トピックスtopics

脳卒中の症状と緊急事態に遭遇したら

脳卒中の症状と緊急事態に遭遇したら

脳は障害を受けた場所により症状が異なります。脳は大脳・中脳・小脳・間脳・橋・延髄などに分けることができ、その部位ごとに役割が違います。

また大脳は前頭葉・側頭葉・頭頂葉・後頭葉に区分けでき、それぞれで司る機能が違うため、脳卒中により障害を受けると、その部位により様々な症状が現れます。

brain-disease
brain-disease

脳卒中というと「突然、意識を失い倒れる病気」と思っている方も多くいると思いますが、このようにひどい症状で発症するのはほんの一部に過ぎません。

「脳卒中」の代表的な「初期症状」には以下のようなものがあります。

  • ろれつが回らない 食事中にはしを落とす 片目が見えない
  • 視野が半分になる 顔の半分と片方の手足の感覚がおかしい 言葉が理解できない
  • 言いたいことが言えない
  • 半身に力が入らず歩きにくい バランスがとれない 突然の強い頭痛や吐き気
  • 意識がもうろうとする
  • 急に興奮して暴れ出す ひどいめまい けいれん発作

症状は急に現れることが多く、だいたいの場合、発症時刻がはっきりしています。例えば夜中にトイレで起きた際や、朝起きた際、あるいは日中に急に発症するというパターンがほとんどです。

最初にみられた症状が徐々に軽くなり、そのまま消えることもあり、

これを「一過性脳虚血発作※」といいます。

※一過性脳虚血発作(Transient Ischemic Attack:TIA)

脳梗塞の前触れとして、脳梗塞と同じ症状が短時間(数分~数十分、長くても24時間以内)だけ出現するものを、「一過性脳虚血発作」といいます。

症状が一時的で比較的軽いため、たいしたことはないと安易に考えがちですが、本質は重症の脳卒中発作と同じメカニズムで起きているので、そのうち再起不能の発作に襲われる危険性が高いとみるべきです。前触れをそのまま放置するか、すぐに病院を受診して適切な治療を受けるかによって、予後が大きく変わるのはいうまでもありません。

 

発症後は時間との戦いです

発症後「3~6時間以内に初期治療を受ける」ことが特に重要、一番大切です。

脳卒中を疑ったら可能な限り早く専門医を受診しましょう。脳の障害は脳卒中の発症後、時間が経つほど大きくなります。障害が大きくなると後遺症も重度となり、命の危険も高まります。

それとは逆に、早期診断や早期治療開始を行うことで、後遺症が軽くなることがあります。また脳梗塞では、発症してから4.5時間以内、8時間以内の患者さんのみに行える特殊な治療があります(t-PA点滴治療、血管内治療)。

発症した際にまずやるべきこと

自分や周りの人で脳の異常が疑われる症状がみられた場合は、速やかに適切な対応を取りましょう。

①意識がある時

とにかく周囲に助けを求め、できるだけ動かずその場で横になることが原則です。周囲の人は、マットや毛布の上に患者さんを乗せて、広いところに移動して寝かせましょう。

これは脳への血流を保つこと、血圧上昇による出血の悪化や、再出血を予防するためです。横になれる場所が近くになくても、自分で立って歩くべきではありません。

なぜなら脳の血管が詰まって症状が出ている時には、歩くことで脳への血流が悪くなり、脳の障害がひどくなる恐れがあるからです。

②意識がない時

こちらからの呼びかけや、体をゆすっても反応がまったくない、一時的に目を開けてもまたすぐに閉じて眠り込んでしまう、さらに目は開いていても応答が曖昧な場合は、周囲の人が慎重に機敏に対応しなくてはなりません。

③救急車を呼ぶ

脳卒中が疑われる時は、一刻も早く専門医の受診が必要になります。通院治療中のかかりつけ医がいる場合は、専門の医療機関を紹介してもらうのが良いましょう。

すぐに連絡がつかない場合は、直ちに119番に電話し、救急車を呼びましょう。受診予定の病院には、あらかじめかかりつけ医や救急隊から連絡し、搬送予定の患者の病状を説明した上で受け入れ可能か確かめておけば駄な時間を省いて搬送できます。

重症の場合ではもちろんですが、軽症と思われる時も救急車を利用しましょう。これは一刻も早く救急搬送するためであり、また搬送の途中で急に容体が悪化することもじゅうぶんあり得るからです。

もしも救急車が他の現場へ出動中などで到着に時間がかかる時は、患者さんに横向きに寝てもらって、家族や周囲の人が車を運転し、病院へ運んでください。

ただし、患者さん本人が運転したために大事故を起こした例や、手遅れになるほど病状が悪化した例もあるため、患者さんが自分で運転して病院へ向かうのは絶対にやめましょう。

 

意識がない時の対応のポイント

1.適切な場所への移動

・敷物などに寝かせ、処置や運び出しがしやすい場所に移動

・戸外であれば、風通しのよい日陰に移動させる

・頭をできるだけ動かさない(特に前に曲げない)

2.気道の確保と誤飲の防止

・頭を前屈させない(=枕をしない)

・いびきや呼吸が苦しそうな時は、バスタオルや座布団などを巻いて肩の下に敷く(首を反らせ気味にすると、呼吸が楽になることが多い)

・嘔吐しそうな時は、誤飲や窒息を防ぐため体ごと横向きに寝かせる(麻痺がある時は、麻痺側を上に向ける)

3.環境調節

・上着のボタンを外し、ズボンのベルトを緩める

・眼鏡、腕時計などのアクセサリー、入れ歯を外す

・照明をやや暗く、室温を20℃程度にして換気をする

※脳卒中発症後すぐに生命の危険があるのは、重症のくも膜下出血を除けば、ほとんどありません。落ち着いて上記の3点をすぐに実行してください。

急性脳卒中のガイドライン/FAST

急性脳卒中を診断する際には、「FAST」と呼ばれるガイドラインが使用されます。FASTは、脳梗塞を早期発見するためにチェックするポイントの頭文字を合わせたものです。

■FACE:顔 うまく笑顔が作れますか?
片側の顔だけが歪んでいたり、ひきつっていないか、顔の麻痺状態をチェックしましょう。
■ARMS:腕 腕を上げたままキープできますか?
両腕をゆっくりと上げ下ろししてみて、腕の麻痺が起きていないかどうかをチェックします。もしも両腕を前に上げた際に、片腕だけが脱力して腕が上げられなければ要注意です。
■SPEECH:話 短い文がいつも通り話せますか?
簡単な問いかけ(例えば本人の名前や今日の日付など)をしてみて、正しい返答があるかどうかをチェックしましょう。
■TIME:時間 発症時刻を確認。
脳梗塞の場合、発症してからの時間によって治療内容が変わります。発症後2〜3時間以内であれば、薬物により血栓を溶かす治療が可能となることがあります。

apoplexy-fast-TEST

▲ 周りにいる人が突然倒れたり、自分でおかしいなと思ったら、上記の4点を確認して、速やかに救急車を呼びましょう「F・A・S」のチェックのうち、ひとつでも項目が確認できたら、発症した時刻を確認して、速やかに救急車を呼びましょう。            

脳卒中へと繋がる生活習慣病          

脳卒中は、高血圧や糖尿病、高脂血症など「生活習慣病」を持っている人に起こりやすいとされています。
これらの病気は、動脈硬化の原因となったり、心臓に血液のかたまりをつくり、それが血管にのって飛んでいき、脳の血管をふさいだりします。

また、こうした病気においては、

・脂質、塩分、糖分の取り過ぎ
・喫煙や酒の飲み過ぎ
・運動不足
・過剰なストレス

といった生活環境が深く関係しているため「生活習慣病」と名付けられています。

さらに、性別や遺伝的素因、年齢なども脳卒中発症に深くからんでおり、これらをまとめて 「危険因子」と呼びます。危険因子をもつ人は、予備軍であると心得て、生活環境を見直して危険因子を減らし、生活習慣を改善すべきです。

脳ドックについて

また脳卒中の危険因子が多い人は、日頃から脳ドッグを受けるなどで脳卒中発症前の予防に努めるのも良いでしょう。以下に当てはまる方は一度「脳ドッグ」を受けてみるべきといえます。

■40歳以上でまだ一度も脳ドックを受診したことがない
■高血圧、脂質異常(高脂血症)、動脈硬化などの診断を受けている
■家族や血縁者に脳卒中になった人がいる。もしくは糖尿病、高血圧の傾向がある
■飲酒、喫煙の習慣がある

脳ドッグの検査項目には以下のようなものがあります。

・MRI(磁気共鳴断層撮影)
・MRA(脳血管撮影)
・マルチスライスCT
・超音波検査
・脳波測定
・血圧測定
・血液検査
・尿検査
・心電図
・眼底検査

まとめ

脳の障害では、早期発見や早期治療がその後の予後に大きく関わります。何か異常がみられた際は様子を見るのではなく、少しでも早い対応をとりましょう。

また自分が脳卒中の危険因子に当てはまる場合は、生活習慣を見直し、検診を受けるように心がけましょう。

監修:院長 坂本貞範

再生医療のリペアセルクリニックTOPトップ