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側弯症の方がやってはいけないこと一覧を紹介!治療法についても医師が解説

側弯症と診断されて「日常生活で何に気をつければよいの?」「運動は制限されるの?」と不安に感じている方も多いのではないでしょうか。
側弯症とは、背骨が左右に曲がってしまう病気で、多くの場合は成長期に発症します。
原因の多くは不明ですが、放置すると見た目の変化や痛み、重篤な場合は内臓機能にも影響を及ぼす可能性があります。
この記事では、側弯症の方が注意すべき動作や運動、控えるべき習慣について詳しく解説します。
側弯症で悩まれている方は、ぜひ最後まで読んで適切な対処法を見つけましょう。
目次
側弯症の人がやってはいけない・注意すべきこと【一覧】
側弯症とは、背骨が左右に曲がってしまう病気で、多くの場合は成長期に発症します。
そんな側弯症の方が注意すべき行動について、以下の3つの観点から詳しく解説していきます。
これらの正しい知識を身につけて、側弯症の悪化を防ぎながら適切な生活を送りましょう。
避けるべき日常動作
側弯症の方が日常生活で最も注意すべきは、長時間の不良姿勢を避けることです。
とくに以下の姿勢に注意しましょう。
- 長時間のうつむき姿勢(スマホやパソコン作業)
- 片側に体重をかけた立ち方や座り方
- 重いカバンを片方の肩だけで持つこと
- 腰痛があるときの重い物の持ち上げ
- 無理な体勢での作業や家事
多くの日常動作は側弯症と直接的な関係がないとする研究報告※もあります。
※出典:PubMed
しかし、側弯症の方は腰痛や体のゆがみが生じやすい傾向があります。
見た目の変化や痛みを予防するためにも、姿勢を意識した生活を心がけることが大切です。
注意が必要な筋トレ・ストレッチ
側弯症の方が筋力トレーニングやストレッチを行う際は、間違った方法で行うと症状を悪化させる可能性があります。
以下のトレーニング・ストレッチは避けましょう。
- 側弯の凹側(内側に曲がった部分)の筋力強化
- 痛みを我慢しながらのストレッチ
- 反動や勢いをつけた無理なストレッチ
- 専門知識なしでの自己流矯正運動
- 体の左右バランスを無視した一方向の運動
とくに重要なのは、側弯症の姿勢矯正を目的とした筋トレでは、湾曲している凸側(外側に出っ張った部分)を適切に鍛えることです。
誤って凹側の筋力を強化してしまうと、かえって背骨のゆがみを強めてしまう可能性があります。
筋トレやストレッチは、必ず側弯の状態に合わせて適切な方法で行うことが重要です。
医師に相談のうえで行いましょう。
控えるべきスポーツ・運動
現在のところ特定のスポーツが側弯症を悪化させるという明確な科学的根拠はありません。
興味深い研究として、クラシックバレエの経験がある女子は、経験のない女子と比較して側弯症の発生率が1.3倍高いというデータ※があります。
※出典:PubMed
しかし、これがバレエそのものが原因なのか、もともと側弯症になりやすい体型の子がバレエを続けていることが多いのかは不明です。
また、やせ型の女子に側弯症が多いことも判明しており、これらの関係性についてはさらなる研究が必要です。
基本的には側弯症があっても特定のスポーツを制限する必要はありませんが、腰痛などの症状がある場合は腰への負担が大きい運動は控えましょう。
側弯症に対する3つの治療法
側弯症の治療について、症状の程度や年齢によって適切な方法が選択されます。現在、医学的根拠のある有効な治療法として以下の3つが挙げられます。
それぞれの治療法について、適応となる条件や具体的な内容を理解して、最適な治療選択につなげましょう。
経過観察|側弯症が25°未満
軽度の側弯症(背骨の曲がり角度が25°未満)の場合は、定期的な検査による経過観察が基本的な治療方針です。
成長期の側弯症では、成長が止まるとともに側弯の進行も止まるケースが多くあります。
そのため、軽度の段階では積極的な治療を行わず、定期的なX線検査と医師の診察を受けながら様子を見ていくのが一般的です。
経過観察中に悪化が認められた場合は、次の段階である装具治療への移行を検討します。
装具による矯正|側弯が20°~45°程度の中等度
中等度の側弯症(背骨の曲がり角度が20°~45°程度)の場合は、進行防止を目的とした装具治療を行います。
最も一般的に使用されるのは「アンダーアーム装具」と呼ばれる装具です。脇の下から骨盤にかけて装着し、側弯の進行を抑制する効果があります。
装具治療において重要なのは装着時間で、長時間装着するほど効果が高いとされています。
成長が止まり、骨が成熟して側弯の進行がなければ、徐々に装着時間を減らして治療を終了します。
ただし、装具による矯正治療は側弯症を根本的に改善するものではなく、あくまでも進行を止める手段として行われることを理解しておきましょう。
手術|高度な側弯症で必要なケース
高度の側弯症(背骨の曲がり角度が50°以上)の場合は、外科手術による矯正と進行防止が検討されます。
側弯症の手術には主に以下の2つの方法があります。
手術方法 | 特徴 |
---|---|
後方矯正固定術 | 背中側から皮膚を切開し、脊椎にロッド等を取り付けて固定する方法 |
前方矯正固定術 | 身体の側面から皮膚を切開して胸椎や腰椎を固定する方法 |
手術では背骨にチタン製のロッドやスクリューを用いて脊椎を固定し、湾曲の矯正を行います。
術後は約2~3週間の入院が必要で、退院後もリハビリテーションの継続が必要です。
医療技術の進歩により、手術の安全性は以前と比べて大きく改善されており、合併症のリスクも低減されています。
ただし、手術適応については慎重な検討が必要で、患者様の年齢や症状の程度を総合的に判断して決定されます。
側弯症でやってはいけないことに関するよくある質問
側弯症に関してよくある質問を紹介します。
正しい知識を身につけることで、不安を軽減し、適切な対応ができるようになります。
側弯症はほっとくとどうなる?
側弯症を放置して高度になると、身体に様々な深刻な影響が現れる可能性があります。
- 肩の高さや背中の盛り上がりなど外見が変化する
- 背中や腰の痛み・手足のしびれなどの神経症状が現れる
- 呼吸困難や循環障害などの内臓機能の低下が起こる
- 動作制限や精神的な負担など日常生活への支障がでる
側弯症が進行すると胸の骨格が変形し、肺が圧迫されて呼吸機能が低下する点には注意が必要です。
骨格の変形により息切れや呼吸困難が起こり、心臓への負担も増加して重篤な合併症につながる恐れがあります。
このような重篤な状態になる前に、早期発見と適切な治療を受けることが何よりも大切です。
定期的な検査を怠らず、専門医の指導のもとで適切な管理を行いましょう。
側弯症に良い運動は?
側弯症の方におすすめの運動として、姿勢改善効果があり体への負担が少ない運動として以下が挙げられます。
- 水泳
- ウォーキング
- ヨガ
- ストレッチ
- 軽度の筋力トレーニング
水泳は浮力で背骨の負担が軽減され、ヨガやストレッチなどは負荷が少なく、姿勢の改善や関節可動域の維持に役立ちます。
ただし、どの運動においても無理のない範囲で行うことが重要です。
痛みがあるときは無理をせず安静にし、運動を開始する前には必ず医師に相談することをおすすめします。
側弯症においてやってはいけないことを避けて、正しい生活習慣を意識しよう
側弯症の方がやってはいけないのは、長時間の不良姿勢を避けることと、無理な運動や動作を控えることです。
側弯症は早期発見と適切な治療により進行を防げる病気です。
軽度の段階では経過観察や装具治療で十分な管理が可能であり、多くの方が日常生活に大きな支障なく過ごせます。
しかし、放置して高度な側弯症まで進行してしまった場合は、手術が検討されます。
なお、進行した側弯症や手術後の後遺症の神経症状(しびれ)・慢性的な痛みでお悩みの方には、再生医療という治療選択肢があります。
再生医療のひとつである幹細胞治療は、患者様自身の幹細胞を使用して損傷した神経組織を再生させる医療技術です。
現在、リペアセルクリニックの公式LINEでは再生医療ガイドブックを無料で配布しています。
再生医療について興味を持っていただいた方は、ぜひ公式LINEで再生医療についてチェックしてみてください。

監修者
岩井 俊賢
Toshinobu Iwai
医師