足の付け根が痛い原因は?考えられる疾患や女性特有の疾患について解説
公開日: 2019.04.14更新日: 2025.02.07
足の付け根が痛い原因がわからず、お悩みではないでしょうか。
転倒や怪我といった明確な理由がないまま足の付け根に痛みが生じるケースでは、股関節や筋肉、腱の問題、あるいは疾患など、さまざまな原因が考えられます。
本記事では、足の付け根の痛みの主な原因や関連する疾患、症状を緩和するための治療法を詳しく解説します。
さらに、再生医療を含む最新の治療法にも触れていますので、適切な対応を考える際の参考にしてください。
目次
足の付け根が痛い原因は?
足の付け根が痛い原因は、股関節や周辺の筋肉・腱に問題がある場合が多いです。
以下に、主な原因を挙げます。
それぞれの原因について、詳しく説明します。
股関節の変形
股関節の変形は、足の付け根に痛みを引き起こす主な原因の一つです。
この変形は、以下のような要因で起こります。
- 長期間にわたる関節への負担
- 過剰な運動や体重増加による負荷
- 加齢による骨や軟骨の変化
- 生まれつきの骨格の問題や外傷
- 長期間の不適切な姿勢
特に変形性股関節症では、股関節の軟骨がすり減ることで骨と骨が直接こすれ合い、炎症や痛みを伴うことがあります。
初期段階では軽い痛みや違和感から始まり、進行するにつれて歩行が困難になるケースもあります。
筋肉や腱の柔軟性がない
股関節周辺の筋肉や腱の柔軟性がないことも、足の付け根の痛みの原因です。
- 運動不足や過度な筋肉緊張
- 怪我や炎症による筋肉や腱の硬直
- 年齢とともに進行する柔軟性の低下
足の付け根付近で痛みが生じる原因として、特に多いのが股関節のトラブルです。
以下は足の付け根が痛い時に考えられる主な疾患です。
股関節に炎症が起きたり病気が隠れていたりすると、鼠径部の前側や大腿骨の外側などに痛みを感じることがあります。
ただし、足の付け根の痛みが必ずしも股関節に原因があるとは限りません。筋肉や腱、さらには神経や血管に起因するトラブルも考えられます。
それぞれの疾患について解説します。
変形性股関節症
変形性股関節症は、股関節の軟骨がすり減ることで痛みを引き起こす疾患です。
特に中高年に多くみられ、長期間にわたる関節への負担が原因とされています。
原因 |
・長期間の関節への負担 |
---|---|
症状 |
・歩行時や立ち上がり時の痛み |
主な治療法 |
・保存療法(ストレッチや薬物療法) |
変形性股関節症は早期発見と治療が重要です。
症状が進行すると手術が必要になる場合もあるため、早めに医療機関を受診しましょう。
鼠径ヘルニア
鼠径ヘルニアは、腸や脂肪組織が足の付け根付近の鼠径部から突出してしまう状態です。
股関節とは別の部位ですが、足の付け根や股関節周辺に痛みや不快感が生じる場合があります。
特に男性に多く、立ち仕事や重い物を持つ作業が原因になることがあります。
原因 |
・加齢 |
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症状 |
・足の付け根や鼠径部の膨らみや違和感 |
主な治療法 |
・保存療法(経過観察) |
鼠径ヘルニアは進行すると生活に支障をきたす可能性があるため、症状が見られる場合は早めの受診を検討しましょう。
坐骨神経痛
坐骨神経痛は、坐骨神経が圧迫されることで生じる痛みやしびれの症状です。
腰から足にかけての痛みが特徴で、椎間板ヘルニアなどが原因となることが多いです。
原因 |
・椎間板ヘルニア |
---|---|
症状 |
・腰から足にかけての痛みやしびれ |
主な治療法 |
・保存療法(神経ブロック療法など) |
坐骨神経痛は、原因に応じた適切な治療が必要です。放置すると慢性化する可能性があるため、早期の診断と治療が望まれます。
腰部脊柱管狭窄症
腰部脊柱管狭窄症は、脊柱管(背骨の後ろ側にある管)が狭くなることで神経が圧迫される疾患です。
主に中高年に多く、歩行時に腰や足の痛み、しびれが出るのが特徴ですが、腰などの痛みが放散痛として股関節まで及ぶ場合があります。
原因 |
・加齢による椎間板の変性 |
---|---|
症状 |
・長時間歩けない(間欠性跛行) |
主な治療法 |
・保存療法(運動療法や薬物療法) |
症状が進行すると日常生活に支障をきたすため、早期の診察が重要です。
大腿骨頭壊死症
大腿骨頭壊死症は、大腿骨の先端部が血流不足により壊死する疾患です。
進行すると股関節の変形や激しい痛みが現れることがあります。
原因 |
・血流障害 |
---|---|
症状 |
・歩行時や安静時の激しい痛み |
主な治療法 |
・保存療法(薬物療法) |
大腿骨頭壊死症は進行性の疾患であり、早期の治療が予後を大きく左右します。
股関節に強い痛みがある場合は、早めに専門医を受診してください。
足の付け根が痛いのは女性特有の疾患の可能性もある
足の付け根の痛みは、女性特有の疾患や身体の変化が原因となる場合があります。
以下に、考えられる疾患や特徴的な症状について解説します。
- 骨盤内炎症性疾患(PID):女性の生殖器上部に炎症を引き起こす感染症で足の付け根の痛みや発熱、リンパ節の腫れが伴う場合がある
- 卵巣嚢腫や子宮筋腫:腫瘍が神経や組織を圧迫し足の付け根や骨盤周辺に痛みを引き起こす場合がある
- 鼠径リンパ節の腫れ:感染症や炎症で足の付け根の痛みが伴う場合がある
これらの疾患では、特徴的な症状としてリンパ節の腫れや圧痛、腹部の張り感などが現れることがあります。
また、妊娠中も足の付け根に痛みが生じることがあります。胎児の成長や体重増加に伴う負荷に加え、妊娠後期になるとホルモンの影響で骨盤周辺の靭帯や筋肉が緩むためです。
さらに、出産後も骨盤の傾きが残ることで、歩行や立ち上がり動作の際に痛みが持続する場合があります。
足の付け根が痛い時の対処法
足の付け根が痛い場合、原因によって適切な対処法が異なります。
以下2つの対処法について解説します。
ストレッチや運動、痛み止めの使用は、足の付け根の痛みに対する基本的な対処法です。
ご自身の状況に合った対処法を見つけましょう。
ストレッチなどの運動を行う
ストレッチや軽い運動は、筋肉や腱の柔軟性を高め、股関節周辺の負担を軽減する効果があります。
- 椅子に横向きで座り、片方のお尻を椅子に置く
- 椅子に掛けていない足を後ろに伸ばし、つま先を立てる
- 股関節の前側から太ももを伸ばすイメージで体勢を維持
- 左右それぞれ40秒を目安に2〜3回繰り返す
- 椅子に座り、片方の足を反対の膝に乗せる
- 乗せた足の膝を下方向に押しながら外側に開く
- 股関節内側からお尻の筋肉を伸ばしつつ上半身を前に倒す
- 左右それぞれ40秒を目安に2〜3回繰り返す
ただし、痛みが強い場合や運動中に症状が悪化する場合は、運動を中止し医師に相談してください。
痛み止めの薬を処方してもらう
痛みが強く日常生活に支障をきたす場合は、医療機関で痛み止めの薬を処方してもらうと良いでしょう。
一般的には以下のような薬が処方されます。
- 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs):痛みと炎症を抑える薬
- 筋弛緩剤:筋肉の緊張を緩和して痛みを軽減する薬
- 局所治療薬:湿布やクリームタイプで、直接痛む部位に使用する薬
薬の使用は、医師の指示に従い適切な用量・用法を守ることが重要です。
足の付け根が痛い場合は医療機関を受診しよう
足の付け根の痛みは、変形性股関節症などの疾患が原因である可能性もあります。
特に、股関節の軟骨がすり減ることで発症する変形性股関節症は、中高年の方に多く見られる疾患の一つです。
進行すると、痛みだけでなく歩行が困難になったり、日常生活に大きな影響を与えたりすることもあります。
変形性股関節症の痛みに対して、近年では再生医療が新たな治療法として注目されています。
再生医療は、患者さま自身の幹細胞を採取・培養してから股関節に注入し、損傷した軟骨の再生を促す治療法です。手術や入院を必要とせず、体への負担が少ない点が特徴です。
足の付け根が痛い場合は、当院(リペアセルクリニック)の再生医療を選択肢の一つとしてご検討ください。
【まとめ】足の付け根が痛い時の多くの原因は変形性股関節症
足の付け根の痛みは、股関節や筋肉、腱の問題、または疾患や妊娠による身体の変化などが原因で起こります。
症状を改善するためには、ストレッチや運動、痛み止めの薬を活用しつつ、早めに専門医を受診して原因を特定することが重要です。
また、足の付け根の痛みの原因によっては、再生医療という選択肢もあります。
再生医療は患者様自身の幹細胞や血液を活用する治療法で、痛みの緩和や疾患の根本的な治療を目指します。痛みや違和感でお悩みの方は、再生医療も検討しましょう。
当院では事前のメール相談も受け付けておりますので、まずはお気軽にお問い合わせください。