- 肝疾患
アルコール性肝硬変|自覚症状はある?主な症状や飲酒量の目安、治療法について解説

「毎日のお酒がやめられない」「健康診断で肝臓の数値を指摘された」と不安を抱えていませんか。
長年にわたる過剰なアルコール摂取は、肝臓に深刻なダメージを与え、最終的には命に関わる「アルコール性肝硬変」を引き起こす危険性があります。
肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、初期段階ではほとんど自覚症状がありません。そのため、気づかないうちに病状が進行し、取り返しのつかない事態に陥るケースも少なくありません。
本記事では、アルコール性肝硬変の初期症状や進行のサイン、危険な飲酒量の目安から治療法までを詳しく解説します。
大切な肝臓を守るために、ご自身の飲酒習慣を見直し、適切な対処法を知るための参考にしてください。
なお、当院リペアセルクリニックの公式LINEでは、肝硬変をはじめとする肝臓疾患を患っている方向けに先端医療である「再生医療」に関する情報を配信しています。
従来の治療では治らないといわれている肝硬変の改善が期待できる治療法ですので、ぜひご覧ください。
目次
アルコール性肝硬変とは
アルコール性肝硬変とは、長期間にわたる過剰な飲酒が原因で肝臓の細胞が破壊され、肝臓が硬く萎縮してしまう病気です。
体内に入ったアルコールの大部分は肝臓で分解されますが、その処理能力を超えた多量飲酒を続けると、肝臓に大きな負担がかかります。
以下では、具体的にどの程度の飲酒を続けると肝硬変の危険性が高まるのか、目安となる量について詳しく解説します。
肝硬変に至る飲酒量の目安
アルコール性肝硬変を発症する危険な飲酒量の目安は、1日あたり純アルコール量で約100g以上の飲酒を、10年以上にわたって継続することとされています。
※出典:一般社団法人日本健康倶楽部「肝機能が心配」
純アルコール量100gというのは、一般的なお酒に換算すると以下のようになります。
- 日本酒:約5合
- ビール(中瓶):約5本
- ウイスキー:ダブルで約5杯
- 焼酎(25度):約2.5合(約500ml)
毎日これだけの量を飲み続けると、肝臓の細胞に深刻なダメージが蓄積され、修復が追いつかずに組織が線維化して硬くなっていきます。
ただし、この基準はあくまで一般的な目安であり、女性や元々アルコールに弱い体質の方は、これより少ない量や短い期間でも肝硬変に至るリスクも考えられます。
毎日の飲酒習慣がある方は、ご自身の飲酒量を一度しっかりと見直しましょう。
アルコール性肝硬変に自覚症状はある?主な症状
アルコール性肝硬変は、病状がある程度進行するまで目立った自覚症状が現れないのが大きな特徴です。
肝硬変の進行度合いと、それぞれの段階で見られる主な症状は以下の2つに分けられます。
進行に伴って体に現れる具体的なサインについて詳しく解説します。
初期はほとんど自覚症状がない
肝臓は高い予備能力を備えており、一部の細胞がアルコールでダメージを受けても、残りの正常な細胞が機能をカバーして働き続けます。
そのため、初期のアルコール性肝硬変(代償性肝硬変)では、目立った自覚症状がほとんど現れません。
時折、軽い全身のだるさや食欲不振などを覚えることもありますが、「ただの二日酔いだろう」「疲れのせい」と見過ごされがちです。
自覚症状がないまま病状が静かに進行してしまうため、健康診断の血液検査で数値の異常が出た場合は、症状がなくても決して放置しないことが早期発見の鍵となります。
進行期には黄疸・腹水などの症状が見られる
長年の多量飲酒によって肝臓の破壊が進み、本来の機能を維持できなくなる「非代償性肝硬変」の段階に達すると、体にはっきりと目に見える症状が現れ始めます。
代表的な症状として、ビリルビンを処理しきれなくなることで皮膚や白目が黄色く染まる「黄疸」や、全身の強い倦怠感が生じます。
また、血液中の水分を保つアルブミンを作り出せなくなるため、お腹に大量の水が溜まる「腹水」や、手足のひどいむくみが起こるのも特徴です。
他にも、手のひらが赤くなる手掌紅斑や、胸元に赤い斑点ができるクモ状血管腫といったサインが出た場合は、すでに危険な状態であるため至急受診が必要です。
アルコール性肝硬変でお酒をやめないとどうなる?
アルコール性肝硬変と診断された後もお酒をやめずに飲み続けると、命に関わる深刻な状態へと進行する可能性が高くなります。
飲酒を続けた場合に懸念されるリスクは、以下の2つです。
肝臓へのダメージが限界を超え、取り返しのつかない事態に陥る理由について詳しく解説します。
重大な合併症を引き起こす可能性
肝臓が硬くなることで血流が悪化し、食道静脈瘤などの命に関わる合併症を引き起こす危険性があります。
食道の血管がこぶのように大きく膨らみ、万が一破裂すると大吐血を招いてしまい危険です。
また、アンモニアなどの有害物質が脳に達し、意識障害を伴う肝性脳症を発症する恐れも高まります。
禁酒をせずに肝臓への負担をかけ続けると、これらの恐ろしい合併症がいつ起きてもおかしくない状態になってしまいます。
肝不全や肝臓がんのリスクが高まる
飲酒を続けることで肝臓の細胞が完全に破壊され、生命維持に必要な機能が失われる肝不全へと進行する可能性があります。
肝不全に陥ると、黄疸や腹水などの症状がさらに悪化し、最終的には死に至る危険性も高くなります。
さらに、慢性的な炎症状態が続くことで細胞が傷つき、肝臓がんを発症するリスクも跳ね上がってしまいます。
最悪の事態を避けて命を守るためには、医師の指導のもとで直ちに完全な断酒を行うことが不可欠といえるでしょう。
アルコール性肝硬変の診断方法
アルコール性肝硬変の診断は、長期間の飲酒歴の確認と、血液検査や画像検査の結果を組み合わせて総合的に行われます。
病院で確定診断を下すために実施される主なアプローチは、以下の3つです。
- 問診による詳細な飲酒歴の確認
- 血液検査による肝機能や数値の評価
- 画像検査による肝臓の形状や状態確認
まずは医師による問診が行われ、過去から現在にかけての具体的な飲酒量や期間を正確に把握することが最初のステップです。
これに加えて血液検査を実施し、ASTやALTなどの酵素の数値や、血小板数を測定して肝臓のダメージの程度を調べます。
さらに、超音波(エコー)やCTなどの画像検査を用いて、肝臓の萎縮や表面の凹凸、腹水の有無を視覚的に確認します。
同時に、ウイルス性肝炎などアルコール以外の原因が隠れていないかを慎重に除外した上で、最終的な診断が下されます。
アルコール性肝硬変は治る?主な治療法
一度硬くなってしまった肝臓を元の完全に健康な状態に戻すことは困難ですが、適切な治療を行えば進行を食い止め、症状の悪化を防ぐことは可能です。
アルコール性肝硬変に対して行われる主な治療法は、以下の5つです。
肝臓への負担を抑え、残された機能を維持・回復させるための治療アプローチについて詳しく解説します。
断酒
アルコール性肝硬変の治療において、重要かつ基本となるのが「完全な断酒」です。
アルコールによる肝臓への継続的なダメージを直ちに断ち切ることで、病状の進行を食い止め、生存率を高められます。
少しでも飲んでしまうと元の木阿弥になってしまうため、節酒ではなく「完全にやめる」ことが不可欠です。
自力での禁酒が難しい場合は、専門の医療機関や自助グループの支援を受けながら、計画的に取り組むことが成功の鍵となります。
栄養療法・食事療法
肝臓の修復を促し、低下した機能を補うために、毎日の食事内容を見直す栄養療法も欠かせないアプローチの一つです。
基本的には、良質なタンパク質やビタミンをバランス良く摂取し、肝臓に負担をかける塩分や過剰な脂質・糖質を控えるよう指導されます。
栄養状態を改善することで、腹水やむくみといった合併症の予防にもつながります。
ただし、進行度によっては塩分の厳しい制限が必要になるケースもあるため、必ず主治医や管理栄養士の指示に従って食事を管理しましょう。
薬物療法
断酒や食事療法と並行して、現れているつらい症状を和らげたり、致命的な合併症を防いだりする目的で薬物療法が行われます。
肝臓の働きをサポートする肝庇護薬をはじめ、腹水やむくみを改善する利尿剤、肝性脳症を防ぐための特殊なアミノ酸製剤などが症状に合わせて処方されます。
これらは根本的に硬くなった肝臓を元の状態に治す薬ではありませんが、生活の質(QOL)を維持し、安定した状態を長く保つために重要な役割を担います。
肝移植
病状が末期まで進行し、肝不全に陥って他の治療法では命を救うことが難しい場合の、最終的な選択肢となるのが肝移植です。
健康な親族などから肝臓の一部を提供してもらう「生体肝移植」と、脳死状態の方から提供を受ける「脳死肝移植」の2種類が存在します。
ただし、アルコール性肝硬変で移植を受けるには、一定期間の完全な断酒実績など厳しい条件をクリアする必要があり、術後も免疫抑制剤の服用が生涯続きます。
再生医療
近年、従来の治療法では改善が難しかった肝硬変に対して、期待を集めている先端医療が「再生医療」です。
患者さま自身の血液や脂肪から特殊な細胞(幹細胞)を採取・培養し、点滴などで体内に戻すことで、硬くなった肝臓組織の修復と機能改善を促します。
まだ一般的な治療としてどこの病院でも受けられるわけではありませんが、根本的な改善が見込める治療法として実用化が進んでいます。
再生医療専門のクリニックである当院リペアセルクリニックでは、肝硬変をはじめとする肝疾患に対して再生医療による治療をご案内しております。
「再生医療について詳しく知りたい」という方は、ぜひ当院リペアセルクリニックにご相談ください。
肝臓疾患のお悩みに対する新しい治療法があります。
アルコール性肝硬変は断酒と再生医療による治療を検討しよう
アルコール性肝硬変を根本から改善するために、何よりも優先すべき対処法として「完全な断酒」が挙げられます。
一度硬く萎縮してしまった肝臓は、従来の薬物療法や食事療法だけでは元の状態に戻すことが困難です。
しかし、治療の土台となる断酒を徹底し、肝臓へのダメージを断ち切ることで、病状の進行を食い止めることができます。
さらに近年では、患者さまの細胞を用いて肝臓の組織修復を促す「再生医療」という新たな選択肢が登場し、根本的な機能改善への期待が高まっています。
重篤な症状にお悩みの方も決して諦めず、まずは専門医に相談し、断酒のサポートや再生医療を含めた治療プランを検討していきましょう。
監修者
渡久地 政尚
Masanao Toguchi
医師
略歴
1991年3月琉球大学 医学部 卒業
1991年4月医師免許取得
1992年沖縄協同病院 研修医
2000年癌研究会附属病院 消化器外科 勤務
2008年沖縄協同病院 内科 勤務
2012年老健施設 かりゆしの里 勤務
2013年6月医療法人美喜有会 ふたこクリニック 院長
2014年9月医療法人美喜有会 こまがわホームクリニック 院長
2017年8月医療法人美喜有会 訪問診療部 医局長
2023年12月リペアセルクリニック札幌院 院長
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