野球肘でもできる練習メニューとは?再発を防ぐリハビリ習慣や治療法を紹介
公開日: 2019.09.30更新日: 2025.06.30
野球の練習で肘に負担をかけると、野球肘になるケースがあります。
成長期の子どもが野球肘になった場合、「チームに置いていかれる」などの不安を感じてしまうため、適切な治療とともにメンタルケアも必要です。
野球肘が軽症であれば、肘に負担がかかりにくい練習メニューや、リハビリを実践するとよいでしょう。
痛みを我慢して練習を続けると、肘の手術が必要になる可能性があるため、チームへの復帰が遠ざかる恐れも。
本記事では、野球肘でも実践できる練習メニューや、再発を防ぐストレッチなどをわかりやすく解説します。
野球肘が慢性化し、手術を検討している方は、切らない治療方法も参考にしてみてください。
また当院リペアセルクリニックの公式LINEでは、野球肘が慢性化して不安を持つ方に向けて、再生医療の症例や治療内容を紹介しています。
手術を回避し、より早く日常生活へ復帰するために、ぜひご確認ください。
目次
野球肘でも実践できる練習メニューをフェーズ別に紹介
野球肘になった場合は、以下のフェーズに応じた練習メニューを実践できます。
肘に痛みがあるときは無理をせず、ストレッチや下半身の強化に専念しましょう。
チーム練習に参加できない時期は焦りを感じるかもしれませんが、柔軟性やフォームを改善するよい機会です。
具体的な練習メニューは以下のようになるので、根気強く続けていきましょう。
【初期】痛みがある時期の練習方法
野球肘の初期段階で痛みがある場合は、まず肘を安静に保ちます。
チーム練習への復帰が少しでも早くなるよう、肘以外の部位を以下の練習方法で鍛えておきましょう。
初期の練習方法 | 具体的な内容 |
---|---|
心肺機能のトレーニング | ・ランニングやサイクリングなど |
肩関節の可動域改善 | ・肩甲骨はがしなど |
体幹の安定性を高める運動 |
・腹横筋のドローインなど(手順は以下のとおり) 1.膝を立てて仰向けに寝る 2.鼻から息を吸い込み、お腹を大きく膨らませる 3.口から息を吐き、お腹をへこませる 4.お腹がへこんだ状態でゆっくりと呼吸を続ける |
ランニングなどの有酸素運動を続けると、基礎体力や心肺機能が高まるため、チーム練習に復帰する際の土台づくりになります。
ピッチングには肩回りの柔軟性が求められるので、肩関節を大きく回す運動や、肩甲骨はがしを続けてみましょう。
腹横筋のドローインなどで体幹を鍛えておけば、姿勢やバランス感覚の改善も可能です。
野球肘になるまでの練習が、投球の繰り返しや筋力強化に偏っていた場合は、柔軟性を高めるトレーニングも意識してみましょう。
肩関節や股関節の可動域も改善すると、ケガをしにくい状態で本格的な練習を再開できる可能性があります。
【中期】痛みが引き始めた時期の練習方法
野球肘が中期となり、痛みが引き始めたら、以下の練習方法を実践してみましょう。
中期の練習方法 | 具体的な内容 |
---|---|
チューブやダンベルを使った筋力トレーニング |
・肩回りや前腕の筋力強化 ・肩の奥の筋肉(インナーマッスル)の強化 |
シャドーピッチング | ・投球フォームの確認と改善 |
体幹トレーニング |
・サイドプランク(腹斜筋や中殿筋などの強化) ・スクワット |
キャッチボール |
・10m程度の距離からスタート ・全身を使ってボールを投げる |
中期の練習では体幹と筋力を強化し、チーム練習への復帰に備えます。
肩回りや前腕を鍛える際は、チューブなどを掴んで軽い負荷をかけ、肘を曲げたまま外側や内側の方向に引っ張ります。
トレーニング用のチューブやダンベルがないときは、水を入れたペットボトルで代用しても構いません。
投球フォームに問題がある場合は、全身が写る鏡の前でシャドーピッチングを始めてみましょう。
キャッチボールの際にもフォームを意識し、全身を使って投げるように意識すると、肘にかかる負担を軽減できます。
【後期】復帰前の準備
野球肘が後期の段階となり、痛みを感じなくなったときは、以下の練習方法を実践します。
後期の練習方法 | 具体的な内容 |
---|---|
キャッチボール | ・距離を20mや30mに伸ばす |
ブルペン投球 |
・60~70%程度の力で投球 ・コーチに投球フォームをチェックしてもらう |
打撃や守備練習 | ・シート打撃やシートノック |
キャッチボールは距離を伸ばしますが、中期のフェーズと同じく、力まない投球フォームを意識してみましょう。
ブルペン投球では野球肘が再発しないよう、練習1回あたりの投球数を30球程度に抑える必要も。
連投も肘に負担がかかってしまうので、投球練習の後は、1日以上の休みを入れるとよいでしょう。
野球肘は打撃にも影響しやすいため、バッティングの際に痛みを感じたときは、練習を中止する必要があります。
痛みを我慢して練習を続けると、治療期間がさらに長くなるので要注意です。
野球肘の原因や仕組みをわかりやすく解説
野球肘とは、反復的な投球動作で肘に負担がかかり、痛みや違和感などを引き起こす症状です。
成長期の子どもが野球肘になった場合は、主に以下の原因が考えられます。
- 投球回数が多い
- 投球フォームが悪い
- 筋力と柔軟性が低い
小学生の投球数は1日あたり70球以内が目安となっており、中学生の場合は1日80球以内です。
子どもは骨や靭帯が十分に発達していないため、過度な投球数は肘に大きな負担がかかります。
投球フォームの悪さも肘に悪影響を与えやすいので、下半身が活かされていない手投げや、肘下がりのフォームが野球肘を引き起こす可能性も。
体全体の筋力バランスが悪く、柔軟性も低い場合は、肘だけに負担がかかってしまうケースがあります。
また、肘の外側が痛むときは「上腕骨小頭離断性骨軟骨炎」、内側の痛みは「内側側副靭帯の損傷」などが考えられるため、それぞれ治療方法が異なります。
肘に痛みや違和感があり、野球肘が疑われる場合は、早めに医療機関の診察を受けておきましょう。
野球肘の再発を防ぐ!ストレッチ・リハビリ習慣を紹介
野球肘はクセになりやすいので、ストレッチやリハビリの継続をおすすめします。
以下のストレッチやリハビリを習慣化すると、野球肘の再発防止を期待できます。
ストレッチやリハビリの種類 | 手順 |
---|---|
肘のストレッチ |
1.腕の体の前に出して手の甲を天井に向ける 2.手首を天井の方向に逸らす 3.反対側の手で指先を掴み、体の方向へ引っ張る 4.次に手のひらをひっくり返し、机などに押し付ける 5.ゆっくりと体重をかけ、肘の内側を伸ばす |
手根屈筋のストレッチ |
1.腕を体の前に伸ばし、手の甲を天井に向ける 2.反対側の手で肘の内側の中央を掴む 3.親指で肌を押しながら、上下方向にマッサージする |
肩甲骨のストレッチ |
【パターン1】 1.両腕の指先を肩にあてる 2.肘で円を描くように大きく腕を回す(10回程度) 3.同じ要領で逆方向にも腕を回す 【パターン2】 1.手のひらを天井に向け、両腕の肘と手のひらをくっつける 2.腕を後方に向けて開き、胸を張った状態を10秒間キープ |
股関節のストレッチ |
1.両脚を伸ばして床に腰を下ろす 2.左膝を曲げて足の裏を右足の内ももにくっつける 3.前屈しながら左手を右足のつま先に向けて伸ばし、10秒間キープする 4.同じ要領で反対側の体側も伸ばす |
野球肘のリハビリ |
・投球練習の後は肘の安静を保つ ・氷などで肘を冷やし、炎症を抑える |
急激なストレッチは筋肉を痛める可能性があるので、1セットを10秒以内やや30秒以内にとどめ、じっくりとほぐしていきましょう。
体全体の柔軟性が高まると、投球の際に肘の負担を抑えられます。
連投はなるべく控え、練習後は氷や冷却シートで肘を冷やしておきましょう。
野球肘でもプレーを続ける工夫について紹介
野球肘になった子どもがプレーを続ける場合、コーチや保護者の協力が必要です。
リハビリやストレッチはすぐに効果が現れないため、プロのスポーツ選手でも焦りを感じてしまうケースがあります。
前向きな気持ちでリハビリを行い、チームへの復帰を目指すためには、親子で以下のコミュニケーションをとっておきましょう。
- 野球肘の原因やストレッチの目的などを子どもに理解してもらう
- リハビリには親も付き添い、回復状況を子どもと共有する
- 投球フォームを録画し、親子で改善点を分析する
- ストレッチやリハビリを「野球が上達する手段」だと理解してもらう
- 野球以外の楽しみを一緒に探してみる
- 専門医に相談し、症状に応じた治療方法を提案してもらう
股関節などのストレッチは野球肘と無関係に思えるので、必ず可動域改善の目的を伝えましょう。
「痛みが引いてきた」「球速が上がった」など、肘の回復を実感できれば、自発的にストレッチやトレーニングを継続してくれる可能性があります。
治療に専念している期間は、親子で釣りやドライブに行くなど、野球以外の楽しみを探してもよいでしょう。
効果的な治療方法がわからない場合は、専門医への相談をおすすめします。
野球肘の治療について
野球肘を治療する場合、軽症の段階では安静やアイシングなどの処置を行います。
しかし、初期対応の効果が現れず、肘の痛みが慢性化したときは、以下の方法で治療する可能性があります。
- 装具療法:ギプスなどで患部を固定し、炎症の進行を抑える治療方法
- 薬物療法:ステロイド注射で痛みを抑える治療方法
- 手術:骨軟骨の移植や靭帯再建術など
装具療法は患部の安静を目的としているため、練習の再開とともに、野球肘も再発する恐れがあります。
ステロイド注射は痛みの緩和に効果的ですが、腱(筋肉の先端で骨に固着する部分)の断裂を引き起こす可能性があるので、慎重な判断が必要です。
また、手術は子どもの精神面に与える影響が大きく、入院が必要になった場合は、期末テストなどを受けられない可能性も。
野球肘が重症化すると、治療方法が限られてしまうので要注意です。
肘に痛みや違和感があるときは、早めに専門医の診察を受けておきましょう。
野球肘の治療に対する「再生医療」という選択肢
野球肘を根本的に治療したいときは、「再生医療」を選択肢に入れてみるとよいでしょう。
再生医療には以下の特徴があるため、プロスポーツ選手にも活用されている治療方法です。
- テキスト幹細胞の活動によって患部を修復できる
- 治療方法は幹部への注射や点滴のみ(手術と入院は不要)
- 体への負担が軽い
- 拒絶反応などのリスクが低い
- 肩や膝などのスポーツ外傷にも効果を期待できる
幹細胞には筋や腱などの組織を修復する働きがあり、再生医療は患部への注射や点滴のみとなるため、手術や入院を必要としません。
自分の幹細胞を活用すると、拒絶反応やアレルギー反応のリスクを低減できます。
子どもが手術を受け入れられない場合や、チーム練習に早く合流させたいときは、再生医療で解決できる可能性があります。
リペアセルクリニックも再生医療を導入しており、症状によっては日帰り治療が可能です。
再生医療は最新技術の治療方法になるため、より詳しい情報を知りたい方は、リペアセルクリニックの専門医にご相談ください。
手術をしない新しい治療「再生医療」を提供しております。
野球肘のリハビリ・予防には適切な練習と治療が重要
初期の野球肘は安静やアイシングで対処しますが、筋力や体の柔軟性に変化がなければ、すぐに再発する恐れがあります。
野球肘を投げながら治す場合は、投球数を管理し、肘以外の筋力や関節の柔軟性も高めていきましょう。
肘に負担をかけない練習や、適切な治療を続けると、チーム復帰が早くなる可能性もあります。
また、成長期の子どもは大きな可能性を秘めているので、「プロを目指したい」などの夢があれば、ぜひリペアセルクリニックの再生医療もご検討ください。
リペアセルクリニックには以下の特徴があり、専門医が患者一人ひとりに寄り添った治療方法をご提案します。
- 再生医療には高品質でフレッシュな幹細胞を活用
- 自己脂肪由来の幹細胞治療により、免疫反応などを低減
- ホームページからの来院予約やメール相談は24時間受付け
- スマートフォンやパソコンからのオンラインカウンセリングも可能
初診時のカウンセリングには60分程度の時間をとっており、治療も完全予約制です。
クリニック内はカフェのようなインテリアなので、病院が苦手なお子様にも抵抗なくご利用いただけます。
野球肘の慢性化に悩む前に、ぜひリペアセルクリニックの無料カウンセリングを検討してみてください。

監修者
坂本 貞範
Sadanori Sakamoto
医療法人美喜有会 理事長
「できなくなったことを、再びできるように。」
人生100年時代、皆様がより楽しく毎日を過ごせることの
お手伝いができれば幸甚の至りでございます。
略歴
1997年3月関西医科大学 医学部卒
1997年4月医師免許取得
1997年4月大阪市立大学(現大阪公立大学)医学部附属病院 勤務
1998年5月大阪社会医療センター附属病院 勤務
1998年9月大阪府立中河内救命救急センター 勤務
1999年2月国立大阪南病院 勤務
2000年3月野上病院 勤務
2003年3月大野記念病院 勤務
2005年5月さかもとクリニック 開設
2006年12月医療法人美喜有会設立 理事長就任
2019年9月リペアセルクリニック大阪院 開設
2021年5月リペアセルクリニック東京院 開設
2023年12月リペアセルクリニック札幌院 開設