脳血管性認知症のリハビリテーション一覧|注意点や治すための再生医療も紹介【医師監修】
脳血管性認知症は、脳梗塞や脳出血などの脳血管障害が原因で起こる認知症です。
物忘れが激しくなったり、日付や曜日が思い出せなくなったりと、患者さまやご家族の日常生活に大きな影響を与えます。
「どのようなリハビリを行えば症状が改善するのかわからない」「家族として何をサポートすればよいのか知りたい」といった悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、脳血管性認知症の具体的なリハビリテーションの内容を詳しく解説します。
患者さまとご家族が安心してリハビリに取り組めるよう、具体的な方法から注意点まで詳しくご紹介します。
近年では、脳血管障害によって損傷した脳細胞の治療に再生医療が注目されています。
当院リペアセルクリニックの公式LINEでは、脳梗塞や脳出血に対する再生医療の症例を公開中です。
脳血管障害の後遺症や再発防止の効果も期待できるので、合わせてご覧ください。
脳血管性認知症のリハビリテーション一覧
脳血管性認知症では、損傷を受けた脳の部位や症状に応じて、以下のさまざまなリハビリテーションを組み合わせて行います。
認知機能のリハビリテーション
日常生活動作のリハビリテーション
運動機能のリハビリテーション
言語機能のリハビリテーション
嚥下機能のリハビリテーション
患者さまの状態に合わせて適切なリハビリを選択することが、症状改善への第一歩となります。
認知機能のリハビリテーション
認知機能のリハビリテーションは、五感を刺激して脳の活性化を図り、記憶力や判断力の維持・向上を目指す訓練です。
主に以下の活動を通じて、脳の活性化と認知機能の改善を図ります。
塗り絵や習字などの創作活動
簡単な計算問題
パズルやクロスワード
音楽を聴いたり歌ったりする音楽療法
興味のある話題についてのディスカッション
アロマテラピーによる嗅覚刺激
ペットセラピーでの触れ合い
患者さまの興味や好みに合わせて内容を選ぶことで、楽しみながら継続できます。
日常生活動作のリハビリテーション
日常生活動作のリハビリテーションでは、着替えや食事、トイレなど基本的な生活動作を自立して行えるよう訓練します。
主に以下の訓練を通じて、日常生活の自立度向上を目指します。
関節が動く範囲を広げる運動
着替えの練習(ボタンの留め外し、ファスナーの操作など)
トイレ動作の練習
食事動作の練習(スプーンや箸の使い方など)
関節の柔軟性を保つストレッチ
入浴動作の練習
上記のような訓練は、日常生活に戻るためには欠かせないリハビリです。
少しずつできることを増やしていくことで、患者さまの自信回復にもつながります。
運動機能のリハビリテーション
運動療法は身体機能の維持・向上だけでなく、認知機能の改善にも効果が認められています。
主に以下の運動を行い、身体機能と認知機能の両方を改善します。
ウォーキングなどの有酸素運動
サイクリング(エアロバイクを含む)
水中歩行
バランス訓練
筋力強化訓練
関節可動域訓練
水中での訓練は身体への負担が少なく、運動できるためおすすめです。
10分程度の軽い運動でも効果が期待できるので、患者さまの体力に合わせて無理のない範囲で取り組みましょう。
言語機能のリハビリテーション
脳血管性認知症では失語症などの言語障害が生じることがあります。
言語機能のリハビリテーションでは、コミュニケーション能力の回復と維持を目指します。
主に以下の訓練を行い、コミュニケーション能力の改善を図ります。
家族や介護者との日常会話の練習
発声練習や発音訓練
文字の読み書き練習
ジェスチャーを使ったコミュニケーション訓練
スキンシップを取り入れた会話
歌を歌うことでの発話促進
言葉だけでなく、身振り手振りや表情を使ったコミュニケーションも大切です。
患者さまが伝えたいことを理解しようとする姿勢が、リハビリの効果を高めます。
嚥下機能のリハビリテーション
脳血管性認知症では、食べ物を飲み込む嚥下(えんげ)機能に障害が生じることがあります。
嚥下機能のリハビリテーションは、安全に食事ができるよう飲み込み機能の改善を図ります。
主に以下の訓練を段階的に行い、誤飲リスクの少ない食事ができることを目指します。
舌や頬のマッサージ
食前の嚥下体操
発声練習(あいうえお体操など)
水分やゼリーを使った飲み込み訓練
段階的な食形態の調整
正しい姿勢での食事練習
まずは基礎訓練から始めて、段階的に実際の食べ物を使った訓練に移行していきます。
誤嚥(食べ物が気管に入ること)を防ぐため、専門職の指導のもとで進めることが重要です。
脳血管性認知症におけるリハビリテーションの注意点
脳血管性認知症のリハビリテーションを効果的に進めるために、以下の注意点を理解する必要があります。
無理をしない範囲で行う
リハビリを楽しめるように工夫する
患者さまの心身の状態を最優先に考えながら、適切なサポートを行いましょう。
無理をしない範囲で行う
リハビリテーションで最も大切なことは、決して無理をしないことです。
患者さまの体調や気持ちを優先的に考えて進めましょう。
体調が悪いときや本人がリハビリを嫌がるときに無理をしても、効果が上がらないどころか「リハビリは嫌なもの」という印象を与えてしまいます。
もし嫌がる様子が見られたら、本人の好きな別の方法に変えたり、気持ちが向くまで待ったりすることが大切です。
また、リハビリの途中で体調が悪くなった場合は、無理をせずにすぐに中断してください。
リハビリを楽しめるように工夫する
リハビリテーションを継続するためには、患者さまが楽しく取り組めるような環境づくりが不可欠です。
本人の趣味や興味に合わせたリハビリ内容を選ぶことで、積極的な参加を促せます。
音楽が好きな方には音楽療法を、手先を動かすことが好きな方には創作活動を取り入れるなど、個人の嗜好に応じてプログラムを調整しましょう。
また、グループ活動を通じて他の参加者との交流を楽しめる環境も効果的です。
リハビリで改善しない脳血管性認知症の後遺症は再生医療もご検討ください
脳血管性認知症をはじめとする脳卒中の後遺症に対して、再生医療という治療法があります。
再生医療は、患者さま自身の幹細胞を使用して、損傷した脳細胞や血管の機能改善を促す治療法です。
また、身体麻痺や言語障害などの後遺症改善、再発予防にも効果を期待できます。
患者さま自身の幹細胞や血液を使用するため、拒絶反応やアレルギーのリスクが低いのが特徴です。
再生医療について詳細は、以下をご覧ください。
脳血管性認知症のリハビリに関するよくある質問
脳血管性認知症のリハビリについて、患者さまやご家族からよく寄せられるご質問をまとめました。
脳血管性認知症の症状は?
脳血管性認知症に効果的な運動は?
脳血管障害による認知症は回復しますか?
これらの疑問を解消して、適切なリハビリに取り組む参考にしてください。
脳血管性認知症の症状は?
脳血管性認知症の主な症状は、記憶障害、見当識障害(日時や場所がわからなくなる)、手足の麻痺、感情のコントロールが難しくなる感情失禁、抑うつ症状などです。
特徴的なのは、障害を受けていない脳の部位は正常に機能するため、「できることとできないことの差が大きい」ことです。
そのため「まだら認知症」とも呼ばれます。
脳血管性認知症に効果的な運動は?
ウォーキングや水中歩行などの有酸素運動が効果的です。
10分程度の軽い運動でも認知機能の改善が期待できます。
水中歩行は身体への負担が少なく、関節に問題がある方でもケガのリスクが少なく取り組めます。
また、サイクリングやエアロバイクなども、体力に応じて調整しやすい運動として推奨されています。
運動は脳の血流を改善し、認知機能の維持・向上に役立ちますが、無理をせず患者さまの体調に合わせて行うことが重要です。
脳血管障害による認知症は回復しますか?
脳血管障害による認知症は、適切なリハビリと治療により、症状の改善や進行の抑制が期待できます。
完全な回復は難しい場合もありますが、機能の維持や部分的な改善は十分に可能です。
脳血管性認知症は、原因となる脳血管障害の再発を防ぐことで進行を抑制できます。
また、損傷を受けていない脳の部位が代償的に機能することで、症状の改善も見込まれます。
早期からの適切なリハビリテーションと生活習慣の改善、必要に応じた薬物療法や再生医療などの組み合わせにより、患者さまの生活の質の向上を目指せます。
脳血管性認知症のリハビリは家族の理解とサポートが大切
脳血管性認知症のリハビリテーションは、患者さま一人の力だけでは継続が困難です。
ご家族の理解と適切なサポートがリハビリの成功に欠かせません。
リハビリと併せて、原因となる脳血管障害の再発予防も重要です。
脂質や塩分を控えた食事、適度な運動、禁煙・節酒などの生活習慣改善に取り組みましょう。
転倒防止の環境づくりも大切ですが、患者さまの自立性を維持する適度なサポートを心がけてください。
また、リハビリに加えて再生医療という新しい選択肢もあります。
再生医療については、当院「リペアセルクリニック」へお気軽にお問い合わせください。
2025.03.07