢の後面で肉離れを起こしているということは損傷部に牽引力が加わらないように少しだけ膝を屈曲させた状態で過ごすことになります。 これが長期間続けば、当然下肢前面にある大腿四頭筋や前脛骨筋にも負担を蓄積し、膝関節炎に繋がるような負担がかかります。その結果、正座など膝が強く屈曲する瞬間や、逆に強く伸展する瞬間に膝で痛みを発するようになるのです。 正座で膝に痛みが出たときの4つの対処法 正座をすると膝が痛いという状況が突然襲ってきた場合、自分でどのような対処法をすればいいのかご紹介していきます。 1.同じ姿勢を続けない 筋肉が緊張することで、正座の際の痛みを助長しているケースがあります。その場合、長時間同じ姿勢が続くと、その後に動き出すときに痛みが出ることがあります。 長時間椅子に座っていた後に、急に正座をしようとすると痛みが出るので、それ以前の段階から20分に1回は立つようにするなどの対策が必要です。どんな体勢だとしても、長時間同じ姿勢を続けていること自体が良くないので、こまめに体勢を変えるようにしてください。 2.膝を温める 外傷の直後でない限りは、温めることで膝の動きが良くなり、正座での痛みが軽減できることがあります。温めることで血流が良くなるので、筋緊張が緩和されます。 筋緊張が緩和されれば、膝関節で起きる異常な摩擦や荷重が無くなり、正座もスムーズにできるようになるのです。変形性膝関節症と診断された方でも、お風呂に入った後には正座が比較的楽にできるという方も多いです。 3.ストレッチをする 特に大腿四頭筋のストレッチをすることで、正座の際にかかる膝への負担を減らすことに繋がります。正座という動作は荷重をしながら膝を最大屈曲させる動作なので、実はかなり負担が大きいです。 まずは非荷重の状態で膝を屈曲しながらストレッチをして、徐々に荷重での屈曲に移行していきます。非荷重の状態で膝を屈曲した段階で痛みが出るなら、正座をすればほぼ間違いなく痛みは憎悪します。 まずは問題なく非荷重での屈曲が出来るようにして、その後正座に挑戦するという流れで改善していきましょう。 4.医療機関に相談する 正座をすると痛いことの原因が何にあるのか、結局のところは精査してみないとわかりません。明らかに外傷がある場合は別ですが、そうでなければ専門医に相談して原因を特定してから改善のための取り組みを行いましょう。 まずは整形外科に行き、骨など器質的な問題がなければ接骨院や整骨院でも入念な治療が受けられます。 ご注意!正座の痛みは重症化の前兆かも 正座は負担の大きい動作ではありますが、通常は痛みが無くできるはずです。しかし、関節内で炎症がある場合や、膝関節の軟部組織損傷がある場合は正座でも痛みが出ます。 歩行の痛みが無くても、正座の痛みが出てきたときには重症化の前兆である可能性も否定できないので、早めに専門医に相談するのが一番です。 お近くに再生医療やスポーツ医療についての専門医がいない方へ リペアセルクリニックは、第二種・第三種再生医療提供計画を厚生労働省に提出し受理された厚生労働大臣許可医療機関です。当院では来院前でも「メール相談」を受付けています。どうぞ事前にご相談ください。 監修:リペアセルクリニック大阪院 膝の痛み関連する記事はこちら 膝の痛みと腫れが突然出た!考えられる原因? 完治まで膝から水はなくならない? 膝を曲げると痛いのは病気のサイン? 膝をつくと痛い!痛みの原因や症状考えれる病態? 膝の上が痛い原因は使い過ぎ?痛みに繋がるリスクとは 膝の皿が痛いのはなぜ?考えられる原因や病名は 膝の内側の痛みの原因は?症状や治し方について 再生医療による膝の治療に関連する記事はこちら 膝の症例 現役プロスポーツ選手 ひざの痛みにPRP治療 ▼こちらも併せてご参照ください
最終更新日:2023.09.13 -
- ひざ関節
膝を曲げると痛いのは病気のサイン?音がする原因とは 膝を曲げると「ポキッ」と音がした経験がある方は意外と多くいらっしゃるのではないでしょうか。関節を動かして音が鳴ることには、様々な原因が考えられます。 痛みを伴わなければ、それほど気にする必要はありません。しかし、「膝を曲げると音が鳴って」なおかつ、「痛みを伴っている」ケースがあります。 今回は、膝を曲げると音が鳴って痛いという場合に、どんな疾患が考えられるのかご紹介していきます。 膝を曲げて音が鳴るのはなぜ? 関節で音がなるのは、関節の変形であったり、筋肉の緊張であったり、様々な原因が考えられます。どれも痛みがなければ気にすることはありませんが、中には痛みを伴って音が鳴っているケースもありますよね。 特に膝を曲げて音が鳴って、なおかつ痛いという場合には、関節軟骨に異常が出ていることがあります。関節軟骨は一回の強い衝撃によって外傷で損傷する場合もありますが、日々の微細なダメージによって少しずつ損傷していくこともあります。 ですから、自分でもいつから音が鳴っているのかはっきりわからないケースも多々あるのです。その他、腸脛靭帯という大腿骨の外側を走行している長い靭帯が、大腿骨の外側顆と摩擦を起こすことで、膝を曲げた時に音が鳴るということも考えられます。 この場合、長期間放置するとランナーズニーといって、腸脛靭帯炎に発展していくことがあるので注意です。 膝を曲げて音がなり、痛む場合 ・関節の軟骨に異常の可能性 ・腸脛靭帯炎の可能性(ランナーズニー) 膝を曲げると痛いときに考えられる病態 膝を曲げると痛い場合に、膝関節やその周辺ではどのようなことが起こっているのでしょうか。考えられる病態をいくつかご紹介していきます。 膝の筋力が弱っている 何か外傷や病気があるわけではなく、単に膝周辺の筋肉が弱っていることで痛みを発生させる場合もあります。膝を曲げたり伸ばしたりする筋肉と言えば、大腿部前面にある大腿四頭筋と、大腿部後面にあるハムストリングスという筋肉が代表的です。 その他にも、縫工筋、薄筋、半腱様筋といった鵞足に付着する筋肉も、膝の動作に関連します。細かい筋肉で言えば、膝窩筋も重要です。これらの筋肉が衰えてしまうことで、膝関節の動きにズレを発生させてしまいます。 以前は膝を曲げても痛くなかったし、音が鳴ることもなかったのに、なんだか急に最近気になりだしたという方は、もしかしたら運動不足などで筋力が弱っているのかもしれません。 ウォーキングを始めたり、自転車を漕いだり、無理のない範囲で運動を始めると良いでしょう。歩行時や立ち上がり時に痛みを伴っている方は、水中ウォーキングなど負担の少ない運動からスタートすると長続きします。 いずれにせよ、一時だけ運動を頑張っても根本的な解決にはならないので、楽な運動を毎日の習慣にすることが大切です。 変形性膝関節症 変形性膝関節症は、長い時間をかけて少しずつ膝関節を変形させていく病態です。一回の大きな衝撃によって急に膝が潰れたりするわけではないので、以前は気にならなかった膝屈曲時の痛みや音がだんだん強く感じられるようになってきます。 変形性膝関節症の初期段階では、荷重した状態で膝を曲げるような動きで痛みが出ます。しゃがみ込んだり、屈伸運動をしたりするような場面です。 そこから時間の経過とともに変形性膝関節症が進行すると、非荷重の状態でも膝を曲げた時に痛みが発生する場合もあります。その中で、曲げるとパキッと音がする方もいらっしゃいます。 変形性膝関節症はなぜ起こる? 変形性膝関節症になってしまう大きな原因は、膝の使い方です。体重のかかり方がよくなかったり、膝を使いすぎていたり、姿勢が悪かったりすると変形性膝関節症のリスクは高まります。 非荷重の状態で膝を曲げるのにも痛みを伴うわけですから、当然平地の歩行でも痛みが出ます。痛みが出るとそこをかばおうとして姿勢がゆがみ、さらに体重のかかり方に偏りが出てしまいます。 そうなれば、結果的に膝の負担を逆に増やすことになりますし、O脚がひどくなるような変形の傾向も強くなります。 あまりにも変形が強く進み、日常生活に著しく支障をきたす場合には人工関節置換術によって手術が行われることもあるくらいです。保存療法の場合は、膝の痛みが出ない範囲で無理なく運動を行い、筋力を徐々に取り戻していき膝を安定させます。 一度変形してしまったものは元に戻りませんが、痛みの出ないような膝の使い方を獲得すれば問題ありません。 変形性膝関節症で音がなる原因は? 変形性膝関節症になると、膝を曲げた時に音が鳴ることがありますが、それは関節軟骨の摩耗が関係しています。膝関節の内側には、関節半月または半月板と呼ばれる関節軟骨が位置しています。 変形性膝関節症の場合は、その関節軟骨を徐々にすり減らしていく形になり、穴をあけてしまいます。膝を曲げたり伸ばしたりしたときに、関節軟骨が異常な挟み込まれ方をすることで、パキッと音が鳴ります。 音がなるから必ずしも変形性膝関節症になるというわけではありませんが、一つの可能性として捉えることは出来ますね。 腸脛靭帯炎 腸脛靭帯炎は別名ランナーズニーと呼ばれています。大殿筋から始まる腸脛靭帯は、大腿骨の外側を縦に走行し、下腿の骨まで到達します。 その過程で大腿骨の外側顆と接触するのですが、何らかの原因で腸脛靭帯が緊張することで外側顆との摩擦が大きくなり、炎症を起こすことがあるのです。 その結果痛みを発生させ、ランナーズニーとして診断されるようになります。腸脛靭帯炎になると、屈曲や伸展運動の際に腸脛靭帯と外側顆が擦れるので、当然膝を曲げると痛みが出ます。 しゃがむなどの荷重時の屈曲でのみ痛みが出るケースと、椅子に座って膝を曲げるような非荷重時での屈曲でも痛みが出るケースがあります。 腸脛靭帯炎になってしまうのは、要は使い過ぎが原因です。大殿筋や大腿部の筋肉に負担がかかるような、長距離ランナーに多い症状です。 痛みが出ると、そこを守ろうとして周りの筋肉は自然と硬くなります。その結果膝関節の動きが硬くなり、痛みだけでなく曲げると音が鳴るという現象が出現することも稀ではありません。 また、膝を曲げるとゴリゴリ音が鳴るという方もいらっしゃいます。 腸脛靭帯炎はどのような治療が有効? 腸脛靭帯炎を治すには、まず安静にして患部の負担を減らすことが重要です。オーバーユースが原因なのですから、休むことができれば炎症も治まって痛みを感じなくなります。 しかし、痛みが無くなった後も以前と同じような体の使い方をしていれば、またすぐに腸脛靭帯炎は再発してしまいます。運動療法や後療法、手技療法などで、腸脛靭帯部に負担を蓄積しないような体の動かし方を身に着けておくことが重要です。 特に、骨盤が後ろに傾いている状態では、腸脛靭帯に負担をかけます。人間の体の構造上、骨盤が後傾することで股関節が開いて大転子が外に向いていきます。 その結果腸脛靭帯の張りも強くなり、股関節の屈曲伸展の動きで負担がかかるようになるので、腸脛靭帯炎が発生しやすくなってしまうのです。 骨盤が後ろに傾かないように、股関節前側の緊張を緩和させたり、胸椎のしなやかさを出したりすることが根本的な治療に繋がります。 足関節の動きも重要なので、下腿三頭筋や前脛骨筋のストレッチをしたり、足首の柔軟性を高めたりすることも有効です。 膝を曲げて痛い場合はどうしたらいい? 膝を曲げると痛い、または膝を曲げると音が鳴って気になるという場合、自分ではどのような対処をしたらいいのでしょうか。 大腿四頭筋のストレッチをする 膝で不調が起こる原因の多くは、膝を動かす筋肉の緊張から始まります。特に大きな筋力を発揮する、大腿四頭筋の緊張が出ると膝の障害リスクは上がってしまいます。 そこで、日ごろから大腿四頭筋のストレッチを習慣にしておくと良いです。単純に、大腿四頭筋は膝を最大屈曲することでストレッチ出来ます。 その時に、股関節が屈曲すると大腿四頭筋が緩んでストレッチ効果が半減するので、股関節が屈曲しないように注意してください。むしろ股関節を伸展気味にして膝を曲げた方が、大腿四頭筋が良く伸びます。 内転筋のトレーニングをする 何も考えずに日常生活を送っていて、最も筋力が落ちやすい部位の一つが内転筋です。膝の内側に位置する内転筋の筋力と、大殿筋などの股関節外転筋のバランスが崩れれば、膝の安定性も失われてしまいます。 O脚傾向も強くなり、変形性膝関節症なども進行してしまいますから、意識的に内転筋を鍛える必要があるのです。トレーニングジムなどで内転筋を鍛える器具を使うのが確実ですが、そうでなくとも簡単に鍛えることが出来ます。 ゴムチューブを足に巻き付けて、股関節の内転方向に力を入れるだけでも十分です。さらに、椅子に座った状態で足を浮かせ、膝を前にまっすぐ伸ばすだけでも効果があります。 そのとき、膝の内側にボールやクッションを挟むとより効果的です。鍛えられると、膝関節の運動もスムーズになりますし、安定性が増して負担も減るので痛みが軽減していきます。 足首をよく回す お風呂上りにでも良いので、足首を手で回すことで膝の負担を減らし、曲げた時の痛みを軽減させることが出来ます。足関節の動きの悪さは、膝関節の負担に直結します。 しかも、足関節の動きの悪さを自覚しているケースは少なく、膝をどんなに治療しても痛みが軽減しない原因にもなってきます。 足関節の底屈や背屈の動きがスムーズになれば、歩行時の推進力も増して膝の負担を減らすことが出来るのです。それが変形性膝関節症の進行を食い止めることにも繋がりますし、腸脛靭帯炎のリスクを軽減することにも繋がります。 整形外科で精査してもらう 原因不明の膝痛で、非荷重や歩行程度の屈曲でも痛みが出ている場合は、整形外科でドクターに相談するのが一番です。整形外科ならレントゲンも撮影できますし、場合によってはMRIも撮影できます。 転倒や打撲が無いのに膝関節が腫れて、曲げると痛いという場合には、変形性膝関節症が進行している恐れがあります。 まずは原因をはっきりさせることで、最も適したアプローチが出来るようになるので、早めに相談しておきましょう。 接骨院で治療する 筋肉の緊張を緩和させたり、筋力強化のサポートをしたり、保存療法を行うには接骨院も適しています。注射などの薬物療法は受けられませんし、レントゲンなどで画像診断をすることもできませんが、膝を曲げると痛いという状況に対して専門的な知識を使って治療してくれます。 接骨院は国家資格を持った治療家が従事しているので、今ある痛みを早く取り除くことはもちろん、再発予防のためにできるケアの指導が受けられます。 場合によっては、整形外科で精査した後に接骨院で治療を開始するという手段もあります。 膝を曲げると痛いのは異常のサイン 曲げた時の痛みがどんな原因であれ、膝で何か異常が起きているサインであることには違いありません。放置しておくと手術に繋がる症状も隠れているので、痛みについては早めに専門医に相談してください。 音がなるだけであれば、直ちに問題になることは少ないですが、痛みを伴っている場合はすぐに対処した方が良いでしょう。 お近くに再生医療やスポーツ医療についての専門医がいない方へ リペアセルクリニックは、第二種・第三種再生医療提供計画を厚生労働省に提出し受理された厚生労働大臣許可医療機関です。 当院では来院前でも「メール相談」を受付けています。どうぞ事前にご相談ください。 >メール相談・お問い合わせフォームはコチラ 監修:リペアセルクリニック 大阪院 膝の痛み関連する記事はこちら 膝の痛みと腫れが突然出た!考えられる原因は? 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最終更新日:2023.09.15 -
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膝をつくと痛い場合に考えられる8つの病名 膝は常に体重を支えている関節なので、年齢と共に軟骨がすり減りやすく、亜急性(急激ではないが徐々に進行する状況)の不調を起こしやすい部位とも言えます。 打撲や捻挫などによって膝を負傷することも当然ありますが、多くの方は明確な原因がわからず徐々に痛みが増すような症状の出方をしています。 若い年齢でもオスグッド病など、スポーツ活動を盛んに行っているなどといった日常生活の特徴があれば、歩行だけでも痛みが出るような症状になることがあります。 今回は、膝をつくと痛いという状況のときに、どんな病態が考えられるのかご紹介していきます。 膝をつくと痛い場合に考えられる8つの病名とは 膝をつくと痛いという場合に、どんな病態が考えられるのかご紹介していきます。膝を地面に着くということは、膝関節や股関節も屈曲しているということであり、様々な原因の可能性があります。 1.変形性膝関節症 50代以降の年齢になってくると急に症状が出始めるのが、変形性膝関節症です。本人の中では転倒したり、捻ったり、変な動作をしたという自覚は無く症状が出始めます。 膝をついたり曲げたりすると痛みがあり、場合によっては通常の歩行ですら強い痛みを感じるようになることもあります。膝関節の酷使や、過度な荷重の繰り返しなど、長年のダメージを蓄積することによって少しずつ変形していくものです。 最初は膝関節内にある半月板を擦り減らせて、徐々に骨自体の変形に移行していくこともあります。特に多いのが内側半月の損傷で、股関節の硬さや姿勢の悪さによって骨盤が後傾し、下肢全体がO脚傾向になることで内側半月の負担が増えます。 膝をつくと痛い、歩くと痛いという症状が出るころには、レントゲンなどで精査するとほとんど半月板が残っていないこともしばしばです。膝の内側が潰れるような変形が進み、さらにO脚傾向が強くなり、結果的に膝内側の負担をどんどん増すという悪循環になってしまいます。 2.タナ障害 関節包内にある棚のようなヒダが関節の間で挟み込まれてしまい、徐々に炎症を起こしていく症状をタナ障害と言います。タナ障害の原因である関節包内のヒダは、一回の外力で急に出来たり、体の動かし方によって出現したりするわけではなく、多くは先天的に大きい形状になっています。 そこから炎症を起こすに至る契機として、膝関節の軟部組織損傷などの外傷が関係するのです。膝の靭帯損傷や筋肉疲労などによって膝関節の動きにズレが出ると、関節包内にある滑膜ヒダが強く挟み込まれるようになります。 膝関節の屈曲や伸展の際にヒダが繰り返し挟まれることで、痛みを感じるのです。膝をつくと痛いこともあれば、歩行の際に痛みが出ることもあります。他動的に膝関節を屈曲させたときに、ポキッというようなクリック音が生じる場合、タナ障害のリスクが高いと考えることも出来ます。 症状が出たら、痛みのある動作を避けて安静にすることで炎症の鎮静化を待ち、膝関節の使い方を正すような運動療法をするのが有効です。 3.半月板損傷 膝関節は内側半月と外側半月が存在していて、損傷の頻度が高いのは内側の半月板です。スポーツ活動の際中、特にコンタクト系のスポーツを行っているときに膝関節に過度な捻転力や内反力がかかると、内側半月を損傷します。 このような外傷によって半月板を損傷するケースでは、多くの場合内側側副靭帯や前十字靭帯など、内側半月以外の軟部組織損傷も併発しています。また、変形性膝関節症のように亜急性の半月板損傷もあります。 一度で靭帯損傷や筋断裂を起こすほどではない軽微な外力によって、少しずつ半月板を摩耗していきます。半月板が損傷して穴が開くなどの変形をきたせば、膝をつくような動作のときに痛みと可動域制限が発生することもあります。 一度損傷してしまった半月板は、放っておいて再生するということはありません。しかし、それでも痛みが出ないような動作を獲得することは可能で、大腿部などの筋力強化や運動学習によって日常生活で問題ないレベルに回復していくことは出来ます。 4.靭帯損傷 膝に存在している主要な靭帯は、膝関節の内側を大腿骨から脛骨にかけて走行する内側側副靭帯、膝関節の外側を縦に走行する外側側副靭帯があります。さらに関節内に、前十字靭帯と後十字靭帯があり、それぞれ膝関節が前後にズレないように安定性の強化を担っています。 いずれも強固な靭帯であり、損傷する場合は他人との接触など大きな外力がかかっているはずです。特に前十字靭帯は血流量も多い靭帯であり、損傷すると膝関節に強い腫脹も見られます。 また、それぞれの靭帯が単独で損傷しているということも少なく、前十字靭帯が損傷するほどの外力では、内側側副靭帯も一緒に損傷していることが多いです。靭帯損傷を起こせば、損傷した靭帯部に圧痛や腫脹が見られ、膝をつくなどの動作では当然痛みが出ます。 歩行が困難になる場合もあり、関節内に存在する前十字靭帯と後十字靭帯では再生力に乏しいので、手術が選択されることも多いです。スポーツ活動をしている方にとっては、場合によっては選手生命に関わる損傷でもあるので、慎重な判断が必要です。 5.分裂膝蓋骨 その名の通り、膝蓋骨が分裂している病態です。膝蓋骨が分裂してしまう原因は不明で、骨折などとは違い限局性の圧痛や、介達痛を起こすことは稀です。分裂膝蓋骨が出現すること自体では、日常生活で著しい支障が出ることはほとんどなく、問題なく過ごせます。 しかし、ジャンプ系またはダッシュ系の競技など瞬間的な大腿部の筋力発揮が必要なスポーツでは、分裂膝蓋骨に負荷がかかり炎症の痛みを発生させることもあります。 膝をつくなど圧迫力がかかることでも痛みが出るので、痛みのある動作を控えて炎症の鎮静化を待つことが大切です。分裂の仕方は様々で、縦に割れているものや、横に割れているもの、外上方だけ分裂しているものなど様々です。 日常生活に著しい支障が出ていなければ、保存療法で十分対応が出来ます。特に大腿四頭筋の緊張が分裂膝蓋骨の痛みに繋がるので、ストレッチや股関節の可動域強化などで、痛みの出ない膝の動かし方を獲得していきます。 手術の場合は、分裂した小さい骨片を取り除く方法や、骨癒合を試みる方法などが選択されるでしょう。 6.鵞足炎 鵞足炎は「鵞足(がそく)」と呼ばれるひざの内側下方の脛骨の周囲に炎症が生じる病気です。「鵞足」とは、脛骨というスネの骨の内側(膝から5-7㎝ほど下)に位置し、縫工筋、半腱様筋、薄筋と呼ばれる筋肉の腱が骨にくっつく部位(付着部)です。 この部位にある滑液包に炎症が生じる状態が鵞足炎です。滑液包とは、膝をはじめとした関節に存在する小さなゼリー状の袋です。 少量の液体が含まれており、骨と軟部組織の間に存在し、摩擦を軽減するクッションとして機能します。 鵞足炎は膝の屈曲や股関節の内転動作によって滑液包に負担が繰り返しかかり慢性的な痛みが生じます。アスリートをはじめとしたスポーツ選手に生じやすく、また、スポーツをしていなくても打撲などをきっかけに発症することもあります。 鵞足炎の治療としては、理学療法や注射などの保存療法が一般的です。膝をつくとき以外にも、運動時や階段を下がる時や歩く時などにも痛みがでます、重症化してしまうと、何もしていなくても疼くように痛くなるようになります。 7.腸脛靭帯炎 腸脛靭帯炎とは、ランニングによる膝障害のことです。膝の屈伸運動を繰り返し行うことで腸脛靭帯が大腿骨外顆(がいか)と擦れ、炎症が起こって痛みが発生します。 マラソンなどの長距離ランナーをはじめ、バスケットボール、水泳、自転車、エアロビクス、バレエなど多岐に渡るスポーツで発症します。過剰なランニング時間やウォームアップ不足、休養不足、硬い路面や下り坂による負担など、さまざまな要因が発症に結びついています。 腸脛靭帯炎とは、膝が痛むというのが基本的な症状です。痛む箇所は大腿骨外顆周辺、膝の外側で、腸脛靭帯の走行に沿って痛みが出るケースもあります。初期はランニング後に痛みが発生するのですが、休むと痛みが消失します。 しかし、ランニングを続けていると次第に痛みは増してきて、休んでも簡単に痛みが消失しなくなります。膝の屈伸運動を繰り返し行うことで発症する腸脛靭帯炎なので、最大の治療方法はランニングや膝に負担が掛かる練習を休止、或いは練習を減らすことが症状緩和につながります。 そして、アイシングや湿布の使用、ストレッチを強化します。また、スポーツ整形外科を受診し、消炎鎮痛剤の内服や局所注射などの治療を行います。膝の外側の痛みは腸脛靭帯炎だけではありません。 中学生や高校生の場合、疲労骨折が考えられるケースもありますし、中高年なら外側半月板損傷が疑われるケースもあります。膝の外側の痛みが改善しないようであれば、スポーツを専門とする病院を受診するようにしましょう。 8.ジャンパー膝(膝蓋腱炎/大腿四頭筋腱付着部炎) 運動や屈伸運動を頻繁に行うことによって生じます。バレー、ランニングといった動きを代表に、膝蓋腱の収縮を何度も繰り返し行うことによって損傷が蓄積されて起きます。スポーツ選手に多い疾患です。 スポーツ選手でなくても体が固い方などで起きやすく、年齢に関わらず体力をつけるために急に走ったり歩いたりすることでも生じますが、基本的には充分に休息し、膝蓋腱を安静にすることで一過性で済むことがほとんどです。 これに対し、スポーツ選手は損傷した膝蓋腱が修復する余裕がないほど頻繁に運動してしまい、慢性化して治療が必要になることがあります。 膝は不調が起きやすい部位 膝は荷重関節でもあるので、ぶつけた、捻ったなどの明確な受傷機転が無くても痛みを感じるようになることもあります。タナ障害など、生まれつきもっている関節包内のヒダが原因で起こるような症状もありますし、日常生活に大きく影響してきます。 亜急性の膝で起こる不調の原因を突き詰めていくと、姿勢の悪さや体の使い方、日常生活動作や仕事での負担など、長期的に見たダメージの蓄積が根本にあります。 そのため、徐々に痛みを増したり、少しずつ変形が目立つようになったり、年齢と共に膝の痛みが起こるリスクは高くなっていくのです。逆に10代の若年層では、オスグッドなどスポーツ活動に起因する症状も出ます。 特にサッカーやバスケットボール、バレーボールなど、瞬発系の競技を頻繁に行っている少年に多いです。このように、膝関節は年齢関係なく不調を起こすことがあります。 膝関節を構成している骨について 膝の関節は主に3つの骨で構成されています。一つは大腿骨で、大腿骨の膝関節面は内側と外側に分かれており、内反や外反といった異常な動きをしないように靭帯などで頑丈な安定性を保っています。 もう一つは脛骨という「スネ」の骨で、脛骨の近位端部が膝関節面になっています。脛骨の上部に大腿骨の内側顆と外側顆がはまり込むような構造です。そしてもう一つが膝蓋骨で、大腿骨の近位部前面に位置し、膝関節の屈曲や伸展の際には滑るように移動しています。 膝関節は特徴的な動きをする 膝関節の基本的な動きは屈曲と伸展で、どちらも大きな筋肉によって動作するので強い筋力を発揮できます。膝関節屈曲の主動作筋肉は、大腿二頭筋と半腱様筋、半膜様筋で構成されているハムストリングスです。 逆に膝関節伸展の主動作筋は、大腿直筋、外側広筋、内側広筋、中間広筋で構成されている大腿四頭筋です。どちらも骨盤から大腿骨を走行し、下腿の近位端まで到達しています。 そのため、厳密には膝関節だけでなく股関節の動きにも作用しているという特徴があります。そして、もう一つ特徴的なのが膝関節屈曲の際に起こる下腿の内旋で、膝窩筋など小さな筋肉によって微妙な動きを調整しています。 膝関節屈曲で下腿が内旋、伸展すると共に下腿は外旋し、単純な前後面の運動だけではないのです。この特徴的な動きを、スクリューフォームムーブメントと呼びます。 膝をつくと痛いときに行うべき対処法 膝をつくと痛いとき、どんな対処法をすればいいのかご紹介していきます。 安静にして痛みのある動きを避ける 膝をつくと痛い場合、外傷によるものなのか、それとも関節内で起こっている炎症のせいなのか判断が付かないケースも多いはずです。まずは膝関節の荷重など、痛みのある動作をなるべくさけて安静を確保します。 安静にすることで痛みが落ち着いたり、その後の動作がスムーズになったりすることもあります。 ストレッチをして筋肉の緊張を取る 大腿部や股関節の筋肉、さらには下腿部の筋肉に緊張が出ていることで、膝に痛みが発生しているケースも考えられます。特に臀部や大腿部外側の筋緊張は、変形性膝関節症を悪化させる要因にもなるのです。 また、下腿部の筋肉が緊張すると足関節の動きが悪くなり、その分の代償を膝関節が担うことになります。その結果膝関節での不調を引き起こしやすくなり、痛みが発生した後も治りが遅くなってしまうのです。ただ、痛みのある動きで無理にストレッチをする必要はなく、心地よくできる範囲で問題ありません。 整形外科を受診する 膝をつくと痛いという症状が突然出現してきた場合、変形性膝関節症やタナ障害など、場合によっては手術が必要になる病態も隠れています。初期段階であれば保存療法で十分対応することが出来ますが、放置しておくと症状が進行して日常生活での支障も大きくなってきます。 まずは膝関節の中で何が起きているのか、病気ではないのか確認するという意味でも、整形外科でドクターに診察してもらうのが良いでしょう。 接骨院を受診する 膝をぶつけたわけでもないのに痛みが発生しているということは、日常生活の中で何かを改善しなければ、悪化する一方であるということです。整形外科で精査をして、今すぐに外科的な処置が必要ということでなければ、接骨院で運動療法や手技療法を入念にしてもらうというのも良い方法になります。 日常生活動作など、アドバイスをもらって改善や維持に努めましょう。 ご注意!膝の痛みを放置しておくと歩けなくなる 膝をつくと痛いという症状が、今後起こる重篤な症状の前兆であることも珍しくありません。今日痛みが出て、明日には歩けなくなっているということは稀ですが、放置しておけば悪化するのみです。 早めに対処するに越したことはないので、セルフケアでも改善が見られなければすぐに医療機関を受診しましょう。 お近くに再生医療やスポーツ医療についての専門医がいない方へ リペアセルクリニックは、第二種・第三種再生医療提供計画を厚生労働省に提出し受理された厚生労働大臣許可医療機関です。当院では来院前でも「メール相談」を受付けています。どうぞ事前にご相談ください。以上、膝をつくと痛い!膝をつくと痛い場合に考えられる8つの病名について記してまいりました。参考になれば幸いです。 監修:リペアセルクリニック 大阪院 ▶ メール相談・お問い合わせフォームはコチラ 膝の痛み関連する記事はこちら ・膝の痛みと腫れが突然出た!考えられる原因は? ・完治まで膝から水はなくならない?膝に水が溜まる原因と治し方 ・正座すると膝が痛いのは危険サインか?変形性膝関節症の可能性も ・膝を曲げると痛いのは病気のサイン?音が鳴る原因は ・膝の上が痛い原因は使い過ぎ?痛みに繋がるリスクとは ・膝の皿が痛いのはなぜ?考えられる原因や病名は ・膝の内側の痛みの原因は?症状や治し方について 再生医療による膝の治療に関連する記事はこちら ・膝の症例 現役プロスポーツ選手 ・ひざの痛みにPRP治療 人工股関節、人工関節に関連する記事はこちら 人工股関節術後に脱臼する可能性と生活の注意点をチェック 膝の人工関節手術は失敗がある?知っておくべきリスクとは 当院の治療についての考え方や再生医療について ・スポーツ外傷・障害の痛みに対する当院の治療 ・変形性股関節症に対する当院の治療 ・再生医療とは ・PRP(多血小板血漿)療法とは ・ご相談から治療までの流れ
最終更新日:2023.09.13 -
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膝の上側が痛い場合に考えられる疾患を徹底解説し、その原因を究明 歩いているときや、椅子から立ち上がった時、寝ている状態で寝返りを打ったときなどに膝の上が痛くなる症状が出ることがあります。 中にはじっとしていても、膝の上の方に違和感があるケースもあります。このように膝の上で痛みなどの症状が出た場合、どのような原因が考えられるのでしょうか。対処法と一緒にご紹介していきます 膝の上側の構造 膝の上とは膝蓋骨の上あたりのことを指しています。そこには膝蓋骨の他に、大腿四頭筋の腱が位置しています。大腿骨の関節面と膝蓋骨が関節を作り、その上を大腿四頭筋が覆うという位置関係です。 それ以外に他の骨は存在せず、膝の上が痛い場合で骨に問題があるとすれば、膝蓋骨か大腿骨のどちらかになります。軟部組織に問題があるなら、大腿四頭筋に異常が発生しているということです。 また、膝蓋骨のすぐ脇を走行している、腸脛靭帯で炎症が起きた場合にも膝の上の痛みとして感じられることがあります。その他にも、関節内で炎症が起きたり、腫脹が出たり、といったことがあれば膝の上で痛みが出ることもあるでしょう。 膝の上が痛いときに考えられること 膝の上が急に痛くなってきた場合に、どのような病態が起きていることが考えられるでしょうか。 大腿四頭筋腱炎 大腿四頭筋腱は、膝蓋骨の上に覆いかぶさるように位置しているので、そこで炎症が起きれば膝の上で痛みとして感じられることもあります。大腿四頭筋腱炎が発生する原因としては、いわゆる膝伸展機構の使い過ぎです。 バレーボールやバスケットボールなど、ジャンプ系の競技や、サッカーなど瞬発系の競技などでよく見られます。成長期には脛骨粗面部で痛みがでるオスグッドの方が発生頻度は高いですが、成長期を過ぎれば大腿四頭筋腱炎として発生することになります。 大腿四頭筋腱炎を発生させやすい人の特徴として、股関節が硬い、足首が硬い、大腿四頭筋が硬いといったことが挙げられます。これらはストレッチなど、柔軟性を高めるアプローチをすることで少しずつ改善ができるので、大腿四頭筋腱炎のリスクを下げるためにも日々取り組んでおくべきです。 大腿四頭筋腱炎になったら、まずは患部に負担をかけないように安静にすることが第一になります。その後大腿四頭筋の緊張や疲労を取り除くために、マッサージやストレッチ、罨法、後療、電療などが施療されることになるでしょう。 スポーツをしている方の場合、選手生命が脅かされるほどの症状にはなりませんが、体の使い方を根本的に改善しない限りは再発することも考えられます。 ランナーズニー ランナーズニーは腸脛靭帯炎とも呼ばれ、膝を繰り返し使うランナーに多いことからランナーズニーと呼ばれています。長距離ランナーの他にも、自転車をよく漕ぐ人、水泳をやっている人など、膝を曲げるという行為を何度も繰り返し行う競技をしている方に、多い症状です。 腸脛靭帯は大腿骨の外側を走行している長い靭帯で、大殿筋から始まっています。腸脛靭帯が大腿骨の外側顆と何度も擦れ、その摩擦をきっかけに炎症を起こし、膝の上外側で痛みとして感じられるようになります。 ランナーズニーを起こしやすい人の特徴は、大殿筋が硬い、骨盤が歪んでいる、ランニングフォームが良くない、下肢のアライメント不良があるといったところです。 一回の強い外力でランナーズニーになるわけではないので、痛みを発生させる動作を避けたり、競技を中止したりすれば痛みは軽減していきます。ランナーズニーになると、通常の歩行時や非荷重の膝関節屈曲時にも痛みを発生させることがあります。 安静にして炎症が治まるのを待つか、ストレッチなどで大腿部外側の緊張を緩和させます。 有痛性分裂膝蓋骨 膝蓋骨が、原因不明の分裂をしていることがあります。多くは先天的な要因で、分裂膝蓋骨と呼ばれます。骨折とは違い、骨組織が損傷しているわけではないので腫脹や限局性圧痛などは出ません。 しかし、分裂膝蓋骨に牽引力が加わる痛みを発生させることがあります。分裂の仕方によって膝蓋骨の上方で二分されていることがあり、そうなると膝の上で痛みを発生させることになります。 日常生活に支障がなければ保存療法で十分改善が可能で、分裂している膝蓋骨をくっつけるのではなく、そのままでも痛みが出ないような膝の使い方を身につけます。大腿四頭筋の緊張が強いと分裂膝蓋骨の痛みも強くなりやすいので、大腿四頭筋の柔軟性を高めることも大切です。 あまりにも痛みが強く出ている場合や、日常生活に支障が出ている場合は手術が選択されることもあります。 変形性膝関節症 変形性膝関節症の多くは、内側の関節軟骨が摩耗して薄くなり、関節面同士が直接接して摩擦を起こすことが炎症になる病態です。年齢と共に変形性膝関節症の発生リスクは高まり、特に女性に多い症状でもあります。膝の内側が潰れるように変形するため、O脚のような下肢の形になります。変形性膝関節症のリスクを高めるのは、股関節が硬い、足関節が硬い、内転筋が弱い、元々O脚であるということです。症状が出てしまってからは、痛みを完全に緩和させるのは難しいです。しかし、変形性膝関節症が発症する前の段階であれば、それらのリスクを解消しておくことで予防が可能です。重いものを持つことが多いなど、荷重関節である膝に物理的な負担をかけることが多いのも、変形性膝関節症を発生させる一つの要因になります。しかし、必ずしもそういった仕事歴が関係しているわけではなく、日常生活の中での軽微な外力が蓄積して変形性膝関節症を作ります。関節内で炎症を起こして腫れることがあるので、膝の上でも痛みが感じられるようになります。 関節リウマチ 関節リウマチを端的に表すと、関節を破壊していく病態です。通常であれば外から入ってきた病原菌やウイルスに対して攻撃を行う免疫細胞が、誤って人体を構成している細胞を攻撃してしまうことで症状が出ます。 ほとんどの場合は手先や足先などで症状が出始めますが、時間が経過すると膝関節でも症状が出てきます。最初は炎症なので、膝関節や膝の上が痛いといった自覚症状から、進行すると関節が破壊されて変形していきます。関節リウマチになってしまう原因は不明で、薬物療法や運動療法が行われます。変 形の程度や日常生活の支障度合いによって、手術が選択されることもあるくらいです。ただ、ほとんどは保存療法で、変形や炎症によって狭くなった関節の可動域を回復していくことや、負担を溜めにくい体の使い方を獲得することを目指します。 膝の上側が痛む原因 膝の上で痛みが発生するケースというのは、ぶつけたり捻ったりすれば原因がハッキリしていますが、自分でもよくわからないまま痛みが突然発生することも多いです。どんなことが膝の上の痛みを発生することに繋がるのか、考えられるリスクをご紹介していきます。 急激に太った 体重が重いということは、物理的に考えて膝の負担が大きいということです。当然、痩せている人よりも太っている人の方が膝関節の変形や軟骨の摩耗も早く、年齢と共に痛みを伴いやすいです。 長年に渡って肥満傾向にある方が、膝の上で痛みを発生させやすいことはもちろんですが、急激に体重が増加した方の方が症状も出やすい傾向にあります。荷重による負担が増えたことと、脂肪の量が増加したことによって体の使い方に変化が出ることが影響しています。 膝を安静にして痛みが軽減したら、水中歩行など負担の少ない運動から初めて減量を目指すと良いでしょう。 水分摂取量が少なすぎる 体のおよそ60%は水分で構成されています。そして、関節軟骨に限ればもっと高い割合が水分で構成されています。ということは、水分摂取量が少なすぎると、関節軟骨の柔軟性も低下して潰れやすくなるということです。 実際に治療の現場では、変形性膝関節症などで膝の痛みを発生させている方に、水分をしっかり摂取するように指導することがあります。1日を通して、1.5リットル程度の水分摂取が目標です。水分を十分に摂取することで代謝も向上し、細胞の入れ替わりも活発になるので痛みの回復も早くなります。 股関節が硬い 股関節の動きが悪いと、膝にも大きな負担をかけます。例えば歩行動作で言うと、股関節の屈曲可動域が狭い場合、前への推進力が損なわれます。その分は膝関節を中心とした下腿の関節で代償することになるので、通常時の何倍も負担がかかります。 その結果、膝関節周辺の軟部組織損傷を引き起こし、膝の上の痛みとして発症するのです。この場合、痛みが出ている膝だけを集中的に治療するのではなく、股関節の可動域を広げる運動療法を一緒に行わなければ痛みは改善されません。 足関節が硬い 股関節が硬いときと同様に、足関節の動きが悪いことで膝関節の負担は増えます。歩行や走行時、足関節の可動域が狭いと地面を蹴り出す力が弱くなり、その分を膝関節で補うことになります。 ハムストリングスや大腿四頭筋に通常時よりも大きな負担がかかるので、それが長期間続けば膝周辺の軟部組織損傷を起こすこともあります。ランナーズニーやジャンパーズニーなど、オーバーユースによる膝の障害も起こりやすくなり、スポーツのパフォーマンスも低下してしまうでしょう。 痛みのある膝関節だけを集中的に治療するのではなく、足関節の動きをスムーズにすることや、下腿三頭筋、前脛骨筋などの筋緊張を緩和させることも大切です。 姿勢が悪い 猫背やストレートネックなど、背骨の歪みは膝関節に大きな影響を与えます。側弯症などの左右のバランスも、荷重の偏りを招くので膝の痛みを発生させる一つの要因になるでしょう。 しかし、多くの場合はそういった先天的な変形が痛みに繋がるのではなく、日常生活を送る上で少しずつ発生した歪みによって、軽微なダメージを膝に蓄積していくことが原因です。デスクワークのように長時間座っているような生活習慣を送っている方や、子供の抱っこなど左右非対称の動作が多い方など、膝に負担が溜まりやすい一例ではあります。 姿勢や体のバランスが悪いことで、直ちに膝で痛みが発生するわけではありませんが、長期間にわたって少しずつ膝にダメージを与え、変形性膝関節症やタナ障害などに発展していく可能性は十分にあります。 他の部位に痛みを抱えている 人間は、どこかに痛みが出ると、無意識のうちにそこをかばうようになります。例えば歩行時に痛みが出るとき、痛みをかばいながら歩くことになるので、いつの間にか膝に負担がかかるような歩き方になっている場合もあります。 すぐに膝の痛みとして影響を感じられるわけではありませんが、それが何日、何週間も続くと膝周辺のダメージも蓄積して膝の上の痛みとして感じられるようになるでしょう。負担がかかってしまった膝の治療をすることはもちろん、最初の引き金となった腰の痛みをしっかり治療していくことが大切です。 膝の上の痛みは慢性化することが多い 膝の上の痛みは、転倒など一回の外力で損傷されるというよりも、軽微な外力が積み重なって出てくることの方が多いです。膝だけに捉われずに、身体全体のバランスや動かし方から改善していくと、根本的な治療ができるでしょう。 お近くに再生医療やスポーツ医療についての専門医がいない方へ リペアセルクリニックは、第二種・第三種再生医療提供計画を厚生労働省に提出し受理された厚生労働大臣許可医療機関です。当院では来院前でも「メール相談」を受付けています。どうぞ事前にご相談ください。 メール相談・お問い合わせフォームはコチラ 監修:リペアセルクリニック大阪院 膝の痛み関連する記事はこちら 膝の痛みと腫れが突然出た!考えられる原因は? 完治まで膝から水はなくならない?膝に水が溜まる原因と治し方 正座すると膝が痛いのは危険サインか?変形性膝関節症の可能性も 膝を曲げると痛いのは病気のサイン?音が鳴る原因は 膝をつくと痛い!痛みの原因や症状考えれる病態は? 膝の皿が痛いのはなぜ?考えられる原因や病名は 膝の内側の痛みの原因は?症状や治し方について 再生医療による膝の治療に関連する記事はこちら 膝の症例 現役プロスポーツ選手 ひざの痛みにPRP治療 人工股関節、人工関節に関連する記事はこちら 人工股関節術後に脱臼する可能性と生活の注意点をチェック 膝の人工関節手術は失敗がある?知っておくべきリスクとは 当院の治療についての考え方や再生医療についての内容もお読みください スポーツ外傷・障害の痛みに対する当院の治療 変形性股関節症に対する当院の治療 再生医療とは PRP(多血小板血漿)療法とは ご相談から治療までの流れ
最終更新日:2023.10.26 -
- ひざ関節
膝の皿が痛い!?考えられる病名や、その原因、治療について徹底解説 膝のお皿は、体表からも容易に確認することができ、膝関節の正常な動きに関与しています。膝のお皿をぶつけたなど、思い当たる理由が無いのに急に痛みが出るケースがあります。これは先天的な要因から後天的な要因まで様々な原因が考えられます。 そもそも、膝のお皿と呼んでいる部分は、医学的には「膝蓋骨(しつがいこつ)」といいます。大腿骨の下端の前面に位置しており、膝蓋大腿関節を構成している骨でもあります。膝関節を屈曲させたり伸展させたりするときに、大腿骨との関節面を滑るように上下に移動し、筋肉や骨との摩擦を軽減して正常な運動ができるようにしているのです。大腿四頭筋腱の中に入り込むように存在しています。 では以下で、膝のお皿が痛くなった場合に、どんな病気が考えられるのかご紹介し、その原因と治療方法を解説いたします。 膝蓋骨(膝の皿)に痛みが起こる原因 膝のお皿が痛いということは、膝蓋骨で痛みが起きているということです。必ずしも打撲など明確な原因があるわけではなく、日常生活の中でかかる軽微な外力の積み重ねによって痛みを発生させることも十分あるのです。膝のお皿で痛みを発生させるリスクが高いのはどんな人なのか、ご紹介していきます。 大腿四頭筋の筋力が弱い 膝蓋骨は大腿四頭筋腱の中に位置している種子骨なので、大腿四頭筋の筋力が弱いと正常な位置を保てなくなります。膝関節屈曲の際に膝蓋骨が正常な位置になければ、大腿骨と異常な摩擦を起こして炎症を起こすことも考えられます。大腿四頭筋の筋力が弱いのは、運動習慣があまりにもない場合や、下肢の負傷によって非荷重の期間が長くなった場合などで考えられます。 膝蓋骨の位置が正常でない 膝蓋骨の位置が、通常よりも上にありすぎたり、逆に下にありすぎたりすることでも、関節面で炎症を起こして痛みを発生させることがあります。膝蓋骨の位置は先天的な要因に加えて、周囲の筋力のバランスによって左右されるので、意識的に大腿部の筋力を強化することで改善することが出来ます。大腿四頭筋だけでなく、普通に生活していると筋力が落ちやすい内転筋の強化が重要になります。 股関節が硬い 膝蓋骨が位置している大腿四頭筋は、骨盤から始まる筋肉です。股関節が硬いことによって大腿四頭筋の柔軟性も失われ、膝蓋骨に影響を及ぼすことは十分考えられます。大腿四頭筋自体が硬くなってしまうことで股関節の可動域を狭めている可能性もありますし、内転筋や縫工筋など骨盤から大腿骨の内側や外側に付着する筋肉が硬いことでも影響します。 さらに、脊柱から大腿骨に走行している腸腰筋が硬いと股関節の屈曲伸展の可動域が狭くなり、膝蓋骨の動きが悪くなって痛みを発生させることに繋がります。 ハムストリングス(太ももの裏の筋肉)が硬い ハムストリングスの緊張が強いことや、そもそもハムストリングスの長さが短いことでも膝蓋骨の動きに影響し、痛みの原因になることもあります。これはハムストリングスだけの問題ではなく、大腿部の後面と前面で筋力バランスが著しく崩れてしまうことが発端になって痛みを起こします。 先天的にハムストリングスが短いケースもありますし、姿勢や体の使い方などでハムストリングスに負担をかけすぎて慢性的な緊張を生んでいることもあるのです。 足関節の動きが悪い 足関節の動きが悪いと、歩行や立ち上がりなどの動作の際にその動きを代償する形で、膝関節周辺に余計な負担をかけることになります。それが長期間続くことで、膝蓋骨と大腿骨の間で異常な摩擦を繰り返し、徐々に炎症を起こして膝のお皿で痛みを発生させるのです。 足関節の動きが悪い原因は、ふくらはぎにある腓腹筋やヒラメ筋や、脛骨部にある前脛骨筋や後脛骨筋の緊張によるものです。他には、足関節捻挫の際にしっかり固定をしなかった後遺症など、外傷後の予後が原因になっているものもあります。 姿勢が悪い 悪い姿勢の代表といえば猫背やストレートネックですが、そういった背骨のゆがみが膝のお皿で発生する痛みの原因になっていることもあります。猫背やストレートネックでは、横からみたときに頭の位置が若干前に引っ張られています。 すると、重心が常に前傾になり、バランスを取るために骨盤が逆に後傾しようとする力が働きます。その結果、股関節前側の筋肉が硬くなり、股関節の可動域が狭くなった分膝関節に負担がかかるのです。その姿勢のまま長距離の歩行を繰り返したり、立ち仕事を繰り返したりするとダメージが膝蓋骨にも蓄積し、痛みを発生させます。これは猫背とストレートネックに限ったことではなく、左右のバランスの違いや背骨の捻じれなど、様々な体のゆがみでも起こり得る痛み発生のメカニズムです。 膝のお皿が痛いときに考えられる病気 膝のお皿が痛いときに、どんな病態が起きている可能性があるのかご紹介していきます。 有痛性分裂膝蓋骨 膝蓋骨が分裂している状態で、膝の皿で痛みを発生させます。骨折とは違い、先天的な要因などで膝蓋骨が分裂して存在している状態です。骨折ではないので、それだけで腫脹が起きたり内出血が起きたりすることはありません。 分裂膝蓋骨が存在していること自体は大きな問題にはなりませんが、大腿四頭筋の繰り返しの筋力発揮や、過度な負担によって分裂部に牽引力が加わり痛みになることもあります。膝蓋骨の分裂の仕方によって、縦に分裂しているパターン、下方が横に分裂しているパターン、外上方の一部分だけが斜めに分裂しているパターンがあります。分裂の仕方で痛みの個所は若干ズレが出てくるでしょう。 ランナーズニー ランナー膝、またはランナーズニーと呼ばれる症状は、膝蓋骨と大腿骨が異常な摩擦を繰り返すことによって起きる痛みです。通常であれば滑らかに移動するはずの膝蓋骨が、ランニングの際にかかる衝撃で異常な動きをしてしまいます。 股関節の動きが悪いせいで膝関節の使い方がおかしくなっていたり、大腿四頭筋の筋力が上手く発揮できていないせいで膝蓋骨が安定しなかったり、異常な摩擦を起こす原因は様々です。特に繰り返し衝撃がかかるランナーに多い症状であることから、ランナーズニーと名付けられています。 ランナーズニーになったらまず安静にして膝のお皿で出ている痛みを落ち着け、その後膝蓋骨周辺の筋力を強化することで膝蓋骨の安定化を図ります。当初は走っているときの痛みだけが症状として出てきますが、そのうち階段の昇降時や、ちょっとした下り坂を歩くときなどにも膝の皿で痛みが出だします。そうなってくれば重症化している証拠なので、安静にすることが大切です。 大腿四頭筋腱炎 大腿四頭筋腱は膝蓋骨周辺に位置しており、そこに繰り返しの負担がかかることで痛みを発生させます。大腿四頭筋腱炎は別名ジャンパーズニー、またはジャンパー膝と呼ばれることもあり、バレーボールやバスケットボールなど、ダッシュやジャンプを繰り返す競技を行う成長期の年代に多い症状です。 ジャンパー膝発生のメカニズムは、オーバーユースに起因しています。特に成長期にバレーボールやバスケットボールを熱心に行っていると、筋肉の成長と骨の成長の間で若干のバランスのズレが出てきます。そうすると、慢性的に大腿四頭筋に緊張を生むことになってしまいます。その状態でダッシュやジャンプを繰り返し、大腿四頭筋腱に繰り返しの牽引力をかけることで、微細な損傷を起こしてきます。 それが積み重なり、膝のお皿周辺で痛みを発生させることで症状に気づくのです。ジャンパー膝が発生した場合は、痛みのある動作を中止して安静を確保します。ジャンプ競技やダッシュ競技は中止で、痛みのない動作だけで生活を送ることを優先するべきです。重症例では稀に大腿四頭筋腱の完全断裂を起こすこともありますが、その発生は稀です。 タナ障害 膝関節を覆っている関節包の内側に位置する、滑液包の内側で棚のような形状をしたヒダがあり、それが関節内で挟み込まれることで痛みを発生させます。これをタナ障害と呼び、多くは先天的に滑液包内側のヒダの形状が大きいことが関与しています。 タナ障害になると、膝のお皿付近で痛みを発生させ、罹患した本人でも正確に痛みの個所を伝えにくいこともあります。滑液包の内側にあるヒダが大きいだけで直ちにタナ障害になるわけではなく、膝の動かし方が悪いときや、過度な負担をかけ続けたときに痛みとなって発症します。 通常の歩行時でも痛みを感じることがあり、日常生活の支障度合いによっては手術も検討されるほどです。しかし、ほとんどの場合は保存療法で対処でき、痛みの出ないような動作を獲得するために運動療法や手技療法が行われます。 膝のお皿が痛くなったらどうすればいい? ある時突然、膝のお皿で痛みが出たらどのような対処をすればいいのかご紹介していきます。 圧痛があるか確認する 自分で簡単にできる鑑別方法としては、膝蓋骨を押してみて圧痛があるか確認することです。もし強い圧痛があれば、膝蓋骨骨折の可能性もあります。そうでなければ、膝蓋骨の圧痛が発生するのはランナーズニーや有痛性分裂膝蓋骨が考えられます。いずれにせよ、膝蓋骨で明らかに圧痛がある場合はそれまでの膝関節の使い方にも問題があるので、早めに医療機関に相談した方が良いでしょう。 膝に腫れがあるか確認する 膝のお皿が痛いと思っても、実は膝のお皿自体に問題があるわけではなく、膝関節の内部で異常が起きていることもあります。代表的な例では変形性膝関節症や、タナ障害などです。もし膝関節が腫れていて、水が溜まっているように感じたら、安静にして様子を見るか整形外科を受診することをお勧めします。 ストレッチをする 膝のお皿で痛みが出る原因の多くは、大腿四頭筋の緊張や疲労の蓄積によるところです。膝関節を曲げて大腿四頭筋のストレッチを入念に行い、大腿部前面の緊張を和らげてみてください。それだけでも痛みが少し楽になるようであれば、毎日続けてストレッチをすることで徐々に膝のお皿の痛みは軽減されていきますし、再発の予防にもなります。 お風呂で温まる 体が温まることによって膝のお皿の痛みが軽減するようなら、膝関節や股関節の筋緊張が原因で起きている可能性が高いです。お風呂で温まることによって血流が良くなり、筋緊張が緩和されたことで痛みが軽減しているので、冷やさないような対策が有効になります。 整形外科に行く 膝のお皿が痛いとき、最初に行くべきは整形外科でしょう。重症例では手術が必要な病態が隠れていることもありますし、膝蓋骨自体に原因があるのか、筋肉に問題があるのか確定的な診断ができるのは整形外科です。まず自分の体に何が起こっているのか確認するためにも、精査してもらってください。 膝のお皿が痛いのは関節の動かし方が悪いということ 骨折以外で膝のお皿が痛くなるということは、少なからず体の使い方に問題があるということです。膝関節の動きや股関節の動き、足関節の動き、さらには周囲の筋力バランスなど根本的な原因が隠れています。とにかく対症療法として痛みを軽減させることも重要ですが、再発を予防するために姿勢の矯正や筋力トレーニングを行うことも視野に入れておきましょう。 お近くに再生医療やスポーツ医療についての専門医がいない方へ リペアセルクリニックは、第二種・第三種再生医療提供計画を厚生労働省に提出し受理された厚生労働大臣許可医療機関です。当院では来院前でも「メール相談」を受付けています。どうぞ事前にご相談ください。 以上、膝の皿が痛い!?考えられる原因や病名について徹底解説してまいりました。参考になれば幸いです。 メール相談・お問い合わせフォームはコチラ 監修:リペアセルクリニック大阪院 その他、膝の痛みに関連する記事はこちら 膝の痛みと腫れが突然出た!考えられる原因は? 完治まで膝から水はなくならない?膝に水が溜まる原因と治し方 正座すると膝が痛いのは危険サインか?変形性膝関節症の可能性も 膝を曲げると痛いのは病気のサイン?音が鳴る原因は 膝をつくと痛い!痛みの原因や症状考えれる病態は? 膝の上が痛い原因は使い過ぎ?痛みに繋がるリスクとは 膝の内側の痛みの原因は?症状や治し方について 再生医療による膝の治療に関連する記事はこちら 膝の症例 現役プロスポーツ選手 ひざの痛みにPRP治療 人工股関節、人工関節に関連する記事はこちら 人工股関節術後に脱臼する可能性と生活の注意点をチェック 膝の人工関節手術は失敗がある?知っておくべきリスクとは 当院の治療についての考え方や再生医療についての内容もお読みください スポーツ外傷・障害の痛みに対する当院の治療 変形性股関節症に対する当院の治療 再生医療とは PRP(多血小板血漿)療法とは ご相談から治療までの流れ
最終更新日:2024.03.29 -
- 変形性股関節症
- 股関節
股関節の付け根の痛み!ふとももの付け根の痛み!に考えられる病気とは? ふとももの付け根、要は股関節の付け根に痛みがある場合は、大きく2つの問題が考えられます。「大腿骨や骨盤の骨自体に何か問題が起きているケース」と、「筋肉に異常が起きているケース」、さらには「何か病気が隠れているケース」があります。 股関節の付け根の痛み!ふとももの付け根の痛み ・大腿骨や骨盤の骨自体に何か問題が起きているケース ・筋肉に異常が起きているケース ・何か病気が隠れているケース いずれにしても、股関節もしくは、その周囲が痛むと歩行に障害がでます。放っておくと日常生活に大きな支障をきたしかねません。早くめに整形外科等の専門医にご相談されることをお勧めします。そこで今回は、股関節や太ももの付け根が痛い場合に考えられる病態と、対処法をご紹介してまいりましょう。 股関節(太ももの付け根)について 太ももの付け根には、股関節が位置しています。 骨盤と大腿骨で構成される股関節は、可動域が広く、様々な筋肉や神経、血管が近くを走行しています。股関節の代表的な筋肉でいうと大殿筋や中殿筋などの臀部の筋肉、ハムストリングスと呼ばれる臀部から太ももの裏側にかけての筋肉があります。 さらには大腿四頭筋と呼ばれる太ももの前面を覆っている筋肉があり、恥骨から大腿部の内側にかけては内転筋が位置して歩行の安定性にとても大きな役割を担っているのです。 神経では、太い神経である坐骨神経、大腿部の前側を走行している大腿神経が代表的です。 血管も、大腿動脈や大腿静脈など、血流量の多い血管が走行しています。さらには鼠径部にリンパ節があり、老廃物の代謝などに重要な器官です。 股関節の基本的な動きとは? 股関節は球関節であるため、様々な軸で動作を行います。伸展は臀部の筋肉やハムストリングスが中心に筋力を発揮し、屈曲では大腿四頭筋や腹筋、深部にある腸腰筋などが筋力を発揮します。 外転でも臀部の筋肉が主動作筋として働き、内転は内転筋群の役目です。さらには外旋動作もあり、臀部の深層にある梨状筋などが筋力を発揮し、内旋動作では内転筋群が働きます。 股関節(太ももの付け根)が痛む場合に考えられる 9 つの病気 考えられる病気として、ここでは 9 つご紹介していますが、単なる疲労だろうとの自己判断は禁物。傷まれる場合は早めに医療機関で検査、診察を受けられることをお勧めいたします。 1.筋肉疲労 単なる筋肉疲労です。長時間の作業や立ち仕事、スポーツなどで太ももの付け根が痛くなることも考えられます。捻挫や打撲などの怪我ではないですし、もちろん病気でもありません。しかし、臀部や股関節の筋肉が硬い場合や、足首や膝に痛みや不安を抱えている場合など、太ももの付け根にダメージを蓄積する可能性は広く考えられます。 腸腰筋や大腿四頭筋に軽微な外力によるダメージが蓄積した結果、歩行時や立ち上がり時などの動作時に太ももの付け根が痛くなることは十分起こり得るでしょう。この場合は、治療というよりも、安静にして疲労の回復に努めることが第一です。 2.変形性股関節症 太ももの付け根が痛くなった場合に、年齢などの環境を考慮して考えられるのが、「変形性股関節症」です。変形性股関節症は臼蓋形成不全などの先天的な変形もリスクを高める一因であり、少しずつ股関節を蝕んでいきます。 具体的には股関節の関節面に位置している関節軟骨が少しずつすり減ってしまい、関節内で炎症と変形を起こしてしまう病態です。交通事故など一度の大きな衝撃によって変形性股関節症になるのではなく、日常生活を送る上での負担の積み重ねが、少しずつ変形性股関節症を作り上げていきます。 負担の蓄積という大きな原因がある以上、年齢と共に発生リスクが上がることは避けられません。保存療法によって股関節に負担をかけない動作を獲得していく他、あまりにも日常生活に支障が出るようであれば、人工関節などの手術が考えられます。 3.関節リウマチ 関節リウマチは自己免疫疾患の一つで、簡単に言えば自分の関節を自分の免疫力で攻撃してしまう病態です。本来であれば外から侵入してきた病原菌やウイルスに対して免疫力を発揮するはずの機構が、何らかのエラーで自らの健康な細胞を攻撃してしまう原因不明の病気でもあります。 通常は四肢の末端部分の関節から少しずつ炎症や変形などの症状が出始め、全身の関節どこでも痛みが起こり得ます。その中で股関節の痛みが、太ももの付け根の痛みとして感じられることもあるのです。 4.大腿骨近位部骨折 大腿骨近位部骨折は、高齢者に多い骨折です。転倒などによって外力を受け、大腿骨頭に向かう大腿骨頸部で骨折してしまうこともあります。大腿骨頸部で骨折があれば、荷重をすると激痛になるので、痛みの発生機序と動作制限によって鑑別できます。 大腿骨頸部骨折の中でも、関節内と関節外で重症度が異なり、関節内に骨折線がかかっている場合は治療もより長期になります。場合によっては髄内釘などの手術が必要です。 年齢によっては、大腿骨近位部骨折から寝たきりになってしまうこともあるので、特に骨粗鬆症がある方は注意しなければならない骨折です。 5.大腿骨頭壊死症 大腿骨頭壊死症になると、壊死によって変形した大腿骨頭に重心がかかると、太ももの付け根に痛みを感じることになります。大腿骨頭壊死症の原因は未だに不明であることが多く、ほとんどが特発性です。 大腿骨頭壊死症のリスクを高める要因としては、アルコール中毒などによる、アルコールの多飲歴が挙げられます。他にも、治療などによるステロイドの使用歴が多いと、大腿骨頭壊死症のリスクを高めると言われています。 大腿骨頭を栄養している大腿骨頭動脈が、何らかの原因で遮断されることによって起こる病態です。大腿骨頭壊死症が発生した初期の段階では、保存療法によって荷重のかけかたを工夫することによって様子を見ることもできます。 しかし、常に体重がかかる関節であるため変形も進みやすく、人工関節置換術の適応になることも多いです。 6.腰椎椎間板ヘルニア 腰部脊柱の間から派出する神経が、大腿部を通って足の先まで走行しています。その過程で太ももの付け根を支配している神経が絞扼や圧迫を受ければ、そこで痛みを発生することがあります。 椎間板ヘルニアとは脊柱の中を通っている脊髄や神経根が、変形して飛び出した椎間板によって圧迫されている病態です。したがって、圧迫されている高位によって太ももの付け根で痛みが出ることもあれば、下腿部で痛みが出ることもあり、治療も比較的長期間になることが多いです。 ヘルニアによって神経を圧迫している痛みに加え、筋緊張が強くなることによって、走行している神経を絞扼してしまうケースもあります。腰椎椎間板ヘルニアになってしまう原因は、長期間負担が積み重なったということです。 重い物を持つような仕事であったり、長時間の運転であったり、腰に負担を溜めやすい生活習慣がある方は腰椎椎間板ヘルニアを発症しやすいと言えます。ブロック注射を含む保存療法によって、筋緊張の緩和と股関節や腰椎の柔軟性を取り戻すことで症状の緩和を目指します。 それでも日常生活に大きな支障をきたしている場合は、手術も選択肢に入ってきます。しかし、手術したからといって腰椎椎間板ヘルニアの痛みが100%消えるという保証はなく、別の高位で再発するケースもあります。 結局のところ、腰椎椎間板ヘルニアになってしまう体の使い方を正していかなければ、根本的な解決には至らないのです。 7.脊柱管狭窄症 脊柱のマルアライメントや、脊柱管内の変形によって神経や血管を圧迫してしまう病態です。腰に慢性的に負担がかかるということが、脊柱管狭窄症の発生リスクを高めます。脊柱管狭窄症になってしまうと、太ももの付け根や足の先で神経的な痛みを発生させることがあります。 最も特徴的な症状は間欠性跛行で、一定の時間歩くと痛みやしびれで下肢に力が入りにくくなり、一定の時間休むことで再び回復するという症状が出てきます。安静時でも腰や下肢が痛いケースもあり、坐骨神経痛を伴うことも多いです。 脊柱管を狭窄している原因が姿勢不良などのマルアライメントにあれば、姿勢の改善や骨盤矯正によって症状を改善させることも可能です。場合によっては手術という選択肢もあります。 8.鼠径ヘルニア 別名脱腸とも呼ばれ、主に小腸が鼠径部から皮下に飛び出してしまう病態のことです。鼠径部に筋膜が脆弱な部分があり、腹圧が高まることでそこから内臓が出てきてしまうのです。 原因はほとんどが先天的な要因であり、年齢と共に筋力が落ちるため鼠径ヘルニアの発生リスクが高まります。飛び出してきた小腸が嵌頓してしまい、徒手整復でも元に戻らなくなってしまった場合は、早急に手術が必要です。 嵌頓している組織が壊死を起こしてしまい、重篤な状態になりかねないからです。鼠径ヘルニアが発生すると、まさに太ももの付け根で痛みが出て、体表からでも膨らみを確認できます。 9.リンパ節炎 鼠径部にはリンパ節が位置していて、ウイルス感染などで炎症を起こしてしまうと、太ももの付け根で痛みが出ます。感染以外でも、全身性エリテマトーデスのような自己免疫疾患でも、リンパ節の腫脹を認めることがあります。それが鼠径部のリンパ節で起これば、太ももの付け根が痛むわけです。 股関節(太ももの付け根)が痛くなったら!? 太ももの付け根が痛くなったときの有効な対処法をご紹介していきます。 ・安静にする 荷重をなるべくしないように気を付けて、安静にすることで痛みが治まるのであれば、筋肉疲労や保存療法で十分改善できる症状である可能性が高いです。股関節は常に荷重されている関節なので、負担も溜まりやすいです。 ・腰や股関節のストレッチをする 腰から来ている神経を圧迫していることによって、太ももの付け根で痛みが出ているのであれば、ストレッチをすることで痛みが緩和されることがあります。腰の屈曲や伸展のストレッチをしてみて、痛みが憎悪しないか確認してみてください。 牽引によってストレッチ効果を出すのも有効なので、鉄棒などにつかまってぶら下がるだけでも痛みが緩和されることがあります。股関節は特に臀部のストレッチが有効で、坐骨神経痛や梨状筋症候群などの症状で太ももの付け根が痛い場合は大殿筋や中殿筋といった臀部の緊張が取れるだけでもかなり変化します。 ・温める お風呂などで温めることによって、痛みが軽減されることもあります。特に股関節の前側には太い血管が通っているので、そこの血流が悪くなるだけでもしびれや痛みが増しやすくなります。 下肢の疲労も抜けにくくなりますし、冷えやむくみも出やすくなるので、温めることで痛みが憎悪する可能性を排除していくこともできます。 早期に医療機関に相談しましょう 簡単なセルフケアでも太ももの付け根の痛みが変わらない場合は、すぐに医療機関を受診することをお勧めします。精査をしておきたいなら整形外科で、壊死など器質的な異常でない場合は接骨院や整骨院でも治療が可能です。 それぞれの治療の大きな違いとしては、整形外科は注射や服用薬など薬物療法、そして手術療法の選択肢があることです。接骨院や整骨院は、筋肉の緊張や背骨のゆがみなど体の使い方を改善していく治療法になります。 症状によって使い分け、通院しやすい方を選ぶと良いでしょう。 注意!痛みを放置し、歩けなくなる前に! 脅しではなく、股関節(太もも)の付け根の痛みの裏には、大腿骨頭壊死など生活レベルを大きく左右してしまうような病気も隠れていることがあります。痛みは身体のサインです! 最初は些細な痛みでも、荷重関節なので問題がある場合、悪化の進行は早いと心得ておきましょう。可能性として「放っておくと歩けなくなることもある」ので、早めに対処するに越したことはありません。進行する前に医療機関を受診しましょう。 リペアセルクリニックは、第二種・第三種再生医療提供計画を厚生労働省に提出し受理された厚生労働大臣許可医療機関です。 当院では来院前の「メール相談」も受付けています。ご遠慮くなくご相談ください。以上、股関節の付け根の痛み!ふとももの付け根の痛み!で考えられる病気とは?と題して記載させて頂きました。参考になれば幸いです。 https://youtu.be/o2ASEGbQ-R8?si=ExQEWCeDUSupKBYW 監修:リペアセルクリニック大阪院 足の付け根の痛みに関連する記事はこちら 足の付け根が痛い場合は手術が必要?考えられる病態とは 再生医療による膝の治療に関連する記事はこちら 膝の症例 現役プロスポーツ選手 ひざの痛みにPRP治療 当院の治療についての考え方や再生医療についての内容もお読みください スポーツ外傷・障害の痛みに対する当院の治療 変形性股関節症に対する当院の治療 再生医療とは
最終更新日:2024.08.30 -
- 肘
痛い!肘の筋肉に内側?外側?場所によって異なる病気を医師が徹底解説! 肘の痛む箇所によって違う病気が考えられます。痛みが出る原因としては、肩関節から上腕骨を走行して肘関節をまたぐ筋肉や、前腕部の筋肉、さらには手首の部分も考えられます。 打撲など、明らかに外からの力によって筋肉が損傷し、痛む場合は分かりやすいのですが、日常生活やスポーツ活動を繰り返す中で少しずつ負担が溜まり、いつの日か急に痛みが出ることもあります。さらには、骨折を起こした際にも、その後の経過で肘周辺に痛みが出る可能性があります。 今回は、肘の筋肉で痛みが出ている場合に考えられる原因と、その対処法についてご紹介していきます。 肘の筋肉の仕組み 肘の筋肉といっても、動作によって様々な筋肉が存在しています。 代表的なものは「上腕骨外側上顆(じょうわんこつがいそくじょうか)」や「内側上顆(ないそくじょうか)」につく、前腕の筋肉です。上腕骨外側上顆から起始する筋肉は、前腕の伸筋群で主に手関節の伸展、手指の伸展、前腕の回外に作用しています。 具体的な筋肉でいうと、 ・橈側手根伸筋(とうそくしゅこんしんきん) ・尺側手根伸筋(しゃくそくしゅこんしんきん) ・総指伸筋(そうししんきん) ・回外筋(かいがいきん) といった筋肉です。 上腕骨内側上顆から起始する筋肉は前腕の屈筋群で、 ・尺側手根屈筋(しゃくそくしゅこんくっきん) ・長掌筋(ちょうしょうきん) ・浅指屈筋(せんしくっきん) ・円回内筋(えんかいないきん) などです。 ほとんどの筋肉が上腕骨から手根骨、または手指骨に停止している二関節筋です。 そのため、どこか一つの関節の動きだけに作用するわけではなく、肘関節の屈曲や伸展、前腕の回外と回内、手関節の屈曲や伸展、手指骨の屈曲や伸展、といった動作に関与しています。 肩甲骨からも肘関節を動かす筋肉が走行している 肘関節に関わる筋肉の中には、上腕から前腕にかけて起始停止を持つ筋肉だけでなく、肩関節を超えて肩甲骨から走行してくる筋肉もあります。 屈筋側で言えば上腕二頭筋が代表的で、肘関節の屈曲や前腕の回外に作用しています。伸筋側では上腕三頭筋が最も力の大きな筋肉で、肩甲骨から尺骨の肘頭まで走行しています。肘関節の伸展に関わる主動作筋です。 肘の動き以外にも痛みが出る場合がある ここまでご紹介してきた代表的な筋肉は全て、肘関節の動作だけに関わる筋肉ではありません。したがって、肘の筋肉で痛みが出ている場合、肘関節の動き以外でも痛みを発するケースが多いです。 肩関節の屈曲や外転などでも肘関節部にかけて痛みが出ることや、手関節の屈曲や伸展でも肘関節付近で痛みが出ることがあります。さらには手指の動きも同様で、握りこむまたは手をいっぱいに開くという動作で、肘関節部に痛みが出るケースも考えられます。 肘関節の動作以外でも痛みを感じる場合は、肩関節や手関節など他の関節の運動療法が必要な場合もあるのです。必ずしも痛みのある部位と原因となっている関節が一致するわけではないので、注意が必要です。 肘の筋肉が痛い場合に考えられる病気 肘の筋肉に痛みを感じる場合、どんな病気が考えられるのかご紹介していきます。 外側上顆炎(テニス肘、テニスエルボー) 肘の筋肉が痛いときにまず考えられるのが、外側上顆炎です。上腕骨の外側上顆から、前腕の伸筋側にかけて痛みを発生します。原因は筋肉の使い過ぎやダメージの過度な蓄積で、テニス肘と呼ばれることもあります。 前腕の伸筋群に繰り返し負担をかけることで少しずつ疲労を蓄積し、筋力発揮をするたびに外側上顆で牽引力がかかります。そこから炎症に発展し、安静時でも痛みを伴うケースも珍しくありません。 テニス肘と呼ばれる由来は、テニスのバックハンドの際に外側上顆から起始する筋肉に過度な負担をかけるので、テニスプレーヤーに多い症状であるからです。 もちろん、テニスを経験したことが無い方でも、日常生活動作の中で負担を蓄積し、外側上顆炎に発展するケースは多々あります。手のひらを下に向けた状態で物を掴んで持ち上げるという動作は、全て外側上顆から起始する筋肉に負担をかけるのです。 家事の中でも、包丁を使う、買い物の袋を持つといった些細な動作でも外側上顆炎の一因になります。痛みが出るのは、安静時、肘関節屈曲伸展時、前腕回外時が多いです。 内側上顆炎(ゴルフ肘) 外側上顆炎と同じような発生機所で、内側上顆でも痛みを発生させることがあります。上腕骨の内側上顆から、前腕の屈筋群にかけて痛みを発生させます。 やはり筋肉の使い過ぎや過度な疲労の蓄積が発症の引き金になり、別名ではゴルフ肘と呼ばれることもあります。野球肘の一種と括られることもあり、投球動作を繰り返すことで手関節の屈曲力や手指の屈曲力を必要とするので、内側上顆で痛みを発生させることもあります。 日常生活の中でも、仕事によって内側上顆炎を発生させることも少なくありません。重いものを持つことが頻繁にある方や、指先の細かい作業で手指の動作を行う方など、強い衝撃でなくとも内側上顆炎になる可能性は十分です。 そのため、肘の筋肉で痛みが出ても、自分では何が原因なのか把握できないケースも多いという特徴があります。ゴルフの動作の場合は、スイングの際に後ろ側の手で押し込むような力が加わるので、初心者のゴルファーで内側上顆炎になるケースが多いです。 体幹の捻りを上手く使えず、上肢だけで飛距離と正確性をコントロールしようとするので、余計な力が入って内側上顆炎を発生させます。 側副靭帯損傷 肘関節には、内側と外側に上腕骨から前腕に伸びる靭帯が存在しています。肘関節が異常な動きをしないように、安定性を高める役割を果たしている靭帯です。 外側が外側側副靭帯、内側が内側側副靭帯です。それぞれ、一度の強い外力によって側副靭帯が断裂または部分損傷させられることがあります。 柔道など格闘技系のスポーツ活動によって、肘が過度に外反または内反させられたときに、側副靭帯が耐えきれずに損傷してしまいます。単なる外反や内反だけでなく、回旋力が加わると側副靭帯損傷の可能性は高まるでしょう。 一方で、軽微な外力を繰り返し受けることによって、微細な側副靭帯損傷を繰り返して痛みを発生させるケースもあります。例えば投球動作の繰り返しなどで、コッキング期からアクセレレーション期にかかる肘への外反力によって、内側側副靭帯に損傷を起こします。 肘関節の屈曲や伸展、前腕の回外な回内といった動作で痛みを発生させることが多いので、肘の筋肉で損傷が起きていると感じるかもしれません。 一度の強い外力で側副靭帯が損傷したものについては、保存療法や場合によっては手術も選択肢に入ります。負担の蓄積によって損傷した側副靭帯については、原因となる動作を禁止して安静にすることが第一です。 プロスポーツ選手など、特別な事情がある場合には手術も考えられます。 頸椎ヘルニア 筋肉が痛いと感じていても、実はそれが神経症状であるというケースも考えられます。それが頸椎ヘルニアや頚椎症、ストレートネックといった首の病態で引き起こされるのです。 頸椎部分から派出する神経は、肩甲骨や上腕付近を走行して、前腕から指先へと到達していきます。頸椎ヘルニアや頚椎症が起こっている高位によっては、上腕や肘付近、前腕の感覚を司っている神経を圧迫してしまうこともあります。 そうなれば、肘の筋肉の痛みとして最初は感じられるかもしれません。痛み方の特徴としては、安静時でも痛みやしびれがあり、長時間同じ姿勢を続けていると症状が憎悪します。 場合によっては仰向けで寝ると痛みが増すケースもあり、横向きでしか寝られなくなることもあるくらいです。頸椎ヘルニアや頚椎症の発生原因としては、日々の負担の蓄積にあります。 デスクワークが長時間続く方や、スマートフォンを長時間見続けている方、調理場など前かがみの姿勢が続く方など、物理的に首への負担が大きい方はリスクが高いです。 首凝りや肩凝りが酷くなり、ある日を境に肘関節付近の痛みが強くなるので、頚椎から上肢へ神経が走行している仕組みを知らなければ大変驚くはずです。 筋肉損傷などの痛みと鑑別する方法としては、頸椎の動作によって痛みが憎悪するかどうかを確かめる方法です。 頸椎ヘルニアや頚椎症である場合は、頸椎の伸展や回旋動作によって肘関節付近の痛みが増すことがあります。この場合は早めに受診して、原因を特定する必要があります。これは、神経の通り道が狭くなる動きなので、神経根の圧迫が強くなるためです。 腱鞘炎の可能性も考えられます。手首を繰り返し使う動作で、腱周りの組織が炎症を起こすと、肘周辺にも痛みが起こり得ます。 この場合は肘関節付近の筋肉にいくらアプローチしても、痛みが改善されるどころか時間の経過と共に悪化していきます。整形外科で精査をし、リハビリを行うのか場合によっては手術を行うのか検討していく必要があるでしょう。 肘の筋肉が痛い場合の対処法 肘の筋肉で痛みが出た場合、自分ではどのような対処法を行えばいいのかご紹介していきます。 肘を温める 筋肉の緊張やオーバーユースによって出ている痛みなら、肘を温めると血流が良くなって筋緊張が取れ、痛みも少し緩和することがあります。 お風呂に入った直後など、今まで痛みがあった動作が楽にできるようであれば、温めることは有効なセルフケアです。ホッカイロをあてておくだけでも良いですし、お風呂でよく温まることが大切です。 ただ、温めるというのは時と場所を選ぶケアなので、冷やさないということが重要になってきます。夏場であればクーラーの風があたることで痛みが悪化することもありますし、温度管理に気を配ってみてください。 ストレッチをする 上腕から前腕の筋肉をストレッチすることで、痛みを緩和できるケースもあります。側副靭帯損傷の場合は当てはまりませんが、筋肉そのものが原因で痛みが出ている場合は有効です。 頸椎ヘルニアがきっかけで出ている痛みでも、少し緩和されることもあります。肩関節を水平屈曲させたり、外転させたりして、腕から肩甲骨にかけての筋肉をストレッチします。 また、前腕の筋肉は手関節を過屈曲または過伸展することによってストレッチでき、前腕の回旋も加えることで効果的なストレッチが出来ます。もし動作で痛みがある場合は、無理せず痛みのない範囲で行いましょう。 人間は、痛みを感じると自分の体を守ろうとして筋肉を緊張させることがあります。無理なストレッチで、筋緊張を起こせば痛みが悪化してしまう可能性もあるので注意が必要です。 軽くマッサージをする 前腕や上腕部の、自分で硬さがあると思う部分を軽くマッサージするのも非常に有効です。あまり大きな筋肉ではないので、強く揉みすぎると防衛反応が起きてかえって筋肉が緊張することもあります。 痛みがあるようならさする程度でも大丈夫です。心地よいと感じる程度の強さでセルフマッサージを行うと、筋緊張を緩和することに繋がります。 湿布を貼る 湿布は温湿布でも冷湿布でもどちらでも大丈夫です。ただ、長時間貼っていると皮膚がかぶれてしまいますし、湿布の上からホッカイロをあてるなどすると、肌荒れに繋がるので注意です。 湿布が根本的な改善になるわけではないですが、痛みを軽減して日常生活を送ることができるでしょう。 専門医に相談する 筋肉の損傷なのか、靭帯の損傷なのか、神経症状なのか自分では見当がつかないという場合、すぐに専門医に相談してください。病院であれば整形外科ですし、接骨院や整骨院でも良いです。 筋肉に疲労が溜まっていることが肘の痛みの原因であれば、安静にすることで落ち着くかもしれません。しかし、靭帯損傷や神経症状の場合、放置しておくと痛みが悪化するケースもあります。 痛みをかばいながら行動することで、背骨に歪みを招くことになれば、肩こりや腰痛など二次的な症状に繋がってしまいます。 まとめ・肘の筋肉痛は肘だけの問題ではない! いかがでしたでしょうか。場所によって異なる病気をご紹介いたしました。 肘の筋肉で出る痛みの原因として多いのは外側上顆炎など、オーバーユースによるものです。肘の治療をしっかり行うことも大切ですが、肘に負担をかけすぎないような身体全体の使い方を考えることも、早期治癒と再発予防に繋がります。 自分では見当がつかないという場合、整形外科や接骨院、整骨院などの専門医に相談しましょう。 この記事がご参考になれば幸いです。 監修:リペアセルクリニック大阪院 再生医療やスポーツ医療についての専門医がいない方へ リペアセルクリニックは、第二種・第三種再生医療提供計画を厚生労働省に提出し受理された厚生労働大臣許可医療機関です。当院では来院前でも「メール相談」を受付けています。どうぞ事前にご相談ください。 メール相談・お問い合わせフォームはコチラ 肘の痛み、筋肉の痛みに関連する記事はこちら ・肘から下の痛みは背骨が原因か?前腕が痛む原因で考えられる疾患 ・テニス肘とゴルフ肘の正しい治し方となりやすい条件とは ・肘をぶつけてからずっと痛みが治まらない時、考えられる原因は? ・肘の外側が痛い場合の対処法は?外側上顆炎や神経痛の場合も 肩の痛み、肩の関節の痛みに関連する記事はこちら 肩の関節が痛い場合に有効な治し方と痛みの原因は? 腕に関連する記事はこちら 腕が上がらないのは病気のせい?考えられる症状は何
最終更新日:2024.03.27 -
- 肩
肩の関節が突然痛くなる!その原因と治し方を徹底解説 いつもと変わらず日常生活を過ごしているのにも関わらず、突然肩が痛くなることは、珍しいことではありません。首や肩の筋肉に知らず知らずのうちに負担をかけていて、ある日一線を超えたかのように痛みとして感じられるようになります。 今回は、肩の関節が痛くなる原因と、その治し方についてご紹介していきます。 肩の関節は可動域が広い 肩の関節の大きな特徴は、可動域が広いということです。肩甲骨の関節窩と、上腕骨頭で構成されている肩関節は、球関節なので様々な軸で動作を行うことができます。 上腕の外転や内転、上腕の外旋や内旋、肩関節の屈曲と伸展という動きが主です。 脱臼をしやすい関節でもある 肩関節は可動域の広さが確保されているのと同時に、構造上脱臼をしやすい関節でもあります。肩甲骨にある関節窩が浅く、上腕骨頭を支持するには形態的に足りないのです。 特に、肩関節を外転外旋位にもっていくと、脱臼のリスクが高まります。一度脱臼をすると周囲の軟部組織や骨を損傷することがあり、再脱臼を起こしやすいというのも特徴です。そんな肩関節の支持性を高めているのがローテーターカフと呼ばれるインナーマッスルで、棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋の 4 つで構成されています。 ローテーターカフで正しい動作と安定性を補っている ローテーターカフの役割はただ単に肩関節を安定させるだけでなく、動作の中で肩甲骨や上腕の細かな動きを調整しています。例えば肩関節を外転させていく場合、ローテーターカフがしっかり働かなければ上腕骨頭の下制力が無くなり、そのまま肩甲骨の上部へと脱臼してしまいます。 ローテーターカフが明らかに筋力を発揮しているのを感じることは難しいですが、機能していないと肩関節の動きはかなり制限されることになります。 肩関節の動きには様々な骨が関わる 日常生活の中で肩関節が突然痛みを発しやすい原因の一つとして、関わる骨や筋肉が多いということも挙げられます。 肩関節を動かすためには、肩甲骨と上腕骨の動きはもちろん、鎖骨、胸骨、肋骨など様々な骨に付着する筋肉が関わっています。 そのため、鎖骨で異常が起きても肩関節の動きに影響しますし、胸骨や肋骨で異常が起きても肩関節の可動域は狭くなるのです。 肩の関節が痛いときの原因とは 肩関節で痛みが出る原因には、何が考えられるのでしょうか。 五十肩 五十肩は外傷などの後遺症として発生することもありますし、明確な原因なくある日突然痛みを発生させることもあります。肩関節周辺の筋肉に負担を蓄積し、緊張した筋肉によって動きのズレを生み、そこから肩関節の炎症へとつながっていくのです。 中高年の年代に多いことから五十肩と呼ばれますが、医学的な用語で説明すると、肩関節周囲炎ということになります。五十肩は炎症期といって特に痛みの強い時期が存在します、そこを過ぎれば少しずつ痛みは軽減していくものです。 しかし、痛みの軽減後も可動域の制限が残るケースがあります。これは炎症を抑える治療だけでは改善しきれないので、運動療法や背骨の矯正などで少しずつ可動域を戻していくことが必要です。 野球肩 野球など投球動作の繰り返しによる負担の蓄積で起きた症状を、野球肩と言います。オーバーユースによっておきた肩関節周辺の軟部組織損傷を総称している言葉なので、一言で野球肩といっても人によって病態は様々です。 筋肉に疲労を溜めすぎて硬くなっているだけというケースもありますし、関節唇の損傷を起こしているケースもあります。中にはそこから肩関節の亜脱臼を起こすこともあります。 野球肩になってしまった場合は、まず投球動作の中止が必要です。投球をしながらだと、治療期間もかなり長くなります。投球動作の中で、特にコッキング期からアクセレレーション期に移行する瞬間に負担がかかりやすいので、体の使い方そのものを改善していく治療方法が有効です。 石灰沈着性腱板炎 腱板とは棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋それぞれの腱の束のことで、その付近に石灰が沈着して炎症を起こす病態です。特徴的なのは夜間痛で、痛みのために睡眠が邪魔されることもあります。 五十肩と症状の出方が似ていますが、夜間痛や動作時の痛みの強さ、画像診断などで判断していきます。カルシウムの代謝異常が原因であることはわかっていますが、何がきっかけで石灰沈着が起こるのか不明な点も多い病態なのです。 腱板断裂 上記の項目でもご紹介した、4 つの筋肉の腱から構成される腱板を断裂してしまっていると、当然肩の関節で痛みを引き起こします。腱板が断裂してしまう原因は様々で、転倒や打撲による負傷、肩関節のオーバーユースなど、急性でも亜急性でも両方考えられます。 特に棘上筋が断裂する頻度が一番高く、フルキャン(フルカン)テストなどでどの筋肉に問題が起きているのか鑑別することが可能です。 上腕二頭筋長頭腱炎 上腕二頭筋の長頭が、上腕骨の結節間溝を走行しています。結節間溝は肩関節の前側にあり、長頭と摩擦が起きることで炎症になることがあります。上腕二頭筋の過度な緊張や使い過ぎによって徐々に起こるものです。 肩の動き、肘の動き、前腕の動き全てに関わる筋肉なので、日常生活の中でも痛みの頻度は高いでしょう。 肩峰下滑液包炎 肩鎖関節の下あたりに位置する肩峰下に、関節の滑りを良くする滑液包が存在しています。動作の中でその肩峰下にある滑液包を挟み込んで炎症を起こしてしまい、肩関節の痛みとして感じられることがあります。多くは注射などの外科的治療が選択されることになります。 肩の関節が痛いときの治し方 それでは、肩の関節が突然痛くなってきたときに、どのように対処したらよいのかご紹介していきます。 肩や首を温める 筋肉が硬くなっていることによって肩関節で痛みが出る場合もありますが、それは温めることで痛みを緩和させることが出来ます。100 %痛みが軽減するとは言いきれませんが、多くの場合は一時でも楽になります。 血流が良くなれば筋肉の緊張も取れやすくなるので、ぶつけていないし捻ってもいない、自分では原因が不明な肩関節の痛みについては温めてみるという価値は十分あります。お風呂に浸かってじっくり温まることも良いですし、蒸しタオルを肩や首にあてるだけでも良いセルフケア方法です。 逆に冷えてしまうことで痛みを悪化させるケースもあるので、温めないまでも冷やさないということが大切です。 安静を保つ 肩を動かすと痛いという場合は、痛みのある動きをなるべく避けることも大切です。人間は痛みを感じると、無意識のうちにそこをかばって行動するようになります。 肩の関節で痛みが出れば、背骨や肘、手首の動きで肩関節の機能低下を代償するようになるので、必然的に他の部位でも不調が起こります。まずは安静にして、少しでも痛みが和らぐのか確認してみてください。 しかし、あまりにも肩を気にしすぎて全く動かさなくなると、そこから五十肩に移行したり、すでに五十肩の場合は治療期間を長引かせたりすることにもなりかねません。痛みのない範囲では積極的に動かしておきましょう。 整形外科に相談する 突然肩の関節が痛くなり、しばらくしても痛みが引かない場合は、整形外科を受診するのがまず確実です。レントゲンや、場合によってはMRIを使って精査してくれることもあります。石灰沈着を起こしていればレントゲンでわかりますし、関節の変形なども画像診断で判断できます。 逆に、骨や代謝物の異常が無いということもわかるので、筋肉にアプローチすべきなのか治療方法を絞り込むこともできます。肩で痛みが出た場合に、精査した結果何も異常が見つからないと余計に心配になることがあるかもしれません。 しかしそれは、アプローチすべき個所が絞られるとも言えるのでむしろプラスに捉えるべきでしょう。 接骨院に相談する 石灰沈着などは注射などの薬物療法が行われることもありますが、肩関節周囲炎など筋肉が原因で起きている痛みの場合、接骨院での治療で十分改善していくことが可能です。 場所によっては整形外科よりも受付時間が長いことの方が多いので、通院しやすいかもしれません。接骨院ではレントゲンは撮影できませんし、薬の処方も出来ません。痛み止めを使うほどの痛みでは無ければ、手技療法や電気療法、罨法などを熱心に施術してくれる接骨院を選びましょう。 肩関節の治療方法 肩関節の治療のやり方には、どのような方法があるでしょう。 電気治療 電気治療の目的は、筋緊張の緩和と血流の改善です。低周波や干渉波の治療器が肩関節の痛みに有効であるケースもあります。電気治療が受けられるのは整形外科や接骨院で、一般的には接骨院の方が使用頻度も高いでしょう。 ただ、捻挫や打撲などと違う、日常生活の軽微な外力で発生した肩関節の痛みについては、電気治療が根本的な治療方法になるわけではありません。電気治療に加えて、運動療法など他のアプローチも組み合わせることになるでしょう。 温熱療法 温めることで肩関節の痛みが緩和されることもあります。ホットパックと呼ばれる電気の温熱器具を使ったり、ホットタオルなど蒸しタオルを使ったりする方法です。 ホットパックは乾性の温熱で、ホットタオルは湿性の温熱と呼ばれています。温めるという効果は同じなので、よりリラックスできる方が良いでしょう。その他にも、赤外線を使って患部を温熱する方法もあります。 赤外線の良いところは、より深部の組織を狙って温めることができるという点です。整形外科でも接骨院でもどちらでも受けることが出来ます。 手技療法 いわゆるマッサージやストレッチなどの治療方法で、自分で肩関節を動かすというよりは、施術者の手によって他動的な運動で動作を行っていきます。マッサージにもストレッチにも言えることですが、あまりにも強すぎる刺激は逆効果になることがあります。 刺激が強すぎると、自分の体を守ろうとして逆に筋緊張を起こすこともあるのです。リラクゼーション目的であれば自分の好きな強さで施術を受ければ良いですが、目的が治療なのであれば、強ければ強いほど良いというわけではありません。 運動療法 肩の動かし方が悪いせいで、肩関節に痛みを発生させているケースがあります。ゴムチューブなどを使ってローテーターカフを鍛えたり、正しく筋力発揮ができるようにしたりするのが目的です。 肩関節が痛い場合、多くのケースでは筋力が足りないわけではありません。筋肉の量の問題なのではなく、使い方に問題があるのです。軽微な外力によって負担を溜めることで、徐々に筋緊張が広がっていきます。 その結果肩関節の動作で微妙にズレを起こし、動作のたびに痛みを発生させるのです。 背骨や骨盤の矯正 肩関節の痛みが、実は背骨のゆがみのせいで起きているというケースもあります。背骨が歪んでいれば肩甲骨の動きが悪くなり、肩関節の可動域制限に繋がります。 自分でも試してみるとすぐに感じられると思いますが、背中を極端に丸めて両腕を挙上するよりも、背中をまっすぐ伸ばして両腕を挙上した方が挙げやすいはずです。このように、肩関節自体に問題が無くても、背骨のゆがみのせいで可動域制限や痛みを発生させていることは大いに考えられることなのです。 肩関節は放っておいても改善しにくい 少しぶつけた程度あれば、時間が経過すれば回復するものです。しかし、肩関節の痛みは時間が経過しても改善しない症状も多く、むしろ悪化する可能性が高いです。早めに専門医に相談して、対処しておきましょう。以上、肩の関節が突然痛くなる!その原因と治し方を徹底解説いたしました。参考になれば幸いです。 お近くに再生医療やスポーツ医療についての専門医がいない方へ さかもとクリニックは、第二種・第三種再生医療提供計画を厚生労働省に提出し受理された厚生労働大臣許可医療機関です。当院では来院前でも「メール相談」を受付けています。どうぞ事前にご相談ください。 メール相談・お問い合わせフォームはコチラ 監修:リペアセルクリニック大阪院 肘や筋肉の痛みに関連する記事はこちら ・肘・筋肉の痛みは?原因と対策は? ・肘から下の痛みは背骨が原因か?前腕が痛む原因で考えられる疾患 ・テニス肘とゴルフ肘の正しい治し方となりやすい条件とは 肘をぶつけてからずっと痛みが治まらない時、考えられる原因は? ・肘の外側が痛い場合の対処法は?外側上顆炎や神経痛の場合も 腕に関連する記事はこちら 腕が上がらないのは病気のせい?考えられる症状は何 当院の治療についての考え方や 再生医療についての内容もお読みください ・スポーツ外傷・障害の痛みに対する当院の治療 ・再生医療とは ・PRP(多血小板血漿)療法とは ・ご相談から治療までの流れ
最終更新日:2023.10.09 -
- 変形性股関節症
足の付け根が痛い場合は手術が必要?考えられる病態とは 足の付け根が痛くなる原因には、股関節や骨盤、脚自体に何か問題が起きているケースと、それ以外の病気などによるケースと様々です。 どちらも、転倒などでぶつけたり急な動作によって捻ったりして足の付け根が痛くなるということよりも、思い当たる原因がわからないことの方が多いです。今回は、足の付け根が痛くなる原因と、どのような治療方法があるのかご紹介していきます 足の付け根の痛みは股関節が原因であることが多い 足の付け根にあたる部分で最も問題が起きやすいのは、股関節です。股関節で炎症が起きていたり、何か病気があったりすれば痛みが出ることがあります。鼠径部の前側や、大腿骨の外側で痛みが起きるということもよくあることです。股関節の動きは意外と複雑で、屈曲や伸展などの単純な前後動作だけでなく、外転や内転、さらには外旋や内旋といった捻り動作も加わります。稼働する筋肉は、大殿筋や中殿筋といった臀部の大きな筋肉、大腿四頭筋やハムストリングスなど大腿部に付着する筋肉などが主です。股関節を動かす筋肉でも特徴的なのが、縫工筋や腸腰筋といった筋肉で、縫工筋は股関節の屈曲、外転、外旋という大部分の動作に関わります。腸腰筋は、股関節を直角以上に屈曲するときに稼働する筋肉なので、直角以上まで股関節を曲げた時に痛みが出る場合は腸腰筋の異常も疑われます。 足の付け根には血管と神経が通る 足の付け根の前側、いわゆる鼠径部では、太い血管と神経が走行しています。体表から触診する場合の指標となる大腿三角という部分に、大腿動脈、大腿静脈、大腿神経といういずれも太い組織が位置しています。大腿動脈の拍動は比較的強く、体表からでも拍動を触れることが出来ます。鼠径部を走行する大腿部の筋肉が緊張したり、股関節の動作で不具合を起こしたりして血管や神経を圧迫すれば、それで痛みが出ることもあります。さらに、大腿動脈や大腿静脈は下肢全体の血流を左右するので、そこの血流悪化が下肢全体のむくみや冷えにも大きく影響しています。 妊娠で足の付け根が痛くなることも 妊娠をしてある程度の週数が経過してくると、足の付け根で痛みが出るようになることがあります。胎児が大きくなってきて体も重くなり、単純に負荷が大きくなるから痛みが出るということもあるでしょう。また、出産の前後の時期になってくると、ホルモンの影響で骨盤周辺の靭帯などの軟部組織が緩くなってきます。その結果体の使い方が少し変わり、足の付け根や恥骨部分で痛みを発生させることがあるのです。さらに、お腹が大きくなってくるとどうしても骨盤が後ろに傾くような傾向になり、座位でも立位でも骨盤の前後のゆがみが目立つようにもなってきます。骨盤が後傾すると、股関節前側の筋肉も硬くなり、立ち上がったり歩いたりするたびに足の付け根で痛みを発生させることにも繋がります。これは出産後も同様で、妊娠中に身についた骨盤の傾きが残ることで、歩く時や動作の開始時に痛みを発生させるという不調も起こります。 足の付け根が痛くなる原因とは? 足の付け根が痛くなる原因として考えられることは何があるでしょうか。病気や整形外科的な疾患、単なる筋肉疲労など様々な可能性を探っていきます。 こちらも併せてご参照ください 筋肉への負担蓄積 捻挫や打撲、炎症とは違い単に股関節付近や腰の筋肉にダメージが蓄積してしまっていることで、足の付け根が痛くなることもあります。日常生活の中で股関節周辺に負担を溜め続け、ある日突然足の付け根となって現れてくることが多いので、自分の中で明確な原因が把握できないことが多いです。負担蓄積の原因としては、姿勢が悪く座位でも立位でも常に腰や骨盤周辺に過剰な負担がかかっていることが大きな要因です。特に骨盤の後傾や、ストレートネック、猫背といった身体の前後のバランスでゆがみが出ていると足の付け根でも痛みを発生させやすいです。骨盤の歪みが足の付け根の痛みに繋がることは想像しやすいと思いますが、上半身のゆがみが関連していることは意外でしょうか。例えば、猫背の場合、横から身体を見た時に常に頭の位置が少し前に出ている形になります。頭の主さは4kg以上あるので、重心が前に引っ張られないように骨盤を後ろに傾ける形でバランスを取ります。そうして出た全身のゆがみが足の付け根の痛みに繋がるのです。 治療方法 筋肉への負担を減らすことが最も有効な治療方法です。腰や大腿部の筋肉をマッサージ、ストレッチなどでほぐすことも大切です。しかし、多くの場合は体の使い方や姿勢など、マッサージだけでは改善できない原因が隠れています。筋肉をほぐすということだけでなく、背骨の歪みや骨盤の歪みを矯正して根本的な負担の原因を取り除くことが、最も大切な治療方法になります。精査しても特に病気などが無いのに足の付け根で痛みがある場合、股関節周辺だけを一生懸命治療しても良くなりません。視野を広げて改善方法を探っていくことが必要ですね。 変形性股関節症 股関節にある関節軟骨がすり減ってしまい、関節内で炎症を起こしてしまう病態です。歩行時など、動作をするときに足の付け根で痛みが出ます。年齢と共に荷重や筋緊張、姿勢や体の使い方などの影響で股関節の負担を溜めていき、少しずつ股関節の変形を起こしてしまいます。一度軟骨がすり減ってしまうと基本的には元には戻らず、なるべく痛みが出ないような体の使い方をリハビリで習得するか、股関節の人工関節置換術を行うことになります。生まれつきの形態である、臼蓋形成不全などがあると、変形性股関節症のリスクも高まります。 治療方法 根本的な治療方法となると、やはり人工関節置換術になります。しかし、人工物による関節なので、永久的に問題が起きないという保証はありません。現在では、だいたい20年が耐用年数と言われており、若い年代で股関節の人工関節置換術を行うことは稀です。手術を行うとしても、60代以降になることが多いです。それ以前の年代における変形性股関節症では、保存療法で痛みの出ない動作を獲得することを目指します。股関節を保護するために、臀部や大腿部の筋力強化が主です。エアロバイクを使うなど、なるべく股関節に負担をかけない形で筋力を強化していきます。 鼠径ヘルニア 内臓が鼠径部に飛び出してきてしまう病態のことです。鼠径部の上からふくらみを確認することが出来、痛みを伴うことがあります。鼠経ヘルニアで飛び出してしまう臓器は、ほとんどが小腸です。そのため、鼠経ヘルニアではなく脱腸という名前で呼ばれることも多いのが特徴です。鼠経ヘルニアになってしまう原因は、生まれつきの形態異常によってリスクが高いことがほとんどです。また、筋膜に損傷がある場合などは、鼠経ヘルニアを起こしやすいです。加齢と共に組織が脆弱化して鼠経ヘルニアを発症するケースもあります。喘息などで慢性的に咳が多い方など、腹圧が急激に強くなる機会が多い方は、鼠経ヘルニアを何度も繰り返してしまいます。特に立位の状態で鼠径部のふくらみや痛みを感じることが多く、仰向けなど横になると飛び出していた内臓が元に戻ることもあります。 治療方法 鼠経ヘルニアで飛び出してしまった臓器が、挟み込まれて元に戻らなくなってしまうこともあります。そうなれば、一刻も早く手術をする必要があります。挟み込まれて圧迫されることで血流が止まり、壊死してしまうことがあるからです。鼠経ヘルニアが根本から自然治癒することはほぼ無く、徒手的にヘルニアを戻すことで対応することもありますが、再発予防には手術が最も有効な手段です。子供で起こることもあり、鼠径部のふくらみや急に泣き出すなどの症状が繰り返されます。 腰部脊柱管狭窄症 脊柱の形態的な異常によって、脊髄や神経根を圧迫してしまう病態です。脊柱のゆがみや腫瘍など、何らかの原因で脊柱管が狭くなることによって起こります。神経と血管を圧迫するので、歩行を継続することが困難にもなります。神経や血管を圧迫することで症状が出るので、腰部を屈曲させるなどして脊柱の形を変えるだけで症状が緩解することも特徴です。腰部から派出する神経は下肢を支配しているので、脊柱管狭窄症によって足の付け根で痛みが出ることは十分あります。足の付け根から足趾まで、痛みや痺れをきたし、場合によっては両脚にでることもあります。最も特徴的な症状は間欠性跛行で、ある一定の距離を歩くと痛みやしびれが強くなり、少し休むと再び歩けるようになる症状です。 治療方法 手術の場合は、脊柱管狭窄症を起こしている部分を切開し、神経や血管の通り道を確保することになります。ただ、基本的には保存療法で行うことが一般的でもあります。ブロック注射や湿布、コルセットをつけて痛みの軽減や症状の予防に努めます。普段の体の使い方によって少しずつ脊柱管狭窄症の症状を悪化させていくという背景もあるので、背骨の歪みや骨盤の歪みを正して足の運び方を改善することも大切です。圧迫が出ない体の使い方が獲得できれば、症状がほとんど出ないように生活することも可能なのです。 関節リウマチ リウマチは自己免疫疾患の一つで、通常の免疫機能が異常な働きをすることによって症状が出ます。なぜ発症するのか原因は不明で、以前はほとんど治らないと言われてきました。しかし現代では、リウマチ症状がほとんど出ないように治療を行っていくことも可能になってきています。通常は病原菌やウイルスに対して攻撃を行う免疫細胞が、異常によって体の細胞を攻撃することによってリウマチ症状は起こります。全身のどの関節でも痛みや炎症が起こり得るので、足の付け根で痛みを発生させることもあります。ほとんどの場合は手先の関節で症状が出始めることが最初なので、リウマチによって足の付け根で痛みが出ている場合は、おそらく他の部位でも痛みを感じているはずです。 治療方法 基本は薬物療法です。抗リウマチ薬やステロイドを使用し、経過を観察します。病状が進むと関節破壊が起こってくるので、可動域を確保するために運動療法などでリハビリを行うことも大切です。それでも関節破壊が進んで変形が強くなってしまった場合は、人工関節など手術も視野に入ってきます。 大腿骨頭壊死症 大腿骨を栄養する血管が障害され、大腿骨が壊死してしまう病態です。原因が特定されないことが多く、突然症状を感じることがほとんどです。誘因の一つと言われているのがアルコール中毒の方や、ステロイドの多用です。大腿骨頭が壊死して変形してしまうので、荷重をしなくても動作で足の付け根の痛みを発生させます。 治療方法 保存療法で、痛みのない動作が再現できれば手術をしないケースもあります。しかし、日常生活を送る中で変形が進行していき、生活レベルが下がるようなら手術をする必要があります。人工関節を入れることも視野に入ってくるでしょう。 足の付け根の痛みには早く対処すべき ご紹介してきたように、足の付け根の痛みは単なる筋肉疲労だけでなく、手術が必要な症例がいくつもあります。痛みが長く続くようなら、できるだけ早く専門医に相談してください。 お近くに再生医療やスポーツ医療についての専門医がいない方へ リペアセルクリニックは、第二種・第三種再生医療提供計画を厚生労働省に提出し受理された厚生労働大臣許可医療機関です。当院では来院前でも「メール相談」を受付けています。どうぞ事前にご相談ください。 https://youtu.be/o2ASEGbQ-R8?si=ExQEWCeDUSupKBYW 監修:リペアセルクリニック メール相談・お問い合わせフォームはコチラ 関連記事 太ももの痛みに関連する記事はこちら 太ももの付け根が痛いときは股関節の異常?考えられる病態とは 人工股関節、人工関節に関連する記事はこちら 人工股関節術後に脱臼する可能性と生活の注意点をチェック 膝の人工関節手術は失敗がある?知っておくべきリスクとは 再生医療による膝の治療に関連する記事はこちら 膝の症例 現役プロスポーツ選手 ひざの痛みにPRP治療 足の裏の痛みに関連する記事はこちら 足の裏が痛いのは足底腱膜炎が原因か?治療法や予防法も確認 当院の治療についての考え方や再生医療についての内容もお読みください スポーツ外傷・障害の痛みに対する当院の治療 変形性股関節症に対する当院の治療 再生医療とは PRP(多血小板血漿)療法とは ご相談から治療までの流れ
最終更新日:2024.08.30 -
- 肘
肘から下(前腕)の痛みが出る場合は、神経が圧迫されている・筋肉の使い過ぎ・皮膚疾患などさまざまな要因が考えられます。 そこで本記事では、肘から下に出る腕の痛みの主な原因を疾患別で紹介します。対処法もあわせて解説しているので、肘から下の腕の痛みにお悩みの方は最後までご覧ください。 腕(肘から下)が痛む主な原因|スポーツによる疾患 腕(肘から下)が痛む代表的な原因はスポーツによる疾患です。スポーツ特有の繰り返し動作が知らず知らずの間に部位を傷つけています。 この項目では、スポーツによって腕の痛みを引き起こす主な原因(疾患)について紹介します。 ゴルフ肘(上腕骨内側上顆炎) ゴルフ肘(上腕骨内側上顆炎)は、肘の内側にある骨のとがった部分(内側上顆)に付着する筋肉が炎症する疾患です。 この筋肉は前腕を通って手首や指まで伸びているため、前腕から手にかけての痛みを引き起こします。名前の通り、ゴルフのスイングが原因で発症するケースが多い一方、他のスポーツの繰り返し動作でも発症しうる疾患です。 テニス肘(上腕骨外側上顆炎) テニス肘(上腕骨外側上顆炎)は、上記で紹介した内側上顆炎と類似した疾患で、肘の外側にある骨のとがった部分に付着する筋肉の炎症で引き起こされます。 テニスのバックハンドストロークといった肘を伸ばす繰り返しの動作が原因とされていますが、テニス以外のスポーツや日常生活でも発症します。 野球肘 野球肘は、投球における繰り返し動作によって引き起こされる疾患です。肘の内側・外側の靭帯や骨に負担がかかることで発症します。 主な症状は、肘の内側や外側の痛み・可動域の制限・投球時のパフォーマンス低下です。また、痛みの部位によって、内側型・外側型・後方型に分類されます。 成長期の子どもに多く見られ、適切な処置をしないと将来的に大きな問題につながる可能性があります。 変形性肘関節症 変形性肘関節症は、とくに肘から下の腕部分に痛みや違和感を感じる慢性的な疾患です。加齢や長年の疲労による肘関節軟骨の摩耗や変性が主な原因となります。 年齢と共に発症リスクは高まりますが、繰り返しの動作を伴う職業の方やスポーツ選手などの若い方でも発症します。 主な症状は、肘の痛み・関節の腫れや硬直・可動域の制限です。とくに朝起きたときや長時間の安静後に症状が強くなることがあります。また、天候の変化で症状が悪化することもあります。 骨折・ヒビ 腕または肘から下に対して強い衝撃を受けた場合に考えられるのが骨折やヒビといった骨の疾患です。 肘から下には橈骨(とうこつ)と尺骨(しゃっこつ)の2本の前腕骨がありますが、どちらかが損傷していると肘から下に痛みが生じます。 転倒や衝突といったさまざまな不意の事故で骨折またはヒビが入ってしまう恐れがあり、誰しもが起こしうる疾患です。 腕(肘から下)が痛む原因|日常生活で起こりうる疾患 腕(肘から下)の痛みは日常生活においても発症します。 スポーツと同様に繰り返しの動作により引き起こされやすく、多くの方の悩みの種となっています。 そこでこの項目では、日常生活で起こりうる疾患について詳細に紹介します。 腱鞘炎 腱鞘炎は、手や指を頻繁に使う人によく見られる症状です。 私たちの手や指の動きは、前腕の筋肉によってコントロールされています。この筋肉が過度に使われると、筋肉と骨をつなぐ腱や腱を覆う腱鞘に炎症が起こります。その結果、前腕から手にかけての痛みやしびれが生じます。 たとえば、長時間のキーボード入力・スマートフォンの使用・楽器の演奏などは腱鞘炎のリスクを高めます。家事や育児でも、同じ動作を繰り返すことで腱鞘炎を発症することがあります。 肘部管症候群 肘部管症候群は、肘の内側を通る尺骨神経が圧迫されることで起こります。 主な原因は、肘を曲げた姿勢の長時間維持です。たとえば、デスクワークで肘をつく・運転中に肘掛けに肘をのせる・就寝時に肘を曲げた姿勢をとるなどの習慣が挙げられます。また、肘の怪我や関節炎などが要因となるケースもあります。 症状としては、肘の内側から小指側の前腕、手、指にかけてのしびれや痛み、握力の低下などがあります。肘を曲げた状態で長時間過ごした後に症状が強くなるのが特徴です。 肘内障 肘内障は、幼児に多く見られ「ぬけ肘」とも呼ばれています。 主な原因は、腕を強く引っ張られたり、突然持ち上げられたりすることです。たとえば、子どもの手を引いて歩いているときに転びそうになり、急に腕を引っ張ってしまうような状況で頻繁に発生します。 主な症状は激しい痛みと腕を動かせなくなることで、子どもが突然泣き出したり、腕をだらんと下げたままにしていたりすると要注意です。 手根管症候群 手根管症候群は肘から下に痛みを発生させるだけでなく、しびれや運動障害を起こす疾患です。 手根管とは手首の屈筋側にある部位のことで、神経や筋肉の腱などを束ねて正しい動きに導く役割を持っています。この手根管は靭帯によって覆われていて、ほとんど伸び縮みができないバンドのような構造をしています。その狭い空間の中に、正中神経と9本の筋肉の腱が通っているので圧迫されやすい部位です。 前腕の屈筋群を繰り返し使うことによって引き起こされる疲労の蓄積が原因の場合もありますし、腫瘍が出来ているケースや骨折の後遺症として発生するケースもあります。しかし、多くの場合は特発性の手根管症候群で、原因の追求が難しい疾患です。 OKサインのような手の形がとりにくくなることが代表的な特徴です。したがって、細かい作業がしにくくなり日常生活に大きな影響を及ぼします。 頚椎ヘルニア 頚椎ヘルニアは、首にある椎間板が変形・突出し、脊柱の中を通っている脊髄や神経根を圧迫することで発症します。頚椎ヘルニアを引き起こす部位によっては肘から下に痛みを生じます。 頚椎ヘルニアには、急性的なものと亜急性(徐々に進行する)のものがありますが、多くは亜急性です。頚椎に微細な負担を長時間蓄積させ続け、少しずつ椎間板の変形を招くのです。 肘から下の痛みであることから見逃されがちな疾患ですが、頚椎から派出した神経が前腕から手指までつながっていることを理解しておきましょう。 頚椎症 頚椎症は頚椎ヘルニアと似たような発生機序で、背骨を構成している椎骨の変形によって前腕の神経を圧迫する病態です。 頚椎ヘルニアと同様に亜急性が多く、長時間にわたり同じ姿勢を取ることで筋肉の緊張を招いて少しずつ頚椎を変形させていきます。 日常生活の中で首に負担がかかる猫背やストレートネックなどの姿勢が定着していれば、若い世代でも十分に発症しえる疾患です。 頚肩腕症候群 頚肩腕症候群は、筋肉の緊張や血流の悪化によって痛みを引き起こす疾患です。 パソコンが普及し始めたころの、いわゆるキーパンチャーと呼ばれる人たちに続出した疾患でもあります。デスクワークが主流となりつつある現代でも同じリスクを抱えています。 首から前腕まで通過している神経は、さまざまな筋肉の間を縫うように通っています。その過程で、筋肉が緊張したり関節の悪い動かし方をしたりしていると、慢性的に神経を圧迫して痛みを伴うのです。 血管の圧迫による痛みにくわえ、しびれ・ふるえ・冷え・運動障害を引き起こすことが特徴です。また、手先が真っ白になるレイノー現象を引き起こすこともあります。 胸郭出口症候群 胸郭出口症候群は、腕神経叢(わんしんけいそう)と呼ばれる神経群の圧迫によって発症する疾患です。 胸郭出口症候群は首が長い方・なで肩の女性・やせ型の男性といった身体的特徴をもつ方の発症率が高い一方で、日常生活において座っている時間が長い方でも発症リスクが高まります。 また、腕を上げ続けることによって痛みやしびれが悪化する点が特徴で、筋肉の緊張や鎖骨の動きによって腕神経叢が圧迫され肘の下や指先に痛みを発生させることもあります。 そのため、腕を上にあげている時間が長い美容師・理容師の発症率も高い傾向にあります。 肘から下の腕が痛い時の対処法 腕(肘から下)の痛みは自分で対処するよりも病院を早期に受診する方が確実かつ効果的に対処できます。しかし、痛みに我慢できる程度であれば「仕事や子どもの世話などの都合で様子を見てから」とお考えの方も多いことでしょう。 そこで本項目では、腕(肘から下)が痛いときの対処法をまとめて紹介します。 ストレッチ 寝起きに痛みを感じる場合や、重だるさを感じる場合は、腕の筋肉が温まっていないことで痛みを感じている可能性があります。 そんな腕の痛みや、だるい時におすすめしたいのがストレッチです。 あくまで気持ち良いと感じられる程度のストレッチで十分です。痛みが酷くなるほど強く、あるいは繰り返して行う必要は全くありません。 たったこれだけで肘から下の腕の筋肉をほぐせます。 片方が終わったら反対側も同様に伸ばしてください。血行が促進され、筋肉が少しずつ温まり痛みの解消につながります。 繰り返しになりますが、痛みが酷い場合の無理なストレッチはNGです。強い痛みを感じた際には速やかに医療機関を受診しましょう。 テーピング 仕事や作業などでどうしても腕を動かさねばならない方にはテーピングが効果的です。 上手に活用できれば、痛みを軽減しつつ腕をスムーズに動かすことも可能です。 また、ブレスレットをはめるようなテーピングもおすすめです。 あくまでも、テーピングは痛みを軽減する補助的な役割に過ぎません。ストレッチ同様、痛みが続くようであれば医療機関を受診しましょう。 背骨のゆがみを取る 頚椎ヘルニアや頚椎症などの神経症状はもちろん、前腕の筋肉疲労が原因で起きている痛みには背骨のゆがみを取ることが有効です。 根本となる背骨のゆがみが矯正されれば肩甲骨の動きも自然と改善され、前腕にかかる負担も大幅に軽減できます。 痛みのある部分だけを治療してもなかなか良くならない場合は、背骨といった根本的な部位のアプローチが必要と覚えておきましょう。 薬物療法を使う あまりにも強い痛みの場合は、痛み止め(消炎鎮痛剤)やビタミン剤の服用といった薬物療法も選択肢のひとつです。 症状によってはすぐに効果を感じられないこともありますが、とにかく痛みを解消したい際に有効な治療法です。 肘を温める 筋肉の緊張やオーバーユースによって出ている痛みに対しては肘を温め、血流を促すことで痛みの緩和につながります。 ホッカイロをあてておくだけでも良いですし、お風呂でよく温まることも効果を発揮します。 また、時と場所を選ぶケアなので実施する環境には注意しましょう。たとえば、クーラーの風があたってしまうと痛みが悪化する可能性もあります。 専門医に相談する 筋肉の損傷・靭帯の損傷・神経症状なのか自分で判断できない場合は専門医に相談してください。ひとまず整形外科の受診を推奨します。筋肉の疲労蓄積が原因の場合は安静処置で完治するかもしれませんが、靭帯損傷や神経症状の場合は悪化してしまうことも考えられます。 また、痛みをかばいながら行動してしまうと、肩こりや腰痛といった二次的な疾患を発症してしまいます。 腕(肘から下)の痛みに悩む方からよくある質問 この項目では、腕(肘から下)の痛みに悩む方からよく寄せられる質問とその回答をまとめました。これらの情報を参考に、適切な対処法を見つけてください。 肘から下が急に痛くなったらどうすれば良い? 肘から下の腕が急に痛くなった場合、まず考えられる原因と適切な対処法の把握が重要です。 激しい痛みや、腫れ・変形が見られる場合は骨折や脱臼の可能性があるため、すぐに医療機関を受診してください。 軽度から中程度の痛みの場合は、以下の対処法を試してみましょう。 1.RICE処置:Rest(安静)・Ice(冷却)・Compression(圧迫)・Elevation(挙上)を行います。とくに、冷却は炎症を抑える効果があります。 2.痛み止めの使用:市販の消炎鎮痛剤を服用したり、湿布を貼ったりすることで痛みが和らぎます。 3.動作の制限:痛みを感じる動作を避け、腕を休ませることが大切です。 4.ストレッチ:痛みが和らいできたら、軽いストレッチを行い、血行を促進させましょう。 外側からくる肘下の痛みの原因は? 外側からくる肘下の痛みで代表的な原因は上腕骨外側上顆炎(テニス肘)ですが、他にもさまざまな要因が考えられます。 これらの症状は、似たような痛みを引き起こすため自己診断が難しいです。痛みが長引く場合や、日常生活に支障をきたす場合は整形外科医の診断を受けることをおすすめします 腕(肘から下)が痛い原因を特定し適切な対処を行おう 原因不明の痛みが急に発症したり、徐々に悪化している場合は整形外科やスポーツクリニックといった病院を早期に受診することが重要です。 疾患によっては、痛みのある局部を集中的に治療しても改善しないケースもあります。 当院でもメールやオンライン相談を受け付けているので、ご気軽にお問い合わせください。
最終更新日:2024.10.09 -
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テニス肘とゴルフ肘の違いについて テニス肘(テニスエルボー)は、肘の外側。ゴルフ肘(ゴルフエルボー)は、肘の内側が痛くなる症状です。どちらもそのスポーツの初心者の方に多いという特徴があります。 症状の違い • テニス肘:肘の「外側」が痛む • ゴルフ肘:肘の「内側」が痛む また、スポーツ活動だけでなく、日常生活の中で肘や前腕の筋肉に軽微な外力による負担を蓄積することでも同じような症状が出てきます。 今回は、テニス肘とゴルフ肘の違いや、リハビリ、そして治し方についてご紹介していきます。 テニス肘(上腕骨外側上顆炎)とは テニス肘は、正式名称を外側上顆炎と呼びます。上腕骨の遠位部にある外側上顆で炎症が起きてしまう病態です。外側上顆は肘の外側にある、出っ張っている骨なので、体表からも容易に触診することが出来ます。 発生機序としては、テニスのバックハンドなど、手首や指を反らすような動きを繰り返すことによって起こります。外側上顆には前腕の伸筋群が起始している部分なので、伸ばす、反るといった動作がもっとも影響を与えやすいのです。 また、テニスのプレーだけでなく、日常生活動作の積み重ねでもテニス肘を起こします。例えば手のひらをしたにした状態でお鍋の柄を掴んだり、洗濯物を洗濯機の中から取り出したりする動作などで負担がかかります。 一回一回の動作によるダメージはそれほど大きくなくても、疲労が少しずつ蓄積することでテニス肘を発症するのです。外側上顆炎をテニス肘と呼ぶことが多いので、テニスを全くプレーしていない方でもテニス肘になるのです。 テニス肘になると、フライパンが持てない、ペットボトルの蓋が回せないなど日常生活動作でも支障が出てきます。 ゴルフ肘(上腕骨内側上顆炎)とは ゴルフ肘は、内側上顆炎という病態のことを指します。外側上顆同様に、上腕骨の遠位端部に位置しています。内側上顆も骨の形状が出っ張っているので、体表から触診することが簡単にできます。 内側上顆には前腕の屈筋群が起始していて、手首や手指の屈曲や回旋運動に深く関与しています。ゴルフで地面を叩いてしまったり、体幹が上手く回転せずに手の力だけで打ったりするようなフォームを繰り返していると、前腕の屈筋群に余計な力が入ってゴルフ肘を発症します。 主に後ろになる手でゴルフ肘が発生しやすいので、右打ちの方は右肘、左打の方は左肘がゴルフ肘の症状が出やすいと言えます。ゴルフ肘も日常生活の中でかかる負担によっても同じ症状が出ることがあり、ゴルフのプレーだけが発生原因とは限りません。 重い物を何度も運ぶようなことを繰り返していれば、前腕の屈筋群に力が入ってダメージを蓄積してしまいます。ゴルフ肘になると、肘の屈曲や伸展、手首の屈曲、手指の屈曲といった動作で力が入ると肘の内側が痛くなります。 テニス肘やゴルフ肘の治し方(リハビリ) テニス肘やゴルフ肘を治すにはどのような対処法があるのかご紹介していきます。 1.ストレッチを行う テニス肘もゴルフ肘も、前腕の筋肉が緊張したり過度な負担がかかったりすることによって発生します。筋肉が硬くなっていることは間違いないので、前腕の筋肉をストレッチすることが有効です。 テニス肘の場合は特に前腕の伸筋群、ゴルフ肘の場合は特に前腕の屈筋群を入念にストレッチすることが重要です。肘を伸ばした状態で、手首を掌側(手のひら)に反対の手で手首を曲げると前腕の伸筋群のストレッチが出来ます。 逆に、手首を伸展方向に他動的に曲げると前腕の屈筋群のストレッチが出来ます。どちらのストレッチも、肘の関節が伸びている状態で行うことがポイントです。 前腕の屈筋群も伸筋群も、肘関節と手関節をまたぐ筋肉なので、肘が伸びていないとストレッチ効果が半減するのです。 2.肘(筋肉)の適切なケア テニス肘やゴルフ肘の症状に対するケアは、その状態によって異なります。 急性期(炎症症状がある場合) 炎症症状が見られる急性期では、アイシングが有効です。氷や冷却パックを使用して患部を冷やすことで、炎症を抑え、痛みを軽減することができます。 慢性期(慢性的な血流障害がある場合) 症状が慢性化し、血流障害が見られる場合は、患部を温めることが効果的です。これにより血流が改善され、筋肉の緊張緩和に繋がります。 慢性期のケア方法 お風呂でゆっくり温まる 電子レンジで温めた蒸しタオルを患部に当てる カイロを活用する 温める際は、テニス肘の場合は前腕の伸筋群を中心に、ゴルフ肘の場合は前腕の屈筋群を中心に行います。 また、慢性期では患部を冷やさないよう注意が必要です。長袖を着用したり、上腕から前腕まで覆うサポーターを使用したりするのも効果的です。 いずれの場合も、症状の程度や経過によって適切なケア方法が異なるため、必ず医師の診断を受け、その指示に従うことが重要です。自己判断でケアを行うのではなく、専門家のアドバイスを受けながら、症状に合わせた適切な対応を心がけましょう。 3.温熱療法を受ける 前述の方法では、自宅などでできる筋肉の温め方をご紹介しました。それとは別に、整形外科や接骨院などで受けられる温熱療法も効果的です。 筋肉を温めるという点では全く同じですが、温熱治療器を使えば芯の部分からしっかり温めることが出来ます。赤外線治療器なら、体表よりもむしろ深部を温めることができるので、効率的です。 さらに、ホットパックという道具もあり、蒸しタオルなどと違って温度が徐々に下がることなく一定を保つことができるので、自宅で行うよりもよく温まります。 4.電気(低周波)治療を受ける 電気治療は、テニス肘やゴルフ肘の治療において効果的な選択肢の一つですが、その適用は病期によって異なります。治療を開始する前に、必ず医師の診断を受け、適切な治療法と時期を判断してもらうことが重要です。 急性期 炎症が強い急性期では、電気治療は適していない場合があります。この時期は安静やアイシングなど、炎症を抑える治療が優先されることが多いです。 亜急性期(急性期の段階を過ぎて病状が安定し、リハビリや退院支援を行う段階にある状態)から慢性期 症状が落ち着いてきた亜急性期から慢性期にかけて、電気治療が効果を発揮する可能性が高くなります。電気治療は、整形外科や接骨院で受けることができ、保険適用の場合は比較的安価です。低周波治療器や干渉波治療器などが用いられ、これらは前腕の伸筋群と屈筋群の血流を改善し、代謝を向上させる効果があります。 電気刺激により、 血流が良くなり、疲労物質の排出が促進される 筋肉の緊張が緩和される 外側上顆や内側上顆への負担が軽減される ただし、個人によっては電気治療後に症状が悪化する場合もあります。これは電気刺激が強すぎることが原因の可能性があります。 その場合は、 電気の強度を弱める それでも改善しない場合は、他の温熱療法や手技療法に切り替える 人体は強すぎる刺激に対して防衛反応を示すため、適切な強度で治療を行うことが重要です。 電気治療を含むいかなる治療も、医師の指示のもとで行い、定期的に症状の経過を確認しながら進めることが大切です。病期や個人の状態に応じて、最適な治療法を選択していくことが、テニス肘やゴルフ肘の効果的な回復につながります。 人間は強すぎる刺激に対しては、無意識のうちに筋肉を硬直させる防衛反応が働くので、電気が強すぎるとテニス肘やゴルフ肘の症状は悪化してしまうのです。 5.運動療法を受ける 肘関節の屈曲や伸展、手関節の屈曲や伸展、手指の屈曲や伸展、といった動作をスムーズに行えるようにするために、運動療法を受けるのも効果的です。 どれもテニス肘やゴルフ肘の発生リスクに関わる動作であり、動かし方が間違っているとすぐに再発もします。また、テニス肘やゴルフ肘の痛みが軽減してからは、筋力を強化することも重要です。 前腕の屈筋群と伸筋群、肘の屈曲動作に関わる筋肉を強化することで、テニス肘やゴルフ肘の再発予防にも繋がります。最初はあまり大きな負荷でやらなくても良いので、500mlのペットボトルを上げ下げする程度の運動が良いでしょう。もし、痛みや違和感を感じた場合は直ちに運動を中止し、医療専門家に相談することが大切です。 6.マッサージを受ける 前腕の屈筋群や伸筋群をマッサージしたり、上腕、肩甲骨周辺のマッサージをしたりすることが重要です。マッサージをすることによって筋肉の緊張を取り除き、内側上顆や外側上顆にかかる牽引力を軽減するのです。 なぜ上腕や肩甲骨周辺までマッサージが必要なのかというと、肩甲骨周りの動きが制限されると、肩から指先にかけて負担がかかります。肩甲骨の動きが悪ければ、肩を挙げるときに肘関節がそれを補おうとします。 その結果前腕にも負担をかけ、テニス肘やゴルフ肘のリスクを高めるのです。しかし、マッサージをあまりにも強い力でやりすぎると、かえって自分の体を守ろうとして筋肉が硬くなることもあるので、マッサージが強ければ強いほど良いという勘違いは無くした方が良いでしょう。 7.整体を受ける テニス肘やゴルフ肘の治癒を早くするためには、全身のバランスも整えた方が良いです。背骨の歪みによって、前腕に大きな負担をかけるケースがあるのです。 テニス肘やゴルフ肘の発生機序として、単に前腕の屈筋群や伸筋群の使い過ぎということがあるだけでなく、それらの筋肉に負担をかけざるを得ない体のバランスが隠れています。 例えば猫背やストレートネックなど、肩甲骨の動きが悪くなるような姿勢だと、上肢全体の動きが悪くなります。通常よりも前腕の屈筋群や伸筋群に大きな負担をかけるようになるので、テニス肘やゴルフ肘のリスクが高まるのです。 肘や前腕の治療を集中的に行っても痛みがなかなか軽減しない場合は、医師と相談の上で、姿勢や体全体のバランスについても評価を受けることを検討しても良いでしょう。医師の指示のもと、理学療法士や整体師など他の専門家の助言を得ることで、より包括的なアプローチが可能になる場合もあります。 早期治癒と再発予防を目指す場合、医師の診断と指示に基づいて、適切なリハビリテーションプログラムや姿勢改善エクササイズを取り入れることが効果的かもしれません。 痛みが強い場合はステロイド注射をするケースも テニス肘は、「上腕骨外側上顆炎(じょうわんこつがいそくじょうかえん)」ゴルフ肘は、「上腕骨内側上顆炎(じょうわんこつないそくじょうかえん)」とも言われており、それぞれ肘の外側と内側に痛みが出る病気です。痛みが強い場合はステロイド注射をすることもあるでしょう。 痛みの主な原因は、ゴルフのスイングやテニスのフォアハンドであることが多く、ゴルフ肘はテニス肘と違い日常生活で痛みを感じる機会はあまりないのが特徴です。 テニスやゴルフを楽しむ人達は、発症すると趣味に支障が出てしまいます。 せっかくの楽しい趣味の時間が、痛みのためにつらい時間になってしまうのは悲しすぎますよね。 そこで、なるべく早く痛みを取りたい人に向けて、テニス肘やゴルフ肘のステロイド注射の効果や副作用について解説します。 ステロイド注射の副作用 テニス肘やゴルフ肘治療のステロイド注射には副作用もあります。 そのため、ステロイド注射は回数も決まっており、年に3~4回程度が限度とされています。また、1回目の注射から3ヶ月間の期間を空けることが決められています。 なぜ注射の回数や間隔が決まっているのかというと、頻繁にステロイド注射を行うことで肘の腱が弱まるからです。肘の筋肉が弱り腱が切れやすくなると、少しの刺激でもテニス肘やゴルフ肘の痛みが再発してしまいます。 ステロイド注射の治療効果はどれくらい? ステロイド注射には副作用もありますが、鎮痛効果も優れています。テニス肘やゴルフ肘でステロイド注射治療を行うのは、症状が進行し、痛みが簡単に取り除けなくなった時です。 テニス肘やゴルフ肘は、初期のうちは痛みが出たら安静にし、ストレッチをこまめに行うことで回復出来ます。しかし、安静にしていても痛みが引かなくなれば、飲み薬や湿布を用いた治療が行われ、飲み薬も湿布も効かなくなった段階で初めてステロイド注射の治療が始まります。 ステロイド注射には強い抗炎症作用があり、肘の炎症を起こしている部分に直接注射を行うため、飲み薬や湿布と比べると即効性があります。 もちろん、副作用を考えると頻繁には注射出来ませんが、痛みを素早く取るという点では非常に効果的な治療法です。 重症化すると肘が曲がらず手術の可能性がある テニス肘やゴルフ肘は、症状が重症化すると手術での治療が必要になる場合があります。手術というと少し大げさな感じがするかもしれませんが、テニス肘やゴルフ肘は進行すると腕を良い方と比べて曲げきれない、伸ばしきれないの両方向に制限が出るケースがあります。 そうなるとスポーツはもちろん、日常生活にも大きな支障が出てしまいます。そのため、症状が進行した患者さんには、手術による治療が勧められています。 手術が必要になるのはどのような時? テニス肘やゴルフ肘は、重症化するとなかなか治りません。症状が軽いうちは基本的に保存療法を行いますが、痛みが慢性化すると保存療法では効果がありません。そのため、手術での治療に移行します。 テニス肘やゴルフ肘は、肘を酷使する人に発症しやすい病気です。 日常生活や趣味での動作がきっかけで手術が必要になるなんてショックだと思いますが、日常生活に支障があるままというわけにはいかないので、信頼できる医療機関を受診し、適切な手術を受けることが必要です。 手術の種類について テニス肘やゴルフ肘の治療で行う手術には、2種類の方法があります。1つは関節鏡を用いて行う手術で、もう1つは切開による手術です。 テニス肘やゴルフ肘の、患者さんのほとんどは関節鏡を使用した手術で治療を行っているでしょう。その理由としては、傷口が小さいため回復が早いことが挙げられます。 関節鏡を使った手術の特徴 関節鏡による手術の場合、傷の小ささと回復の早さが最大のメリットになります。よほど重症でない限り、テニスやゴルフ愛好家を中心とした多くの患者さんにはこの方法で手術を行います。 テニス肘やゴルフ肘の痛みは、繰り返しの収縮-弛緩の繰り返しで腱に負担がかかり、炎症が起きることで生じます。 手術では断裂している腱の修復や、必要に応じて骨の一部を削って腱の通り道を確保します。これにより、腱が骨や周囲の組織と摩擦を起こしにくくなります。手術は全身麻酔で行いますが、術後にギプスを使う必要はなく、手術の翌日からリハビリの開始が可能です。 切開による手術の特徴 切開による手術は、上腕骨の外側上顆や内側上顆にある病変部を切除する方法です。局所麻酔での手術が可能という点が特徴的です。 この他にも、筋膜を切開し、筋肉内の圧を下げることで痛みを取り除く治療法、伸筋腱の起始部の切離と必要に応じて関節包・輪状靱帯や滑膜を切除していく治療法もあります。 テニス肘やゴルフ肘の治療には安静期間が必要 テニス肘やゴルフ肘になると痛みがつらいですが、痛みを我慢して動かしてしまう人が少なくありません。ですが、治療のためには痛みを感じるなら安静期間が必要になります。 テニス肘やゴルフ肘には必ず痛みの原因となった動作があります。テニス愛好家なら、テニスを打つ動作が要因として考えられ、ゴルフ愛好家はゴルフのスイングが原因でしょう。 発症の原因となった動作を行うと痛みが出るので、痛みを取り除くには原因となる動作を避け、安静にすることが必要です。 安静期間の長さは人それぞれ テニス肘やゴルフ肘になってしまったからと言って、ずっと動かせないのは不便ですよね。 しかし、痛みやしびれが引くまでは動かさないよう安静にしないと悪化しかねません。 テニス肘やゴルフ肘は多くの場合、自然に治ります。ただし、使いすぎたり、痛みがでるような動作を続けていると治りにくくなります。 軽い場合は数週間で治ることもありますが、症状によっては2~3ヶ月ほど必要になる場合もあり、重症の場合はそれ以上必要なこともあります。 これら治療期間は参考例ですが、その症状などで治療期間には個人差があります。 できるだけ早く医療機関を受診し、適切な治療を受けてください。治療が遅れたり、重症の場合は、より長い時間が必要になることもあります。また、痛みが引いたからと言ってすぐに以前と同じ運動をしてはいけません。いきなり以前と同じレベルで動かすのではなく、ストレッチをしてみてからというのがポイントです。 テニス肘やゴルフ肘は再発することも多い病気ですので、治ったと思って無理に動かして悪化してしまう場合もあるため、安静期間には注意が必要です。 テニス肘やゴルフ肘になりやすい人とは テニス肘やゴルフ肘は、リスクを高める特徴がいくつかあります。再発予防のためにも、ぜひ押さえておきましょう。 1.テニスやゴルフの初心者 初心者の場合、ラケットやクラブのスイング動作を、どうしても上肢の力に頼って行うことになります。長年経験している方や、そのスポーツが上手い方の場合は、体幹の力を上手く使って体全体を回転させて打ちにいけるのですが、それが出来ないうちは肘や手首に負担がかかります。結果的に外側上顆や内側上顆に付着する筋肉へと負担が集中するので、痛みを発症しやすいです。 2.肘以外に痛みを抱えている人 肩や腰など、前腕以外に痛みを抱えている人はテニス肘やゴルフ肘のリスクを高めてしまいます。テニスやゴルフに共通するのは回転動作ですが、腰に不安があると体の回転が甘くなります。 その分パワーを発揮するには上肢の筋力をより大きく発揮させなければなりません。その結果前腕に力が入り、テニス肘やゴルフ肘を発症しやすくなってしまうのです。 日常生活の中でも、肩に痛みがあれば腕が上がりにくくなります。それでも腕を上げて行わなければならない洗濯物を干す動作をすれば、前腕に余計な負担をかけることになります。 その積み重ねでテニス肘やゴルフ肘のような症状を発生させるのです。この場合、肘だけを治療しても改善に時間がかかります。肘以外の痛みの治療も並行して行う必要がありますね。 3.姿勢が悪い人 背骨のバランスが悪い人は、肩を中心とした上肢の筋肉に慢性的な負担をかけ続けます。猫背などのように、横から見た時に頭の位置が体幹からかなり前に出ている人は、首から背中にかけて日常的に負担をかけ続けています。 その結果肩甲骨の動きが悪くなり、肩の可動域が狭まり、肘から先にも疲労を溜めやすくなるのです。さらに、姿勢が悪い人は背骨のしなやかさが失われていることが多く、仰向けや横向きになったときに体が休まりません。 すると睡眠時の回復力が低下してしまうので、疲れが抜けにくく筋肉の疲労を蓄積してしまいます。そこからテニス肘やゴルフ肘の症状に繋がることがあるので、姿勢を改善しておくことは非常に重要な項目であると言えます。 まとめ テニス肘とゴルフ肘の違いから、リハビリ、そして治療法であるステロイド注射や手術の種類 についてご紹介いたしました。痛みが強い場合の治療法でご紹介したステロイド注射は、即効性が最大のメリットです。しかし、その分強い薬でもあり、連続して使用すると副作用が出るデメリットもあることを念頭に置いておきましょう。 また、テニス肘やゴルフ肘は、そのスポーツを経験している人以外でも起きることがある症状です。肘の内側や外側で痛みが出るということ以外は、発生機序やリスクが同じなので、どちらの症状も同時に起こすことさえあります。 一回の外力で発生するというよりも、徐々に負担を蓄積して症状になるので、体の使い方など根本から改善しないとすぐに再発するでしょう。自分ひとりだけで解決しようとせず、症状が重症化して手術になる前に専門医のアドバイスを聞いて早期治癒と再発予防に努めましょう。 監修:リペアセルクリニック大阪院
最終更新日:2024.07.12 -
- 肘
ぶつけた肘の痛みがなかなか治らない、曲げると痛みがあるといった肘に関するお悩みの声をよく耳にします。日頃から感じる何気ない肘の痛みは小さなストレスとして蓄積され、出来るだけ早く解決したい悩みの種かと存じます。 そこで本記事では、ぶつけた肘の痛みが治らない原因から関連する病態や対処法を紹介します。ぜひ参考にしていただき、肘の痛みから解放された快適な生活を取り戻しましょう。 ぶつけた肘の痛みが治まらない原因 肘の関節は、脂肪や筋肉で覆われていないためぶつけると痛みを感じやすい部位です。 ぶつかった際の衝撃にもよりますが、骨折を引き起こしている場合もあります。また、小児に多い上腕骨顆上(じょうわんこつかじょう)骨折や、肘の先端をぶつけておこる肘頭(ちゅうとう)骨折なども考えられます。 継続する肘の痛みは筋肉・骨の異常を疑う 肘をぶつけて曲げると痛い場合は、筋肉に異常が出ているケースと骨折など器質的な異常が出ているケースが考えられます。 肘を曲げるための主な筋肉は上腕二頭筋や上腕筋で、これらの筋肉に炎症や打撲があれば肘を曲げたときに痛みが出るでしょう。また、肘の伸展に作用する筋肉の上腕三頭筋に異常が起きている場合も痛みが出ます。 骨に異常が出ている場合は、肘頭の骨折や上腕三頭筋付着部での炎症が考えられます。肘頭は上腕三頭筋の停止部でもあるので、肘を曲げることで骨片が無理に引き離されます。それが痛みを発生させる原因になるのです。 肘を曲げると痛い!考えられる病態一覧 肘をぶつけて曲げると痛い場合、筋肉が原因なのか骨が原因なのかを見極める必要があります。発生機序や症状から、考えられる病態と治療方法をご紹介していきます。 肘頭骨折 肘頭は尺骨の近位端部に位置する部位で、肘関節の大部分を構成しています。体表に近い部分まで骨が出ているので、ぶつけることで骨折が起こることも十分に考えられます。 肘を曲げると痛いのはもちろん、場合によっては肘の動作がかなり制限されます。伸ばす動作・曲げる動作がしにくくなるので、生活に支障をきたします。 肘をぶつけた後に肘頭部で強い痛みがある場合は、肘を動かさないよう安静にしてから整形外科を受診しましょう。 治療方法 肘頭の骨折では、保存療法と手術のどちらも考えられます。保存療法の場合はまず硬性材料によって1カ月以上の固定が必要です。ただ、肘頭骨折は固定が難しい骨折でもあり、偽関節を作りやすい部位でもあります。 固定には細心の注意を払い安静を守ります。骨癒合した後は、少しずつ肘の可動域を広げていくための後療・罨法・手技療法が有効です。運動療法なども少しずつ取り入れ、肘の可動域を最大にしていきます。 手術の場合はプレートで骨片を固定します。当然ですが、保存療法よりもしっかり骨片が癒合するので、早期にリハビリを開始できるメリットがあります。 上腕骨顆上骨折 小児に多い骨折ですが、高齢者でも発症のリスクがあります。上腕骨の下端部の内側上顆や外側上顆よりも近位部で折れてしまう骨折です。 高いところから落ちて手をついたり、後ろ向きに転倒して手をついたりして発症します。 上腕骨顆上骨折を起こすと、明らかな変形を認め運動がかなり制限されます。曲げようとすると激痛が走るので筋肉の損傷とは違う痛みがでます。 治療方法 上腕骨顆上骨折は変形が著しいケースが多く、手術となることもあります。また、折れた骨片が深く入り込んで短縮してしまうため、牽引しながら治療することもあります。 手術をせずとも、保存療法による改善も可能ですが、ギプスでしっかりと固定されるのでしばらくは肘を使えなくなります。骨折が起きたときに神経や血管を圧迫したり、固定の仕方によって圧迫してしまったり、二次的な症状が起こることもあります。 小児の上腕骨顆上骨折では、変形したまま骨癒合してしまう内反肘という後遺症が残る可能性もあります。 テニス肘(テニスエルボー) テニス肘は、肘の外側で痛みが起こる症状です。テニスプレーヤーがバックハンドの際に肘の外側で痛みを訴えることが多いことからテニス肘と呼ばれており、正式には外側上顆炎や肘外側の側副靭帯の損傷を指します。 肘をぶつけたことで痛みを発生しますが、1回の外力によってテニス肘を発生させることは稀です。よほどの大きな外力で肘関節に捻りが加わると側副靭帯の損傷を起こしますが、多くは軽微な外力の繰り返しで受けるダメージ蓄積が要因です。 テニスをはじめとするスポーツ競技はもちろん、パソコンのタイピングや、包丁をよく使う料理人なども発症する可能性があります。 治療方法 テニス肘の基本治療は保存療法です。側副靭帯が損傷していない限りは、固定することはほとんどありません。痛みのある動作をなるべく避けて安静にすることが第一です。 前腕の回内や回外・肘関節の屈曲・伸展で痛みが出やすいため、日常生活が少し制限される場合もあるでしょう。 前腕の伸筋群にかかる負担や疲労を取り除くことが、早期治癒のカギです。マッサージやストレッチなど、自分でできるケアをしていくことも重要になります。 野球肘 野球肘とは、肘の内側側副靭帯の損傷や上腕骨内側上顆炎の総称です。 小学生や中学生の年代で、繰り返し投球動作で肘の内側に過度な負担がかかると発症することから野球肘と呼ばれます。 肘の内側についている靭帯・軟骨・筋肉・腱が損傷している状態なので、肘を曲げる動きで痛みが出ます。手首の屈曲や手指の屈曲など、前腕の屈筋群に負担をかけ続けると野球肘発生のリスクも高まります。 治療方法 骨自体に裂離骨折などが起きているケースは少なく、保存療法が一般的です。 野球をやっている場合は投球動作を中止し、安静が第一になります。上腕部の筋肉から前腕の屈筋群にかけての負担を減らすことが大切です。 肩甲骨の動きが悪いと代償動作として肘に負担がかかるので、再発の予防をするためには肩甲骨や背骨のゆがみから取り除いていかなければなりません。 変形性肘関節症 変形性肘関節症は男性に多い症状で、長年にわたる肘関節の酷使で肘に変形が起き、可動域制限や痛みを発生させる症状です。 スポーツ経験者や、重い物を持つなどの重労働を繰り返してきた方に発症のリスクがあります。 骨棘ができることで肘の関節面にある軟骨がすり減り徐々に変形していきます。場合によっては肘の屈曲可動域が大幅に制限されるので、日常生活に大きな支障をきたすケースもあります。 肘部管症候群と呼ばれる尺骨神経を圧迫する症状が特徴的です。ロッキングを起こすこともあります。 治療方法 日常生活にどの程度の支障をきたすかによって、手術・保存療法の選択が判断されます。 保存療法の場合は温熱療法や薬物療法、筋力トレーニングのリハビリを行います。手術の場合は、変形して出来た骨棘を取り除く施術となります。 関節リウマチ 関節リウマチは、手指など遠位部で炎症や痛みが起きることが多いですが、肘関節でも痛みを発生させることがあります。発生の原因がはっきりしておらず、何が誘因になっているのか不明な点も多いです。 病態としては免疫の異常であり、本来であれば病原菌などの侵害物に対して攻撃を行う免疫が、体の細胞に対して攻撃を行ってしまう現象です。 関節の組織を破壊してしまうため、肘で発症すれば曲げるときに痛みが出ますし、変形することもあります。 治療方法 薬物療法や運動療法、罨法などが主な治療法です。 変形が進んでしまっている場合には手術も選択肢に入り、変形による血管や神経の圧迫を防ぎます。また、人工関節の置換術が行われることもあります。 肘を曲げて痛いときの対処法 肘を曲げた時に痛みが出るような場合に、自分でできる対処法にはどのようなものがあるでしょうか。 それぞれの対処法を詳しく解説します。 整形外科を受診する 肘に関する症状を精査するなら整形外科を受診してください。レントゲンやMRIを希望する場合は、大きな病院の中にある整形外科に行った方が確実です。 骨折が疑われる場合はもちろん、明らかに変形が起きている場合も精査が必要です。腫れが顕著な場合や肘がほとんど曲がらない状態であれば、骨折を含め器質的な異常が隠れているかもしれません。 接骨院を受診する 肘を曲げて痛い原因が筋肉の炎症や関節の動かし方にある場合は、接骨院や整骨院でも有効な治療を受けられます。 整形外科で精査してもらい、骨折や病気でないことを確認してから接骨院や整骨院を受診しましょう。罨法・後療・電療・運動療法・手技療法などさまざまなアプローチが可能です。 整体を受ける 肘を曲げると痛い要因が、肩甲骨の動きや背骨のゆがみによって起きているケースもあります。姿勢が悪く肩甲骨の動きも悪ければ、必然的に肘にも負担がかかります。 肘自体の問題よりも、周りの機能によって二次的なダメージを溜めているケースもあるのです。肘関節に電気治療を行ったり、肘の動きを良くするような手技療法だけでは改善しません。 そのため、整体を受けて姿勢の改善から取り組むことが重要です。 温める 捻挫や打撲でない場合や痛みが出てから数日経過している場合は、温めることが有効なセルフケアになります。 温めることで血流が良くなり、損傷している組織の代謝も上がって回復力がアップします。サポーターを付けて冷やさないための工夫や、お風呂でしっかり温まるなど簡単なケアで十分です。 安静にする 早く治そうと思ったら安静にするのが一番です。 リウマチなど放置で症状が進行してしまう場合は別ですが、そうでない限り肘を休めて筋肉疲労・痛みの軽減を目指すことが先決です。 ただし、安静時にも肘まわりの筋力は低下しています。症状が改善し次第適度な運動を取り入れましょう。 再生医療を受ける スポーツによる障害や変形を伴った関節症など、肘に痛みが出る疾患はさまざまですが、痛みを取るには自己の自然治癒力を高めることが重要です。 有効なアプローチとして近年注目を集めているのが再生医療です。自身の血液や脂肪を用いて「自然治癒力=再生する力」を高める治療法となっています。 血液を用いたPRP(多血小板血漿)療法は、傷を修復させる血液成分を抽出して患部に注射します。スポーツ選手がケガをした際、手術をせずに早期復帰を目指す治療法としても取り入れられています。 また、脂肪を用いた脂肪由来幹細胞も有効な再生医療です。幹細胞とは臓器・皮膚・骨・筋肉・靭帯などさまざまな細胞に分化する能力があります。 自身の脂肪から幹細胞を培養し、それを体内に戻すことで自然治癒力が向上します。この治療法は患部に注射する方法だけでなく、点滴により全身に幹細胞を届けることも可能です。 肘をぶつけて痛みが発生しやすい箇所 肘をぶつけて痛みが発生しやすい箇所は、、肘の背面に位置している尺骨の肘頭という部位です。 後ろ向きの転倒や、肩関節の伸展動作による打撲が主な要因です。肘頭は筋肉や脂肪で覆われておらず、打撲や骨折が起こりやすい部位です。 また、上腕骨下端にある外側上顆や内側上顆もぶつけやすい部位のひとつです。外側上顆・内側上顆は骨が少し外側に出っ張っているため、皮膚の上からでも容易に触わることが出来るくらい体表に近くなっています。そのため、転倒などによるダメージをもろに受けやすい特徴があります。 肘の痛みから全身が痛くなることもある 「肘の痛みだからちょっと様子をみよう」「我慢できるから病院に行かなくて良いだろう」といった油断は禁物です。 初期の痛みはわずかかもしれませんが、、知らず知らずの間に肘をかばって生活するようになり、肩や背中に負担をかけてしまいます。そこから派生するように全身の疾患・痛みにつながっていくのです。 そのため、自己判断や油断は避け、違和感を感じたら医療機関を受診するよう心がけましょう。 継続する肘の痛みは当クリニックにご相談ください! リペアセルクリニック大阪院は、第二種・第三種再生医療提供計画を厚生労働省に提出し受理された厚生労働大臣許可医療機関です。 当院では来院前でも「メール相談」を受付けています。継続する肘の痛みにお悩みの方はどうぞ事前にご相談ください。
最終更新日:2024.10.12 -
- 足底腱膜炎
足の裏が痛いのは足底腱膜炎が原因か?その治療法や予防法を確認 長く歩いた次の日や、慣れない靴を履いたときなど、急に足の裏が痛くなることもありますよね。転倒や打撲でないにも関わらず、足の裏が地面に着くだけで痛い場合、いくつかの原因が考えられます。今回は、足の裏が痛い場合に疑うべき病態と、その治療方法や対処方法をご紹介していきます。 足の裏はアーチ構造になっている 足の裏は、いわゆる土踏まずと呼ばれるアーチ構造があります。足の裏側を踵(かかと)側からつま先に向かって作られる縦アーチと、母指球から小指球に向かって伸びる横アーチの二つの構造があり、もっと深くみていくと縦アーチは内側と外側で分かれています。これも含めると、全部で3種類のアーチ構造によって体を支えている仕組みです。 足が接地したときの衝撃吸収を担っている 足の裏のアーチ構造は、歩行時やジャンプの着地時など、足の裏から伝わる衝撃を吸収する役割を持っています。アーチが正常に作られていることによって、足の裏から背骨に直接衝撃が伝わるのを防いでいるのです。もしこのアーチ構造が何らかの原因で機能しなくなった場合、足を接地したときの衝撃が直接身体に伝わり、様々な不調をきたします。脛骨で起こる疲労骨折や、臀部が緊張することによって起こる坐骨神経痛、慢性的な腰痛、肩こり、股関節痛など様々な症状が考えられます。もし背骨付近で慢性的な症状があり、どんな治療法を試しても改善が見られない場合、アーチ構造を含め足部に問題があるのかもしれません。 足の裏のアーチは筋肉や腱によって出来ている 人間にとって非常に重要なこのアーチ構造ですが、足部の筋肉やその腱によって支えられています。これを足底腱膜と呼びます。主に足趾や足関節の屈筋群で、中には下腿部から走行してきている筋肉もあります。そのため、これらの筋肉が硬くなったり疲労が溜まったりすれば、アーチ構造を支える力が低下してしまいます。また、足関節や膝関節、足趾の関節の使い方が悪ければ、アーチ構造が破綻しやすくなります。足の裏のアーチが機能しなくなってくると、偏平足や浮指などの外見的な症状も現れてくるのです。 足の裏のアーチに問題が起きるのはなぜ? 幼少期に裸足で生活する機会が多い程、足の裏のアーチ構造が構成されやすいと言われています。近年では、室内でもスリッパを履くなど足の裏を直接地面に着ける機会が少なくなっているので、足の指でしっかり地面を掴まなくても歩けてしまうことが問題視されています。足の裏のアーチ構造を構成している筋肉を使わなくても生活が出来てしまうので、だんだんと筋力が低下し、偏平足や浮指になってしまうのです。また、骨盤の歪みや背骨の歪みによっても、足の裏にかかる負担は増えます。例えば骨盤の歪みによって股関節の可動域が狭くなると、歩行時にも膝関節や足関節が普段よりも大きな動きで股関節を代償しなければならなくなります。その状態が長期間続くと、足の裏が悲鳴をあげるのです。 足の裏が痛いときに考えられる症状 激しいスポーツ活動を繰り返しているわけでもなく、転倒した記憶もなく、激しく打ち付けたことも無いのに足の裏が痛いというとき、まず初めに考えられるのが足底腱膜炎です。足底腱膜炎の発生頻度は多いので、詳しく解説していきます。 足底腱膜炎とは 足の筋肉を使いすぎる、または上手く稼働出来ていないことによって足底腱膜で炎症を起こす病態です。足底腱膜は足の裏全体を覆う筋肉や腱で構成された膜のことで、足の裏のアーチ構造の大きな役割を担っています。足底腱膜炎であるということは、足関節を動かす筋肉、更には足の指を動かす内在筋といった細かい筋肉も含めて負担がかかっていることが考えられます。多くは一回の外力で足底腱膜炎を発症するというよりも、長く歩くことが続いたり、ハイヒールなど慣れない靴で長期間過ごしたりすることによって徐々に痛みが起こります。 足底腱膜炎の症状 足底腱膜炎の主な症状は足の裏の痛みで、歩行時や立ち上がる動作など、普段なら何でもない動作で痛みが発生します。足の裏を地面につけて少し荷重するだけでも痛いので、日常生活に大きな支障をきたします。安静時でも足の裏が痛むこともあり、少し触れるだけでも痛みが増悪するケースも稀ではありません。痛みをかばいながら行動することになるので、そこから身体全体のゆがみを生み、逆足の足底腱膜炎や膝痛、腰痛などに発展することもあります。足底腱膜炎を放置しておくと、足の裏のアーチによる衝撃吸収が機能していないので、疲労骨折になることもあります。中足骨や脛骨で起こることもあるので、足の裏の痛みだけでなく他の部位にも痛みが広がり出したら早急に治療が必要です。 足底腱膜炎の原因 足底腱膜炎のリスクが高いのは、元々偏平足の方や、外反母趾、浮指になっている方です。合わない靴など、日常生活で足趾や足関節が上手く使えていないことも足底腱膜炎の原因になります。また、女性の場合は男性よりも足底腱膜炎の発生リスクが高いと言えます。それは、妊娠が出来るという女性の特徴が関係していて、ホルモンの作用によって足の靭帯が男性に比べて緩みやすくなっています。そのため足底腱膜で支える足の裏のアーチ構造が崩れやすく、外反母趾や偏平足になりやすいのです。ある時期だけ歩く距離が異常に長くなったり、立っている時間が長いことが続いたりということも、足底腱膜炎を助長する一因です。 足底腱膜炎の治療 足底腱膜炎は保存療法が選択されます。炎症であるという特性上、患部を安静にすることが第一ではあります。しかし、足は通常生活をしていれば完全に安静にすることは難しく、治療が長期化しやすいという側面もあるので注意が必要です。 電気治療 低周波や干渉波など、電気治療が施されることが多いです。筋肉への負担を減らし、血流を良くして足底腱膜の弾力性を取り戻すことが狙いです。電気治療だけで足底腱膜炎を治癒させることは難しいですが、治癒までの期間を少しでも短くするためには有効な手段の一つです。 マッサージ 足底やふくらはぎなど、下腿部のマッサージで筋肉をほぐすことも有効です。要はダメージの蓄積によって起きている症状であり、簡単な言葉で言い換えれば足底腱膜炎は足の使い過ぎということです。足の裏を押すと痛いこともあるので、痛みがある部分は避けた方がいいでしょう。 ストレッチ 足の裏やふくらはぎのストレッチが、足底腱膜炎の改善や予防に効果的です。足の指を足の甲側に反らせるようにストレッチすると、足底腱膜がよく伸びます。筋肉の緊張を緩和することで足の裏の痛みが軽減するので、日ごろからストレッチを習慣にしておくと治癒した後の予防に繋がります。 整体 背骨のゆがみを矯正することや、骨盤のゆがみを正すことで足の使い方が改善され、結果的に足底腱膜炎の改善にも繋がります。むしろ、足の裏が痛いからといって足ばかりを治療するのではなく、体全体のバランスも一緒に整えた方が治りも早いのです。単純に、体のバランスが整えば重心が改善され、足の裏の負担も減ります。 足底腱膜炎の予防方法 足にあった靴を履く サイズが大きすぎる靴を履いていると、靴が脱げないように無意識のうちに力が入り、足底腱膜を構成している筋肉に余計な負担をかけることになります。それが足底腱膜炎を助長するので、日ごろから自分に合ったサイズの靴を履くことが効果的な予防になるのです。 足首を良く回しておく お風呂に入った後などに、足首を良く回すだけでも足底腱膜炎の予防に繋がります。足首の動きを良くしておくことで、足底腱膜を構成している筋肉の負担を減らせるのです。逆に足首が硬くなると、指を動かす筋肉などが普段よりも過剰な筋力発揮をしなければならず、足底腱膜炎のリスクを高めてしまいます。 骨盤の後傾を防ぐ 椅子に座っているときなどに、背中が丸くなって骨盤が後ろに傾くような姿勢を続けていると、足底腱膜炎のリスクを高めてしまいます。これには理由が二つあり、一つは、骨盤が後ろに傾くことで股関節の動きが悪くなり、歩行などの際に足首や足趾を動かす筋肉にかかる負担が増してしまうからです。もう一つは、骨盤の後傾と共に股関節前側の筋肉が硬くなり、下肢全体の血流が悪くなります。血流が悪くなれば筋肉も硬くなりやすく、また代謝も落ちるので筋肉に溜まった疲労が抜けにくくなります。その結果足底腱膜の筋肉に慢性的なダメージを蓄積してしまい、徐々に足底腱膜炎に移行していくことになるのです。 足底腱膜炎以外で考えられる足の裏の痛み 足の裏で痛みが起こるのは、100%足底腱膜炎というわけではありません。その他にも考えられる症状をご紹介していきます。 行軍骨折 疲労骨折の一つで、足の第二中足骨や第三中足骨で起こります。一回の大きな外力によって中足骨が折れてしまうわけではなく、激しいスポーツ活動の長期間の継続や、長距離ランニングの継続など、細かい負担が継続的にかかってダメージが蓄積した結果起こる骨折です。一番は足の甲で痛みが出ますが、接地時にも痛みが出るので足の裏の痛みとして感じられることもあります。 ジョーンズ骨折 第五中足骨の基底部で発生する疲労骨折のことで、再発しやすいという特徴があります。足の背面や側面の痛みと共に、足の裏側で痛みを感じることもあります。圧痛があるので、足をついたときにも痛みを発生します。スポーツ活動で起こることがほとんどなので、治りかけからスポーツ再開をして痛みを再発させるというケースも少なくありません。 足の裏の痛みが出たらどうすればいい? 足の裏の痛みは、多くの場合明確な原因がなく急に襲ってきます。もし朝起きた時に急に足の裏が痛かったらどうすればいいのか、対処法をご紹介していきます。 整形外科を受診する 足底腱膜炎なのか、骨自体で何か問題が起きているのか、精査できるのは整形外科です。レントゲンを撮ったり触診したりして、確定的な診断を出してもらいましょう。もし骨折など骨の異常であった場合は、固定や安静が必要です。足底腱膜炎だった場合は、リハビリなど長期的な計画で治療をしていく必要があるでしょう。 接骨院・整骨院の受診 骨折だった場合、骨が戻るまでは固定と安静しかありません。しかし、足底腱膜炎だった場合は接骨院や整骨院でも有効な治療ができます。もちろん、いきなり接骨院や整骨院に行って治療を開始するのでも良いです。しっかり骨に異常が無いことを確認したい場合は、まず整形外科に行ってから近くの通いやすい接骨院に行ってください。罨法や手技療法、運動療法など様々な角度から治療が行えるでしょう。必要があれば、テーピングなどもしてもらえます。 温める 足底腱膜炎である場合、体が温まることで足の裏の痛みが軽減することもあります。お風呂でしっかり温まることはもちろん、足湯をする、電子レンジで蒸しタオルを作って足の裏にあてるなども効果的です。 足の裏の痛みは全身に影響する 足の裏は体全体を支える重要な器官です。痛みをかばうことで、知らず知らずのうちに全身に悪影響を与えてしまいます。二次的な症状を起こさないためにも、早めに治療を開始してください。 お近くに再生医療やスポーツ医療についての専門医がいない方へ リペアセルクリニックは、第二種・第三種再生医療提供計画を厚生労働省に提出し受理された厚生労働大臣許可医療機関です。当院では来院前でも「メール相談」を受付けています。どうぞ事前にご相談ください。 以上、足の裏が痛いのは足底腱膜炎が原因か?その治療法や予防法を確認について記しました。参考になれば幸いです。 メール相談・お問い合わせフォームはコチラ 監修:リペアセルクリニック 当院の治療についての考え方や再生医療についての内容もお読みください スポーツ外傷・障害の痛みに対する当院の治療 変形性股関節症に対する当院の治療 再生医療とは PRP(多血小板血漿)療法とは ご相談から治療までの流れ
最終更新日:2023.10.11 -
- テニス肘
- スポーツ医療
- 肘
ぶつけたり捻ったりしたわけでもないのに急に肘の外側が痛くなる症状にお悩みの方も多いことと存じます。日常生活やスポーツにおいて支障をきたす症状であることから、早急に対処しておきたい症状です。 そこで本記事では、肘の外側が何もしていないのに痛む原因や治療法について解説します。最後までご覧いただき、原因の追求・症状の緩和を目指しましょう。 何もしてないのに肘(外側)が痛む原因 何もしていないのに肘の外側が痛む主な原因は、上腕外側上顆炎と呼ばれる肘の病気です。 別名でテニス肘やスマホ肘とも呼ばれ、老若男女問わず発症する可能性があります。以下項目で上腕外側上顆炎の概要や治療法、予防法について詳しく解説させていただきます。 上腕骨外側上顆炎(テニス肘・スマホ肘)とは 上記でも紹介したとおり上腕骨外側上顆炎とは、別名でテニス肘、近年ではスマホ肘と呼ばれる病態です。上腕骨にある外側上顆で炎症が起きる症状を指します。 上腕骨外側上顆炎の根本的な原因は肘関節よりも前腕の筋肉群で生じる疲弊です。手関節や手指の伸展動作に関わる筋肉で、前腕の伸筋群と呼ばれます。 前腕の伸筋群は上腕骨の外側上顆から前腕を通過し、手関節の先まで通っています。そのため、前腕の伸筋群を使いすぎによるダメージの蓄積が外側上顆にも負担をかけているのです。 ぶつけていないのに肘が痛くなるのはなぜ? 手関節や手指を繰り返し動かすことで前腕伸筋群が伸張を繰り返し、その牽引力が外側上顆の一点にかかります。これが長時間・長期間続くことで徐々に外側上顆が炎症を起こし、結果的に伸ばすと痛い・曲げると痛いといった何もしなくても肘の外側に異常が生じるのです。 前腕の筋肉を酷使するテニスプレーヤーに多い症状であることから、テニス肘と別名がついています。また、長時間にわたる操作でスマホを持つ(支える)前腕の筋肉が硬直し、外側上顆に負担をかけることからスマホ肘とも呼ばれています。 そのため、前腕をよく使うスポーツ選手はもちろん、何気ない日常生活から万人が発症します。 肘関節の構成 肘の関節は、上腕骨・前腕の橈骨(とうこつ)・尺骨(しゃっこつ)の3つの骨で構成されています。 肘関節を詳細に分類すると3つの関節が1つの関節包の中に納まっています。 1,腕尺関節(わんしゃく‐かんせつ) 関節の種類でいうと蝶番関節であり、屈曲と伸展の運動を行っています。 2,腕橈関節(わんとう‐かんせつ) 小さい関節ではありますが球関節の構造をしています。肘の屈曲伸展、回旋運動に関わる関節です。 3,上橈尺関節(じょうとうしゃく‐かんせつ) 前腕の骨である橈骨と尺骨の間で構成されている関節です。主に前腕の回外や回内運動を行っています。 肘関節を動かす最も大きな筋肉は上腕二頭筋で、肘関節の屈曲と前腕の回外の運動に関わっています。 上腕二頭筋は肩甲骨から上腕を通過して前腕まで通っているため、肩関節の異常が肘関節に影響する可能性もあります。 また、肘関節伸展に関わる主な筋肉は上腕三頭筋であり、これも肩甲骨から上腕を通過して前腕まで通っています。肩関節から肘関節にかけてコントロールする筋肉なので、肩関節の使い方次第で肘関節に影響を及ぼします。 上腕骨外側上顆炎の症状 上腕骨外側上顆炎はどなたでも起こり得る症状ではありますが、30~50代の女性の発症率が高い傾向にあります。筋力の弱さやホルモンバランスが関係しているとされています。 外側上顆炎は伸筋群が原因であるにも関わらず、手関節の伸展や手指の伸展以外の動作でも肘の外側に痛みを発生させます。 肘を伸ばすときや曲げるとき、前腕の回外、安静時でも肘の外側が痛み、日常生活においてはドアノブを回すとき・タオルを絞るとき・キーボードを打つとき・物を持ち上げるときなどが具体的な発症例です。 打撲や捻挫のように、一度の外力で急に外側上顆炎になることよりも、日常生活の動作の中で少しずつ負担を蓄積して発症するケースが多い特徴もあります。そのため、治療が長期間に及ぶことも珍しくありません。 上腕骨外側上顆炎の治療方法 上腕骨外側上顆炎の治療を医療機関で行う場合、どのような方法がとられるのかご紹介します。 1.電気治療 痛みがある肘の外側・前腕の筋肉を中心に低周波や干渉波の電気治療が行われることがあります。主な目的は前腕の筋肉で起きている緊張を取り除くことと、血流を良くすることです。 しかし、炎症であることと、筋肉の緊張による牽引力が原因であることから、稀に悪化してしまうケースもあります。 電気刺激が強すぎると、かえって自分の体を守ろうとする防衛機能が働き、逆に筋緊張を強めてしまうのです。同反応が見られた場合は、電気刺激を弱めるか別の保存療法を選択します。 2.手技療法 前腕の筋肉をマッサージやストレッチでほぐすことが主な手技療法です。上腕骨から指先まで通っている伸筋群もあるため、前腕だけでなく手指の動きを良くすることにもつながります。 手指の動きが良くなれば必然的に外側上顆の負担は減り、肘の外側の痛みが改善する仕組みです。 3.温熱療法 外側上顆炎の患者の中には、お風呂に入った後に少し痛みが軽減する方もいます。これは、温められることによって血流が良くなり、前腕伸筋群の緊張が和らいだことが要因です。 そのため、赤外線などで外側上顆から前腕にかけて温熱療法を行いつつ、手技療法や運動療法をあわせて行うことで改善を早めます。 4.運動療法 運動療法は、肘関節の正しい動かし方を身につけたり、手関節や手指関節の動きをスムーズにしたりとさまざまな療法が存在します。もちろん、痛みの程度を見ながら無理のない範囲で徐々に行うことが大切です。 肩関節や肩甲骨の動きが間接的に肘関節に影響を及ぼすため、肩関節の動きを良くして可動域を広げることが外側上顆炎の治療において重要です。 5.背骨の矯正 背骨のゆがみや骨盤のゆがみを改善することが外側上顆炎の治療につながります。 矯正により姿勢が良くなることで、肩甲骨や胸椎の正しい動き・スムーズな動きが可能となり肩関節の可動域が広がります。 肩関節の可動域が広がれば、肘関節にかかる負担の軽減につながります。結果的に手関節や手指をスムーズに動かすことができるのです。 外側上顆炎だからといって肘だけを集中的に治療するよりも、背骨のゆがみから改善した方が早期完治につながりやすいです。くわえて、再発予防にも有効です。 上腕骨外側上顆炎の予防方法 上腕骨外側上顆炎は一度なってしまうと治癒まで比較的時間がかかる症状であり、一度良くなった後も再発するケースが多いです。 そこでこの項目では、自分でできる上腕骨外側上顆炎の予防方法をご紹介します。 1.ストレッチ 前腕の伸筋群に疲労が蓄積することで外側上顆炎のリスクが高まることから、こまめな前腕のストレッチが予防に有効です。外側上顆炎を発症した初期はストレッチの動作でも痛みを感じることがあるので痛みが軽減してから習慣にしてください。 やり方は簡単で、手関節の屈曲と伸展方向にゆっくりと伸ばすだけです。 しかし、伸筋群のみのストレッチでは外側上顆炎の再発予防としては不十分です。屈筋群に緊張があるままだと、手関節伸展がしにくくなり、余計な筋力を発揮させて伸展動作を行わなければならなくなります。外側上顆の負担を増す原因になるので、屈筋群もあわせてストレッチしておくことが大切です。 2.肘と前腕を温める 冷えは筋肉の緊張を生みやすいので、基本は温めるようにした方が改善の助けになります。 お風呂でしっかり温まることはもちろん、電子レンジなどで蒸しタオルを作って肘の外側から前腕にあてておくだけでも良いセルフケアです。安価な物でも良いので、肘全体を覆うタイプのサポーターをするのも冷え対策につながるためおすすめです。 神経痛によって肘の外側が痛むこともある! 首から上肢にかけて通っている神経が圧迫されることによって肘の外側で痛みを発生させている場合もあります。 この項目では、肘の痛みの原因となる神経痛の概要や治療方法についてご紹介します。 頚椎ヘルニア・神経痛とは? 神経を圧迫している主な原因は頚椎ヘルニアです。スマホやPCが普及してきた現代で発症頻度が高くなっている病態とされています。 頚椎から派出する神経が上肢を走行し、その過程で肘の外側も支配しています。頚椎ヘルニアが上腕の外側を支配する高さで起こっている場合、肘外側の痛みの原因となりえます。 姿勢が悪い状態で行うデスクワークやバイクの長時間の運転といった既往が頚椎ヘルニアのリスクを高め、肩甲骨の内側や外側、首自体の痛みも同時に発生しているケースがほとんどです。 肘の外側だけでなく、痛みが体幹に近い部位に点在している場合は神経症状を疑いましょう。 頚椎ヘルニア・神経痛の治療方法 肘の外側で出る痛みが神経痛であった場合、肘の動きの改善や前腕・上腕のマッサージは根本的な治療にはなりません。神経が発生している背骨から治療していく必要があります。 この項目では、頚椎ヘルニア・神経痛の主な治療方法を5つご紹介します。 1.薬物療法 痛み止めや、ビタミン剤が薬物療法として主に使用されます。 あくまでも薬物療法は鎮痛作用を促すためのものであることから、完治にはつながりにくいものの日常生活に支障をきたす辛い痛みを防ぐ補助的な目的で利用します。 2.温熱療法 神経痛においても温めることが有効な治療方法です。 血流が良くなる上に筋肉の緊張が取れるため、神経の圧迫の軽減につながります。 3.牽引治療 整形外科では、頚椎を牽引して治療することが多いです。 牽引により背骨全体の筋肉がストレッチされ、神経の通り道を広くすることに期待できます。しかし、牽引治療だけでは完治に至らない場合が多いです。 4.整体 姿勢を改善して首の負担を取り除くことや、関節の動かし方を改善して頚椎から出る神経を圧迫しないような体作りをしていきます。 手術以外の方法の中でも有効な治療であり、早期改善と再発予防につながりやすいです。 5.手術療法 スポーツ選手など特別な事情が無い限りは稀な選択と言えますが、頚椎の手術も有効な治療のひとつです。 頚椎のシビアな場所だけに、一般的には最終手段として選択される治療方法です。 何もしてないのに肘の外側が痛む方からよくある質問 肘の外側が何もしていないのに痛む症状について、多くの方が疑問や不安を抱えています。 そこでこの項目では、よくある質問に対して医師の観点から回答します。 何もしていない肘の痛みはガンの可能性もある? 結論から言えば、肘の痛みがガンである可能性は非常に低いですが、完全に否定はできません。 肘の痛みの大半は、上腕骨外側上顆炎(テニス肘)や神経痛によるものです。ただし、痛みが長期間続く、急激な体重減少を伴うなどの場合はガンの可能性も考えられるため、専門医の診断を受けることをおすすめします。 ガン以外にも、関節リウマチなどの自己免疫疾患の可能性もあるため、早期発見・早期治療が重要です。不安な症状がある場合は、まずは医療機関を受診し、適切な検査と診断を受けましょう。 ジンジン・ズキズキする肘の痛みはすべて神経痛やテニス肘? ジンジンやズキズキといった肘の痛みは、必ずしもすべてが神経痛やテニス肘が原因ではありません。肘部管症候群・滑膜ひだ症候群・単純な筋肉の張りなど、考えられる疾患はさまざまです。 正確な診断と適切な治療のためには、症状の詳細な観察と医師による専門的な診断が重要です。自己診断は避け、持続する痛みがある場合は整形外科をはじめとする医療機関を受診しましょう。 何もしていない肘の痛みは内側にも発症する? 肘の痛みは外側だけでなく、内側にも発症する可能性があります。 何もしていないのに肘の内側に痛みを感じる主な原因として、上腕骨内側上顆炎が考えられます。 この症状は、手首を曲げる筋肉や前腕の筋肉が肘の内側の骨(上腕骨内側上顆)に付着する部分で炎症を起こすことで生じます。とくに、ゴルフやテニスのバックハンド、野球の投球動作など手首を曲げる動作を繰り返す人に多く見られます。 また、デスクワークなどで長時間同じ姿勢を取り続けることでも発症することがあります。 本記事で紹介した上腕骨外側上顆炎の内側版と覚えていただいても差し支えありません。 何もしてないのに肘の外側が痛む原因まとめ 肘の外側で起きる痛みは、肘や前腕で問題が起きている場合と頚椎など中枢に近い部分で問題が起きている場合の2種類があります。両者は治療方法も異なるので、どこで問題が起きているのか見極めるのが大切です。 何もしていないのに発症する外側の肘の痛みを早期に改善したい方は、医療機関を受診し専門医に相談するよう心がけましょう。 また、当院でも肘の痛みに関するご相談を受け付けています。どうぞお気軽にお問い合わせください。
最終更新日:2024.10.09 -
- 変形性膝関節症
ひざの内側が痛むのなら変形性膝関節症かもしれません! 変形性膝関節症を発症した患者さんが訴える症状の多くが「膝の内側の痛み」です。この膝の内側の痛みが何故起こるのか?そもそも膝はどのような構造になっているのか? 関節の構造はどうなっているのか?変形性膝関節症とはどのような病気でどのような治療をするのかについて説明していきたいと思います。 膝の構造や関節の構造はどうなっているのか? 膝は人体の諸関節の中で最大の関節であると同時に損傷を受けやすい関節でもあります。膝は大腿骨、脛骨、膝蓋骨という3つの骨で構成されています。大腿骨と脛骨の表面には関節軟骨があり、関節軟骨と関節軟骨の間には半月板があります。この関節軟骨と半月板と関節軟骨の3つが膝が滑らかに動くようにしたり、荷重を分散させています。 大腿骨と脛骨は前十字靱帯、後十字靱帯、内側側副靭帯、外側副側靭帯という4つの靭帯によって結ばれています。この4つの靭帯の働きによって脱臼防止や関節の伸展・屈曲・内旋・外旋がスムーズに行われています。 膝にはもう1つ膝蓋大腿関節があり、この骨の表面にも関節軟骨が存在して、筋肉の力を効果的に下腿に伝える働きをしています。そして、これらの関節を包みこんでいる袋が関節包であり、この関節包の内膜は滑膜と呼ばれ、関節液を分泌したり吸収する働きをしています。 関節軟骨という言葉が出てきましたが、関節軟骨とはどのような物なのか? 関節軟骨の組成は60~80%が水分であり、残りはコラーゲンとプロテオグリカンです。関節軟骨の基質はⅡ型コラーゲンを主体とするコラーゲン線維の隙間を、アグリカンと呼ばれる巨大プロテオグリカン分子が埋める構造をしています。 プロテオグリカンは保水性に富み、スポンジのように水分の出し入れを行っています。軟骨細胞は小腔内に独立して存在し、軟骨組織には血管もリンパ管も存在しないため、軟骨細胞の代謝は関節運動による関節液の浸透によって行われています。このため、関節運動が行われないと軟骨の萎縮を起こします。また、軟骨組織は自己修復力がほとんどなく、ひとたび関節軟骨が損傷を受けると変性に陥ります。 関節包と滑膜について 通常大部分の関節には関節包とその内面を包む滑膜があります。前述の通り膝関節にも関節包と滑膜が存在しています。滑膜は関節の潤滑と栄養をつかさどる関節液を合成するとともに、関節内に生じた異物を除去する働きがあります。関節液の主成分は、グルコサミノグリカンの一種であるヒアルロン酸です。これはヘパリンと同種の組成であるため、関節内に出血が起きても血が固まりません。 関節の機能について 関節は、その種類によって運動の方向や正常な可動範囲が定まっており、関節運動はその方向によって決まった名称で呼ばれます。関節の可動域をROMといい、各関節はその構造上から運動の方向・機能と可動域を持っています。関節運動の方向には下記のような種類があります。 屈曲↔伸展 外転↔内転 外旋↔内旋 回内↔回外 掌屈↔背屈 関節可動域は年齢、性別、ときには職業によっても異なります。膝の運動方向は屈曲と伸展であり、可動域の範囲は屈曲が0~130、伸展が0です。 膝の痛みはなぜおこるのか? 関節を構成する靱帯や関節包には痛覚神経線維の終末が多数存在し、関節が異常運動を行った場合は強い痛みを生じて警告を発し、非生理的な関節運動が起こる事を予防しています。これらの組織に機械的刺激や化学的刺激が加わると、強く鋭い関節痛を生じます。これに加えて、滑膜の炎症によって増加した関節液や外傷による関節内出血は関節内圧の上昇をまねき、鈍重な痛みの原因となります。 変形性膝関節症とはどのような病気か? 変形性膝関節症とはその名の通り膝関節が変形し、痛みやしびれ、運動障害を起こす慢性関節疾患です。変形性関節症の中では最も頻度の高いもので、日本人の生活様式である畳の上に座るという習慣が影響していると考えられています。また、加齢や肥満、膝へのストレスが原因とされています。 原因についてさらに詳しく説明します。関節リウマチや大腿骨の顆部壊死、過去の骨折経験などもともと何らかの原因が元になっている場合が10%程度ありますが90%は原因がはっきりわかっていません。年齢では30代ではほとんど見られませんが40代以降、年齢を重ねるにつれて患者数が増えています。理由としては加齢によって関節組織(軟骨)の退行性変性が起きるためです。性別では女性の方が男性に比べ1.5~2倍くらい多い傾向にあります。特に閉経後の女性は急速に進むケースが多いです。これはエストロゲンという女性ホルモンに要因があると考えられています。肥満については、体重が増えることにより膝への負担が大きくなる事や、脂肪組織で生成されるレプチンという物質が影響することが原因と考えられています。レプチンとは食欲の抑制とエネルギー代謝の調節に関わるホルモンです。これらのような加齢や性別、遺伝、肥満や重労働やスポーツなどの膝への過度なストレスなど様々な要因が引き金となって、膝の軟骨が変形し、膝の中にある滑膜が炎症を起こします。 変形性膝関節症の進行と症状について 膝関節の腫れや痛みを主な訴えとして、関節の可動制限はそれほど著しくないが、最大伸展位を取る事が出来ずに、運動時のコツコツやゴリゴリといった軋轢音、関節裂隙(かんせつれつげき)の圧痛がみられます。高度になると内反膝あるいは外反膝の変形が起こりますが、日本では内反膝変形が多くみられます。 変形性膝関節症の症状は進行度によって症状が変化します。 【軽度】 骨と骨の隙間が少し狭くなり軟骨がすり減ってきます。起床時の第一歩の「膝の違和感」が最も早く現れる症状です。この段階では動作時のみの痛みですが、一時的でしばらく休むと痛みがなくなる場合がほとんどです。「立ち上がる時に膝が痛む」「膝がこわばる」「動き始めに膝が痛む」このような症状が現れます。 【中等度】 関節軟骨や半月板がすり減り、骨と骨の隙間がさらに狭くなります。痛みの頻度が多くなり、炎症が生じて膝の周辺が腫れたり、熱を持ったりします。膝に水がたまる事により膝を曲げると張って重くだるくなります。膝の変形が目立ち、膝に力のかかる動きをすると、コツコツやゴリゴリといった異音を自覚します。「膝が完全に曲げられない」「正座ができない」「階段の上り下り、とくに下りで膝が痛む」「膝に水がたまる」等のような症状が現れます。 【重度】 軟骨や半月板がほとんどなくなり、骨がむき出しになって、骨と骨が直接触れあうようになります。膝関節の変形も進行し、痛みも強くなります。日常生活に支障が起きるほどの痛みになります。そのため、買い物や仕事や旅行などの活動が思うようにできなくなり、活動範囲が狭まります。高齢者では家の外に出ない生活が続くと痴呆症状が現れる人もいます。骨の変形が相当進むので外見的にも関節の変形が目立ち、O脚(ガニ股)となります。「じっとしていても膝が痛む」「膝の曲げ伸ばしが難しい」「歩くときに膝が横揺れする」「歩行困難」等の症状が現れます。 変形性膝関節症の検査はどのような検査を行うのか? 【X線撮影】 膝の骨の変形の具合を調べます。骨と骨の関節部分は何も写りませんが、この関節の隙間が狭いほど関節軟骨がすり減っているという事になります。 【関節液検査】 膝に炎症が起きて腫れている場合、注射器で関節液を抜き取りその性状により病気の判定をします。変形性膝関節症では、黄色透明の関節液が排出されますが、リウマチや関節炎では、黄色混濁した関節液が出ますので鑑別診断ができます。 【MRI検査】 関節軟骨、半月板や骨内の病変の有無を調べます。変形性膝関節症が進行すると、半月板が痛んで断裂したり、骨内に骨のう腫という穴が開いたりして痛みの原因となります。また、膝関節の大腿骨内顆骨壊死が発見されたりします。 【血液検査】 関節リウマチではCRPやリウマチ因子が陽性となる事が多いですが、変形性膝関節症では通常CRPやリウマチ因子は陰性です。 変形性膝関節症の治療はどのようなものがあるのか? 変形性膝関節症の治療の1つとして肥満の人には体重を軽くするように指導するとともに大腿四頭筋の筋力強化、温熱療法が勧められます。変形性膝関節症は進行度により治療が行われます。整形外科での治療は主に保存療法(リハビリ)と手術療法です。 保存療法(リハビリ) 症状が軽い場合には痛みどめの内服薬や外用薬を使った痛みを軽減する薬物療法が行われます。関節内で炎症が起きると痛み物質が発生し、滑膜が刺激されてさらに炎症が進むことによる悪循環に陥るため、この悪循環を断ち切るために鎮痛剤の処方が行われます。 そして、痛みを起こさせないようにするために重要なのが運動療法になります。膝関節を支える筋肉を鍛えることにより、膝がしっかり安定して関節への負担が減ります。また、膝を動かすことにより血行が促進され、関節液中の痛みを起こす物質が血中に吸収されて減っていきます。さらに運動によって肥満が改善され、膝への負担が軽減されます。 次に軟骨や関節液の重要な成分であるヒアルロン酸を潤滑成分として注射して軟骨表面の保護を行う治療があります。同様に注射治療の1つに炎症を強力に抑え込み、鎮痛効果も高いステロイドの注射があります。しかしステロイドの頻繁の使用は軟骨や靭帯を弱くしてしまうので2カ月から3カ月に1回の注射が安全とされています。 手術療法 上記の一般的な保存療法に抵抗し、軟骨破壊が内側に偏しているような時は高位脛骨骨切り術という手術療法が行われます。内反変形を矯正して、内側にかかる荷重を正常な軟骨や半月板が残っている外側の関節に分散させる手術です。手術後は自分自身の関節が温存されるため、可動域が改善されスポーツなどの重労働にも耐えられます。また、時間の経過とともに筋力が増強し関節機能が改善することがこの手術の特徴となります。 高度の関節破壊のある場合には人工膝関節置換術という手術が行われます。痛みのある片側だけを置き換える片側置換術と関節面全体を金属に置き換える全置換術があります。手術後は翌日から数日で立ったり歩いたりするリハビリが始まり2週から4週程度で退院し、比較的速やかに日常生活に戻る事が出来ます。 注目されている最新の治療法があります!! 近年再生医療の分野が医学界ではめざましい進歩をあげておりますが、この再生医療を応用した治療が変形性膝関節症にも治療適応されています。 再生医療も治療の選択の1つです。再生医療とはこちらを参照ください。 変形性膝関節症に対する再生医療分野の治療は脂肪幹細胞と多血小板血漿(PRP)を用いた治療になります。脂肪幹細胞を用いた治療ではご自身のお腹や太ももの皮下脂肪を吸引し、幹細胞を採取します。採取した幹細胞を培養し関節内に投与します。これにより関節の炎症を治めるだけでなく関節軟骨の変形を抑えたり痛んだ軟骨の修復や再生を促します。 多血小板血漿(PRP)を用いた治療とは自身の血液から特殊な技術で血小板が多く含まれる血漿を取りだし、膝関節内に注入する治療法で患者さん自身が持つ修復力をサポートする治療法です。自分の血液ですので副作用もありません。 膝関節症の患者さんの多くが訴える膝の内側の痛みについて、骨の構造や関節の機能、膝関節症とは何かについて説明してきましたが、膝関節症は原因の90%が明らかになっていない疾患です。 しかし変形性膝関節症の治療法の選択肢も増えてきています。ご自身のライフスタイルや症状に合った治療を選択していきましょう。変形性膝関節症や再生医療についてさらに詳しく知りたい時には専門医に話を聞いてみましょう。 お近くに再生医療についての専門医がいない方へ さかもとクリニックは、第二種・第三種再生医療提供計画を厚生労働省に提出し受理された厚生労働大臣許可医療機関です。当院では来院前でも「メール相談」を受付けています。どうぞ事前にご相談ください。 以上、ひざの内側が痛むのなら変形性膝関節症かもしれない!についてご説明させて頂きました。参考になれば幸いです。 メール相談・お問い合わせフォームはコチラ 監修:リペアセルクリニック大阪院 膝の痛みに関連する記事はこちら 膝の痛みと腫れが突然出た!考えられる原因は? 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最終更新日:2023.09.04 -
- 股関節
股関節!人工股関節術後に注意!脱臼する可能性と、ならないために生活上の注意点 股関節に何らかの疾患を抱えてしまった場合、保存療法や関節鏡による手術でも改善が見込めない場合は人工関節に置換することが選択されます。人工股関節に置換すれば、早期から荷重をすることも出来ますし、左右の下肢の長さなど器質的な異常も改善することが出来ます。 そんな人工関節置換術について、どんな症状や疾患の場合に適応されるのかということや、手術後の生活を送る上での注意点などをご紹介していきます。 股関節は球関節に分類される 股関節の一番の特徴は、なんといっても常に荷重がある関節だということです。立位はもちろん、座位でも股関節には体重がかかります。股関節は骨盤の骨と大腿骨の骨で構成されており、関節の形で分類すると球関節に該当します。 球関節は運動の自由度が最も高い関節であり、様々な軸で関節を動かすことが可能です。股関節を前後に動かす屈曲や伸展という動作を筆頭に、左右に動かす外転や内転、下肢全体を捻る外旋や内旋といった動きは全て可能です。 関節包や関節唇で安定性を増している 股関節は荷重を大きく受ける球関節であるために、運動の自由度だけでなく安定性も求められる関節です。そのため、可動域の制限を最小限にとどめる範囲で関節包や関節唇が安定性を保っています。 関節包や関節唇は、股関節にはまり込んでいる大腿骨頭をしっかり覆うように位置していて、靭帯なども強固に付着しているため脱臼の頻度は少ないです。関節唇には神経も通っており、損傷すると痛みを発生します。 何らかの原因で大腿骨頭を取り囲む関節唇を損傷してしまうと、歩行や立ち上がりなど軽微な動作でも痛みを感じるようになってしまいます。 年齢と共に股関節疾患のリスクは上昇する 常に荷重がかかる関節であることも関係して、年齢を重ねると共に股関節関連の疾患を発症するリスクは上がっていきます。股関節の人工関節置換術など、大きな手術が適用になるケースは50代、60代以降の方に多いのが特徴です。 また、大腿骨頭から股関節の関節面に伸びている大腿骨頭靭帯には、血流が豊富に流れているという特徴があります。関節軟骨の代謝など、股関節を栄養する血管の血流が悪化することによっても、股関節の機能が低下する原因になってきます。 股関節の疾患から二次的な症状が多く発生する 股関節に痛みがあったり、違和感があったり、何らかの股関節疾患を発症することによって二次的な症状を多く発生させるという特徴もあります。人間はどこかに痛みが出ると無意識にそこをかばって行動するようになり、股関節の使い方がおかしくなったり骨盤や背骨が歪んだりすることもあるのです。 そこから腰痛や膝痛、周囲の筋肉の緊張が原因で起こる坐骨神経痛や梨状筋症候群など、様々な症状に繋がっていく可能性もあります。そういった二次的な症状が出てきた場合、股関節の疾患を改善するだけでは解決できないケースも出てくるのです。 股関節は人工関節置換術が選択される場合もある 疾患が起きた場合に手術が行われるケースは多々ありますが、股関節は人工関節置換術が選択される場合もある数少ない関節です。人工関節置換術は、基本的に膝関節か股関節に適応される外科的治療で、その他の治療方法が全く奏功しなかった場合に行われるケースが多いです。 股関節のその他の治療方法とは 保存療法 多くの整形外科的な股関節疾患に対しては、まず保存療法が行われます。内容は体重のかけかたや歩き方の指導、杖や車いすなど道具の使用方法といった生活指導が中心です。 その他臀部や大腿部の筋力トレーニング、エアロバイクを使用した運動療法、水中での運動療法などが主です。手術を行うよりもリスクが少ない治療方法ではありますが、大腿骨頭壊死症など股関節の変形が強く進行している場合には荷重することで悪化させてしまうケースも考えられます。 薬物療法 薬物療法は保存療法の一つと考えることも出来ます。基本的には痛み止めや炎症を抑えるための薬が処方されます。ただ、荷重関節であるために薬を処方しても痛みが長期間続くことも多く、長期の薬物の服用によって副作用を起こす恐れも否定できません。 薬を体内で処理するために腎臓に負担をかけたり、胃に負担をかけたりするので内臓の疾患に繋がってしまうかもしれません。薬物療法を行っている間も、主観的な痛みなどの感覚はもちろん、レントゲンやMRIなど客観的な評価でも治療の進行度を測る必要があります。 骨切り術 先天的な疾患でもある臼蓋形成不全によって股関節に痛みを発生させている場合、人工関節置換術ではなく骨切り術が選択されることがあります。臼蓋形成不全は、簡単に説明すると股関節が浅すぎるという器質的な問題がある疾患で、根本的には運動療法や薬物療法で解決することが難しい疾患です。 骨切り術は、股関節の大腿骨頭がはまり込む寛骨臼というくぼみを深く切り抜き、大腿骨頭を深くはまりやすくするための手術です。形態的な部分から改善できるため、股関節の痛みはもちろん、将来的な変形性膝関節症などを予防することにも繋がります。 人工股関節の手術が選択される症状とは 人工股関節の手術を選択されるケースは、日常生活にかなりの支障をきたしたり、他の保存療法でも治療が困難であったりする場合です。どんな症状から人工股関節の手術に踏み切る場合があるのか、ご紹介していきます。 変形性股関節症 股関節の中にある関節軟骨の変形によって、関節内で慢性的な炎症を起こしてしまっている症状です。何か一度の外力で急に股関節の軟骨が損傷して変形してしまうというよりも、日常生活の中で負担を積み重ねて少しずつ変形を進行させるケースの方が多いと言えます。 年齢と共に筋力が低下して股関節を支える力が無くなっていったり、姿勢が悪く股関節の動かし方が悪いせいで関節軟骨のすり減りを助長していたり、仕事の中で負担がかかることが多いなど理由は様々です。 一度変形してしまった関節軟骨は元には戻らないので、痛みが強く常に続いている場合などは人工股関節の手術が適応になります。人工股関節の手術以外で治療をするなら、股関節の運動療法、背骨や骨盤の矯正による荷重の改善などが有効です。 大腿骨頭壊死症 大腿骨頭から関節内に流れる大腿骨頭動脈の血流が断絶され、大腿骨頭の骨細胞が徐々に壊死していく疾患です。アルコール中毒や、ステロイドの使用歴など、大腿骨頭壊死症に繋がる原因はいくつか指摘されていますが、決定的な原因が解明できない症状でもあります。 そのため、大腿骨頭壊死症のほとんどが、原因不明の特発性と判断されているのです。大腿骨頭壊死症が見つかり次第すぐに人工股関節の手術が行われるわけではなく、経過観察されるケースもあります。壊死した骨が潰れるので、荷重がかかることによって痛みを生じます。 壊死した部分に負担をかけないような体の使い方ができたとしたら、手術を回避することも出来るのです。しかし、運動の自由度が高い関節であるため、大腿骨頭の破壊は時間と共に進んでいき、最終的には人工股関節の手術になることが多いでしょう。 関節リウマチ リウマチは自己免疫疾患とも呼ばれ、免疫が異常な動作を起こして体の健康な細胞を攻撃してしまう疾患です。手先など全身の関節で症状が出る可能性がありますが、股関節でもリウマチの症状を起こします。基本的には薬物療法で生活改善を試みることが多いですが、 著しい歩行時痛や歩行困難など、日常生活動作に大幅な支障をきたしている場合は人工股関節の手術になります。しかし、健康な組織を攻撃してしまうという疾患の特徴ゆえに、リウマチが進行しすぎると人工股関節の手術さえできなくなることもあります。 もし人工股関節の手術を視野に入れるなら、比較的早い段階で決断することが必要な場合もあるのです。 人工股関節の手術は年齢によっても変わる 一般的には、人工股関節の手術をするのは60代以降の年齢になります。日常生活の具合や、症状の程度、運動習慣などを加味して50代や40代で行われるケースもありますが、基本的には高齢になってから行うものです。 というのも、人工股関節にも耐用年数があるからです。近年では技術の向上によって人工股関節の耐久も上がってきましたが、それでも20年くらいが1つの目安と言われています。もちろん股関節の使い方や、生活レベルによっても大きく左右されます。 使えば使うほど摩耗していくことは当然なので、人工股関節の手術後にもスポーツや旅行などを楽しみたいという場合は、筋力を取り戻すリハビリも長期間にわたって行う必要があるわけです。 人工股関節の手術後に日常生活で注意すること 人工関節の手術をした後は、股関節に余計な負担をかけないように注意しなければならない点もいくつかあります。 脱臼肢位を避ける 人工股関節の手術後に最も怖いのは、脱臼してしまうことです。これも、近年では手術の技術や人工股関節の精度も高まり、心配は少しずつ軽減されてはいます。しかし、脱臼しやすい肢位を取ってしまうと、通常の股関節に比べて脱臼しやすい状態であることには変わりありません。 股関節が深く屈曲するような体勢や、あぐらのように過度な外線外転肢位になると、脱臼のリスクが高まります。これらの動作は意外と日常生活の中でも頻繁に起こる姿勢で、例えばお風呂の低い椅子に座るなどすると股関節が深く曲がり込みます。 床に座って前かがみになって靴下を履くときもそうです。正座をしたまま遠くの物を取ろうとした時も、股関節の屈曲が強くなります。意識していないとやりがちな体勢なので、人工股関節の手術後は注意を払いましょう。 また、人工股関節の手術をした足を軸にして片足で立ち、高いところに手を伸ばすなどの姿勢も危険です。今度は股関節に伸展力が強く加わってしまうので、脱臼のリスクが高くなってしまうのです。とにかく、過度な屈曲伸展、外転や外旋などの動作を避けることです。 激しい運動を避ける よく言われるのが、スキーやサッカー、バレーボール、バスケットボール、野球など激しくジャンプや捻り動作を行うスポーツを避けるべきだということです。人工股関節が脱臼してしまうリスクがあるとともに、人工股関節の摩耗を早めてしまいます。 ただ、せっかく股関節の手術をしたのだから好きにスポーツを楽しみたいという考えもあります。その場合は動作を制限するなど、なるべく負担を軽減して楽しむことが大切です。運動すること自体は良いことなので、水中でのウォーキングや散歩など、人工股関節への負担が少ない活動を選ぶようにしましょう。 リハビリを長期間続ける 人工股関節の手術後は、筋力が低下しています。手術したことによって動作がしにくいということもありますが、人工股関節にしなければならないほどの症状を患っていたわけです。多くの場合は人工股関節に至るまでに、長年にわたって症状と向き合い続けてきています。 その間に日常生活が大きく制限されるほどの痛みを伴っていたのですから、当然筋力は大きく低下しています。何年もかけて低下した筋力を、短期間で取り戻すのは難しいです。 人工関節の手術後にどのくらいの生活レベルを目指すかにもよりますが、リハビリも長いスパンで計画を立てる必要があるわけです。 再生医療も発達してきている 今の日本では、再生医療をリードしようという動きもみられています。一度失ってしまった機能を、細胞移植によって再び取り戻そうという医学です。再生医療に関心のある方当院まで、ご遠慮なくお問い合わせ下さい。 監修:リペアセルクリニック大阪院 人工関節に関連する記事はこちら 膝の人工関節手術は失敗がある?知っておくべきリスクとは 足の付け根の痛みに関連する記事はこちら 足の付け根が痛い場合は手術が必要?考えられる病態とは 当院の治療についての考え方や再生医療についての内容もお読みください スポーツ外傷・障害の痛みに対する当院の治療 変形性股関節症に対する当院の治療 再生医療とは PRP(多血小板血漿)療法とは ご相談から治療までの流れ 監修:リペアセルクリニック大阪院
最終更新日:2023.12.26