太ももの付け根が痛い原因は?考えられる病態・対処法を紹介
公開日: 2019.04.17更新日: 2025.01.09
太ももの付け根が痛くなると、歩くときや座っているときなど日常生活にも影響が出てしまいます。
この痛みの原因は、筋肉疲労や関節の問題から深刻な病態までさまざまです。
しかし、原因がわからないとどう対処すればよいのか悩む方も多いのではないでしょうか。
本記事では、太ももの付け根が痛む原因として考えられる病態を解説します。
それぞれの対処法やセルフケア方法、セルフケアで改善しない場合の医療機関での治療方法についても取り上げています。
痛みの原因を理解し、適切に対処するための参考にしてください。
目次
太ももの付け根が痛い原因
太ももの付け根が痛いのは、大腿骨や筋肉に異常が起きているのが原因です
- 大腿骨や骨盤の骨自体に何か問題が起きている
- 筋肉に異常が起きている
- 何か病気が隠れている
いずれも、股関節もしくは周囲が痛むと歩行に障害がでます。放っておくと日常生活に大きな支障をきたすため、早めに整形外科等の専門医に相談しましょう。
太ももの付け根が痛い原因の詳細は以下の記事で解説しているので、ぜひあわせてご覧ください。
太ももの付け根(股関節)について
太ももの付け根には、股関節が位置しています。
骨盤と大腿骨で構成される股関節は可動域が広く、さまざまな筋肉や神経・血管が近くを走行しています。
股関節の代表的な筋肉でいうと、大殿筋や中殿筋などの臀部の筋肉、ハムストリングスと呼ばれる臀部から太ももの裏側にかけての筋肉などです。
また太ももの前面を覆っている大腿四頭筋や、恥骨から大腿部の内側に位置する内転筋などは、安定した歩行に欠かせない筋肉です。
神経には太い神経の坐骨神経、大腿部の前側を走行している大腿神経があります。
血管も大腿動脈や大腿静脈など、血流量の多い血管が走行しています。鼠径部にはリンパ節があり、老廃物の代謝などに重要な器官です。
太ももの付け根(股関節)の基本的な動き
股関節は球関節であるため、さまざまな軸で動作を行います。
伸展は臀部の筋肉やハムストリングスが主に筋力を発揮し、屈曲では大腿四頭筋や腹筋、深部にある腸腰筋などが筋力を発揮します。
外転の場合は臀部の筋肉が主動作筋として働き、内転は内転筋群が作用します。
さらに外旋動作では臀部の深層にある梨状筋などが筋力を発揮し、内旋動作では中臀筋・小臀筋の前部線維が働きます。
太ももの付け根が痛む際に考えられる病態
考えられる病気として以下の9つを紹介します。
単なる疲労だろうとの自己判断は禁物です。顕著な疼痛(とうつう)症状が出た場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
1.筋肉疲労
筋肉疲労は長時間の作業や立ち仕事、スポーツなどが原因です。
捻挫や打撲などの怪我ではなく、もちろん病気でもありません。
しかし、臀部や股関節の筋肉が硬い場合や、足首や膝に痛みや不安を抱えている場合などは、太ももの付け根にダメージを蓄積する可能性が考えられます。
腸腰筋や大腿四頭筋に軽微な外力によるダメージが蓄積した結果、歩行時や立ち上がり時などの動作時に太ももの付け根が痛くなる場合があります。
筋肉疲労の場合は治療よりも、安静にして疲労回復に努めましょう。
2.変形性股関節症
変形性股関節症は、股関節の関節面に位置している関節軟骨が少しずつすり減ってしまい、関節内で炎症と変形を起こしてしまう病態です。
交通事故など一度の大きな衝撃によって変形性股関節症になるのではなく、日常生活を送る上での負担の積み重ねが、少しずつ変形性股関節症を作り上げていきます。
負担の蓄積が原因である以上、年齢と共に発生リスクが上がることは避けられません。
保存療法によって股関節に負担をかけない動作を獲得していくほか、あまりにも日常生活に支障が出るようであれば、人工関節などの手術が考えられます。
変形性股関節症の詳細は以下の記事で解説しているので、ぜひあわせてご覧ください。
3.関節リウマチ
関節リウマチは自己免疫疾患の一つで、関節を自分の免疫力で攻撃してしまう病態です。
本来であれば外から侵入してきた病原菌やウイルスに対して免疫力を発揮するはずの機構が、なんらかのエラーで自らの健康な細胞を攻撃してしまう原因不明の病気でもあります。
通常は四肢の末端部分の関節から少しずつ炎症や変形などの症状が出始め、全身の関節に痛みが起こります。
そのため股関節の痛みが太ももの付け根の痛みとして感じられることもあるのです。
関節リウマチの詳細は以下の記事で解説しているので、ぜひあわせてご覧ください。
4.大腿骨近位部骨折
大腿骨近位部骨折は、高齢者に多い骨折です。
転倒などによって外力を受け、大腿骨頭に向かう大腿骨頸部で骨折してしまうこともあります。大腿骨頸部で骨折があると荷重で激痛を引き起こします。
大腿骨頸部骨折は関節内と関節外で重症度が異なる点が特徴です。関節内に骨折線がかかっている場合は、治療もより長期になります。場合によっては髄内釘などの手術が必要です。
年齢によっては、大腿骨近位部骨折から寝たきりになってしまう可能性もあるので、とくに骨粗鬆症がある方は注意しなければなりません。
5.大腿骨頭壊死症
大腿骨頭壊死症とは、大腿骨頭を栄養している大腿骨頭動脈がなんらかの原因で遮断されることによって起こる病態です。
壊死によって変形した大腿骨頭に重心がかかり、太ももの付け根に痛みを感じます。大腿骨頭壊死症の原因は未だに不明であり、ほとんどが特発性です。
大腿骨頭壊死症のリスクを高める要因としては、アルコールの大量摂取が挙げられます。
他にも治療などによるステロイドの使用歴が多いと、大腿骨頭壊死症のリスクを高めると言われています。
大腿骨頭壊死症は初期段階では、保存療法が可能です。
しかし大腿骨頭は常に体重がかかる関節であるため変形も進みやすく、人工関節置換術の適応になる場合もあります。
6.腰椎椎間板ヘルニア
椎間板ヘルニアとは、脊柱の中を通っている脊髄や神経根が変形し、飛び出した椎間板によって圧迫される病態です。
圧迫されている高位によっては太ももの付け根が痛む場合もあれば、下腿部で痛みが出ることもあります。
またヘルニアによって神経を圧迫している痛みに加え、筋緊張が強くなることによって走行している神経を絞扼してしまうケースも考えられます。
腰椎椎間板ヘルニアの原因は、長期間の負担の積み重なりです。
重い物を持つ仕事や長時間運転など、腰に負担を溜めやすい生活習慣がある方は腰椎椎間板ヘルニアを発症しやすいです。
治療としては、ブロック注射を含む保存療法によって筋緊張の緩和と股関節や腰椎の柔軟性を取り戻すことで症状の緩和を目指す方法があります。
それでも日常生活に大きな支障をきたしている場合は、手術も選択肢の1つです。しかし手術したからといって腰椎椎間板ヘルニアの痛みが100%消える保証はなく、別の高位で再発するケースもあります。
7.脊柱管狭窄症
脊柱管狭窄症は、脊柱の不良姿勢や脊柱管内の変形によって神経や血管を圧迫してしまう病態です。
腰に慢性的に負担がかかると脊柱管狭窄症の発生リスクを高めます。脊柱管狭窄症になってしまうと、太ももの付け根や足の先で神経的な痛みが起こります。
最も特徴的な症状は間欠性跛行です。間欠性跛行は一定の時間歩くと痛みやしびれで下肢に力が入りにくくなります。
一定の時間休めば回復しますが、安静時でも腰や下肢が痛いケースもあり、坐骨神経痛を伴うことも多いです。
脊柱管を狭窄している原因が姿勢不良などのマルアライメントなら、姿勢の改善や骨盤矯正によって症状を改善できます。しかし場合によっては手術も選択肢に入ります。
8.鼠径ヘルニア
鼠径ヘルニアは別名「脱腸」とも呼ばれ、主に小腸が鼠径部から皮下に飛び出してしまう病態です。
鼠径部に筋膜が脆弱な部分があり、腹圧が高まることでそこから内臓が出てきてしまいます。
原因はほとんどが先天的な要因ですが、年齢と共に筋力が落ちるため鼠径ヘルニアの発生リスクが高まります。
飛び出してきた小腸が嵌頓してしまい、徒手整復でも元に戻らなくなってしまった場合は、早急に手術が必要です。
嵌頓している組織が壊死を起こしてしまうと、重篤な状態になりかねません。
鼠径ヘルニアは太ももの付け根に痛みが出るだけでなく、体表からでも膨らみを確認できます。
9.リンパ節炎
リンパ節炎とは、1つまたは複数のリンパ節に感染が起き発症する病態です。
鼠径部にはリンパ節が位置していますが、ウイルス感染などで炎症を起こしてしまうと、太ももの付け根に痛みが出ます。
また全身性エリテマトーデスのような自己免疫疾患でも、リンパ節の腫脹を認めることがあります。
太ももの付け根が痛くなった時の対処法
太ももの付け根に痛みを感じた場合、早めに適切な対処を行うことが重要です。
症状が軽度であれば、自宅でのセルフケアで改善するケースもあります。
これらの方法を試しても改善しない場合や、痛みが強い場合は、自己判断せず医療機関を受診することをおすすめします。
早めの対応が、症状の悪化を防ぎ、回復への近道となります。
安静にする
荷重をなるべくしないように気を付け安静にして痛みが治まるのであれば、筋肉疲労や保存療法で十分改善できます。
股関節は常に荷重されている関節なので、負担も溜まりやすいです。
腰や股関節のストレッチをする
腰から来ている神経を圧迫していて太ももの付け根に痛みが出ているのであれば、ストレッチで痛みが緩和される場合があります。腰の屈曲や伸展のストレッチをしてみて、痛みが憎悪しないか確認してみてください。
牽引によってストレッチ効果を出すのも有効なので、鉄棒などにつかまってぶら下がるだけでも痛みが緩和されます。
また股関節はとくに臀部のストレッチが有効です。坐骨神経痛や梨状筋症候群などの症状で太ももの付け根が痛い場合は、大殿筋や中殿筋といった臀部の緊張が取れるだけでもかなり変化します。
温める
お風呂などで温めると痛みが軽減されるケースもあります。とくに股関節の前側には太い血管が通っており、血流が悪くなるだけでもしびれや痛みが出やすい部分です。
血流が悪いと下肢の疲労も抜けにくく、冷えやむくみも出やすくなります。太ももを温めて、痛みを和らげましょう。
医療機関を受診する
太ももの付け根の痛みが、安静やストレッチ、温めるといった対処法で改善しない場合は、医療機関の受診をおすすめします。
医療機関での主な治療方法は以下の通りです。
治療方法 | 説明 |
---|---|
リハビリ・運動療法 | 筋力を強化し、柔軟性を向上させることで痛みを軽減、再発防止を目指す治療法。 |
ヒアルロン酸注射 | 関節のクッションとなる成分を補充して炎症を抑える、関節の動きをスムーズにする効果が期待される治療法。 |
手術 | 痛みの原因が進行した場合に行う外科的治療法。症状の程度によって適切な手術方法が選択される。 |
再生医療 | 幹細胞を用いて損傷した組織を修復し、痛みの原因を根本的に改善する治療法。副作用が少なく、慢性的な痛みにも対応可能。 |
もし、再生医療での治療に興味がある場合、一般的なクリニックや病院では受けられないため、当院へお問い合わせください。
当院は厚生労働省から認可を受けた再生医療専門クリニックです。
太ももの付け根が痛い方からよくある質問
太ももの付け根に痛みを感じる原因を知ることで、適切な対応が取りやすくなります。
以下によくある質問をまとめました。
これらの質問について、それぞれの原因や対処法を詳しく解説します。
自身の症状と照らし合わせながら、早期に適切な対応を検討してください。
女性が片方の足の付け根に痛みを感じる原因は?
片方の足の付け根に痛みを感じる場合、その原因にはさまざまな疾患が考えられます。
とくに女性は、特定の病態により痛みを引き起こすリスクが高い傾向があります。
- 鼠径ヘルニア:腸が鼠径部から飛び出し、膨らみや痛みを伴う病気
- 感染症:軟性下疳、梅毒、HIV、クラミジアなど
- 変形性股関節症:股関節の痛みや動きの制限を伴う病気
痛みが続く場合やその他の症状を伴う場合は、早めに医療機関を受診して適切な治療を行うことが重要です。
外側の太もも付け根が痛い原因は?
外側の太ももの付け根に痛みを感じる場合、いくつかの疾患がその原因となっている可能性があります。
この部位の痛みは、股関節や周囲の組織、神経の問題が関与していることが多く、症状によっては日常生活に支障をきたします。
- 変形性股関節症:股関節の軟骨がすり減り、痛みや可動域の制限を伴う病気
- 滑液包炎:股関節周囲の滑液包が炎症を起こし、腫れや痛みが生じる状態
- 坐骨神経痛:坐骨神経が圧迫されることで、太ももや足に鋭い痛みやしびれが広がる症状
これらの原因はいずれも早期の診断と治療が重要です。
日常生活で気になる症状がある際は、早めの対応が回復への近道となります。
改善しない太もも付け根の痛みは医療機関に相談しよう
太ももの付け根に痛みを感じたら、まずは本記事で解説した簡単なセルフケアで対処するのがおすすめです。
もしセルフケアで痛みが変わらない場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。
精査をしておきたいなら整形外科で、壊死など器質的な異常でない場合は接骨院や整骨院でも治療が可能です。
大阪で医療機関をお探しの方は、ぜひ当院(リペアセルクリニック)をご検討ください。
当院は厚生労働省に「第二種・第三種再生医療提供計画」を提出し、再生医療による治療を提供しています。
再生医療は、幹細胞や成長因子を用いて損傷した組織を修復し、慢性的な痛みの改善が期待できる治療法です。
当院では来院前に「メール相談」も受け付けています。気になる症状がある場合は、ぜひお気軽にお問い合わせください。