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肘の痛みが治まらない、考えられる病気について

肘の痛みが治まらない!考えられる病気

肘をぶつけてから痛みが治まらない

肘の関節は、脂肪や筋肉で覆われているわけではないため、ぶつけると痛みを感じやすい部分です。

衝撃にもよりますが骨折などが起こっている場合もあります。小児の特徴的な骨折である「上腕骨顆上(じょうわんこつかじょう)骨折」や、中には肘の先端をぶつけることによっておこる「肘頭(ちゅうとう)骨折」などの可能性も考えられます。

これらの場合、骨折であれば固定が必要ですが、筋肉が痛みの原因である場合は運動療法などが有効となります。

  • 骨折の場合
  • ・上腕骨顆上(じょうわんこつかじょう)骨折
  • ・肘頭(ちゅうとう)骨折

そこで今回は、「肘をぶつけて、曲げると痛い」「肘をぶつけてから ずっと痛い」といった場合、どのような症状が考えられるのかご紹介していきます。

肘ぶつけ、曲げると痛い

痛みが出るのは、筋肉か骨に異常が出ているサイン

肘をぶつけて、曲げると痛い場合は、「筋肉に異常が出ているケース」も、「骨折など器質的な異常が出ているケース」もどちらも考えられます。

肘を曲げるための筋肉は、主に上腕二頭筋や上腕筋といった筋肉で、これらの筋肉に炎症や打撲があれば肘を曲げたときに痛みが出るでしょう。しかし、肘の伸展に作用する筋肉である、上腕三頭筋などに異常が起きている場合でも痛みが出ます。

肘を曲げることによって上腕三頭筋が強制的に伸張される形になるので、筋損傷があって緊張が強い場合には痛みが出るでしょう。骨で異常が出ている場合は、肘頭の骨折や上腕三頭筋付着部での炎症が考えられます。

肘頭は上腕三頭筋の停止部でもあるので、肘を曲げることで骨片が無理に引き離されます。それが痛みを発生させる原因になるのです。

肘を曲げると痛い!考えられる病態とは?

肘をぶつけて曲げると痛い場合、「筋肉が原因」なのか「骨が原因なのか」を見極める必要があります。発生機序や症状から、考えられる病態をご紹介していきます。

肘頭骨折

肘頭は尺骨の近位端部に位置する部位で、肘関節の大部分を構成しています。体表に近い部分まで骨が出ているので、ぶつけることで骨折が起こることは十分考えられます。

肘を曲げると痛いのはもちろん、場合によっては肘の動作がかなり制限されます。伸ばす動作も曲げる動作もどちらもできにくくなるので、生活に支障が出るでしょう。

もし肘をぶつけた後に肘頭部で強い痛みがある場合は、まず安静にして肘を動かさないようにしてから、整形外科を受診しましょう。

治療方法

肘頭の骨折では、保存療法と手術のどちらも考えられます。保存療法の場合はまず硬性材料によって1カ月以上の固定が必要です。ただ、肘頭骨折は固定が難しい骨折でもあり、偽関節を作りやすい部位でもあります。

固定には細心の注意を払い、安静を守ります。骨癒合した後は、少しずつ肘の可動域を広げていくための後療、罨法、手技療法などが有効です。運動療法なども少しずつ取り入れ、肘の可動域を最大にしていきます。

手術の場合はプレートなどで骨片を固定します。当然ですが、保存療法よりもしっかり骨片がくっつくので、早期にリハビリを開始できるというメリットがあります。

上腕骨顆上骨折

小児に多い骨折で、高齢者でも起こすことがあります。上腕骨の下端部の、内側上顆や外側上顆よりも近位部で折れてしまう骨折です。高いところから落ちて手をついたり、後ろ向きに転倒して手をついたりすることで発生します。

上腕骨顆上骨折を起こすと、明らかに変形を認め、運動がかなり制限されます。曲げようとすると激痛になるので、筋肉の損傷とは全く違う痛み方をするでしょう。

治療方法

上腕骨顆上骨折は多くの場合変形が大きく、手術を選択されることもあります。折れた骨片が深く入り込んで短縮してしまうことがあるので、牽引しながら治療することもあります。

手術をせずに保存療法で改善することも可能ですが、ギプスなどでしっかり固定されるのでしばらくは肘を使えなくなります。骨折が起きた時に神経や血管を圧迫したり、固定の仕方によって圧迫してしまったり、二次的な症状が起こることもあります。

小児の上腕骨顆上骨折では、変形したまま骨癒合することで内反肘という特徴的な後遺症を残すこともあります。

テニス肘(テニスエルボー)

テニス肘は、特に肘の外側で痛みが起こる症状です。テニスのバックハンドの際に負担がかかる部分で、テニスプレーヤーが肘の外側で痛みを訴えることが多いことからテニス肘と呼ばれています。

外側上顆炎や肘外側の側副靭帯の損傷を、総称しているのです。肘をぶつけたことで痛みを発生しますが、その1回の外力によってテニス肘を発生させることは稀です。

よほど大きな外力で、肘関節に捻りが加わると側副靭帯の損傷を起こしますが、多くは軽微な外力を繰り返し受けることによってダメージが蓄積して起こります。

テニスなどのスポーツ競技はもちろん、パソコンなどのタイピングが多い方や、包丁をよく使う料理人などでもしばしば起こる症状で痛みが起こってから、肘に力が加わるとずっと痛いといった症状が起こります。

治療方法

基本は保存療法です。側副靭帯が損傷していない限りは、固定することはほとんどありません。手首の動きや手指の動きに関する筋肉が障害されていることが多いので、痛みのある動作をなるべく避けて安静にすることが第一です。

前腕の回内や回外、肘関節の屈曲や伸展で痛みが出ることもあるので、日常生活が少し制限される場合もあるでしょう。前腕の伸筋群にかかる負担や疲労を取り除くことが、早期治癒のカギです。マッサージやストレッチなど、自分でできるケアをしていくことも重要になります。

手のひらを下にした状態で、鍋などを持ち上げると激痛になることもあるので注意が必要です。

野球肘

肘の内側側副靭帯の損傷や、上腕骨内側上顆炎を野球肘と呼びます。小学生や中学生の年代で、繰り返し投球動作を繰り返すことによって肘の内側に過度な負担をかけ続けることで起こることが多いので、野球肘と呼ばれるのです。

肘の内側についている靭帯や軟骨、筋肉や腱が損傷している状態なので、肘を曲げるなどの動きでも痛みが出ます。炎症が起きている状態では、肘の内側をぶつけるとかなり痛いでしょう。

手首の屈曲や手指の屈曲など、前腕の屈筋群に負担をかけ続けると野球肘発生のリスクも高まります。

治療方法

骨自体に裂離骨折などが起きているケースは少なく、保存療法が主です。野球をやっている場合は投球の中止、安静が第一になります。上腕部の筋肉から、前腕の屈筋群にかかっている負担を減らしていくことが大切です。

肩甲骨の動きが悪いと代償動作として肘に負担がかかるので、再発の予防をするためには肩甲骨や背骨のゆがみから取り除いていかなければなりません。

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変形性肘関節症

男性に多い症状で、長年にわたって肘関節を酷使することによって肘で変形が起き、可動域制限や痛みを発生させる症状です。元スポーツ選手で起こるケースもありますし、重い物を持つなどの重労働を繰り返していた方では変形性肘関節症のリスクが高いです。

変形の仕方は骨棘ができることで、肘の関節面にある軟骨がすり減って、骨の部分が直接接触することで徐々に変形していきます。場合によっては肘の屈曲可動域が大幅に制限されるので、食事など日常生活に大きな支障をきたすケースもあります。

肘部管症候群と呼ばれる、尺骨神経を圧迫する症状が特徴的です。ロッキングを起こすこともあります。

治療方法

日常生活へどの程度支障が出ているかによって、手術か保存療法か判断されます。保存療法の場合は温熱療法や薬物療法、筋力トレーニングなどのリハビリを行います。手術の場合は、変形して出来た骨棘を取り除くことが行われます。

関節リウマチ

最初に手指など遠位部で炎症や痛みが起きることが多いですが、肘関節でも痛みを発生させることがあります。関節リウマチは発生の原因がはっきりしておらず、何が誘因になっているのか不明な点も多いです。

病態としては免疫の異常であり、本来であれば病原菌など侵害物に対して攻撃を行う免疫が、体の細胞に対して攻撃を行ってしまうという現象です。関節の組織を破壊してしまうため、肘で起きれば曲げるときに痛みが出ますし、変形を起こすこともあります。

治療方法

薬物療法や運動療法、罨法などが行われることが多いです。あまりに変形がひどく進んでしまっている場合には手術も選択肢に入り、変形によって血管や神経を圧迫してしまうことを防ぎます。人工関節の置換術が行われることもあります。

肘の痛みの治療

肘を曲げて痛いときにどうするべきか?

肘を曲げた時に痛みが出るような場合に、自分でできる対処法にはどのようなものがあるでしょうか。

整形外科を受診する

肘に関する症状を精査するなら、整形外科を受診してください。レントゲンやMRIを希望する場合は、大きな病院の中にある整形外科に行った方が確実です。骨折が疑われる場合はもちろん、明らかに変形が起きている場合も精査が必要です。

強く晴れている場合や、肘がほとんど曲がらない状態であれば骨折など、器質的な異常が隠れているかもしれません。

接骨院を受診する

肘を曲げて痛い原因が、筋肉の炎症や関節の動かし方にあるのであれば、接骨院や整骨院でも有効な治療を行うことが出来ます。整形外科で精査してもらい、骨折や病気でないことを確認してから接骨院や整骨院を受診すると確実です。

罨法、後療、電療、運動療法、手技療法など、様々なアプローチが出来ます。

整体を受ける

肘を曲げると痛いのが、肩甲骨の動きや背骨のゆがみによって起きているケースもあります。姿勢が悪く肩甲骨の動きも悪ければ、必然的に肘にも負担がかかります。

肘自体に問題があるというよりも、周りの機能によって二次的なダメージを溜めているパターンもあるのです。その場合、肘関節に電気治療を行ったり、肘の動きを良くするような手技療法を行ったりするだけでは改善できません。

肘にかかる根本的な負担を取り除くには、姿勢から改善する必要があるのです。

温める

捻挫や打撲でない場合や、痛みが出だしてから数日経過している場合、温めることが有効なセルフケアになります。基本的には温めた方が血流も良くなるので、損傷している組織の代謝も上がって回復力がアップします。

サポーターを付けて冷やさない工夫をしたり、お風呂でしっかり温まったりなど、簡単にできるケアで十分です。

安静にする

早く治そうと思ったら、安静にするのが一番です。リウマチなど、黙っていても症状が進行してしまう場合は別ですが、そうでない場合は肘を休めて筋肉疲労を回復させることで痛みが軽減する場合もあります。

再生医療を受ける

スポーツによる障害や変形を伴った関節症など、肘に痛みが出る疾患は様々ですが、痛みを取るには自己の自然治癒力を高める事が重要です。温熱療法や手技療法など治療の仕方はいろいろありますが、そのどれもが自然治癒力を高めるための治療です。

その方法の一つに「再生医療」という治療があります。これは自身の血液や脂肪を用いて、「自然治癒力=再生する力」を高める方法です。

血液を用いた方法は「PRP(多血小板血漿)療法」といい、傷を修復させる血液成分を抽出して患部に注射します。PRP療法は、スポーツ選手がケガをした際、手術をせずに早期復帰を目指す治療法としても取り入れられています。

脂肪を用いた方法は、「脂肪由来幹細胞」による再生医療です。幹細胞とは臓器や皮膚、骨、筋肉、靭帯など様々な細胞に分化する能力があります。

自身の脂肪から幹細胞を培養し、それを体内に戻すことで自然治癒力が向上します。この治療法は患部に注射する方法だけでなく、点滴により全身に幹細胞を届けることも可能です。

肘をぶつけて痛みが発生しやすい箇所

肘をぶつけることが多いのは、肘の背面に位置している「尺骨の肘頭」という部分です。

後ろ向きに転倒したときや、肩関節の伸展動作によって打撲することが考えられます。肘頭は、筋肉や脂肪で覆われていることが少ないため、打撲症状や骨折が起こりやすい部位です。

また、上腕骨下端にある外側上顆や内側上顆もぶつけやすい部位です。

外側上顆も内側上顆も、骨が少し外側に出っ張っているため、皮膚の上からでも容易に触わることが出来るくらい体表に近くなっています。転倒などでもぶつけることが多々あります。

肘の痛みから全身が痛くなることもある

最初は肘を曲げると痛いだけだったのが、知らない間に肘をかばって生活するようになり、肩や背中に痛みを発生させることもあります。そこから全身の不調につながっていくことは十分考えらえるので、痛みを放置せずに早めに対処してください。

お近くに再生医療やスポーツ医療についての専門医がいない方へ

リペアセルクリニックは、第二種・第三種再生医療提供計画を厚生労働省に提出し受理された厚生労働大臣許可医療機関です。当院では来院前でも「メール相談」を受付けています。どうぞ事前にご相談ください。

以上、肘の痛みが治まらない!考えられる病気について記してまいりました。参考になれば幸いです。

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監修:リペアセルクリニック大阪院

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