- その他
側弯症は老後でも進行する?高齢者に見られる症状と治療法・対策について解説

「若い頃に診断された側弯症は、もう進行しない」そう思っていませんか?あるいは、年齢を重ねてから背骨の曲がりや腰の痛みが気になり始めた方もいるかもしれません。
実は、側弯症は成長期だけでなく、加齢に伴う筋力の低下や骨の老化などが原因で、老後に進行する可能性があります。
放置すると、激しい痛みによる歩行困難や呼吸器への影響など、日常生活に大きな支障をきたす恐れがあるため注意が必要です。
本記事では、老後の側弯症で見られる具体的な症状や、日常生活で気をつけるべき対策について詳しく解説します。
将来の不安を和らげ、快適な生活を長く維持するための参考にしてください。
目次
【結論】側弯症は老後でも進行する可能性あり
側弯症は成長期特有のものと思われがちですが、老後になってからでも進行する可能性は十分にあります。
老後に側弯症が進行しやすくなる主な要因は、以下の3つです。
- 加齢に伴う椎間板や関節の変形
- 骨粗鬆症による背骨の強度の低下
- 背骨を支える体幹の筋力低下
若い頃に発症した側弯症が、加齢とともに少しずつ悪化するケースがあります。また、中高年以降になってから、新たに背骨が曲がり始める「変性側弯症」を発症するケースも少なくありません。
これは、年齢を重ねるにつれて骨の密度が低下したり、姿勢を保つための筋力が衰えたりすることで、背骨にかかる負担が増加するためです。
「大人になれば進行は止まる」と自己判断せず、適度な運動で筋力を維持し、定期的に背骨の状態をチェックすることが大切です。
側弯症の高齢者に見られる症状と日常生活への影響
老後に側弯症が進行すると、体への物理的な負担が増加し、日常生活の質(QOL)を大きく低下させるさまざまな症状が現れます。
高齢者の側弯症で見られやすい代表的な症状は、以下の3つです。
それぞれの症状が日常生活にどのような影響を及ぼすのか、詳しく解説します。
腰・背中の痛みや不快感
背骨が左右に大きく曲がったり、ねじれたりした状態が続くと、姿勢を真っ直ぐに保つために特定の筋肉や関節へ常に過剰な負荷がかかり続けます。
その結果、背中から腰にかけて慢性的な強い痛みや重だるさ、筋肉の張りを伴う不快感が引き起こされます。
症状が進行すると、台所での立ち仕事や近所への買い物といった、日常のちょっとした動作すら苦痛に感じるようになります。
長時間立ち続けたり歩いたりすることが困難になり、次第に活動量が低下して家に引きこもりがちになるなど、老後の生活の質を大きく下げる要因となります。
神経圧迫による足の痛みやしびれ
加齢に伴って背骨の変形がさらに進むと、骨の中を通る神経の大切な通り道である「脊柱管」が狭くなってしまいます。
これにより神経が強く圧迫され、腰だけでなくお尻から太もも、足の裏にかけて激しい痛みやしびれが生じるようになります。
特に注意したいのが、少し歩くと足が痛くて歩けなくなり、しゃがんで休むと再び歩けるようになる「間欠性跛行(かんけつせいはこう)」という症状です。
この症状が出ると長距離の移動が困難になるため、旅行や趣味の外出が億劫になり、老後の楽しみが大きく制限されてしまいます。
呼吸機能の低下
胸のあたりにある背骨(胸椎)が大きく曲がったりねじれたりすると、肋骨で囲まれた「胸郭」と呼ばれる空間が物理的に狭く押し潰されてしまいます。
胸郭が狭くなると、その中にある肺が十分に膨らむスペースを確保できず、呼吸の効率が低下してしまいます。
そのため、階段の昇り降りや少し早歩きをしただけでも激しく息切れするようになり、日常的に強い疲れやすさを感じるのが特徴です。
重症化すると、ただ安静にして座っているだけでも呼吸が苦しくなるケースもあり、命に関わる心肺機能の低下を招く恐れがあります。
老後の側弯症に対する対策と注意点
老後の側弯症の進行を防ぎ、痛みを抑えて快適な生活を送るためには、日常生活の中で背骨にかかる負担を減らす対策を続けることが重要です。
老後の側弯症をケアするために心がけたい対策は、以下の3つです。
以下では、具体的な3つの対策と実践する際の注意点について詳しく解説します。
姿勢の改善
側弯症の進行を抑えるためには、背骨への偏った負荷を減らす正しい姿勢を日頃から意識することが重要です。
座る時は深く腰掛けて背筋を伸ばし、立つ時は片足ばかりに重心をかけないようにするなど、左右のバランスを保つよう心がけましょう。
ただし、無理に背筋を真っ直ぐに伸ばしすぎると、かえって腰の筋肉を痛める原因になるため、自分にとって負担の少ない自然な姿勢を見つけることが大切です。
筋力・柔軟性の維持
曲がりやすい背骨をしっかりと支えるためには、体幹の筋肉を維持し、関節の柔軟性を保つための適度な運動を続けることが欠かせません。
ウォーキングや水中歩行などの有酸素運動に加えて、無理のない範囲でのストレッチを毎日の習慣に取り入れましょう。
急に激しい運動をすると関節や筋肉を痛める危険があるため、痛みを感じない程度の心地よいペースで、コツコツと継続していくことが重要です。
骨粗鬆症の予防
高齢になると骨の密度が低下する「骨粗鬆症」になりやすく、これが原因で背骨が潰れて側弯症がさらに悪化するケースが多々あります。
骨を丈夫に保つために、カルシウムやビタミンDを多く含む食事を心がけ、適度な日光浴をするなど骨の形成を促すことが大切です。
すでに骨粗鬆症の疑いがある場合は、自己判断での運動は圧迫骨折などのリスクを伴うため、必ず整形外科を受診して医師の指導を仰ぎましょう。
側弯症が老後に進行した場合の治療法
老後に側弯症が進行して強い痛みや神経症状が現れた場合の治療法は、大きく分けて保存療法と手術療法の2つがあります。
患者さまの年齢や体力、症状の進行度合いに応じて、まずは体への負担が少ない治療から始めるのが一般的です。
それぞれの治療法がどのような目的で行われ、どんな特徴があるのかを詳しく解説します。
保存療法
保存療法は、体にメスを入れず、薬やリハビリなどを用いて痛みやしびれといった症状の緩和を目指すアプローチです。
まずは痛み止めの内服薬や湿布を使用し、痛みが強い場合はブロック注射を行ってつらい症状をコントロールします。同時にコルセットなどの装具を着用して背骨を物理的に支え、腰にかかる負担も軽減させます。
さらに、リハビリテーションを通じて体幹の筋力を鍛えたり、ストレッチで柔軟性を保ったりすることで、症状の悪化を防ぎます。
高齢者の側弯症治療においては、まずこの保存療法を継続することが基本となります。
手術療法
保存療法を数ヶ月続けても痛みが改善せず、歩行が困難になるなど日常生活に大きな支障が出る場合は、手術療法が検討されます。
背骨の一部を削って神経の圧迫を取り除いたり、金属製のスクリューやロッドを使って曲がった背骨を固定したりする手術が行われます。
これにより、根本的な痛みの解消や歩行機能の改善が期待できます。
ただし、高齢者の場合は全身麻酔や長時間の手術が体力的に大きな負担となり、合併症を引き起こすリスクも高まります。
そのため、手術を受けるべきかどうかは、主治医や家族と慎重に相談して決定することが重要です。
老後に進行する側弯症についてよくある質問
最後に、老後に進行する側弯症についてよくある質問に回答します。
それぞれの疑問について、順番に見ていきましょう。
高齢者の側弯症でやってはいけないことは?
高齢者の側弯症において、自己流の激しい運動や無理な姿勢矯正、重い物を持ち上げる動作は避けましょう。
背骨を自力で真っ直ぐにしようとする過度なストレッチは、神経を圧迫して痛みを悪化させる危険性があります。
また、中腰での作業や重い荷物を持つ動作も、背骨や腰への大きな負担となります。
運動やストレッチは自己判断で行わず、必ず医師や専門家の指導のもとで適切なリハビリを行ってください。
側弯症は手術しないとどうなる?
手術が必要な状態を放置すると、背骨の変形が進行して激しい痛みや歩行困難を招く恐れがあります。
変形が進むと神経への圧迫が強くなり、少し歩くだけで足が痛んで、最終的に寝たきりになるリスクが高まります。
また、胸の背骨が大きく曲がることで肺や心臓が圧迫され、呼吸機能の低下を引き起こす危険性もあります。
保存療法で症状が改善せず日常生活に支障が出る場合は、早めに手術を検討しましょう。
老後の側弯症による神経症状には「再生医療」をご検討ください
側弯症が進行して生じる足の強い痛みやしびれに対して、近年では「再生医療」が注目されています。
これまで、重度の神経症状に対する根本的な治療は、高齢者にとって体への負担が大きい手術しかありませんでした。
しかし、再生医療であれば、患者さま自身の血液や幹細胞を用いて、炎症抑制や損傷した組織の再生・修復を促し、神経症状の改善を目指せます。
メスを使わないため体への負担が比較的少なく、体力に不安がある高齢の方でも治療を受けやすい点が大きなメリットです。
長引く痛みやしびれにお悩みで手術に踏み切れない方は、ぜひ再生医療もご検討ください。
手術をしない新しい治療「再生医療」を提供しております。
監修者
岩井 俊賢
Toshinobu Iwai
医師

























