変形性膝関節症はどんな人に多い?なりやすい人の特徴や原因・症状を解説
公開日: 2020.07.22更新日: 2025.06.02
膝の痛みや違和感が気になる方の中には、「変形性膝関節症はどんな人に多いの?」と疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。
変形性膝関節症とは、何らかの原因で膝の軟骨がすり減り、痛みや腫れなどを引き起こす疾患です。
症状が進行すると、膝の強い痛みで日常生活に支障をきたす恐れがあります。
変形性膝関節症は、高齢の女性や肥満傾向の方、O脚の方などに多い傾向があります。
この記事では、変形性膝関節症がどんな人に多いのか、特徴や対策について解説します。
変形性膝関節症のリスクを高める要因や対策を把握して、膝を守るための習慣作りをはじめてみましょう。
当院リペアセルクリニックの公式LINEでは、変形性膝関節症による痛み症状の改善が期待できる再生医療の治療法や症例を公開中です。
歩けないほどの痛みに進行してしまう前に再生医療とはどのような治療かご確認ください。
目次
変形性膝関節症はどんな人に多い?なりやすい人の特徴
変形性膝関節症になりやすい人の特徴は、以下の7つです。
どのようなことが原因で変形性膝関節症になるのか順番にみていきましょう。
50代以上の方
変形性膝関節症は、50代以上の方に多い傾向にあります。
膝の衝撃吸収や関節の柔軟性を高めるのが主な役割の軟骨は、年齢とともに負担が蓄積して、すり減ったり硬くなったりするためです。
また、加齢による筋力の低下も見逃せないポイントです。
膝周囲の筋力が不足すると、膝の関節が不安定になり無理な力が加わった結果、膝の軟骨がすり減る場合があります。
そのため、50代を過ぎたら膝の健康に気を配り、早めの予防やケアを心がけましょう。
女性の方
変形性膝関節症は、女性の方に多いことがわかっています。
男性と女性の有病率を調べると、60歳以降の男女比に大きな差がある※ことがわかりました。
※出典:PubMed
年齢 | 男性 | 女性 | 比率 |
---|---|---|---|
60~69歳 | 35.2% | 57.1% | 女性が約1.6倍多い |
70-79歳 | 48.2% | 71.9% | 女性が約1.5倍多い |
80歳以上 | 51.6% | 80.7% | 女性が約1.5倍多い |
変形性膝関節症に女性が多い理由は、女性ホルモンの低下や、男性よりも筋力が少ない点などが挙げられます。
女性ホルモンの一種であるエストロゲンは、女性らしい体型を作るだけでなく軟骨成分であるコラーゲンの生成を促す働きがあります。
しかし、エストロゲンは更年期を過ぎるとほとんど分泌されません。
そのため、更年期を過ぎると膝の軟骨がすり減りやすくなり、変形性膝関節症のリスクが高まると考えられます。
肥満や急激な体重増加をしている方
肥満や急激な体重増加をしている方は、変形性膝関節症になりやすい傾向があります。
肥満によって膝の負担が増えると、軟骨のすり減りが加速する恐れがあるためです。
たとえば、歩いているときは体重の3倍、階段の昇降は7倍の負担が膝関節にかかるといわれています。
1~2kgの減量でも膝関節の負担軽減が期待できるので、変形性膝関節症の症状改善のために体重管理をしましょう。
膝に負担のかかる仕事をしている方
膝に負担のかかる仕事をしている方も、変形性膝関節症のリスクを高める要因の一つです。
膝に負担がかかりやすい仕事は、以下の通りです。
- 営業
- 運送業
- 農業
- 調理師
- 美容師
- 保育士
- 介護士
- 接客業
重いものを持つ機会が多い仕事や、長時間の歩行、立つ時間が長い仕事、しゃがむ動作が多い仕事は、膝関節に負担がかかりやすいので、軟骨のすり減りを早める場合があります。
以下の記事では、介護職における変形性膝関節症の発症リスクや治療法についてまとめているので、詳しく知りたい方はご覧ください。
膝を酷使するスポーツをしている方
膝を酷使するスポーツをしていて膝が痛む場合は、変形性膝関節症を疑ってみましょう。
膝を酷使するスポーツの一例は、下記の通りです。
- ランニング
- 登山
- ラグビー
- サッカー
- バレーボール
- 野球
- ゴルフ
- テニス
- ウエイトリフティング
- スキー
- スケート
現役でスポーツに取り組んでいる人はもちろん、若い頃に膝に負担がかかるスポーツをしていた方も変形性膝関節症の発症リスクが高まります。
運動による膝の痛みが翌日まで続く場合は、無理をせずに3日~1週間程度スポーツを休みましょう。
以下の記事では、ランニングと変形性膝関節症の関係や運動時の注意点を紹介しているので、詳しく知りたい方はご覧ください。
O脚やX脚の方
O脚やX脚の方も変形性膝関節症になる恐れがあります。
それぞれの特徴と変形性膝関節症のリスクについて、以下にまとめました。
膝の変形 | 特徴 | 変形性膝関節症のリスク |
---|---|---|
O脚 | 左右のくるぶしを付けて立った際に、膝間に隙間ができる | 膝の内側に体重が集中し、軟骨がすり減りやすくなる |
X脚 | 壁に背をつけて立つと、ふくらはぎやくるぶしがつかない | 膝の外側に負担がかかり、軟骨が摩耗しやすい |
O脚やX脚の主な原因は、筋力不足や姿勢、生まれつきの骨格、怪我の後遺症などです。
将来的に変形性膝関節症につながる可能性があるため、ストレッチや筋トレによって膝への負担を軽減する対策をしましょう。
膝の既往歴がある方
膝の既往歴がある方も変形性膝関節症になるリスクがあります。
主な膝の既往歴を、以下にまとめました。
- 靭帯の断裂
- 半月板損傷
- 膝の骨折
- 関節リウマチ
事故やスポーツなどで膝の靭帯・半月板・軟骨が損傷すると、膝の滑らかな動きや安定感が損なわれて軟骨がすり減りやすくなる場合があります。
とくに、半月板は軟骨よりも固い組織でしっかりと膝を支える役目を果たすため、損傷したり手術で切除すると軟骨に過度な負担がかかります。
また、関節リウマチは免疫システムの異常によって健康な組織を攻撃してしまうため、変形性膝関節症につながる恐れがあります。
関節リウマチの治療法については、以下の記事で解説しているため、ぜひご覧ください。
変形性膝関節症になりやすい人が行うべき対策
変形性膝関節症になりやすい人が行いたい対策は、以下の通りです。
変形性膝関節症の発症や進行を防ぐには、膝関節に負担をかけないことが重要です。
症状を放置していると痛みが強くなり、日常生活に支障をきたす可能性があるので、早めに対策しましょう。
膝への負担を避ける工夫を行う
変形性膝関節症になりやすい方は、日常生活に以下の工夫を取り入れると、膝の負担軽減が見込めます。
- 歩行時は膝を伸ばし、親指や人差し指に体重をかける
- 背筋がまっすぐになるよう姿勢を正す
- ベッドや椅子、洋式便器の使用など生活環境を変更する
- 階段の昇降時は手すりを活用する
- しっかりと湯船につかる
日常生活では、上記のような対策を取ることで膝の負担を軽減させる工夫をし、変形性膝関節症のリスクを増やさないようにしましょう。
体重管理を徹底する
肥満の人は、体重管理を徹底して減量を心がけましょう。
体重が3㎏増えると、歩くときには膝に9㎏以上の負担がかかるといわれています。
体重管理のポイントは、下記の通りです。
- 毎日体重を測る
- 食事は腹8分目に抑える
- 野菜から食べる
- 間食を控える
- 20分程度の適度な有酸素運動をする
体重管理のために運動をする際は、ウォーキングやサイクリング、水平などの有酸素運動がおすすめです。
1kgの減量でも膝の負担軽減が見込めるため、できる範囲からはじめてみましょう。
膝周辺の筋トレやストレッチを行う
変形性膝関節症を防ぐためにも、膝周辺の筋トレやストレッチを行いましょう。
膝周辺の筋力や柔軟性が向上すると、膝の関節が安定し、負担軽減につながります。
以下のような、膝の動きを支える太もものトレーニングを実施しましょう。
- 1.背もたれのある椅子に深く腰掛ける
- 2.片足を水平までゆっくり持ち上げる
- 3.5秒間キープする
- 4.持ち上げた足をゆっくり下す
次に、膝の動きを良くするトレーニングを紹介します。
- 足を伸ばして座り、かかとの下にタオルを置く
- かかとをゆっくりとお尻に近づけ、できるだけ膝を曲げる
- かかとをゆっくりとお尻から遠ざけ、できるだけ膝を伸ばす
膝が曲げにくい方や曲げると痛みがある方は、無理せずにトレーニングを休みましょう。
変形性膝関節症に関してよくある質問
変形性膝関節症に関してよくある質問を紹介します。
それぞれ詳しくみていきましょう。
変形性膝関節症の治し方は?
変形性膝関節症の治し方を、下記にまとめました。
治療法 | 治療内容 | |
---|---|---|
保存療法 | 運動療法 | 訓練で太ももや膝周囲の筋肉を強化する |
装具療法 | 杖やサポーターなどの使用する | |
薬物療法 |
|
|
手術療法 | 関節鏡視下手術 | 膝に小さな穴を開けて内視鏡と呼ばれる器具を挿入し、損傷した関節軟骨片を取り除く |
骨切り術 | 進行したO脚・X脚に対して、すねや太ももの骨を一部切り取り、正しい部分に体重がかかるように関節の向きを矯正する | |
人工膝関節置換術 | 損傷した骨を削って形を整えながら、人工関節を設置する |
保存療法は、炎症や痛みを抑えるために内服薬や注射を施したり、筋力の強化を目指したりします。
保存療法を半年継続しても症状の改善がみられない場合は、手術による治療が検討されます。
また、近年は手術しない治療法として、再生医療も選択肢のひとつです。
再生医療は、患者さま自身の細胞を使って損傷した軟骨の修復を促す治療法です。
手術に抵抗がある方は、再生医療による治療をご検討ください。
膝の痛みは⼿術しなくても治療できる時代です。
変形性膝関節症の症状は?
変形性膝関節症の主な症状は下記の通りです。
- 膝が痛む
- 動き始めたときにる膝のこわばりを感じる
- 膝が腫れる
- 痛い部分に触れると熱感がある
- 膝に水がたまる
変形性膝関節症は、症状が進行し末期になると安静にしていても膝が痛んだり、骨の変形によって歩行が難しくなったりして日常生活に大きな影響を及ぼす恐れがあります。
若い人でも変形性膝関節症になる原因は?
若い人でも変形性膝関節症になる原因は、下記の通りです。
- 肥満の方は、膝にかかる負担が増え、関節がすり減りやすくなる
- O脚・X脚の方は、膝の特定の部位に過度な負担がかかりやすくなる
- 事故やスポーツによって膝の靭帯や半月板が損傷すると、軟骨の損傷が進む場合がある
- 膝の関節に慢性的な負担がかかりやすくなる仕事をしている方
若い人でも膝に負担のかかる生活習慣が続けば、将来的に関節に大きな影響を及ぼす恐れがあります。
減量や筋力トレーニング、姿勢の改善などの日常生活の見直しは、膝の負担軽減につながります。
変形性膝関節症でしてはいけない運動は?
変形性膝関節症の方に避けた方が良い運動は、下記のようなスポーツです。
- ランニング
- スクワット
- サッカー
- 野球
- テニス
- スキー
とくに、急に止まったり動いたりする動作は膝の負担が大きいので注意しましょう。
膝の痛みがあるときは、症状が悪化する恐れがあるので安静にすることが推奨されます。
運動をする場合は、ウォーキングや水泳などの膝への負担が少ない有酸素運動がおすすめです。
変形性膝関節症になりやすい人は膝の負担に注意して生活しよう
変形性膝関節症は、少しずつ症状が進行する疾患なので、膝の負担がかからないようにしましょう。
変形性膝関節症になりやすい方は、下記の通りです。
- 50代以上の方
- 女性の方
- 肥満や急激な体重増加をした方
- 膝に負担のかかる仕事をしている方
- 膝を酷使するスポーツをしている方
- O脚やX脚の方
- 膝の既往歴がある方
膝の負担が少ない姿勢を身につけたり、膝周りの筋力を強化したりして変形性膝関節症の発症や症状の進行を防ぎましょう。
また、近年の変形性膝関節症の治療では、手術しない治療法として再生医療が注目されています。
当院「リペアセルクリニック」では、変形性膝関節症に対して再生医療を提供しています。
再生医療による治療に興味のある方は、お気軽に当院までご相談ください。

監修者
坂本 貞範
Sadanori Sakamoto
医療法人美喜有会 理事長
「できなくなったことを、再びできるように。」
人生100年時代、皆様がより楽しく毎日を過ごせることの
お手伝いができれば幸甚の至りでございます。
略歴
1997年3月関西医科大学 医学部卒
1997年4月医師免許取得
1997年4月大阪市立大学(現大阪公立大学)医学部附属病院 勤務
1998年5月大阪社会医療センター附属病院 勤務
1998年9月大阪府立中河内救命救急センター 勤務
1999年2月国立大阪南病院 勤務
2000年3月野上病院 勤務
2003年3月大野記念病院 勤務
2005年5月さかもとクリニック 開設
2006年12月医療法人美喜有会設立 理事長就任
2019年9月リペアセルクリニック大阪院 開設
2021年5月リペアセルクリニック東京院 開設
2023年12月リペアセルクリニック札幌院 開設
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