石灰沈着性腱板炎の手術と入院期間の目安は?症状から回復期間まで医師が解説
公開日: 2020.05.11更新日: 2025.06.30
石灰沈着性腱板炎は肩に突然強い痛みが現れ、腕を動かすのもままならなくなることがある疾患で、特に夜間に痛みが強くなり、眠れないほどの激痛に悩まされる方も少なくありません。
こうしたつらい症状に対して、「結局、手術しかないのでは?」「入院となったらどのくらいの期間がかかるの?」といった、不安や疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか?
本記事では、石灰沈着性腱板炎の手術を行った場合の入院期間や術後の生活への影響について解説しています。
このまま薬やリハビリを続けて改善するのだろうか・この辛い痛みから解放されたいという方は、ぜひ参考にして手術も検討してみましょう。
また再生医療のように手術を避けながら改善を目指す治療法も注目を集めています。
手術を避けたい方に向けた治療法である再生医療については、当院(リペアセルクリニック)の公式LINEからも無料で確認できますので、ぜひご利用ください。
目次
石灰沈着性腱板炎の手術後の入院期間は数日で済むケースが多い
石灰沈着性腱板炎の手術を行った場合の入院期間は、通常、数日程度で済むケースが多いです。
また、手術が成功し石灰がしっかりと除去できた場合では、術後1〜2週間ほどで腕を上げられるようになり、日常動作の回復もスムーズに進む傾向にあります。
その後は、医師の指導を受けながら、ストレッチや可動域を広げるリハビリを自宅で継続的に行っていくのが、術後の一般的な流れとなります。
石灰沈着性腱板炎の特徴については、以下の記事でも解説していますので、ぜひ参考にしてください。
仕事復帰・日常生活に戻れるまでの期間
仕事復帰・日常生活に戻れるまでの期間の目安としては、以下の治療法によって異なります。
治療法 | 仕事復帰の目安 |
---|---|
薬物療法 | 数日〜1週間以内 |
注射療法 | 数日〜1週間程度 |
保存療法+リハビリ | 2〜4週間程度 |
関節鏡手術 |
・軽作業:術後1〜2週間 ・重作業:1~3ヶ月以上 |
たとえ痛みが軽減していても、肩の可動域が不十分なまま復帰してしまうと再発や炎症悪化の原因になります。
復帰のタイミングは、自己判断せず、担当医やリハビリの進行状況をもとに判断しましょう。
石灰沈着性腱板炎の治療法
石灰沈着性腱板炎の治療法としては、以下の方法があります。
自身のライフスタイルや症状に合う治療法を把握するためにも、ぜひ参考にしてください。
保存療法
石灰沈着性腱板炎では、多くの場合、まず以下の保存療法(手術を伴わない治療)から開始されます。
方法 | 内容と目的 |
---|---|
安静・患部の固定 | アームスリングや三角巾で肩を固定し、炎症部位の負担を軽減 |
薬物療法 | 痛みや炎症を抑えるためにNSAIDs(ロキソニン・ボルタレンなど)や湿布などを使用 |
注射療法 | 強い痛みに対して、局所麻酔薬やステロイド注射で即効性のある緩和を図る |
理学療法(リハビリ) | 可動域を維持・改善するためのストレッチや軽い運動療法。痛みが軽減してから段階的に実施 |
吸引療法 | 石灰がミルク状の段階で強い痛みを伴う場合、注射器で石灰を吸引し除去 |
改善までの期間は個人差がありますが、数週間〜数カ月をかけて徐々に痛みや動作制限が改善されることが多く、特にミルク状の石灰が自然吸収されることで症状が緩和することもあります。
多くの患者さんでは、保存療法だけで症状が軽快し、手術を回避できるケースが一般的です。
ストレッチを取り入れた運動療法による症状の改善方法については、以下の記事で詳しくご紹介していますので、気になる方はぜひチェックしてみてください。
手術療法
石灰沈着性腱板炎では、保存療法で改善が見られない場合や、石灰が大きく硬化している場合に手術療法が検討されます。
また、日常生活に支障をきたす強い痛みが長期間続いている場合や夜間の睡眠がとれないほどのケースでは、早期に手術を選択することが勧められることもあります。
石灰沈着性腱板炎の手術では、関節鏡(内視鏡)を使用した低侵襲な手術方法が一般的です。
関節鏡とは、直径5ミリ程度の細い棒状のCCDカメラで、皮膚にごく小さな切開を入れるだけで肩関節の中に挿入でき、関節内の状態を高精度でモニタリングすることができます。
関節鏡で石灰の位置と周囲の組織の状態を確認したうえで、専用の器具を用いて腱板に沈着した石灰を丁寧に除去します。
石灰を取り除いた部位には一時的な小さな空洞(穴)が残りますが、ほとんどの場合は自然に修復されるため、縫合などの追加処置を必要としません。
このように、関節鏡手術は傷口が小さく体への負担も少ないため、術後の回復も比較的早く、早期の社会復帰が期待できます。
再生医療
石灰沈着性腱板炎の治療法として、近年注目されているのが「再生医療」です。
患者さまご自身の細胞(主に幹細胞など)を活用して、損傷した腱や組織の自然な修復を促進する治療法であり、手術のような切開をせずに治療を行えます。
- 手術不要・入院不要:点滴や注射による治療が主で、日常生活への支障が少ない
- 身体への負担が少ない:高齢の方や既往歴のある方でも適応しやすい
手術には抵抗がある方・忙しくて入院や手術が難しい方・保存療法で改善がみられない方という方は、ご検討ください。
治療内容や症例に関しては、当院(リペアセルクリニック)の、公式LINEでもご確認できますので、興味のある方はぜひご覧ください。
石灰沈着性腱板炎の手術で入院する期間がない方は再生医療も一つの選択肢に
石灰沈着性腱板炎の治療では、症状や経過によって手術が検討されるケースもあり、手術というと肉体的にも精神的にも大きな負担がかかるイメージを持つ人も多いと思います。
しかし、実際には関節鏡を用いた手術が主流であり、入院期間も数日程度と短く、身体的・精神的な負担も比較的少ないとされています。
また、早期治療をおこなえば手術を受けずに軽快することも可能なので、我慢せずに早めに医療機関を受診することをおすすめします。
ただ、仕事や家庭の事情でどうしても入院が難しい方や、できる限り手術を避けたい方には、再生医療という選択肢もあります。
手術に不安がある方や、再生医療について詳しく知りたい方は、以下から当院(リペアセルクリニック)へお気軽にご相談ください。

監修者
坂本 貞範
Sadanori Sakamoto
医療法人美喜有会 理事長
「できなくなったことを、再びできるように。」
人生100年時代、皆様がより楽しく毎日を過ごせることの
お手伝いができれば幸甚の至りでございます。
略歴
1997年3月関西医科大学 医学部卒
1997年4月医師免許取得
1997年4月大阪市立大学(現大阪公立大学)医学部附属病院 勤務
1998年5月大阪社会医療センター附属病院 勤務
1998年9月大阪府立中河内救命救急センター 勤務
1999年2月国立大阪南病院 勤務
2000年3月野上病院 勤務
2003年3月大野記念病院 勤務
2005年5月さかもとクリニック 開設
2006年12月医療法人美喜有会設立 理事長就任
2019年9月リペアセルクリニック大阪院 開設
2021年5月リペアセルクリニック東京院 開設
2023年12月リペアセルクリニック札幌院 開設