-
- 肘
「フライパンを持つと肘が痛くなるのはなぜ?」 日常的に料理をしている方の中で、フライパンを持つと肘が痛い症状に悩まされている方は多いのではないでしょうか。 料理をする上でフライパンを振るのはよく行う動作ですが、頻繁に料理をする方は継続的な肘への負担によって痛みが生じる場合があります。 本記事では、フライパンを持つと肘が痛いときの原因について解説します。 フライパンを持つと肘が痛いときに有効なストレッチも紹介していますが、自己判断で行うと痛みが強くなったり、症状が悪化する可能性があるので注意しましょう。 また、当院リペアセルクリニックの公式LINEでは、肘の痛みをはじめとする関節疾患の症状や炎症の改善に期待できる再生医療に関する情報を配信中です。 「肘の痛みを早く治したい」「悪化する前に治療したい」という方は、再生医療がどのような治療を行うかご参考ください。 フライパンを持つと肘が痛む原因として考えられる疾患 フライパンを持つと肘に痛みが生じる原因として、上腕骨外側上顆炎が考えられます。 テニス肘とも呼ばれる疾患で、肘に痛みが生じるのが特徴です。 上腕骨外側上顆炎とは 上腕骨外側上顆炎を発症する原因 上腕骨外側上顆炎について、詳しく解説します。 上腕骨外側上顆炎とは 上腕骨外側上顆炎は、肘の部分にある上腕骨外側上顆から手首につながっている筋肉や関節に炎症が起きて痛みが生じる疾患です。 上腕骨外側上顆炎の症状は、主に以下の4つです。 肘の外側の痛み 手首を反らす動作での痛み 前腕の痛み 握力が低下する 物を持ち上げる、タオルをしぼるなどの動作によって、肘の外側から前腕にかけて痛みが生じます。 手首を反らす、指を伸ばすなどの動作で肘の外側に痛みが生じるケースもあります。 以下の記事では、テニス肘とも呼ばれる上腕骨外側上顆炎が重症化させない方法について解説しているので、合わせてご覧ください。 上腕骨外側上顆炎を発症する原因 上腕骨外側上顆炎の原因は、主に4つあります。 手首の曲げ伸ばしを繰り返す 反復動作 筋力の低下 関節内の病変 テニスやゴルフ、バドミントンなどのスポーツや、長時間のキーボード使用など、手首の伸展を繰り返すと上腕骨外側上顆の腱に負担がかかり、上腕骨外側上顆炎を発症するケースがあります。 フライパンを振る機会が多い調理師や、大工など肉体労働で腕を酷使する方に発症しやすい疾患です。 また、加齢や肘の酷使によって腱や筋肉の柔軟性が低下し、負担に弱くなってしまうことで上腕骨外側上顆炎の原因となる場合もあります。 他にも、肘関節の軟骨や腱の損傷によって発症する例もあります。 フライパンを持つと肘が痛いときのストレッチ法 フライパンを持つと肘に痛みが生じるときに、有効なストレッチ法を紹介します。 1.ストレッチする側の腕を地面と水平にまっすぐ上げる 2.手のひらが手前になるように手首を腕と垂直に曲げる 3.反対の手で手の甲をつかみ手前に引く 手のひらを外側に倒した状態でも同じように、左右両方行ってください。 伸ばした状態で30秒キープして行うとより効果的です。腕に痛みがある場合は、症状に合わせて負荷を調整して無理のない範囲で行いましょう。 急性期や痛みの強い時期は避けて、医師に相談のうえで実施することをおすすめします。 フライパンを持つと肘が痛いときの治し方 フライパンを持ったときに生じる痛みの治し方は、主に2つあります。 保存療法 手術療法 それぞれの治療法について、詳しく解説していきます。 保存療法 保存療法には、主に以下の6つの治療を行います。 安静 日常の動作を工夫する サポーターを装着 ストレッチ 湿布 消炎鎮痛剤を服用 初期の上腕骨外側上顆炎は、安静にすると痛みが和らぐケースがあります。 肘を動かさない生活が難しい場合は、日常生活の中でなるべく肘に負担がかからないように工夫しましょう。 また、テニス肘(上腕骨外側上顆炎)用のサポーターを装着して肘への負担を軽減することで、症状の改善が期待できます。 ストレッチについては、急性期を避け、医師や理学療法士の指導のもとで適切に行うことが重要です。 痛みが強い場合は、消炎鎮痛剤の内服に加えて、医師の判断によりステロイド剤の局所注射が行われる場合があります。 手術療法 保存療法を6カ月程度行っても症状が改善されない場合や、日常生活や仕事に支障がある場合は手術が検討されます。 上腕骨外側上顆炎では、主に以下の手術が行われます。 腱切離術 肘関節鏡手術 腱切離術は、皮膚を切開して変性した腱組織を切除する手術法です。 一方、肘関節鏡手術は関節鏡を用いて傷んでいる組織を取り除く手術で、皮膚を切開する手術と比較して傷跡が小さく済む特徴があります。 長引く肘の痛みには再生医療も選択肢のひとつ 長引く肘の痛みにお悩みの方には、再生医療の選択肢もあります。 再生医療は、患者さまご自身の幹細胞や血液を利用するため、アレルギーや拒絶反応のリスクが低い治療法です。 また、入院や手術を必要としない治療法なので、仕事やスポーツへの早期復帰が期待できます。 とくに、血小板を含む液体を注射するPRP療法では、約30分ほどで治療が終わるケースもございます。 早期治療を望む場合は、再生医療を選択肢のひとつとしてご検討ください。 フライパンを持つと肘が痛いときは早期に医療機関を受診しよう フライパンを持つと肘が痛いときは、上腕骨外側上顆炎を発症している可能性があります。 ストレッチによって症状が緩和されるケースがありますが、まずは早期に医療機関を受診することが推奨されます。 本記事で紹介したストレッチを行う場合でも、急性期や痛みが強い時期は避けて、医師に相談のうえで実施しましょう。 また、治療法には「保存療法」「手術療法」「再生医療」があるので、本記事を参考にご自身の状況に合わせて、適切な治療法を選択してください。 当院「リペアセルクリニック」では、再生医療による治療を行っているため「肘の痛みを早く治したい」という方は、ぜひお気軽にご相談ください。
2020.07.07 -
- 肘
- 再生治療
肘が痛い!肘を傷める保育士が多いその理由と対処法は? たくさんの小さな子供を相手する保育士の仕事は、肉体的にもハードな仕事になります。そんな保育士の仕事をしている人のなかには、肘が痛いという悩みを抱えている人がたくさんいるようです。 今回は、保育士で肘が痛い人が多い理由について紹介します。また、肘に痛みが発症するメカニズムや治療方法についても紹介します。 保育士で肘が痛い人に多い疾患「上腕骨外側上顆炎」とは その肘の痛みは上腕骨外側上顆炎(じょうわんこつがいそくじょうかえん)の可能性が高いです。難しい読み方ですよね。聞きなれない方も多いかと思います。 肘の外側の出っ張りの部分(上腕骨外側上顆)は、手首を動かしたり指を伸ばしたりする筋肉や関節と繋がっていますが、腕を酷使することでその筋肉や関節の付け根の部分(腱)に過度の負担がかかって炎症を起こしてしまうことがあります。この炎症によって肘が痛いという症状が発症します。 上腕骨外側上顆炎はテニス肘とも言われることがありますが、テニスをしている人だけではなく、保育士のように腕を酷使する職業の人なども発症する人が多いです。 保育士で肘が痛い人が多い原因 保育士のなかで肘が痛いという悩みを抱えている人が多い大きな原因となるのが、子供を抱っこすることが多いことです。 保育士は小さな子供を抱っこする機会が多く、その際に腕に負担がかかって肘が痛いという症状に悩まされる人が多いですが、特に0歳から2歳児を相手する場合は、毎日たくさんの子供を何度も抱っこすることになります。 小さな子供とはいえ5キロくらいの体重がある子供を何度も抱っこしていると、体に大きな負担となります。特に、腕には大きな負担がかかるため、腕を酷使する状態が続くことで肘を痛めてしまうケースが多いのです。 上腕骨外側上顆炎の治療方法について 保育士で肘が痛いという悩みを抱えている人のなかには、治療を受けずに痛みを我慢しながら仕事をしている人もいると思います。しかし、悪化すると改善するまでに期間が長くかかってしまったり、改善するのが難しくなったりしてしまうので早めに医療機関を受診して治療を受けるのがおすすめです。 医療機関での上腕骨外側上顆炎の治療は、軽い症状の場合は、飲み薬(非ステロイドの消炎鎮痛剤)や湿布などによって痛みを改善させます。また、急性で強烈な痛みが生じている場合は、ステロイド注射がおこなわれることもあります。 さらに、慢性化している場合は、レーザー治療や温熱療法、ストレッチといった理学療法がおこなわれるのが一般的です。こうした治療をおこなっても改善がみられず、症状が悪化していく場合は手術が検討されるケースもあります。 症状が軽い場合 飲み薬:非ステロイド系、消炎鎮痛剤 湿布 急性で痛みがひどい場合 ステロイド注射 慢性化 レーザー治療 温熱療法 シトレッチ どうしても改善しない場合 手術の可能性 まとめ・肘が痛い!肘を傷める保育士が多いその理由とその対処法は? 保育士の人で肘が痛いという症状に悩まされている人が多い理由について、また、保育士がなりやすい肘の痛みの原因である「上腕骨外側上顆炎」について紹介しました。 肘が痛いのを何とかするために治療を続けているけど改善しないという場合、手術をするしかないのかなと考える人もいるかもしれません。しかし、最近では再生医療という治療方法もあります。 再生医療には、外科的手術と比べて副作用のリスクが少なく、治療期間も短期間になるというメリットがあります。保育士で肘が痛い…、一般的な治療を受けても治らなくて困っているという人は、一度、再生医療による治療も検討してみてはいかがでしょうか。 以上、肘が痛い!肘を傷める保育士が多い理由とは?について記しました。ご参考になれば幸いです。 監修:リペアセルクリニック大阪院 ▼こちらもご参照ください
2020.06.28 -
- ゴルフ肘
- 肘
ゴルフ中に手首の痛みに悩まされているなら、それはTFCC損傷が原因かもしれません。 TFCC損傷は、手首の小指側の軟骨や靭帯の損傷で、ゴルフスイング時の強い衝撃やねじれが主な原因となります。 本記事では、TFCC損傷の特徴やゴルファーに多い理由をついて詳しく解説します。 また、TFCC損傷の治療法も解説しているので、ぜひ参考にしてください。 当院リペアセルクリニックの公式LINEでは、TFCC損傷の症状をすぐに改善したい方に向けて、再生医療の症例や治療内容を紹介しています。 より早く治療して、ゴルフを楽しむためにぜひご確認ください。 TFCC損傷とは?ゴルファーに多い理由 TFCC損傷は、手首の小指側にある「三角線維軟骨複合体」と呼ばれる軟骨や靭帯の集合体が損傷する怪我です。 TFCC損傷がゴルファーに多い理由は、スイング時に手首に強い衝撃やねじれが繰り返し加わるためです。 特にボールの手前の地面を叩いたり、手首を過度にこねるようなスイングは、手首に大きな負担をかけ、損傷のリスクを高めます。 また強いグリッププレッシャーや疲労の蓄積も、TFCC損傷の要因となります。 TFCC損傷の特徴 TFCC損傷の特徴は、以下の通りです。 手首の小指側に痛みが出る 手首をひねる動作や小指側に曲げる動作で痛みが強まる 進行すると手首に不安定さを感じる 手首から「カクッ」といったクリック音がすることがある TFCC損傷の大きな特徴は、手首の小指側の痛みです。 特にタオルを絞る・ドアノブを回すなど、手首をひねる動作や小指側に曲げる動作で痛みが強くなる傾向があります。 重症化すると、安静時にも痛むようになったり、手首に不安定さを感じたり、「カクッ」といったクリック音がするようになります。 TFCC損傷が進行する前に、病院でMRIなどの画像検査を受けに行きましょう。 ゴルフでTFCC損傷が起こりやすい原因とは? ゴルフでTFCC損傷が起こりやすい原因は、以下の通りです。 スイング時の手首のねじれ ミスショットによる手首の衝撃 不適切なスイングフォームによる手首の衝撃 グリップを強く握ることによる手首への負担 過度な練習と疲労の蓄積による手首への負担 硬い地面での練習による手首への負担 ゴルフでTFCC損傷が起こりやすいのは、スイング時に手首へ繰り返し加わる強い衝撃とねじれが主な原因です。 特にミスショットでクラブが地面に当たると、手首に通常の何倍もの衝撃が加わり、手首に深刻なダメージを与えます。 また、手首を過度に使う不適切なスイングフォームや過度にグリップを握る行為は手首へのストレスを増大させます。 加えて、練習量の多さや疲労の蓄積、硬い地面での練習も損傷のリスクを高める要因です。 ゴルファーにおすすめのTFCC損傷の予防・対処方法 ゴルファーにおすすめのTFCC損傷の予防・対処法は、以下の通りです。 痛みが出にくい手の使い方とフォームの調整 自宅でできるセルフケアとリハビリ方法 これらを実践することで、TFCC損傷のリスクを減らし、早期回復を目指しながらゴルフを長く楽しめるでしょう。 これからも怪我無くゴルフを楽しみたい方は、ぜひ参考にしてください。 痛みが出にくい手の使い方とフォームの調整 ゴルフで痛みが出にくい手の使い方とフォームの調整は、以下の通りです。 手の使い方・フォーム調整 具体的な内容 グリップを握りすぎない ・必要以上に強く握りすぎない ・リラックスしたグリップを心がける インパクト時は手首がフラットになるようにする ・クラブがボールに当たる際、手首をまっすぐに保つようにする 身体全体を使ってスイングする ・体幹の回転や体の動きでクラブをリードする TFCC損傷の予防・対処には、ゴルフスイングにおける手首への負担を減らすことが重要です。 まず、必要以上にグリップを握らないよう意識しましょう。また、クラブをボールに当てる際は、手首がフラットな状態を保つよう心がけることが大切です。 スイングフォームにおいては、手首だけでなく体全体を使い、手首への依存度を減らすフォームに調整しましょう。 体幹の動きでクラブをリードする意識を持つと、手首へのストレスが軽減され、痛みの発生を抑えながらゴルフを楽しめます。 自宅でできるセルフケアとリハビリ方法 自宅でできるTFCC損傷のセルフケアとリハビリ方法は、以下の通りです。 セルフケア・リハビリ方法 具体的な内容 手首の安静 ・手首を無理に動かさないようにする ・サポーターやテーピングで手首を固定する アイシング ・痛みのある箇所を15〜20分程度冷やす ・アイシングは1日に数回繰り返す 温める(痛みが軽減した時) ・血行促進のために温湿布や温浴で手首を温める 軽いストレッチ(痛みが軽減した時) ・手首をゆっくりと屈伸・回旋させる ・痛みを感じたらすぐに中止する 段階的な筋トレ(痛みが軽減した時) ・ダンベルやセラバンドを使って手首の曲げ伸ばしをする TFCC損傷のセルフケアでは、まず手首の安静が最も重要です。 痛みが強い時は無理に動かさず、サポーターなどで固定してください。 痛みが軽減してきたら、手首のストレッチや軽い筋力トレーニングを始めましょう。 具体的には、手首をゆっくりと全方向に動かしたり、軽いダンベルを使った手首の屈伸運動などが挙げられます。 これらの運動は、血行促進や手首周辺の筋力強化に繋がり、再発予防にも役立ちます。 ただし、痛みを感じたらすぐに中止し、無理なく段階的に進めましょう。 TFCC損傷の治療方法 TFCC損傷の治療方法は、保存療法・装具療法・手術療法に分けられます。 今回は各治療方法の違いや、近年注目されている再生医療に焦点を当てて見ていきましょう。 保存療法・装具療法・手術療法の違いと判断基準 再生医療によるTFCC損傷の治療について 具体的には、保存療法・装具療法・手術療法の違いと判断基準、そして再生医療によるTFCC損傷の治療について解説します。 ご自身の症状や、ライフスタイルに合わせた最適な治療法を見つける参考にしてください。 保存療法・装具療法・手術療法の違いと判断基準 保存療法・装具療法・手術療法の違いと判断基準は、以下の通りです。 治療方法 内容 判断基準 保存療法 ・安静にする ・痛み止めを飲む ・湿布を貼る ・リハビリを行う ・軽度の痛みがある ・発症初期の段階 ・痛みが軽く日常生活に支障がない 装具療法 ・手首用のサポーターやギプスで患部を固定する ・軽度から中程度の痛みがある ・保存療法で症状が改善しない場合 手術療法 ・関節鏡視下手術を行う ・尺骨短縮術を行う ・TFCC再建術を行う ・重度の痛みがある ・保存療法や装具療法で改善しない場合 TFCC損傷治療は、軽度なら安静や薬物療法、リハビリの保存療法が基本です。 また保存療法で症状が改善しない場合は、手首を固定するサポーターやギプスを用いる装具療法が有効です。 保存療法や装具療法でも改善しない、または損傷が重度な場合は、手術療法で修復や機能改善を目指します。 治療法の選択は、症状の程度や損傷部位、患者様の活動性により医師が総合的に判断します。 再生医療によるTFCC損傷の治療について 近年注目されている再生医療は、TFCC損傷に対する新たな治療法として期待されています。 再生医療は、患者自身の幹細胞などを活用し、損傷した組織の自己修復能力を高めることを目的とします。 リペアセルクリニックでは、この再生医療に基づき、TFCC損傷に対して幹細胞培養上清液治療やPRP(多血小板血漿)療法などを提供しています。 これらの治療は、手術を避けたい方や、従来の保存療法で改善が見られない方におすすめです。 損傷した組織の再生を促し、根本的な回復を目指せる可能性を秘めています。 TFCC損傷に対する再生医療の詳細を知りたい方は、リペアセルクリニックのメール相談・オンライン診療にてご相談ください。 TFCC損傷の特徴を理解し、正しい処置を行いゴルフを楽しもう TFCC損傷は、ゴルフで手首に負担を与えることで起こります。 この損傷を理解し、適切な処置を行うことが重要です。 TFCC損傷は手首の小指側が損傷する症状 原因は手首のねじれと不適切なフォーム 予防のために手の使い方や正しいフォームを理解する 保存療法や装具療法で治らない場合は再生医療を検討する もしTFCC損傷による痛みが続く場合は、再生医療も選択肢に入れてみましょう。 リペアセルクリニックでは、患者様の幹細胞を活用することで、損傷した組織の回復させる治療を行っています。 TFCC損傷にお悩みの方は、当院のメール相談・オンライン診療にてご相談ください。
2019.11.30 -
- 肘
- 肘頭滑液包炎
肘の痛みや腫れで病院を受診し、「肘頭滑液包炎」と診断されたものの軽症のためサポータの活用などの安静指示のみで終わるケースは少なくありません。 しかし、日常生活や仕事では肘を動かさないのは難しく、自分に適したサポーターを選びたいと考えている方も多くいらっしゃるかと思います。 そこで本記事では、自分の症状や生活環境に合ったサポーターの選び方や、正しい使い方を詳しく紹介していきます。 サポーターは単なる補助具ではなく、症状を悪化させずに「普段通りの生活」を取り戻すための大切なツールです。 ぜひこの記事を参考に、自分に合った対処法を見つけてください。 また当院リペアセルクリニックの公式LINEでは、肘頭滑液包炎の症状に不安を持つ方に向けて、再生医療の症例や治療内容を紹介しています。 手術を回避し、より早く日常生活へ復帰したい方はぜひご確認ください。 肘頭滑液包炎におすすめのサポーターの選び方 肘頭滑液包炎に適したサポーターを選ぶ際は、「固定力」と「快適性」のバランスを重視することが重要です。 症状の悪化を防ぎ、回復を促すためには、自身の状態や生活環境に合ったサポーターを選定する必要があります。 固定力と可動域のバランスを重視する 素材・通気性・装着感などを比較する 下記ではサポーターのおすすめの選び方を解説していくので、ぜひ参考にしてみてください。 固定力と可動域のバランスを重視する 肘頭滑液包炎に対応したサポーターを選ぶ際には、患部を安定させる固定力が重要です。 過度な固定は日常生活に支障をきたし、逆に固定力が弱すぎると炎症が悪化する恐れがあります。 肘頭滑液包炎は、肘を過度に使うことで滑液包(関節の滑らかな動きを助ける液体が入った袋)が炎症を起こす疾患です。 そのため、安静が最優先の対処法とされており、以下を参考にサポーターによって動きを制限することが症状の進行を抑えるカギとなります。 高い固定力を持つサポーターがおすすめの人 ↳腫れが強く、動かすだけで痛みが出る人 ↳炎症が慢性化しやすく、再発を繰り返している人 可動性が高いサポーターがおすすめの人 ↳軽度の炎症で、日常生活や仕事を続けたい人 ↳家事やデスクワークなど、ある程度肘を使う必要がある人 上記のように、症状の段階や日常生活での使い方に応じて、サポーターの「固定力と可動域」を適切に見極めることが、肘頭滑液包炎の悪化防止と回復促進のために欠かせないポイントです。 素材・通気性・装着感などを比較する 肘頭滑液包炎に使用するサポーターは、固定力だけでなく、「素材・通気性・装着感」といった使用時の快適さも重要です。 これらの要素が不足していると、かえって皮膚トラブルや長時間装着による不快感を引き起こし、継続使用が困難になる場合があります。 チェックしたい素材・通気性・装着感のポイントは以下の通りです。 項目 特徴・ポイント ネオプレン素材 高い固定力・保温性あり。蒸れやすく夏は不向き ナイロン+ポリウレタン素材 伸縮性と通気性に優れ、快適なフィット感 綿混素材 肌にやさしく吸湿性も高いが、固定力は弱め 通気性 蒸れを防ぎ、長時間の装着でも快適。特に夏場に重要 スリーブタイプ 肘全体を包み、軽度の症状に適した装着感 ベルト・バンドタイプ 一点集中の圧迫が可能。部分的なサポートに有効 その他の工夫 滑り止めや肌にやさしい縫製で快適性アップ 快適に使えるサポーターを選ぶことは、肘頭滑液包炎の継続的な対処と症状の回復に大きく影響します。 素材や通気性、装着感にも注目し、自分に合った製品を選びましょう。 肘頭滑液包炎の治療中は肘を動かさないようにすることが重要 肘頭滑液包炎は、肘関節の滑液包にたくさんの滑液がたまり、炎症を起こしている状態です。 滑液の過剰分泌の原因の1つは、肘への刺激です。 そのため、治療中は肘を動かさないようにすることが重要です。 滑液包は関節の中の緩衝材とも呼べる組織で、関節を動かすことによって刺激を受けます。 滑液を注射で抜き取るという治療を行った後も、動かしてしまうと肘頭滑液包炎を再発させてしまいます。 再発を予防するためにも、治療の後は患部を安静にするようにしましょう。 肘頭滑液包炎に効果的なサポーター・テーピングの活用方法 肘関節のサポートをするサポーターやテーピングは、肘の曲げ伸ばしの負担を軽減してくれます。 以下では、具体的なテーピング方法とサポーターの活用方法をご紹介します。 【サポーターの活用方法】 サポーターは「肘頭(肘の突起部)」をしっかり覆うように装着し、ずれないよう固定しましょう。 圧迫が強すぎると血行障害を引き起こすため、「心地よい締めつけ感」を意識することが大切です。 使用前に必ず製品付属の説明書を確認することが重要です。 テーピングの活用方法は以下の通りです。 【テーピングの方法】 巻く順番は腕 → 二の腕に向かって巻き上げるイメージです。 テープの幅1本分の隙間を作り腕にテープを巻き始めます。 2~3周かけて肘の内側まで巻き上げたら、肘の内側を斜めに横断するように二の腕側に移ります。 二の腕側でも2~3周巻き、巻き上げたときのテープとXになるようにクロスし、腕側へ戻りましょう。 腕側で1周、二の腕側でさらに1周巻いた後、テープをしっかり密着させれば完成です。 ※ポイントは肘の外側にテープを巻かないように気を付けることです。 正しく選んで、正しく使えば、サポーターは肘頭滑液包炎のセルフケアにおいて心強いパートナーになります。 自身の症状や生活スタイルに合った使い方を意識し、無理なく改善を目指しましょう。 肘頭滑液包炎の治療方法について 肘頭滑液包炎の治療は、症状の程度や発症原因に応じて「保存療法」と「医療的処置」が基本となります。 保存療法が第一選択とされており、安静・冷却・圧迫といった日常的な対処が症状の改善に有効です ただし、痛みや腫れが強く、日常生活に支障をきたす場合には医師の診断を受け、必要に応じて穿刺(せんし)や注射といった医療処置が行われます。 症状が軽度であれば、自己管理とサポーターの併用によって多くのケースで改善可能です。 ただし、痛みが強くなる、腫れが引かない、熱感が続くといった症状があれば、早めに整形外科を受診しましょう。 早期の適切な対処が、肘頭滑液包炎の早期回復と再発予防につながります。 自己治癒力を高める再生医療という選択肢 肘頭滑液包炎の症状が慢性化していたり、保存療法や薬物治療で改善が見られない場合には、「自己治癒力」に着目した再生医療という選択肢も注目されています。 肘頭滑液包炎は基本的に保存療法で回復が見込まれる疾患ですが、症状が長引くケースや再発を繰り返すケースでは、治癒力そのものが低下している可能性があります。 そんなとき、有効な選択肢の一つとして挙げられるのが、幹細胞(かんさいぼう)治療などの再生医療です。 「自己由来の幹細胞」を活用した治療は、自分の脂肪組織や骨髄などから採取した細胞を使うため、拒絶反応が起きにくいという特徴があります。 肘関節は日常的に使用頻度が高いため、安静を保つのが難しい部位です。 そのため、再発防止や根本的な組織修復を目指す再生医療は、肘頭滑液包炎の長期的な改善を求める方にとって魅力的な選択肢となり得ます。 従来の治療で満足な効果が得られなかった方や、できる限り自然な形で症状を改善したいと考える方にとって、再生医療は新たな希望となる選択肢といえるでしょう。 自分に合ったサポーターで肘頭滑液包炎を悪化させない対策を行おう 肘頭滑液包炎は、初期の対応と継続的なセルフケアによって、症状の悪化を防ぎながら日常生活を維持できる疾患です。 そのためには、「自分に合ったサポーター」を選び、正しく活用することが非常に重要です。 症状が軽度のうちからサポーターを正しく使用することで、悪化の予防や再発防止にもつながります 逆に、自己判断で合わない製品を使い続けたり、無理に動かしてしまうと、炎症の長期化や慢性化を招くおそれもあるため注意が必要です。 サポーターや保存療法で十分な改善が得られない場合には、リペアセルクリニックが提供する「再生医療」という新しい選択肢も検討してみるのがおすすめです。 リペアセルクリニックでは、自己由来の幹細胞を用いた治療によって、滑液包の慢性的な炎症を内側から抑制し、自己治癒力を高めながら回復を促す治療を行っています。 サポーターという手軽な対処から始めつつ、必要に応じて再生医療のような専門的ケアも視野に入れることで、改善の道が広がります。 最適な方法で、肘の痛みに悩まされない生活を取り戻しましょう。
2019.10.04 -
- 肘
- 肘頭滑液包炎
肘がブヨブヨに腫れて痛い原因は肘頭滑液包炎(ちゅうとうかつえきほうえん)の可能性があります。腫れや痛みが進行すると、日常生活や仕事に支障をきたすこともあるため、原因や対処法を知っておくことが大切です。 本記事では肘頭滑液包炎の症状や治療法を紹介します。 また、肘の痛みを根本的に治療できる再生医療についても紹介します。肘の問題解決の参考として、ぜひ最後までご覧ください。 肘がブヨブヨに腫れて痛い原因は肘頭滑液包炎の可能性あり 肘がブヨブヨに腫れて痛い原因として考えられるのが、肘頭滑液包炎と呼ばれる疾患です。読み方は「ちゅうとうかつえきほうえん」です。 この「ぷよぷよ・ブヨブヨ」している訳は、関節を包んでいる滑液包の中に水(滑液)がたまる現象が起きているからです。 以下で肘頭滑液包炎の症状・原因・治療方法を詳しく紹介します。 肘頭滑液包炎の症状・見た目 肘頭滑液包炎は、肘が腫れたり痛みが出たりする病気です。 たとえば、転倒した際に肘を強く打つ・繰り返し肘が圧迫されると、肘頭滑液包炎になる可能性があります。また、肘がぷよぷよ・ブヨブヨに腫れる点も肘頭滑液包炎の特徴です。 肘頭滑液包炎になる原因 肘頭滑液包炎は、肘の滑液包に炎症が生じる病気です。この炎症はさまざまな原因で引き起こされます。 肘頭滑液包炎の原因 特徴 細菌感染による炎症 肘頭滑液包炎の主な原因 外傷や動物に噛まれることなどで細菌が侵入、炎症を起きる 黄色ブドウ球菌による感染も見られる(強い痛みや腫れが特徴) 肘の過度な使用 肘を頻繁に使う動作や姿勢が要因 動作や姿勢で滑液包に負荷をかけ、炎症を引き起こす 外傷と刺激 肘をぶつける、擦るなどが要因(打撲・捻挫など) 繰り返しの強い刺激や圧迫で炎症を起こす 炎症性疾患 リウマチや痛風などが主な要因 体内で炎症を引き起こしやすい 痛風の場合は尿酸結晶が滑液包に溜まることもある その他の原因 特定の誘因がないにもかかわらず発症 体質や健康状態が影響する(免疫力の低下など) それぞれの原因に対して適切な予防策を講じることで、炎症を防げます。肘を守るためにも、日常生活やスポーツにおける肘の使い方には注意が必要です。 滑液包とは 滑液包(かつえきほう)は、人体の関節や腱の周りにある小さな袋状の組織です。滑膜と呼ばれる内膜に包まれ、中には少量の滑液が入っています。滑液包は関節部に多く、主に腱と骨・筋と骨・皮膚と骨の間に存在します。 これらの場所では、動作によって構造同士がこすれ合うことが多く、滑液包がクッションの役割を果たして摩擦を軽減します。 肘頭滑液包炎の治療方法 肘頭滑液包炎の治療方法は、保存療法・手術療法・投薬療法の3つです。くわえて、治療に役立つ滑液の検査が存在します。症状や状態にあわせて、それぞれの治療法を専門医が選択します。 以下で治療法を詳しく解説するので、治療のイメージをつけていただけると幸いです。 保存療法 肘頭滑液包炎の主な治療方法は保存療法です。 保存療法の内容 滑液包内の液体過剰の場合 注射で液体を吸引除去 感染による滑液包炎の場合 抗生物質の投与 感染のない滑液包炎の場合 肘の挙上 冷却療法 圧迫 液体を吸引除去 非ステロイド性抗炎症薬 ステロイド注射 上記のように専門医の判断の下、症状に応じて適切な保存的治療を選択します。 手術療法 保存的な治療で改善しない場合は、手術による治療が検討されます。 感染が続く場合、手術で直接感染部分を取り除くこともあります。対して、感染でない場合は以下の手術を行うことがあります。 手術は症状の改善と再発の予防に期待できますが、侵襲的(患者さんの体に直接的に手を加える)な治療です。 そのため、患者さんの状態を十分に評価し、的確な手術方法を慎重に検討する流れになります。 投薬療法 滑液包炎が感染によるものであれば、抗生物質の使用が一般的です。 一方で感染が原因でない場合は、以下の方法で炎症を抑えます。 感染でない場合には、液体を抜き取ることに加えて、ステロイドによる注入も検討します。これにより、顕著な炎症を抑制できます。 抜き取った滑液の検査 滑液包炎は、滑液が出血を伴って貯留する特徴があります。 局所的に発赤や熱感を伴う場合には、滑液を穿刺(せんし)による細菌培養検査の実施が推奨されます。検査の内容に応じて感染の有無を確認できるため、適切な治療を行えます。 肘頭滑液包炎の予防方法 肘頭滑液包炎の原因が肘の過度な使用や刺激の場合、肘を安静にして動かさないようにしましょう。 炎症を起こしている滑液包は刺激に敏感なので、関節を動かしてしまうと肘頭滑液包炎が再発してしまう場合があります。 具体的には、テーピングや副子(そえこ)と呼ばれる板のような装具で固定します。テーピングを使用する場合は肘を軽く曲げ、腕から二の腕に向かって固定するイメージで行いましょう。 詳しいテーピングの方法は以下の記事にまとめていますので、参考にしてみてください。 肘頭滑液包炎と似ている蜂窩織炎との違いについて 肘頭滑液包炎と症状が似ている蜂窩織炎(ほうかしきえん)との違いについて以下の表にまとめました。 どちらも痛みを伴い赤く腫れる病気ですが、腫れの範囲や症状が異なります。 比較項目 肘頭滑液包炎 蜂窩織炎 主な原因 外傷や過度の使用、感染症 細菌による感染症 腫れの範囲 局所的 広い 症状 痛み、腫れ、感染症の場合は熱感 痛み、腫れ、赤み、腫れている部位が熱を持っている、押すと痛みを感じる 肘頭滑液包炎は腫れている部位が狭く、赤みはありません。受診の際の参考にしてみてください。 肘がブヨブヨに腫れて痛い方からよくある質問 肘がブヨブヨに腫れて痛む症状に悩む方々から、さまざまな質問が寄せられています。 この項目ではそうした疑問に答え、適切な対処法や治療の選択肢について解説します。 注射による吸引は癖になる? 注射による吸引治療は一時的に症状を緩和できます。滑液吸引自体に依存性はありませんが、滑液は再びたまることもあり、これが癖になると感じられる要因です。 ここで理解しておきたい点としては、「何度も水を抜くから炎症が慢性化するのではなく、炎症が慢性化しているために何度も水がたまる」ことで、決して癖になっている訳ではありません。 慢性化した滑液包炎の場合、根本的な原因を取り除くことが必要です。物理的な刺激を避け、原因となる疾患の治療に力を入れることが大切です。 肘が腫れて痛いときは何科を受診すれば良い? 肘が腫れて痛む場合は、整形外科の受診をおすすめします。 整形外科医は、筋骨格系の専門家として肘の腫れや痛みの原因を適切に診断し、適切な治療法を提案できます。症状の原因が肘頭滑液包炎や関節炎、腱炎などの場合、整形外科で適切な診断と治療を受けられます。 肘に水がたまる肘頭滑液包炎は自然に治癒する? 肘頭滑液包炎は、適切なケアと時間があれば自然に治癒する可能性があります。しかし、個人差が大きく、症状の程度や原因によって治癒までの期間が異なります。 軽度の場合は安静や冷却などの保存療法を講じ、数週間で改善する傾向にあります。ただし、重度の場合や繰り返し発症する慢性的な状態では、自然治癒が困難なケースもあります。 また、長期間放置すると、滑液包の肥厚や線維化が進行し、完全な回復が難しくなる可能性もあります。そのため、症状が長期間続く場合や、痛みが強い場合は、医療機関を受診し、適切な治療を受けることが重要です。 肘がブヨブヨに腫れているけど痛くないときは? 肘がブヨブヨに腫れているが痛みがない場合、慢性的な肘頭滑液包炎や別の病態の可能性があります。 痛みがないからといって軽視せず、適切な対応が必要です。慢性的な肘頭滑液包炎では、急性期の炎症が落ち着いた後も滑液包内に液体が貯留し続け、痛みを伴わないブヨブヨとした腫れが残ることがあります。 そのため、痛みがなくても油断は禁物です。炎症が起きているから水が貯まることを理解し、医療機関を受診しましょう。 繰り返す肘頭滑液包炎を治療するには? 肘頭滑液包炎は、肘を安静にしていないと再発してしまう可能性がある病気です。腫れを繰り返してしまう場合は、再生医療による治療も検討してみましょう。 再生医療とは自身のお腹の脂肪から幹細胞を抽出し、点滴や注射で患部に送り込む治療法です。幹細胞は、骨や筋肉などさまざまな細胞に変化する能力があります。そのため、手術をしないで肘頭滑液包炎による痛みを根本から解決できる可能性があります。 当院では、再生医療を取り扱っていますのでお気軽にお問い合わせください。 肘のブヨブヨした腫れと痛みが続く場合は整形外科を受診 肘頭滑液包炎は、肘の周囲にある滑液包が炎症を起こす病気です。肘の外傷や過度の使用・感染・または基礎疾患によって引き起こされ、腫れや痛みが伴います。 症状が長引く場合は、整形外科の受診を検討しましょう。肘頭滑液包炎を防ぐためにも適切な姿勢や動作を心掛け、肘頭の外傷を防ぐ意識も大切です。 また、肘の痛みにお悩みの方は再生医療による治療も選択肢の一つです。手術を伴わず、低リスクで早期の完治が期待できます。
2019.09.30 -
- 肘
- 再生治療
野球の練習で肘に負担をかけると、野球肘になるケースがあります。 成長期の子どもが野球肘になった場合、「チームに置いていかれる」などの不安を感じてしまうため、適切な治療とともにメンタルケアも必要です。 野球肘が軽症であれば、肘に負担がかかりにくい練習メニューや、リハビリを実践するとよいでしょう。 痛みを我慢して練習を続けると、肘の手術が必要になる可能性があるため、チームへの復帰が遠ざかる恐れも。 本記事では、野球肘でも実践できる練習メニューや、再発を防ぐストレッチなどをわかりやすく解説します。 野球肘が慢性化し、手術を検討している方は、切らない治療方法も参考にしてみてください。 また当院リペアセルクリニックの公式LINEでは、野球肘が慢性化して不安を持つ方に向けて、再生医療の症例や治療内容を紹介しています。 手術を回避し、より早く日常生活へ復帰するために、ぜひご確認ください。 野球肘でも実践できる練習メニューをフェーズ別に紹介 野球肘になった場合は、以下のフェーズに応じた練習メニューを実践できます。 肘に痛みがあるときは無理をせず、ストレッチや下半身の強化に専念しましょう。 チーム練習に参加できない時期は焦りを感じるかもしれませんが、柔軟性やフォームを改善するよい機会です。 具体的な練習メニューは以下のようになるので、根気強く続けていきましょう。 【初期】痛みがある時期の練習方法 野球肘の初期段階で痛みがある場合は、まず肘を安静に保ちます。 チーム練習への復帰が少しでも早くなるよう、肘以外の部位を以下の練習方法で鍛えておきましょう。 初期の練習方法 具体的な内容 心肺機能のトレーニング ・ランニングやサイクリングなど 肩関節の可動域改善 ・肩甲骨はがしなど 体幹の安定性を高める運動 ・腹横筋のドローインなど(手順は以下のとおり) 1.膝を立てて仰向けに寝る 2.鼻から息を吸い込み、お腹を大きく膨らませる 3.口から息を吐き、お腹をへこませる 4.お腹がへこんだ状態でゆっくりと呼吸を続ける ランニングなどの有酸素運動を続けると、基礎体力や心肺機能が高まるため、チーム練習に復帰する際の土台づくりになります。 ピッチングには肩回りの柔軟性が求められるので、肩関節を大きく回す運動や、肩甲骨はがしを続けてみましょう。 腹横筋のドローインなどで体幹を鍛えておけば、姿勢やバランス感覚の改善も可能です。 野球肘になるまでの練習が、投球の繰り返しや筋力強化に偏っていた場合は、柔軟性を高めるトレーニングも意識してみましょう。 肩関節や股関節の可動域も改善すると、ケガをしにくい状態で本格的な練習を再開できる可能性があります。 【中期】痛みが引き始めた時期の練習方法 野球肘が中期となり、痛みが引き始めたら、以下の練習方法を実践してみましょう。 中期の練習方法 具体的な内容 チューブやダンベルを使った筋力トレーニング ・肩回りや前腕の筋力強化 ・肩の奥の筋肉(インナーマッスル)の強化 シャドーピッチング ・投球フォームの確認と改善 体幹トレーニング ・サイドプランク(腹斜筋や中殿筋などの強化) ・スクワット キャッチボール ・10m程度の距離からスタート ・全身を使ってボールを投げる 中期の練習では体幹と筋力を強化し、チーム練習への復帰に備えます。 肩回りや前腕を鍛える際は、チューブなどを掴んで軽い負荷をかけ、肘を曲げたまま外側や内側の方向に引っ張ります。 トレーニング用のチューブやダンベルがないときは、水を入れたペットボトルで代用しても構いません。 投球フォームに問題がある場合は、全身が写る鏡の前でシャドーピッチングを始めてみましょう。 キャッチボールの際にもフォームを意識し、全身を使って投げるように意識すると、肘にかかる負担を軽減できます。 【後期】復帰前の準備 野球肘が後期の段階となり、痛みを感じなくなったときは、以下の練習方法を実践します。 後期の練習方法 具体的な内容 キャッチボール ・距離を20mや30mに伸ばす ブルペン投球 ・60~70%程度の力で投球 ・コーチに投球フォームをチェックしてもらう 打撃や守備練習 ・シート打撃やシートノック キャッチボールは距離を伸ばしますが、中期のフェーズと同じく、力まない投球フォームを意識してみましょう。 ブルペン投球では野球肘が再発しないよう、練習1回あたりの投球数を30球程度に抑える必要も。 連投も肘に負担がかかってしまうので、投球練習の後は、1日以上の休みを入れるとよいでしょう。 野球肘は打撃にも影響しやすいため、バッティングの際に痛みを感じたときは、練習を中止する必要があります。 痛みを我慢して練習を続けると、治療期間がさらに長くなるので要注意です。 野球肘の原因や仕組みをわかりやすく解説 野球肘とは、反復的な投球動作で肘に負担がかかり、痛みや違和感などを引き起こす症状です。 成長期の子どもが野球肘になった場合は、主に以下の原因が考えられます。 小学生の投球数は1日あたり70球以内が目安となっており、中学生の場合は1日80球以内です。 子どもは骨や靭帯が十分に発達していないため、過度な投球数は肘に大きな負担がかかります。 投球フォームの悪さも肘に悪影響を与えやすいので、下半身が活かされていない手投げや、肘下がりのフォームが野球肘を引き起こす可能性も。 体全体の筋力バランスが悪く、柔軟性も低い場合は、肘だけに負担がかかってしまうケースがあります。 また、肘の外側が痛むときは「上腕骨小頭離断性骨軟骨炎」、内側の痛みは「内側側副靭帯の損傷」などが考えられるため、それぞれ治療方法が異なります。 肘に痛みや違和感があり、野球肘が疑われる場合は、早めに医療機関の診察を受けておきましょう。 野球肘の再発を防ぐ!ストレッチ・リハビリ習慣を紹介 野球肘はクセになりやすいので、ストレッチやリハビリの継続をおすすめします。 以下のストレッチやリハビリを習慣化すると、野球肘の再発防止を期待できます。 ストレッチやリハビリの種類 手順 肘のストレッチ 1.腕の体の前に出して手の甲を天井に向ける 2.手首を天井の方向に逸らす 3.反対側の手で指先を掴み、体の方向へ引っ張る 4.次に手のひらをひっくり返し、机などに押し付ける 5.ゆっくりと体重をかけ、肘の内側を伸ばす 手根屈筋のストレッチ 1.腕を体の前に伸ばし、手の甲を天井に向ける 2.反対側の手で肘の内側の中央を掴む 3.親指で肌を押しながら、上下方向にマッサージする 肩甲骨のストレッチ 【パターン1】 1.両腕の指先を肩にあてる 2.肘で円を描くように大きく腕を回す(10回程度) 3.同じ要領で逆方向にも腕を回す 【パターン2】 1.手のひらを天井に向け、両腕の肘と手のひらをくっつける 2.腕を後方に向けて開き、胸を張った状態を10秒間キープ 股関節のストレッチ 1.両脚を伸ばして床に腰を下ろす 2.左膝を曲げて足の裏を右足の内ももにくっつける 3.前屈しながら左手を右足のつま先に向けて伸ばし、10秒間キープする 4.同じ要領で反対側の体側も伸ばす 野球肘のリハビリ ・投球練習の後は肘の安静を保つ ・氷などで肘を冷やし、炎症を抑える 急激なストレッチは筋肉を痛める可能性があるので、1セットを10秒以内やや30秒以内にとどめ、じっくりとほぐしていきましょう。 体全体の柔軟性が高まると、投球の際に肘の負担を抑えられます。 連投はなるべく控え、練習後は氷や冷却シートで肘を冷やしておきましょう。 野球肘でもプレーを続ける工夫について紹介 野球肘になった子どもがプレーを続ける場合、コーチや保護者の協力が必要です。 リハビリやストレッチはすぐに効果が現れないため、プロのスポーツ選手でも焦りを感じてしまうケースがあります。 前向きな気持ちでリハビリを行い、チームへの復帰を目指すためには、親子で以下のコミュニケーションをとっておきましょう。 股関節などのストレッチは野球肘と無関係に思えるので、必ず可動域改善の目的を伝えましょう。 「痛みが引いてきた」「球速が上がった」など、肘の回復を実感できれば、自発的にストレッチやトレーニングを継続してくれる可能性があります。 治療に専念している期間は、親子で釣りやドライブに行くなど、野球以外の楽しみを探してもよいでしょう。 効果的な治療方法がわからない場合は、専門医への相談をおすすめします。 野球肘の治療について 野球肘を治療する場合、軽症の段階では安静やアイシングなどの処置を行います。 しかし、初期対応の効果が現れず、肘の痛みが慢性化したときは、以下の方法で治療する可能性があります。 装具療法は患部の安静を目的としているため、練習の再開とともに、野球肘も再発する恐れがあります。 ステロイド注射は痛みの緩和に効果的ですが、腱(筋肉の先端で骨に固着する部分)の断裂を引き起こす可能性があるので、慎重な判断が必要です。 また、手術は子どもの精神面に与える影響が大きく、入院が必要になった場合は、期末テストなどを受けられない可能性も。 野球肘が重症化すると、治療方法が限られてしまうので要注意です。 肘に痛みや違和感があるときは、早めに専門医の診察を受けておきましょう。 野球肘の治療に対する「再生医療」という選択肢 野球肘を根本的に治療したいときは、「再生医療」を選択肢に入れてみるとよいでしょう。 再生医療には以下の特徴があるため、プロスポーツ選手にも活用されている治療方法です。 幹細胞には筋や腱などの組織を修復する働きがあり、再生医療は患部への注射や点滴のみとなるため、手術や入院を必要としません。 自分の幹細胞を活用すると、拒絶反応やアレルギー反応のリスクを低減できます。 子どもが手術を受け入れられない場合や、チーム練習に早く合流させたいときは、再生医療で解決できる可能性があります。 リペアセルクリニックも再生医療を導入しており、症状によっては日帰り治療が可能です。 再生医療は最新技術の治療方法になるため、より詳しい情報を知りたい方は、リペアセルクリニックの専門医にご相談ください。 野球肘のリハビリ・予防には適切な練習と治療が重要 初期の野球肘は安静やアイシングで対処しますが、筋力や体の柔軟性に変化がなければ、すぐに再発する恐れがあります。 野球肘を投げながら治す場合は、投球数を管理し、肘以外の筋力や関節の柔軟性も高めていきましょう。 肘に負担をかけない練習や、適切な治療を続けると、チーム復帰が早くなる可能性もあります。 また、成長期の子どもは大きな可能性を秘めているので、「プロを目指したい」などの夢があれば、ぜひリペアセルクリニックの再生医療もご検討ください。 リペアセルクリニックには以下の特徴があり、専門医が患者一人ひとりに寄り添った治療方法をご提案します。 初診時のカウンセリングには60分程度の時間をとっており、治療も完全予約制です。 クリニック内はカフェのようなインテリアなので、病院が苦手なお子様にも抵抗なくご利用いただけます。 野球肘の慢性化に悩む前に、ぜひリペアセルクリニックの無料カウンセリングを検討してみてください。
2019.09.30 -
- 肘頭滑液包炎
- 肘
肘頭滑液包炎の原因と症状、手術しなくても治るのか 肘頭滑液包炎をご存じですか?肘が腫れたり痛みが出たりする病気です。 例えば、転倒した時に肘を強くぶつけたり、繰り返し肘が圧迫される刺激が加わると、肘頭滑液包炎になる可能性があります。 今回は、肘頭滑液包炎になってしまった時、「どのような治療が必要なのか」「手術をしなくても治るのか」といったことについて解説しましょう。 肘頭滑液包炎の症状 ・肘の外側や内側に赤みや腫れが見られる ・肘を曲げ伸ばし、回したりすると痛みが出る ・肘の動きが制限される ・肘に触れると熱を持っている ・発熱や倦怠感などの全身に症状が出る(感染性の場合) 肘頭滑液包炎の治療と手術が必要な場合 肘にある滑液包が炎症を起こすことにより、黄色く透明な液が溜まり、関節が腫れた状態になるのが肘頭滑液包炎です。 肘を強くぶつけるなど、外傷が原因であれば、溜まった液には血液が混ざっている場合があります。初期の症状であれば注射針を刺して滑液包に溜まった液を抜き、圧迫包帯をして肘を安静に保つのが一般的な治療です。 また、炎症を鎮める飲み薬が出されることもあるでしょう。 しかし、注射針で滑液包に溜まった液を抜いても繰り返し腫れてしまう場合は、手術が必要になります。また、感染によって病気になってしまった場合にも手術が必要です。 手術が必要な場合 ・滑液包に溜まった液を抜いても ⇒ 繰り返し腫れてしまう場合 ・細菌やウイルスなどの感染が滑液包に及んで病気になってしまった場合 肘頭滑液包炎になる原因は? 肘頭滑液包炎は、肘の部分に何度も繰り返し機械的な刺激が加わるによって、炎症が起き、腫れや痛みが出る症状なので、例えば、畳職人によくみられます。 また、以下のような原因によっても発症することがあります。 肘頭滑液包炎の原因 ・外傷1:肘への強い衝撃や摩擦で滑液包が傷ついたり刺激される。転倒などで肘を強くぶつける。 ・外傷2:机や肘かけなどで長時間、圧迫や刺激が加わる ・反復動作:テニスやゴルフなどスポーツ。パソコン、楽器など肘を何度も曲げたり、伸ばしたり、回する動作で滑液包へ過度な負担。 ・感染:細菌やウイルスなどの感染が滑液包に及ぶと、化膿性の肘頭滑液包炎を引き起こす。 ・その他:血液透析を受けている患者さん(長時間同じ姿勢でベッドに寝ているので) このような原因が挙げられますが、感染が原因でない限り、初期の状態で治療を開始すれば、手術が必要になってしまうことはほとんどありません。 滑液包とは何? 滑液包は、腱や筋の間、筋と筋の間、腱と骨の間など関節の近くにあります。 関節が運動する際にさまざまな組織の摩擦が起きるのを減少し、滑らかな関節運動を助ける役割を持った袋状の組織で、袋の中には滑液という液体が入っています。この部分に炎症が起きると、しばしば黄色く透明な液が溜まってしまいます。 滑液包に溜まった液体は何度も抜くとクセになる? 肘頭滑液包炎によって炎症が長く続いてしまった場合には、滑液包に溜まった液体を何度も注射針で抜かなければいけなくなります。これが慢性化した状態です。 肘頭滑液包炎が慢性化した場合は、手術が必要です。 水を抜くとクセになると、よく耳にしますが、滑液包に液体が溜まるのは炎症による反応ですから、クセにはなりませんので安心してください。 まとめ・肘頭滑液包炎の原因と症状、手術しなくても治るのか 肘頭滑液包炎になってしまっても、初期に治療をしておけば、手術になる可能性は高くありません。 肘が炎症を起こさないように、同じ場所を繰り返し圧迫されるようなことは避けると予防になります。肘かけや肘をついて寝てしまったりすることなどに注意しましょう。 もし、肘に痛みが発生したり腫れを見つけたりしたら、早めに専門医に相談しましょう。 監修:リペアセルクリニック大阪院 こちらもご参照ください
2019.09.27 -
- 肘
「野球肘」と診断されたとき、「いつになったら、また野球ができるようになるのか」と不安になる方も多いでしょう。 本記事では、野球肘の治療期間の目安を症状別に解説します。 野球肘の痛みにお悩みの方、治療期間や復帰までの道のりについて知りたい方は、ぜひこの記事を参考にしてください。 また、当院リペアセルクリニックの公式LINEでは、野球肘をはじめとする肘関節の治療法として注目されている再生医療に関する情報を配信中です。 「野球肘を早く治したい」「治療期間を短くしたい」という方は、ぜひ再生医療がどのような治療を行うか知っておきましょう。 野球肘の治療期間【症状別】 「野球肘」は投球動作によって起こる肘関節のスポーツ外傷の総称で、痛む場所や損傷している組織によっていくつかの種類に分けられます。 そして、種類や重症度によって、治療にかかる期間や再びボールを投げられるようになるまでの道のりは異なります。 本章では、野球肘の代表的な症状別に、それぞれの治療期間の目安について解説していきます。 内側上顆裂離(リトルリーグ肘) 肘内側側副靭帯損傷 肘部管症候群 上腕骨小頭離断性骨軟骨炎 肘頭骨端線離開 ご自身の症状と照らし合わせ、治療期間の目安を把握しましょう。 内側上顆裂離(リトルリーグ肘) 内側上顆裂離(リトルリーグ肘)の治療期間は、1ヶ月~2ヶ月程度の投球中止と安静を中心とした保存療法で、良好な回復が期待できます。 項目 詳細 症状 肘の内側にある骨の出っ張り(内側上顆)の成長軟骨が、投球時の牽引力によって剥がれてしまう裂離骨折。 骨の成長がまだ完了していない、主に小中学生のピッチャーに多く見られる。 治療 基本的には1~2ヶ月の投球中止と安静。 痛みが強い場合は、2~4週間ほどギプスなどで肘を固定することもある。 軽症であれば短期間の休養で回復しますが、骨片の転位が大きい重症例では、長期の休養やまれに手術が検討されることもあります。 以下の記事では、野球少年が野球肘を発症した場合のリハビリや再発予防策について解説しているので、ぜひ参考にしてください。 肘内側側副靭帯損傷 肘内側側副靭帯損傷の治療期間は、部分的な断裂であれば1~3ヶ月の保存療法で回復が期待できます。 項目 詳細 症状 投球動作の繰り返しによって、肘の内側で関節を安定させている靭帯(内側側副靭帯:UCL)に過度な負荷がかかり、損傷したり、断裂したりするケガ。 肘関節のぐらつき(不安定感)や投球時の痛みが主な症状。 治療 まずは投球を中止し、アイシングやストレッチ、リハビリといった保存療法が行われる。 ただし、完全に断裂してしまい靭帯を再建する手術が必要な場合は、競技復帰までに約1年という長い時間が必要になります。 以下の記事では、靭帯を再建するトミージョン手術について詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。 肘部管症候群 「肘部管症候群」の治療期間は、保存療法で改善しない場合に行われる手術(肘部管解放術)を受けたとしても、術後約3ヶ月での競技復帰が目標となります。 項目 詳細 症状 肘内側の尺骨神経が圧迫される障害。 肘の内側の痛みや、小指と薬指にしびれが現れる。 治療 まずは投球を休止し、ストレッチなどの保存療法が行われる。 改善しない場合や麻痺が重い場合には、手術療法を行う。 重症化すると、手の小指側の筋力が低下する恐れもあります。 上腕骨小頭離断性骨軟骨炎 上腕骨小頭離断性骨軟骨炎の治療期間は、保存療法でも少なくとも6ヶ月以上の投球禁止が必要で、手術を行うと競技復帰まで8~9ヶ月程度かかることもあります。 項目 詳細 症状 肘の外側にある腕の骨(上腕骨小頭)の軟骨とその下の骨が、血流障害などによって部分的に壊死し、剥がれてしまう病気。 主に10歳前後の、骨がまだ成長段階にあるピッチャーに多く見られる。 治療 早期に発見できれば投球禁止などの保存療法で治癒可能。 進行すると、関節鏡視下での損傷組織の除去や骨軟骨移植など外科的治療が検討される。 注意すべき点は、初期の段階では痛みなどの自覚症状がほとんどないことです。 「沈黙の障害」とも呼ばれ、選手自身も指導者も気づかないうちに、水面下で病状が進行してしまうことが少なくありません。 壊死した骨軟骨が進行して、ついには「ポロッ」と剥がれ落ちてしまうと、そのかけらが関節の中を動き回る「関節ねずみ」という状態になります。 関節ねずみについては以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。 肘頭骨端線離開 「肘頭骨端線離開」の治療期間は、軽症であれば2週間~4週間程度の投球中止と安静で症状が改善することが多いです。 項目 詳細 症状 肘の後方の出っ張った骨である肘頭にある、骨が成長するための部分(骨端線)が、投球の繰り返しによって負担がかかり、剥がれてしまう障害。 投球時の肘の後方に痛みが生じる。 治療 多くの場合、投球を中止し、安静にすることで自然に治癒する。 骨端線のズレが大きい場合や保存療法で改善しない場合には、剥がれた骨片をボルトなどで固定する手術が検討される。 手術を行った場合はその後のリハビリも含め、競技に復帰するまでには3ヶ月程度の期間を見込む必要があります。 野球肘を早く治す方法 本章では、野球肘を早く治すための方法について解説します。 投球を休止して安静にする ストレッチや筋トレによるリハビリテーション 再生医療 野球肘と診断された選手やご家族にとって「どうすれば一日でも早く治せるのか」が気になることでしょう。 焦りは禁物ですが、着実に回復するための参考にしてください。 投球を休止して安静にする 野球肘を早く治すためには、痛みの原因となっている投球動作を中止し、肘を十分に休ませることが大切です。 【投球休止と安静の重要性】 痛みや違和感があるのに投げ続けると炎症や損傷が悪化する 結果として回復が長引き、復帰が遅れる恐れがある 軽症の野球肘なら、数週間から数ヶ月の投球休止で改善することも多い 肘の違和感が完全になくなるまで、投球練習や負担のかかる動作は避ける 痛みは、身体が発している「これ以上無理をしないでほしい」という警告のサインです。 身体のサインに耳を傾け、勇気をもって休養を優先することが、結果的に早くグラウンドへ復帰するための近道になります。 ストレッチや筋トレによるリハビリテーション 痛みが治まったら、医師の指示のもとでリハビリテーションを開始しましょう。 【野球肘のリハビリのポイント】 必ず医師の指示のもとでリハビリを開始する 肘周りのストレッチで、硬くなった関節の柔軟性を取り戻す 手首の運動などで前腕の筋肉を鍛え、肘の安定性を高める リハビリは自己流ではなく専門家の指導を受け、無理のない範囲で段階的に強度を上げていくことが大切です。 再生医療 野球肘の治療には、先端医療である再生医療という選択肢があります。 再生医療で行われる「幹細胞治療」や「PRP療法」は、スポーツへの早期復帰が目指せる治療法です。 それぞれの治療方法には、以下の特徴があります。 幹細胞治療 患者さま自身の脂肪組織や骨髄から採取・培養した幹細胞を損傷部位に投与する治療法。 幹細胞は損傷した組織や失われた機能の修復・再生を促す。 PRP療法 患者さま自身の血液から抽出した血小板を高濃度に濃縮し、損傷部位に注射する治療法。 血小板に含まれる成長因子が組織の修復を促進する。 当院「リペアセルクリニック」では、野球肘を含むスポーツ外傷に対する再生医療を行っています。 「野球肘を早く治して競技復帰したい方」は、手術や入院をせずに野球肘の改善を目指せる再生医療について知っておきましょう。 次の動画では、野球肘の再生治療について解説しているので、ぜひ参考にしてください。 野球肘を早く治すためにやってはいけないこと 野球肘を早く治すためにも、肘を悪化させてしまう以下の行動は避けましょう。 【野球肘を早く治すためにやってはいけないこと】 痛みを我慢して投げ続けること 自己流のフォーム修正を試みること 十分な休養を取らないこと 肘に負担をかける活動を続けること 早すぎる復帰をすること 野球肘は投球制限・休息により回復可能な障害ですが、無理をすると症状が悪化するリスクがあります。 痛みは身体からの警告信号なので、無理に投げ続けるのは避けて、医師の指示に従って十分な休養をとりましょう。 野球肘の治療期間に関するよくある質問 本章では、野球肘の治療期間についてよくある質問に回答していきます。 野球肘はどのくらいで回復する? 野球肘かチェックする方法は? 野球肘を自分で治す方法は? 野球肘はストレッチで治る? 野球肘はどのくらいで回復する? 野球肘が回復するまでの期間は症状の程度によって大きく異なり、軽い場合は2週間~4週間程度の投球休止で改善します。 重症で手術が必要な場合には、競技復帰まで約1年かかることもあります。 大切なのは、肘に違和感を覚えたらできるだけ早い段階で医療機関を受診し、重症化する前に対処を始めることです。 痛みを我慢して投げ続けることは、結果的に回復を長引かせてしまうということを覚えておきましょう。 野球肘かチェックする方法は? 「もしかして野球肘かも?」と感じたときに、ご自身で確認できるセルフチェックのポイントをご紹介します。 以下のサインに一つでも当てはまる場合は、野球肘の可能性が考えられるため注意が必要です。 ボールを投げる瞬間に肘の内側や外側に痛みが走る 投げ終えた直後は痛むが、休んでいると痛みが消える 肘の曲げ伸ばしが、どこかぎこちなくスムーズに動かない 投げ込みの日など、球数が増えるにつれて痛みが強くなる キャッチボールをしていないときでも、肘に痛みが残っている 思い切り腕を振っているつもりでも、ボールのスピードやキレが明らかに落ちた 野球肘の初期段階でよく見られる落とし穴は、練習をやめると痛みが引いてしまうことです。 「初めて痛みを感じた」「いつもと違う違和感がある」と感じたら投球を中止し、できるだけ早く整形外科などの専門医療機関を受診しましょう。 野球肘を自分で治す方法は? 野球肘を自己判断だけで完全に治すことはできませんが、セルフケアを行うことで症状を和らげることは可能です。 【野球肘に対するセルフケア】 アイシングで炎症と痛みを抑える 投球を休み、肘を安静に保つ 痛みが引いたら、医師の指導のもとでストレッチや軽い筋トレを行う ただし、セルフケアは、あくまで回復を「サポートする」ためのものです。 痛みが長引く場合や、どのようなケアをすれば良いか不安な場合は、自己判断で無理をせず、必ず整形外科などの医療機関を受診し、専門家の診断と指導を受けるようにしてください。 野球肘はストレッチで治る? 残念ながら、ストレッチだけで野球肘を完全に治すことはできません。 しかし、ストレッチは野球肘の予防や、治療後のリハビリの一環として痛みを軽減させるためには有効な手段です。 野球肘は骨や軟骨・靭帯といった組織に炎症が起きている状態です。 そのため、まずは原因となっている投球動作を休止し、患部を安静にすることが重要です。 野球肘の治療期間を短くするには休養と適切な治療が重要 野球肘の治療期間は症状によって大きく異なり、軽症であれば数週間から1〜2ヶ月、重症で手術が必要な場合には競技復帰まで1年近くかかることもあります。 早く治すためには、肘に痛みや違和感を覚えたらすぐに投球を中止し、専門の医療機関を受診して、適切な治療と十分な休養をとることが重要です。 痛みを我慢して投げ続けることは回復を遅らせるだけでなく、選手生命に関わる深刻な事態を招く恐れもあります。 従来の治療法でなかなか改善しない、一日でも早く競技に復帰したい方には、「再生医療」という選択肢もあります。 手術や入院をせずに治療が可能で、早期の回復が期待できます。 つらい肘の痛みを諦める前に、ぜひ当院リペアセルクリニックにご相談ください。
2019.09.09 -
- 肘
「トミージョン手術」は、大谷翔平選手が受けたことで有名になり、報道などで名称を知った方も多いでしょう。 本記事では、トミージョン手術とはどのような手術なのかを詳しく解説します。 治療に必要な期間や費用についても説明しているので、肘の痛みや靭帯損傷にお困りの方は、ぜひ参考にしてください。 当院リペアセルクリニックの公式LINEでは、靭帯損傷をはじめとする肘の痛み症状改善に期待できる再生医療について情報を配信しています。 手術や入院せずに治療できる方法として注目されているため「肘を手術せずに治したい」という方は、ぜひご覧ください。 トミージョン手術とは? 「トミージョン手術」とは、肘の内側にある靭帯が損傷したときに、靭帯を再建する手術のことです。 本章では、トミージョン手術とはどのような手術なのか詳しく解説していきます。 トミージョン手術の治療内容 トミージョン手術のの歴史 トミージョン手術は、多くの野球選手が受けている手術の一つです。 ボールを投げる動作において、ボールが手から離れる瞬間に肘にかかる力が体重の約8倍といわれており、繰り返し投球することで靭帯損傷につながります。 以下では、多くの野球選手に選ばれているトミージョン手術の内容について解説していきます。 トミージョン手術の治療内容 トミージョン手術では、患者さま本人の前腕や太ももから腱を採取して肘に移植し、損傷した肘の側副靱帯を再建します。 肘の両側には、肘関節を安定させるための「外側側副靭帯」と「内側側副靭帯」があります。 側副靭帯を損傷すると、肘の曲げ伸ばしをするときに痛みを感じたり、肘を曲げられなくなったりするといった症状が見られます。 ボールを頻繁に投球するなどの肘に多くの負荷がかかる野球選手が靭帯損傷を起こしやすく、多くの有名選手がトミージョン手術を受けています。 移植には自分の腱を使うため、拒絶反応を起こすリスクが低い点が大きなメリットといえるでしょう。 軽度の側副靭帯損傷の場合、保存療法による治療が一般的ですが、症状が悪化したり保存療法で効果が見られないケースでは、トミージョン手術が検討されます。 トミージョン手術の歴史 アメリカのメジャーリーグで活躍していたトミー・ジョン選手が、1974年にこの手術を受けたことから、トミージョン手術と呼ばれるようになりました。 当時はとても珍しい手術であり成功率も低いといわれる中、トミー・ジョン選手は手術後に14年間も現役を続けられたのです。 手術後のトミー・ジョン選手が活躍できたことが、この手術が注目を集めるきっかけになったといえます。 トミージョン手術の費用 トミージョン手術を受けた場合、自己負担額は15万円から30万円程度です。 日本国内では健康保険が適用対象となりますが、海外など保険適用外の場合は100万円から300万円ほどかかることが想定されます。 靭帯損傷の状態や入院期間によって費用が決まるので、手術を受ける病院で確認しましょう。 また、個室を利用する場合の差額や、食事代やリハビリ費用が必要になることもあります。 トミージョン手術を受けた選手一覧 トミージョン手術は、大谷翔平選手をはじめとする多くの野球選手に選ばれている手術です。 そもそも野球選手は、なぜトミージョン手術の対象となる側副靭帯を損傷しやすいのかというと、投球動作が肘に負担をかけ、負担の蓄積が損傷の原因となるからです。 野球選手に限らず、腕を使った激しい動作を繰り返すスポーツ選手は、肘や肩、手首などにダメージを受けやすいです。 トミージョン手術を受けるメリットとデメリット トミージョン手術には、いくつかのメリットとデメリットがあります。それぞれについて、くわしく見ていきましょう。 トミージョン手術を受けるメリット 重度の靭帯損傷でも治療が可能 スポーツ選手として復帰の可能性が高まる 軽度の靭帯損傷であれば、保存療法によるリハビリ治療が可能ですが、重度となると効果が期待できません。トミージョン手術であれば、重度の損傷であっても治療ができます。 スポーツ選手にとって大きなメリットといえば、選手として復帰できる可能性が高まることです。リハビリが必要なので、ブランクができてしまいますが、多くの選手が復帰を果たしています。 また、トミージョン手術のメリットとして、球速が上がると聞いたことがある方もいるでしょう。一時期アメリカを中心に話題になり、靭帯が損傷していない高校生がトミージョン手術を希望するといった事態に発展したためです。 トミージョン手術は靭帯損傷の治療であり、投球の速度アップを目的とした治療方法ではありません。 トミージョン手術を受け、手術前よりも球速が上がった例が実際にあるようですが、リハビリトレーニングによる効果と考えられます。トミージョン手術によって靭帯の接続が強固になったことと、リハビリトレーニングで努力したことの相乗効果でしょう。 トミージョン手術を受けるデメリット 長期間のリハビリトレーニングが必要 感染症などのリスクがある デメリットとしては、長期間のリハビリが必要で、1年以上の期間が必要なこともあります。リハビリ期間はブランクとなるため、スポーツ選手にとっては大きな不安を抱える期間となるでしょう。 また、感染症のリスクもデメリットの一つで、トミージョン手術は技術の進歩もあり成功率が高い手術ですが、それでも100%成功するわけではありません。 どの手術にも共通のリスクである感染症のほか、肘近くには神経が通っているために神経に傷がつくリスクもあります。神経に傷ができると、しびれや麻痺が起きることがあり、スポーツ選手にとっては選手生命に関わるリスクです。 トミージョン手術以外の治療方法 損傷した靭帯の修復には、「再生医療」の選択も一考の価値があります。 再生医療とは、修復が不可能とされている神経を再生させていく、今までにない画期的な治療法で、手術をしないために身体へのダメージを抑えられます。 手術をしない治療方法には「保存療法」もありますが、重度の損傷には対応できないことに加え、長期間の安静期間が必要なため、スポーツの現場から離れなければなりません。 しかし、再生医療であれば、損傷した靭帯や骨の修復を促す治療法のため、保存療法よりも短い期間でスポーツに復帰できる可能性が高いです。 スポーツシーンにおいて、再生医療は海外でも多くの治療実績があるメジャーな方法です。 トミージョン手術に関するよくある質問 トミージョン手術に関するよくある質問を3つ紹介します。 トミージョン手術は失敗する?成功率は? トミージョン手術の入院期間や復帰期間は? トミージョン手術は一般人でも受けられる? よくある質問と答えを確認して、トミージョン手術に関する疑問や不安を解消しましょう。 トミージョン手術は失敗する?成功率は? トミージョン手術は成功率が高い手術ですが、失敗のリスクがないわけではありません。 手術に失敗すると、肘を動かす際に痛みや不快感がある、可動域が制限されるといった状態がリハビリ後も続き、スポーツをしている場合は競技復帰が難しくなる可能性もあります。 トミージョン手術の成功率は80%から90%程度です。一方で10%から20%の方は、選手としての復帰を断念しています。 トミージョン手術の入院期間や復帰期間は? トミージョン手術を受けてから競技復帰するまでは、1年半から2年ほどの期間が一般的です。 復帰までの期間は、年齢や体力、スポーツの種類やリハビリトレーニングの進捗状況などで大きく異なります。 とくに、野球のように肘への負担が大きいスポーツでは、復帰までの時間が長いと考えられるでしょう。 リハビリがスムーズに進んだ場合でも、競技復帰には1年以上かかります。 トミージョン手術は一般人でも受けられる? トミージョン手術は、スポーツ選手だけでなく一般の方も受けられます。 ただし、実際に受ける方はそれほど多くはありません。リハビリに1年ほどかかり、日常生活に支障があるためです。 また、海外とくらべて日本ではまだトミージョン手術の名医が少ないことも、手術を受ける方が少ないことと関係しているでしょう。 肘の痛みにはトミージョン手術以外にも再生医療を検討しよう 野球などのスポーツをしていると、肘の側副靭帯を損傷する場合があります。 肘の側副靭帯の再建において、トミージョン手術は有効な治療法です。しかし100%成功するわけではありません。トミージョン手術のリスクを不安に感じるなら、再生医療を検討されてはいかがでしょうか。 再生医療は、大きな手術や入院をせずに治療できるため、早期に競技復帰を目指せる点が特徴です。 まず患者様の身体から採取した幹細胞を体外で培養し、規定量まで増殖した後に再び患者様の身体に戻します。 身体へ戻す幹細胞は患者様自身の細胞のため、拒絶反応やアレルギー反応が起こりにくい点も強みといえるでしょう。 再生医療による治療をご検討いただく際は、ぜひ当院リペアセルクリニックは気軽にお問い合わせください。
2019.09.09 -
- 肘
アスリートはその性質から、体を酷使して手術が必要になるようなケガをしてしまうこともあります。とくに野球選手の場合は肘を酷使するため、治療法としてクリーニング手術を選択する方も多くいます。 対して、プロ野球などでよく聞くクリーニング手術とはどういった治療法なのか、一般人でも受けられるのか、といった疑問の声をいただくことがあります。 そこで本記事では、肘でよく用いられるクリーニング手術について解説します。また、スポーツ医療の分野で注目が集まっている再生医療についてもあわせて紹介します。 野球で有名なクリーニング手術とは クリーニング手術とは、関節内に遊離している骨片や骨棘などの物質を取り除くための手術です。いわゆる関節ネズミを取り除く手術のことを指します。 この手術を受けずに遊離体(関節ネズミ)を放置すれば、将来的にさまざまなトラブルに発展する恐れがあります。 また、プロ野球選手がよく実施してますが、一般の方でも治療を受けられます。 関節ネズミの放置によるリスク 肘や膝の関節内の遊離体(関節ネズミ)を放置することでさまざまなリスクが生じます。 第一に関節に痛みが生じるデメリットがあります。遊離体が関節にひっかかることで痛みが出ますし、挟まった位置や遊離体の大きさによってはかなり強い痛みを感じることもあります。 第二に関節の可動域が減少するデメリットがあります。歯車や車輪に異物を噛ませると回転が鈍るのと同様に、関節に挟まった遊離体は関節の可動域を狭めてしまいます。また、可動域が制限されることで、腕や脚の動作にも影響します。 第三に関節の障害をもたらす可能性があるデメリットも存在します。遊離体が関節内の炎症や骨・軟骨の損傷の原因になる可能性は否定できず、症状をより重くしてしまう可能性もあります。 肘のクリーニング手術にかかる費用 入院期間 費用 4日間程度 20万円〜30万円程度 肘のクリーニング手術にかかる費用の目安は、20〜30万円程度です。 ただし、手術をおこなう医療機関や入院期間、施術の内容によって費用が異なる点に注意しましょう。また、高額療養費に関する助成金の使用状況によっても変動します。 正確な費用を知りたい場合は、医療機関に問い合わせながら複数の見積もりをとってみてください。 肘のクリーニング手術における完治・復帰期間 クリーニング手術後の完治・復帰期間は、症状の状態及び手術の内容によって異なります。 期間 内容 手術直後〜2週間 痛みや腫れを管理することが中心 ギプスやシーネで固定 安静処置 2週間〜2カ月 可動域を広げるリハビリ開始 日常生活動作の制限も少しずつ緩和 2カ月〜3カ月 軽めのトレーニング開始 競技特有のトレーニングを徐々に取り入れる(キャッチボールなど) 3ヶ月以降 本格的な競技への復帰 日常生活への完全復帰は手術後2〜3ヶ月程度、スポーツへの復帰は3〜6ヶ月程度と言われています。ただし、これはあくまで目安であり、個人差によって期間がずれ込むことに留意しなければなりません。 また、野球選手の場合は投球動作への完全復帰に6ヶ月以上かかることもあります。 完治・復帰期間は早くて3カ月、遅くて6カ月以上かかることを覚えておきましょう。 クリーニング手術と関わりの深い再生医療について 遊離体が関節内を移動している場合や、ロッキングなどの症状が見られる場合はクリーニング手術が必要ですが、例外もあります。 関節ネズミの初期段階では、遊離体ではなく軟骨が剥離しているケースがあり、この場合は保存療法が選択されることが多いです。 しかし、保存療法は長期の安静期間を要し、症状の改善が見られないまま数か月経過し、結局手術に踏み切るケースも珍しくありません。そこで注目を集めるのが再生医療です。 再生医療は、骨や軟骨などの損傷に対して幹細胞を活用し、組織の修復を促す治療法です。患者の体から抽出した幹細胞を培養し、一定量まで増やしてから再び体内に戻します。 手術を要さないため治療期間が短縮される可能性があり、野球をはじめとするスポーツへの早期復帰を望むアスリートによく利用されています。 アスリートは再生医療も選択肢のひとつ アスリートはシーズン中はもちろん、オフでもパフォーマンスを落とせません。ケガや痛みがあっても完治させずに、やり過ごしながら活動を続けることが多いようです。そのため、ベテラン選手ほど痛みとの闘い、満身創痍と言われます。 対して、再生医療は手術及び入院を伴わずに治療可能です。パフォーマンスを大きく落とさずに治療に取り組めるため、選手生命の延命にもつながります。 自身の脂肪細胞から培養した幹細胞を使用するため、身体への負担が少なくドーピングにも該当しません。 メジャーリーグの元ヤンキース田中選手や、ドジャース大谷選手が肘に再生医療のひとつであるPRP療法を受けたと報じられました。現在では、さらに進んだ幹細胞治療も利用できます。 ケガや故障で引退を余儀なくされるアスリートの報道を見るたび、残念に思います。アスリートの皆さん、痛みや故障に負けないでください。そして、再生医療も早期復帰を助ける選択肢のひとつとして忘れずにいてください。 野球肘にはクリーニング手術・再生医療が有効 野球肘の治療に行うことが多いクリーニング手術について紹介しました。 クリーニング手術が必要になる関節ネズミが原因の場合、最も効果をもたらす治療については実際に検査をしてみないとわかりませんが、再生医療が役立つ可能性もあることは事実です。 保存療法で安静期間を少しでも短縮したいのであれば、再生医療を選択肢のひとつとして検討してみてはいかがでしょうか。
2019.09.08 -
- 肘
激しい動きの多いアスリートは、一般人よりもケガのリスクに悩まされます。 肘を酷使する野球選手も例外ではありません。野球選手の多くは肘の痛みに悩まされています。「関節ねずみ」も肘の痛みの一種です。 本記事では、関節ねずみの症状や治療法を紹介します。症状や痛みに合わせて治療法を検討してください。 この記事を読むとわかること 関節ねずみとは 関節ねずみの症状 関節ねずみの治療法 野球選手の肘に発症することが多い関節ねずみとは 「関節ねずみ」とは、関節内で剥がれ落ちた軟骨・骨のかけらや、あるいは骨の変形によって生じた骨棘(こっきょく)・骨のとげが剥離して関節内に遊離することが原因となって生じます。 肘の関節を酷使する野球選手などに見られる症状です。 無症状のときもありますが、関節の狭い部分に挟まったり引っかかったりすると、激しい痛みが生じ、関節の可動域が制限されます。 関節を動き回る「関節遊離体」が俗に「関節ねずみ」と呼ばれます。 関節ねずみの症状 関節ねずみの症状には主に4つあります。ご自身の症状に当てはまるか確認してください。 関節ねずみの症状 関節を動かすと引っかかりを感じる 関節が伸ばせない・曲げられない 関節を動かしたときにきしむような音 関節が熱を持っている感じがする 関節ねずみは必ずしも痛みがあるわけではありません。症状は多岐に渡り、多く見られるのは肘が曲げづらくなる症状です。肘に違和感がある場合は通院を検討してください。 関節内遊離体 関節内遊離体は肘の違和感・痛みが主な症状です。 野球だけでなく、テニスやバスケットボールプレイヤーや高齢者も発症する可能性があります。 肘が通常よりも曲げにくい・伸ばしにくい場合や曲げ伸ばしで関節から音が聞こえる場合は、関節ねずみ(関節内遊離体)を疑ってください。 肘の動かしづらさは重症化すると日常生活にも影響を及ぼします。 関節遊離体を起因とする変形性肘関節症 関節遊離体(関節ねずみ)の再発を繰り返すと、骨片が軟骨にダメージを与え変形性肘関節症を引き起こす原因となります。 変形性肘関節症が進行すると、肘を動かすのが困難になるだけでなく、手がしびれて指を動かすのも難しくなるほど重症化するのです。 関節ねずみが損傷を助長させて変形性肘関節症を悪化させるケースもあります。 関節ねずみを放置するとどうなるの? 関節ねずみが関節に挟まると、痛みとともに肘の可動域が制限されます。日常生活にも支障をきたし、放置すれば生活の質を大きく下げてしまうでしょう。 関節ねずみが関節から外れると治ったように感じるかもしれませんが、それは関節ねずみが移動しているだけです。また関節に挟まって、痛みが再発する可能性があります。 関節ねずみを治療する方法は? 骨片や骨棘が完全に剥離していない場合には、保存療法で経過を観察します。しかし、完全に剥離して遊離体となっている場合には、自然治癒には期待できません。 症状が重い場合は、関節鏡視下手術や骨軟骨移植などの手術を行います。手術の場合は数日間の入院と、数か月の安静期間が必要です。 しかし、アスリートが数か月も練習できないとなると、選手生命が危ぶまれます。少しでも早い復帰を考えるのであれば、「再生医療」をご検討ください。 負担が少ない関節鏡視下手術 関節鏡視下手術とは、 関節内に直径1~4mmの内視鏡を用いて関節内を観察しながら患部を手術する方法です。 関節鏡視下手術の特徴 関節を大きく切開しないため、術後のリハビリを早期に始められる 内視鏡を用いるとどの部分が傷んでいるか明確にわかるため、的確な治療ができる 生理食塩水を流しながら行うため、感染症のリスクが低く痛みも起こりにくく、患者の負担が軽減される 患者の負担が少ないほか、感染症のリスクも低いため関節遊離体の手術には関節鏡視下手術が行われるケースがあります。傷口が小さく体の負担が小さいのがメリットです。 一般的に、手術費用は約25万円ほどかかります。 手術を必要としない再生医療 再生医療は患者さんの組織や細胞を利用して臓器や組織を修復する医療技術です。 副反応のリスクが低く、安全性が高い医療技術として注目されています。 再生医療は競技復帰までの期間が早い、手術に比べて体への負担が少ないなどのメリットがあります。 まとめ・野球選手の選手生命にも関わる肘の悩み「関節ねずみ」について 関節ねずみは肘の可動域が制限される、肘が痛むなどの症状が見られます。 このような症状があると野球選手としての活動だけでなく日常生活にも支障をきたすでしょう。 症状が見られたときには、安静にして、早期に適切な治療を受けることが重要です。 その際、安全性が高く早期の回復に期待できる再生医療による治療もご検討ください。
2019.09.08 -
- 肘
腕が曲がらないといった症状にお悩みの方はいませんか。 スポーツや日常生活で腕を酷使すると、肘関節へ大きな負担がかかります。 肘が曲がらなくなる原因には、関節リウマチやスポーツ外傷などがあります。とくに、スポーツ選手は腕を使う動作が多く、腕に関するさまざまなスポーツ障害に見舞われがちです。 今回の記事では、腕が曲がらなくなる原因や治療方法について詳しく解説します。 症状を放置してスポーツを続けてしまうと、症状が悪化する恐れがあります。腕や肘に違和感を覚えた際は、早めに治療を受けましょう。 腕(肘)が曲がらない原因となる疾患 腕や肘が曲がらない原因には、以下の疾患が考えられます。 腕を酷使するスポーツは、肘関節への負担が大きいため、運動後に十分なケアを行うことが大切です。 肘に違和感を覚えたり、腕が曲がらなかったりした場合にケアを怠ると、症状が悪化する可能性があります。 肘関節脱臼 腕が曲がらない原因となる疾患に、肘関節脱臼があります。肘関節脱臼とは、運動や事故によって肘関節の位置がずれたり、外れたりしてしまう疾患です。 重症の肘関節脱臼では、立ち姿勢がつらいほど痛みを感じるため、自身で脱臼していることに気づける場合が大半です。 変形性肘関節症 腕が曲がらないときに考えられる疾患に、変形性肘関節症があります。 変形性肘関節症は、肘の使いすぎ(オーバーユース)や加齢によって肘関節が変形する疾患で、主に以下の症状が現れます。 変形性肘関節症は重症化すると、肘関節周囲にある尺骨神経が圧迫され、手がしびれたり指が動かしにくくなったりします。 変形した肘関節や圧迫された神経は、腕の可動域が制限される恐れがあるため、早めに医療機関を受診して適切な治療を受けることが重要です。 関節リウマチ 関節リウマチの症状の1つに、腕の曲げにくさがあります。関節リウマチは、免疫異常により以下の症状が現れる疾患です。 関節リウマチではとくに起床時のこわばり症状が現れやすく、腕の曲げにくさを感じる場合があります。 腕の曲げにくさの程度が日中で変動する場合は、関節リウマチの可能性もあるため早期に医療機関を受診しましょう。 以下の記事では、関節リウマチの早期受診の重要性について詳しくご紹介していますので、合わせてご覧ください。 テニス肘 腕が曲がらなくなる原因の1つに、テニス肘があります。 テニス肘(上腕骨外側上顆炎)は、上腕骨の遠位部にある外側上顆で炎症が起きる疾患で、以下の症状が現れます。 テニス肘は腕の筋力が弱い人や、肘を酷使するスポーツを行う人がなりやすいのが特徴です。 肘の痛みが強いと、手首をひねる動作や握力を必要とする作業に困難感が生じます。 テニス肘については、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。 ゴルフ肘 ゴルフをプレーする人は、ゴルフ肘によって腕が曲がらない症状が現れる可能性があります。 ゴルフ肘(上腕骨内側上顆炎)は、無理なスイング動作が原因で、肘の内側が痛くなる疾患です。 肘に過剰な負担がかかり、肘の内側にある尺骨神経が傷つくと、手先にもしびれや痛みの症状が現れます。 ゴルフ肘の対処法については、以下の記事で詳しく解説していますので、合わせてご覧ください。 後外側回旋不安定症 肘が曲がらない症状が現れる疾患に、後外側回旋不安定症があります。後外側回旋不安定症とは、肘関節の脱臼により、肘の外側の靭帯が損傷する疾患です。 肘の外側の靭帯を損傷すると、以下の症状が現れます。 後外側回旋不安定症は肘を伸ばした際に、肘関節の不安定性を感じますが、肘を曲げると関節が安定するのが特徴です。 自身の症状をセルフチェックしてみて、特に肘から下の痛みが強いと感じる場合は以下の記事もご参考ください。 腕(肘)が曲がらない際の治療方法 腕や肘が曲がらない場合は、以下の治療方法で症状の改善を目指すことが大切です。 スポーツ中に腕や肘に違和感を覚えたときは、無理に動かさずに安静にしましょう。 薬物療法や理学療法(リハビリテーション)による保存的治療 腕(肘)が曲がらない際の治療法に、薬物療法や理学療法(リハビリテーション)による保存的治療があります。 症状が軽度な場合には、以下の保存的治療が選択されるのが一般的です。 保存的治療では、薬物療法により痛み症状を緩和し、リハビリテーションで姿勢や動作の改善を図ります。 肘が曲がらないといった症状が重症化すると、保存的治療での症状改善が困難になるため、腕に違和感を覚えたら早めに医療機関を受診しましょう。 手術による外科的な治療 肘の可動域が生活に支障をきたすほど重症化した場合や、保存療法で痛みを十分に軽減できない場合は、手術による外科的な治療が選択されます。 手術治療を受けるメリットは、腕や肘が曲がらない根本的な原因を取り除ける可能性が高いことです。 一方で、デメリットとして治療期間の長さが挙げられます。外科的治療は身体への侵襲が大きく、術後の理学療法(リハビリテーション)が必要不可欠です。 入院やリハビリテーションにより、治療期間が長くなる傾向があり、スポーツへ復帰できるまでの時間も長くなる可能性があります。 PRPや幹細胞による治療 肘が曲がらない際の治療方法に、PRPや幹細胞による治療があります。PRPや幹細胞は、以下の特徴をもつ再生医療です。 再生医療の種類 方法 PRP(多血小板血漿)療法 患者様自身の血液から血小板が多く含まれた血漿を精製し、損傷部位に注射する 幹細胞治療 患者様自身の幹細胞を体外で増殖させて、細胞数が適量になったら体内へ注入する PRP療法や幹細胞治療は、自身の細胞で組織の修復を促すため、副作用のリスクが低いのが特徴です。 肘が曲がらないといった症状をできるだけ早く改善したいが、事情により入院が難しい場合は、通院での治療が可能な再生医療をご検討ください。 野球肘やテニス肘などのスポーツ外傷でお困りの方は当院へご相談ください 野球肘やテニス肘などのスポーツ外傷でお困りの方は、当院(リペアセルクリニック)へご相談ください。 当院(リペアセルクリニック)は、日帰りでの治療が可能な再生医療を提供しています。再生医療は、患者様自身の幹細胞を採取・培養し注射することで、組織の修復を促す治療法です。 PRPや幹細胞による治療を行えば、腕の炎症を抑えたり、痛み症状の軽減が期待できます。 手術療法を避けたい方や、スポーツへ早く復帰したい方は再生医療による治療をご検討ください。 当院では患者様に合わせて最適な再生医療をご提案いたしますので、腕が曲がらない症状でお悩みの方はお問い合わせください。 【まとめ】腕が曲がらない痛みが続く際は医療機関を受診しよう 腕や肘が曲がらず痛みが続く際は、早めに医療機関を受診しましょう。 肘の痛みを放置して運動を続けると症状が悪化し、最悪の場合スポーツに復帰できなくなる可能性があります。 少しでも違和感を覚えたら肘を安静にし、軽症のうちに適切な治療を開始することが大切です。 重症化してしまった場合の治療法の1つに、再生医療があります。 再生医療は従来より短い治療期間でスポーツへ復帰できる可能性があるため、症状にお悩みの方はぜひ一度当院(リペアセルクリニック)へご相談ください。
2019.09.08