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ひざの内側が痛むのなら変形性膝関節症かもしれません!

公開日: 2019.04.08
更新日: 2024.11.19

ひざの内側が痛むのなら変形性膝関節症かもしれません!

変形性膝関節症を発症した患者さんが訴える症状の多くが「膝の内側の痛み」です。この膝の内側の痛みが何故起こるのか?そもそも膝はどのような構造になっているのか?

関節の構造はどうなっているのか?変形性膝関節症とはどのような病気でどのような治療をするのかについて説明していきたいと思います。

膝の内側の痛み

 

膝の構造や関節の構造はどうなっているのか?

膝は人体の諸関節の中で最大の関節であると同時に損傷を受けやすい関節でもあります。膝は大腿骨、脛骨、膝蓋骨という3つの骨で構成されています。大腿骨と脛骨の表面には関節軟骨があり、関節軟骨と関節軟骨の間には半月板があります。この関節軟骨と半月板と関節軟骨の3つが膝が滑らかに動くようにしたり、荷重を分散させています。

大腿骨と脛骨は前十字靱帯、後十字靱帯、内側側副靭帯、外側副側靭帯という4つの靭帯によって結ばれています。この4つの靭帯の働きによって脱臼防止や関節の伸展・屈曲・内旋・外旋がスムーズに行われています。

膝にはもう1つ膝蓋大腿関節があり、この骨の表面にも関節軟骨が存在して、筋肉の力を効果的に下腿に伝える働きをしています。そして、これらの関節を包みこんでいる袋が関節包であり、この関節包の内膜は滑膜と呼ばれ、関節液を分泌したり吸収する働きをしています。

関節軟骨という言葉が出てきましたが、関節軟骨とはどのような物なのか?

関節軟骨の組成は60~80%が水分であり、残りはコラーゲンとプロテオグリカンです。関節軟骨の基質はⅡ型コラーゲンを主体とするコラーゲン線維の隙間を、アグリカンと呼ばれる巨大プロテオグリカン分子が埋める構造をしています。

プロテオグリカンは保水性に富み、スポンジのように水分の出し入れを行っています。軟骨細胞は小腔内に独立して存在し、軟骨組織には血管もリンパ管も存在しないため、軟骨細胞の代謝は関節運動による関節液の浸透によって行われています。このため、関節運動が行われないと軟骨の萎縮を起こします。また、軟骨組織は自己修復力がほとんどなく、ひとたび関節軟骨が損傷を受けると変性に陥ります。

関節包と滑膜について

通常大部分の関節には関節包とその内面を包む滑膜があります。前述の通り膝関節にも関節包と滑膜が存在しています。滑膜は関節の潤滑と栄養をつかさどる関節液を合成するとともに、関節内に生じた異物を除去する働きがあります。関節液の主成分は、グルコサミノグリカンの一種であるヒアルロン酸です。これはヘパリンと同種の組成であるため、関節内に出血が起きても血が固まりません。

関節の機能について

関節は、その種類によって運動の方向や正常な可動範囲が定まっており、関節運動はその方向によって決まった名称で呼ばれます。関節の可動域をROMといい、各関節はその構造上から運動の方向・機能と可動域を持っています。関節運動の方向には下記のような種類があります。

  • 屈曲↔伸展
  • 外転↔内転
  • 外旋↔内旋
  • 回内↔回外
  • 掌屈↔背屈

関節可動域は年齢、性別、ときには職業によっても異なります。膝の運動方向は屈曲と伸展であり、可動域の範囲は屈曲が0~130、伸展が0です。

膝の痛みはなぜおこるのか?

関節を構成する靱帯や関節包には痛覚神経線維の終末が多数存在し、関節が異常運動を行った場合は強い痛みを生じて警告を発し、非生理的な関節運動が起こる事を予防しています。これらの組織に機械的刺激や化学的刺激が加わると、強く鋭い関節痛を生じます。これに加えて、滑膜の炎症によって増加した関節液や外傷による関節内出血は関節内圧の上昇をまねき、鈍重な痛みの原因となります。

変形性膝関節症とはどのような病気か?

変形性膝関節症とはその名の通り膝関節が変形し、痛みやしびれ、運動障害を起こす慢性関節疾患です。変形性関節症の中では最も頻度の高いもので、日本人の生活様式である畳の上に座るという習慣が影響していると考えられています。また、加齢や肥満、膝へのストレスが原因とされています。

原因についてさらに詳しく説明します。関節リウマチや大腿骨の顆部壊死、過去の骨折経験などもともと何らかの原因が元になっている場合が10%程度ありますが90%は原因がはっきりわかっていません。年齢では30代ではほとんど見られませんが40代以降、年齢を重ねるにつれて患者数が増えています。理由としては加齢によって関節組織(軟骨)の退行性変性が起きるためです。性別では女性の方が男性に比べ1.5~2倍くらい多い傾向にあります。特に閉経後の女性は急速に進むケースが多いです。これはエストロゲンという女性ホルモンに要因があると考えられています。肥満については、体重が増えることにより膝への負担が大きくなる事や、脂肪組織で生成されるレプチンという物質が影響することが原因と考えられています。レプチンとは食欲の抑制とエネルギー代謝の調節に関わるホルモンです。これらのような加齢や性別、遺伝、肥満や重労働やスポーツなどの膝への過度なストレスなど様々な要因が引き金となって、膝の軟骨が変形し、膝の中にある滑膜が炎症を起こします。

変形性膝関節症の進行と症状について

膝関節の腫れや痛みを主な訴えとして、関節の可動制限はそれほど著しくないが、最大伸展位を取る事が出来ずに、運動時のコツコツやゴリゴリといった軋轢音、関節裂隙(かんせつれつげき)の圧痛がみられます。高度になると内反膝あるいは外反膝の変形が起こりますが、日本では内反膝変形が多くみられます。

変形性膝関節症の症状は進行度によって症状が変化します。

【軽度】

骨と骨の隙間が少し狭くなり軟骨がすり減ってきます。起床時の第一歩の「膝の違和感」が最も早く現れる症状です。この段階では動作時のみの痛みですが、一時的でしばらく休むと痛みがなくなる場合がほとんどです。「立ち上がる時に膝が痛む」「膝がこわばる」「動き始めに膝が痛む」このような症状が現れます。

【中等度】

関節軟骨や半月板がすり減り、骨と骨の隙間がさらに狭くなります。痛みの頻度が多くなり、炎症が生じて膝の周辺が腫れたり、熱を持ったりします。膝に水がたまる事により膝を曲げると張って重くだるくなります。膝の変形が目立ち、膝に力のかかる動きをすると、コツコツやゴリゴリといった異音を自覚します。「膝が完全に曲げられない」「正座ができない」「階段の上り下り、とくに下りで膝が痛む」「膝に水がたまる」等のような症状が現れます。

【重度】

軟骨や半月板がほとんどなくなり、骨がむき出しになって、骨と骨が直接触れあうようになります。膝関節の変形も進行し、痛みも強くなります。日常生活に支障が起きるほどの痛みになります。そのため、買い物や仕事や旅行などの活動が思うようにできなくなり、活動範囲が狭まります。高齢者では家の外に出ない生活が続くと痴呆症状が現れる人もいます。骨の変形が相当進むので外見的にも関節の変形が目立ち、O脚(ガニ股)となります。「じっとしていても膝が痛む」「膝の曲げ伸ばしが難しい」「歩くときに膝が横揺れする」「歩行困難」等の症状が現れます。

変形性膝関節症の検査はどのような検査を行うのか?

【X線撮影】

膝の骨の変形の具合を調べます。骨と骨の関節部分は何も写りませんが、この関節の隙間が狭いほど関節軟骨がすり減っているという事になります。

【関節液検査】

膝に炎症が起きて腫れている場合、注射器で関節液を抜き取りその性状により病気の判定をします。変形性膝関節症では、黄色透明の関節液が排出されますが、リウマチや関節炎では、黄色混濁した関節液が出ますので鑑別診断ができます。

【MRI検査】

関節軟骨、半月板や骨内の病変の有無を調べます。変形性膝関節症が進行すると、半月板が痛んで断裂したり、骨内に骨のう腫という穴が開いたりして痛みの原因となります。また、膝関節の大腿骨内顆骨壊死が発見されたりします。

【血液検査】

関節リウマチではCRPやリウマチ因子が陽性となる事が多いですが、変形性膝関節症では通常CRPやリウマチ因子は陰性です。

変形性膝関節症の治療はどのようなものがあるのか?

変形性膝関節症の治療の1つとして肥満の人には体重を軽くするように指導するとともに大腿四頭筋の筋力強化、温熱療法が勧められます。変形性膝関節症は進行度により治療が行われます。整形外科での治療は主に保存療法(リハビリ)と手術療法です。

保存療法(リハビリ)

症状が軽い場合には痛みどめの内服薬や外用薬を使った痛みを軽減する薬物療法が行われます。関節内で炎症が起きると痛み物質が発生し、滑膜が刺激されてさらに炎症が進むことによる悪循環に陥るため、この悪循環を断ち切るために鎮痛剤の処方が行われます。

そして、痛みを起こさせないようにするために重要なのが運動療法になります。膝関節を支える筋肉を鍛えることにより、膝がしっかり安定して関節への負担が減ります。また、膝を動かすことにより血行が促進され、関節液中の痛みを起こす物質が血中に吸収されて減っていきます。さらに運動によって肥満が改善され、膝への負担が軽減されます。

次に軟骨や関節液の重要な成分であるヒアルロン酸を潤滑成分として注射して軟骨表面の保護を行う治療があります。同様に注射治療の1つに炎症を強力に抑え込み、鎮痛効果も高いステロイドの注射があります。しかしステロイドの頻繁の使用は軟骨や靭帯を弱くしてしまうので2カ月から3カ月に1回の注射が安全とされています。

手術療法

上記の一般的な保存療法に抵抗し、軟骨破壊が内側に偏しているような時は高位脛骨骨切り術という手術療法が行われます。内反変形を矯正して、内側にかかる荷重を正常な軟骨や半月板が残っている外側の関節に分散させる手術です。手術後は自分自身の関節が温存されるため、可動域が改善されスポーツなどの重労働にも耐えられます。また、時間の経過とともに筋力が増強し関節機能が改善することがこの手術の特徴となります。

高度の関節破壊のある場合には人工膝関節置換術という手術が行われます。痛みのある片側だけを置き換える片側置換術と関節面全体を金属に置き換える全置換術があります。手術後は翌日から数日で立ったり歩いたりするリハビリが始まり2週から4週程度で退院し、比較的速やかに日常生活に戻る事が出来ます。

注目されている最新の治療法があります!!

近年再生医療の分野が医学界ではめざましい進歩をあげておりますが、この再生医療を応用した治療が変形性膝関節症にも治療適応されています。

再生医療も治療の選択の1つです。再生医療とはこちらを参照ください。

変形性膝関節症に対する再生医療分野の治療は脂肪幹細胞と多血小板血漿(PRP)を用いた治療になります。脂肪幹細胞を用いた治療ではご自身のお腹や太ももの皮下脂肪を吸引し、幹細胞を採取します。採取した幹細胞を培養し関節内に投与します。これにより関節の炎症を治めるだけでなく関節軟骨の変形を抑えたり痛んだ軟骨の修復や再生を促します。

多血小板血漿(PRP)を用いた治療とは自身の血液から特殊な技術で血小板が多く含まれる血漿を取りだし、膝関節内に注入する治療法で患者さん自身が持つ修復力をサポートする治療法です。自分の血液ですので副作用もありません。

膝関節症の患者さんの多くが訴える膝の内側の痛みについて、骨の構造や関節の機能、膝関節症とは何かについて説明してきましたが、膝関節症は原因の90%が明らかになっていない疾患です。

しかし変形性膝関節症の治療法の選択肢も増えてきています。ご自身のライフスタイルや症状に合った治療を選択していきましょう。変形性膝関節症や再生医療についてさらに詳しく知りたい時には専門医に話を聞いてみましょう。

お近くに再生医療についての専門医がいない方へ

さかもとクリニックは、第二種・第三種再生医療提供計画を厚生労働省に提出し受理された厚生労働大臣許可医療機関です。当院では来院前でも「メール相談」を受付けています。どうぞ事前にご相談ください。

以上、ひざの内側が痛むのなら変形性膝関節症かもしれない!についてご説明させて頂きました。参考になれば幸いです。

メール相談・お問い合わせフォームはコチラ

 

監修:リペアセルクリニック大阪院

 

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監修者

岩井 俊賢

Toshinobu Iwai

医師

略歴

2017年3月京都府立医科大学 医学部医学科卒業

2017年4月社会医療法人仁愛会 浦添総合病院 初期研修医

2019年4月京都府立医科大学附属病院 整形外科

2020年4月医療法人啓信会 京都きづ川病院 整形外科

2021年4月一般社団法人愛生会 山科病院 整形外科

2024年4月医療法人美喜有会 リペアセルクリニック大阪院 院長

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