脳梗塞の後遺症とリハビリ内容|急性期のリハビリが重要
公開日: 2021.08.06更新日: 2025.04.28
脳梗塞を発症すると後遺症が残る場合があります。脳梗塞の後遺症は日常生活にも影響を与える可能性のある恐ろしいものです。
そんな後遺症ですが、リハビリをすることで後遺症を克服し、発症する前と変わらない生活が送れるようになる可能性もあります。
本記事では脳梗塞の主な後遺症と期間によるリハビリの違いについて解説します。
この記事を読むとわかること |
再生医療による治療についても解説しているので、ぜひ参考にしてください
目次
脳梗塞による主な後遺症
脳梗塞の後遺症は主に以下の症状が挙げられます。
運動麻痺 |
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感覚障害 |
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目の障害 |
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構音障害 |
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嚥下障害 |
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高次脳機能障害 |
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これらの症状は、発症した脳の部位や障害の程度によって異なります。
心理的な後遺症も多い脳梗塞ですが、リハビリをすれば運動的・心理的後遺症はいずれも良くなることがわかっています。
脳梗塞の後遺症を緩和するリハビリ|期間別に解説
脳梗塞のリハビリは3つの期間で別の方法が採られています。
基本的には回復に向かっていく期間には日常に戻るためのリハビリが始まります。
リハビリで重要なことは、自分から能動的に動くことです。セラピストに身体を動かしてもらうだけだと脳への刺激が少なく回復が期待できません。
3つの期間に分けて、詳しいリハビリの内容をお伝えします。
急性期に行うリハビリ
脳梗塞発症後のリハビリは、発症してから2週間までの期間である急性期が特に重要だと言われています。
急性期のリハビリでは、寝たきりの状態が続き、筋肉や骨が萎縮したり、関節が硬くなったりすることで運動機能が低下する「廃用症候群」の予防が主な目的になります。
急性期には患者の体調が急変する恐れが残っているため、ベッドの上でできるリハビリを行います。
急性期に行うリハビリ
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ただし、寝たきり状態によって体力が落ちたり床ずれや感染症などを発症したりしないないよう、無理のない範囲でベッド周辺での軽い運動をする場合もあります。
寝たきりになると体のさまざまな器官が衰え、深部静脈血栓症などの合併症を引き起こす可能性があります。
回復期に行うリハビリ
急性期を過ぎて病状が安定してくる回復期では、脳梗塞の後遺症の症状に合わせて、日常で必要となる動作ができるようになるためのリハビリをします。
回復期に行うリハビリ
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運動機能のリハビリは立つ・座るなどの基本動作や歩く練習、トイレや着替えなどのリハビリが行われます。
また、発声や飲み込む練習などをするのが嚥下・言語機能のリハビリです。この嚥下のリハビリを行うことで、日常と同じ固形の食事を摂れるようになります。
高次脳機能障害を防ぐリハビリでは、繰り返し同じ行動をする訓練や風船、積み木を用いたリハビリが行われます。
維持期に行うリハビリ
急性期、回復期を過ぎて退院した後(維持期)も、身体を動かさないでいると、身体の機能が低下してしまうので、引き続きリハビリをする必要があります。
維持期のリハビリ
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維持期のリハビリは自宅やリハビリ設備のあるクリニックで行われます。クリニックでの物理療法も効果的です。
退院後何もしないと、一度取り戻した運動機能が低下してしまうので維持期のリハビリが重要です。
脳梗塞の後遺症には「再生医療」という選択肢がある
脳梗塞の後遺症を緩和させる方法には、再生医療もあります。
再生医療は患者自身の細胞や組織を利用するため、通常の手術より拒否反応が起こるリスクが低く安全な治療法です。
脳の血管や組織の修復を促し、脳梗塞の後遺症を緩和する効果が期待できます。
再生医療をご検討の際は当院へお気軽にご相談ください。
脳卒中のお悩みに対する新しい治療法があります。
脳梗塞後の後遺症やリハビリに関してよくある質問
脳梗塞発症後の後遺症・リハビリに関する質問に答えていきます。
脳梗塞発症後の後遺症が治る確率や退院後の生活について解説していますので、ぜひご覧ください。
脳梗塞で後遺症が残らない確率はどのくらい?
後遺症が残らない確率は約3割※とされています。
(内訳:症状なし:12.2% / 症状はあるが明らかな障害はない:20.04%)
※参照:日本脳卒中データバンク報告書2023
発症後すぐに治療を受けた場合は後遺症が残らず退院できたケースもあります。脳梗塞を発症したときには、少しでも早く医師の治療を受けましょう。
脳梗塞の後遺症は治るの?
脳梗塞の後遺症は完治する可能性もあります。
厚生労働省の調査では脳梗塞発症後の復職率は5~6割※と半分以上の方が復職しています。
※参照:厚生労働省「脳卒中における留意事項」
多くの患者は生活に支障がない程度まで回復するようです。病院や専門の施設でリハビリを受けることで大きく改善が見込めます。
脳梗塞後のリハビリによる回復効果を高めるためには、再生医療が有効です。再生医療は患者自身の組織・細胞を利用して治療するため、患者の身体への負担が少ない治療法として注目されています。
再生医療をご検討の際は、ぜひ当院へご相談ください。
脳卒中のお悩みに対する新しい治療法があります。
脳梗塞から退院後はどんな生活?
退院後の生活は、後遺症に合わせてリハビリを続けながら、生活の工夫をしていくことが大切です。
退院後の生活で気を付けるべきこと
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もしひとりで運動するのが苦手な方は、専門施設や介護施設でリハビリを受ける選択肢もあります。軽い散歩だけでも毎日続けられるようにしましょう。
【まとめ】脳梗塞の後遺症とリハビリ内容のまとめ
脳梗塞の後遺症を残さないためには、早期の受診と急性期のリハビリが重要です。
脳梗塞の時期や筋力・体力を鑑みて適切なリハビリをしましょう。
また、リハビリとの併用で再生医療を利用すると身体機能の回復効果を高められます。再生医療をご検討の方は、当院へご相談ください。
退院後も注意しなければいけないことが多くありますが、発症以前と同じ生活を送るためにも日々の運動に努めましょう。

監修者
圓尾 知之
Tomoyuki Maruo
医師
略歴
2002年3月京都府立医科大学 医学部 医学科 卒業
2002年4月医師免許取得
2002年4月大阪大学医学部附属病院 脳神経外科 勤務
2002年6月関西労災病院 脳神経外科 勤務
2003年6月大阪大学医学部附属病院 脳神経外科 勤務
2003年12月大阪母子医療センター 脳神経外科 勤務
2004年6月大阪労災病院 脳神経外科 勤務
2005年11月大手前病院 脳神経外科 勤務
2007年12月大阪大学医学部附属病院 脳神経外科 勤務
2012年3月大阪大学大学院 医学系研究科 修了(医学博士)
2012年4月大阪大学医学部 脳神経外科 特任助教
2014年4月大手前病院 脳神経外科 部長