変形性股関節症の初期症状とは?痛みの特徴やチェック方法・対策をわかりやすく解説
公開日: 2019.05.08更新日: 2025.06.02
変形性股関節症の初期症状として、立ち上がりや歩き始めに痛みを感じたり、股関節の動きが悪くなったりする場合があります。
痛みやしびれは少し休むと和らぐので、治療の必要性を感じていない方もいらっしゃるでしょう。
しかし、末期症状になると手術が必要になるケースもあるため、股関節に痛みや違和感があるときは、早めに診察するのがおすすめです。
本記事では、変形性股関節症の初期症状の特徴や、痛みの対策方法をわかりやすく解説します。
手術を避けたい方に向けて、切らない治療方法もご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
変形性股関節症の初期症状の特徴
変形性股関節症の初期症状には特徴があるため、日々の生活では以下の項目を意識してみましょう。
初期に現れる痛みや違和感のサイン
左右どちらかだけが痛む場合の特徴
日常生活で現れる変化について(歩き方や動作のクセ)
変形性股関節症は初期症状を自覚しにくいため、気が付かないうちに悪化している可能性があります。
末期の段階では手術が必要になる可能性もあるため、変形性股関節症にどのような初期症状があらわれるのか、理解しておきましょう。
初期に現れる痛みや違和感のサイン
変形性股関節症の初期段階では、以下のような痛みや違和感のサインが現れる場合があります。
- 股関節の動きが悪い
- 股関節のだるさや突っ張りを感じる
- 立ち上がりや一歩目に痛みを感じる
- 股関節からゴリゴリと音がする
初期症状では股関節に重さを感じたり、歩き始めに鈍い痛みを感じたりしますが、少し休息を挟むと改善する場合もあります。
また、変形性股関節症は腰まわり周辺にも影響するため、太ももやお尻に痛みやしびれを感じるケースも。
膝や肘などの関節とは異なり、股関節の疾患は見た目で判断しにくいため、そのまま放置する方が少なくありません。
症状が進行すると安静時も痛みが生じるので、股関節に違和感があるときは、早めに診察を受けておくことが重要です。
左右どちらかだけが痛む場合の特徴
変形性股関節症は、左右のどちらかだけが痛む場合もあります。
片方だけの股関節疾患には以下の特徴があるため、ご自身に当てはまるかどうか、チェックしてみましょう。
- 股関節の前側に刺すような痛みがある
- 太ももの前側に突っ張りと痛みを感じる
- 太ももの外側に痛みやしびれを感じる
- お尻の奥がズキズキと痛む
歩行などの動作に問題がなくても、足の付け根の内側を押すと、痛みを感じるケースがあります。
利き足に負荷がかかりやすいスポーツをしている方や、脚を組んで座るクセのある方は、左右どちらかだけが変形性股関節症になる可能性が高まる場合も。
また、太ももやお尻に痛みやしびれがある場合、変形性関節症ではなく、坐骨神経痛の可能性も考えられます。
坐骨神経痛は歩行困難になる恐れがあるため、症状が悪化する前に専門医に相談するなどの対策を検討しましょう。
日常生活で現れる変化について(歩き方や動作のクセ)
変形性股関節症になると、日常生活に以下のような変化が現れる場合があります。
進行レベル | 日常生活の変化 |
---|---|
初期症状 | ・正座や椅子に深く腰掛ける動作が難しい ・股関節の可動域が狭くなるため、ズボンや靴下の脱ぎ・履きが難しい |
中期症状 | ・階段の昇り降りや、深くしゃがむ動作で痛みが生じる ・痛みで長時間の歩行が困難になる |
末期症状 | ・痛みが安静時も続くため、熟睡できない |
初期症状の段階では、無意識のうちに座り方や姿勢を変えて、痛みやしびれをカバーする傾向があります。
自分が不自然に動いていないか、家族や友人など第三者に確認するなどして、症状をチェックしましょう。
中期症状では日常生活に支障が出やすくなり、近くへの買い物や、ちょっとした散歩も辛くなってしまうようなケースもあります。
末期症状になると、寝返りを打つたびに痛みが生じるため、精神的なストレスも大きくなります。
「今まで問題なかった動作ができなくなった」などの自覚があるときは、専門医の診察を検討しましょう。
変形性股関節症の初期症状のチェックリスト|医療機関の受診の判断基準
自分が変形性股関節症かどうか判断する・受診が必要なレベルかどうか知るためにも、以下のチェックリストを利用してみましょう。
多くあてはまる場合は、変形性股関節症が進行している場合もあるので、注意が必要です。
考えられる原因 | 具体的な症状 |
---|---|
筋力低下など | 歩くと体が左右に揺れる |
股関節の可動域制限 | ズボンや靴下が履きにくい |
段差を乗り越えにくい | |
軟骨の減少や炎症の影響 | 膝が常に重く感じる |
動き始めや歩き始めに脚の付け根が痛む | |
運動をした後、脚の付け根やお尻の横が痛い | |
寝返りを打つと脚の付け根が痛い |
当てはまる項目が多くある場合、すでに変形性股関節症になっている、または今後発症する可能性があります。
初期症状の自覚がなくても、重症化を防ぐために、一度病院の診察を受けることが重要です。
変形性股関節症の初期段階でできる対策と予防方法
変形性股関節症の症状を自覚したときは、初期段階でできる対策や、予防方法を実践してみましょう。
ストレッチや生活習慣の改善
市販のサポーターや補助具の活用
やってはいけない動作・避けるべき習慣
一度すり減った軟骨は自然治癒を期待できないため、自分でできる予防方法を日々の生活に採り入れる必要があります。
具体的には、以下のようにストレッチや補助具を活用する方法があります。
ストレッチや生活習慣の改善
変形性股関節症の進行を防止する際は、ストレッチや生活習慣の改善が効果的です。
ストレッチで股関節を伸ばすと、可動域が狭くなるのを防ぎ、筋力を上げる効果が期待できます。
股関節前面のストレッチ | ・片足で立ち、もう一方の足を後ろに伸ばす ・片足を椅子や台に置き、もう一方の足を後ろに伸ばす |
股関節周辺のストレッチ | ・仰向けに寝て両膝を抱え込み、胸に近づける ・仰向けに寝て膝を左右に倒す ・うつ伏せに寝てお腹の部分にクッションを置き、お尻を左右に揺らす ・立ったまま徐々に開脚し、股関節の内側を伸ばす |
食事の改善 | ・体重が増えないようにカロリーを抑える ・青魚や納豆、海藻類などをバランスよく食べる |
適度な運動 | ・水中ウォーキング |
その他の生活習慣 | ・椅子に座るときは背筋を伸ばす ・脚を組まない ・同じ姿勢を長時間続けない |
痛みを我慢して股関節を伸ばすなど、無理のあるストレッチは避けておきましょう。
なお、カルシウムやビタミンDをたくさん摂取しても、軟骨のすり減りや骨の変形は再生されません。
軟骨に栄養を届けるためには、血液をサラサラにする青魚や大豆製品(豆腐や納豆)、海藻類などをバランスよく食べることを意識しましょう。
市販のサポーターや補助具の活用
変形性股関節症の痛みや違和感の対策として、市販のサポーターや補助具の活用もおすすめです。
股関節用のサポーターは腰まわりの骨を補整する効果があり、正しい姿勢で歩行するのに役立ちます。
ただし、長く使うと股関節周辺の筋力が落ちてしまう原因になりかねないので、階段の昇り降りや長めの散歩など、目的を限定しておきましょう。
補助具には室内・室外用の歩行車や、さまざまなタイプの杖があります。
歩行車を使うと腰の負担が軽くなるため、痛みの悪化防止を期待できます。
杖には一脚タイプや四脚タイプなどがあり、重さや安定性が異なるので、まずはレンタルで試してみるのもおすすめです。
やってはいけない動作・避けるべき習慣
変形性股関節症の疑いがある場合、以下の動作や習慣は股関節に負担がかかるため、注意が必要です。
- 重いものを持ち上げたり運ぶ
- 長時間立ったままの作業(飲食店の厨房や工場のライン作業など)
- 正座やあぐら
- 膝を曲げたままの作業や動作(ガーデニングやヨガなど)
重いものを1人で持ち上げるのは避けるなど、股関節にかかる負担を軽くするように意識しましょう。
立ったままの作業が続く場合は、クッション性のある靴を履いたり、小まめに姿勢を変えたりすると股関節のこわばりを防止できます。
正座やあぐらも股関節の軟骨をすり減らす原因となってしまうため、椅子に切り替えるのがおすすめです。
膝を曲げたままの作業や動作も、長時間続けると股関節の負担となるため、なるべく避けて関節への負担を防ぎましょう。
適度なストレッチは股関節を柔らかくし、筋力の低下を防ぐ効果もあります。
仕事や家事を休めない方は、サポーターや補助具を活用し、生活習慣も改善してみましょう。
ただし、変形性股関節症の治癒は期待できないため、軟骨のすり減りは少しずつ進行します。
初期症状を自覚したときは、医療機関でMRIなどの検査を受け、症状の進行度合いをチェックしてもらいましょう。
放置をした場合の進行リスクと注意点
変形性股関節症を放置すると、末期症状に進行するリスクが高まります。
末期症状では骨が変形する場合があり、痛みもさらに強くなるため、室内の移動だけでも苦痛に感じる場合も。
保存療法で症状が改善されないときは、手術で人工関節に置き換える場合もあります。
手術をすると痛みやしびれは解消できますが、以下の注意点があるため、慎重な判断が必要です。
- 入院やリハビリの期間が長い
- 細菌感染や脱臼のリスクがある
- 下肢(脚全体)に血栓ができる恐れがある
- 人工関節の耐用年数により、再手術の可能性がある
術後の入院期間は一般的に2~3週間かかるので、家庭や仕事の事情により、手術を選択できない方もいらっしゃるでしょう。
また、人工関節には血液が通っていないため、細菌に感染すると再手術が必要になる可能性もあります。
人工関節の耐用年数は15~20年程度といわれますが、あくまでも目安です。
股関節に大きな負荷をかけた場合は、再手術の時期が早まるケースも考えられます。
上記のリスクを避けたい場合は、再生医療など、手術以外の治療方法も詳しく知っておくのがおすすめです。
変形性股関節症の症状が進行した場合に知っておきたい再生医療という選択肢
変形性股関節症の再生医療とは、損傷した股関節に幹細胞を注射し、機能を修復させる治療方法です。
初期や中期症状の段階で再生医療を受けると、重症化の防止を期待できるため、手術しなくても変形性股関節症を治せる可能性があります。
以下の状況に当てはまる方は、再生医療を検討するのもおすすめです。
- 手術に抵抗がある
- 家庭や仕事の都合で長期入院できない
- 現在の治療方法に疑問がある
- 体の負担が軽い治療方法を選びたい
リペアセルクリニックの再生医療では、患者本人の幹細胞を活用しているので、アレルギー反応や免疫反応のリスクを低減できます。
幹細胞は下腹部から採取しますが、痛みがほとんどなく、傷口も小さいため、体に大きな負担がかかりにくいメリットも。
手術を避けたい方や、通院だけで変形性股関節症を治療したい方は、ぜひリペアセルクリニックの専門医にご相談ください。
股関節の痛みは⼿術しなくても治療できる時代です。
変形性股関節症は痛みや初期症状を見逃さず早めの処置が大切
変形性股関節症の初期症状は気が付きにくいため、「高齢だから仕方ないだろう」と考えてしまうケースがあります。
すり減った軟骨は自然治癒を期待できないので、初期症状を見逃さず、早めの処置が必要です。
股関節に痛みや違和感があるときは、まず変形性股関節症のチェックリストを活用してみましょう。
初期症状の段階では再生医療の効果を期待できるため、手術しなくても変形性股関節症を治せる可能性があります。
リペアセルクリニックでは、無料相談やメール相談を受け付けており、症状に応じた治療方法をご提案させていただきます。
再生医療について詳しく知りたい方は、お気軽にご相談ください。

監修者
坂本 貞範
Sadanori Sakamoto
医療法人美喜有会 理事長
「できなくなったことを、再びできるように。」
人生100年時代、皆様がより楽しく毎日を過ごせることの
お手伝いができれば幸甚の至りでございます。
略歴
1997年3月関西医科大学 医学部卒
1997年4月医師免許取得
1997年4月大阪市立大学(現大阪公立大学)医学部附属病院 勤務
1998年5月大阪社会医療センター附属病院 勤務
1998年9月大阪府立中河内救命救急センター 勤務
1999年2月国立大阪南病院 勤務
2000年3月野上病院 勤務
2003年3月大野記念病院 勤務
2005年5月さかもとクリニック 開設
2006年12月医療法人美喜有会設立 理事長就任
2019年9月リペアセルクリニック大阪院 開設
2021年5月リペアセルクリニック東京院 開設
2023年12月リペアセルクリニック札幌院 開設
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