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関節リウマチが治る可能性|どのような治療が行われる?寛解を目指す方法について解説

関節リウマチと診断されたけど治るのか、不安を抱えている方は多いのではないでしょうか?
関節リウマチは免疫の異常により関節が炎症を起こし、進行すると関節の破壊や変形につながる疾患です。
現代の医療では完治が難しい病気ですが、治療の進歩により寛解(かんかい)を目指すことは可能です。
本記事では、関節リウマチ治療の基本方針や寛解を目指す方法について詳しく解説します。
また、当院リペアセルクリニックの公式LINEでは再生医療の情報や症例も公開しています。
関節リウマチによる関節の痛みにお困りの方や治療法を探している方は、併せて参考にしてください。
目次
関節リウマチの完治は難しいため寛解(ほぼ症状がない状態)を目指す
関節リウマチは、現時点では根本的に完治する治療法は確立されていません。
しかし、近年の治療法の進歩により、痛みや腫れを抑えて寛解(日常生活に支障のない状態)を目指せます。
寛解とは、関節リウマチによる症状や検査での異常がほとんどなくなった状態※を指します。
※出典:難病情報センター「用語:寛解 (かんかい)」
寛解と完治の違いは、以下の通りです。
| 状態 | 症状 | 再発 |
|---|---|---|
| 寛解 | ほとんど現れない | 治療を続けないと再発の可能性がある |
| 完治 | 一切ない | 治療を終えても再発の心配がない |
寛解では症状がほとんどありませんが、再発を防ぐために治療や定期検査は続けることが大切です。
関節リウマチの治療は、焦らず長い目で治療に取り組みましょう。
【基礎知識】関節リウマチってどんな病気?
関節リウマチの基礎知識を、以下にまとめました。
関節リウマチは、免疫の異常により自分の関節を攻撃してしまう疾患です。
手や足の小さな関節に炎症が起こって腫れや痛み、こわばりを引き起こします。
症状は左右の関節に対称的に現れる場合が多く、進行すると関節の変形や動かしにくさにつながることがあります。
関節リウマチの原因
関節リウマチの正確な原因はまだ解明されていません。
遺伝的素因や環境因子など複数の要素が組み合わさることで発症すると考えられています。
発症に関与すると考えられる主な要因は、以下の通りです。
| 要因 | 内容・具体例 |
|---|---|
| 免疫異常 | 免疫システムが自身の関節内にある滑膜と呼ばれる組織を攻撃し、炎症が慢性化する |
| 遺伝的素因 | 関節リウマチになりやすい体質が遺伝するが、必ず発症するわけではない |
| 環境要因 |
|
| ホルモンの影響 | 女性に多く男性よりも3~5倍発症しやすく、とくに発症のピークは40~50代にみられる※ |
関節リウマチの発症は遺伝や性別だけでなく、環境がきっかけとなる場合もあります。
喫煙や歯周病、日々のストレスが気になる方は生活を見直して健康維持につなげましょう。
以下の記事では、リウマチになりやすい人の特徴や予防策を解説していますので参考にしてください。
関節リウマチのステージ分類と症状
関節リウマチのステージ分類と症状は、X線検査で以下のように分けられます。
| ステージ分類 | 関節の状態 | 症状 |
|---|---|---|
| ステージⅠ(初期) | 骨や軟骨の破壊はまだ見られないが、炎症が始まっている | 痛みは軽度で、ほとんど日常生活に支障はない |
| ステージⅡ(中等期) | 軟骨が徐々に破壊されて薄くなり、関節の隙間が狭くなる | 強い痛みは少ない |
| ステージⅢ(高度進行期) | 軟骨だけでなく骨にもダメージが生じる | 関節の痛みが強くなり、日常生活にも支障が出る |
| ステージⅣ(末期) | 軟骨がほとんどなくなり、関節が動かなくなる | 膝、肘、足首などの関節を自分で動かすことが難しくなる |
初期段階では痛みが軽度で気づきにくいことがありますが、関節リウマチによる破壊は発症から最初の1~3年で最も進みやすい※とされています。
※出典:JSTAGE「関節リウマチ」
また、一度破壊された軟骨や骨は、自然に回復することはほとんどありません。
そのため、早期発見・早期治療で症状の進行を抑えることが重要です。
関節に違和感や痛みを感じたら、早めに医療機関で検査を受けましょう。
関節リウマチの診断基準
関節リウマチの主な検査方法は、下記の通りです。
| 検査 | 内容 |
|---|---|
| 触診 | 腫れや押して痛む関節を確認する |
| 血液検査 |
|
| 画像検査 |
|
| 尿検査 | 薬の副作用や腎障害のチェックができる |
また、関節リウマチの診断は少なくとも1つ以上の関節で滑膜炎が確認され、他の疾患による炎症が除外された上で、以下の項目※をもとに総合的に判断されます。
※出典:針谷正祥「ACREULARによる関節リウマチの2010 新分類基準」
- 腫れや、押した際に痛む関節の数
- 血液検査の結果(リウマトイド因子・抗CCP抗体など)
- 急性期反応物質(炎症が起きたときに、血液の中で増えるたんぱく質)の有無
- 症状が続いている期間
関節リウマチは関節の痛みや腫れを生じますが、似た症状を示す疾患も多いため、複数の検査結果を組み合わせて診断するのが一般的です。
診断が確定した後は、炎症の程度や関節破壊の進行度に応じて治療方針が立てられます。
関節リウマチの寛解を目指すための治療法
関節リウマチの治療法は、以下の通りです。
| 治療法 | 説明 |
|---|---|
| 薬物療法 | 免疫の異常な働きを調整し、炎症や痛みを抑える薬を使用 |
| リハビリテーション | 関節の動きや筋力を維持・改善し、日常生活の自立をサポート |
| 手術療法 | 関節の変形や機能障害が進行した場合に、関節の修復や置換を行う。 |
| 再生医療 | 損傷した関節組織の再生・修復、炎症抑制を目指す治療法 |
治療方針は、患者さま一人ひとりの症状や生活背景に合わせて立てられます。
代表的な治療法について詳しく見ていきましょう。
薬物療法
関節リウマチの薬物療法は、寛解もしくは炎症が落ち着いた状態を目指します。
ただし、症状が落ち着いて寛解しても、自己判断で薬を中止すると再発する可能性があるため、必ず医師と相談してください。
関節リウマチの薬物療法で用いられる主な薬※は、以下の通りです。
| 種類 | 詳細 | 副作用 |
|---|---|---|
| メトトレキサート(MTX) |
|
口内炎、脱毛、吐き気、肺炎、白血球の減少による感染症など |
| 生物学的製剤 |
|
|
| JAK阻害薬 |
|
|
※出典:公益財団法人日本リウマチ財団「関節リウマチの治療 – 薬物療法」
抗リウマチ薬には複数の種類があり、それぞれ作用の仕方や副作用のリスクが異なるため、患者さまごとに適切な組み合わせが検討されます。
また、治療中は定期的な血液検査や医師による管理が欠かせません。
必ず専門医と相談しながら、自分に合った方法で取り組みましょう。
リハビリテーション
関節リウマチのリハビリテーションは薬物療法と並行して行われる治療法で、期待できる主な効果は以下の3つです。
- 痛みの軽減
- 炎症の軽減
- 関節の変形防止
これらを目指しながら、患者さまの状態に合わせた以下のような個別プログラムが組まれます。
| 種類 | 特徴 |
|---|---|
| 理学療法 | 関節の可動域を広げる運動や、筋力トレーニング、温熱療法などが行われる |
| 作業療法 | 日常生活動作の練習や、関節に負担をかけない動作の指導、自助具の活用などが検討される |
| 装具療法 | 関節を保護し、痛みを軽減するための装具(サポーターやインソールなど)が使用される |
ただし痛みや炎症が強い場合は安静を保ち、無理に動かさず安静を優先しましょう。
手術療法
関節リウマチの手術療法は薬物療法やリハビリテーションなどの保存療法で効果が得られない、関節の変形や機能障害が進行した場合に検討されます。
主な手術方法は以下の3つです。
| 手術の種類 | 特徴 |
|---|---|
| 滑膜切除術 |
|
| 関節形成術 |
|
| 人工関節置換術 |
|
手術療法は効果的な手段ですが、出血や感染、合併症などのリスクもあるため、手術の種類・適応・術後の生活について専門医と相談することが重要です。
術後は適切なリハビリを行うことで、関節の動きや日常動作の改善が期待できます。
再生医療
再生医療は関節リウマチ治療の新たな選択肢として注目されており、主な治療法としては以下の2つがあります。
| 治療法 | 特徴 |
|---|---|
| PRP療法 |
|
| 幹細胞治療 |
|
再生医療は薬物療法や手術療法と比べて体への負担が少ないのが特徴で、患者さま自身の細胞を用いるため、拒絶反応のリスクも低いとされています。
ただし、先端医療で標準治療として確立されていないため、自由診療である点には注意が必要です。
治療を検討する際は専門医に相談し、自身の症状に合った選択肢か見極めましょう。
関節リウマチが治る可能性に関するよくある質問
関節リウマチが治る可能性に関するよくある質問は、以下の通りです。
それぞれ詳しくみていきましょう。
初期の関節リウマチが完治した人はいる?
関節リウマチは、現時点では「完全に治る(完治する)」病気とはされていません。
しかし、早期に発見し適切な治療を行うことで、症状がほとんど消えて炎症が落ち着いた状態で日常生活に支障がない「寛解」に至るケースはあります。
寛解の状態では、関節の痛みや腫れがほとんどなく血液検査で炎症の指標も正常に近づきます。
ただし、自己判断で薬をやめてしまうと再び症状が現れることがあるため、医師と相談しながら治療を継続しましょう。
関節リウマチが治る確率は?
発症から2年以内の早期関節リウマチ患者さまを対象とした調査では、初回の治療を行った1年後に、約半数の患者が寛解を達成した※ことが報告されています。
※出典:日経メディカル「早期RAの治療で課題、1年目で半数寛解を達成するも骨びらんは倍増」
また同調査では、寛解を達成していてもX線で関節破壊の一種が進行するケースもあり、治療中も関節の状態を確認しながら慎重に管理するのが重要です。
関節リウマチでは「症状が消えた=完治」とは言えず、ほとんどの患者さまで治療の継続が必要とされています。
早期に治療を始めて症状を抑え、関節の損傷や変形の進行を防ぎましょう。
関節リウマチを治すには適切な治療を継続することが大切
関節リウマチは、現代医学では完治が難しい疾患ですが、適切な治療と生活習慣の見直しによって症状の「寛解」は目指せます。
「リウマチは一生つらい病気」と思い込まず、早期に発見し適切な治療を始めることが何より重要です。
関節の痛みやこわばりなどの初期症状を感じたら、早めに専門医を受診しましょう。
関節リウマチは長く付き合っていく病気ですが、正しい情報と治療に基づき希望を持って前向きに暮らすことは可能です。
症状の進行を防ぎ、より良い生活を送りたい方は、ぜひリウマチ専門医に相談し、必要に応じて再生医療も視野に入れてみてください。
監修者
岩井 俊賢
Toshinobu Iwai
医師

















