幹細胞治療とは|費用や治せる病気は?デメリット・メリットについて再生医療専門医が解説
公開日: 2021.01.06更新日: 2025.06.02
医療技術は日々進歩し、これまで治療が難しかった疾患に対しても新たな選択肢が生まれています。
「再生医療」の中核をなす「幹細胞治療」の発展は、損傷した組織の修復や機能回復といった従来の治療法では限界のあった領域に新たな可能性をもたらしています。
本記事では、「幹細胞治療」が具体的にどのような治療なのか、どのような病気や症状への効果が期待されているのかを解説します。
- 幹細胞治療の基本的な仕組みと可能性
- 治療にかかる費用のおおよその目安
- 幹細胞治療が対象とする主な病気や症状
- 治療のメリットと知っておくべきデメリット
「幹細胞治療」について詳しく知りたい方、新たな治療の選択肢として検討されている方は、ぜひこの記事を参考にしてください。
また、当院リペアセルクリニックの公式LINEでは、幹細胞治療をはじめとする再生医療に関する治療法や症例を公開しています。
今までできなかったことが再生医療によってできる可能性がある新たな治療法なので、合わせてご参考ください。
目次
幹細胞治療とは先端医療である再生医療の一つ
幹細胞治療とは「幹細胞」の能力を利用して、病気やケガで傷ついた組織や臓器の修復・再生を目指す先端医療の一つです。
幹細胞治療のポイント
- 幹細胞は様々な細胞に変化、自己複製が可能
- 患者さま自身の幹細胞を採取・培養し、注射や点滴で体内に戻す
- 幹細胞によって損傷した細胞や組織の修復・再生が期待できる
- 患者さま自身の細胞を用いるため拒絶反応リスク低い
幹細胞は、皮膚・筋肉・骨・神経など、私たちの体を作る様々な細胞に変わることができる「分化能」と自分と同じ細胞を複製して増やすことができる「自己複製能」という二つの特徴を持っています。
幹細胞治療では、幹細胞の力を借りて、ダメージを受けた体の部分の機能回復を目指します。
具体的には、患者さまご自身の脂肪や骨髄などから幹細胞を取り出し、培養して数を増やした後に患部への注射や点滴で投与します。
幹細胞治療の費用
幹細胞治療は、新しい医療技術を用いた治療法であり、現在では多くの場合、公的医療保険が適用されない「自由診療」となります。
当院リペアセルクリニックの幹細胞治療の料金は、以下の通りです。
治療対象 | 費用相場(1回あたり・税込) |
関節疾患(膝・股関節・肩など) | 約132万円 ~ 198万円 |
脳卒中・糖尿病・肝臓疾患・慢性疼痛 | 約242万円 |
脊髄腔内投与 | 約242万円 |
顔の美容 | 約165万円 |
上記はリペアセルクリニックにおける一例ですが、治療の対象となる疾患の種類・幹細胞の採取方法や培養方法など、さまざまな要因で費用は大きく変動します。
そのため、実際に幹細胞治療を検討される際にはクリニックでカウンセリングを受け、ご自身の症状に合った治療内容と総額費用について十分に説明を受けましょう。
幹細胞治療ではどんな病気が治せる?
幹細胞治療は整形外科領域の疾患から内科系疾患、さらには美容分野に至るまで、幅広い病気や症状に対して、その効果が期待され研究・治療が進められています。
幹細胞治療の対象となる主な病気・症状の例は、以下の通りです。
分野 | 主な対象となる疾患・症状(例) |
整形外科領域 |
・変形性膝関節症 |
脳神経・脊髄領域 |
・脳卒中の後遺症(麻痺、しびれ、言語障害、記憶障害など) |
代謝・内分泌・消化器領域 |
・糖尿病 |
循環器領域 |
・虚血性心疾患(心不全、心筋梗塞後遺症、狭心症など) |
美容・アンチエイジングなど |
・肌のシワ・たるみ改善 |
ただし、全ての病気に対してすでに確立された治療法というわけではなく、まだ研究段階にあるものも多く含まれます。
治療の適応や期待できる効果については、個々の患者さまの状態によって異なるため、医師と十分に相談することが重要です。
幹細胞治療の特徴・メリット
幹細胞治療は、主に以下の2つのメリットがあります。
幹細胞治療は従来の対症療法とは異なり、私たちの体が本来持っている「再生する力」を引き出すことで、病気そのものの治癒や機能回復を目指せる可能性があります。
また、多くの場合、患者さまご自身の細胞を使用するため、副作用リスクが少ないという点も魅力の一つです。
根本的な治療が期待できる
幹細胞治療は、損傷したり機能が低下したりした組織や臓器の修復・再生を促すことで、病気の根本的な原因に働きかけ、症状の改善だけでなく、失われた機能の回復を目指せる治療法です。
根本治療への期待
- 対症療法でなく根本原因にアプローチ
- 傷んだ組織や臓器の修復・再生を促進
例えば、すり減った膝関節の軟骨が原因で起こる変形性膝関節症では、幹細胞を関節内に注入することで軟骨の再生を促し、痛みの軽減だけでなく関節機能の改善が期待できます。
副作用リスクが少ない
患者さまご自身の体から採取・培養した幹細胞(自己由来幹細胞)を用いる場合は、拒絶反応やアレルギーといった副作用のリスクが低い治療法と考えられています。
副作用リスクが少ない
- 患者さま自身の幹細胞使用で拒絶反応が少ない
- アレルギー反応のリスクも低い
- 注射や点滴で行えるため体への負担が小さい
ただし、注射を伴うため針を刺した部位に一時的な出血や内出血が起こる可能性はあります。
幹細胞療法のデメリット
幹細胞治療を検討する際には、その効果への期待だけでなく、知っておくべき注意点もあります。
デメリットについて、以下でそれぞれ詳しく見ていきましょう。
保険適用外のため治療費が高い
現在、日本で行われている幹細胞治療の多くは、公的医療保険の適用対象外(自由診療)であり、治療にかかる費用は全額自己負担となるため、治療費は高額になります。
費用面の課題
- 数十万円~数千万円かかる場合も
- 複数回の治療なら費用はさらに増加
具体的な費用は、治療対象となる疾患や治療を行う医療機関によって異なります。
1回の治療で数十万円から数百万円、あるいはそれ以上の費用が必要となることもあります。
効果には個人差がある
幹細胞治療によって期待される効果には個人差があり、同じ病気であっても全ての人に同様の効果が保証されるわけではありません。
治療後すぐに改善を感じる方もいれば、効果を実感するまでに数ヶ月といった時間を要する方、あるいは期待したほどの効果が得られないケースも存在します。
当院の幹細胞治療(再生医療)について
当院リペアセルクリニックが行っている幹細胞治療は、患者さまご自身の体(主にお腹の脂肪など)から米粒数個程度というごく少量の脂肪を採取し、その中に含まれる幹細胞を特別な技術で取り出すという流れです。
幹細胞を当院提携の細胞培養加工施設で約1ヶ月かけて培養し、数百万個から数億個という十分な数まで増やします。
その後、幹細胞を点滴や治療部位への注射によって患者さまのお体に戻すことで、傷ついた組織の修復や機能の再生を促します。
本章では以下の内容について詳しくご紹介します。
当院の肝細治療について気になる方は、ぜひ参考にしてください。
当院の特徴
当院リペアセルクリニックは、再生医療を専門とするクリニックとして幅広い疾患に対応できる体制と、国内トップクラスの豊富な治療実績が特徴です。
リペアセルクリニックの強み
- 再生医療専門クリニックとして幅広い疾患に対応可能
- 自己細胞使用で副作用リスクが低い
- 独自の培養技術により高品質な幹細胞を投与
- 治療実績1万件以上(※1)
(※1)2019年6月〜2024年9月までの東京院・大阪院・札幌院3院の全治療数の累計
独自の培養方法から投与方法に至るまで、高度な専門技術を持つ治療環境がリペアセルクリニックの強みです。
費用
当院リペアセルクリニックでは、幹細胞の採取・培養・投与に関わる一連の費用は基本的に全て治療費に含まれています。
治療対象・内容 | 投与内容(回数/細胞数) | 価格(税込) |
関節疾患(膝・股関節・肩など) | 1回投与 / 2,500万個 | 1,320,000円 |
1回投与 / 5,000万個 | 1,540,000円 | |
1回投与 / 1億個 | 1,980,000円 | |
脳卒中・糖尿病・肝臓疾患・慢性疼痛 | 1回投与 / 2億個 | 2,420,000円 |
2回投与 / 4億個 | 4,400,000円 | |
3回投与 / 6億個 (一般) | 5,940,000円 | |
3回投与 / 6億個 (モニター) | 4,400,000円 | |
脊髄腔内投与 | 1回投与 | 2,420,000円 |
顔の美容 | 1回投与 | 1,650,000円 |
初回の診察・カウンセリングには3,300円(税込)、治療開始前の血液検査には11,000円(税込)の費用がかかります。
実際の幹細胞治療の費用は、上記の表に示した通り、治療の対象となる疾患や使用する幹細胞の量、投与回数によって異なります。
治療の流れ
当院リペアセルクリニックでの自己脂肪由来幹細胞治療は、患者さまが納得して治療をお受けいただくため、専門医による事前のカウンセリングで治療法をご説明、ご提案させていただきます。
自己脂肪由来幹細胞治療の主な流れは、以下の通りです。
ステップ | 主な内容 | 所要時間(目安) |
1. 脂肪の採取 | 患者さまの下腹部に局所麻酔を行い、米粒3粒程度の脂肪組織を採取 | 約30分 |
2. 細胞の培養 | 専門の細胞培養センターにて、採取した脂肪組織から幹細胞を分離し、治療に必要な数まで培養・増殖させる | (培養期間 約1ヶ月) |
3. 幹細胞の投与 | 培養・増殖させた幹細胞を、疾患や患者さまの状態に応じて静脈点滴または治療部位へ局所注射といった方法で投与 | 約5分~80分 |
治療開始前には感染症のリスクを確認するための血液検査が必須となりますことをご了承ください。
また、治療効果は投与後すぐに現れるものではなく、数ヶ月かけて徐々に変化を感じられることが一般的です。
ご自身の細胞を用いるため、アレルギー反応や拒絶反応といった副作用のリスクが低いのが特徴です。
幹細胞治療とは再生医療の一つ!新たな治療の選択肢として検討しよう
幹細胞の持つ傷ついた組織を修復し再生する能力を活かした幹細胞治療は、多岐にわたる疾患への応用が期待される先端医療です。
ご自身の細胞を用いることによる副作用リスクの低さや、従来の治療では難しかった根本的な改善が期待できます。
一方で、現在は保険適用外であるために費用負担の大きかったり、効果には個人差があるといった側面もあります。
幹細胞治療は、すべての方のあらゆる病気を治せる万能な治療法ではありませんが、ご自身の状態を正確に把握し、治療の可能性と限界について専門医と十分に話し合い、納得のいく選択をしましょう。

監修者
渡久地 政尚
Masanao Toguchi
医師
略歴
1991年3月琉球大学 医学部 卒業
1991年4月医師免許取得
1992年沖縄協同病院 研修医
2000年癌研究会附属病院 消化器外科 勤務
2008年沖縄協同病院 内科 勤務
2012年老健施設 かりゆしの里 勤務
2013年6月医療法人美喜有会 ふたこクリニック 院長
2014年9月医療法人美喜有会 こまがわホームクリニック 院長
2017年8月医療法人美喜有会 訪問診療部 医局長
2023年12月リペアセルクリニック札幌院 院長