脂肪肝の人が食べてはいけないものとは?一覧で解説
公開日: 2020.01.18更新日: 2024.12.05
健康診断で「脂肪肝」と診断された方は、不安を感じているかもしれません。脂肪肝は、肝臓に中性脂肪が過剰に蓄積した状態です。初期段階では自覚症状がないことが多いため、気づかないうちに進行しているケースも少なくありません。
脂肪肝の方はお酒や糖質、飽和脂肪酸が多い食材の摂取を控えるようにしましょう。例として、ジュースや果物、ご飯、バターなどが挙げられます。
この記事では、脂肪肝の人が食べてはいけないもの一覧や、脂肪肝が改善するポイントを解説します。毎日の食生活を見直して脂肪肝の改善を目指しましょう。
この記事を読むとわかること |
目次
脂肪肝の人が食べてはいけないもの一覧
※画像あります。
現在、脂肪肝の治療には特効薬はありませんが、食生活の見直しや運動で改善する可能性があります。
とくに、控えた方がいい食べ物を知っておくことは重要です。
脂肪肝の方が食べてはいけないもの一覧
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理由を添えて紹介するので、一つずつみていきましょう。
お酒(アルコール)
お酒は、脂肪肝のリスクを高める主な要因です。アルコールが分解される過程で中性脂肪が生成され、肝臓に蓄積しやすくなるためです。
お酒の飲み過ぎはアルコール性脂肪肝を引き起こします。
脂肪肝の段階であれば、2〜4週間の禁酒によって改善する可能性があります。アルコール性脂肪肝の場合は症状が改善後も禁酒を続けて再発を防ぐべきですが、非アルコール性脂肪肝の場合は医師の許可のもと飲酒できる可能性はあります。
脂肪肝が発症すると飲酒が難しくなるため、飲酒を続けたいなら発症前に予防することが大切です。
厚生労働省が推奨する1日のアルコール摂取量の目安を以下にまとめました。(文献1)脂肪肝を発症しておらず、予防したいという方は、下記の摂取量を目安に飲みすぎには注意しましょう。
お酒の種類 | 1日の摂取量の目安 |
---|---|
ビール | 中瓶1本500ml |
清酒 | 1合180ml |
ウイスキー・ブランデー | ダブル60ml |
焼酎 | 1合180ml |
ワイン | 1合180ml |
糖質が含まれる果物や菓子
糖質を含む食品を控えた方が良い理由は、糖質が肝臓で中性脂肪に変わり、脂肪肝を引き起こす可能性があるためです。
とくに、ジュースや菓子類に含まれるショ糖は、米などに含まれる糖質よりも中性脂肪が肝臓にたまりやすい性質を持っています。果物に多く含まれる果糖も吸収が早く、肝臓で中性脂肪に変わりやすいので注意が必要です。
飽和脂肪酸が多い食材
飽和脂肪酸を多く含む食品を控えた方が良い理由は、主に2つあります。
飽和脂肪酸を多く含む食品を控えた方が良い理由
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脂質を摂取する際には、飽和脂肪酸ではなく、不飽和脂肪酸を選ぶようにしましょう。脂質の種類について以下の表にまとめました。
飽和脂肪酸 | 不飽和脂肪酸 |
---|---|
肉の脂身 | サラダ油、えごま油、オリーブオイル |
バター | アーモンド |
生クリーム | 鶏肉、牛肉 |
インスタントラーメンなどの加工食品 | まぐろ、さば、シャケ、かつお |
不飽和脂肪酸は、コレステロール値を下げる効果が期待できるため、脂肪肝の食事療法に有効です。
また、飽和脂肪酸の過剰摂取は心血管疾患などのリスクもあるため、1日の摂取カロリーの7.0%に抑えましょう。(文献2)たとえば、2,000キロカロリーを摂取している場合は14.0g以下にすると理想的です。
すでに脂肪肝を発症している場合、進行度によっては医師の判断でより厳しい摂取量の制限を指導されるケースもあります。
脂肪肝を改善するための6つのポイント
脂肪肝を改善するには肝臓に蓄積された余分な脂肪を減らし、健康な状態へと導くことが重要です。そのためのポイントとして、以下の6つを意識した生活習慣を送りましょう。
間食や夜食は控える
脂肪肝は、摂取エネルギーが消費エネルギーを上回り、余分なエネルギーが中性脂肪として肝臓に蓄積したのが原因です。
間食や夜食は1日の総摂取エネルギー量を増やし、脂肪肝を悪化させる可能性があります。とくに、就寝前の食事は睡眠中にエネルギー消費が少なくなるため、脂肪が蓄積されやすくなります。
油っこいものは控える
脂肪肝の改善には、脂質の摂取量を控えることが重要です。とくに、バターや生クリームなどは飽和脂肪酸を多く含み、中性脂肪を増やしやすいため注意が必要です。
油っこい食事は脂肪肝のリスクを高めるだけでなく、血中総コレステロールの増加にもつながる可能性があります。
ゆっくり食事を摂る
ゆっくりとよく噛んで食べることは食べ過ぎを防ぐだけでなく、消化を助ける上でも重要です。早食いは満腹感を感じにくく過食につながりやすいため、脂肪肝改善には逆効果です。
食事の際は1口に30回程度噛みましょう。1回の食事に20~30分かけるのがおすすめです。
適度にタンパク質を摂る
タンパク質は筋肉や臓器、血液など体のあらゆる組織を作るために必要な栄養素です。タンパク質が不足すると筋肉量が減少します。筋肉量の減少により基礎代謝が低下すると、脂肪が燃焼しにくい体になってしまいます。
1日に摂取したいタンパク質の量は、年代や性別によって異なりますが18~64歳の男性で65g、女性で50g程度が目安です。(文献3)
食べものに含まれるタンパク質
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過剰に摂取するとエネルギー過多になる可能性もあるため、適量を心がけましょう。
適度な運動
適度な運動は消費エネルギーを増やし脂肪の燃焼を促進するため、脂肪肝の改善に効果的です。運動不足はエネルギー消費量が減り中性脂肪が体に蓄積されやすくなるので、脂肪肝のリスクを高めます。
有酸素運動は脂肪肝改善の効果が期待されていて、週に150〜300分のウォーキングや水泳、サイクリングが推奨されています。(文献4)1日30分程度のウォーキングからはじめてみましょう。
食物繊維を摂る
食物繊維は、糖質や脂質の吸収を穏やかにし、食後の血糖値の急上昇を抑える効果があります。また、腸内環境を整え、脂肪の代謝を助ける働きもあります。
食物繊維が豊富な食材を以下にまとめました。
食物繊維が豊富な食材
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バナナやみかんは糖質が多いので、食べる量やタイミングに注意しましょう。野菜やきのこ、豆類などさまざまな食材から摂取できます。偏らずまんべんなく組み合わせるのがおすすめです。
脂肪肝に適正な摂取エネルギーの目安について
脂肪肝の方が食べてはいけないものを把握するのは重要ですが、同様に摂取エネルギーにも気を配りましょう。
適正なエネルギー摂取量は、標準体重×25~30kcalを目安に計算します。標準体重は身長(m)×身長(m)×22 です。
たとえば、身長160cmの方であれば、標準体重は 1.6m×1.6m×22 = 約56kg、適正エネルギー摂取量の目安は 56kg×25~30kcal = 約1400~1680kcal となります。
しかし、肥満の場合は、この計算式よりも少ないエネルギー量を摂取する必要があります。自分の肥満度を把握するためには、BMIを計算すると良いでしょう。
自分のBMI指数も計算してみましょう
BMIは、肥満度を表す体格指数で、体重(kg) ÷ {身長(m)×身長(m)} で計算できます。計算結果は以下の通りです。
BMIの計算結果
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自分のBMI値を計算し、肥満度に合わせたエネルギー摂取量を心がけましょう。
無理な食事制限はNG
脂肪肝の改善には、食事制限が有効ですが、無理な食事制限は逆効果になる可能性があります。極端に食事量を減らすと、必要な栄養素が不足し、健康を害する恐れがあります。とくに、タンパク質の不足は筋肉量の減少や代謝の低下を招き、脂肪が燃焼しにくい体を作ってしまいます。
また、無理な食事制限はストレスとなり、リバウンドのリスクも高まります。脂肪肝を改善し、健康を維持するためには、バランスの取れた食事を摂ることが重要です。医師や管理栄養士の指導のもと、自分に合った食生活を送りましょう。
脂肪肝の食事に関するQ&A
脂肪肝の食事に関してよくある質問をまとめます。回答を参考にして食習慣に取り入れてみてください。
脂肪肝にいいおすすめの食べ物は?
脂肪肝にいいおすすめの食べ物を紹介します。
脂肪肝にいい食べ物
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上記は、比較的求めやすい価格で手に入り、タンパク質や食物繊維を豊富に含んでいるので積極的に摂取してみましょう。
脂肪肝を早く治す方法はある?
脂肪肝を早く治すには、以下の方法がおすすめです。
肝脂肪を早く治す方法
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脂肪肝は日頃の習慣に基づく病気です。完治を目指すというよりは、悪化しないように長い目で取り組むつもりでいましょう。
まとめ
脂肪肝の改善は、日々の生活習慣の見直しから始まります。アルコールと糖質、飽和脂肪酸の摂取を控え、バランスの取れた食事を心がけることが重要です。適度な運動と食物繊維の摂取も効果的です。
脂肪肝と生活習慣は密接な関係にあり、治療は長い目で見る必要があります。食事の我慢がつらい方や運動が苦手な方には再生医療も選択肢の一つです。
再生医療は、自身から抽出した幹細胞を点滴で肝臓に届ける治療です。幹細胞は損傷した細胞を修復する働きがあります。そのため、再生医療は損傷した肝臓の修復を助ける可能性があります。
再生医療に興味がある方は、お気軽にお問合せください。
参考文献 |