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脳卒中(脳梗塞)は3時間以内の初期治療が重要!自分や家族が倒れた時にやるべきこと

公開日: 2022.01.25
更新日: 2025.02.03

脳卒中は発症後どれだけ早く初期治療を受けられるかで、その後の回復に大きな影響を与えます。

本記事では「脳卒中発症後の初期治療の重要性」について詳しく解説します。

脳卒中の発症後はできるだけ早い対応が求められるため、自分や家族が倒れた時にすぐ対応できるようにしましょう。

機能回復に重要なリハビリや再生医療による治療方法についても解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。

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脳卒中(脳梗塞)は3時間以内の初期治療が重要

脳卒中には「脳梗塞」「脳出血」「くも膜下出血」の3種類があり、発症してしまうと時間との戦いです。

特に「脳梗塞」は、初期治療を受ける時間がその後の回復に大きな影響を与えます。

【初期治療を受けるまでに好ましい時間】

脳卒中を疑ったら可能な限り早く専門医を受診しましょう。

脳の障害は発症後、時間が経つほど症状が大きくなり後遺症も重度になる可能性が高いです。

それとは逆に、早期診断や早期治療開始を行うことで、後遺症が軽くなることがあります。また脳梗塞では、発症してから4.5時間以内、8時間以内の患者さんのみに行える特殊な治療があります(t-PA点滴治療、血管内治療)。

脳梗塞は発症から3時以内の初期治療が鍵となる

脳梗塞を発症後、3時間以内に初期治療を受けることが重要です。

【脳梗塞とは】
脳に血液を送る血管が詰まり、脳に血液が流れなくなることで脳の神経細胞が死んでしまう病気のこと

脳に血液が流れなくなってから3時間以上経ってしまうと、脳細胞が死んでしまいます。

後遺症につながるため、脳細胞が死んでしまう3時間以内に脳の血管の詰まりを改善させることが、その後の回復に大きな影響を与えます。

気を失って倒れるなどの重度な症状でなくても脳梗塞の疑いを持った場合は、早めに医療機関に相談しましょう。

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脳出血は発症後1~6時間で出血が止まるが早期受診が必要

脳出血(脳内出血)は発症から1〜6時間程度で出血が止まりますが、意識障害など重症になる可能性があるため、早期受診しましょう。

【脳出血(脳内出血)とは】
脳内の血管が破れて脳内に出血する病気のこと
出血した血液が固まって血腫となり脳を圧迫することで吐き気や意識障害などを引き起こす

脳出血を発症してから6時間以上経過しても、意識障害などの重度な症状が出ない場合は手術せずに様子をみることが多いです。

しかし、発症後に意識障害まで悪化してしまうと命に関わる可能性があります。

早期受診することで症状が悪化した時に病院ですぐ対応できるようにすることが重要です。

くも膜下出血を発症した場合は早急に救急車を呼ぶ

くも膜下出血を発症した場合は、できる限り早く医療機関へ搬送できるよう救急車を呼びましょう。

【くも膜下出血とは】
脳の血管が破裂したことで、脳の表面を覆っているくも膜と軟膜の間にある「くも膜下腔」に出血が起こる病気のこと

くも膜下出血の原因でもっとも多い脳動脈瘤が破裂してしまうと、24時間以内に再破裂する可能性が高いです。

再破裂して出血すると死亡率は約50%といわれており、初期治療では再出血の予防が重要になります。

主な初期症状は「突然の激しい頭痛」「嘔吐」「意識障害」などがあり、一時的に症状が治ることもあるため、異変を感じたらすぐに医療機関へ相談しましょう。

脳卒中の初期症状に当てはまる場合は一刻も早く病院へ

脳卒中や脳梗塞というと「突然、意識を失い倒れる病気」とイメージする方も多くいると思いますが、このようにひどい症状で発症するのはほんの一部に過ぎません。

以下のような初期症状が突然起こった場合、早めに医療機関へ相談しましょう。

  • ろれつが回らない・食事中にはしを落とす・片目が見えない
  • 視野が半分になる・顔の半分と片方の手足の感覚がおかしい・言葉が理解できない
  • 言いたいことが言えない・半身に力が入らず歩きにくい・バランスがとれない
  • 突然の強い頭痛や吐き気・意識がもうろうとする・急に興奮して暴れ出す
  • ひどいめまい・けいれん発作
    など

脳は障害を受けた場所により症状が異なります。脳は大脳・中脳・小脳・間脳・橋・延髄などに分けることができ、その部位ごとに役割が違います。

また大脳は前頭葉・側頭葉・頭頂葉・後頭葉に区分けでき、それぞれで司る機能が違うため、脳卒中により障害を受けると、その部位により様々な症状が現れます。

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症状は急に現れることが多く、だいたいの場合、発症時刻がはっきりしています。例えば夜中にトイレで起きた際や、朝起きた際、あるいは日中に急に発症するというパターンがほとんどです。

最初にみられた症状が徐々に軽くなり、そのまま消えることもあり、これを「一過性脳虚血発作※」といいます。

※一過性脳虚血発作(Transient Ischemic Attack:TIA)

脳梗塞の前触れとして、脳梗塞と同じ症状が短時間(数分~数十分、長くても24時間以内)だけ出現するものを、「一過性脳虚血発作」といいます。

症状が一時的で比較的軽いため、たいしたことはないと安易に考えがちですが、本質は重症の脳卒中発作と同じメカニズムで起きているので、そのうち再起不能の発作に襲われる危険性が高いとみるべきです。前触れをそのまま放置するか、すぐに病院を受診して適切な治療を受けるかによって、予後が大きく変わるのはいうまでもありません。

脳卒中で自分や家族が倒れた時にやるべきこと

脳卒中で自分や家族が倒れた時にやるべきことや、対応のポイントを解説します。

脳卒中で倒れるほどの症状が出ている場合は、時間との戦いです。

後遺症のリスクを抑え、回復する確率を少しでも上げるために、できるだけ早く医療機関を受診して初期治療を受けましょう。

まずやるべきこと

自分や周りの人で脳の異常が疑われる症状がみられた場合は、速やかに適切な対応を取りましょう。

意識がある時

とにかく周囲に助けを求め、できるだけ動かずその場で横になることが原則です。周囲の人は、マットや毛布の上に患者さんを乗せて、広いところに移動して寝かせましょう。

これは脳への血流を保つこと、血圧上昇による出血の悪化や、再出血を予防するためです。横になれる場所が近くになくても、自分で立って歩くべきではありません。

なぜなら脳の血管が詰まって症状が出ている時には、歩くことで脳への血流が悪くなり、脳の障害がひどくなる恐れがあるからです。

意識がない時

こちらからの呼びかけや、体をゆすっても反応がまったくない、一時的に目を開けてもまたすぐに閉じて眠り込んでしまう、さらに目は開いていても応答が曖昧な場合は、周囲の人が慎重に機敏に対応しなくてはなりません。

救急車を呼ぶ

脳卒中が疑われる時は、一刻も早く専門医の受診が必要になります。通院治療中のかかりつけ医がいる場合は、専門の医療機関を紹介してもらうのが良いでしょう。

すぐに連絡がつかない場合は、直ちに119番に電話し、救急車を呼びましょう。受診予定の病院には、あらかじめかかりつけ医や救急隊から連絡し、搬送予定の患者の病状を説明した上で受け入れ可能か確かめておけば無駄な時間を省いて搬送できます。

重症の場合ではもちろんですが、軽症と思われる時も救急車を利用しましょう。これは一刻も早く救急搬送するためであり、また搬送の途中で急に容体が悪化することも十分あり得るからです。

もしも救急車が他の現場へ出動中などで到着に時間がかかる時は、患者さんに横向きに寝てもらって、家族や周囲の人が車を運転し、病院へ運んでください。

ただし、患者さん本人が運転したために大事故を起こした例や、手遅れになるほど病状が悪化した例もあるため、患者さんが自分で運転して病院へ向かうのは絶対にやめましょう。

意識がない時の対応ポイント

倒れたまま意識がない時は救急車が到着するまで、以下のポイントを意識して対処しましょう。

1.適切な場所への移動

  • 敷物などに寝かせ、処置や運び出しがしやすい場所に移動
  • 戸外であれば、風通しのよい日陰に移動させる
  • 頭をできるだけ動かさない(特に前に曲げない)

2.気道の確保と誤飲の防止

  • 頭を前屈させない(=枕をしない)
  • いびきや呼吸が苦しそうな時は、バスタオルや座布団などを巻いて肩の下に敷く(首を反らせ気味にすると、呼吸が楽になることが多い)
  • 嘔吐しそうな時は、誤飲や窒息を防ぐため体ごと横向きに寝かせる(麻痺がある時は、麻痺側を上に向ける)

3.環境調節

  • 上着のボタンを外し、ズボンのベルトを緩める
  • 眼鏡、腕時計などのアクセサリー、入れ歯を外す
  • 照明をやや暗く、室温を20℃程度にして換気をする

脳卒中発症後すぐに生命の危険があるのは、重症のくも膜下出血を除けばほとんどありません。

落ち着いて上記の3点をすぐに実行してください。

急性脳卒中のガイドライン/FAST

急性脳卒中を診断する際には、「FAST」と呼ばれるガイドラインが使用されます。FASTは、脳梗塞を早期発見するためにチェックするポイントの頭文字を合わせたものです。

  • FACE:顔
うまく笑顔が作れますか?
片側の顔だけが歪んでいたり、ひきつっていないか、顔の麻痺状態をチェックしましょう。
  • ARMS:腕
腕を上げたままキープできますか?
両腕をゆっくりと上げ下ろししてみて、腕の麻痺が起きていないかどうかをチェックします。もしも両腕を前に上げた際に、片腕だけが脱力して腕が上げられなければ要注意です。
  • SPEECH:話
短い文がいつも通り話せますか?
簡単な問いかけ(例えば本人の名前や今日の日付など)をしてみて、正しい返答があるかどうかをチェックしましょう。
  • TIME:時間
発症時刻を確認。
脳梗塞の場合、発症してからの時間によって治療内容が変わります。発症後2〜3時間以内であれば、薬物により血栓を溶かす治療が可能となることがあります。

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▲ 周りにいる人が突然倒れたり、自分でおかしいなと思ったら、上記の4点を確認して、速やかに救急車を呼びましょう「F・A・S」のチェックのうち、ひとつでも項目が確認できたら、発症した時刻を確認して、速やかに救急車を呼びましょう。            

脳卒中へと繋がる生活習慣病

脳卒中は、高血圧や糖尿病、高脂血症など「生活習慣病」を持っている人に起こりやすいとされています。

これらの病気は、動脈硬化の原因となったり、心臓に血液のかたまりをつくり、それが血管にのって飛んでいき、脳の血管をふさいだりします。

また、こうした病気においては、

  • 脂質、塩分、糖分の摂り過ぎ
  • 喫煙や酒の飲み過ぎ
  • 運動不足
  • 過剰なストレス

といった生活環境が深く関係しているため「生活習慣病」と名付けられています。

さらに、性別や遺伝的素因、年齢なども脳卒中発症に深くからんでおり、これらをまとめて 「危険因子」と呼びます。危険因子をもつ人は、予備軍であると心得て、生活環境を見直して危険因子を減らし、生活習慣を改善すべきです。

脳ドックについて

また脳卒中の危険因子が多い人は、日頃から脳ドックを受けるなどで脳卒中発症前の予防に努めるのも良いでしょう。以下に当てはまる方は一度「脳ドック」を受けてみるべきといえます。

  • 40歳以上でまだ一度も脳ドックを受診したことがない
  • 高血圧、脂質異常(高脂血症)、動脈硬化などの診断を受けている
  • 家族や血縁者に脳卒中になった人がいる。もしくは糖尿病、高血圧の傾向がある
  • 飲酒、喫煙の習慣がある

脳ドックの検査項目には以下のようなものがあります。

  • MRI(磁気共鳴断層撮影)
  • MRA(脳血管撮影)
  • マルチスライスCT
  • 超音波検査
  • 脳波測定
  • 血圧測定
  • 血液検査
  • 尿検査
  • 心電図
  • 眼底検査

脳卒中後の回復には早期のリハビリが重要

脳卒中の治療後、さまざまな後遺症が残ってしまう可能性があり、機能回復のために早期のリハビリが重要です。

一般的に脳卒中の発症から6ヶ月後までは、ダメージを受けた脳の神経ネットワークが再構築すると考えられているため、後遺症が回復する見込みがあります。

そのため、発症から6ヶ月後までの「回復期」と呼ばれる期間にリハビリを積極的に行いましょう。

また、脳卒中の後遺症には先端医療である「再生医療」による幹細胞治療が注目されています。

【脳卒中に対する再生医療とは】
患者さんの幹細胞を培養して数を増やし、幹細胞がいろいろな組織に変化する性質を利用して死んでしまった脳細胞を再生させる治療方法

一度死んでしまった脳細胞は戻らないといわれています。

しかし、近年では再生医療による治療で機能しなくなった脳細胞が復活し、脳卒中の後遺症が改善できることがわかってきました。

脳血管障害に関する再生医療の研究が進んだことで安全性や効果が認められ、世界でも注目される治療法です。

以下のページでは脳卒中の再生医療について詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。

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【まとめ】脳卒中の発症後は時間との戦い!その時に取るべき行動や知っておきたいこと

脳の障害では、早期発見や早期治療がその後の予後に大きく関わります。

何か異常がみられた際は様子を見るのではなく、少しでも早い対応をとりましょう。

また自分が脳卒中の危険因子に当てはまる場合は、生活習慣を見直し、検診を受けるように心がけましょう。

この記事がご参考になれば幸いです。

監修:リペアセルクリニック大阪院

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