石灰沈着性腱板炎 | 痛みの原因・症状や、痛みを和らげるには
目次
石灰沈着性腱板炎とは
石灰沈着性腱板炎とは、肩の腱板にカルシウムが蓄積し、それが炎症を引き起こすことで強い痛みや肩の可動域制限が起こるつらい疾患症状です。
この痛みは前触れもなく突然発生することが多く、夜中に寝返りを打った瞬間に激痛が走って目覚めたり、痛みから腕や物を持ち上げたりする動作が難しくなります。そのため、症状が続くと日常生活の質が大きく低下し、不安やストレスを感じることも少なくありません。
そこで、ここでは、石灰沈着性腱板炎の痛みの原因やどれくらいの期間痛みが続くのかについて紹介します。
痛みが続く原因
石灰沈着性腱板炎の痛みは、石灰が沈着することによる腱板の炎症によるものです。
沈着する石灰はリン酸カルシウム結晶で、なぜリン酸カルシウムが沈着してしまうのかは解明されていません。
また、石灰が付着しても必ず痛みが生じるわけではないので、症状が出ていない人のなかにも石灰が沈着している人はたくさんいます。
沈着した石灰が硬くなって膨らんでしまうと痛みが増し、腱板を破って関節の周囲にある滑液包へ出てしまうと強烈な痛みが生じます。
痛みが続く期間
石灰沈着性腱板炎には3つの型(急性型、亜急性型、慢性型)があり、この型によって痛みが続く期間が異なります。
急性型
急性型は発症してから1週間から4週間に炎症によって強い痛みが生じるタイプです。
沈着する石灰はミルク状です。そして、体内で一部吸収されることもあり、自然に消滅することもあります。
石灰が消滅し炎症も治まれば痛みも生じなくなるのですが、多くの場合、残存します。
亜急性型
亜急性型は1ヶ月から半年くらい痛みが続くタイプです。
急性型のような症状が出たり、症状が治まったりするのを繰り返すのが特徴です。
慢性型
慢性型は6ヶ月以上痛みが続くタイプです。
関節をたくさん動かすと痛む、腕を挙げると痛むのが特徴です。
石灰沈着性腱板炎の治療法
発症から間もない時期
石灰沈着性腱板炎が発症してから1週間から4週間くらいの急性の時期は保存療法による治療がおこなわれます。
アームスリングや三角巾などの固定器具を使って患部を動かさないようにして負荷を軽減した状態で安静したり、炎症鎮痛剤を内服するによって炎症や痛みを抑えたりします。
このような保存療法をおこなうことで石灰が体内に吸収されて消失して、悪化せずに軽快するケースが多いです。
また、この時期は石灰がまだミルク状なので、痛みが強い時は注射針を挿入して吸引して取り除く治療をおこなうこともできます。
悪化してしまった場合
石灰沈着性腱板炎が悪化すると、慢性的に痛みが強くなり関節を思うように動かせなくなってしまいますが、石膏状になった石灰は注射針を挿入しても吸引して取り除くことはできませんし、放置しておいて自然に軽快することも期待できません。
そういう場合は、内視鏡による手術が検討されるのが一般的ですが、近年では衝撃波によって石膏状の石灰を取り除く体外衝撃波療法の ように皮膚を切開する必要のない治療法もおこなわれるようになってきています。
石灰沈着性腱板炎の治療に手術が必要なのか?についてはこちらもご覧ください
石灰沈着性腱板炎の予防
石灰沈着性腱板炎の原因については、はっきりしたことが分かっていませんが、予防には、肩関節まわりの筋力トレーニングやストレッチといった、一般的な肩の痛みの予防法が有効だと考えられます。
軽いダンベルを持って、可動域を意識したトレーニングや肩を色々な方向に動かすラジオ体操、ヨガにダンスなどもよいでしょう。肩を酷使する仕事やスポーツをする場合は、定期的な休息を取り、無理をしないよう心がけることが大切です。
また、食べ物で予防を心がけるのであれば、オメガ3脂肪酸を多く含む魚やナッツ類、ビタミンCやEを豊富に含む果物や野菜は、全身の炎症を抑える効果が期待できます。これらの栄養素を含む食品は、腱の健康を保つために有益であるという研究結果もあるので、積極的に摂取していくのがおすすめです。
肩のストレッチについてはこちらもご覧ください
まとめ
石灰沈着性腱板炎は、肩に強い痛みを伴う疾患です。型によって痛みの強さや感じる期間は異なりますが、早期治療をすれば早期回復が見込めるものでもあります。悪化すると日常生活の質が低下してしまうので、早期に医療機関を受診するようにしましょう。