脳出血の再発率は高い?前兆や再発しないためにできることを解説【医師監修】
公開日: 2021.08.06更新日: 2025.08.30
脳出血を発症した方やご家族の中には、「また脳出血を起こしてしまうのではないか」「再発率はどのくらい高いのだろうか」と不安に感じている方も多いのではないでしょうか。
実際に脳出血は再発しやすい病気ですが、適切な対策を取ることで発症リスクを下げられます。
この記事では、脳出血の再発率に関するデータと、再発を予防するための具体的な方法を解説します。
脳出血の再発で不安を感じられている方は、ぜひ最後まで読んで適切な予防法を見つけましょう。
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目次
脳出血の再発率に関するデータ
脳出血の再発率について、実際のデータを基に以下2つを解説します。
再発率に関して正しい知識を身につけて、自分や家族の将来を見据えた行動に役立てましょう。
約2人に1人は10年以内に再発している
脳出血の再発率は、発症後10年以内に約55.6%※というデータがあり、約2人に1人が再発していることがわかります。
※出典:PubMed
血圧管理が不十分だったり、生活習慣が乱れていたりする方は、高血圧や糖尿病につながり再発リスクが高まります。
そのため、毎日血圧を測定し、医師の指導を受けながら食生活の改善や適度な運動を取り入れることが重要です。
適切な健康管理を維持することで、脳出血の再発リスクを大幅に下げることができ、不安を軽減して生活を送れるようになるでしょう。
再発率は50代以上から高まる
脳出血の再発率は、50代以上から高まる傾向があることが分かっています。
栃木県が発表している脳卒中発症者数※では、男性は70歳代、女性は80代がピークとなります。
※出典:栃木県公式ホームページ「脳卒中発症登録集計結果」
加齢とともに血管の弾力性が低下し、血圧のコントロールが難しくなるため高齢になるほど再発率が高くなります。
また、運動不足や不健康な食生活が続くと高血圧や糖尿病などのリスクにつながり、さらに再発リスクが高まります。
定期的に健康診断を受け、自分の健康状態をしっかり把握することが重要です。
さらに、ストレスをため込まない生活を心がけることも再発予防につながります。
脳出血の再発を予防するために重要なこと
脳出血の再発を防ぐためには、日常生活で以下の3つに取り組むことが重要です。
これらの取り組みを続けて、脳出血の再発予防に役立てましょう。
血圧管理の習慣
高血圧が原因で引き起こる脳出血は患者全体の約9割を占めます。
脳出血は脳内の血管に負担がかかって引き起こるため、再発を防止するには血圧の管理が重要です。
脳出血を起こしたことがある方は家庭血圧で115/75mmHg未満※が推奨されています。
※出典:厚生労働省「生活習慣病」
生活習慣だけで高血圧を改善できない場合、薬を飲んで血圧を下げるケースもあります。
血圧の正常値と正しい測り方
脳出血の再発予防のためには、以下の正しい方法で血圧を測りましょう。
- 毎日朝と夜2回、できるだけ同じ時間に測る
- リラックスして椅子に座り、背筋を伸ばした状態で測る
- 寝ている場合は仰向けになって腕を伸ばし、手のひらを上に向けて測る
- 毎回同じ腕で測る。原則、利き腕とは反対側
- カフ(腕帯)は肘から1〜2cm上、腕帯のチューブが手のひら側になるよう巻き付ける
血圧を測るのに適した時間帯は、朝は起床後1時間以内・排尿後・朝食や服薬の前、夜は就寝前です。
毎日測定し、正常値の血圧を維持できるようにしましょう。
定期的な検査
脳出血の再発を防止するには、定期的に検査を受け、医師の診断を受けることが大切です。
CTやMRI、頸動脈エコーを受けることで、脳の血管や組織の異常を詳しく確認できます。
異常が早期に発見できれば、再発を未然に防げる可能性が上がります。
処方された薬を正しく服用
脳出血の再発を予防するために、医師から出された薬は決められた通りに継続して服用しましょう。
血圧をコントロールする薬や血液の流れを良くする薬は、脳出血の予防において非常に重要です。
薬の服用を勝手にやめたり、飲む量を変えてはいけません。
薬を飲んでいて体調に変化を感じたり、不安なことがあったりする場合は、遠慮せずに医師に相談してください。
脳出血が再発しないためにやるべき生活習慣の改善
脳出血の再発を予防するには、血圧が高くならないように生活習慣を改善するのが効果的です。
日常生活で取り組める改善方法として以下の6つがあります。
これらの生活習慣の改善を実践して、効果的な再発予防に取り組みましょう。
食生活を改善する
塩分・脂質の摂りすぎは、血圧上昇につながります。
普段の食事では、減塩に取り組みましょう。
一般的には目標摂取量は成人男性1日あたり7.5g未満、成人女性1日あたり6.5g未満ですが、高血圧予防の観点からは男女ともに1日6.0g未満が推奨されています。
また、果物や緑黄色野菜を積極的に摂り、カリウムの摂取を心掛けてください。
カリウムは塩分の排出を助け、高血圧や動脈硬化の予防に役立ちます。
魚介・ナッツ類、アマニ油や大豆油は体内の脂質のバランスを整える働きがあります。
これらの食品を日々の食事に取り入れることで、血圧管理に役立つだけでなく、全身の健康維持にもつながります。
定期的に運動する
定期的に運動を行うことで、血圧を下げる効果が期待できます。
筋トレよりも有酸素運動が好ましく、週に2〜3回、1日30分程度のウォーキングで脳出血予防に効果があります。
ただし、運動のやりすぎは体に負担をかけてしまいます。
運動の頻度は医師と相談し、無理のない範囲で行いましょう。
禁煙する
タバコに含まれるニコチンは血管を収縮させ、血圧を上昇させる恐れがあります。
禁煙すると脳の血管の収縮が抑えられるため、脳出血のリスクが減少します。
脳出血を発症したことがある喫煙者は、まず禁煙しましょう。
禁煙が難しい方は依存症の可能性があるので、禁煙外来などで医師の指導を受けてください。
アルコール摂取量を抑える
アルコールは血圧を上昇させる作用があるので、血圧をコントロールするためにもアルコール摂取量を減らしましょう。
また、アルコールには利尿作用があります。
水分が足りなくなると脳の血流が悪くなり、血栓ができやすくなる点にも注意が必要です。
1日のアルコール摂取量は20g※までに控えましょう。
※出典:厚生労働省「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」
お酒の種類 | アルコール20g相当量 |
---|---|
ビール | 500ml |
日本酒 | 180ml |
チューハイ | 350ml |
ワイン | 200ml |
焼酎 | 100ml |
ウイスキー | 60ml |
女性は上記の半分が適量になるため、覚えておきましょう。
睡眠の質を高める
質の良い睡眠は、血圧の安定に重要な役割を果たします。
睡眠不足や質の悪い睡眠は血圧上昇の原因となるため、脳出血の再発予防には十分な睡眠が必要です。
理想的な睡眠時間は7〜8時間とされており、規則正しい睡眠リズムを心がけることが大切です。
就寝前はスマートフォンやテレビなどの画面を見ることを控え、リラックスできる環境を整えましょう。
寝室の温度や湿度を調整し、快適な睡眠環境を作ることも重要です。
ストレスを解消する
慢性的なストレスは、血圧上昇の大きな要因となります。
日常的にストレスを感じている状態が続くと、血管に負担がかかり脳出血のリスクが高まります。
ストレス解消法としては、深呼吸や瞑想、趣味や軽い運動が効果的です。
また、家族や友人との会話を楽しんだり、自然の中で過ごしたりすることも心の安定につながります。
ストレスを一人で抱え込まず、必要に応じて専門家のサポートを受けることも大切です。
脳出血の再発時にみられる前兆を知っておこう
脳出血の再発には、前兆となる症状が現れることがあります。
前兆となる症状を早期に認識し、適切に対処することで重篤な状態を回避できる可能性があります。
以下のような症状が現れた場合は、すぐに医療機関を受診してください。
- 突然の激しい頭痛(今まで経験したことがないような強い痛み)
- 普段と違う激しいめまいや立ちくらみ
- 視界がぼやける、一部が欠けて見える
- ろれつが回らない、言葉が出にくい
- 手足の力が急に入らなくなる
- 顔面の麻痺(口元が下がる、表情が作れない)
- 意識がもうろうとする
- 吐き気や嘔吐を伴う強い頭痛
とくに頭痛は片頭痛などとは違い、突然強い痛みが発生するのが特徴です。
また、普段と違う激しいめまいがあった場合は、脳出血の前兆である可能性が高いです。
これらの症状は単独で現れる場合もあれば、複数の症状が同時に起こる場合もあります。
少しでも異常を感じたら、迷わず救急車を呼ぶか、すぐに病院を受診することが大切です。
脳出血の再発に関してよくある質問
脳出血の再発に関してよくある質問を紹介します。
再発予防のためにも、関連する知識を身につけておきましょう。
脳出血が再発する原因は?
脳出血が再発する原因は複数ありますが、最も多いのは高血圧です。
脳の血管に継続的な負担がかかると、脳出血のリスクが高まります。
その他の原因として、処方された薬を自己判断で中止、塩分や脂質の多い食事、運動不足などの生活習慣が挙げられます。
また、年齢とともに血管の弾力性が低下することも再発リスクを高める要因の一つです。
生活習慣の改善による予防と同時に、定期的な検査で再発時の早期発見に努めましょう。
脳出血を再発しやすい人は?
脳出血の再発リスクが高い方には以下の特徴があります。
- 高血圧・糖尿病の人
- 飲酒・喫煙の習慣がある人
- 運動の習慣がない人
- 食生活が乱れている人
- 薬の服用を自己判断でやめてしまう人
- 定期的な検査を受けていない人
- 慢性的なストレスを抱えている人
食生活の改善は、野菜や果物・魚を中心とした食事に切り替えて塩分や脂質を控えるのが重要です。
また、運動はウォーキングを30分、週2回ほどで効果が期待できます。
ご自身の体力や体調を考えながら無理のない範囲で運動の習慣を作りましょう。
脳出血で退院した後に気を付けることは?
脳出血で退院した後は、再発予防のために以下の点に気をつけましょう。
- 医師から処方された薬を指示通りに服用し続けること
- 家庭での血圧管理を毎日行うこと
- 食生活や運動習慣を改善すること
- 定期的に検査を受けること
まず、医師から処方された薬を指示通りに正しく服用することが重要です。
血圧を管理する薬や血液をサラサラにする薬は、脳出血の再発予防に欠かせません。
家庭での血圧測定を毎日行い、記録をつけて定期受診時に医師に報告しましょう。目標値は115/75mmHg未満です。
また、塩分を1日6g未満に抑え、野菜や果物を多く摂るように食生活を改善しましょう。
さらに、定期的な外来受診を継続し、CTやMRIなどの検査を定期的に受けることで早期に異常を発見できます。
体調の変化や気になる症状があれば、すぐに医療機関に相談することが大切です。
脳出血の再発予防には再生医療による治療をご検討ください
脳出血は約2人に1人が10年以内に再発する可能性があり、とくに50代以降では再発率が高まることが分かっています。
脳出血を予防するには、高い再発率を踏まえ、日頃の血圧管理や生活習慣の改善への取り組みが重要です。
血圧のコントロール、定期的な検査、処方薬の適切な服用、食生活の改善、適度な運動など、包括的な健康管理により再発リスクを大幅に下げられます。
生活習慣の他に、脳出血の再発予防には再生医療という治療選択があります。
幹細胞を用いる幹細胞治療では、傷跡がほぼ残らない・拒絶反応のリスクが低いなどの特徴があります。
再生医療についての詳細や、脳出血の再発予防に関するご相談をご希望の方は、当院「リペアセルクリニック」へお気軽にお問い合わせください。

監修者
圓尾 知之
Tomoyuki Maruo
医師
略歴
2002年3月京都府立医科大学 医学部 医学科 卒業
2002年4月医師免許取得
2002年4月大阪大学医学部附属病院 脳神経外科 勤務
2002年6月関西労災病院 脳神経外科 勤務
2003年6月大阪大学医学部附属病院 脳神経外科 勤務
2003年12月大阪母子医療センター 脳神経外科 勤務
2004年6月大阪労災病院 脳神経外科 勤務
2005年11月大手前病院 脳神経外科 勤務
2007年12月大阪大学医学部附属病院 脳神経外科 勤務
2012年3月大阪大学大学院 医学系研究科 修了(医学博士)
2012年4月大阪大学医学部 脳神経外科 特任助教
2014年4月大手前病院 脳神経外科 部長