脳出血に対する最新治療|IVES療法や再生医療を紹介
公開日: 2025.01.08更新日: 2025.01.09
脳出血は、突然の発症だけでなく、後遺症として麻痺や言語障害が残ることが多いため患者や家族にとって大きな悩みとなります。
治療後の回復に不安を感じる方や、「最新の治療方法で改善できるのか」「費用や期間はどれくらいかかるのか」といった疑問を抱える方も多いでしょう。
本記事では、脳出血後の後遺症改善に向けた最新治療や、それぞれの治療法の特徴や効果、費用面についても解説します。
目次
脳出血の後遺症に対する最新治療
脳出血は後遺症として麻痺や言語障害などが残ることが多く、治療後の生活の質を大きく左右します。
近年、医療技術の進歩により、従来の治療法に加え、新たなリハビリテーションや治療法が注目されています。
たとえば、IVES療法やHANDS療法といった電気刺激を用いる治療法や、ロボット技術を活用したリハビリ、さらにはボツリヌス療法や再生医療などがあります。
これらの治療法は、それぞれ異なるアプローチで後遺症の改善を目指しており、患者の状態や目標に合わせた治療法の選択が重要です。
以下では、これら最新の治療法について詳しく解説します。
IVES療法・HANDS療法
脳出血の後遺症に対する最新治療として、IVES療法やHANDS療法があります。
この治療では、後遺症によって思うようにできない動きを補助し、その動きを自力でできるようにするものです。
IVES療法
特殊な低周波の電気刺激装置による治療で、麻痺した場所を動かそうとしたとき、活動しようとしている筋肉に電気刺激を与えることで、筋肉の動きを補助し動かしやすくします。
HANDS療法
IVES療法をする際に、手関節装具を併用しておこなう治療方法です。
手関節装具を装着すると、物をつまんだり離したりする動作がしやすくなります。
ロボットによるリハビリ
脳出血の後遺症の最新治療として、ロボットを活用したリハビリがあります。
たとえば、人が体を動かそうとするときに、その意思が脳から筋肉へと伝達されます。そのときに生じる生体電気信号を検知して動作支援をする歩行支援ロボットなどです。
ロボットによるリハビリは、高いリハビリ効果を期待できるだけでなく、リハビリをする患者と療法士の負担を軽減できるというメリットもあります。
ボツリヌス療法
脳出血の後遺症のひとつに、手足がつっぱって動かしにくい、勝手に動いてしまう痙縮(けいしゅく)という症状があります。
この痙縮の最新治療として、ボツリヌス療法があります。
ボツリヌス療法とは、筋肉の緊張を緩める作用があるボツリヌストキシンという成分を筋肉に注射する治療方法です。
ボツリヌストキシンはボツリヌス菌からつくり出されるたんぱく質ですが、ボツリヌス菌自体を注射するわけではないので菌に感染する心配はありません。
ボツリヌス療法は2~3日くらいで効果が現れてきて、その効果は4カ月くらい持続します。
その間にリハビリをおこなうことで、リハビリによる改善効果を高めることもできます。
再生医療
再生医療は、体内に存在する幹細胞の能力を活用し、損傷を受けた組織や臓器を修復する治療法です。
幹細胞には、自己複製能力とさまざまな細胞に分化する能力があります。幹細胞の利用により、従来の治療では難しかった機能の回復が期待できます。
脳出血の場合、幹細胞を用いた治療が損傷した神経組織の再生を促進し、後遺症の軽減や再発予防効果が見込めます。
再生医療(幹細胞治療)で期待できる治療効果
再生医療は、幹細胞を活用して損傷した組織や神経を修復する先進的な治療法です。
脳出血の治療では、幹細胞を利用して後遺症の軽減や再発防止を目指します。
ここでは厚生労働省届出済医療機関である当院(リペアセルクリニック)が提供している、再生医療(幹細胞治療)を基に具体的な治療効果について詳しく説明します。
最先端の医療技術に興味がある方はぜひ参考にしてください。
身体機能(後遺症)の回復
幹細胞治療は、脳出血後に起こる麻痺や言語障害などの後遺症の改善効果が期待できます。
幹細胞が損傷した神経を修復し、新しい神経のつながりを作ることで、体の機能を回復させます。
また、幹細胞が脳の炎症を抑え、回復しやすい状態にします。
効果には個人差があるものの、呂律困難や痺れの軽減が期待される治療法です。
リハビリテーションの効果を増幅
幹細胞治療をリハビリテーションと組み合わせることで、後遺症からの回復がさらに高まります。
発症直後の方だけでなく、発症から数年が経過している方も再生医療の対象です。
幹細胞治療により神経の修復が進むことで、リハビリ中のトレーニングに対する体の反応が良くなります。
その結果、運動能力や感覚の早い改善が期待されます。
リハビリテーションの成果を高めたい方は、再生医療の利用をご検討ください。
脳卒中の再発予防
幹細胞治療には、脳卒中の再発を防ぐ効果も期待されています。
脳卒中は1年以内の再発が12.8%、10年以内の再発は51.3%※と、再発する可能性が高い疾患です。
※出典:PubMed「Ten year recurrence after first ever stroke in a Japanese community: the Hisayama study」
幹細胞治療を利用すると、損傷した血管が修復されて血流が安定します。
また、幹細胞が血管を健康に保つ働きをするため、再発のリスクを下げられます。
脳出血の最新治療に関してよくある質問Q&A
再生医療は、脳出血後の新しい治療方法として注目されていますが、治療を受けるにあたって、効果が出るまでの期間や費用についてあまり知られていません。
ここでは、脳出血の最新治療に関してよくある質問として、下記の2つの疑問にお答えします。
再生医療に興味がある方はぜひ参考にしてください。
脳出血の後遺症に再生医療の治療効果が現れるまでどのくらい?
再生医療による治療効果が現れるまでの期間は、患者さまの状態や体質により個人差があります。
幹細胞を投与した後、神経細胞の修復や再生には時間がかかるため、数週間から数カ月間、あるいは1年以上は経過を観察する必要があります。
また、治療後のリハビリテーションも重要です。リハビリと再生医療の併用により、回復が促進される効果が期待できます。
再生医療にかかる費用はなぜ高額?
再生医療が高額である理由は、主に3つ挙げられます。
まず、幹細胞を治療に使用する際には、特別な環境下で細胞を培養・増殖する必要があります。
このプロセスには高度な技術や専門的な設備が必要となるため、非常に高いコストがかかります。
また、再生医療の効果を最大限に引き出すためには治療後のリハビリテーションが重要であり、その費用も治療プランに含まれることが一般的です。
さらに、最新の治療法である再生医療は多くの場合、健康保険が適用されない自由診療に分類されているため、治療費を全額自己負担しなければなりません。
- 幹細胞投与:100万円以上
- PRP治療(多血小板血漿療法):20万~30万円目安
これらの治療は保険適応外であることが多いため、費用は基本的に全額自己負担となります。
ただし、医療費控除が適用される場合があり、これにより税負担を軽減できる可能性があります。
【まとめ】脳出血による後遺症は再生医療で回復が期待できる
脳出血後の後遺症に対する治療は、従来のリハビリテーションだけでなく、さまざまな最新技術を取り入れることで改善の可能性が広がります。
IVES療法やHANDS療法、ロボットによるリハビリ、ボツリヌス療法など、それぞれが異なるアプローチで機能回復をサポートします。
患者さまの状態や目標に応じて最適な治療法を選択すると、より良い結果につながるでしょう。
中でも、再生医療は幹細胞を用いて損傷した神経や組織を修復し、後遺症の軽減や回復を目指す新しい治療法として注目されています。
再生医療による治療をご検討の際は、ぜひ当院へご相談ください。