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肘から下の痛みの原因は?その種類と対処法について

肘から下の痛みの原因は?その種類と対処法について

肘から下の痛みが出る場合は、神経が圧迫されている、筋肉の使い過ぎ、または皮膚疾患など様々なことが考えられます。

では、肘から下に出る腕の痛みは何が原因で起こっているのか、自分である程度判断する方法や、どのような疾患が考えられるかについてご紹介していきます。

肘から下の痛み

肘から下の腕を「前腕」、肘から上の腕を上腕と呼ぶ

私たちの腕は大きく分けて2つの部分からできています。肘から下の部分を「前腕(ぜんわん)」、肘から上の部分を「上腕(じょうわん)」と呼びます。

前腕は、手首から肘までの部分です。前腕には2本の長い骨があります。親指側の骨を「橈骨(とうこつ)」、小指側の骨を「尺骨(しゃっこつ)」と呼びます。この2本の骨は、手首で手のひらを回転させる動作に重要な役割を果たしています。また、手首には8個の小さな骨があり、これらは手の繊細な動きを可能にしています。

一方、上腕は肘から肩までの部分です。上腕には1本の長い骨があり、「上腕骨(じょうわんこつ)」と呼ばれています。上腕骨は、肩関節と肘関節をつないでいます。

前腕には手首や指を動かす筋肉が集まっている

前腕には、手や指の動きをコントロールする重要な筋肉が集中しています。これらの筋肉は大きく2つのグループに分けられます。

伸筋群(しんきんぐん):前腕の背側にある筋肉のグループです。この筋肉は、手首を背屈(手の甲側に曲げる動作)させたり、指を伸ばしたりする働きがあります。

屈筋群(くっきんぐん):前腕の掌側にある筋肉のグループです。この筋肉は、手首を掌屈(手のひら側に曲げる動作)させたり、指を曲げたりする働きがあります。

伸筋群と屈筋群は協力して働くことで、手首や指の繊細な動きを可能にしています。例えば、ペンを持つ、ボタンをかける、ピアノを弾くなどの動作では、これらの筋肉に加えて、前腕の回旋運動も関与しています。

また、前腕の筋肉は「回外(かいがい)」と「回内(かいない)」という特殊な動作にも関与しています。回外は、手のひらを上に向ける動作で、回内は手のひらを下に向ける動作です。これらの動作は、ドアノブを回す、ネジを締めるなどの日常生活で頻繁に使われています。

腕の神経は筋肉に圧迫されやすい

前腕には、脳から指先まで伸びる重要な神経が通っています。これらの神経は、筋肉を動かすための信号を送ったり、手や指の感覚を脳に伝えたりする役割を持っています。前腕の主な神経には以下の3つがあります。

正中神経(せいちゅうしんけい):親指、人差し指、中指、および薬指の半分の感覚と運動を担当しています。この神経は手の運動にも関与しています。

尺骨神経(しゃっこつしんけい):小指と薬指の半分の感覚と運動を担当しています。この神経も手の運動に関与しています。

橈骨神経(とうこつしんけい):手の甲側の感覚を担当する感覚神経です。手の運動には直接関与していません。

これらの神経は、筋肉の間を通るため、筋肉に圧迫されやすい位置にあります。例えば、前腕の筋肉が緊張したり、腫れたりすると、神経が圧迫される可能性があります。神経が圧迫されると、しびれ、痛み、筋力低下などの症状が現れることがあります。

肘の痛みの治療

なぜ肘から下の前腕で痛みが出るのか? 4 つの原因

前腕で痛みを発生させる原因は主に次の 4 つが考えられます。

  • 1,筋肉の使い過ぎや過度な外力で筋損傷を起こしている場合
  • 2,筋肉の緊張や内圧の高まりで神経を圧迫している場合
  • 3,頚椎から派出する神経を圧迫している場合
  • 4,皮膚の疾患にかかった場合

それぞれ打撲や捻挫など、1回の外力で起こる怪我とは別に日々のダメージの蓄積によって起こる症状も多いのです。

それぞれの原因別に、どんな疾患が考えられるのかご紹介していきます。

1.筋肉の使い過ぎや過度な外力で筋損傷を起こしている場合

筋肉に損傷を起こしているケースでは、肘関節や手関節、手指の動きをよく使う生活習慣を持っている方に多いです。スポーツ活動はもちろん、家事による負担や、デスクワークでの軽微な負担の蓄積によってある日突然痛みを発生するケースがあります。

前腕の痛みの原因について、もっとわかりやすく説明してみましょう。

腱鞘炎(けんしょうえん)

腱鞘炎は、手や指を頻繁に使う人によく見られる症状です。私たちの手や指の動きは、前腕の筋肉によってコントロールされています。この筋肉が過度に使われると、筋肉と骨をつなぐ腱や、腱を覆う腱鞘に炎症が起こります。その結果、前腕から手にかけての痛みやしびれが生じます。
例えば、長時間のキーボード入力、スマートフォンの使用、楽器の演奏などは、腱鞘炎のリスクを高めます。家事や育児でも、同じ動作を繰り返すことで腱鞘炎を発症することがあります。

内側上顆炎(ないそくじょうかえん)

内側上顆炎は、肘の内側にある骨のとがった部分(内側上顆)に付着する筋肉に炎症が起こる病気です。この筋肉は前腕を通って手首や指まで伸びているため、前腕から手にかけての痛みを引き起こします。
主婦の方に多いのは、料理や掃除など、手首を曲げる動作を繰り返すことが原因と考えられています。また、野球のピッチャーなど、肘を酷使するスポーツ選手にも多く見られます。

外側上顆炎(がいそくじょうかえん)

外側上顆炎は、内側上顆炎と同じように、肘の外側にある骨のとがった部分(外側上顆)に付着する筋肉に炎症が起こる病気です。この筋肉も前腕を通って手首や指まで伸びているため、前腕から手にかけての痛みを引き起こします。
テニスのバックハンドストロークなど、肘を伸ばす動作を繰り返すことが原因と考えられていますが、テニス以外のスポーツや日常生活でも発症することがあります。

2.筋肉の緊張や内圧の高まりで神経を圧迫している場合

前腕には狭い空間に神経が密集して通過しており、腕や手首の使い方によっては慢性的に神経を圧迫した症状を発生させることもあります。

手根管症候群(しゅこんかんしょうこうぐん)

肘から下に痛みを発生させるだけでなく、しびれや運動障害を起こすこともある疾患です。手根管とは手首の屈筋側にある部位のことで、神経や筋肉の腱などを束ねて正しい動きに導くという役割を持っています。

この手根管は靭帯によって覆われていて、ほとんど伸び縮みができないバンドのような構造をしています。その狭い空間の中に、正中神経と9本の筋肉の腱を通しているので、圧迫されやすい構造でもあります。

病態としては前腕の屈筋群を繰り返し使うことによって疲労を蓄積していることが原因の場合もありますし、腫瘍が出来ているケースや、骨折後の後遺症として発生するケースもあります。しかし、多くの場合は特発性の手根管症候群で、原因がよくわからないというのが現状です。

手根管症候群では正中神経が圧迫されている

前述のように、手根管の中に通っている神経は正中神経であり、手根管症候群によって出る痛みはほとんどの場合は正中神経の絞扼による痛みです。前腕から、手指の母指、第二指、三指、四指まで痛みやしびれを発生させることがあります。

特徴的な症状としては、正中神経支配である母指球の筋肉が徐々に痩せていき、OKサインのような手の形がとりにくくなることがあります。このため、細かい作業がしにくくなり、生活に大きな影響を及ぼすようになるのです。

3.頚椎から派出する神経を圧迫している場合

頚椎と呼ばれる首の背骨から派出している8本の神経は、首、肩、上腕を経由して前腕から手指まで届いています。その過程で神経が圧迫されるようなことがあれば、肘から下で痛みを発生させることも大いに考えられるのです。

頚椎(けいつい)ヘルニア

頚椎ヘルニアは、首にある椎間板が変形して突出し、脊柱の中に通っている脊髄や神経根を圧迫してしまいます。頚椎の5番6番あたりでヘルニアを起こせば、肘から下で常に痛みを生じさせることも多いです。

頚椎ヘルニアを起こしてしまう原因は、急性的なものと亜急性のものがありますが、多くは亜急性です。頚椎に微細な負担を長時間蓄積させ続け、少しずつ椎間板の変形を招くのです。

頚椎から派出している神経が前腕から手指までつながっていることを知らなければ、肘から下の痛みが頚椎の問題が原因で起こっていると見当もつかないでしょう。ひどい場合は座位や立位はもちろん、寝ている間でも常に前腕にしびれや痛みを生じさせることもあります。

頚椎症

頚椎症は頚椎ヘルニアと似たような発生機序で、背骨を構成している椎骨自体の変形によって前腕を支配している神経を圧迫する病態です。頚椎ヘルニアと同じく亜急性の頚椎症が多く、現代では頚椎症のリスクは増加していると言えます。

スマートフォンやパソコンの普及により、長時間の同じ姿勢を取ることが増え、筋肉の緊張や不良姿勢を招いて少しずつ頚椎を変形させていくのです。年齢によるリスクの増加というよりも普段の生活の中で首に負担がかかる猫背やストレートネックなどの姿勢が定着していれば、20代など比較的若い世代でも十分起こり得る症状でもあります。

頚肩腕(けいけんわん)症候群

首から前腕まで向かう神経を圧迫するという点では、頚椎ヘルニアや頚椎症と同じですが、骨や椎間板に圧迫されるというよりは、手指まで通過する過程で筋肉の緊張や血流の悪化によって痛みを引き起こす病態です。

パソコンが普及し始めたころの、いわゆるキーパンチャーと呼ばれる人たちに続出した疾患でもあります。現代でもデスクワークが主な仕事になっている方は同じリスクを抱えています。

首から前腕まで通過している神経は、様々な筋肉の間を縫うように走行しています。その過程で、筋肉が緊張したり関節の悪い動かし方をしたりしていると、慢性的に神経を圧迫して痛みを発生させてしまうのです。

神経を圧迫して肘から下に痛みを発生させるだけでなく、血管を圧迫したことによる症状も併発することがあるのも特徴です。痛みに加え、しびれ、ふるえ、冷え、運動障害も起こります。また、手先が真っ白になるレイノー現象を起こすこともあるのです。

胸郭出口症候群

腕神経叢(わんしんけいそう)と呼ばれる、頚椎から指先に向かう神経群を圧迫することによって肘の下まで痛みを起こす疾患です。

胸郭出口症候群はリスクが高い身体的な特徴が決まっていて、首が長い方、なで肩の女性、やせ型の男性などです。また、生活習慣がデスクワークを中心として座っている時間が長い方でも胸郭出口症候群のリスクは高まります。

胸郭出口症候群で神経を圧迫するポイントは3つで、斜角筋と呼ばれる首と鎖骨の間あたり、肋鎖間隙と呼ばれる鎖骨と第一肋骨の間あたり、小胸筋間隙と呼ばれる小胸筋と鎖骨の下あたりです。

どのポイントにも共通するのが、腕を上げ続けることによって痛みやしびれが悪化する点です。筋肉の緊張によって腕神経叢が圧迫し、肘の下や指先に痛みを発生させることもありますが、鎖骨の動き方によって神経を圧迫してしまっているケースもあります。

そのため、腕を上にあげている時間が長い美容師や理容師の胸郭出口症候群のリスクが高いことも事実です。

4.皮膚の疾患にかかった場合

肘から下の部分に痛みが出たときに、どうしても筋肉や神経が障害されて出ている痛みだと思い込みがちです。しかし、どんな動作でも痛みが悪化することがなく、原因がはっきりしない場合に考えられるのが皮膚の疾患です。

帯状疱疹

帯状疱疹はストレスが蓄積したときや、過労など何らかの原因で免疫力が低下したときに発生する病態です。ヘルペスウイルスの一種によるもので、一度水ぼうそうを経験している方なら誰でもなる可能性があります。

全身どこでも疱疹が出る可能性はありますが、最も多いのが胸背部などの体幹と腕なのです。自分でどんなケアをしても一向に良くならない痛みに関しては、意外と見落としやすい症状でもあるので頭の片隅に置いておくと良いでしょう。

肘から下の痛みの対処方法

帯状疱疹以外で、筋肉や神経の圧迫が原因で出ている前腕の痛みについては、治療方法が共通する部分も多いです。

筋肉の緊張を取る

筋肉の緊張をとって血流を良くすることで、痛みが快方に向かうケースも多いです。ただ、前腕の筋肉はあまり大きな筋肉ではないため、むやみにマッサージをしてしまうとかえって緊張を悪化させてしまう可能性もあります。ストレッチなど、あまり刺激が大きくない施術方法で治療するのが安全です。

背骨のゆがみを取る

頚椎ヘルニアや頚椎症などの神経症状はもちろん、前腕の筋肉疲労が原因で起きている痛みについても、背骨のゆがみを取ることが有効です。背骨のゆがみが矯正されれば肩甲骨の動きも自然と改善され、前腕にかかる負担も大幅に軽減されるのです。

痛みのある部分だけを治療してもなかなか良くならない場合は、背骨など根本的な部分のアプローチが必要と考えてください。

薬物療法を使う

あまりにも強い痛みの場合は、痛み止めなど消炎鎮痛剤や、ビタミン剤といった薬物療法を選択することも視野にいれます。症状によってはすぐに効果を感じられないこともありますが、とにかく今の痛みにすぐ対処する方法として選択されることも多いです。

まとめ・肘から下の痛みの原因は?その種類と対処法について

自分の状態では原因が思い当たらない、痛みが急に出だした、痛みが徐々に悪化しているという際は、早めに専門医や病院を受診し、適切な診断と情報を得ることが重要です。まず整形外科やスポーツクリニックなどを探し、医師に相談するのがよいでしょう。

肘から下の腫れや脱臼、断裂などの症状が単独の原因でなければ、痛みのある個所を一生懸命治療しても改善がみられないケースもあります。本当に必要な治療を見極めるために、自己判断だけでなく専門医や医療機関での検査や診断を受けることをおすすめします。

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監修:リペアセルクリニック大阪院

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