脳卒中発症後の神経症状等、具体的な後遺症を解説!
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脳卒中発症後の神経症状等、具体的な後遺症を解説!
脳卒中の後遺症では、脳の中枢神経がダメージを受けることでさまざまな神経症状が現れることがあります。脳が受けたダメージが重いほど後遺症の種類も増え、症状も重くなります。
今回は、脳卒中の発症後によく現れる神経症状の種類と後遺症について詳しく解説していきます。
脳卒中の後遺症による神経症状の種類・障害
①運動障害
脳卒中が起こると、脳の運動に関わる部位にダメージを受け、「体を思い通りに動かせない」、「麻痺する」、「力が入らない」といった症状が現れることがあり、これを「運動障害」と呼びます。
障害された脳の損傷具合に影響されます。また、運動障害の1つである麻痺は、その現れた部位によって名称が決まっています。
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通常、運動障害は脳の障害が起きた部位の反対側に運動障害が現れるのが特徴で、このことを「半身麻痺」と呼びます。脳からの指令は神経を通じて全身に伝達され、その神経は、脳から脊髄へ通じる途中の首のあたりで交差しています。
その為、右脳の指令は左半身へ、左脳の指令は右半身へと伝達されます。したがって、左右の脳の障害と運動障害の関係は次のようになります。
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②言語障害
構音障害(運動障害性構音障害)
構音障害とは、正しい言葉を選択し話せるものの、声が出にくかったり、呂律が回らず正しい発音が出来なくなる言語障害です。つまり、構音障害の人は、口や舌といった発声発語器官を上手く動かすことが出来なくなってしまいます。
失語症
失語症とは、発語発音器官に運動障害が無いものの、脳の言語をコントロール言語中枢の障害により、思ったことと異なる言葉が出たり、聞いた言葉を理解できなくなる障害です。例えば、”言葉が分からない国に、突然放り出されたような状態”と捉えていただくと分かりやすいかもしれません。
誰でも、相手の言葉を理解できず、自分の思いも上手に伝えることが出来ないもどかしさは想像に難くありません。ましてや、失語症の場合は、今まで住み慣れた環境が突然外国のように感じるので、そのもどかしさやショックは図り知れないものです。
③感覚障害
脳梗塞や脳出血、事故などにより、半身の運動障害が発生するのと同じように、半身の感覚が麻痺したり、手足がしびれたり、触覚、痛覚、温度感覚などが鈍くなる感覚障害が現れることがあります。
④嚥下障害
私たちは普段は何気なくしている食事ですが、老化、脳出血の麻痺、認知症などによって、食べ物の飲み込みが上手にできなくなることがあります。
俗に嚥下(飲み込み)障害といわれる障害で、窒息や誤嚥性肺炎を引き起こし、最悪死に至ることもあります
⑤排尿障害
脳卒中により排尿に関わる神経が障害されると、うまく排尿をコントロールできなくなる排尿障害が現れます。
排尿障害の症状には失禁、頻尿、尿が出ない、尿意を感じられなくなる等があります。
➅感情障害
脳卒中(脳梗塞や脳出血)の後遺症には、感情面の障害もあります。イライラしやすくなったり、怒りっぽくなるなど、感情が不安定になります。
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また、気分障害の一種である「鬱病(うつびょう)」になる場合もあります。鬱病とは、気持ちの落ち込みが長く続き、心の持ちようや精神力がコントロールできなくなる病気です。
抑うつ気分や不安感、焦燥感(しょうそうかん:焦りやイライラ感のようなもの)、精神活動の低下、不眠、食欲の低下、などを特徴とする精神疾患です。
脳卒中による鬱病は、後遺症により今までできていたことがうまくいかないためのショックから起こったり、脳の機能が損傷したために起こったりします。
脳卒中の後遺症による精神的症状・心理的変化
脳卒中を起こすと後遺症が残ってしまうことにより、精神的に追い詰められてしまうことも多くあります。
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脳卒中を発症した方は、それまでとは違う環境に、戸惑うことは当然のことです。また、リハビリを経て身体機能がある程度回復してからも、精神的に不安定になることはよくあることです。
特に、退院後は脳卒中の発症前とギャップを実感するため、落ち込んでしまうことがよくあります。入院中は障害を受け入れることができていたのに、退院後の周りの環境が健常者ばかりになるので、心理的な変化が現れやすくなります。
したがって、ご家族や周囲は、本人の心理的な変化に気を使い見守ってあげるべきといえるでしょう。抑うつなどの精神的症状が強くみられる場合は早めに医療機関を受診しましょう。
また、以下のような取り組みをおこない、精神面・心理面のケアをしていくことが大切です。
①社会参加を積極的にする
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上記のことは、本人だけでなく介護者に共通して言えることだと思います。しかし、家に引きこもるようになると、ますます精神的につらくなり、鬱状態になってしまいます。よって、できる限り外界との関わりをもつことが望まれます。家族ばかりでなく、色々な人と接することで精神を安定させることが非必要不可欠です。
②ボランティアやレクレーションなどの社会活動
ボランティアやレクレーションといった社会活動を行うことも効果的です。社会の一員として活動し、自身の存在価値を認識することで、生きる意欲の向上に繋がります。
③デイサービスやデイケアで他人の交流
また、デイサービスに通うことも効果的です。同じ境遇の人たちと交流を持つことで、今の自分を見つめ直し、病状を受け入れる良い機会になります。自身の病状を受け止めることは、とても勇気がいることですが、現状を受け止めることが見えてくることがあるのも確かです。
脳卒中による後遺症とその具体的な症状
脳卒中発症後は、日常生活にも影響を及ぼすような後遺症が現れます。具体的な症状を紹介します。
《骨折・打撲》
リハビリや日常生活動作(ADL)の中、脳卒中後遺症の麻痺の為に思い通りに身体が動かないことがあります。思い通りに身体が動かせないと、階段や少しの段差でつまずく、転倒することが多くなります。
特に、高齢者で骨粗鬆症(こつそしょうしょう)が進んでいると尚更です。したがって、室内の環境をバリアフリーにするなどして安全に過ごせるように整備しましょう。
《疼痛:とうつう》
疼痛が現れる原因もさまざまです。麻痺の部位を動かした時に感じる疼痛、リハビリで過度な運動を行った時の疼痛(視床痛)などがあります。このような疼痛を抑制するのに、各種の物理療法、消炎鎮痛薬や麻酔薬による神経ブロック治療、抗不安薬等が用いられることがあります。
《失禁・便秘》
失禁が酷い場合は、介護用おむつの使用も検討します。しかし、出来るだけ排泄の自立を目指しましょう。また、夜間の失禁が多い場合は、排尿時間をコントロールするための薬物治療が行われることもあります。
便秘がある場合は、緩下剤や浣腸が使用されることもあります。
《異所性骨化》
異所性骨化とは、関節周囲の軟部組織の中に骨ができる病気で、麻痺の患者や、関節の手術後によく見られます。
過度のリハビリで肩や肘、膝関節や股関節などが硬くなり、骨化することがあり、更に運動を続けると周囲の組織が傷つき、骨化を進行させてしまうこともあります。
症状が治まるまでは、患部に過度の刺激を与えないように注意し、腫れや痛みがある場合は、すぐに医師の診察を受けましょう。
《廃用症候群》
寝たまま動かずにいると、筋肉や骨が衰えたり関節が固まって動かしにくくなったりする「廃用症候群」が起こり、その後のリハビリが困難になります。
急性期のリハビリをできるだけ早く始めるのは、廃用症候群を予防し、機能が失われるのを最小限にとどめるためです。脳卒中で壊死した脳細胞の周囲には、死んではいないが機能が停止している“仮死状態”の脳細胞があります。
急性期においてのリハビリは、こうした脳細胞に刺激を与えることで機能を回復させる効果があると考えられています。また、急性期に早期からリハビリを始めたほうが、しばらくしてから始めた場合よりも早く退院でき、死亡率も減ることがわかっています。
【上図】発症後まもなくリハビリを開始した群と、しばらくしてから開始した群の 6週間後の状態を比較しました。すぐに開始した群では、自宅に戻れる割合が 50%を超えているだけでなく、死亡率も半減していることがわかります。
まとめ・脳卒中発症後の神経症状等、具体的な後遺症を解説!
いかがでしたでしょうか。
脳卒中の発症直後で意識障害が強く現れている時は、どのような後遺症が残るのか予測しにくいですが、意識が回復するにつれてさまざまな後遺症が表面化してきます。また、脳卒中の後遺症は 1 つだけでなく、複数の障害が現れることもあります。
一般的に、脳卒中の影響により脳が受けたダメージが重ければ重いほど、後遺症の種類も増え、症状も重くなる傾向があります。
後遺症を受け入れ、早期からリハビリを開始することはもちろん、身体的、精神的ともに本人だけでなく介護者など周囲の理解やサポートが大切です。
この記事がご参考になれば幸いです。
監修:リペアセルクリニック大阪院
再生医療は、脳卒中の後遺症に対する新たな治療法として注目が必要です
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