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- アキレス腱
アキレス腱炎を発症した場合、足に負担をかけない歩き方とは アキレス腱炎が発症し、足に痛みがあると、どうしても痛みをかばうために歩き方が不自然になってしまうことがありますよね。 すると、身体の他の部分に負担がかかってしまうこともあります。 今回は、アキレス腱炎になってしまった時、足になるべく負担をかけない歩き方など痛みの改善ができる方法をご紹介します。 アキレス腱炎で足に負担をかけない歩き方とは? アキレス腱炎の症状が重い場合、アキレス腱を庇うような歩き方になる可能性があります。 そのような時は、以下で紹介する方法を試してみてください。 靴を見直す アキレス腱炎で歩き方が不自然になってしまうほど痛むときは、靴を見直すことをおすすめします。 踵の高めの靴やインソールやヒールウエッジなどで踵を少し高くして固定することで痛みが緩和され、不自然な歩き方の改善を期待することができます。 歩き方を見直す アキレス腱炎が発症し、歩く時に痛みが生じる方は、身体に対する衝撃を小さくする歩き方をするといいでしょう。 身体に対する衝撃を小さくする歩き方のポイントは以下の通りです。 ・足の裏全体でそっと地面に足を置くように接地する ・両足の間隔を腰の幅程度に広く取って歩く ・手は無理に振らず身体の動きに合わせて自然に振る ・足の指が地面をしっかりつかんでいる感覚で歩く ・坂道を歩く時は、上り坂は逆八の字に、下り坂はつま先から着地するように歩く ・階段を上る時はお尻から上げるように、下る時はお尻を一緒にイメージで足をそっと下ろす ・一般的には、このような歩き方が身体に対する衝撃を小さくできる歩き方です アキレス腱炎で痛みがある時も、このような歩き方を心掛けるといいでしょう。 アキレス腱炎を予防する歩き方 アキレス腱炎の痛みを感じながら歩くことはとても苦痛ですから、アキレス腱炎にならないようにするのが一番です。 そこで紹介したいのが、アキレス腱炎を予防する歩き方です。 アキレス腱炎を予防するためには、足首周辺の筋力を強化する必要があります。 例えば、踵を浮かせたつま先歩きをしたり、逆につま先を浮かせた踵歩きをしたりと、普段から筋力をつける歩き方を実践すると、アキレス腱炎を予防することができます。 まとめ・アキレス腱炎を発症した場合、足に負担をかけない歩き方とは アキレス腱炎の足の痛みを緩和するためには、歩き方に注意する必要があります。 踵を少し高い位置に固定できる靴を履いたり、身体にやさしい歩き方を実践したりすると、歩く時の痛みの緩和が期待できるでしょう。 アキレス腱炎になって足の痛みが出る前に、普段からアキレス腱炎を予防する歩き方を心掛けると良いでしょう。 特に今までアキレス腱炎になった経験がある方、スポーツなどで足首やかかと、アキレス腱に負担がかかる動作が多い人は、予防も万全にしてみてくださいね。 監修’リペアセルクリニック大阪院 こちらも併せてご参照ください アキレス腱炎に関連する記事はこちら
最終更新日:2024.03.05 -
- アキレス腱
アキレス腱炎、安静にしても治らないのなら、他の病気の可能性! アキレス腱炎になると、ふくらはぎから踵あたりにかけて、痛みを感じたり腫れたりする症状が現れます。中には、普通に歩けないほどの痛みを感じる方もいることでしょう。 アキレス腱炎は基本的に、まったく歩けなくなるということはありませんが、歩けないほどの強い痛みを感じる場合は、他の病気が隠れている可能性もあります。 アキレス腱炎ではない?歩けないほど痛いなら要注意! 歩けないほどアキレス腱が痛いというのであれば、整形外科などの病院を受診する人がほとんどだと思います。しかし、一度病院にかかって、アキレス腱炎ですね…と診断され、おとなしくして様子を見ていれば治るでしょうなどと言われると、痛みを我慢してしまう人もいるかもしれません。 しかし、歩けないほど痛む場合は、アキレス腱炎ではないほかの病気が隠れているかもしれませんから、もう一度受診してみてください。 他の病気の可能性 1.アキレス腱周囲炎 アキレス腱炎と同じように、アキレス腱周囲炎は、スポーツなどで繰り返してアキレス腱に負担をかけるような動作をする人に多く発症し、その症状も運動をするとアキレス腱が痛むというようにアキレス腱炎と同じです。 そして、アキレス腱炎の場合と同じように、歩けないほど痛むケースもあります。アキレス腱炎との違いは、その痛みの場所が移動するかどうかということです。アキレス腱周囲炎は、痛みの場所が移動せず、常に同じところに痛みを感じます。 2.アキレス腱付着部症 アキレス腱と踵の骨がつながっている部分の周りが痛い場合、アキレス腱付着部症の可能性があります。 アキレス腱付着部症は症状が進むと、運動をしないで静かにしていても痛みが続く場合があります。 アキレス腱炎との違いは、アキレス腱付着部症は病状が進むと、肉芽形成が認められたり、石灰化や骨化などの変化が現れることです。 アキレス腱と共に踵部分が歩けないほど痛む場合は、受診することをおすすめします。 3.アキレス腱断裂 アキレス腱断裂は、歩けないほど痛いというよりは、断裂した際には歩けなくなります。基本的に、発症時は歩かせてはいけないのですが、時間が経つと歩くことができるケースも少なくなく、つま先立ちができなくなるのが特徴です。 アキレス腱炎と同様、運動時に発症することが多いのですが、運動時でも特に、ダッシュをしたり、ジャンプを繰り返す、踏み込みといった動作で発生する傾向にあります。 まとめ・アキレス腱炎、安静にしても治らないのなら、他の病気の可能性! アキレス腱炎だと思っていたにも関わらず、歩けない状態であったり、歩けないほど痛みがあったりする場合は、他のアキレス腱の病気が隠れているかもしれません。 今回は、アキレス腱の痛みの代表的な病気を紹介しましたが、これらの他にもさまざまな病気が隠されているかもしれません。歩けなくなったり、歩けないほどの痛みが続いたりする場合は、早めに医療機関、病院等で受診されることをお勧めします。 以上、アキレス腱炎で歩けないほど痛い場合は、他の病気の可能性も疑うべき、とのテーマで記載させて頂きました。 監修:リペセルクリニック大阪院
最終更新日:2022.11.23 -
- アキレス腱
アキレス腱炎はスポーツ以外にも日常生活においても発症する アキレス腱炎は、スポーツをする人や運動選手に多く見られる症状です。では、スポーツをしていない人はアキレス腱炎を発症しないのでしょうか。 今回は、いつもの日常生活を送る中でもアキレス腱炎は発症するのかどうかについて紹介します。 アキレス腱炎は日常生活の中でも発症します! 激しいスポーツをする人に多く見られるアキレス腱炎ですが、実は、あまりスポーツをあまりしない人でもアキレス腱炎を発症することがあります。 アキレス腱炎を発症する原因は、アキレス腱に強い負担をかけることで起こるのですが、アキレス腱の柔軟性が低いと、より発生頻度が高くなります。 アキレス腱の柔軟性が低下しているにも関わらず、日常生活において同じ動作を繰り返していると、運動をしていなくてもアキレス腱炎を発症してしまうのです。 アキレス腱炎が日常生活で発症するリスクが高いのは中高年 若い人のアキレス腱炎の原因は、運動をしすぎることやアキレス腱に負荷を与え無理をすることなのですが、中高年の場合はアキレス腱の老化が原因のケースが多いです。 しばらく椅子に座って作業をした後などに、歩き始めようとするとアキレス腱が痛むこと場あります。このような日常生活の動作においてもアキレス腱炎をアキレス腱が痛むことがあるのです。 アキレス腱はコラーゲン線維からできているので、年齢を重ねると柔軟性がなくなって固くなります。そのため腱に小さな傷が入り、痛みが生じるわけです。 このアキレス腱炎の状態で運動を続けると、アキレス腱断裂になることもあるので、日常生活の動作でアキレス腱に痛みが生じる場合は要注意です。 アキレス腱炎を発症、日常生活で気を付けること アキレス腱炎を発症すると、さまざまな保存療法でアキレス腱炎の治療を行います。その中でも、日常生活で気を付けることとしておすすめなのが、靴の履き方です。 靴は、かかとの高いものを履くか、インソールやヒールウェッジなどを靴底に入れ、かかとを高くして履くと、アキレス腱の緊張が緩んで痛みを緩和する効果が期待できます。 アキレス腱炎は安静が必要と言われていますが、日常生活を送る上で歩くことは必要なので、アキレス腱に負担をかけないためにも、靴の履き方に注意してみてください。 まとめ・アキレス腱炎はスポーツ以外にも日常生活においても発症する 基本的にアキレス腱炎は、運動による負担によって発症することが殆どです。だからといって安心していてはいけません。特に中高年は、アキレス腱の老化でアキレス腱炎を発症するリスクが高いので、日常生活でアキレス腱に痛みが生じる場合は注意が必要です。 運動をしない人がアキレス腱炎を発症したら、靴にインソールやヒールウェッジなどを入れて、日常生活の歩行からアキレス腱に負担をかけないように注意してみてくださいね。 監修:リペアセルクリニック大阪院 ▼こちらもご参照ください
最終更新日:2024.03.06 -
- アキレス腱
アキレス腱炎が慢性化してなかなか治らない場合の治療法 アキレス腱炎は、保存療法によって痛みが改善することが殆どです。しかし、中にはアキレス腱炎がなかなか治らない人もいます。痛みや違和感を抱えたままではスポーツができない、生活に支障をきたすということもありますよね。 では、アキレス腱炎が治らなかったらどうすればいいのでしょうか。そもそもなぜ、アキレス腱炎が治る人、治らない人がいるのでしょうか。 アキレス腱炎が治らない? 保存療法で治ると言われているアキレス腱炎ですが、中には治らない人もいます。では、アキレス腱炎が治らない人は、なぜ治らないのでしょうか。 症状が軽いアキレス腱炎なら保存療法でも数週間で治すことができるのですが、重症となると、簡単に治らないのです。 スポーツを休んで治療をしているにも関わらず治らない場合は、今の治療のアプローチが誤っている可能性が高いです。 また、繰り返される負担でアキレス腱炎は発症するので、一度治ったとしても、また同じように負担をかけていると再発し、なかなか治りません。 40歳以上の方は、運動をしていなくてもアキレス腱炎になることがあります。これは、年齢を重ねることによって血管が増えてしまうことが原因です。 血管が増えると神経線維も一緒に増えるので、痛みが生じてしまいます。このような原因だとアキレス腱炎はなかなか治りません。 重症のアキレス腱炎はなかなか治らない 重症のアキレス腱炎ほどなかなか治らないわけですが、どのような症状だと重症なのでしょうか。「Blazina」という、膝蓋腱炎の重症度分類がるのですが、これをアキレス腱炎に当てはめることができます。 分類は以下の通りです。 (Ⅰ度)運動開始時のみ痛みがある (Ⅱ度)運動開始時に痛みがあり、動いている間に消失するが時間経過につれて再び痛みが出る (Ⅲ度)運動中は常に痛みが消えない ※Ⅰ度は軽度で、Ⅱ度、Ⅲ度と重症度が高くなり、アキレス腱炎もなかなか治らないのです。 アキレス腱炎が治らない場合はどうするか 重症度の高いアキレス腱炎は、数ヶ月の保存療法を経ても治らない場合があります。そのような場合は、手術療法という選択肢があります。 手術療法とは、アキレス腱周辺の癒着を剥離したり、硬くなった組織の切除をしたりする外科的アプローチです。医療機関を受診し、適切な助言を受けて判断しましょう。いずれにしろ重症化する前、「治るだろう」と放置せず早期に受診されることをお勧めします。 まとめ・アキレス腱炎が慢性化してなかなか治らない場合の治療法 軽症のアキレス腱炎であれば保存療法で治るのですが、重症化するとなかなかアキレス腱炎を治すことができません。また、負担を掛け続けると再発することがあり、加齢によっても治りにくくなることがあります。 数ヶ月の保存療法でも治らない場合は、手術療法という治療方法もあるので、医師と相談の上、アキレス腱炎の治療方法を検討してみてくださいね。 監修:院長 坂本貞範 ▼こちらもご参照ください
最終更新日:2022.11.16 -
- アキレス腱
アキレス腱炎のリハビリテーションにはメディカルとスポーツがある アキレス腱炎になると、痛みや炎症でスポーツをすることが難しくなります。それだけでなく日常生活まで支障をきたすことがあります。 普段通りの日常生活が送れるように、またスポーツが再開できるように、アキレス腱炎もリハビリテーションを取り入れることで早期に回復を目指せます。 では、アキレス腱炎のリハビリテーションとはどのようなものなのでしょうか。 アキレス腱炎のリハビリテーションはどこでできる アキレス腱炎のリハビリをしたい場合、どこに行けばリハビリテーションを受けられるのでしょうか。アキレス腱炎のリハビリテーションが行われているのは以下の通りです。 ・リハビリテーション科 ・整骨院 ・整形外科 ・鍼灸院 アキレス腱炎のリハビリテーションを受けたい方は、上記の診療科をお訪ねください。 アキレス腱炎のリハビリテーションの種類 アキレス腱炎だけでなく、他の症状にも言えることですが、リハビリテーションには主に2種類のリハビリテーションがあります。 まず1つ目が「メディカルリハビリテーション」です。メディカルリハビリテーションは、怪我をしてから日常生活が正常に送れるようになるまでの機能回復訓練のことです。 もう1つが「スポーツリハビリテーション」で、怪我をしてからスポーツができるようになるまでの機能回復訓練です。 アキレス腱炎の場合、スポーツが原因で発症することが多いので、メディカルリハビリテーションだけでは不十分なため、スポーツリハビリテーションで、できるだけ早くスポーツに復帰することを目指します。 メディカルリハビリテーション:怪我から日常生活が正常に送れるようになるまでの機能回復訓練 スポーツリハビリテーション:怪我をしてからスポーツができるようになるまでの機能回復訓練 アキレス腱炎のスポーツリハビリテーションの内容 アキレス腱炎をはじめとしたスポーツリハビリテーションの内容と流れは以下の通りです。このような内容と流れで、アキレス腱炎の痛みを取り、再発を防止しながらスポーツが再開できるようにリハビリテーションが行われます。 ・炎症の除去 ・可動域の改善 ・筋力回復・向上 ・バランス能力向上 ・全身運動の運動性 ・競技における動作の習得 まとめ・アキレス腱炎のリハビリテーションにはメディカルとスポーツがある アキレス腱炎のリハビリテーションは、整形外科や整骨院、鍼灸院といったアキレス腱炎の専門性が高い診療科や、リハビリテーションを専門としているところで受けることができます。 炎症の除去から始まり、最終的には運動が再開でき、競技に復帰することを目的にリハビリテーションのメニューが組まれます。 アキレス腱炎はスポーツをしている人に多く見られる症状のため、メディカルリハビリテーションだけでなく、スポーツリハビリテーションを受けてスポーツの再開を目指す人が多いですよ。 監修:リペアセルクリニック大阪院 こちらもご参照ください
最終更新日:2024.03.01 -
- アキレス腱
アキレス腱に繰り返し負担をかけることが原因で発症するアキレス腱炎ですが、一時的に痛みが治まっても再発することが多々あります。 再発しやすいアキレス腱炎が慢性化してしまうと、治療が難しくなりますから、やはり再発は予防すべきです。 では、どうすればアキレス腱炎の再発を防ぐことができるのでしょうか。アキレス腱炎の再発防止策をご紹介します。 こちらもご参照ください なぜアキレス腱炎は再発するのか? アキレス腱炎が発症する原因は、長時間のランニングなどによる摩擦や連続したジャンプ動作によるアキレス腱への過度のストレス、アキレス腱の緊張などが挙げられます。 これらの原因は、スポーツによるものが主で痛みが治まればスポーツ復帰を果たす人も多いです。 ただ、一時的に痛みが治まったと思い込み、多少の痛みがあっても無理をしてスポーツを続けると、アキレス腱炎は再発しやすくなりますし、慢性化してしまいます。 アキレス腱炎の再発を予防する方法 アキレス腱炎を慢性化させてしまうと良くありませんから、以下のことに気を付けてしっかり再発を予防してください。 運動前の心掛け アキレス腱は、ふくらはぎの筋肉とかかとの骨を結ぶ腱です。 ですから、アキレス腱炎の再発を予防するためには、過度な運動でふくらはぎの筋肉を酷使しないことが大切です。 また、運動前にふくらはぎの筋肉のストレッチを入念に行い、筋肉の柔軟性を高めておくと再発を予防することができます。 運動後の心掛け 運動前にアキレス腱を酷使しないようにしたり、ストレッチをしたりすることだけでなく、運動後のケアもとても重要です。 運動が終わった後に、使った筋肉のアイシングを行うことで、炎症を早く鎮めて再発を予防することができます。 痛みがある時は運動を休む 運動をした翌日、アキレス腱に痛みが残っている時は運動するのを休んで別メニューを行うようにしましょう。 アキレス腱の痛みが残っているにも関わらず運動を続けると、アキレス腱炎が再発してしまいます。 アキレス腱炎の原因は過剰な運動にあるので、再発を予防するためにも運動量を見直し、痛みがある時は運動を休むようにしてください。 まとめ そもそもアキレス腱炎は、運動によって足に負担をかけることで生じます。 ですから、アキレス腱炎の再発を予防するための最善策は、運動をしないということです。しかし、スポーツをしている人はそう簡単に運動をしないというわけにはいきませんよね。 でも、痛みがある時は運動を休みましょう。 痛みがない時も運動前後の心掛けによって、アキレス腱炎の再発を予防することができるので、ストレッチやアイシングを取り入れながら、アキレス腱に負担をかけすぎないように努めてみてくださいね。
最終更新日:2024.03.04 -
- アキレス腱
アキレス腱炎の具体的な治療法!安静から回復に向けて アキレス腱炎とは、アキレス腱に炎症が起きている状態のことで、スポーツなどでアキレス腱に負担が繰り返してかかることが原因で発症します。万が一アキレス腱炎になった場合、どのような治療が行われるのでしょうか。 今回は、アキレス腱炎の治療方法について紹介します。 アキレス腱炎の治療 アキレス腱炎は、具体的な治療が必要になることも多いですが、まずは炎症を起こしている足を休めることが第一です。その後、必要に応じて薬などを用いる方法などで治療をしていきます。 まず運動を中止し、患部の安静を心がける アキレス腱炎の最初の治療は、運動を中止することです。運動とはスポーツもそうですが、走ったり自転車をこいだりするような日常生活における運動を控えることも重要になってきます。 歩行や日常生活の動作で痛みがなくなれば、運動を再開してもいいのですが、急に強い負荷をかけるような運動を急にしないようにしてくださいね。まずは安静が大切です。 薬を使って治療する 運動を中止しても痛みが治まらない時は、薬を用いた治療を行います。湿布などの外用剤や非ステロイド系抗炎症薬、消炎鎮痛剤を内服します。炎症を抑えるのに優れたステロイド剤は、数回打つと腱が弱くなって断裂するリスクがあるため、あまりおすすめはできません。 靴にパッドを入れる アキレス腱炎が治りにくいと診断された場合は、かかとの部分を高くした中敷きを使ったり、靴底が柔軟なシューズを選んだりして、アキレス腱の緊張を緩めてかかとを安定させる方法を取り入れます。 ストレッチをする アキレス腱炎に効果的なのが、エキセントリックストレッチングです。階段や台など段差のあるところで、痛みがある足の先を段差にかけ、かかとをゆっくりと降ろしアキレス腱を伸ばします。 我慢できる程度の痛みの範囲で15秒ほど行い、これを3回1セットで1日2セット行います。最低でも2週間は続けましょう。 手術をする なかなかアキレス腱炎が治らない場合は手術を行います。変性した腱や骨棘を取る手術で、腱が少なくなってしまうケースでは、他の筋腱で補強をします。痛みの出ている組織を除去するので、一定の効果が得られるはずなのですが、あまり良い成績は出ていないのが現状です。 まとめ・アキレス腱炎の具体的な治療法!安静から回復に向けて アキレス腱炎の治療方法は、運動を中止したりストレッチをしたり、靴にパッドを入れる、薬を使うなど、基本的には保存療法が中心です。保存療法でアキレス腱絵の痛みが改善することが殆どですが、なかなか痛みが取れない場合は手術を検討します。 ただし、手術はリスクやデメリットもあります。 いずれにしても、アキレス腱に痛みがあるときは、まずは足をなるべく休めるようにし、早めに医療機関を受診して医師と相談した上、アキレス腱炎の症状に合った治療の方法を決定するようにしてください。 以上、アキレス腱炎の治療について!湿布から重症な場合の手術まで解説と題して解説させて頂きました。 監修:リペアセルクリニック大阪院 院長 坂本貞範
最終更新日:2023.04.17 -
- 糖尿病
糖尿病で失明する原因を知る|そうならない為の予防方法も紹介 糖尿病は進行するとかすみ目など『目』に異常が現れることがあり、重症化すると視力低下や失明に至ることがあります。 この記事では糖尿病によって失明する原因や失明を予防する方法について解説します。 糖尿病で失明する原因は糖尿病網膜症 糖尿病は高血糖状態が続く病気です。糖尿病は初期段階では自覚症状がほとんど現れませんが、進行するとさまざまな合併症を招くことがあります。 特に糖尿病に合併しやすい症状には糖尿病網膜症、糖尿病神経障害、糖尿病性腎症の3つがあり、糖尿病の3大合併症と呼ばれています。特に、糖尿病網膜症は日本人の失明原因の上位の疾患になります。 なぜ糖尿病網膜症になるのか 網膜は、カメラでいえばフィルムにあたるもので、眼底一面に広がる膜状の組織のことをいいます。そもそも、なぜ糖尿病を発症すると糖尿病網膜症を合併するのでしょうか。 糖尿病網膜症になる原因や症状、治療法や症状が回復する可能性、糖尿病網膜症で失明する確率などについて詳しく見ていきます。 糖尿病網膜症の原因 糖尿病は高血糖状態が続く病気です。高血糖状態が続くと血管が傷つくため血流が悪くなります。糖尿病では特に毛細血管などの細小血管が傷つきやすいため、毛細血管の多い部位に障害が起こりやすくなります。 網膜には目に酸素を運ぶための毛細血管が張り巡らされているため、高血糖によって血流が悪くなると網膜に酸素が行き届かなくなったり、血管が脆くなるため血管が破れて出血が起こることがあります。 このように、網膜にさまざまな障害が起こることで糖尿病網膜症を引き起こしてしまいます。 糖尿病網膜症の症状 糖尿病網膜症は進行度によって以下の3つの段階にわけられ、症状も段階ごとに異なります。 ・単純糖尿病網膜症 ・増殖前糖尿病網膜症 ・増殖糖尿病網膜症 単純糖尿病網膜症 単純糖尿病網膜症は初期の糖尿病網膜症です。最初は毛細血管瘤や小さな眼底出血などの異常が現れます。また、脂肪やたんぱく質が血管から漏れることで網膜に硬性白斑と呼ばれるシミが現れることもあります。自覚症状はほとんどありませんが、血糖コントロールを行うことで改善することもあります。 増殖前糖尿病網膜症 増殖前糖尿病網膜症は単純網膜症より進行した状態です。 網膜血管の閉塞が広範囲におよぶと網膜に酸素が十分に行き渡らなくなります。このとき不足した酸素を供給するために新生血管と呼ばれる新しい血管が作られ始めます。 この段階になると、かすみ目などの症状が現れることが多くなりますが、自覚症状がないこともあります。 増殖糖尿病網膜症 増殖糖尿病網膜症は糖尿病網膜症のなかでも重症化した状態のことをいいます。 不足した酸素を供給するために作られた新生血管は硝子体(眼球のなかのゼリー状の組織)や網膜に向かって伸びていきます。 新生血管はもろく破れやすいため、新生血管の壁が破れることで血液中の成分が漏れ出したり硝子体出血が起こります。硝子体出血が起こると飛蚊症や急激な視力低下を招きます。 また、増殖膜(増殖組織)と呼ばれる膜が網膜や硝子体内に形成されると、増殖膜の収縮によって網膜を引っ張ってしまい、網膜剥離を起こすことがあります。 糖尿病網膜症の治療 糖尿病網膜症は症状によって治療法が異なります。糖尿病網膜症の治療法には以下の3つがあります。 1,血糖コントロール 2,レーザー治療(網膜光凝固術) 3,硝子体手術 それぞれについて以下で詳しく見ていきます。 1,血糖コントロール 糖尿病網膜症は糖尿病が原因で起こります。したがって、まずは血糖コントロールを行い、糖尿病の治療を行うことが大切になります。単純糖尿病網膜症などの初期段階の網膜症であれば血糖コントロールによって進行を食い止めることも期待できます。 こちらも併せてご参照ください 2,レーザー治療(網膜光凝固術) 単純糖尿病網膜症から症状が進行すると新生血管が作られ始めます。そのためレーザー照射によって網膜光凝固術を行うことで新生血管の発生を抑えることになります。 レーザー照射による網膜光凝固術は糖尿病網膜症の進行を抑えて失明を防ぐために必要な治療になります。 3,硝子体手術 レーザー治療を行っても効果が出ない場合や網膜症が進行してしまった場合、急激に視力が低下した場合は硝子体手術を行います。硝子体手術は眼球に小さな孔を開け、手術器具やライトなどを入れて出血によって濁った硝子体や増殖膜を取り除く方法です。 症状が回復する可能性 血糖コントロールやレーザー治療、硝子体手術といった治療はあくまで進行を抑えるものです。 糖尿病網膜症は進行を遅らせることはできても機能を元に戻すことはできません。したがって、糖尿病網膜症を発症しないための予防法が大切になります。 糖尿病網膜症の予防方法については後述します。 糖尿病網膜症で失明する確率 糖尿病が進行して糖尿病網膜症を発症した場合、失明する確率は全糖尿病患者のうち20%程度といわれています。 糖尿病網膜症は糖尿病発症後10年ほど経過してから症状が現れるといわれています。そのため、定期的に眼底検査などの検査を受け、早い段階で治療に取り組むことが失明を回避するうえで大切になります。 失明しないための予防方法 糖尿病発症後、早い段階で治療を行えば糖尿病網膜症の発症を予防でき、発症した場合であっても重症化を抑えることができます。 糖尿病網膜症の予防方法と重症化を抑える方法について以下で詳しく見ていきます。 糖尿病網膜症の発症予防 そもそも糖尿病を発症しなければ糖尿病網膜症を引き起こすことはありません。したがって、まずは糖尿病を予防することが重要です。 糖尿病は体質などの遺伝的要素と食生活などの生活習慣が組み合わさることで発症するといわれています。ですから、糖尿病を発症する前に生活習慣の改善に努めることで糖尿病の発症リスクを減らすことができます。糖尿病を予防するには以下のポイントを押さえることが有効です。 ・食事は腹八分目で止める ・野菜をたくさん食べる ・定期的に運動をする ・禁煙する ・定期的に健康診断を受ける ・体重をきちんと管理する(太らないように) 糖尿病網膜症の重症化予防 糖尿病網膜症を発症した場合は重症化を防ぐことが重要です。糖尿病網膜症の重症化を防ぐには4つのポイントがあります。 ・積極的に血糖コントロールを行う ・積極的に血圧コントロールを行う ・糖尿病腎症の発症を予防する ・脂質代謝異常の治療薬を用いる 積極的に血糖コントロールを行う 血糖コントロールが悪いと糖尿病網膜症が重症化しやすいといわれています。網膜症の重症化を抑えるためにも血糖コントロールを徹底することが大切になります。 積極的に血圧コントロールを行う 糖尿病網膜症は高血糖だけでなく、高血圧によっても進行するといわれています。また、高血圧はそれ自体が高血圧性網膜症と呼ばれる症状の原因になります。そのため、降圧剤などを用いて血圧をコントロールすることも大切になります。 糖尿病腎症の発症を予防する 糖尿病の合併症の1つである糖尿病性腎症は初期段階で微量のアルブミン尿の排泄が見られます。アルブミン尿は糖尿病網膜症を進行させる因子ともいわれているため、血糖値や血圧を適切にコントロールすること腎症と併せて治療を行うことが大切です。 脂質代謝異常の治療薬を用いる 中性脂肪を下げるフェノフィブラートなどのフィブラート系と呼ばれる薬は糖尿病網膜症の重症化を抑えるといわれています。 まとめ 糖尿病によって失明する原因や失明を予防する方法について説明しました。 糖尿病網膜症は進行を抑えることはできても、元の健康な状態に戻すことはできない病気です。また糖尿病は初期段階では自覚症状がほとんど現れないため、糖尿病を発症していることに気付かないこともあります。 糖尿病による失明を防ぐためには、糖尿病を予防し、定期的に健診を受けて早期発見をすることが何より大切です。不安な点がある場合は医師に相談すると良いでしょう。 監修:院長 坂本貞範 糖尿病について詳しく知りたい方は、こちらもご覧ください。
最終更新日:2022.10.08 -
- 糖尿病
糖尿病と診断されてから不安や憂鬱な気持ちが続く…これってうつ病? 糖尿病治療を続けていると精神的に不安定になることがあります。一見、糖尿病とうつは関係がないように思えますが、実は糖尿病患者はうつ病になりやすいといわれています。 この記事では糖尿病によってうつ病を発症しやすくなる理由や改善方法について説明します。 うつ病とは うつ病は心の病といわれていますが、糖尿病とも深い関わりがあります。うつ病の特徴と原因について見ていきます。 うつ病の特徴と原因 うつ病は生活環境やものの考え方、日常生活で生じたストレスなどが組み合わさることで発症するといわれています。必ずしも悲しい出来事だけでうつ病を発症するわけではなく、明るい出来事がきっかけで発症するケースもあります。 例えば結婚や昇進といったイベントは周りからすると喜ばしいことに思えますよね。しかし、こういった環境の変化はその人の捉え方によって不安やストレスになることもありますよね。このように、どのような環境の変化であっても人によってはストレスとなることがあるのです。 一方、脳内ではさまざまな神経伝達物質が働くことで情報伝達が行われています。 これらの神経伝達物質のなかでも特にノルアドレナリンやセロトニン、ドパミンの3種類のモノアミンと呼ばれる物質がうつ病治療において重要であるといわれています。 うつ病は過労やストレスなどによってこれらのモノアミンが減少することで発症すると考えられています。 うつ病の症状 うつ病は精神的な症状だけでなく、肉体的な症状が現れることもあります。 精神的な症状 うつ病の精神的な症状には以下のようなものがあります。 ・抑うつ気分 ・不安 ・焦り ・興味または喜びの喪失 ・意欲の低下 ・自分を責める など 肉体的な症状 うつ病の肉体的な症状には以下のようなものがあります。 ・睡眠障害 ・食欲の減退 ・疲労感・倦怠感 ・動悸 ・口が渇く など 糖尿病患者はうつ病になりやすい 糖尿病患者はうつ病を発症しやすいといわれています。糖尿病を発症するとなぜうつ病になりやすいか、またうつ病と糖尿病にどういう関係性があるのかを見ていきます。 糖尿病患者がうつ病になる原因 これまで、糖尿病患者がうつ病になりやすいのは以下のようなことが原因と考えられてきました。 ・糖尿病と診断されること ・治療のため、これまでの生活習慣を変えなければならない ・インスリン治療が苦痛 ・合併症の発症・進行などに伴う苦痛 しかし、最近は上記以外にも糖尿病とうつ病にはさまざまな因子が関係しているともいわれています。これについては次項で説明します。 糖尿病とうつ病の関連性 うつ病は生活環境や物事に対する考え方、日常生活で生じたストレスなどが組み合わさることで発症するといわれています。 糖尿病患者の方は、上記のような日常的なストレスだけでなく、「糖尿病と診断されたこと」や糖尿病治療(血糖コントロール)に伴う精神的なストレス、さらに血糖値を上げるホルモンの分泌量が増えることでうつ病を発症しやすくなるといわれています。 さらに、うつ病と糖尿病はどちらもストレスが発症原因になるという共通項があります。また、うつ病の人は夜食や間食が多く、運動不足であることが多いということもわかっています。 このようにうつ病患者と糖尿病患者には生活習慣に共通した項目が多いこともわかっています。糖尿病患者の方がうつ病になると何が問題になるのでしょうか。 うつ病は肉体的な症状が出ることがあります。例えば、うつ病を発症すると自律神経やホルモン分泌などさまざまな機能に影響が出ることがあります。 糖尿病はインスリンという血糖値を下げるホルモンの作用不足で起こるといわれています。したがって、うつ病によってホルモン分泌に影響が生じるとインスリンの作用不足が生じることがあるのです。 また、うつ病は集中力や意欲が低下することがあります。そのため、医師の指示通りに服薬したり、通院を続けることが難しくなり、治療が難しくなることがあるのです。 糖尿病患者のうつ病の改善・予防方法 糖尿病患者がうつ病を発症した場合、うつ病の治療と糖尿病治療を併せて行うことになります。 糖尿病治療は自己管理が必要なうえ、ストレスを抱えやすくなります。一方、うつ病のようにメンタル面に問題を抱えていると糖尿病を悪化させる原因になります。したがって、うつ病と糖尿病は同時に治療を進めていく必要があるのです。 糖尿病患者がうつ病を発症した場合、精神科や心療内科での抗うつ剤による投薬治療や認知行動療法などの心理学的なアプローチによる治療、あるいはその両方を併用した治療を行います。 糖尿病患者の方のなかには「精神科を受診するのはハードルが高い」と感じている人も少なくありません。 しかし、精神的に健康であることは糖尿病にとっても重要です。そのため医師の指示に従い、適切に受診することが大切になります。 さらに、糖尿病の治療は食事や投薬などの自己管理が非常に重要になります。しかし、うつ病を患っていると自己管理がうまくできないことがあります。 自己管理がうまくできなくなると、自分を責めてしまい、うつ病が悪化する悪循環を招く可能性もあります。 このようなケースでは、家族や周囲の協力を得ることで、血糖コントロールがうまくいくだけでなく、患者の方も精神的に楽になります。 家族や身近な人に糖尿病患者の方がいる場合、糖尿病やうつ病に対してネガティブな情報ばかりを提供したり、暗い顔で接するようなことは絶対にやめましょう。 いつもと変わらない態度で前向きに治療に取り組むことがうつ病の発症を予防し、糖尿病の改善にもつながります。 まとめ 糖尿病とうつ病の関係性や改善方法について説明しました。 糖尿病患者の方はうつ病を発症しやすい傾向があります。しかし、不安や悩みを1人で抱え込まず、周りの協力を得ながら前向きに治療に取り組むことがうつ病を予防し、糖尿病の治療にもつながります。 糖尿病を治療するにあたって悩みがある場合は医師に相談するのもその1つです。わからないことや不安なことがあればすぐに医師の診察を受けることが大切です。 監修:院長 坂本貞範
最終更新日:2022.09.21 -
- 靭帯損傷
- ひざ関節
前十字靭帯断裂は手術をすれば復帰ができる ひざの内部に位置し、太ももの骨(大腿骨)とすねの骨(脛骨)をつなぎとめるているのが前十字靭帯ですが、何かの拍子でこの靭帯が断裂した後、できることなら手術しないで治したいと思う方も多いと思います。 しかし、前十字靭帯断裂は手術しないで治すことができるのでしょうか? 手術しないと生活の質が悪化の一途をたどる前十字靭帯断裂 前十字靭帯断裂は大腿骨と脛骨をつなぎとめ、ひざの可動域を制御して、スムーズな歩行・運動をするための大切な靭帯です。サッカーやバスケットボールなどでひざがねじれた状態で着地し、体重が強くかかったときこの靭帯が断裂することがあります。 前十字靭帯断裂後には腫れと痛みが出ますが、「何とか我慢できるから病院に行かなくていいや」とそのまま放っておくとやがて腫れと痛みが軽減します。痛みが軽減するので、一見治ってきたように思えるかもしれませんが、実はそうではありません。 その後の生活でひざがうまく使えず、ひざがずれるような感じや、ひざがガクッと外れるような感じを頻繁に経験するようになり、この状態がずっと続きます。 ひざの可動域が低下するので立ち仕事やスポーツをする人はとくに不便さ、不快さを感じますし、関節内の半月板や軟骨への負荷が強くなることで、これらの部位が損傷してしまう可能性が非常に高まります。 そうなると痛みは強まりますし、日常の身体活動で生じるストレスがどんどん強まっていきます。 前十字靭帯断裂は手術しないでいると永久に治らない 断裂した前十字靭帯は放置しておいても、そのうちつながる…ということはありません。残念ながらそこまで私たちの身体は都合よくできていないのです。完全に断裂した靭帯はもうつながってくれません。 では切れた靭帯同士をつなぎ合わせる手術すれば元のように動くのでしょうか?実は、つなぎ合わせる手術をしても靭帯は以前のようには動いてくれないのです。 しかし、なす術がないということではありません。身体の一部を切り取って新しい靭帯を作ることができます。新しい靭帯になることができるのは半腱様筋腱というひざの内側にある腱、もしくは膝蓋腱というひざの前方にある腱です。 断裂した前十字靭帯を除去した後、大腿骨と脛骨それぞれ前十字靭帯のあった場所に穴を開け、それぞれの穴に切り取った一本の腱を詰めて固定します。つなぎ合わせた腱は始めのうちは身体から分離しているので血液を介する栄養補給ができず細胞が壊死し、弱くなります。 ただ、1ヶ月程度で骨と腱をつなぐ血管ができ、半年後には靭帯としての役割を担えるようになってきます。理学療法士の指導を受けながらリハビリを行い、移植手術を受けたほとんどの人は8~10カ月程度でスポーツができるレベルにまで回復します。 ですから、前十字靭帯断裂の場合は手術しないで放置することはせず、信頼できる医師に手術をしてもらって、しっかり治すようにしてくださいね。 まとめ・前十字靭帯断裂は手術をすれば復帰ができる 前十字靭帯断裂は手術しないで放置しておくと、治るどころか、どんどん他の部位にまで負担と損傷を広げてしまいます。結果、生活の質を悪化させていくことになってしまいます。 しかし、前十字靭帯断裂は手術をすればほとんどの場合、スポーツができるほど復活できます。一時的に治療・リハビリでスポーツを休むことになってしまうとは思いますが、早く治療をしてきちんと治す!ということを検討したほうが賢明でしょう。 こちらも併せてご参照ください 監修:院長 坂本貞範
最終更新日:2024.01.29 -
- 靭帯損傷
- ひざ関節
サッカーでよくみられる前十字靭帯断裂は放置で重症化!手術が正解 サッカーのプレイ中、相手からのスライディングタックルなどを受けて不自然な態勢で転倒したとき、太ももとすねをつなぐ前十字靭帯が断裂してしまう「けが」発生することがあります。 プロのサッカー選手にも前十字靭帯断裂はたびたび見られ、復帰には長期間の休養を余儀なくされてしまいます。こちらの記事では、そんな前十字靭帯断裂について詳しく見ていきたいと思います。 サッカーで「前十字靭帯断裂」が起こる理由 サッカーは、前十字靭帯断裂を非常に起こしやすいスポーツです。ヘディングをするために高く跳んだり、相手からのチャージを受けてもつれたりして、ひざがねじれた状態で片足着地したとき、着地した足で前十字靭帯断裂が起こりやすくなります。 またスライディングタックルを受け、足元をすくわれ、ひざが内側にねじれた状態で倒れたときもねじれた足に前十字靭帯断裂が起こることがあります。前十字靭帯断裂を起こした人の多くは、「ケガする瞬間、身体の中からブチっと切れた音が聞こえた」といった言い方をします。 断裂した直後、ヒザが支えを失うのでぐらぐらした感覚を覚え、数時間後にはひざが大きく腫れだし、痛みが出てきます。痛みはしばらくするとおさまりますが、ひざをひねるときや、止まろうとしたときに、ひざが外れるような不安定な感覚がいつも付きまとうようになります。 サッカーで多い前十字靭帯断裂は放置ではならない 前十字靭帯断裂は生活の質を大きく低下させてしまう重大な負傷です。 ひざが腫れて熱を持ち、痛みが長く続きます。また動くたびにひざが抜けるような感じがして思うように動けずストレスが大きくなっていきます。 前十字靭帯はひざの可動域を調節する大切な靭帯です。断裂を放置しておくと半月板や軟骨に強い負担がかかってしまい、これらの部位まで損傷を生じる可能性が高くなります。 残念なことに「前十字靭帯が断裂した場合、自然に治ることはありません」 もし、サッカーなどで前十字靭帯断裂になったらすぐに手術を受けるようにしましょう。 前十字靭帯断裂の手術というと、「前十字靭帯を断裂した場合、切れた靭帯同士をつなぎ合わせればいいんでしょ」と考えた人がいるかもしれません。これも残念なことなのですが、切れた前十字靭帯同士をつないでももう元のように機能しないのです。 ですから、前十字靭帯断裂の場合、ひざ内部の腱(半腱様筋腱)やひざ前方の腱(膝蓋腱)を切り取って移植して新しい靭帯を作る手術を行うのです。手術後すぐはケガする前のように自由にグラウンドを走り回って、サッカーを楽しむことはできません。 新しい靭帯に血が通い、身体の一部として定着して靭帯の機能を持つようになるまで、じっくりとリハビリを続けていく必要があります。前十字靭帯断裂で再建手術をしたサッカー選手は、たいていの場合、復帰まで1年近く時間を要しています。 まとめ・サッカーでよくみられる前十字靭帯断裂は放置で重症化!手術が正解 サッカーではプレイ中、不自然な状態で地面に着地するケースが多く、それと比例するように前十字靭帯断裂が起こりやすくなります。もしも前十字靭帯断裂になったらすぐに靭帯の再建手術を受けるようにしましょう。 放置しておくと半月板や軟骨など他の部位に強い負担がかかり、痛みをさらに広げてしまいかねませんし、思うように動けないストレスで日々の生活が楽しめなくなってしまいます。 じっくりとリハビリをしながら新しい靭帯をきちんと体の一部にしてまた元気にピッチに戻りましょうね。 監修:リペアセルクリニック大阪院 ▼こちらも併せてご参照ください
最終更新日:2022.12.22 -
- 靭帯損傷
- ひざ関節
スポーツに多い前十字靭帯断裂!一般人が発症した場合の対処法 前十字靭帯断裂は、バスケットボールやサッカーなどの激しい動きをするスポーツをする人で特によく見られます。 前十字靭帯とは、ひざの位置にあって太ももとすねをつないでいる靭帯のことで、前十字靭帯断裂というケガをすると当然痛いですし、思うように足を動かせないストレスに悩まされます。 深刻なのは立ち仕事をしている人が前十字靭帯断裂をしてしまうケース。日常生活にも支障をきたしてしまいます。 こちらでは、立ち仕事の人が前十字靭帯断裂というケガをしてしまった時にはどうすべきなのか、対処すればよいのかご紹介します。 前十字靭帯断裂を起こすと一般人の場合、どんな影響を及ぼす? ひざの前十字靭帯は後十字靭帯とともに太ももとすねの骨をつなぐ靭帯です。 前十字靭帯には、すねの骨が前に行き過ぎないように抑えたり、太ももをひねったときに回転し過ぎないように抑える役割もあります。 つまり前十字靭帯はひざの可動域を適度に保つ役割を常に果たしているのです。 前十字靭帯断裂すると、ひざが腫れて痛いですし、ひざが思うように動かせなくてとても憂うつな気分になります。 こんな場合一般人、中でも「立ち仕事」をしている人は普段、業務の中でたえずひざを複雑に動かしているだけに前十字靭帯断裂をしてしまったらたいへん不快で不便な思いをすることになります。 ひざを動かすたびに痛みが走りますし、ひざ関節の動きが不安定になり、仕事だけでなく、生活の質を大きく落としてしまうことになります。 前十字靭帯断裂を発症!立ち仕事に就いてるなら早めの手術を検討しよう 立ち仕事の人が前十字靭帯を断裂すると絶えず痛みとストレスに悩まされます。 痛みは次第に引いていきますが、断裂した前十字靭帯は自然につながることはありませんし、思うように動かせないストレスはずっと続きます。 放置しておくと半月板や軟骨の損傷へと波及する恐れもあります、日々の立ち仕事にも悪影響が及ぶでしょう。 ですから、前十字靭帯断裂の場合は、早めに手術を検討するべきです。 そうしないと、痛みと不便さによるストレスで気持ちまで滅入ってしまうでしょう。 まとめ・スポーツに多い前十字靭帯断裂!一般人が発症した場合の対処法 立ち仕事をしている人が前十字靭帯断裂をしたときのストレスは相当なものです。 我慢していればそのうち治るだろうと思っていたら大間違いで、一度切れた前十字靭帯はもうつながってくれないのです。 前十字靭帯断裂と分かったら、立ち仕事はお休みし、まずは靭帯再建手術を検討しましょう。信頼できる医療機関で手術を受け。しっかりリハビリをすれば本来の状態に少しずつ戻していことができます。 しばらくは前のように動かせないかもしれませんが「急がば回れ」です。 監修:リペアセルクリニック大阪院 こちらも併せてご参照ください
最終更新日:2023.04.04 -
- PRP治療
- ひざ関節
つらい膝の痛みにも効果のあるPRP治療とは? 膝が痛いとつらいですよね。膝が痛いと日常生活に支障もきたしてしまいます。そんな方たちに朗報なのが、新しい治療の選択肢として注目されている、膝のPRP治療です。 今回は、膝のPRP治療とはどのようなものなのか、説明します。 膝のPRP治療とは? 膝の痛みの治療といえば、これまでは運動療法やヒアルロン酸注射、痛みを抑える内服薬や湿布、また重度の膝の痛みには、人工関節の手術が行われていました。 しかし、人工関節の手術をするほど重度ではないものの、一般的な治療で効果が得られない方や、人工関節手術ができない方など、治療ができない方もいました。 そんな方たちに朗報です! 新しい治療法であるPRP治療も、つらい膝の痛みを改善するための選択肢として加えることができますよ。 PRP治療ってどんな治療? PRPとは「多血小板血漿」のことで、血液に含まれる血小板を使った治療のことをPRP治療と言います。血小板には、傷んだ組織の修復を促進する物質が供給され、傷んだ組織を元に戻そうとする自己治癒起点という働きがあります。 この自己治癒力をサポートするのがPRP療法です。 PRP療法は、まず自分の血液を約20cc採取し、血液の中から血小板が多く含まれている部分だけを特殊な技術を用いて抽出し、自己PRPを作り出します。 そして、作られたPRPを膝に注射することで、膝の組織の修復が促進され、膝の痛みを軽減させたり、炎症を抑制したりする効果をもたらしてくれます。 膝のPRP治療に副作用はあるの? 最近になって行われるようになったPRP治療ですが、気になるのが副作用があるかどうかということですよね。PRPは自分の血液なので、薬物療法や手術に比べると副作用リスクは低いです。 現在、PRP治療を用いている病院の臨床成績でも、約100例の変形性関節症にPRP療法を行ったところ、特に副作用は認められなかったという結果が得られています。 このように、副作用のリスクが非常に低いことが、PRP治療の支持につながっています。安心して治療を受けることができるでしょう。 PRP治療はどんな膝の疾患に効果があるの? 膝の痛みとひとくちに言っても、さまざまな疾患がありますが、その中でもPRP治療で効果がある膝の疾患とは具体的にどのようなものがあるのでしょうか。 PRP治療で効果がある膝の疾患は以下の通りです。 ・膝蓋腱炎(ジャンパー膝) ・膝の関節靱帯損傷 ・変形性膝関節症 このような膝の疾患が、PRP治療の対象となります。 まとめ/つらい膝の痛みにも効果のあるPRP治療とは? 膝のPRP治療とは、自分の血液を使った再生医療の一種です。これまで一般的だった治療で効果を得られなかった方や、人工関節手術が受けられなかった方には、新たな治療法として大変注目されています。 自分の血液を使った治療なので、副作用のリスクが殆どないというメリットもあります。膝の痛みがつらく、今までの治療法では改善できないという方や、PRP治療に興味を持たれた方は、整形外科医などに相談してPRP治療を検討してみてはいかがでしょうか。 監修:リペアセルクリニック大阪院
最終更新日:2022.09.21 -
- PRP治療
- 肘
PRP治療はつらい肘の痛みの改善にも効果が期待できます! 肘の痛みには、病気やケガによる痛みからスポーツによる痛みまで、さまざまな原因による痛みがあります。 そんな中、スポーツ医学分野においては、PRP治療という画期的な治療法が取り入れられるようになってきました。 今回は、肘のPRP治療とは一体どんなものなのかをご紹介します。 肘のPRP治療とは? PRPとは血小板を高濃度に含んだ血漿のことで、血小板には組織の修復を促進させるさまざまな成長因子がたくさん含まれています。 このPRPを筋肉や腱、靱帯などの軟部組織や、関節内の損傷した組織に注射をすることで、自然治癒の過程を活性化させ、治癒や再生速度アップを期待することができます。 また、組織再生や抗炎症作用を発揮するので、痛みを取り除く効果が期待できる治療でもあります。 肘のPRP治療の流れ 痛みがあるからといって、すぐにPRP治療が行われるわけではありません。 まずはリハビリや内服治療を優先して行います。それでも効果が得られない場合に限り、PRP治療が行われることになります。 PRP治療が決定すると、まずは血液を採取し、遠心分離器にかけてPRPを抽出します。 次に超音波検査器を使用して、患部を正確に確認しながらPRPを注入します。注入後は1週~4週で組織修復が開始され、2週~3ヶ月程度効果が期待できます。 PRP治療の適応になる肘の疾患とは? PRP治療に対応している肘の疾患は、上腕骨外側上顆炎(テニス肘)や上腕骨内側上顆炎(ゴルフ肘)、肘関節靱帯損傷、野球肘などです。 主に、スポーツが原因の肘の痛みに対応しており、ヤンキースの田中将大投手やエンゼルスの大谷翔平投手がPRP治療を受けたことでも有名です。 肘のPRP治療の安全性と副作用 スポーツが原因の肘の痛みに効果的なPRP治療は、自分自身の血液を用いた治療なので、安全性は極めて高いと言えます。 また、重い副作用も報告されていません。 但し、注入時の痛みや注入した部位の皮下出血や赤み、腫れや熱を持ったように感じるなどの副作用は報告されています。これらの副作用は一時的なもので、一週間程度で気にならなくなります。 まとめ・PRP治療はつらい肘の痛みの改善にも効果が期待できます! 肘のPRP治療は、スポーツ医学分野において注目されている再生医療です。 テニス肘やゴルフ肘、野球肘などスポーツによる腱の炎症や、軟骨や骨、靱帯などが損傷した場合の痛みに効果が期待できます。 自身の血液を使った治療方法なので安全性は高く、大きな副作用の心配もありません。 スポーツをしている人で、さまざまな治療を施しているにも関わらず、なかなか肘の痛みが取れないという場合は、PRP治療を検討してみてはいかがでしょうか。 監修:リペアセルクリニック大阪院 こちらもご参照ください
最終更新日:2024.02.02 -
- PRP治療
PRP治療は体にやさしく効果が高いと期待の再生医療ですが、その費用はどの程度なのか 再生医療であるPRP治療は、さまざまな体の悩みに対応しており、効果に関しても大変期待することができます。そこで気になるのが、PRP治療には一体どれぐらいの費用が必要なのか、ということです。 今回は、PRP治療の費用について紹介します。 PRP治療は自由診療/費用は保険適用外となる PRP治療は、2019年現在まだ日本では保険診療として認められていません。ですから、自由診療となるため、病院によってPRP治療の費用は異なります。 一般的に注射1回あたりの費用は数万円~数十万円と幅があります。効果を期待するには数回繰り返して行う必要があるので、トータルすると費用がかさむこともこともあります。高い効果が期待できる治療法ですが、決して安いとはいえないのがPRP治療の費用です。 なぜPRP治療の費用は保険適用外なのか 美容に関するPRP治療が保険適用外であることは理解できるものの、膝や肘など、整形外科分野の治療においても保険適用外なのには理由があります。 実は、PRP治療は効果を期待することができる治療法なのですが、効果が確立されたわけではないのです。まだ臨床試験のデータが少なく、どのくらい有効なのか、持続期間はどれぐらいなのか、合併症の有無などエビデンスが得られるまでにはまだまだ時間がかかります。 そのため、有効性を検証する治験と平行して、PRP治療を患者に提供するという制度を利用しながらPRP治療が行われているのが現状です。但し、安全性に関してはすでに証明されているので、安心して治療を受けることができます。 PRP治療は費用に対して効果のメリットが大きな治療です! 自由診療のためPRP治療の費用は一見すると高く感じますが、薬物治療や手術治療にはない、以下のようなメリットがあります。手術や入院となると、手術費用や入院費用が必要になるため、思いのほか費用がかさみます。また、効果が出にくい治療をし続けるのも費用が積もり積もって、トータルすると高い治療費用を支払うことになります。 ・手術をしなくていい ・入院しなくていい ・傷が残らない ・他の治療で効果がなくても効果が期待できる ・1回あたりの治療費用はPRP治療の方が高いものの、費用対効果の面ではPRP治療は優れていると言えます。 まとめ・PRP治療は体にやさしく効果が高いと期待の再生医療ですが、その費用はどの程度か PRP治療は、どんな治療に対しても保険適用外で自由診療なので、病院によって費用は異なりますが、1回あたり数万円~が相場となっています。PRP治療の安全性は確保されていますが、まだ十分なエビデンスが得られていないため効果が確立されていません。そのため、保険適用にはまだ時間がかかりそうです。 しかし、さまざまな治療を受けても効果が得られなかった人や手術に抵抗がある人には、高い効果が期待できますし、費用対効果の面では大変優れています。PRP治療に関心があり、費用や治療に関するご質問がある方は、再生医療専門院で多くの症例数を有する当院までお問い合わせください。親切丁寧にご説明させていただきます。 監修:リペアセルクリニック大阪院 ▼こちらもご参照ください
最終更新日:2024.01.30 -
- 糖尿病
糖尿病とは?その症状と原因、自宅でできるチェック法 糖尿病は国民病といわれ、現在の日本では糖尿病に悩んでいる方が多くいます。これだけ多くの人が悩まされていると、「今のところ自覚症状はないけど自分は大丈夫なのだろうか」と心配になりますよね。 でも、「これといって自覚症状がないのにわざわざ病院に行くのは気が引ける」という方も多いのではないでしょうか。この記事では、尿を使って自分で簡単に糖尿病のチェックができる方法を紹介します。 糖尿病の症状と原因 糖尿病を発症するとどういった症状が現れるのでしょうか。糖尿病の発症原因と併せて見ていきます。 糖尿病の症状 糖尿病は高血糖状態が続く病気です。糖尿病は初期段階では自覚症状がほとんどありませんが、進行すると以下のような症状が現れます。 ・喉が渇く ・排尿の回数と量が多い ・疲れやすい ・食べても体重が減る ・足がつる、しびれる ・目がかすむ、黒い点が見える ・傷が治りにくい ・ED(男性の場合) など なお、2型糖尿病は「ゆっくりと」「少しずつ」上記のような症状が現れますが、1型糖尿病では「突然」「急に」症状が現れるという違いがあります。2型糖尿病と1型糖尿病については後述します。 糖尿病の原因 食事をするとすい臓のランゲルハンス島にあるβ細胞からインスリンが分泌され、血糖値の上昇を抑えます。しかし、糖尿病患者の方は何らかの理由によりインスリンの分泌力が低下しているか、あるいは分泌されたインスリンがうまく働かないため血糖値を下げることができません。 糖尿病は発症原因によって大きく2型糖尿病と1型糖尿病にわかれます。 2型糖尿病の原因 2型糖尿病は以下のように遺伝的要因と生活環境が組み合わさることで発症します。 ・高齢(40歳以上) ・肥満 ・家族に糖尿病の人がいることによる遺伝 ・運動不足 ・食べ過ぎ 食べ過ぎが続くと、すい臓はインスリンを大量に分泌しようとするため疲弊してしまい、インスリンの分泌力が低下します。 また、運動不足が続くと血液中のブドウ糖を細胞に取り込みにくくなるため、インスリンに対する感受性の低下(インスリン抵抗性)を招きます。また、加齢や肥満もインスリン抵抗性を招くといわれています。 現在、日本の糖尿病患者の9割以上が2型糖尿病といわれています。そのため、「糖尿病」といえば一般的に「2型糖尿病」のことを差すことが多いです。 1型糖尿病の原因 1型糖尿病はインスリンをほとんど分泌できないため体の外からインスリンを補充しなければなりません。1型糖尿病の原因ははっきりとはわかっていませんが、以下のようなことが原因と考えられています。 ・1型糖尿病にかかりやすい体質 ・何らかの原因ですい臓の一部が破壊された 1型糖尿病は、2型糖尿病と違い年齢に関係なく発症します。なお、すい臓の一部が破壊される原因としては免疫反応の異常(自己免疫)によるという説があります。 糖尿病を尿でチェックする 糖尿病検査といえば採血をして血糖値を調べるのが基本ですが、尿を使ってチェックすることもできます。 糖尿病は早期発見が大事 糖尿病は初期段階では自覚症状がほとんど現れませんが、進行してしまうと重い合併症を招くことがあります。そのため、早い段階で糖尿病を発症していることに気付き、治療を開始することが大切になります。 最近は、隠れ糖尿病といって空腹時の血糖値は正常なのにも関わらず食後のみ高血糖が現れるという人もいます。しかし、一般的な健康診断では空腹時血糖値しか測定しないため、隠れ糖尿病であることに気付くのは難しいのが現状です。 そのため、隠れ糖尿病は放置しやすく、気付いたときには糖尿病が進行してしまっていることがあります。隠れ糖尿病の段階で異常を発見し、早い段階で治療に取り組めば糖尿病の進行を防ぐことにつながります。糖尿病の治療は食事療法と運動療法が基本です。 早い段階で生活習慣を見直し、血糖コントロールを行うことができれば、糖尿病の進行を抑えることにつながります。 尿のチェックでわかること 尿をチェックすることで糖尿病の有無を調べる場合は尿糖を調べることになります。尿糖検査では以下のことがわかります。 ・血液中の糖濃度 ・糖尿病・甲状腺機能亢進症・腎性糖尿の可能性 尿チェックの方法 尿を使ったチェック方法には尿糖、尿沈査、尿潜血、比重などさまざまなものがあります。特に、糖尿病で重要になる尿糖や血糖値は自宅でチェックすることもできます。 排尿時の泡立ち 尿にはウロビリノーゲンという物質が含まれており、健康な人であっても尿が泡立つことがあります。そのため、尿が泡立った場合でもすぐに消えるのであれば問題ありません。 しかし、なかなか泡が消えない場合は注意が必要になります。尿に糖やたんぱく質などが多く含まれるようになると、尿の粘調度が高くなります。そのため、健康な人よりも尿の泡立ちが目立つようになるのです。 日頃から排尿時の尿の状態をチェックし、泡がなかなか消えない場合は医師に相談することが大切です。 検査キットを使用したセルフチェック 市販の尿検査キットや血糖測定器を使って、自分で尿糖や血糖値のチェックを行うこともできます。血糖測定器とは、指先に針を刺して出てきた血液で血糖値を測定するものです。 一方、尿検査薬は、尿試験紙に尿をかけ、試験紙の色を見ることで尿糖や尿蛋白、潜血などが多く含まれるかどうかを調べるものです。尿検査薬は血糖測定器(1万円前後)と比較して安価(1000円/10枚程度)ですので、気軽にチェックすることができます。 体調に不安を感じているけれど病院に行くのは気が引けるという場合は、尿検査キットなどを使って定期的に尿の状態をチェックしましょう。 糖尿病の予防について 糖尿病は発症しても気付きにくく、進行すると重い合併症を引き起こす可能性があります。そのため、日頃から尿を使ったセルフチェックを行うと同時に糖尿病を発症しないように予防することが重要です。 糖尿病の予防とは血糖値を適正に保ち続けることです。血糖値を適正に保つには以下の2つが重要になります。 ・食事 ・運動 栄養バランスの良い食事を心がけ、食べ過ぎを防ぐことは血糖値の上昇を抑え、すい臓の負担を減らします。また、適度な運動を行うことで肥満を防ぎ、血液中の糖を細胞に取り込みやすくなるため血糖値を下げる効果があります。 糖尿病を発症してしまった場合は以下の3つの方法で血糖コントロールを行います。 ・食事療 ・運動療法 ・薬物療法 糖尿病の治療も食事療法と運動療法で血糖値をコントロールすることが基本になります。食事療法と運動療法を行っても血糖コントロールがうまくいかない場合は薬物療法を取り入れることになります。薬物療法を取り入れる場合も食事療法、運動療法を継続して行うことが重要です。 まとめ・糖尿病とは?その症状と原因、自宅でできるチェック法 尿を使った糖尿病のチェック方法について説明しました。 糖尿病は初期段階では自覚症状がほとんど現れませんが、放置すると合併症など深刻な結果を招く可能性があります。そのため、糖尿病は早期発見・早期治療が何より大切になります。 日頃から尿をチェックし、「いつもと違う」と思ったらすぐに医師に相談することが大切です。 監修:リペアセルクリニック大阪院 ▼こちらも併せてご参照ください
最終更新日:2022.12.20 -
- 糖尿病
糖尿病のリスク|ツールを使った予測と予防方法を紹介 糖尿病は国民病といわれ、多くの方が悩まされている病気です。特に食習慣や運動不足など生活習慣が乱れているという自覚がある方は糖尿病のリスクが気になりますよね。 この記事では糖尿病のリスク要因にはどのようなものがあるのか、またどのように予防すれば良いのかを解説します。 糖尿病になるリスク要因 糖尿病は「甘いものの食べ過ぎ」で発症するというイメージを持つ人もいるかもしれませんが、以下のようなものが発症リスクになります。 ・妊娠 ・アルコール摂取 ・食事方法 ・運動不足 ・肥満 ・年齢 上記のうち、「妊娠」については糖尿病と一見関係がなさそうに見えますよね。実は妊娠するとインスリンと呼ばれる血糖値を下げるホルモンの働きが悪くなるため、血糖値が上がりやすいのです。 母体が高血糖になると母親だけでなく子供にも合併症のリスクがあります。そのため、元々糖尿病でなかった人も妊娠中は血糖コントロールをより厳格に行う必要があるのです。 妊娠しているとき 糖尿病でなかった人も妊娠中は血糖コントロールが必要です。一方、元々糖尿病を患っている女性は妊娠する前の段階で血糖コントロールを行う必要があります。 妊娠初期は器官形成期と呼ばれています。そのため、妊娠前から高血糖状態が続いていると胎児に奇形などの異常が生じやすくなります。 妊娠前から高血糖状態が続いていた場合、妊娠が判明してから血糖コントロールを行っても手遅れとなるため、妊娠前に血糖コントロールを行うことが大切になります。 また、前述のように妊娠中は血糖値が上がりやすいため「妊娠糖尿病」を発症することがあります。妊娠糖尿病とは糖尿病とはいえない程度の軽度の糖代謝異常のことです。つまり、妊娠中はすべての妊婦さんが血糖コントロールを行う必要があるのです。 アルコール摂取の影響 アルコールはアルコールそのものの働きだけでなく、アルコールの代謝によっても血糖値に影響をおよぼします。特に多量の飲酒は糖尿病の発病リスクを高めます。さらに肝障害や膵障害を合併すると対処することが難しくなります。 糖尿病患者の方は医師と相談のうえ、飲酒する場合は飲酒量に気を付ける必要があります。 食事方法の影響 食事をすると血液中にブドウ糖の量が増え、血糖値が上昇します。このときすい臓からインスリンが分泌されることでブドウ糖が細胞に取り込まれ、エネルギー源として蓄えられます。 しかし、食事で摂るブドウ糖の量が多い場合、血糖値が急激に上昇するため、すい臓は大量にインスリンを分泌しようとして疲弊してしまい、結果的にインスリンの分泌量が減ってしまいます。 糖尿病を防ぐには食べ過ぎを防ぎ、ゆっくりとよく噛んで食べることが大切です。 年齢によるもの 糖尿病は年齢が高くなるにつれて発症リスクが高まります。 年齢を重ねるとインスリンの分泌量が減るうえ、分泌されたインスリンが働きにくくなるため、年齢が高くなるにつれて糖尿病患者が増える傾向があります。 また、加齢によって血管の壁が硬くなったり厚くなるため、動脈硬化が進行しやすくなります。そのため、高齢の糖尿病患者の方は後述する神経障害や網膜症などの合併症を発症しやすくなります。 さらに、高齢になると身体機能が低下するため、身体に異常があっても気付きにくくなります。糖尿病を発症すると感覚が低下しやすくなるため、高齢の糖尿病患者の方は特に自覚症状を感じにくく、症状が進行してしまう傾向があります。 糖尿病患者が注意したいリスク 糖尿病を発症している方は以下のことに注意が必要です。 ・妊娠・出産 ・手術 ・合併症 それぞれについて起こりうるリスクを以下で説明していきます。 妊娠・出産のとき 糖尿病患者の方が妊娠・出産の際に注意が必要なリスクとしては以下のようなものがあります。 ・合併症(特に網膜症・腎症・神経障害) ・妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症) ・羊水過多症 ・膀胱炎 ・腎盂炎 ・流産や早産・死産 など また、糖尿病患者の方が妊娠や出産をする場合、お腹の赤ちゃんにも影響があります。糖尿病患者の方が妊娠・出産する際に赤ちゃんが抱える可能性のある障害は以下のようなものがあります。 ・巨大児 ・低出生体重児 ・奇形 ・低血糖 ・呼吸障害 など 手術のとき 高血糖が続くと、抵抗力が低下し、感染症を発症したり、傷口が化膿しやすくなります。そのため、ケガをしたら早い段階で消毒などの応急処置を施し、速やかに病院を受診することが大切です。 また、外科手術が必要になった場合はさらに注意が必要です。 外科手術は創傷治癒があることを前提に行われます。創傷治癒は血管新生が起こってから肉芽組織が作られるという過程を経ることになります。しかし、高血糖状態が続くと血管が障害されるため新しく血管を作ることができません。 そのため、糖尿病患者が手術を行う際は事前に血糖値をコントロールしておく必要があります。また、手術が必要になった場合は自分が糖尿病患者であることを必ず外科医(手術担当医)に伝え、糖尿病の担当医にも手術を受けることを伝えておきましょう。 3大合併症 糖尿病は初期段階では自覚症状がほとんど見られませんが、進行すると合併症を招くことがあります。以下の3つの合併症は特に糖尿病患者に多く見られるもので、3大合併症と呼ばれています。 ・神経障害 ・腎症 ・網膜症 神経障害 神経障害は多くの糖尿病患者の方に見られる合併症です。 神経障害の初期症状は痛みやしびれなどですが、進行すると激痛が起こったり、神経が壊死することで感覚がなくなってしまうこともあります。 神経障害で感覚に異常が生じると、無自覚性低血糖を起こし意識を喪失したり、無痛性心筋虚血による発作や呼吸の停止などを起こしやすく、突然死のリスクが高くなるため、決して軽視できない病気です。 腎症 糖尿病は高血糖が続く病気です。高血糖状態が続くと血管が障害され、全身で動脈硬化が起こりやすくなります。なかでも毛細血管などの細い血管が集中している部分は合併症が起こりやすくなります。 腎臓は糸球体と呼ばれる毛細血管の塊によって老廃物の濾過を行います。糖尿病性腎症は、高血糖状態が続くことで糸球体の毛細血管が障害され、血管が狭くなったり、傷ついたりして濾過がうまくできなくなる状態のことをいいます。 糖尿病性腎症を発症すると段階によって厳格な血糖コントロールや低たんぱく食、降圧薬の使用、透析療法を行うことがあります。 網膜症 毛細血管などの細い血管が障害されることを細小血管症といいます。目のなかにある網膜は毛細血管が広がっているため高血糖状態が続くと細小血管症を引き起こしやすくなります。糖尿病性網膜症は進行すると視力の低下や失明にいたることがあります。 糖尿病リスク予測ツール ここまで糖尿病患者の方が抱えるリスクについて説明しました。糖尿病は初期段階では自覚症状がほとんどありませんが、進行するとさまざまなリスクを抱えることになります。これらのリスクをなくすためには糖尿病を発症する前の段階で予防することが大切です。 国立国際医療研究センターは、職域コホート(J-ECOHスタディ)の健康診断データを使い、株式会社教育ソフトウェアと共同で糖尿病の発症リスクを予測するシステム(糖尿病リスク予測ツール)を開発しました。 糖尿病リスク予測ツールに記入するデータは以下となります。 ・基本項目(既往歴、身長、体重、性別、血圧など) ・追加項目(空腹値血糖値などの血液データ) 自分の糖尿病発症リスクを把握し、早い段階で生活習慣の改善に取り組むことが大切です。 引用元:国立国際医療研究センター「糖尿病リスク予測ツール」 糖尿病の予防方法 糖尿病は発症原因によって妊娠糖尿病や1型糖尿病、2型糖尿病などに分類されますが、一般的に「糖尿病」といえば、2型糖尿病のことをいうことが多いです。 2型糖尿病は体質などの遺伝的因子と以下のような環境因子が組み合わさることで発症します。 ・食べ過ぎ ・運動不足 ・肥満 ・ストレス ・不規則な生活 など 体質などの遺伝的因子は変えることができません。しかし、食生活や運動不足などの環境因子を変えることで糖尿病は予防することができます。また、食生活の改善や運動は糖尿病発症後の治療でも治療の基本になります。 特に食べ過ぎはすい臓に負担をかけ、インスリンの分泌力を低下させるだけでなく、肥満の原因にもなるため、治療と予防いずれにおいても重要になります。 こちらも併せてご参照ください まとめ・糖尿病のリスク|ツールを使った予測と予防方法を紹介 糖尿病患者の方が抱えるリスクと糖尿病を予防する方法について解説しました。 糖尿病を予防するためにも、自分の糖尿病発症リスクを把握し、早い段階で生活習慣を改善することが大切です。 また糖尿病を発症した場合は早い段階で血糖コントロールを行い、症状を進行させないことも重要になります。ここで紹介した予測ツールを活用したり、不安な点がある場合はすぐに医師に相談しましょう。
最終更新日:2022.10.11 -
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糖尿病で足が壊疽(えそ)する原因と症状|神経障害や潰瘍との関係について 「糖尿病で足が壊疽(えそ)した」「足を切断した」そんなことを聞いたこともあるのではないでしょうか。では、なぜ糖尿病が原因で足を切断することになるのでしょうかこの記事では糖尿病で足の壊疽にいたる原因と治療法について解説します。 糖尿病患者の壊疽の症状 糖尿病は高血糖状態が続く病気です。高血糖が続くと血管が障害されるため、血管壁が傷つき、硬くなったり脆くなることで動脈硬化などの血管病を発症することになります。 呼吸や食事で取り込んだ酸素や栄養は、全身に張り巡らされた血管によって全身の細胞に運ばれます。そのため、高血糖によって血管が障害されると体中の神経や細胞に栄養や酸素が行き渡らなくなり、さまざまな臓器で障害が起こることになります。 壊疽の初期症状 足は心臓から遠いため、高血糖による血流障害の影響を受けやすくなります。そのため、壊疽の症状は足に多く見られます。 糖尿病を発症したからといっていきなり足が壊疽するわけではありません。糖尿病は初期段階では自覚症状がほとんど見られませんが、進行すると以下のような症状が少しずつ現れます。 ・足のしびれ・痛み ・靴擦れを起こしやすくなる ・足が冷える・火照る ・こむら返りがおきやすくなる ・水虫ができやすい ・ケガが治りにくい ・ひび割れ これらの症状が進行すると、足の感覚が鈍くなり、ケガややけどをしても気付かなくなってしまいます。また糖尿病患者の方は細菌に対する抵抗力が低下するため感染症を起こしやすく、放置した傷が化膿してしまい、最悪の場合壊疽につながってしまうのです。 神経障害で痛みを感じにくい 高血糖状態が続くと血管のなかでも特に細い血管が障害されるため、神経細胞への血流が悪くなり、神経障害を起こします。 神経には、感覚神経や運動神経、自律神経があります。感覚神経が障害を受けると、痛みを感じにくくなり、ケガや火傷をしても気付かずに放置してしまい、壊疽につながることがあります。 手の壊疽 糖尿病による壊疽は足に多く見られますが、稀に手指に現れることもあります。 ・しびれるような痛みが生じる ・感覚が鈍くなり感じなくなる 手・足いずれの場合も、早期発見・早期治療が壊疽を防ぐにあたり重要になります。 糖尿病の壊疽する原因 糖尿病で壊疽にいたる原因には以下の3つがあります。 ①糖尿病性足病変 ②糖尿病性神経障害 ③血流障害の影響 以下で詳しく説明します。 ①糖尿病性足病変 糖尿病性足病変とは糖尿病が原因で起こる足のトラブルの総称です。糖尿病性足病変には以下のようなものがあります。 水虫や細菌の感染 糖尿病を発症すると細菌に対する抵抗力が低下するため、水虫(足白癬)や感染症を発症しやすくなります。 【足底の水虫】 引用元:播磨病院「糖尿病の足病変-水虫に要注意-」 【足の細菌感染】 引用元:播磨病院「糖尿病の足病変-水虫に要注意-」 足の変形やタコ 糖尿病によって運動神経が障害されると足の筋肉が萎縮し、屈曲障害や偏平足などの変形が起こり、タコや靴擦れが起きやすくなります。 引用元:播磨病院「糖尿病の足病変-水虫に要注意-」 【足の変形】 引用元:アルメディアWEB「糖尿病の足病変-水虫に要注意-」 足壊疽 糖尿病で動脈硬化が起こると特に足への血流が悪くなります。そのため、足にケガややけどをしても傷を治すための酸素や栄養が行き渡りにくく、潰瘍や壊疽(組織が死ぬこと)を起こすことがあります。 【足壊疽】 引用元:「糖尿病は食事で治る-」 足壊疽の詳細については後述します。 ②糖尿病性神経障害 糖尿病性神経障害では足の感覚が鈍くなることがあります。そのため、ケガややけどをして足に傷ができても痛みを感じず、傷を放置してしまうことがあります。また、足は意識しないと見ようとしない部分ですので傷があっても気付きにくい傾向があります。 糖尿病性神経障害を起こす理由ははっきりとはわかっていませんが、高血糖状態が続くことで神経細胞にソルビトールという原因物質が蓄積するという説や血流の悪化により神経細胞に必要な栄養や酸素が行き渡らないためと考えられています。 ③血流障害の影響 糖尿病は血管が障害されて血流が悪くなるため、傷が治りにくく、感染症を起こしやすくなります。さらに、糖尿病は高血糖状態が続くことで免疫機能が低下するため、感染が広がり潰瘍を作ることもあります。 特に足は心臓から遠いため血流が悪くなりやすくなります。足の動脈硬化が進行し、患部に栄養や酸素が行き渡らなくなると、そこから先の組織は生きていけなくなるため、壊疽を起こしやすくなります。 壊疽の治療 糖尿病によって足の潰瘍や壊疽にいたった場合、ケースにより治療法が変わります。糖尿病による足壊疽の治療のポイントは次の2つです。 ・初期なら切断を防げる ・壊疽してしまったら切断率が高い 以下で詳しく見ていきます。 初期なら切断を防げる 初期段階では、傷や潰瘍のある部分に体重をかけないように心がけ、抗生物質や真菌薬などを用いて治療を行います。細胞が死んでいる部分があると、傷口や潰瘍の治りを妨げてしまいます。そのため、デブリドマン(感染・壊死した組織を削り、洗浄すること)を行い、傷の治りを促す処置を行います。 また、血管が細く、血流が悪いと傷や潰瘍の治りが悪いため、血管を広げる治療を行うこともあります。 壊疽してしまったら切断率が高い 壊疽が広範囲に広がり、治癒の見込みがないほど重篤な状態になった場合は患者の命を守るためにも足を切断するケースが多くなります。 足壊疽患者の余命 糖尿病で足を壊疽した場合の予後や余命はどうなっているのでしょうか。 日本糖尿病学会の「科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン2013」によると糖尿病で足を壊疽し、下肢切断した場合の死亡率は以下のようになっています。なお、周術期とは周手術期ともいい、術前・術中・術後を含む一連の期間のことをいいます。 ・周術期・・・約10% ・術後1年・・・約30% ・3年・・・約50% ・5年・・・約70% このように、足を切断するほど症状が進行している場合は生命予後が非常に悪いことがわかります。また、糖尿病によって足を切断した場合、切断した足と反対側の足にも糖尿病足病変を再発しやすく、再度切断するリスクが高くなります。 まとめ/糖尿病で足が壊疽する原因と症状|神経障害や潰瘍との関係 糖尿病による足の壊疽の原因や治療法について説明しました。 糖尿病で足に壊疽を起こすと足を切断しなければならないことがあります。また、足を切断しなければならないほど症状が進行してしまうと、生命予後が非常に悪くなります。 糖尿病は発症してしまうと完治することができない病気です。糖尿病を発症した場合は、早い段階から治療を行い、足のケアやチェックを欠かさず行うことが何よりも大切になります。潰瘍や壊疽ができた場合も、初期段階であれば足を切断せずに済むケースもあります。 糖尿病と診断され、水虫やタコなどの異変があった場合はすぐに医師の診察を受けましょう。 糖尿病について詳しく知りたい方は、こちらもご覧ください。 糖尿病ってどんな病気? 監修:リペアセルクリニック大阪院
最終更新日:2022.10.10 -
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糖尿病による人工透析の費用や、予後について解説 糖尿病は初期段階では自覚症状がほとんどありませんが、進行すると糖尿病性腎症などの合併症を発症することがあります。糖尿病性腎症は初期段階であれば血糖コントロールで対処が可能ですが、進行すると人工透析を導入する必要があります。 人工透析の導入には判断基準(透析導入基準)があり、症状や腎機能などを踏まえて導入時期を考えていくことになります。この記事では、人工透析の導入時期や費用などの概要や人工透析後の生活、予後について解説します。 糖尿病と人工透析 日本透析学会によると、2017年末の時点で日本で慢性透析療法を受けている患者数は約33万人であり、患者数は年々増加していることがわかっています。さらに慢性透析患者の原因疾患としては糖尿病性腎症が最も多く、約39%を占めています。 人工透析を導入する際には以下のことを確認しておく必要があります。 ・人工透析を始める時期 ・人工透析の費用 ・人工透析の副作用 人工透析を始める時期 人工透析を始める時期については、透析導入基準に従い、臨床症状、腎機能、日常生活障害度の合計点数が60点以上の場合に透析療法の導入が必要と判断することになります。 【臨床症状】 以下の7つの臨床症状のうち、3つ以上当てはまる場合は高度(30点)、2つ以上の症状で中等度(20点)1つの症状で軽度(10点)として計算します。 ・体液貯留(全身性浮腫、高度の低蛋白血症、肺水腫) ・体液異常(管理不能の電解質・酸塩基平衡異常) ・消化器症状(悪心、嘔吐、食欲不振、下痢など) ・循環器症状(重篤な高血圧、心不全、心包炎) ・神経症状(中枢・末梢神経障害、出血傾向) ・血液異常(高度の貧血症状、出血傾向) ・視力障害(尿毒症性網膜症、糖尿病性網膜症) 【腎機能】 【日常生活障害度】 ・尿毒症症状のため起床できないもの・・・高度(30点) ・日常生活が著しく制限されるもの・・・中等度(20点) ・通勤、通学あるいは家庭内労働が困難なもの・・・軽度(10点) 人工透析の費用 1カ月に人工透析治療に必要な費用は患者1人当たり以下の金額となります。 ・外来血液透析:約40万円 ・腹膜透析(CAPD):30~50万円 腹膜付籍(CAPD)とは、在宅での透析療法になります。 このように、人工透析には高額な費用がかかりますが、患者の自己負担を軽減するための公的助成制度もあります。次で詳しく説明します。 人工透析の医療助成制度 人工透析の医療費助成制度には以下のようなものがあります。 ・自立支援医療(更生・育成医療) ・重度心身障害者医療費助成制度 自立支援医療(更生・育成医療) 自立支援制度とは、障害者(児)の身体的障害を軽減するための医療費について、自己負担分を国が助成する医療制度です。更正医療は18歳以上、育成医療は18歳未満が対象になります。 助成を受けるためには身体障害者手帳の交付を受けていること、治療を受ける医療機関が自立支援医療機関の指定を受けていることなどの条件があります。 重度心身障害者医療費助成制度 重度心身障害者医療費助成制度とは、身体障害者手帳1、2級の障害者が医療を受けた際に、自己負担分に対して各自治体が助成を行うという制度です。自治体によって制度の名称や助成対象、所得制限の有無や負担金額が異なるため、お住まいの自治体に確認しましょう。 このほか特定疾患にかかる高額療養費の特例制度を適用した場合、自己負担額を上限1万円まで抑えることができます。高額療養費の特例や自立支援医療、障害者医療費助成制度をすべて利用すれば、自己負担額が実質0円になるケースもあります。 なお、これらの制度は所得によって助成金額や上限金額が変わることがありますので必ず確認しましょう。 人工透析の副作用 人工透析導入直後は以下のような副作用が起こることがあります。 ・穿刺部の痛み ・不均衡症侯群(透析導入後の頭痛や嘔吐、吐き気など) ・血圧低下 ・低血糖発作 ・うつ症状 穿刺部の痛みは慣れると我慢できるようになります。 うつ症状と人工透析は一見関係なさそうに思えますが、定期的に人工透析を続けていくことに対して落ち込んでしまい、うつ症状が現れることがあるようです。「透析することで生き続けることができている」とポジティブに考え、透析中の時間を有効活用するなど頭を切り替えるようにしましょう。 人工透析患者の予後 人工透析患者の数は年々増加していると説明しましたが、主な原因疾患である糖尿病性腎症患者の数も年々増加しています。また、糖尿病性腎症患者数は女性よりも男性のほうが圧倒的に多くなっています。 人工透析導入したあとの予後はどうなるのでしょうか。以下のポイントにわけて説明します。 ・人工透析後の5年生存率 ・人工透析後の平均余命 人工透析後の5年生存率 日本透析医学会によると、2008年の人工透析導入患者の5年生存率は59.8%で、1992年以降に人工透析を導入した患者で生存率が改善していることがわかっています。また、20年、25年生存率はともに減少傾向であるものの、1年生存率に関しては一貫して増加傾向にあることが報告されています。 人工透析後の平均余命 人工透析後の余命には個人差がありますが、人工透析導入後の平均余命は健康な方と比べて約半分になるといわれています。さらに、人工透析後は健康な人の2倍の早さで老化が進むといわれています。 例えば2003年のデータによると、50歳男性の平均余命が30年ですので、同じ年齢の透析患者の方は余命が15年程度になるということです。2017年末時点での人工透析導入年齢の平均は68.43歳です。68~69歳の男性の平均余命は15年程度ですので平均余命は10年を切ることになります。 人工透析中の生活 人工透析療法を受けることになった場合は予後を悪くしないための生活を心がけることが大切です。そのためにも自己管理が非常に重要になります。 人工透析中の食事 人工透析中は以下のポイントを押さえた食事を摂ることが大切です。 ・十分な食事を摂る ・カリウムの制限 ・水分と塩分の制限 ・禁酒 腎機能が低下してしまうと、電解質であるカリウムの排泄量が低下し、高カリウム血症を起こすリスクが高まります。カリウムはお湯や水に溶ける性質があるため、野菜を摂取する際は流水にさらしたり、茹でこぼすことでカリウムの摂取量を減らすことができます。 人工透析中の注意点 人工透析中は食事だけでなく、以下のことに注意して生活することが重要です。 ・シャントを守る ・適度な運動 ・十分な睡眠 ・体重管理 シャントとは腕などに外科的に作る特殊な血液回路をいいます。シャントを感染や閉塞から守るためにも、透析日は入浴を避け、シャワーにとどめておきましょう。また、シャント側の腕を下にして眠ったり、シャント側の腕で重いものを持つことや腕時計を付けることを避け、採血や血圧測定などをしないことも重要です。 また、薬を処方されたら決められた量や服用時間を守ることも大切です。これにより、処方された薬の効果を効率よく発揮させ、副作用を防ぐことにつながります。 まとめ/糖尿病による人工透析の費用と予後について 人工透析の概要や人工透析後の予後などについて説明しました。 糖尿病性腎症は人工透析導入にいたる原因として最も多い疾患です。人工透析後は予後が悪くなることが多いため、糖尿病性腎症は初期段階で食い止めることが大切になります。 もちろん、人工透析後の自己管理を徹底すれば、透析を続けながら長期間生活し続けることも不可能ではありません。人工透析を導入することになった場合は医師の指示にしたがい、自己管理に努めることが大切です。 監修:リペアセルクリニック大阪院
最終更新日:2022.09.29 -
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糖尿病|伴う腰痛の原因と種類、症状緩和方法について解説 糖尿病と診断された方のなかには腰痛に悩まされているという人も少なくありません。では、なぜ糖尿病が原因で腰痛が起こることはあるのでしょうか。 この記事では、糖尿病に伴う腰痛の種類や原因、治療法について解説します。 糖尿病に伴う腰痛 腰痛は日本人の8割以上が経験する病気ですが、実は糖尿病とも深い関わりがあります。 糖尿病に伴う腰痛については以下のようなものがあります。 ・糖尿病性神経障害(神経障害性疼痛) ・感染症脊椎炎 ・肥満による腰への負担 糖尿病性神経障害(神経障害性疼痛) 糖尿病は高血糖状態が続くことで血管が障害される病気です。特に2型糖尿病は日本の糖尿病患者のうち約9割を占めるといわれており、体質などの遺伝的要因と運動不足や肥満などの生活習慣が組み合わさることで発症するといわれています。 運動不足や肥満は腰に負担をかけるため腰痛を発症しやすくなりますが、糖尿病によって血流が悪くなることも腰痛を引き起こしやすくなります。 一方、糖尿病は初期段階では自覚症状がほとんど見られませんが、進行すると合併症の1つである糖尿病性神経障害を発症するといわれています。 糖尿病性神経障害の代表的な症状は手足のしびれや痛みですが、腰痛を引き起こすこともあります。糖尿病性神経障害で起こる痛みは神経障害性疼痛と呼ばれています。 糖尿病性神経障害は糖尿病と診断されてから10年ほど経過すると糖尿病患者の約半数に症状が出るといわれています。 こちらも併せてご参照ください 原因と症状の特徴 糖尿病性神経障害(神経障害性疼痛)の症状には以下のような特徴があります。 ・腰痛だけでなく足のしびれをともなう ・日中活動しているときよりも夜間に痛みを感じやすい ・就眠時に布団のなかで痛みを感じやすい 糖尿病性神経障害の原因ははっきりとわかっていませんが、血管が障害されて血流が悪くなり、神経細胞に酸素や栄養が行き渡らなくなることが原因という説があります。一方、高血糖によって痛みの原因物質であるソルビトールが神経細胞に蓄積することで糖尿病性神経障害を発症するともいわれています。 対策・治療方法 糖尿病性神経障害の治療法や対策としては以下のようなものがあります。 ・血糖コントロールや生活習慣の改善 ・非ステロイド性消炎鎮痛剤の使用 ・三環系抗うつ薬の使用 ・プレガバリン(商品名:リリカ)の使用 ・デュロキセチン(商品名:サインバルタ)の使用 ・アルドース還元酵素阻害薬(エパルレスタット、商品名:キネダック)の使用 糖尿病は高血糖状態が続くことで起こります。そのため、症状が軽い場合は生活習慣の改善や血糖コントロールを行うことで症状を改善していきます。痛みが軽度の場合は鎮痛剤や抗うつ剤を用いて対処します。 発症から日が浅く、中等度以下の痛みの場合はアルドース還元酵素阻害薬を使うことがあります。糖尿病性神経障害の原因の1つとして考えられているソルビトールは、アルドース還元酵素の働きによってブドウ糖から生成されます。 そのため、アルドース還元酵素を阻害することで痛みの原因物質であるソルビトールの生成を抑えることが有効と考えられています。 化膿性脊椎炎 糖尿病を発症すると、細菌に対する抵抗力が落ち、化膿性脊椎炎を起こすことがあります。化膿性脊椎炎は、背骨の変形などではなく、黄色ブドウ球菌などの細菌が背骨に感染することで発症します。 一方、過去に感染した結核菌によって発症するケースもあります。結核菌による感染が原因の場合、化膿性脊椎炎とは症状や発症場所が異なるため結核性脊椎炎といって区別しています。 原因と症状の特徴 化膿性脊椎炎や結核性脊椎炎は抵抗力が低下している人に多く、高齢者や糖尿病、ガンなどの病気を患っている方は特に注意が必要になります。 化膿性脊椎炎はほとんどの場合、黄色ブドウ球菌が背骨に感染することで発症します。特に椎間板に近い部分は細菌が定着しやすく、見つけにくいため原因不明とされるケースが多くあります。 化膿性脊椎炎の症状には以下のようなものがあります。 ・高熱 ・腰や背中の激痛 ・麻痺 対策・治療方法 化膿性脊椎炎を発症した場合の治療法や対策には次のようなものがあります。 ・抗生物質による薬物療法 ・コルセットなどの装具を使用 ・病巣部などを取り除き、自分の骨を移植して固定する 早い段階で化膿性脊椎炎を見つけることができた場合は抗生物質による薬物療法を行うのが基本です。また、局所の安静を保つためにコルセットなどの装具も使用します。 一方、すでに骨や椎間板の破壊が進行している場合は手術によって病巣部や膿を取り除き、自分の骨を移植して固定することになります。 肥満による腰への負担 糖尿病に限らず、肥満は上半身が重くなり、腰に負担がかかるため腰痛の原因となります。また肥満は糖尿病の原因の1つですので、肥満と腰痛、糖尿病には関係性があるのです。 原因と症状の特徴 肥満になると歩行や運動などちょっとした動きでもエネルギーを使うため、疲れやすくなり、運動など体を動かすことを避ける傾向があります。また、運動を行わないと年齢とともに筋力が衰えます。 そのため、腰椎(腰の骨)を支える腹筋や背筋が衰えてバランスが悪くなり、上半身を支えられなくなってしまいます。体のバランスが悪くなると姿勢が悪くなったり、無理な姿勢や体勢を取ることが多くなるため腰痛を引き起こしやすくなるのです。 対策・治療方法 肥満によって腰痛が起こっている場合は食生活を改善し、肥満を解消することが腰痛の治療法になります。前述のように肥満は腰痛の原因となるだけでなく糖尿病の原因にもなります。肥満を解消することは腰痛だけでなく糖尿病の改善にもつながります。 まとめ・糖尿病|伴う腰痛の原因と種類、症状緩和方法について解説 糖尿病にともなう腰痛の種類や特徴、治療法について説明しました。 糖尿病にともなう腰痛には、肥満や神経障害、化膿性脊椎炎などさまざまな原因が考えられます。糖尿病と診断されてから腰痛に悩まされているという方は、自己判断せず、医師の診察を受けることが大切です。 監修:リペアセルクリニック大阪院
最終更新日:2022.10.11 -
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糖尿病のせいで、やたらと眠気に襲われてしまう 食後に眠くなるという経験は誰もが一度はあるのではないでしょうか?でも、眠気が強すぎたり、頻度が多いと業務や日常生活に支障が出てしまいますよね。実は食後の眠気には糖尿病などの病気が隠れていることもあるのです。 この記事では、なぜ食後に眠気が起こるのか、また眠気が強くなる原因や対処法について解説します。 糖尿病の症状の一つ「食後の激しい眠気」 糖尿病の症状の1つに「食後の激しい眠気」があります。糖尿病が原因で食後に見られる症状や特徴には以下の3つがあります。 ・血糖値が上がると眠くなる ・低血糖になって眠くなる ・眠気以外の糖尿病起因の異常 糖尿病は高血糖状態が続く病気です。通常、健康診断などでは空腹時の血糖値を測定することで糖尿病かどうかを判定します。 しかし、空腹時血糖値が正常にも関わらず、食後のみ高血糖を示す隠れ糖尿病もあります。隠れ糖尿病は軽症の場合、食後2~3時間程度血糖値が上昇するというケースが多いため、注意が必要になります。隠れ糖尿病については後述します。 なぜ血糖値が上がると眠くなるのか なぜ血糖値が上がると眠くなるのでしょうか。実は睡眠と脳の覚醒にはオレキシンという物質が深く関わっています。 脊椎動物のほとんどは、オレキシンが活発に働いているときに覚醒し、働きが鈍ると睡眠状態に入るといわれています。空腹になると血糖値が低くなるためオレキシン作動性ニューロンの活動が活発になり、オレキシンを刺激して活性化するため、覚醒します。 しかし、満腹になると血糖値が高くなり、オレキシン作動性ニューロンの活動が低下するため、オレキシンの活動が鈍くなり、眠くなってしまうと考えられています。 低血糖になっても眠気はやってくる 眠気は低血糖になることでも起こります。低血糖になって起こる眠気を放置すると生命に危険をおよぼすことがあります。低血糖による症状にはどのようなものがあるのか以下の3つの段階にわけて説明します。 ・血糖値が55~70mg/dl程度 ・血糖値が50mg/dl程度 ・血糖値が30mg/dl程度 血糖値が55~70mg/dl程度で現れる症状 血糖値が55~70mg/dl程度になると異常な空腹感や冷や汗、だるさ、不安感、ふるえ、悪心などの自立神経症状が現れます。なるべくこの段階で低血糖に対する処置を行うことが重要です。 血糖値が50mg/dl程度で現れる症状 血糖値が50mg/dl程度まで低下すると、眠気やめまい、集中力の低下などの中枢神経症状が現れます。 血糖値が30mg/dl程度で現れる症状 血糖値が30mg/dl程度まで低下すると、意識消失やけいれん、麻痺、昏睡などが現れます。この段階になると命に危険をおよぼす可能性が出てきます。 一方、低血糖になっても症状が現れず、低血糖に気づかないケースもあります。これを無自覚低血糖症といいます。無自覚低血糖症の場合、突然意識障害や昏睡を起こすことがあるため注意が必要です。 眠気以外に起こりうる糖尿病起因の異常 糖尿病を発症すると、眠気以外にも以下のような異常が現れるこことがあります。 ・血圧低下 ・脳血圧が低下 ・腸管から分泌されるニューロテンシン(NT)(血圧低下作用)の分泌増加 ・高齢者では血圧維持作用の分泌低下 これらはいずれも、食事にともなう内臓血管の血流増加や血管抵抗が低下することによるものと考えられており、食後の倦怠感や意識障害を引き起こすことがあります。 また、食後の低血圧は起立性低血圧をともなうこともあるため、食事を摂る際の姿勢や排尿時の姿勢、入浴時などにも注意が必要です。 糖尿病が原因の眠気への対策 糖尿病患者の方だけでなく、午後の早い時間に眠くなるのは人間の生理現象の1つといわれています。とはいえ、昼間に仕事や作業をしている場合、午後の眠気は抑えたいものですよね。 このような場合、ランチメニューの選び方や食べ方を工夫するだけである程度眠気を抑えることが期待できます。 低血糖が原因の場合:低血糖にならないようにブドウ糖を摂取 低血糖が原因で眠気が起こるケースには、食事量が少なかったり、活動量が多すぎる場合があります。 低血糖を放置すると、眠気だけに収まらず、意識が消失したり、けいれんや昏睡を起こすこともあります。低血糖の症状を感じたら早い段階でブドウ糖を摂取するなどの対処を行うことが大切です。 高血糖が原因の場合:そもそも血糖値をあげないように食事に気を配る 高血糖が原因で眠気が起こる場合は血糖値を上げない工夫が必要になります。 前述のように、食後は血糖値が上昇することでオレキシンの活動が鈍くなり、眠くなるといわれています。一方、急激に血糖値が上昇することでインスリンが大量に分泌されるため、急激に血糖値が下がってしまうということも眠気の原因になるといわれています。 いずれの場合も食事によって急激に血糖値を上げないことが大切になります。食後の血糖値の上昇を抑えるには、ごはんやパン、麺類などブドウ糖の元になる糖質を抑えることが有効です。また、糖質を摂るときは玄米や全粒粉パンなど精製度の低いものを選ぶと血糖値の上昇を抑えることにつながります。 食後の眠気がひどいときは「隠れ糖尿病」を疑いましょう 健康診断では何も異常がないにも関わらず、食後の眠気がひどい場合は「隠れ糖尿病」という可能性もあります。 会社や病院の健康診断は、ほとんどの場合空腹時に採血を行う空腹時血糖値を測定しています。空腹時の血糖値が明らかに病的である場合は糖尿病がかなり進行していることになります。 しかし、隠れ糖尿病は、空腹時の血糖値には異常が見られないにも関わらず食後の血糖値のみが上昇します。軽症の場合、血糖値が高いのは食後2~3時間程度ですので、糖尿病が見逃されてしまうことがあるのです。 隠れ糖尿病の特徴 隠れ糖尿病は通常の健康診断では見つけにくいため、症状が進行するまで放置してしまう傾向があります。特に日本人は食後に高血糖になるタイプが多いため、隠れ糖尿病の特徴を把握し、早い段階で対処することが重要になります。 隠れ糖尿病や糖尿病の初期段階であることが疑われる症状には以下のようなものがあります。 ・食後に眠くなる ・立ちくらみ ・急に太った ・全身がだるい など 隠れ糖尿病の見つけ方 「糖尿病と診断されたわけでもないのに病院で診察を受けるのは気が引ける」という方もいるでしょう。そういう方のために、隠れ糖尿病かどうかを自宅で簡単にチェックする方法を2つ紹介します。 ・尿糖チェック ・血糖チェック 最近は自宅で簡単に血糖チェックや血糖チェックを行うことができる機器やツールが販売されています。血糖チェックは穿刺器具を使って指先から少量の血を採ることで測定します。 一方、尿糖チェックは尿試験紙を尿に浸し、色調を見ることで測定します。特に尿糖チェックは手軽にチェックできるためおすすめです。食後に尿糖チェックを行えば、隠れ糖尿病かどうかを簡単にチェックできます。 まとめ/糖尿病のせいで、やたらと眠気に襲われてしまう 糖尿病によって眠気が起こる理由や眠気の対処法、隠れ糖尿病のチェック方法について説明しました。食後に強い眠気が起こる場合は隠れ糖尿病の可能性もあります。尿糖チェックなどを行い、少しでも異常があれば医師に相談することが大切です。 監修:リペアセルクリニック大阪院 ▼こちらも併せてご参照ください
最終更新日:2022.09.21