-
- 脳卒中
- 頭部
脳挫傷などの頭部外傷は、数年経過してから後遺症が現れることがあります。 最近記憶力が落ちた、集中できなくなったと感じる症状は、過去の脳挫傷が原因で後遺症が現れているかもしれません。 本記事では、脳挫傷後に数年経過してから現れる後遺症の種類や症状、後遺症に気づくきっかけについて詳しく解説します。 また、後遺症が判明した場合に利用できる支援制度や交通事故の場合の法的な問題まで、幅広く対応方法をご紹介します。 脳挫傷の後遺症でお悩みの方やそのご家族の方に、少しでも安心していただける情報をお届けします。 脳挫傷は後遺症として残りやすい傾向にある 頭部に強い衝撃を受けた際に脳組織が損傷する「脳挫傷」は、後遺症が残りやすい傾向があります。 脳挫傷が後遺症として残りやすい主な理由は以下の通りです。 脳神経細胞は一度損傷すると完全な修復が難しく、再生能力が限られている 損傷は受傷部位だけでなく周辺組織にも影響を及ぼすことがある 初期検査では検出できない微細な損傷が時間経過とともに症状として現れることがある 脳の各部位が特定の機能を担っているため、損傷部位によって症状が異なる 重要なのは、脳挫傷の重症度と後遺症の程度が必ずしも比例しないことです。 一見すると軽症に見えても、後に深刻な後遺症が現れる可能性があります。 とくに高次脳機能障害が軽度の場合などは、日常生活や仕事の中で少しずつ症状に気づくことがあります。 頭部に衝撃を受けた場合は、症状がなくても医療機関での診察と経過観察を行うことが重要です。 脳挫傷(頭部外傷)の数年後に現れやすい後遺症 脳挫傷を含む頭部外傷では、受傷直後から症状が現れるケースだけでなく、数ヶ月から数年経過してから症状が顕在化することがあります。 これは遅発性後遺症・遅発性脳障害と呼ばれることもあり、患者さまやご家族が戸惑うことが少なくありません。 脳挫傷の数年後に現れやすい後遺症は個人差が大きく、脳のどの部位が損傷を受けたかによっても異なります。 数年後に現れやすいとされる後遺症は以下の通りです。 遅発性脳障害 高次脳機能障害 外傷性てんかん 身体性機能障害 本章では、それぞれの後遺症について詳しく解説していきます。 遅発性脳障害 頭部外傷後、数ヶ月から数年、あるいは数十年経過してから現れる神経変性疾患を遅発性脳障害と呼びます。 脳挫傷に限らず、頭部外傷によって引き起こされる可能性がある後遺症です。 現れる症状は、高次脳機能障害や外傷性てんかん、人格変化、PTSDなどさまざまです。 代表例として「慢性外傷性脳症(CTE)」があり、かつては「ボクサー脳症」として知られていました。 慢性外傷性脳症(CTE)」は主にボクシングやアメリカンフットボールなどで繰り返しの頭部外傷を受けた人に見られますが、稀に単発の重度頭部外傷後にも発症します。 症状の出現に個人差があるため、頭部外傷の既往がある方は定期的な経過観察が重要です。 高次脳機能障害 高次脳機能障害とは、脳挫傷などの頭部外傷によって引き起こされる認知・記憶・行動などの機能障害です。 特徴的なのは、受傷直後には明らかな症状が現れず、数ヶ月から数年後に日常生活や仕事の中で徐々に気づかれることがあるという点です。 とくに症状が軽い場合、脳挫傷直後に異常を自覚できないことが多く、時間の経過とともに症状が顕在化します。 会社や学校復帰後、複数作業の処理が困難になったり、新しい情報を記憶するのが難しくなったりといった、社会生活で変化に気づくケースが少なくありません。 異変を感じたらすぐに専門医への受診をおすすめします。 外傷性てんかん 頭部外傷後、数ヶ月から数年経過してから外傷性てんかんが発症することがあります。 外傷性てんかんには発症時期によって分類があります。 受傷後24時間以内や1週間以内に発作が起きる「超早期・早期てんかん」 受傷後1週間以上経過してから発症する「晩期てんかん」 早期てんかんは晩期てんかんと比較して予後が良好なケースが多く見られますが、個人差があります。 一方、晩期てんかんはより長期的な治療が必要になることが多く、中には難治性てんかんに進展する場合もあります。 症状としては痙攣発作や意識障害が典型的であり、発作が繰り返されることで日常生活に支障をきたします。 重要なのは、脳損傷の大きさだけではてんかんの重症度は判断できないという点です。損傷部位以外が二次的にてんかんの原因となるケースもあります。 専門医による適切な診断と継続的な抗てんかん薬による治療が必要になるので、症状が現れた場合は、すみやかに神経内科や脳神経外科を受診しましょう。 身体性機能障害 脳挫傷を含む頭部外傷後に生じる身体性機能障害の代表的なものが、運動麻痺です。 これは脳の運動をつかさどる部位(大脳皮質運動野や内包、橋など)が損傷を受けることで起こります。 運動麻痺はその範囲によって以下のように分類されます。 四肢麻痺:両側の四肢(両腕と両脚)が麻痺する状態 片麻痺:一側の上下肢(片方の腕と脚)が麻痺する状態 単麻痺:一肢のみ(片方の腕または脚)が麻痺する状態 また、麻痺の程度は重症度によって以下のように分けられます。 高度:運動性・支持性がほとんど失われ、基本動作ができない状態 中等度:運動性・支持性が相当程度失われ、基本動作にかなりの制限がある状態 軽度:運動性・支持性が多少失われ、動作の巧緻性や速度が損なわれている状態 症状は時間経過とともに改善することもありますが、重度の場合は後遺症として残ることもあります。 身体性機能障害は日常生活や就労に大きな影響を与えることがあり、重症度に応じたリハビリテーションや支援が必要です。 数年後に脳挫傷の後遺症に気づくきっかけとなる症状 脳挫傷を含む頭部外傷を受けた後、数年経過してから後遺症に気づくことは珍しくありません。 とくに高次脳機能障害は、日常生活の中で少しずつ顕在化することが多いのが特徴です。 後遺症に気づくきっかけは、主に日常のさまざまな場面での「以前とは違う」という変化として現れます。 仕事や学業のパフォーマンスの低下、人間関係での摩擦の増加、日常生活での計画立案や実行の困難さなど、脳の機能低下が具体的な形で現れるようになります。 これらの症状は当初、単なる疲れや加齢、ストレスによるものと考えられがちですが、実は脳挫傷の後遺症である可能性があります。 以下では、数年後に気づくことが多い主な症状について、仕事・学業、人間関係、日常生活の3つの側面から詳しく解説していきます。 仕事や学業での困難|記憶力低下・複数作業の困難さ 脳挫傷後の数年経過後に気づかれやすい症状として、仕事や学業での困難があります。 とくに「記憶力の低下」は多くの患者さまが自覚する症状です。 新しい情報を覚えられない 覚えてもすぐに忘れてしまう 以前なら簡単に思い出せたことが出てこない など また「複数の作業を同時に行う難しさ」も特徴的です。 会議中にメモを取りながら発言の内容を理解する、話をしながら資料を探すなど、以前は何気なくできていた同時並行作業が困難になります。 集中力も続かなくなり、作業の切り替えにも時間がかかるようになります。 こうした変化によって、仕事のミスが増える、納期に間に合わない、学業成績が低下するなどの問題が生じ、本人が「何かおかしい」と感じるきっかけになることが少なくありません。 人間関係の変化|感情コントロール・対人関係の問題 脳挫傷の後遺症として、感情のコントロールが難しくなることがあります。 これは前頭葉の機能低下によるもので、以前は抑制できていた感情が抑えられなくなる症状です。 些細なことでイライラする 急に怒りっぽくなる 感情の起伏が激しくなる 泣きやすくなる など 具体的には、些細なことでイライラする、急に怒りっぽくなる、感情の起伏が激しくなる、泣きやすくなるなどの変化が現れます。 また、感情表現が乏しくなる「感情の平板化」が起こることもあります。 これらの変化は対人関係に大きな影響を与えます。家族や同僚、友人との関係に摩擦が生じ、「性格が変わった」と周囲から指摘されることも少なくありません。 本人は自分の変化に気づいていないこともあり、周囲からの指摘で初めて後遺症の可能性に気づくケースもあります。 日常生活での支障|計画性の低下・疲れやすさ 脳挫傷の後遺症は日常生活にも様々な支障をきたします。 予定の管理ができなくなる、 優先順位をつけられなくなる 数時間で極度の疲労を感じる 集中力が持続しない これらの「計画性の低下」と「疲れやすさ」は特徴的な症状です。 その他、時間や場所の感覚が鈍くなる、物事への関心が薄れる、意欲の低下などの症状も現れることがあります。 これらの変化が複合的に起こることで、日常生活全般に支障をきたし、生活の質が低下します。 交通事故から数年後に脳挫傷の後遺症が現れた場合 交通事故などによる脳挫傷の後遺症が数年後に現れるケースは少なくありません。 当初は軽症と思われていた症状が時間の経過とともに悪化したり、新たな症状が出現したりすることがあります。 このような「遅発性」の後遺症は、法的・医学的に複雑な問題を引き起こすことがあります。 脳挫傷による主な後遺症には以下のようなものがあります。 後遺症の種類 主な症状 高次脳機能障害 記憶障害 集中力低下 判断力・計画力の低下 情緒的変化 身体性機能障害 身体の麻痺 手足のしびれ 歩行障害 バランス感覚の低下 外傷性てんかん けいれん発作 意識障害 認知機能の低下 遅発性脳障害 進行性の認知症状 人格変化 運動障害 感覚器の機能障害 視力低下 聴力障害 嗅覚・味覚異常 平衡機能障害 めまい 吐き気 バランス感覚の喪失 慢性頭痛 持続的な頭痛 光・音への過敏症状 交通事故から数年経過して後遺症が判明した場合、損害賠償請求の期限や、事故と症状の因果関係の立証など、法的な問題に直面することがあります。 本章では、これらの課題について詳しく解説します。 損害賠償請求の期限|民法の規定 交通事故から数年後に脳挫傷の後遺症が判明した場合、損害賠償請求が可能かどうかは「消滅時効」という概念が重要になります。 民法では不法行為による損害賠償請求権に関して、第724条で「被害者またはその法定代理人が損害および加害者を知った時から3年間」※と規定しています。 ※出典:民法 第七百二十四条 さらに第724条の2では、「人の生命または身体を害する不法行為」については、この期間が「5年間」に延長※されます。 ※出典:民法 第七百二十四条の二 つまり、脳挫傷の後遺症を自覚した時点から5年以内であれば、法律上は損害賠償請求が可能となります。 また第724条では「不法行為の時(事故発生時)から20年間」という長期の時効期間も設けられています。 ただし、後遺症が発生してから年月が経過するほど、その症状と事故との因果関係を証明することは難しくなります。 時効が成立していなくても、因果関係の立証ができなければ賠償請求は認められない可能性が高いのが実情です。 数年後に因果関係を立証するのは簡単ではない 脳挫傷の後遺症と交通事故との因果関係を数年後に立証することは、非常に困難です。 一般的に交通事故による症状は事故直後から現れ、時間の経過とともに改善していくと考えられています。 そのため、「数年後に症状が出現した」と主張しても、「事故との関連性が不明」と反論されるケースが多いのです。 因果関係を立証するためには、以下の条件が必要と考えられます。 事故(受傷)の事実が客観的に確認できること 日常生活または社会生活に明らかな制約があること その制約の主な原因が脳損傷による障害であること 事故直後からの診断画像や診断書など医学的証拠があること 特に重要なのは、事故後早期の段階でMRIやCTなどの画像検査で脳損傷の所見が確認されていること、そして継続的に医療機関を受診していた記録が残っていることです。 これらの証拠がなければ、後遺症と事故との因果関係を証明することは極めて困難になります。 脳挫傷の後遺症が数年後に判明した場合の対応方法 脳挫傷の後遺症が数年経過してから判明した場合でも、適切な対応で症状改善や生活の質向上が期待できます。 対応の基本は三つの側面から考えることが重要です。 専門的な医療機関での診断と適切なリハビリテーション 家族を含めた周囲の理解とサポート体制の構築 利用可能な公的支援制度の活用です。 後遺症の種類や重症度は個人差が大きいため、患者さま一人ひとりの状況に合わせた総合的なアプローチが必要になります。 本章では、これらの対応方法について詳しく解説していきます。 医療機関の受診とリハビリ 脳挫傷の後遺症を疑う症状に気づいたら、まずは脳神経外科や神経内科などの専門医療機関を受診しましょう。 医師に対して「以前に頭部外傷があった」ことを必ず伝え、現在の症状を詳しく説明することが重要です。 診断では、MRIやCTなどの画像検査に加え、神経心理学的検査などが行われることがあります。 診断が確定したら、症状に応じた適切なリハビリテーションプログラムが提案されます。 機能回復のためには、高次脳機能障害には認知リハビリテーション、運動麻痺には理学療法など、症状に合わせた専門的なリハビリの継続が重要です。 家族や周囲のサポート 脳挫傷の後遺症、特に高次脳機能障害は目に見えない障害であるため、家族や周囲の理解とサポートが非常に大切です。 患者さまの変化を理解し、無理な要求を避け、できることを少しずつ増やしていく姿勢を持ち接することで、症状の改善を目指せます。 また、家族会などの自助グループに参加することで、同じ悩みを持つ家族との情報交換や精神的なサポートも得られます。 日常生活では、環境を整理して混乱を減らす、メモやスケジュール表を活用するなどのサポートも効果的です。 後遺症が判明した際に利用できる支援制度 脳挫傷の後遺症が判明した場合、以下のような公的支援制度を利用することができます。 高次脳機能障害の相談窓口:各都道府県に設置されており、相談支援を行うほか、適切な医療機関や支援機関の紹介を行っています。 障害者手帳の申請:症状に応じて、身体障害者手帳や精神障害者保健福祉手帳の交付対象となる場合があり、医療費助成や税金の減免などの支援を受けられることがあります。 介護保険サービス:40歳以上の方で、症状が介護保険の特定疾病に該当する場合、介護保険サービスを利用できることがあります。 障害福祉サービス:自立支援医療や就労支援サービスなど、障害者総合支援法に基づくサービスを利用できる場合があります。 これらの制度を効果的に活用するために、地域の障害福祉課や高次脳機能障害の相談窓口に連絡することをおすすめします。 【まとめ】脳挫傷(頭部外傷)は数年後に後遺症が現れる可能性がある 脳挫傷は後遺症が残りやすい傾向があり、受傷直後だけでなく数年後に症状が顕在化することがあります。 主な後遺症として高次脳機能障害、遅発性脳障害、外傷性てんかん、身体性機能障害などが挙げられます。 後遺症に気づくきっかけは、記憶力低下や複数作業の困難さ、感情コントロールの問題、計画性の低下や疲れやすさなど、日常生活の様々な場面での変化として現れます。 数年後に後遺症が判明した場合でも、専門医療機関での診断・リハビリ、家族のサポート、公的支援制度の活用など適切な対応で症状改善が期待できます。 頭部に衝撃を受けた方は、症状の有無にかかわらず医療機関を受診して、経過を観察しましょう。 脳の疾患による後遺症に対して、近年では改善・回復効果が期待できる治療方法として再生医療が注目されています。 当院「リペアセルクリニック」では、患者様自身の幹細胞を採取・培養して投与する幹細胞治療を実施しています。 幹細胞は神経・血管・骨・軟骨などに変化する性質があり、その幹細胞を培養して数を増やすことで、いろいろな組織に変化する性質を利用して脳細胞を再生。 これによって一度機能しなくなった脳細胞が復活し、脳卒中の後遺症の改善が期待できます。 脳の再生医療による脳卒中の治療は、早ければ早いほど脳機能の回復が期待できますが、一定時間が経ってしまっても効果を発揮します。 再生医療について興味をお持ちの方は、お気軽に当クリニックまでご相談ください。
2025.03.08 -
- 脳梗塞
- 脳卒中
- 頭部
脳挫傷の後遺症が治るのか、不安な方はいませんか。 脳挫傷とは、頭部へ強い衝撃が加わることで、脳が損傷し出血や腫れを引き起こした状態です。 損傷部位や衝撃を受けた範囲によって、症状の程度や回復具合は異なります。 本記事では、脳挫傷の後遺症や後遺症の回復に影響する要因について、詳しく解説します。 後遺症について不安がある方は、ぜひこの記事を参考にしてください。 脳挫傷の後遺症は治るのか|回復の可能性について 脳挫傷では、脳組織の破壊がみられない、損傷の程度が軽度であれば、症状は徐々に回復する可能性があります。 しかし、損傷が重度の場合や適切な治療が遅れた場合は、後遺症が残ることもあります。 脳は人体の他の部位に比べて再生能力が乏しいため、損傷度合いが大きい場合は完全再生が難しいことが理由です。 また、回復の程度は脳の損傷部位・範囲・深さや、リハビリテーションなどによって大きく異なります。 脳挫傷になった際の年齢や合併症の有無などの要因も、後遺症の出現に大きく関係するため、患者様自身に合った治療を受けることが重要です。 脳挫傷の原因・症状を解説 脳挫傷の原因は、交通事故や転倒などで、頭部に強い衝撃が加わることです。 脳の損傷部位や程度によって、以下の症状が現れます。 頭痛 嘔気・嘔吐 意識障害 麻痺 感覚障害 言語障害 脳挫傷は、受傷後1~2日経過してから症状が現れることもあるため、事故直後は無症状だった場合も経過に注意が必要です。 頭部を強打した場合は、たとえ無症状でも必ず医療機関を受診し、医師の指示に従って経過観察を行ってください。 脳挫傷の後遺症 脳挫傷になると、以下の後遺症が現れる場合があります。 軽度の脳挫傷であれば、適切な治療と経過観察により、数日で症状が改善する場合もあります。 しかし、重症の場合は生命に関わる状態になったり、重い後遺症が残ったりする可能性があります。 重い後遺症は日常生活に支障をきたす可能性が高いため、症状に気づいた時点で早急に医療機関を受診しましょう。 高次脳機能障害 脳挫傷の後遺症の1つに、高次脳機能障害があります。高次脳機能障害とは、「脳損傷に起因する認知障害※」のことであり、主に以下の4つの機能が障害されます。 ※引用:高次脳機能障害情報・支援センター 記憶障害 注意障害 遂行機能障害 社会的行動障害 記憶力や注意力が低下したり、物事を上手く実行できなかったりする症状のため、周囲から見ても症状がわかりにくいのが特徴です。 運動機能障害 脳挫傷になると、身体の麻痺やしびれをはじめとした、以下の症状が現れる運動機能障害を引き起こす場合があります。 手足のしびれ 身体の麻痺 筋力低下 歩行障害 運動機能障害は継続的なリハビリテーションで、徐々に症状が回復していく可能性があります。 感覚障害 脳挫傷の後遺症に、以下の6種類の感覚障害がみられる場合があります。 感覚障害の種類 症状 感覚過敏 外部からの刺激が過剰に感じ、不快感を伴う 異常感覚 電気が走っているような感覚がみられる 錯感覚 触られると痛みやぴりぴり感を感じる 神経痛 神経の刺激により引き起こされる痛みを感じる 感覚鈍麻 五感(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚)が鈍くなる 感覚脱失 五感(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚)を感じなくなる しびれや痛みなどの症状は、感覚障害から引き起こされる場合と運動障害に起因しているケースがあります。 感覚障害と運動障害を併発している場合もあるため、医療機関を受診して原因を調べることが必要です。 遷延性意識障害 遷延性意識障害(植物状態)は、重篤な脳挫傷の後遺症の1つです。 日本脳神経外科学会は、以下の6項目が3カ月以上続いた状態を「遷延性意識障害」と定義しています。 自力移動が不可能である 自力摂食が不可能である 屎尿失禁状態にある 声を出しても意味のある発語が不可能である 簡単な命令(眼を開く、手を握るなど)にはかろうじて応じることもあるが、それ以上の意思疎通は不可能である 眼球はかろうじて物を追っても認識は出来ない 遷延性意識障害は、適切な治療を受けても症状の改善がみられない状態を指します。 外傷性てんかん 脳挫傷の後遺症に、外傷性てんかんがあります。 外傷性てんかんとは、脳から発せられる身体を動かす指令が正常時とは異なってしまう疾患で、以下の症状が現れます。 けいれんが起こる 意識を消失する 記憶が飛ぶ てんかん発作は、多くの場合は繰り返し症状が現れます。早期に適切な治療を開始し、てんかんの発生頻度を低下させまることで症状をコントロールすることが重要です。 平衡機能障害 脳挫傷では、平衡機能障害が後遺症として現れる場合があります。平衡機能障害は身体のバランスが取りづらくなる状態で、以下の症状がみられます。 めまいやふらつき 歩行困難 立位の不安定性 めまいやふらつきの症状が重くなると、転倒リスクが高まるため注意が必要です。 平衡機能障害が後遺症で出た場合は、医師の指示のもとリハビリテーションやバランス運動を行い、平衡感覚の改善を目指しましょう。 頭痛 脳挫傷になると、慢性的な頭痛が現れる場合があります。 頭痛がひどい場合には、光や音に敏感になったり、吐き気を催したりするケースもあります。 受傷直後より痛みが激しくなった場合は、脳挫傷の悪化も考えられるため、早急に医療機関を受診してください。 脳挫傷の後遺症の回復に影響する要因 脳挫傷の後遺症の回復には、以下の要因が影響します。 損傷した部位や範囲 損傷の深さ 受傷時の年齢 既往歴 合併症の有無 脳挫傷は損傷部位によって現れる症状が異なり、後遺症の回復にも個人差があります。 後遺症の回復には早期治療がカギとなるため、少しでも身体に異変を感じたら、医療機関を受診し治療を受けましょう。 脳挫傷の後遺症の治療・リハビリテーション 脳挫傷の後遺症の治療やリハビリテーションは、受傷してからの日数によって異なります。 急性期から治療やリハビリテーションを開始すると、後遺症が回復する可能性が高まります。 時期や症状に合った治療を受け、後遺症の回復を目指しましょう。 急性期のリハビリテーション 脳挫傷の急性期は、全身状態が不安定で生命の危険性もあるため、感覚刺激やポジショニング(正しい姿勢の保持)を主としたリハビリテーションを行います。 急性期は昏睡状態や意識障害が生じている場合が多く、集中治療室で全身状態を厳重に管理されている場合がほとんどです。 肺炎・褥瘡・関節拘縮といった二次的な合併症の予防をしつつ、早期の機能回復を目指しリハビリテーションを実施します。 回復期のリハビリテーション 急性期を脱し全身状態の安定がみられる回復期は、以下の4機能に分けてリハビリテーションを進めていくことが大切です。 運動機能 日常生活動作 認知機能 行動異常 脳挫傷をはじめとした頭部外傷では、初期の意識障害が長期にわたるほど高次脳機能障害が重症化しやすく、後遺症の回復が難しくなる傾向があります。 維持期(生活期)のリハビリテーション 脳挫傷の維持期は生活期と呼ばれ、後遺症と上手く付き合うためのリハビリテーションを行います。 脳挫傷は後遺症の回復の程度に個人差が大きく、社会生活へ復帰するまでの期間も異なり、数ヶ月から数年、あるいはそれ以上かかる場合もあり様々です。 運動機能や認知機能へアプローチするリハビリテーションを継続しながら、日常生活動作の再獲得を目指しましょう。 脳挫傷の後遺症と上手く付き合うための生活の工夫 脳挫傷の方は、以下を参考に生活を工夫し、後遺症と上手く付き合うことが大切です。 環境を整備する リハビリで自身に合った身体の動かし方を知る 家族や友人、職場へ症状を伝えておく 気になる症状がある場合は早めに医療機関を受診する 受傷直後に無症状であった脳挫傷でも、経時的に後遺症が現れる場合があります。 脳挫傷の症状がみられる場合は、家族や友人など周囲の人に症状の程度を伝えておき、必要時にサポートを受けることも大切です。 高次脳機能障害や認知機能の低下により、新たな症状に気づかないケースもあるため、少しでも気になる症状がある場合は早めに医療機関を受診しましょう。 【まとめ】脳挫傷の後遺症は回復する可能性がある!早期リハビリテーションの実施が重要 脳挫傷は組織が損傷していなければ、後遺症の回復が期待できます。 後遺症の回復には、早期治療や継続的なリハビリテーションの実施が重要なため、症状がみられたら早急に医療機関を受診しましょう。 ただし、発症してから一定期間が過ぎてしまった場合、リハビリテーション以外に後遺症に対して効果のある治療法がないのが現実です。 脳挫傷を含む脳卒中の症状の多くは、発症後数ヶ月はリハビリを行えば改善が見込めますが、慢性期を過ぎてしまった場合は効果が低くなっていきます。 そのようなケースに対して回復効果が期待できるのが再生治療です。 当院(リペアセルクリニック)では、損傷した部位の修復や再発予防が期待できる、再生医療による治療を実施しています。 後遺症でお困りの方は、お気軽に当院(リペアセルクリニック)へご相談ください。
2025.03.08 -
- 脳卒中
- 頭部
高次脳機能障害とは、脳の一部がダメージを受けたために、思うような行動が取れなくなったり、注意力や記憶力に問題を生じたりする障害です。 高次脳機能障害は完治が難しいと考えられていますが、リハビリを受けることで症状の回復が見込めます。 「どのくらいの期間で回復できるか知りたい」と不安を抱える方も多いのではないでしょうか。 この記事では、高次脳機能障害の回復期間やリハビリプログラムについて解説しています。 高次脳機能障害を根本的に解決できる可能性がある再生医療についてもまとめていますので、参考にしてみてください。 高次脳機能障害の回復期間の目安は1年!リハビリが早いほど改善傾向あり 高次脳機能障害とは、脳の損傷に伴って記憶力・注意力・思考力・言語能力・感情など、認知脳機能に障害が起こる後遺症の一種です。 主な原因は脳卒中(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血など)や、交通事故などが原因となりがちな頭部外傷とされています。 高次脳機能障害は外見からはわかりにくく、周囲の方や患者さまご本人も障害に気づきにくいのが特徴です。 適切なリハビリを受けると、症状が回復する可能性があります。 リハビリ後に6カ月で74%、1年で97%の方に改善がみられる 発症からリハビリ開始までの期間が短いほど改善に期待できる この項目では、高次脳機能障害の具体的な回復期間について解説します。 リハビリ後に6カ月で74%、1年で97%の方に改善がみられる 高次脳機能障害のリハビリを受けた方で、一定の効果がみられた割合は以下の通りです。※ ※出典:高次脳機能障害者支援の手引き(改訂第2版) 発症から半年:74% 発症から1年:97% 高次脳機能障害は、発症早期に適切な訓練を受けるのが重要です。 多様な種類のリハビリがあるので、医療機関や福祉施設など、さまざまなサービスと連携して行います。 リハビリの効果には個人差がありますが、合計1年を目安とした訓練を受けるのが望ましいです。 発症からリハビリ開始までの期間が短いほど改善に期待できる 高次脳機能障害は、発症からリハビリ開始までの期間が短いほど、改善に期待ができます。 発症からリハビリを受けた期間と、症状が改善した患者様の割合を以下にまとめました。※ ※出典:平成13年度高次脳機能障害支援モデル事業 年次報告 (北海道・札幌市) 発症から6カ月以内に訓練開始:46%が改善 6か月から1年以内に訓練開始:32%が改善 1年以上経ってから訓練開始:14%が改善 高次脳機能障害は外見からはわかりにくく、患者さま本人やご家族も障害に気づかない場合や、気付くのが遅れる場合もあります。 上記のデータでは、発症から時間が経ってしまうと十分な効果を得にくい傾向があることがわかります。 リハビリは医療機関やリハビリテーションセンターで受けられるので、心配な方は受診を検討してください。 高次脳機能障害から回復・社会復帰するまでのリハビリプログラム 高次脳機能障害のリハビリは、患者さまの日常生活の自立を促すために行われます。 医学的リハビリテーションプログラム 生活訓練プログラム 就労移行支援プログラム 発症直後は、心理カウンセリングや薬物治療などの医学的リハビリプログラムで、認知障害に対して適切な処置を行います。 時間の経過とともに日常生活や就労に必要な技能の習得を目指すのが一般的です。 以下では、高次脳機能障害から回復・社会復帰するまでのリハビリプログラムを詳しく紹介します。 医学的リハビリテーションプログラム 医学的リハビリテーションプログラムとは、病院や診療所などで行います。 高次脳機能障害の発症後は、とくに重視されていて時間の経過とともに、徐々に他のリハビリプログラムに切り替わります。 以下では、高次脳機能障害の症状とリハビリの内容をまとめました。 記憶障害の症状とリハビリ内容 注意障害の症状とリハビリ内容 遂行機能障害の症状とリハビリ内容 社会的行動障害の症状とリハビリ内容 一つづつみていきましょう。 記憶障害の症状とリハビリ内容 高次脳機能障害の症状である記憶障害の症状は以下の通りです。※ ※出典:医学的リハビリテーションプログラム | 国立障害者リハビリテーションセンター 最近の出来事を思い出せない 約束事を忘れてしまう 同じ事を繰り返して質問する 新しいことが覚えられない 記憶障害のリハビリでは、どのような記憶に問題が生じているか、どの程度の時間は記憶できるのかなどを把握しながら進めるのが重要です。 具体的なリハビリの内容を以下にまとめました。 内的記憶戦略法:言語の関連付けやイラストなどで物事を覚えやすくする 外的補助手段:ノートや手帳、スマートフォンなどを使用して記憶を補う 上記の訓練を繰り返し行ったり、思い出しやすい環境を整えたりします。 注意障害の症状とリハビリ内容 注意障害も高次脳機能障害の症状の一つに挙げられます。 主な症状は以下の通りです。※ ※出典:医学的リハビリテーションプログラム | 国立障害者リハビリテーションセンター 落ち着きがなくなる 周囲の状況を判断せずに行動を起こす 作業が長い時間続けられない 同時に複数の作業が難しい 注意障害では、集中し続けるのが難しく、作業が途切れがちです。 訓練は簡単な課題からはじめたり、個室で決まった支援者と作業したりするなどの集中しやすい環境を整えるのが重要です。 具体的にはパズルやまちがい探し、教育関連のテキスト、電卓の計算、校正作業などを行います。 遂行機能障害の症状とリハビリ内容 遂行機能障害の症状は以下の通りです。※ ※出典:医学的リハビリテーションプログラム | 国立障害者リハビリテーションセンター 約束の時間に間に合わない 仕事を途中で投げ出してしまう メモや手帳を活用して、記憶障害を補うことが難しい 遂行機能障害では、患者さま自身の能力や置かれている状況を把握する能力や計画する能力などと深い関わりがあります。 また、記憶障害や注意障害が原因の可能性も考えられるので、どのような能力に問題があるのか掴むのが重要です。 リハビリではワークブックや組み立てキット、書類の作成や社会生活におけるスケジュール管理などを通じて以下の訓練を行います。 必要な行為や動作の練習 計画を一緒に考える マニュアルを利用して手順通りに作業を行う 遂行機能障害は、段取りを考えるのが難しい一方で、習慣化した動作をとるのは得意な場合があります。 行動を習慣化するのも一つの手です。 社会的行動障害の症状とリハビリ内容 社会的行動障害は欲求や感情のコントロールが難しくなるのが主な症状です。※ ※出典:医学的リハビリテーションプログラム | 国立障害者リハビリテーションセンター 興奮して大声を出す 自傷行為 自分が中心でないと満足しない リハビリでは、静かでたくさんの人に囲まれない環境を整えた上で、どのような物事がきっかけで症状が現れるかや対処法を患者さまと考えます。 生活訓練プログラム 生活訓練プログラムとは、日常生活が安定したり、積極的な社会参加ができるようになったりすることを目指します。 患者さま本人だけでなく、ご家族にも働きかけます。 以下では、生活訓練プログラムの内容をまとめました。 生活リズムの確立 生活で必要な管理能力の向上 社会生活技能の獲得 社会的コミュニケーション能力の向上 障害の自己認識と現実的な目標設定 必要とする支援の明確化 家族への支援体制 順番に紹介します。 生活リズムの確立 生活訓練プログラムでは、生活リズムを整えるのが重要です。 高次脳機能障害では、記憶力や意欲の低下によって、日課を組み立てて行動するのが難しい場合があるためです。 施設に入所して規則正しい生活を身につけ、日中の訓練と訓練の空き時間を少なくすると安定する傾向にあります。 生活で必要な管理能力の向上 生活管理能力の向上も生活訓練プログラムの一つに挙げられます。 患者さま自身が進んで日課をこなすために、施設では以下の訓練を行います。 スケジュール帳の活用 目印や案内の表示に沿って行動する その日のスケジュールを確認する時間をとる チェック表や薬ボックスを使用して服薬を管理する 小遣い帳を使用して金銭を管理する スケジュール帳や薬ボックスなど、シンプルでわかりやすいものを使用して、自己管理の習慣化を図ります。 社会生活技能の獲得 社会生活技能では、地域での生活や患者さまの目標に沿って外出や生活体験の実習を行います。 具体的な内容は買い物や交通機関の利用、調理などです。 支援者から実習の場で評価や助言があるので、次回に活かせるようにしましょう。 社会的コミュニケーション能力の向上 社会的なコミュニケーション能力を向上するために、施設の患者さま同士でグループワークを行います。 意見の交換や役割分担などは、コミュニケーション能力の向上に効果的です。 グループワークでは、福祉制度を学んだり、外出の計画をしたりします。 また、他の施設の患者さまと共に日課をこなし、交流するのも重要な訓練です。 障害の自己認識と現実的な目標設定 生活訓練プログラムでは、障害の認識を深め、現実的な目標が設定できるようになる支援も行っています。 具体的な内容は以下の通りです。 外出や課題の訓練のフィードバックを受ける 患者さま同士のトラブルがあった際、支援者による客観的なフィードバックを受ける 一般企業や就労継続支援事業所にて実習する 実習の結果は、職員から直接本人に伝えてもらうとより高い効果が期待できます。 必要とする支援の明確化 必要とする支援の明確化も生活訓練プログラムの一つです。 患者さま本人の希望と支援者が提案する支援内容や方向性の間にギャップが生じる場合があるためです。 現在は何が必要かを考え、支援者の提案に患者さまが消極的でも実際に試してみましょう。 スムーズに適応する可能性があります。 家族への支援体制 生活訓練プログラムでは、ご家族の支援も重要です。 患者さまが障害を負ったことへのショックは大きく、受け止めるまでには時間がかかるでしょう。 主な内容は以下の通りです。 ご家族の不安や負担の軽減を図る 患者さまの障害について理解してもらう 相談を受ける サポートや介護の情報提供 家族懇談会の開催 ご家族が孤立しないよう、継続的に支援を受けられます。 就労移行支援プログラム 就労移行支援プログラムは、一般企業や在宅で働きたいとお考えの患者さまを対象に、障害者支援施設が行います。 必要な知識や能力を高めるトレーニングを行う 施設内外で職場実習を行い、さまざまな職業の体験 患者さまの能力にあった仕事探し 職場や患者さまに連絡をとり、就職後も長く働けるような支援を行う 日頃の生活リズムや訓練を通じて、適性を見極めるのが重要です。 希望と現実の間にギャップがある場合は、長期的な目標と短期的な目標を設定し、段階的にステップアップしていくことが一般的です。 高次脳機能障害の回復に向けた選択肢「再生医療」について 再生医療の幹細胞治療は損傷した組織や機能回復を促し、高次脳機能障害の回復に期待ができる治療法です。 幹細胞は、損傷した脳細胞の修復や再生を促すのが主な働きです。 幹細胞治療では、患者さまから採取した幹細胞を培養し、1000万個~2億個に増やしてから体内に投与します。 当院(リペアセルクリニック)では、高次脳機能障害の治療事例も多数ございます。 例えば以下記事で紹介している60代の男性は、脳梗塞発症後のさまざまな後遺症にお悩みでした。 幹細胞治療を受けた数週間後には、以下のような症状の改善がみられました。 左手のしびれ:完全に取れる 不整脈:治まる 呂律がまわりにくい:若干感じるがかなり改善 考えていることがスムーズに話せない:スムーズな発語が可能に 一般的な治療では、回復までに1年が目安と紹介しましたが、再生医療では数週間で大きな効果が期待できます。 このままの治療で症状がよくなるのか不安に感じている方は、お気軽にご相談ください。 【まとめ】高次脳機能障害の回復期間は1年が目安!リハビリ開始は早いほど改善に期待できる 高次脳機能障害の回復期間は1年が目安です。また、治療の開始は発症から早いほど症状の改善に期待できます。 高次脳機能障害リハビリプログラムは、発症後すぐに行う医学的リハビリテーションプログラムから始め、症状に合わせて日常生活や就労の訓練を行います。 ご自身の症状や目標に合わせて、適切なプログラムを選択し、継続的にリハビリに取り組むことが大切です。 ただし、高次脳機能障害を含む脳卒中の後遺症は一定の期間が過ぎてしまうと、リハビリ以外に有効な治療法がなく、そのリハビリも慢性期を過ぎると劇的な効果は期待できなくなります。 そのような状況において、リハビリ以外の選択肢として「再生医療」が新たな治療の選択肢として注目されています。 再生医療の効果にも個人差はありますが、例えば以下のような後遺症に対して、少しでも改善が期待できる選択肢です。 また、再生医療の治療効果は、脳卒中の発症後から早期であればあるほど改善が期待できます。 高次脳機能障害を根本的に治療したいとお考えの方は、当院の再生医療をご検討ください。
2025.03.08 -
- 脳梗塞
- 脳卒中
- 頭部
症状が軽い脳梗塞に対して「症状が軽ければ治るのか?」という疑問を抱いている方も多いのではないでしょうか。 脳梗塞の症状が軽い、あるいは症状が無いものは「無症候性脳梗塞」と呼ばれます。 本記事では、無症候性脳梗塞の危険性や見逃せない前兆、そして予防法と治療選択肢についてご紹介します。 軽い脳梗塞について疑問や不安がある方は、ぜひこの記事を参考にしてください。 無症候性脳梗塞とは?症状が軽い脳梗塞のリスク 脳梗塞の中には自覚症状がほとんどないタイプがあることをご存知でしょうか。 症状がない、あるいは軽い脳梗塞として「無症候性脳梗塞」と呼ばれる疾患があります。 無症候性脳梗塞の危険性 症状が軽いケースはラクナ脳梗塞が多い傾向にある 無症候性脳梗塞で後遺症を残さないためには早期発見が重要 本章では、無症候性脳梗塞について詳しく解説します。 無症候性脳梗塞の危険性 無症候性脳梗塞は、自覚症状がほとんどない、あるいは全くない脳梗塞の一種で、脳の血流が一時的に途絶えた状態です。 主にMRIやCTなどの画像検査で偶然発見されることが多く、脳ドックなどで初めてわかるケースが少なくありません。 しかし、自覚症状がないからといって安心はできません。無症候性脳梗塞を持つ人は持たない人に比べて脳卒中を発症するリスクが高くなります。 症状が軽いケースはラクナ脳梗塞が多い傾向にある 脳梗塞には主に、アテローム血栓性脳梗塞・心原性脳塞栓症・ラクナ梗塞の3種類に分類されます。 この中で、症状が軽いケースはラクナ脳梗であることが多いです。 ラクナ梗塞は、脳の細い血管(穿通枝)が詰まることで起こる脳梗塞で、脳の深部の白質部分に小さな病変ができるのが特徴です。 症状が軽い傾向にあるラクナ梗塞ですが、繰り返し発症すると次第に認知機能障害や歩行障害、排尿障害などを引き起こす可能性があります。 これは小さな梗塞が積み重なることで、脳の機能に徐々に影響を及ぼすためです。 無症候性脳梗塞で後遺症を残さないためには早期発見が重要 無症候性脳梗塞自体は発見された時点では後遺症がないことが多いのですが、放置すると新たな脳梗塞につながる可能性があります。 脳梗塞を繰り返すことで徐々に脳の機能に影響を及ぼし、最終的には認知機能の低下や運動障害などの後遺症につながることもあります。 後遺症を残さないためには早期発見と適切な治療が非常に重要です。 早期発見ができれば、生活習慣の改善などを行い、新たな脳梗塞の発症リスクを大幅に下げることができます。 軽い脳梗塞の前兆・初期症状と危険因子について 軽い脳梗塞や無症候性脳梗塞は自覚症状がほとんどないため発見が難しいものですが、重度の脳梗塞へと進行する前に何らかの前兆が現れることがあります。 これらの前兆や初期症状を見逃さないことが、深刻な事態を防ぐ鍵となります。 脳梗塞の前兆「一過性脳虚血発作(TIA)」 脳梗塞の初期症状を見逃さないための「FASTチェック」 脳梗塞の原因と危険因子 脳梗塞を少しでも早く発見できるよう、前兆や初期症状への理解を深めましょう。 脳梗塞の前兆「一過性脳虚血発作(TIA)」 一過性脳虚血発作(TIA: Transient Ischemic Attack)は、脳梗塞と同じ症状が一時的に起こり、通常は数分から数時間以内、多くは24時間以内に自然消失する状態を指します。 すぐに症状が消失したからといって、決して軽視してはいけません。 一過性脳虚血発作を経験した人の約3割※が、後に本格的な脳梗塞を発症します。 ※出典:先進医療.net「脳卒中の前触れ発作『一過性脳虚血発作(TIA)』とは」先進医療.net, 2018年1月5日 一時的な症状であっても、次の発作は軽いとは限らず、重度の脳梗塞になる可能性があります。 脳梗塞の初期症状を見逃さないための「FASTチェック」 脳梗塞が疑われる場合、迅速な行動が必要です。 脳梗塞を含む脳卒中の主な症状を簡単に確認できる方法「FASTチェック」を紹介します。 F(Face):顔の片側が下がる、または笑うと片側だけ動かない A(Arm):片方の腕が上がらない、または力が入らない S(Speech):言葉がはっきり話せない、ろれつが回らない T(Time):上記のFASの症状が見られたら発症時刻を確認し、すぐに救急車を呼ぶ 「FAS」の部分でひとつでも当てはまる症状があれば、脳卒中の可能性が高いと言われています。 脳卒中は症状が出てからの時間経過が治療効果を大きく左右するため、T(Time)が特に重要です。 「様子を見よう」と判断せず、すぐに119番通報し、救急車を呼ぶ行動が命を守ることにつながります。 脳梗塞の原因と危険因子 脳梗塞の主な原因は、動脈硬化や心臓の問題です。 動脈硬化には、頸動脈などの太い血管に起こるタイプ(アテローム硬化)と、脳内の細い血管に起こるタイプ(細動脈硬化)があります。 また、心房細動などの不整脈も、脳梗塞の重要な原因のひとつです。 脳梗塞の危険因子としては、以下のものが挙げられます。 高血圧:最大の危険因子で、長期間の高血圧は血管の壁を痛め、動脈硬化を促進する 糖尿病:血管を傷つけ、動脈硬化を進行させる 脂質異常症:悪玉コレステロールが多いと、血管の壁に脂肪が蓄積する 肥満:内臓脂肪からは血栓ができやすくする物質が出る 喫煙:血管を収縮させ、血液の粘性を高める 過度の飲酒:血圧上昇や不整脈の原因になる 運動不足:心臓や血管の機能を低下させる ストレス:血圧上昇や生活習慣の乱れにつながる これらの危険因子を持つ人は、無症候性脳梗塞や軽い脳梗塞のリスクも高いため、適切な生活習慣の改善と医学的管理が重要です。 特に複数の因子を併せ持つ場合は、より注意が必要となります。 軽い脳梗塞の予防方法 無症候性脳梗塞や軽い脳梗塞は、将来的な脳血管疾患のリスクを高める重要なサインです。 そこで未然に防ぐ予防法と、すでに軽い脳梗塞を経験している場合の再発防止策について紹介します。 生活習慣の見直しで脳梗塞を防ぐ 抗血小板薬で血液をサラサラにする 脳梗塞に対する再生医療について 本章では、日常生活での予防法から薬物療法、そして最新の再生医療までを解説します。 生活習慣の見直しで脳梗塞を防ぐ 無症候性脳梗塞や軽い脳梗塞の予防には、日常的な生活習慣の改善が効果的です。 以下のポイントに注意しながら、健康的な生活習慣を心がけましょう。 血圧管理: 目標値は140/90mmHg未満、家庭血圧135/85mmHg未満を目指す 食生活改善: 塩分摂取を1日6g未満に抑え、野菜、海藻類、食物繊維を積極的に摂取する 適度な運動: 1日30分程度のウォーキングなど有酸素運動を週3回以上 禁煙: タバコは血管を収縮させ、血液の粘性を高める 適量の飲酒: 純アルコール約20g程度(ビール500mlまたは日本酒1合)を上限とし、週に2日は休肝日を設ける 水分補給: 脱水を防ぐためこまめに水分を摂取する 定期的な健康診断: 年に一度は検査を受け、リスク因子を早期発見する これらの生活習慣の改善は、すぐに効果が現れるものではありませんが、継続することで確実に脳梗塞のリスクを下げることができます。 特に複数の危険因子を持つ方は、総合的な生活改善が重要です。 抗血小板薬で血液をサラサラにする 無症候性脳梗塞が見つかった場合、医師の判断により抗血小板薬の服用を勧められることがあります。 抗血小板薬は、血小板の働きを抑制し、血栓形成を予防することで脳梗塞の発症や再発リスクを低減します。 しかし、血液をサラサラにする抗血小板薬の使用には、出血リスクの増加という副作用(デメリット)もあります。 服用中は歯科治療や手術の際に事前申告が必要で、定期的な検査による効果と副作用のバランス確認が重要です。 自己判断での服用や中止は絶対に避けてください。 脳梗塞の再発予防には再生医療をご検討ください 脳梗塞の再発に関しては、幹細胞を活用した再生医療など新たな治療方法もあります。 再生医療の分野では、損傷した神経組織の修復を目指す研究が進められており、自己由来や他家由来の幹細胞を用いた細胞治療などが開発されています。 脳梗塞の再発予防をお考えの方は、再生医療も選択肢の一つとしてご検討ください。 当院「リペアセルクリニック」では、患者さま自身の幹細胞を採取・培養して投与する治療を行っています。 ご自身の幹細胞を利用するため、従来の手法に比べて副作用などのリスクが低いのが特徴です。 再生医療について詳しく知りたい方は、以下をご覧ください。 脳卒中は手術しなくても治療できる時代です。 脳梗塞の重症度を測る指標「NIHSS」 脳梗塞の重症度を客観的に評価する指標として、医療現場では「NIHSS(National Institutes of Health Stroke Scale)」※が広く用いられています。 ※出典:岡山市立市民病院 脳疾患センター 「解りやすいNIHSSの評価」 これは国際的に標準化された神経学的評価法で、意識レベル、視野、顔面麻痺、運動機能、言語機能など11項目を数値化し、合計0〜42点で重症度を判定します。 一般的に、0〜4点は「軽症」、5〜15点は「中等症」、16〜20点は「中重症」、21点以上は「重症」と分類されます。 無症候性脳梗塞や軽い脳梗塞はNIHSSスコアが低く(0〜4点程度)、日常生活に大きな支障がないレベルですが、それでも将来的なリスクがあることを忘れてはいけません。 医師による定期的な評価と適切な予防策が重要です。 【まとめ】症状が軽い無症候性脳梗塞は後遺症なしで治る可能性がある 無症候性脳梗塞は、自覚症状がほとんどないまま進行する脳梗塞で、MRIやCTなどの画像検査で偶然発見されることが多い疾患です。 発見時点では後遺症がなくても、放置すると繰り返し脳梗塞になる可能性があるため油断はできません。 予防・治療法としては、高血圧管理や生活習慣の改善、医師の判断による抗血小板薬の服用などがあります。 症状が軽い無症候性脳梗塞を早期発見できた場合は、適切な対策を講じて後遺症を予防しましょう。 しかし現在の医療において、慢性期を過ぎた脳卒中の後遺症にはリハビリテーション、再発予防には生活習慣改善といったように、根本的な解消を実現することは難しいのが現実です。 脳梗塞を含む脳卒中の再発予防に対しては、再生医療という選択肢もあり、特に当院が提供している幹細胞治療は注目を集めています。 脳卒中の再発率は高いものの、幹細胞治療は将来的に脳梗塞や脳出血を起こすかもしれない弱った血管を修復することが可能で、それが「脳卒中の再発を予防」につながります。 脳梗塞の再発予防や後遺症でお悩みの方で根本的な改善を望む方は、当院「リペアセルクリニック」にご相談ください。
2025.03.08 -
- 再生治療
- 脳卒中
- 頭部
- 脳出血
脳出血は再発リスクが高いと聞いて、再発が心配な患者さまやご家族も多いのではないでしょうか。 再発させないためには、生活習慣の改善や血圧の管理などが重要です。 この記事では、脳出血の再発率や症状、再発しないためにできることについて解説します。 脳出血の再発予防に効果が期待される再生医療についてもまとめているので参考にしてみてください。 脳出血とは?主な症状や再発率について 脳出血とは、脳卒中に含まれる疾患の一つで、脳内の血管が破れて出血する病気です。 脳出血とは 脳出血の主な原因 脳出血の再発率 以下では、脳出血の主な症状や原因、再発率について解説します。 脳出血とは 脳出血とは、脳内の動脈が破れて出血する病気です。 突然発症するケースが多く、出血した場所や出血の量によって症状が異なります。 突然の強い頭痛 吐き気 意識障害 片方の身体が麻痺する 言葉が出にくくなる 脳内で出血した血液は時間の経過と共に、皮膜に血液が溜まったりむくみになったりして、脳を圧迫します。 出血が多くなると、さらなる脳へのダメージにつながり頭痛や吐き気などを伴います。 重篤化すると命に関わる可能性もあるので、脳出血を再発しないための生活習慣や予防策が重要です。 脳出血の主な原因 脳出血の主な原因は、高血圧や動脈硬化です。 高血圧:血液が動脈を通る際の圧力が高い状態が続くと、血管へのダメージになる 動脈硬化:動脈の壁が硬くなり柔軟性が損なわれることで血管が詰まりやすくなる 高血圧や動脈硬化によって長年のダメージが血管に蓄積されると、血管がもろくなり、破れて出血する場合があります。 高血圧や動脈硬化は、生活習慣の見直しによって改善が期待できます。 脳出血の再発率 脳卒中の再発率は、発症後10年で55.6%※とのデータがあり、多くの患者さまが発症後1年以内に再発しています。 ※出典:PubMed 脳出血が再発しないための対策は、発症後早期に行いつつ、長い目でみていく必要があります。 とくに、以下のような方は注意が必要です。 50代以上 飲酒や喫煙の習慣がある 食生活の乱れ 運動不足 血圧の管理ができていない 50代以降の方は血管の柔軟性が低下しているため、再発率が高まる傾向にあります。 脳出血が再発すると症状が悪化したり、新たな後遺症が加わったりして日常生活に影響を与える可能性も考えられます。 そのため、脳出血を再発しないためには生活習慣や定期的な健康診断などの健康管理が重要です。 脳出血を再発しないためにできること 脳出血を再発しないためにできることを紹介します。 再発率が高い脳出血ですが、適切な健康管理や対策ができれば再発リスクの低下が期待できます。 継続的に血圧を管理する 食生活を改善して高血圧を防ぐ 運動習慣をつけて肥満対策をする 医師の指示に従って薬を服用する 転倒を予防する環境をつくる 定期検査で潜在リスクを早期に発見 一つずつみていきましょう。 継続的に血圧を管理する 脳出血を再発しないためには、以下のような継続的な血圧の管理が欠かせません。 日頃から血圧を測り記録する 塩分の摂取を抑える 血圧を下げる薬の服用 禁煙 血圧は、毎日同じ状態かつ同じ方法で測り、記録しましょう。 家庭で測る際の家庭血圧では、125/75mmHg未満※が正常値です。 ※出典:日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2019」 血圧が高い際や定期健診の際に医師に提出すると、適切な治療が受けられます。 また、喫煙は高血圧や動脈硬化を引き起こす作用があるので、禁煙も血圧の管理には重要です。 高血圧は脳卒中における大きな危険因子なので、再発しないためにも血圧には注意しましょう。 食生活を改善して高血圧を防ぐ 脳出血を再発しないためにできることの一つに食生活の改善が挙げられます。 以下のポイントを意識しましょう。 塩分を控える 野菜や果実を摂取する 脂肪分を摂りすぎない アルコールを控える 塩分の摂取量が多いと血圧が高くなるため注意しましょう。 高血圧の予防には、1日の塩分摂取量6g未満が目標とされています。※ ※出典:日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2019」 持病によって異なるので、主治医に塩分量を相談してみてください。 野菜や果物は塩分を排出する効果も期待できるので、適度に摂取しましょう。 また、長期間のアルコール摂取は血圧の平均値を上昇させ、高血圧の原因となるため注意が必要です。 運動習慣をつけて肥満対策をする 運動の習慣をつけることも、脳出血の再発防止に有効です。 おすすめの運動は、以下の通りです。 ウォーキング サイクリング 水泳 ラジオ体操 ストレッチ 以上のような有酸素運動は、血中の糖分や脂肪分を消費するので、血圧や血糖値を下げる効果が期待できます。 1日30分程度から、無理のない範囲で続けてみましょう。 医師の指示に従って薬を服用する 脳出血を再発しないためには、医師の指示に従って薬を正しく服用しましょう。 原因や患者さまの状態に合わせて、以下のような種類の降圧剤が処方されます。 血液をサラサラにする 血管を広げる 塩分や水分を輩出する また、忘れず服用し、自己判断で止めないようにしましょう。 薬についてお悩みの点があれば、薬剤師や医師に相談してください。 転倒を予防する環境をつくる 脳出血の後遺症として身体に麻痺が残る場合があります。 少しでも日常生活が送りやすいように、転倒を予防できる環境をつくりましょう。 40歳以上で要介護認定を受けている場合、介護保険を活用してレンタルもできます。 杖:麻痺やふらつき、めまいがある場合 手すり:床と天井に設置する「突っ張りタイプ」や床に手すりがついている「据え置きタイプ」 介護用のベッド:高さやリクライニングの角度を細かく調整できる 杖や手すりがあると転倒の防止だけでなく、歩きやすくなるのでリハビリにつながります。 また、介護用ベッドはベッドからの起き上がりや立ち上がりの際の転倒が予防できるため、片麻痺が残っている方におすすめです。 定期検査で潜在リスクを早期に発見 定期検査で潜在リスクの早期発見をすることは、脳出血の再発予防に欠かせません。 脳出血の原因である動脈硬化や高血圧、糖尿病などは、患者さま自身では症状に気づきにくい場合があるためです。 検査では、血液検査や尿検査、MRIやCTを使用して脳の状態を確認する脳ドッグなどを行います。 早期に発見できれば重症化を防げる可能性があるため、症状がなくても定期的に検査を受けましょう。 【年代別】脳出血の再発を防ぐ対策 脳出血の再発を防ぐ対策を年代別に紹介します。 40〜50代の再発防止策 高齢者の再発防止策 年代ごとに対策のポイントが異なるので、詳しくみていきましょう。 40〜50代の再発防止策 40~50代の脳出血の再発対策は以下の通りです。 ウォーキングやストレッチなどの定期的な運動 生活リズムを整える ストレスの管理 定期的な健康診断 とくに40~50代の方は、生活習慣を改善するのが脳出血の再発を防ぐポイントです。 ストレスは高血圧の原因の一つです。家庭や仕事のストレスは適度な運動や趣味で発散しましょう。 また、40~50代の方は仕事や育児で多忙な方も多いことでしょうが、定期的な健康診断を受けて再発を早期に発見できるようにしましょう。 高齢者の再発防止策 高齢者の方の再発防止策は以下の通りです。 高血圧を予防する 医師による定期的な診察を受ける 薬を指示通りに正しく服用する 柵や杖などで転倒を防止する 高齢者の方は老化によって脳出血が起こりやすいので、再発に注意したい年代です。 血圧は定期的に計測し、記録しておきましょう。 また、食生活も高血圧と深い関わりがあるため、塩分を控えて、野菜やフルーツを意識して摂取しましょう。 脳出血を再発しないために再生医療による治療をご検討ください 脳出血の再発予防に、再生医療による治療が注目されています。 再生医療の治療方法や当院が扱う再生医療の特徴について紹介します。 再生医療とは 当院(リペアセルクリニック)の特徴 脳出血を再発しないための選択肢として参考にしてみてください。 再生医療とは 再生医療とは患者さま自身の細胞の力を用いて、入院や手術なしで脳出血の再発予防ができる可能性がある治療法です。 治療で用いられる幹細胞は、損傷した血管や組織の修復や再生を促す働きがあります。 脳出血の患者さまが再生医療を受けた際に期待できる効果は以下の通りです。 弱った血管の修復や新しい血管の再生による再発予防 脳細胞の修復による後遺症の回復 再生医療は、脳出血を発症して損傷した血管だけでなく、再発のリスクになりえる弱った血管の修復にも期待できます。 脳出血を再発しないための治療法をお探しの方は、再生医療を検討しましょう。 当院(リペアセルクリニック)の特徴 当院が扱う再生医療の特徴について紹介します。 厚生労働省から受理された自己脂肪由来幹細胞治療を行う 独自の培養技術で生存率・活動率が高い幹細胞を投与できる 一度に最大2億個の幹細胞を投与できる 当院の自己由来幹細胞治療では、患者さまの細胞を用いるためアレルギーや拒絶反応のリスクが少ない点が特徴です。 また、独自の培養技術で生存率・活動率が高い幹細胞を一度に2億個も投与できます。 高品質な幹細胞を一度に大量に投与できるため、治療成績も良好です。 【まとめ】脳出血を再発しないために危険因子を防ぐことが重要! 脳出血を再発しないためにできることは、血圧の管理や食生活の改善、正しい薬の服用などです。 生活習慣を見直して高血圧や動脈硬化、糖尿病などの危険因子を防ぎましょう。 また、当院では脳出血の再発予防に効果のある再生医療を取り扱っています。 再生医療による治療を検討している方はお気軽にご相談ください。
2025.03.07 -
- 再生治療
- 頭部、その他疾患
脳血管性認知症は、脳梗塞などの脳血管障害を原因として発症する認知症です。 物忘れが激しくなった、曜日や日付が思い出せないなど日常生活に大きな影響を及ぼします。 症状改善のために「どのようなリハビリを行うのが良いかわからない」という方もいるのではないでしょうか。 本記事では、脳血管性認知症に対してどのようなリハビリを行うかを詳しく解説します。 具体的なリハビリの方法や、再生医療による治療についても紹介します。 脳血管性認知症の治療法にお悩みの方はぜひ参考にしてください。 脳血管性認知症とは 脳血管認知症は、脳梗塞や脳出血などによって引き起こる認知症です。 認知症の中ではアルツハイマー型に次いで多く、約20%を占めています。男女別では男性の割合が多くなっています。 ※筑波大学精神神経科 脳血管認知症の症状は個人差があり、損傷した脳血管の箇所によっても差があります。 以下では、詳しい症状や原因について解説します。 脳血管性認知症の症状 脳血管性認知症の原因 症状や原因を知り、脳血管認知症の早期発見・予防に努めましょう。 脳血管性認知症の症状 脳血管性認知症の主な症状は、以下の通りです。 記憶障害 したことを忘れる 物をどこに置いたか忘れる 見当識障害 日付や曜日がわからない 麻痺 手足の麻痺、動かしにくさなど 嚥下障害 飲み込みにくい 感情失禁 怒りやすい・落ち込みやすいなど感情のコントロールが難しくなる。 抑うつ症状 鬱状態になる、意欲がなくなる 基本的な症状は認知症と変わりません。しかし、障害を受けていない箇所の機能は保たれるため、できることとできないことの差が生じるのが特徴です。 時間によっても症状に差が見られるため、「まだら認知症」と呼ばれます。 できないことを本人も自覚しているため、他の認知症よりも気分が落ち込みやすい、怒りっぽくなるケースがあります。 脳血管認知症の原因 脳血管認知症は、脳梗塞や脳出血などによる脳の血管障害によって引き起こされます。 そのため、脳梗塞や脳出血と危険因子は同じであり、動脈硬化を引き起こす糖尿病や高血圧、高脂質症、肥満、飲酒などが発症のリスクを大幅に高めます。 早い段階から歩行障害などの身体機能の低下がみられるケースもあり、排尿障害などの症状が出る可能性もあります。 脳血管性認知症とアルツハイマー型認知症との違いは? アルツハイマー型認知症と脳血管性認知症の違いは、以下の通りです。 アルツハイマー型認知症 物忘れのような記憶障害から始まる。認知機能障害が徐々に広がり、顕著になっていく。 近い時期の記憶から徐々に忘れていく。 脳血管性認知症 障害を起こした部位によって症状が異なる。 症状にバラつきがある。覚えていることと忘れていることの差が大きい。日によって症状が異なる場合がある。 アルツハイマー型認知症は、記憶障害の後に認知機能障害に広がっていきます。最初は物忘れのような症状で、次第に行動そのもの(食事を摂ったかなど)を忘れるようになります。 アルツハイマー型認知症の根本的な治療は難しいですが、進行を遅らせる薬があります。対して、脳血管性認知症は脳出血などを予防することで再発・進行の抑制が期待できます。 脳血管性認知症に対するリハビリテーション 脳血管性認知症に対するリハビリテーションは主に以下の5つです。 五感を使った認知刺激療法 日常生活の動作訓練 歩行などの運動訓練 言語機能改善のためのコミュニケーション訓練 嚥下障害がある場合は基礎訓練(関節訓練) 脳血管性認知症の症状は多岐にわたりますので、症状が多い場合には多くのリハビリを行わなければなりません。 五感を使った認知刺激療法 認知刺激療法は非薬物療法のひとつで、具体的に以下の活動をします。 塗り絵、習字などの創作 簡単な計算 パズル 音楽活動 興味のあることについてのディスカッション 認知刺激療法は、見る・聞く・触ることによって五感を刺激し、脳の活性化や認知機能の改善を狙う治療法です。 音楽療法、アロマテラピー、ペットセラピーなどが認知刺激療法に含まれます。 効果のある治療法は患者さまによって異なるので、医師の判断によってリハビリ内容が検討されます。 日常生活の動作訓練 脳血管性認知症では、手足が動かしにくくなる症状が現れるケースがあります。そのため、動作訓練では手足を動かしやすくする運動を行います。 関節が動く範囲を広げる運動 着替えやトイレなど日常で必要な動作の練習 関節の柔軟性を保つためのストレッチ 日常生活が送れるほど手足が動く場合は省略されますが、手足が動かない場合は関節の可動域を拾げる運動などが行われます。 また、日常生活をスムーズに送れるように、着替えやトイレなどの動作訓練も実施します。 歩行などの運動訓練 脳血管性認知症のリハビリでは、脳血管障害を予防するための運動訓練も重要です。 ウォーキング サイクリング 水中歩行 水中での訓練は身体への負担を軽減できるため、体を動かすリハビリに適しています。 10分程度の軽い運動でも実行機能の向上が期待できます。 無理なリハビリは気分が落ち込んでしまうケースがあるので、無理のない範囲でリハビリを行いましょう。 言語機能改善のためのコミュニケーション訓練 脳血管性認知症では、失語症などの言語障害が生じるケースがあるので、家族や介護者との日常会話を通して治療していきます。 言葉だけでなくジェスチャーやスキンシップを取り入れて会話することで、発話だけでなく手指の運動機能や状況理解の障害も回復する可能性があります。 嚥下障害がある場合は基礎訓練(関節訓練) 脳血管性認知症では、食べ物を飲みこむ際に障害が生じるケースがあります。このような嚥下障害が起こった場合、以下のリハビリが行われます。 舌、頬のマッサージ 食前の嚥下体操 水分、ゼリーを飲み込む訓練 舌、頬のマッサージなどを行う基礎(間接)訓練や、食べ物を用いて嚥下機能の回復を狙う直接(摂食)訓練が行われます。 一般的に基礎訓練から始まり、実際に食べる・飲む訓練(摂食訓練)に移行していきます。 脳血管性認知症に対するリハビリ以外の治療法は? 脳血管性認知症にはリハビリ以外の治療法は主に2つあります。 薬物療法 再生医療 それぞれの治療法の特徴について詳しく解説します。 薬物療法 脳血管性認知症に対する薬物療法では、血圧降下剤や抗血栓薬のほか、自発性や意欲の低下に効果のある薬が処方されます。 また、アルツハイマー型認知症などの治療に用いられる認知機能低下を抑制する薬などが処方される場合もあります。 患者さまの低下している機能によって処方される薬は異なりますので、医師と相談のうえ、用法・用量を守って服薬しましょう。 再生医療 脳血管性認知症を治すには、損傷した脳血管や神経の回復が期待できる再生医療による幹細胞治療が注目されています。 当院(リペセルクリニック)の再再生医療は、患者さま自身の幹細胞を利用するため、拒絶反応やアレルギーのリスクが低い治療法です。 また、脳血管性認知症の原因となる脳卒中などの脳血管障害の再発防止や症状緩和の効果も期待できます。 早めに治療を開始した方が治療成績は良好ですが、数年経過していても回復する見込みがある場合もあります。 再生医療による治療を検討している方は、当院(リペアセルクリニック)にご相談ください。 脳血管性認知症の原因となる脳梗塞の再発予防が重要 脳血管性認知症を予防するには、原因となる脳梗塞などの脳血管障害の再発予防が重要です。 生活習慣の改善 家族のサポートも大切 脳血管性認知症の予防や再発防止は、本人だけでなく周囲の方の協力が不可欠です。 生活習慣の改善 脂質や塩分の低い食事を摂る、飲酒を控えるなどの工夫が必要です。 また、日々の運動を心掛けましょう。1日20分の有酸素運動で糖尿病の予防に効果があります。無理のない範囲で日常に運動を取り入れてください。 以下の動画では、脳梗塞の予防に効果的な食品を紹介しているので、ぜひ参考にしてください。 家族のサポートも大切 脳血管性認知症の患者さまには家族のサポートも重要です。症状を進行させないための環境づくりを行いましょう。 転倒を防止するために手すりをつける、段差をなくすなどが効果的です。 しかし、本人ができないことをすべて代わりに行うのではなく、適度なサポートにとどめてください。 塗り絵・音楽活動・料理など、家族と一緒にできるリハビリもあります。患者さまの気持ちに寄り添い、できることを増やしていきましょう。 【まとめ】脳血管性認知症はリハビリと脳梗塞の再発予防が重要! 脳血管性認知症は、脳梗塞などの脳血管障害によって引き起こされる認知症です。 リハビリを行うことも重要ですが、一番大切なのは家族の理解と協力です。患者さまに寄り添いながらリハビリを行っていきましょう。 また、原因となる脳梗塞などを予防するために食事や運動の習慣を改善しましょう。 再生医療は、脳梗塞などの脳血管障害の再発予防・症状緩和に効果的な治療法です。脳血管性認知症の症状にお悩みの方は、ぜひご検討ください。
2025.03.07 -
- 脳梗塞
- 脳卒中
- 頭部
脳梗塞を発症し、怒りっぽい性格になった方はいませんか。 怒りっぽい性格になったように感じるのは、後遺症の1つである「社会的行動障害」の症状が原因となっている可能性があります。 本記事では、脳梗塞の後遺症で怒りっぽくなる理由や、後遺症の治療方法について、詳しく解説します。 脳梗塞の後遺症である「高次脳機能障害」の症状は、周囲からはわかりにくい特徴があります。 脳梗塞後に怒りっぽい性格になった場合は、家族や友人へ症状を伝え、必要なサポートを受けましょう。 脳梗塞の後遺症で怒りっぽい性格になるのは本当? 脳梗塞の後遺症で怒りっぽい性格になった場合は、以下のような原因・特徴があります。 性格の変化は「社会的行動障害」の症状の一つ 自分では性格の変化を認識できないことが多い 社会的行動障害の症状が現れている可能性があります。 社会的行動障害になると、感情や行動のコントロールに困難感を感じ、二次的に意欲・活動性の低下が起こるのが特徴です。 性格の変化は自分自身で気づくことが難しく、周囲の方に指摘されて初めて後遺症に気づく場合が大半です。 性格の変化は「社会的行動障害」の症状の一つ 脳梗塞発症後の性格の変化は、社会的行動障害の可能性があります。 社会的行動障害とは、後遺症である高次脳機能障害の一つで、感情のコントロールが難しくなったり、暴言や大声を発したりする症状がみられます。 感情コントロールが上手くできずに人間関係に悩む方もいるため、社会的行動障害について周囲も理解を深めることが大切です。 自分では性格の変化を認識できないことが多い 脳梗塞後の性格の変化は、自分自身で症状を認識することが難しい特徴があります。 「温厚だった人が怒りっぽくなった」「意欲がない」などの症状は、脳梗塞の後遺症にみられる症状です。 怒りっぽい性格になり暴言や大声を発したりすることで、周囲の人との関係が上手くいかなくなり、抑うつ状態になる場合もあるため家族や周囲のサポートが必要です。 脳梗塞の後遺症で起こる「高次脳機能障害」の症状はさまざま 脳梗塞の後遺症で起こる高次脳機能障害には、以下の症状があります。 記憶障害 注意障害 遂行機能障害 社会的行動障害 脳梗塞の発症部位によって、症状の程度や現れる後遺症は異なります。 高次脳機能障害がみられる方は、周囲へ症状を伝えたり医療機関を受診したりして、適切な支援を受けましょう。 記憶障害 脳梗塞後に以下の症状がある場合は、高次脳機能障害の1つである記憶障害の可能性があります。 数秒前に言ったことを忘れてしまう 人や時間、場所がわからなくなる 事実とは違う話をする 脳梗塞になる前のことを忘れてしまう 人や場所がわからなくなる症状(見当識障害)が現れると、家族や友人を認識できなくなる場合もあり、孤独感を感じやすくなります。 記憶障害による孤独感は、感情のコントロールへも影響が出るため注意が必要です。 短期記憶に障害が生じると、物忘れが激しくなったり、作り話で記憶障害を隠したりする場合があります。 記憶障害のある患者様の作り話に悪意はないため、矛盾点を強く指摘しないことが大切です。 注意障害 高次脳機能障害の1つである注意障害がみられる場合は、以下の症状が現れます。 反応が鈍くなる 気が散りやすい 作業中のミスが増える 特定の物事に固執してしまい切り替えが難しくなる 注意障害では、集中力が低下し固執性が強くなる症状が現れるため、仕事でミスをしやすくなります。 日常生活で集中力を必要とする作業は、高次脳機能障害の患者様に大きな負担がかかるため注意が必要です。 遂行機能障害 脳梗塞後に高次脳機能障害の一つである遂行機能障害がみられる場合があります。 遂行機能障害とは物事を進める能力が低下する障害で、以下の症状が現れます。 物事の計画ができない 衝動的に行動する 複数の作業に優先順位をつけられない 自主的に行動ができない 遂行機能障害の程度には個人差があり、具体的な診断基準はありません。 そのため認知機能テストで遂行機能障害の程度を把握し、症状に合わせた認知リハビリテーションで遂行機能の向上を目指します。 社会的行動障害 社会的行動障害は感情や行動のコントロールが難しくなり、以下の症状が現れます。 感情のコントロール障害 易怒性 金銭管理の困難感 意欲・活動性の低下 固執 抑うつ 感情のコントロール障害や易怒性は、二次的に意欲・活動性の低下につながります。 社会的行動障害では自身の欲求を抑えられずに、金銭トラブルに発展する例もあり注意が必要です。 意欲・活動性が低下すると抑うつ傾向になるため、社会参加や対人関係にも困難感を感じやすくなります。 脳梗塞後に怒りっぽい性格になった場合に家族ができること 脳梗塞後に怒りっぽい性格になった場合に、患者様の家族ができることは以下の2つです。 後遺症を理解し本人の意思を尊重する 専門家に相談することも重要 性格の変化は患者様自身で気づくことが難しく、家族から受診をすすめられても断られるケースがあります。 脳梗塞患者様の家族は、後遺症の問題を抱え込まないように、周囲の支援を受けることが大切です。 後遺症を理解し本人の意思を尊重する 脳梗塞後に性格の変化がみられる場合は、症状を理解し本人の意思を尊重しましょう。 本人は後遺症に気づいていない場合もあり、周囲から指摘されて初めて症状に気づくケースが大半です。 家族は後遺症による不安や悩みなどを傾聴し、適切な治療が受けられるように支援することが大切です。 専門家に相談することも重要 脳梗塞後に怒りっぽい性格になった場合は、医療者や行政機関などの専門家に相談することも重要です。 家族が本人に悩みを聞いても、強く拒まれ適切な治療を開始できない場合があります。 また、怒りっぽい性格は対人トラブルを招きやすく、家族も大きなストレスを抱えてしまう可能性があります。 怒りっぽい性格が社会的行動障害に起因する場合は、障がい者支援や介護保険サービスが利用できることもあるため、専門家に相談しましょう。 脳梗塞後の高次脳機能障害に対する治療方法 脳梗塞後の高次脳機能障害には、以下の3つの治療方法があります。 リハビリ 薬物療法 再生医療 高次脳機能障害にはさまざまな種類があり、症状の程度も個人差があります。症状に合わせた治療方法を検討し、後遺症を緩和していくことが大切です。 リハビリ 脳梗塞後に高次脳機能障害になった場合は、以下のような認知機能にアプローチするリハビリテーションを行います。 自分自身の言動を振り返る 記憶障害の代償方法を身につける グループ活動で自身を客観的に捉える 高次脳機能障害は、自身の言動を客観的に捉えて理解することで、症状の緩和を目指します。 本人が興奮状態にあるうちは自身を振り返ることが難しいため、場所や時間などを変え冷静になってから振り返りを行いましょう。 薬物療法 脳梗塞で意欲の低下や感情コントロールの困難がみられる場合の治療法に、薬物療法があります。 脳梗塞後の後遺症に対する薬物療法は、精神的な症状を改善する薬剤や脳梗塞の再発を防ぐ薬を使用します。 薬物療法は症状の軽減を目的とするため、リハビリや専門家のサポートと並行して行いましょう。 再生医療 脳梗塞後の高次機能障害に対する治療方法の1つに、再生医療があります。 再生医療は患者様自身の細胞を利用して損傷した組織の修復を促す治療法で、以下の特徴があります。 脳梗塞の後遺症を治療する際は、リハビリテーションと並行して再生医療を受けると、症状の改善に期待できます。 脳梗塞の後遺症でお困りの方は、当院(リペアセルクリニック)へお気軽にご相談ください。 【まとめ】脳梗塞後に怒りっぽい性格になったら高次脳機能障害の治療を行いましょう 脳梗塞後に怒りっぽい性格になった際は、高次脳機能障害の治療を行いましょう。 高次脳機能障害の症状改善には、リハビリや薬物療法、再生医療による治療があります。 脳梗塞の後遺症は個人差があり、患者様に合った治療を組み合わせて症状の改善を目指すことが大切です。 高次脳機能障害でお悩みの方は、当院(リペアセルクリニック)の再生医療をご検討ください。
2025.03.07 -
- 脳梗塞
- 脳卒中
- 頭部
脳梗塞の後遺症でふらつきやめまいが出現し、お困りの方はいませんか。 脳梗塞は、血の塊(血栓)が脳血管をふさぎ、発症部位より先の血流が滞ることで脳細胞が壊死する疾患です。 後遺症で出現するふらつきは、体幹失調が原因の可能性があります。体幹失調は、胴体のバランスが取りづらく、スムーズに身体を動かせない状態です。 本記事では、脳梗塞の後遺症によってふらつきが出現する原因や、めまいの特徴について詳しくご紹介します。 ふらつきやめまいは発症からの日数によって、症状の特徴が異なります。経過に合ったリハビリテーションを行い、脳梗塞によるふらつきを改善しましょう。 脳梗塞の後遺症でふらつく原因 脳梗塞の後遺症でふらつく主な原因は、体幹失調が起こるためです。体幹失調とは、脳と胴体の連携が十分にできず、バランスを取ることが困難になる状態です。 脳梗塞は血の塊(血栓)が脳血管で詰まる疾患で、梗塞部位より先の血流が滞り脳細胞が壊死します。 脳細胞が壊死すると、脳は身体を動かす指令を伝達できなくなる恐れがあるため注意が必要です。 体幹失調とは 体幹失調とは、脳梗塞の後遺症で起こる可能性がある運動失調の一種で、以下の特徴が現れます。 座っているときにグラグラする 足を大きく開いて歩く 手足の動きがバラバラになる 千鳥足のような歩き方になる 体幹失調は歩行時に症状が目立ちますが、身体のバランスが悪くなるため座っているときにも症状が現れる場合があります。 脳梗塞で体幹失調が起こるメカニズム 脳梗塞によって脳幹や特定部位が損傷すると、体幹失調が起こる可能性があります。体幹失調のメカニズムは、以下のとおりです。 脳幹に血栓が詰まり、発症部位より先の血流が遮断される 血流が減少し脳細胞が壊死する 身体へ指令を出す脳幹やバランスを取るための小脳や前庭迷路が機能しづらくなくなる 歩行時にふらつき症状やめまいが出現する 脳は、神経に身体を動かす指令を送る役割を担っています。 脳血管の一部の血流が遮断されると、身体をスムーズに動かせなくなり、日常生活にも支障をきたす恐れがあります。 脳梗塞の後遺症による「めまい」の特徴 脳梗塞の後遺症による「めまい」は、大きく以下の3つに分けられます。 めまいの種類 特徴 回転性めまい ぐるぐると回っているように感じる 浮遊性めまい ふわふわと宙に浮いているように感じる 前失神性めまい 立ちくらみ同様、目の前が突然真っ暗になったように感じる めまいが起こると、自分自身が動いていなくても動いているように感じ、周囲からはふらついている状態に見えます。 脳梗塞によるふらつき・めまいの症状の変化 脳梗塞によるふらつきやめまいでは、発症してからの日数によって症状が変化します。 症状に合わせて、適切な治療やリハビリテーションを受け、ふらつきを改善していくことが重要です。 発症直後 脳梗塞の発症直後は、ぐるぐると回っているように感じる「回転性めまい」が出現しやすく、重いふらつき症状が現れます。 発症直後の回転性めまいは重度で、自分自身で立位を保つことは困難です。 以下の脳梗塞の初期症状(一過性脳虚血発作)がみられた場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。 口が閉まりにくい ろれつが回らない 言葉が出ない 片麻痺 めまいやふらつきがある 視野が狭くなる 治療せずに放置すると重い後遺症が出る恐れがあるため、早期発見・早期治療を行うことが大切です。 脳梗塞の初期症状や発症原因については、以下の記事で詳しく解説していますので、合わせてご覧ください。 数日〜数週間経過後 脳梗塞の発症から数日~数週間経過すると、回転性めまいの症状が軽減する場合があります。 しかし、平衡感覚障害やふらつきが残る場合があるため、リハビリが重要です。 歩行時のふらつきやめまいがあるときは、無理に動かず、医療者の指示に従いましょう。 治療後 脳梗塞の治療後は、後遺症としてふらつきやめまいが出る場合があります。 後遺症でめまいやふらつきがある方は、治療やリハビリテーションを継続し、転倒リスクの軽減を図ることが大切です。 脳梗塞の後遺症によるふらつき改善に重要なリハビリテーション 脳梗塞の後遺症によるふらつきを改善するには、以下のリハビリテーションを行うことが重要です。 リハビリテーションで効果を得られるように、適切なリハビリ方法を確認しましょう。 フレンケル体操 脳梗塞の後遺症によるふらつきに効果的なリハビリテーションの1つに、フレンケル体操があります。 フレンケル体操は、小脳を原因とした運動失調に有用なリハビリテーションで、身体の位置感覚や運動バランスを改善するために行われます。 体操の運動項目は120種類以上あり、後遺症の程度や病状に合わせて選択するのが一般的です。 仰向けで行う方法 両足のかかとを床につける 片足をすべらせるように動かし、膝の曲げ伸ばしを行う かかとを床につけたまま、片膝を曲げた状態で股関節を内外に動かす 片膝を立てた状態で股関節を内外へ動かす 椅子に座って行う方法 椅子に座り、数分間姿勢を保持する 足の前に目印を置き、片方のつま先でタッチして元の姿勢に戻る 足を閉じて立ち上がり、再度椅子に座る 無理のない範囲でフレンケル体操を実施し、身体の平衡感覚の改善を目指しましょう。 前庭リハビリテーション 脳梗塞の後遺症でふらつきがみられる場合に、前庭リハビリテーションを行う方法があります。 前庭リハビリテーションは、歩行や姿勢の保持など、日常生活動作の改善を目的として行われる反復訓練です。 リハビリテーションを行うことで、平衡感覚をつかさどる前庭の機能を改善し、ふらつき症状やめまいの軽減が期待できます。 椅子に座って行う方法 体の正面で腕を伸ばし、親指を目の高さに持ってくる 親指を見ながら頭を左右・上下に動かす 立って行う方法 目を開けたまま足を閉じて立ち、前後左右に身体を傾ける 1ができたら、目を閉じて立ち、前後左右に身体を傾ける 椅子に座って行う方法や、立って実施する訓練ができたら、歩行訓練を行います。 歩行時は身体を静止しているときと比べて転倒リスクが高いため、注意して実施しましょう。 脳梗塞の後遺症によるふらつきにお困りの方は再生医療をご検討ください 脳梗塞の後遺症によるふらつきにお困りの方は、後遺症の根本的な治療を目指せる再生医療を検討してみましょう。 再生医療とは、体が持つ再生能力を利用して一度壊死した脳細胞を再生させる医療技術のことで、脳機能の回復が期待できます。 また、リハビリと並行して再生医療を行うことで身体機能の回復効果を高め、治療期間の短縮にもつながります。 リペアセルクリニックでは、患者さまの症状に適したリハビリの訓練や指導が行えるよう、医師の他に理学療法士や柔道整復師などの専門資格を持つチーム体制が整っています。 脳梗塞の後遺症でお悩みの方は、ぜひ当院(リペアセルクリニック)にご相談ください。 【まとめ】脳梗塞の後遺症によるふらつき改善にはリハビリが重要 脳梗塞の後遺症によるふらつき改善には、症状に合ったリハビリが重要です。 適切なリハビリテーションを行うことで、ふらつきが改善され、転倒リスクが低減します。 後遺症のめまいやふらつきが改善せずお困りの場合は、リハビリテーションと並行して再生医療による治療も検討しましょう。 当院(リペアセルクリニック)の再生医療は、厚生労働省に受理された治療法で、後遺症の改善だけでなく脳梗塞の再発予防も期待できます。 脳梗塞の後遺症によるふらつきにお悩みの方は 、当院(リペアセルクリニック)へお気軽にお問い合わせください。
2025.03.07 -
- 脳卒中
- 再生治療
- 頭部
- 脳出血
脳の中でも生命維持に関わる重要な部位である脳幹での出血は特に深刻とされています。 脳幹出血を経験した患者さまやご家族は、回復の見込みはあるのか?不安を抱えていることでしょう。 この記事では、脳幹出血の回復見込みについて複数の医学論文のデータも合わせて解説します。 脳幹出血は重篤な疾患ですが、適切な治療と早期からのリハビリによって機能回復の可能性を高められることがわかります。 脳幹出血に回復の見込みはあるのか【論文データについても解説】 脳幹出血に回復見込みはどの程度あるのでしょうか? ここでは複数の医学論文のデータも合わせて脳幹出血後の回復率や死亡率、また回復に影響する要因について解説します。 脳幹出血から良好回復した方は約6.1% 患者の予後は61%が死亡例というデータも 脳幹出血を発症した時の意識状態が予後に影響 発症1か月時点で半年後の歩行能力が予測可能 意識状態や年齢といった要素が予後にどう関わるのか、また発症初期の状態から将来の機能回復をどの程度予測できるのかについても解説します。 脳幹出血から良好回復した方は約6.1% 脳幹出血患者を対象とした研究※では、発症から3ヶ月後の転帰として「良好な回復」が得られたのは全体の6.1%でした。 ※出典:ScienceDirect その他の転帰としては「中等度障害」12.7%、「重度障害」12.7%、「植物状態」10.8%、そして「死亡」が57.5%となっています。 ただし、脳幹出血の死亡率は研究によって幅があり、対象患者の状態や年齢層、医療体制などの違いが影響していると考えられます。 上記から脳幹出血は重篤性がありますが、良好な回復を遂げる可能性もあることがわかります。 患者の予後は61%が死亡例というデータも 国立病院機構災害医療センターによる脳幹出血患者を対象とした研究では、退院時の予後として死亡例が61%、生存例が39%※という結果が報告されています。 ※出典: 脳幹出血患者の予後に関する臨床的検討 また、生存例の詳細は以下のようになっています。 良好な回復:3% 中等度障害:9% 重度障害:13% 植物状態:14% この研究では年齢層による死亡率の差も分析されており、70歳以上の患者の死亡率は79%、70歳未満では57%と高齢なほど死亡率が高い傾向が見られましたが、統計学的な有意差は認められていません。 つまり、年齢と死亡率の間に明確な相関関係があるとは言えないものの、数値としては高齢者ほど予後不良となる可能性が高いことがわかります。 脳幹出血を発症した時の意識状態が予後に影響 脳幹出血患者の予後を左右する重要な因子として、発症時の意識状態が挙げられます。 国立病院機構災害医療センターの研究では、来院時の運動機能スコア(M1~M6)と予後の関係について詳細な分析※が行われました。 ※出典: 脳幹出血患者の予後に関する臨床的検討 結果として、M1(全く動かない)の患者21例の死亡率は86%、M2(痛み刺激に対して除脳硬直)の患者25例の死亡率は76%と非常に高い割合でした。 脳幹出血発症時の意識レベルは患者の予後を予測する上で非常に重要な指標であり、特に重度の意識障害を伴う場合は、死亡リスクが著しく高まるということがわかります。 発症1か月時点で半年後の歩行能力が予測可能 脳幹出血患者の半年後の歩行能力は、発症1ヶ月時点での評価で高い精度で予測できる※ことが明らかになりました。 ※出典: 脳幹出血患者の予後予測. 脳卒中の外科 17例の脳幹出血患者を観察した研究では、1ヶ月時点で以下の条件を満たす患者は半年後に歩行能力を獲得できる可能性が高いことが示されています。 特に、端座位保持能力と歩行機能の間には強い関連があり、1ヶ月以内に端座位を自力保持できた患者はほぼ全例が半年後に歩行可能となっています。 脳幹出血の改善には早期のリハビリが重要 脳幹出血は重篤な後遺症をもたらす可能性が高いため、機能回復に向けた計画的なリハビリテーションが重要です。 リハビリは以下の3段階に分けて進められます。 急性期のリハビリ 回復期のリハビリ 維持期のリハビリ 本章では、各時期のリハビリの特徴と重要なポイントについて詳しく解説します。 急性期のリハビリ 急性期(発症直後2週間〜1ヶ月程度)のリハビリテーションは、二次的合併症の予防と早期の機能回復に重点を置きます。 急性期は全身状態に注意した上で主に以下のリハビリを行います。 関節可動域訓練(関節が固まるのを防ぐ) ベッド上での寝返り訓練 座位訓練(上体を起こす練習) 嚥下(えんげ)訓練 車いすへの移乗訓練 立位・歩行訓練(状態に応じて) 言語機能の回復訓練 ストレッチ運動 近年の研究では、早期からリハビリを開始した患者の方が、長期的な予後や後遺症の改善に良い効果が見られています。 回復期のリハビリ 回復期(3〜6ヶ月程度)のリハビリテーションでは、急性期で回復しなかった機能や後遺症の改善を目指します。 回復期には、主に以下のリハビリを行います。 生活に必要な基本動作訓練(立つ、座る、歩くなど) 日常生活動作(ADL)訓練(食事、着替え、トイレなど) 麻痺の改善訓練(促通訓練) 筋力増強訓練 痙縮(けいしゅく)対策(ストレッチや薬物療法) 高次脳機能訓練 嚥下・構音訓練 装具の使用訓練 この時期には一般的に回復期リハビリテーション病棟へ転院し、集中的なリハビリを行います。 維持期のリハビリ 維持期(発症6ヶ月以降)は「生活期」とも呼ばれ、回復した機能の維持と社会生活への復帰を目指す時期です。 この時期は在宅で生活しながら、以下のようなリハビリを継続します。 物理療法(病院で実施) 自宅でのストレッチや筋力訓練 散歩やラジオ体操などの日常運動 生活に必要な動作の確認と練習 装具の調整とメンテナンス デイケアや訪問リハビリの活用 社会参加を促す活動 再発予防のための生活習慣指導 継続的なリハビリと生活習慣の改善により、機能維持と再発予防を両立させることが重要です。 脳幹出血にはどのような後遺症がある? 脳幹出血には、主に以下の後遺症が出る場合があります。 後遺症の種類 主な症状 運動麻痺 手足が思うように動かせない 感覚障害 触覚や痛覚の異常、しびれ 嚥下障害 飲食物の飲み込みが困難 構音障害 発音がうまくできない、呂律が回らない 眼球運動障害 物が二重に見える、まぶたが開かない 自律神経障害 体温調節障害、発汗異常、血圧変動 運動失調 ふらつき、体のバランスが取りにくい 高次脳機能障害 記憶障害、注意障害、判断力低下 脳幹出血の後遺症は、適切なリハビリによって改善する可能性があります。 脳幹出血の再発防止・後遺症からの回復には「再生医療」が注目されている 脳幹出血の再発防止・後遺症に対して、再生医療という治療方法があります。 再生医療は、人間が持っている再生能力を活かした医療技術の一つです。 当院「リペアセルクリニック」では、自己脂肪由来の幹細胞治療を実施しています。 手術や入院を必要としない治療方法です。 再生医療の詳細については、無料のメール相談やオンラインカウンセリングからお問い合わせください。 脳幹出血の回復見込みに関してよくある質問 脳幹出血の回復見込みに関してよくある質問を紹介します。 脳幹出血の回復率は? 脳幹出血の余命はどのくらい? 脳幹出血を予防する方法は? 出血の程度や部位、患者さまの年齢や既往歴によって回復の見込みや予後は異なるため、あくまで参考としてごらんください。 脳幹出血の回復率は? 脳幹出血の発症から3ヶ月後の回復率は以下の通りです。 良好な回復:6.1%(13名) 中等度障害:12.7%(27名) 重度障害:12.7%(27名) 植物状態:10.8%(23名) 死亡:57.5%(122名) ※出典:ScienceDirect 何らかの障害を抱えながら生存される方が約36%、亡くなる方が半数以上を占めるため回復率は低いといえるでしょう。 脳幹出血の余命はどのくらい? 脳幹出血を含む脳出血患者の余命は、約12年程度とされています。 その他、生存率に関する調査では以下のような結果が報告されています。 10年生存率は約24.1% 5年生存率は24% 1年生存率は38%、 若年層(50歳以下)は高齢者(70歳以上)よりも5年生存率が高い 特に意識障害が強い場合や出血量が多い場合は、発症後数時間から数日で急激に状態が悪化するケースもあり、注意が必要です。 脳幹出血を予防する方法は? 脳幹出血の主な原因は高血圧や動脈硬化であるため、予防は基本的に生活習慣の改善によって行います。 減塩する 大量飲酒・喫煙を控える 肥満を解消する ストレスを溜めない 定期的な健康診断を受ける 適切な血圧管理 これらの予防法を継続的に実践することで、脳幹出血のリスクを減らすことができます。 【まとめ】脳幹出血は程度によって回復の見込みもある!早期のリハビリテーションが重要 脳幹出血は重篤な疾患ですが、出血の程度によっては回復の見込みがあります。 ある研究では良好回復は約6.1%※と低いものの、予後を左右する重要な因子として、発症時の意識状態や出血量、年齢などが挙げられます。 ※出典: 脳幹出血患者の予後予測. 脳卒中の外科 回復のためには早期からの適切なリハビリテーションが非常に重要であり、急性期・回復期・維持期の各段階に応じた計画的なアプローチが求められます。 また、再発予防のためには減塩や禁煙、適切な血圧管理などの生活習慣改善が不可欠です。 他にも脳幹出血の再発予防や後遺症には、再生医療の選択肢があります。 再生医療に興味がある方は、お気軽にご相談ください。
2025.03.07 -
- 再生治療
- 脳卒中
- 頭部
- 脳出血
脳幹出血を発症すると、どのような後遺症が残るのか、またその症状に対してどのような治療やリハビリが効果的なのか疑問をお持ちの方も多いでしょう。 とくにご家族が脳幹出血を発症された方は、これからの治療や生活について不安を感じておられることと思います。 この記事では、脳幹出血の主な後遺症とその症状、治療・リハビリ方法について詳しく解説します。 脳幹出血の主な後遺症 脳幹出血の主な後遺症は以下の通りです。 運動麻痺(四肢麻痺) 感覚麻痺 眼球運動障害 嚥下障害 構音障害 高次脳機能障害 出血した部位や範囲によって症状は異なりますが、一般的には後遺症が出るケースが多いとされています。 本章では、脳幹出血後に見られる主な後遺症について詳しく解説します。 運動麻痺(四肢麻痺) 運動麻痺とは、手足を自分の意思通りに動かせなくなる状態です。 麻痺の状態は以下のように分類されます。 完全麻痺:自分の意思で手足を全く動かせない状態 不全麻痺:運動機能や感覚が完全に失われず、手足の動きが少し残る 弛緩性麻痺:筋肉の緊張が低下し、力が入らない状態 状態痙性麻痺:筋肉が硬く緊張した状態で、スムーズに動かすことができない 脳幹出血によって運動をコントロールする神経経路が損傷すると、四肢に麻痺が生じることがあります。 とくに脳幹は左右の神経が交差する場所であるため、両側の手足に麻痺が現れる四肢麻痺を引き起こすことがあります。 感覚麻痺 感覚麻痺は、皮膚などへの刺激を正常に感じ取れなくなる状態です。 感覚麻痺によって現れる主な症状には以下のようなものがあります。 触覚の低下(物に触れても感じにくい) 痛覚の低下(痛みを感じにくい)または過敏(わずかな刺激でも痛みを感じる) 温度感覚の低下(熱い・冷たいの区別がつきにくい) 深部感覚の低下(体の位置や動きの認識が難しい) しびれ感や異常感覚 振戦(ふるえ) 脳幹出血によって感覚を伝える神経経路が損傷されると、身体の感覚が鈍くなったり、異常を感じたりすることがあります。 眼球運動障害 眼球運動障害は、目の見え方に異常をきたす障害です。 脳幹出血によって、眼球を動かしたり瞳孔や水晶体の調節したりする神経が損傷されると、さまざまな視覚症状が現れます。 複視(物が二重に見える) 眼瞼下垂(まぶたが垂れ下がってくる) 視野狭窄(視野が狭くなる) 視力低下(物がぼやけて見える) めまい これらの症状は日常生活に大きな支障をきたすため、早期からのリハビリテーションが重要です。 嚥下障害 嚥下(えんげ)とは、飲食物を飲み込む動作のことです。 脳幹には嚥下に関わる神経が多く存在するため、脳幹出血によって嚥下機能に影響を及ぼすことがあります。 食事中にむせる・咳き込む頻度が増える 食事に時間がかかるようになる 食べられる量が減少する よだれが増える 声が枯れやすくなる(誤嚥により声帯に負担がかかる) 嚥下障害がある場合、誤嚥性肺炎のリスクが高まるため、適切なリハビリテーションと口腔ケアが重要です。 構音障害 構音障害とは、舌、口唇、声帯などの動きに異常が生じ、はっきりと発音できなくなる障害です。 構音障害によって現れる主な症状には以下のようなものがあります。 はっきり発音できなくなる(呂律が回らない) 高い声を出しにくくなる 声がかすれやすくなる 声の大きさをコントロールしにくくなる 言葉に抑揚がなくなる 脳幹出血によって発声に関わる神経や筋肉の機能が損なわれると、言葉がはっきりと発音できなくなります。 構音障害のリハビリでは、正しい発音の練習やゆっくりと話すことを意識することで、コミュニケーション能力の改善が期待できます。 高次脳機能障害 高次脳機能障害とは、脳の損傷によって生じる認知・思考・行動の障害です。 高次脳機能障害には以下のような症状が含まれます。 注意力や集中力の低下 記憶障害(とくに新しいことを覚えられない) 遂行機能障害(計画を立てて実行することが難しい) 社会的行動障害(感情のコントロールが難しい) 意欲の低下 高次脳機能障害は外見からは分かりにくいため「見えない障害」とも呼ばれます。 本人が気付きにくいからこそ、家族や周囲の人の理解が必要です。 脳幹出血の後遺症に対するリハビリと治療方法 脳幹出血は重篤な症状を引き起こす疾患であり、後遺症の回復には適切な治療とリハビリテーションが欠かせません。 治療とリハビリは病期によって大きく内容が変わります。 急性期の治療とリハビリ 回復期の治療とリハビリ 維持期の治療とリハビリ 脳幹出血の後遺症に対するアプローチは、上記の3段階に分けて行われ、それぞれの段階で必要な治療とリハビリ方法が選択されます。 急性期の治療とリハビリ 発症から約2週間〜1カ月程度の急性期は、命を守り、状態を安定させることが最優先される時期です。 急性期の治療は主に次のように行われます。 治療方法 内容 降圧療法 出血の拡大を防ぐため血圧を適切にコントロール 脳浮腫治療 マンニトールやグリセオールなど薬剤を用いて脳浮腫(脳の腫れ)を軽減 ドレナージ手術 水頭症が見られる場合にチューブで脳脊髄液を体外に排出 人工呼吸器管理 呼吸機能低下時に実施 気管切開 長期的な呼吸管理が必要な場合に実施 脳幹出血は他の脳出血と異なり、手術の負担が大きいという理由から血腫除去手術はあまり適応されません。 治療の主な目的は出血の拡大防止と全身状態の安定化です。 急性期には、全身状態に注意した上で以下のリハビリが実施されます。 ベッドでの関節可動域訓練 早期離床訓練(座位訓練) 嚥下機能評価と訓練 呼吸リハビリ 基本動作訓練 急性期のリハビリは、可能な限り早期から開始することが推奨されています。長期間のベッド上安静は筋力低下や関節拘縮、褥瘡などの二次的合併症のリスクを高めるためです。 ただし、脳幹出血の場合は他の脳血管疾患よりも安静度が高く設定されることが多いため、医師の判断のもとで状態に合わせた適切なリハビリを進めていきます。 回復期の治療とリハビリ 回復期(発症後約3~6カ月)は、失われた機能の回復に集中的に取り組む時期です。 急性期を過ぎても症状や後遺症に応じて以下のような治療が行われます。 治療方法 内容 薬物療法 痙縮に対する筋弛緩薬の投与 ボツリヌス療法 強い痙縮に対しボツリヌス毒素を注射し筋緊張を緩和 ITB療法 重度痙縮に対しバクロフェンを脊髄腔内に持続投与 電気刺激療法 筋肉に電気刺激を与え運動機能回復を促進 回復期ではとくに痙縮(けいしゅく)と呼ばれる手足の筋肉が緊張して突っ張る症状に対する治療が重要です。 回復期には、症状や後遺症に応じて以下のリハビリが実施されます。 歩行訓練 ADL(日常生活動作)訓練 上肢機能訓練 高次脳機能障害へのアプローチ 嚥下・構音訓練 筋力増強訓練 脳幹出血患者の場合、リハビリ専門病院への入院期間は150日間(高次脳機能障害を伴う場合は180日間)までと決まっています。 この時期は機能回復が期待できる時期であり、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士など多職種によるリハビリが行われます。 維持期の治療とリハビリ 維持期(発症後6カ月以降)は、回復した機能の維持と、残された症状に適応した生活の再構築を目指す時期です。 維持期には、以下の治療が行われます。 治療方法 内容 継続的な薬物療法 痙縮、高血圧、脳卒中再発予防のための薬物治療 定期的な検査 合併症の早期発見のための検査(血液検査やCT・MRIなど) 再発予防治療 高血圧、糖尿病、脂質異常症などの基礎疾患管理 二次的合併症対応 関節拘縮、排尿障害、うつなどへの治療 補助具・福祉機器の処方 日常生活の自立度を高めるための支援機器提供と調整 維持期の治療では再発予防がとくに重要です。脳幹出血は再発すると症状がさらに重篤化することが多いため、基礎疾患の管理と定期的な健康チェックが欠かせません。 また、維持期には、以下のリハビリが実施されます。 外来リハビリテーション 訪問リハビリテーション デイケア・デイサービスでのリハビリ 自主トレーニング 環境調整と生活支援 維持期のリハビリは在宅で行われることが一般的で、介護保険サービスを活用しながら継続的に実施します。 リハビリを継続することで生活の質を向上させることができます。 脳幹出血の後遺症に対する治療の選択肢「再生医療」について 脳幹出血の後遺症に対する治療選択肢の一つとして再生医療があります。 再生医療は、人間が持っている再生能力を活かした医療技術です。 当院「リペアセルクリニック」で行っている再生医療は、自己脂肪由来の幹細胞治療です。 幹細胞治療では、患者さまの脂肪から幹細胞を採取・培養し、点滴で体内に戻すことで損傷した脳細胞の再生を図ります。 患者さま自身の幹細胞を利用するため、副作用のリスクが少ないのが特徴です。 脳幹出血を含む脳卒中に対する再生医療について詳細を知りたい方は、以下をご覧ください。 脳幹出血の後遺症に関してよくある質問 脳幹出血の後遺症に関してよくある質問を紹介します。 脳幹出血の後遺症から回復する見込みはある? 脳幹出血で後遺症になったら余命はどのくらい? 脳幹出血の前兆・サインはある? それぞれ詳しくみていきましょう。 脳幹出血の後遺症から回復する見込みはある? 脳幹出血の後遺症からの回復見込みは、出血の重症度によって大きく異なります。 軽度から中程度の場合は回復が期待できることもありますが、重度の場合は回復が難しい可能性が高いです。 調査では、脳幹出血患者の約6.1%が良好な回復、25.4%が中〜重度の障害を残すという結果※が報告されています。 ※出典:PubMed 発症時の意識レベルや出血量が大きな予後因子となります。 脳幹出血で後遺症になったら余命はどのくらい? 脳幹出血に限らず脳出血で後遺症が残った場合の余命については、研究データによると、脳内出血全体の10年生存率は約24%※とされています。 ※出典:AHASIA Journals Stroke 具体的には、深部出血で31.6%、脳葉出血で23.8%、後頭蓋窩(脳幹や小脳を含む部位)出血では34.3%の10年生存率が報告されています。 脳幹出血の前兆・サインはある? 脳幹出血の発症前に現れることがある前兆やサインとしては、主に以下の症状が知られています。 突然の激しいめまい 大きないびき 視覚の異常(視野が狭くなる、物が二重に見えるなど) これらの症状を感じた場合は、早急に医療機関を受診することが重要です。 【まとめ】脳幹出血の後遺症にお悩みの方は再生医療をご検討ください 脳幹出血は重篤な症状を引き起こす疾患で、運動麻痺や高次脳機能障害などの後遺症が出ることがあります。 後遺症の新たな治療方法として再生医療をご検討ください。 当院「リペアセルクリニック」では自己脂肪由来の幹細胞治療を提供しており、一般的な治療(約1億個)の2倍となる2億個の幹細胞を投与可能です。 脳幹出血の後遺症でお悩みの方は、当院にご相談ください。
2025.03.07 -
- 内科
ズキズキと刺すような痛みと、透明な液体が詰まった赤い発疹を伴う症状が出る。 実はこれ、誰でも発症する可能性のある帯状疱疹かもしれません。 本稿では、帯状疱疹がなぜ起こり、どんな症状が出るのか、治療法、そして予防に有効なワクチン情報まで、詳しく解説します。 もしかして、今の体の不調は帯状疱疹の初期症状かも? 少しでも気になる方は、ぜひ読み進めてみてください。 帯状疱疹の症状と原因を詳しく解説 帯状疱疹は、ズキズキと刺すような痛みと、透明な液体が詰まった赤い発疹を伴う症状が現れる病気です。 特徴的なのは、体の左右どちらか一方にのみ現れる発疹です。 実は、幼少期に感染した水ぼうそうの原因ウイルスは体内に残り、誰にでも起こりうる身近な病気とも言えます。 今回は、帯状疱疹の症状や原因、そして病気の経過について、わかりやすく解説していきます。 帯状疱疹とは? 帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)によって引き起こされます。 このウイルスは、実は小児期の水疱瘡の原因となるウイルスと同じものなのです。 初感染時には水ぼうそうとして発症しますが、治癒した後もウイルスは神経節と呼ばれる神経細胞の集まりに潜伏し続けます。 このウイルスは通常、人体の免疫システムによって抑制された状態で体内に留まっていますが、加齢や過労、ストレスなどによって免疫力が低下すると、休眠状態だったウイルスが再び活動を始め、帯状疱疹の症状として現れてきます。 VZVはアルファヘルペスウイルスというグループに属し、単純ヘルペスウイルスと同様に、一度感染すると体内に潜伏し続けるという特徴を持っています。 再生医療の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「再生医療」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 帯状疱疹の初期症状 帯状疱疹の初期症状は、実にさまざまです。 そのため、他の病気と見分けにくく、診断が遅れてしまうケースも少なくありません。 初期には、風邪に似ただるさや頭痛、微熱といった全身症状が現れることがあります。 また、皮膚症状が現れる数日前から、ピリピリとした痛みやしびれ、かゆみといった皮膚の違和感を感じることもあります。 こうした症状は、ウイルスによって神経に炎症が生じることで起こります。 しかし、これらの初期症状は個人差が大きく、必ずしも全員が同じような症状が出るわけではありません。 例えば、皮膚症状が出る前に強い痛みを感じる人もいれば、全く痛みを感じない人もいます。 重要なのは、これらの初期症状に注意を払い、少しでも異変を感じたら早めに医療機関を受診することです。 帯状疱疹の特徴的な症状:ピリピリとした痛みと赤い発疹 帯状疱疹の最も特徴的な症状は、なんといってもピリピリとした痛みと赤い発疹です。 痛みは、発疹が現れる数日前から始まることもあり、ヒリヒリ、シクシクなど、痛みの感じ方は人それぞれです。 痛みの程度も個人差が大きく、軽い痛みで済む人もいれば、激痛に苦しむ人もいます。 赤い発疹は、小さな水ぶくれが集まったもので、神経に沿うような帯のような形で出現してきます。 この水ぶくれは、次第にかさぶたになり、おおよそ2~3週間程度で完治に向かいます。 しかし、皮膚の症状が治まった後も、痛みが続く場合があります。 これは「帯状疱疹後神経痛」と呼ばれる合併症で、この症状は、とりわけお年を召した方に発生する傾向が確認されています。 帯状疱疹の症状の経過と回復までの期間 帯状疱疹の症状は、一般的に2~4週間で治まります。 最初は赤い水疱が現れ始め、かさぶたになって治っていきます。 しかし、前述のように、痛みは発疹が治った後も残ることがあります。 この帯状疱疹後神経痛は、数か月、数年と長引くことも報告されており、生活の質を著しく低下させる可能性があります。 年齢が高い方や免疫が弱っている方については、この病気にかかりやすいだけではなく、その後の神経痛に悩まされる可能性も増加します。 できるだけ早い段階で治療を始めることによって、そのような症状が残るリスクを抑制できることもあり、早期発見・早期治療が重要です。 帯状疱疹の原因:水痘・帯状疱疹ウイルスの再活性化 帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)の再活性化が原因で起こります。 幼少期に水疱瘡を経験したことのある方は、このVZVが体内の神経節に潜伏しています。 加齢、疲労、ストレス、病気などによって免疫力が低下すると、VZVが再び活性化し、帯状疱疹を発症します。 免疫力の低下は、VZVの再活性化の主要な引き金となります。 高齢者や免疫抑制剤を使用している人、あるいは持病がある人は、特に注意が必要です。 VZVの再活性化は、神経に沿って炎症を引き起こし、独特の痛みと共に、皮膚に吹き出物が現れるのが特徴です。 帯状疱疹の発生率は、年齢とともに増加することが知られており、特に50歳以上で急増します。 帯状疱疹の治療法と後遺症 帯状疱疹は、体の片側にピリピリとした痛みと赤い発疹が現れる病気です。 早期に適切な治療を行うことで、症状を迅速に和らげ、合併症の危険性も軽減できます。 少しでも気になる症状があれば、ためらわずに医療機関を受診しましょう。 帯状疱疹の治療薬:抗ウイルス薬 帯状疱疹の治療の要となるのは、抗ウイルス薬です。 この薬は、帯状疱疹の原因である水痘・帯状疱疹ウイルスの増殖を抑えることで、皮膚の症状を早く治し、神経の痛みなどの合併症を防ぐ働きがあります。 抗ウイルス薬には、アシクロビル、バラシクロビル、ファムシクロビルなどがあり、一般的には内服薬として処方されます。 それぞれのお薬の働きをシンプルにご説明いたします。 アシクロビル:アシクロビルは帯状疱疹治療の基本となる薬ですが、1日5回服用する必要があります。 バラシクロビル:バラシクロビルはアシクロビルに比べて1日の服用回数が少なく、飲み忘れを防ぎやすいという利点があります。 ファムシクロビル:ファムシクロビルは1日2~3回服用し、食事の影響を受けにくいという特徴があります。 どの薬が患者さんに最適かは、現在の状態や他の疾患の有無、年齢などを考慮して医師が判断します。 自己判断で薬の服用を中止したり、服用量を変えたりすることは大変危険ですので、絶対にしないでください。 医師の指示に従って正しく服用することが重要です。 発疹出現後72時間以内に抗ウイルス療法を開始することで、症状の悪化や併発症の危険性を抑えられることが示されています。 帯状疱疹の痛みを抑える薬 帯状疱疹では、発疹に伴い、強い痛みを感じる方が多くいらっしゃいます。 このような痛みは、ウイルスが神経を刺激して炎症が発生することにより生じます。 痛みを和らげるために、鎮痛薬が使用されます。 鎮痛薬には、アセトアミノフェンや非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)などがあります。 これらの薬は、痛みや炎症を抑える効果があります。 痛みが強い場合には、神経障害性疼痛治療薬と呼ばれる種類の薬が処方されることもあります。 神経障害性疼痛治療薬は、神経の損傷によって生じる痛みを特異的に抑える薬です。 適切な鎮痛薬を選ぶことで、日常生活における痛みを軽減し、より快適に過ごせるようになります。 痛みの強さと性質を考慮して、医師が適切な薬剤を選択し、処方しますので、ご安心ください。 ▼痛み止めどれがいい?併せてお読みください。 帯状疱疹の治療期間 帯状疱疹の治療期間は、症状の重さや個人差によって異なりますが、通常は2~4週間程度です。 抗ウイルス薬は、発疹が出てから72時間以内に服用を開始すると最も効果的です。 できるだけ早い段階で治療を始めることにより、症状の悪化や後遺症のリスクを減らすことができます。 治療期間中は、医師の指示に従って薬をきちんと服用し、患部を清潔に保つことが大切です。 また、十分な休息と栄養を摂ることも、早期回復に繋がります。 帯状疱疹の合併症:帯状疱疹後神経痛 帯状疱疹の合併症として最も注意すべきなのは、帯状疱疹後神経痛(PHN)です。 この症状は、帯状疱疹そのものが完治した後でも痛みが残る症状のことで、お年寄りや抵抗力が弱っている患者さんに発症することが多いとされています。 帯状疱疹後神経痛は、日常生活の質が大きく損なわれる可能性があり、適切な治療と管理が必要です。 帯状疱疹後神経痛の症状と治療法 帯状疱疹後神経痛の症状は、ピリピリ、シクシクする痛み、焼けつくような痛みなど、人によって様々です。服が軽く当たっただけでも痛みが生じたり、夜も眠れないほどの強い痛みが出ることもあります。 治療には、鎮痛薬、神経障害性疼痛治療薬、抗うつ薬、抗けいれん薬などが用いられます。 また、塗り薬や神経ブロック注射、リハビリテーションなども有効な場合があります。 痛みが長引く場合は、ペインクリニックなどの専門医療機関への受診も検討しましょう。 帯状疱疹後神経痛は、QOL(生活の質)に大きな影響を与える可能性があります。 日常生活に支障が出るほどの痛みがある場合は、我慢せずに医師に相談し、適切な治療を受けることが重要です。 帯状疱疹ワクチンの種類と効果 帯状疱疹は、ビリビリ、シクシクする痛みと赤みを帯びた発疹が主な特徴となる病気です。 50歳を過ぎると発症リスクが急激に上がり、80歳までに約3人に1人が発症すると言われています。 帯状疱疹後神経痛といった後遺症に悩まされる方も少なくありません。 帯状疱疹はワクチンで予防できることをご存知ですか? ワクチン接種によって発症リスクや重症化リスクを大幅に下げることができますので、ぜひワクチンについて知っていただきたいと思います。 帯状疱疹ワクチンの種類:生ワクチンと不活化ワクチン 帯状疱疹ワクチンには、大きく分けて「生ワクチン」と「不活化ワクチン」の2種類があります。 それぞれの特徴を理解し、あなたの状態に適したワクチンを選ぶことが大切です。 ワクチン種類 特徴 効果 副反応 対象年齢 生ワクチン 毒性を弱めた生きたウイルスを使用 帯状疱疹の発症予防効果は約50% 注射部位の痛み、発赤、腫れ 50歳以上 不活化ワクチン ウイルスの一部または不活化したウイルスを使用 帯状疱疹の発症予防効果は約90%、帯状疱疹後神経痛の発症予防効果も高い 注射部位の痛み、発赤、腫れ、頭痛、疲労 50歳以上 生ワクチンは、毒性を弱めた水痘・帯状疱疹ウイルスを接種することで、体内に免疫を作り出す仕組みです。 水疱瘡の感染予防としても活用されています。不活化ワクチンは、ウイルスの抗原となる一部を接種することで免疫を獲得させます。 ウイルスは不活化されているため、生ワクチンに比べて安全性が高い一方、免疫反応を高めるために、複数回の接種が必要となる場合があります。 帯状疱疹ワクチンの効果と持続期間 帯状疱疹ワクチンは、帯状疱疹を発症する確率を下げることができます。 生ワクチンの場合、その効果は約50%で、効果の持続期間は5年程度です。 つまり、接種後5年経過すると、この病気を防ぐ効果が次第に低下し、再び発症リスクが高まる可能性があります。 一方、不活化ワクチンの場合、90歳以上の方でも約90%の高い発症予防効果があり、後遺症として生じる神経痛の危険性も軽減できます。 その効果は少なくとも10年間持続すると考えられており、より長期的な予防効果が期待できます。 2018年から利用可能な不活化サブユニットワクチンは、有効性が高く、比較的忍容性も良好です。 帯状疱疹ワクチンの副反応 帯状疱疹ワクチン接種後に起こりうる副反応として、注射部位の痛み、発赤、腫れなどの局所反応が挙げられます。 これらの症状は、ワクチン接種による免疫反応の一環として現れるものであり、通常は数日以内に軽快します。 その他、頭痛や疲労感、発熱などの全身症状が現れる場合もありますが、多くは一時的なものです。 重篤な副反応はまれですが、アナフィラキシーショックなどのアレルギー反応が起こる可能性もゼロではありません。 気になる症状が出た場合は、速やかに医師に相談しましょう。 帯状疱疹ワクチンの接種費用と接種場所 帯状疱疹ワクチンの接種費用は、医療機関によって異なりますが、おおよそ1回あたり20,000円程度です(不活化ワクチン2回接種の場合の合計は40,000円程度)。 多くの自治体で助成制度が設けられており、自己負担額が軽減される場合がありますので、お住まいの自治体にお問い合わせください。 接種は、医療機関やワクチン接種会場で受けられます。 かかりつけ医に相談するか、自治体のホームページなどで接種可能な医療機関を検索できます。 帯状疱疹ワクチンの接種対象者 帯状疱疹ワクチンは、50歳以上の方を対象に接種が推奨されています。 とりわけ、お年を召した方や抵抗力が弱っている人は、帯状疱疹を発症すると重症化しやすい傾向があるため、ワクチン接種が重要です。 ただし、妊娠中の方、免疫不全の方、水痘ワクチン接種後8週間以内の方などは接種できない場合があります。 特定の疾患をお持ちの方は、接種前に医師に相談する必要があります。 生医療の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「再生医療」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 参考文献 Ehrenstein B. "[Diagnosis, treatment and prophylaxis of herpes zoster]." Zeitschrift fur Rheumatologie 79, no. 10 (2020): 1009-1017. Arvin AM. "Varicella-zoster virus." Clinical microbiology reviews 9, no. 3 (1996): 361-81. 監修医師 リペアセルクリニック 内科専門医 渡久地 政尚
2025.02.12 -
- 内科
つらい痛み、我慢していませんか? 日常生活を脅かす頭痛、生理痛、神経痛など、痛みは種類も程度も人それぞれ。 市販の痛み止めを飲んでみたけれど効かない、、そんな経験はありませんか? 実は痛み止めには様々な種類があり、その効果や副作用、適切な使い分けを知ることが、痛みを効果的に管理する鍵となります。 この記事では、NSAIDsなどの代表的な痛み止めの種類や効果から、副作用、多剤併用鎮痛法といった一歩進んだ知識まで、医師がわかりやすく解説します。 自分にぴったりの痛み止め選び、そして痛みと賢く付き合う方法を、一緒に探ってみましょう。 痛み止めの種類と効果を知る5つのポイント 痛みは、私たちにとって非常に不快な感覚であり、日常生活に大きな影響を与えます。 痛みを我慢することは、身体的にも精神的にも負担が大きく、生活の質を低下させる可能性があります。 そこで今回は、様々な痛みを和らげる「痛み止め」の種類と効果について、内科専門医がわかりやすく解説します。 年齢や痛みの種類によって適切な薬は異なりますので、この情報を参考に、ご自身に合った痛み止め選びのヒントとして役立ててください。 NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)の特徴と効果 NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)は、炎症を抑え、痛みや熱を和らげる効果があります。 「非ステロイド性」とは、ステロイド系の薬ではないことを意味しています。 ステロイド系の薬は強力な抗炎症作用がありますが、副作用も多いため、NSAIDsは比較的安全に使用できる痛み止めとして広く使われています。 よく耳にする「ロキソニン」や「ボルタレン」も、このNSAIDsの一種です。こ れらの薬は、炎症を起こしている部分に直接作用することで、痛みや腫れ、熱といった症状を改善します。 例えば、ねんざをして足首が腫れて熱を持っている時、NSAIDsを服用すると、炎症が抑えられ、痛みや腫れ、熱が引いていくのです。 薬の名前 効果 注意点 ロキソニン 筋肉痛、関節痛などに効果を発揮します。 腎障害や脳浮腫のリスクがあります。特に、若年者で運動前に服用すると、これらのリスクが高まる可能性があるので注意が必要です。 ボルタレン 激しい痛みや怪我、捻挫、骨折など急性期の痛みに効果を発揮します。 長期間の使用は胃腸への負担となることがあります。 セレコックス 胃腸への負担が少ない 他のNSAIDsと比べて高価な場合があります。 アセトアミノフェンの特徴と効果 アセトアミノフェンは、比較的副作用が少なく、安全性が高い痛み止めとして知られています。 解熱効果もあるので、風邪などで熱がある時にもよく使われます。「カロナール」という名前で市販されている薬が代表的です。 アセトアミノフェンは、NSAIDsのように炎症を抑える効果は弱いため、強い炎症を伴う痛みにはあまり効果がありません。 しかし、安全性が高いため、子供や高齢者、妊娠中・授乳中の方にも使用できる場合があります。 オピオイド鎮痛薬の特徴と効果 オピオイド鎮痛薬は、他の痛み止めでは効かないような強い痛みに対して使われる、非常に強力な鎮痛薬です。 手術後の痛みや、がんによる痛みなど、激しい痛みに対して効果を発揮します。 しかし、依存性や副作用のリスクがあるため、医師の指示に従って慎重に使用する必要があります。 「トラムセット」のように、アセトアミノフェンとオピオイドを組み合わせた薬もあります。 オピオイド鎮痛薬は、多剤併用鎮痛法の一環として使用されることもあり、パラセタモール(アセトアミノフェンの別名)との併用で相加的または相乗的な効果を発揮し、鎮痛効果を高め、副作用を軽減する可能性が示唆されています。 その他の鎮痛薬(抗うつ薬、抗てんかん薬など) 実は、抗うつ薬や抗てんかん薬といった薬も、特定の痛みに効果を発揮することがあります。 神経痛など、他の痛み止めでは効果が得られないような慢性的な痛みを抱えている方は、医師に相談してみましょう。 これらの薬は、本来の目的とは異なる用途で使用されるため、「適応外使用」と呼ばれます。 痛み止めが効かない時:多剤併用鎮痛法とは 痛みがなかなか取れない、そんな時もあるかもしれません。 痛みの種類や程度、原因は人それぞれ異なるため、一つの痛み止めだけでは効果が不十分な場合があります。 そこで、複数の種類の薬を組み合わせて使う「多剤併用鎮痛法」という方法があります。 それぞれの薬が異なるメカニズムで痛みを抑えるため、単剤よりも高い鎮痛効果が期待できる一方で、薬物相互作用や副作用のリスクも考慮する必要があります。 例えば、NSAIDsとアセトアミノフェンを併用することで、より強い鎮痛効果が得られる場合があります。 また、オピオイド鎮痛薬を使用する場合、パラセタモールとの併用は、オピオイド鎮痛薬の量を減らすことができ、副作用軽減につながる可能性があります。多 剤併用鎮痛法は、特に高齢者で合併症や併用薬が多い場合に、そのメリットが大きくなります。 痛み止めの副作用と注意点6選 痛み止めは、つらい痛みを和らげてくれる頼もしい存在ですが、一方で副作用も存在します。 安全に服用するためには、どのような副作用が起こりうるのか、どのような点に注意すべきなのかを事前に理解しておくことが重要です。 この章では、痛み止めの副作用や注意点、そして副作用が出たときの対処法について、より詳しく解説します。 自分に合った痛み止めを選び、正しく服用することで、痛みを効果的にコントロールし、快適な生活を送れるようにしましょう。 鎮痛薬の種類別の副作用 痛み止めには様々な種類があり、それぞれに特徴的な副作用があります。それぞれの副作用と、その副作用がなぜ起こるのかを理解しておくことが大切です。 アセトアミノフェン: 比較的安全性が高い薬として知られていますが、過剰に摂取すると肝臓に負担がかかり、肝機能障害を引き起こす可能性があります。 肝臓は、体内の有害物質を解毒する重要な臓器です。アセトアミノフェンも肝臓で代謝されますが、過剰に摂取すると肝臓の処理能力を超えてしまい、肝細胞がダメージを受けてしまうのです。 決められた服用量を厳守し、用法用量を守ることが非常に大切です。 NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬): 胃腸障害(吐き気、下痢、胃痛、胃潰瘍、十二指腸潰瘍など)や腎臓への影響(腎機能障害)、まれにですが心血管系への影響(心筋梗塞、脳卒中)などが起こる可能性があります。 NSAIDsは炎症を引き起こす物質の生成を抑えることで効果を発揮しますが、同時に胃腸を守る働きを持つ物質の生成も抑制してしまうため、胃腸障害が起こりやすくなります。 特に、高齢の方や持病のある方は注意が必要です。空腹時の服用を避け、胃腸薬と併用する、あるいはセレコックスのような胃腸への負担が少ないNSAIDsを選択するなどの対策が有効です。 また、腎機能が低下している方は、NSAIDsの服用によって腎機能がさらに悪化する可能性があるため、医師への相談が必要です。 さらに、ロキソニンを運動前に服用すると、腎障害や脳浮腫のリスクを高める可能性があるという報告もあります。これは、運動によって腎血流量が低下している状態でロキソニンを服用すると、腎臓への負担がさらに増大してしまうためと考えられています。 オピオイド鎮痛薬: 便秘、眠気、吐き気などが起こりやすいです。 また、長期間使用すると依存性が生じる可能性があり、さらに、呼吸抑制といった重篤な副作用も起こりえます。 医師の指示に従って服用することが非常に重要です。分娩時の疼痛緩和にもオピオイド鎮痛薬が用いられることがありますが、母体と胎児への影響を考慮して慎重に使用する必要があります。 併用禁忌の薬とその理由 一部の痛み止めは、特定の薬と一緒に服用すると、効果が弱まったり、副作用が強まったり、あるいは予期せぬ重篤な副作用が生じる可能性があります。 例えば、ワーファリンなどの抗凝固薬とNSAIDsを併用すると、出血しやすくなる作用が重なってしまい、出血のリスクが高まる可能性があります。 また、一部の抗うつ薬と特定の痛み止めを併用すると、セロトニン症候群という、精神状態の変化、自律神経系の異常、神経筋の異常を特徴とする重篤な副作用が起こる可能性があります。 服用中の薬がある場合は、必ず医師や薬剤師に相談しましょう。 妊娠中・授乳中の服用について 妊娠中や授乳中は、服用できる薬が限られます。胎盤や母乳を通じて薬の成分が胎児や乳児に移行し、影響を与える可能性があるためです。 アセトアミノフェンは、他の鎮痛薬と比較して比較的安全とされていますが、それでも医師や薬剤師に相談してから服用することが推奨されます。 NSAIDsは、妊娠後期に服用すると、胎児の動脈管収縮などを引き起こし、胎児に悪影響を与える可能性があるため、一般的には避けられます。 オピオイド鎮痛薬も、胎児や新生児に影響を与える可能性があります。自己判断で服用せず、必ず医師の指示に従ってください。 分娩時の疼痛緩和には、硬膜外鎮痛法が最も効果的ですが、患者さんの希望や状況によっては、笑気やオピオイド、非オピオイドなどの全身薬物療法が用いられます。 薬剤によって母体や胎児への副作用が異なるため、医師と相談して適切な方法を選択することが重要です。 子供・高齢者の服用時の注意点 子供や高齢者の方は、薬の代謝能力が低下している場合があり、副作用が出やすい傾向があります。 子供には、年齢や体重に合わせた適切な用量を服用させることが重要です。 高齢者も、少量から開始し、様子を見ながら徐々に増量していくなどの配慮が必要です。 また、高齢者は複数の薬を併用している場合が多いため、飲み合わせにも注意が必要です。 アセトアミノフェンは、小児や高齢者にも比較的安全に使用できることが多いですが、それでも用量には注意が必要です。 痛み止めの依存性と対策 オピオイド鎮痛薬は、長期間使用すると依存性が生じる可能性があります。 身体的依存と精神的依存があり、身体的依存は、薬を急にやめると離脱症状(吐き気、嘔吐、下痢、発汗、震えなど)が現れる状態です。 精神的依存は、薬がないと不安になったり、薬を求める気持ちが強くなったりする状態です。 依存性を防ぐためには、医師の指示に従って服用し、自己判断で増量したり、長期間服用したりしないことが重要です。 また、痛みが治まったら、医師の指導の下、徐々に減量していくことが必要です。 副作用が出た場合の対処法 痛み止めを服用して、何か異変を感じたら、すぐに服用を中止し、医師や薬剤師に相談しましょう。 自己判断で他の薬を服用したり、症状を我慢したりすることは危険です。適切な対処を受けることで、重篤な事態を防ぐことができます。 自分に合った痛み止めの選び方4つのステップ 痛みは、日常生活を送る上で大きな妨げとなります。 痛みを我慢せず、適切な痛み止めを使用して痛みをコントロールすることは、生活の質を向上させる上で非常に重要です。 しかし、痛み止めにも様々な種類があり、どれを選べばいいのか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。 そこで今回は、自分に合った痛み止めを選ぶための4つのステップをご紹介いたします。 痛みの種類(頭痛、生理痛、神経痛など)に合った薬 痛みには、ズキズキとした頭痛、鈍い生理痛、ピリピリとした神経痛など、様々な種類があります。 痛みの種類によって、効果的な痛み止めも異なります。 例えば、頭痛にはアセトアミノフェンやイブプロフェンなどの市販薬が有効ですが、神経痛にはこれらの薬はあまり効かず、プレガバリンやデュロキセチンといった処方薬が必要となることがあります。 医師は、痛みの種類を正確に診断し、最適な薬剤を選択するお手伝いをいたしますので、自己判断で薬を選ぶのではなく、医療機関を受診して適切なアドバイスを受けるようにしてください。 痛みの程度(軽い、中程度、激しい)に合った薬 痛みの程度も、痛み止めの選択において重要な要素です。 軽い痛みであれば、アセトアミノフェンなどの市販薬で十分な場合もありますが、中程度以上の痛みには、より強力な鎮痛効果を持つNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)が必要となることもあります。 激しい痛みには、オピオイド系鎮痛薬が用いられることもありますが、これらは依存性や副作用のリスクがあるため、医師の指示に従って慎重に使用する必要があります。 痛みの程度を正確に伝えることは、適切な薬剤を選択する上で非常に重要です。 例えば、「我慢できる程度の痛み」や「耐えられないほどの痛み」といった表現ではなく、「10段階でいうとどの程度の痛みか」といった具体的な表現で医師に伝えることで、より的確な診断と治療を受けることができます。 持病や体質に合った薬 持病がある場合や特定の薬にアレルギーがある場合は、痛み止めの選択にさらに注意が必要です。 例えば、胃腸が弱い方は、NSAIDsによって胃腸障害を起こしやすいため、アセトアミノフェンやセレコキシブなど、胃腸への負担が少ない痛み止めを選択する必要があります。 高齢者や腎機能が低下している方は、薬の代謝が遅くなるため、薬の量を調整する必要があります。また、妊娠中や授乳中の場合は、胎児や乳児への影響を考慮して、医師に相談しながら服用する薬を決めることが重要です。 特に、妊娠後期にNSAIDsを服用すると、胎児の動脈管収縮などを引き起こす可能性があるため、注意が必要です。 分娩時の疼痛緩和には硬膜外鎮痛法が最も効果的ですが、患者さんの希望や状況によっては笑気やオピオイド、非オピオイドなどの全身薬物療法が用いられます。 薬剤によって母体や胎児への副作用が異なるため、医師と相談して適切な方法を選択することが重要です。 市販薬と病院で処方される薬の違い 市販薬と病院で処方される薬は、主成分が同じでも、用量や剤形が異なる場合があります。 市販薬は比較的軽い痛みに対して使用されることが多い一方、病院で処方される薬は、より強い痛みや慢性的な痛みに対して使用されます。 市販薬は手軽に入手できるというメリットがありますが、持病がある場合や複数の薬を服用している場合は、医師の診察を受けて自分に合った薬を処方してもらう方が安全です。 パラセタモールは、単独で使用されることもありますが、他の鎮痛薬、例えばオピオイドと組み合わせて使用されることもあり、その相乗効果で鎮痛効果を高め、副作用を軽減する可能性が示唆されています。 参考文献 Freo U. "Paracetamol for multimodal analgesia." Pain management 12, no. 6 (2022): 737-750. Zuarez-Easton S, Erez O, Zafran N, Carmeli J, Garmi G, Salim R. "Pharmacologic and nonpharmacologic options for pain relief during labor: an expert review." American journal of obstetrics and gynecology 228, no. 5S (2023): S1246-S1259. 監修医師 リペアセルクリニック 内科専門医 渡久地 政尚
2025.02.11 -
- 内科
あなたは、気づかないうちに忍び寄る"サイレントキラー"の存在を知っていますか? 実は、日本人の約4人に1人がかかっているにもかかわらず、自覚症状がほとんどないため、放置されがちな高血圧。 2017年のアメリカのガイドライン改訂で、基準値が厳しくなった今、あなたも高血圧予備軍かもしれません。 高血圧は、脳卒中や心筋梗塞といった命に関わる病気を引き起こす危険因子。 この記事では、高血圧の定義から合併症、最新の治療法まで、内科専門医がわかりやすく解説します。 ご自身の健康状態を正しく理解し、健康寿命を延ばすための第一歩を踏み出しましょう。 高血圧を理解する:定義と分類、合併症のリスク 高血圧は、知らず知らずのうちに進行し、ある日突然、重大な病気を引き起こす可能性があるため、「サイレントキラー」と呼ばれています。 ご自身の健康状態を理解し、健康管理に役立てていただくために、高血圧の定義や分類、合併症、初期症状、家庭血圧測定の重要性について、内科専門医の立場からわかりやすく解説します。 高血圧とは?基準値と高血圧の分類 高血圧とは、心臓が血液を送り出す圧力(血圧)が高い状態が続いていることを指します。血圧は2つの数値で表されます。 心臓がギュッと収縮して全身に血液を送り出す時の圧力が収縮期血圧、心臓が休息して血液を再び心臓に取り込む時の圧力が拡張期血圧です。 高血圧は、大きく分けて本態性高血圧と二次性高血圧の2種類に分類されます。 90%以上の方は原因が特定できない本態性高血圧で、遺伝的要因と環境要因(食塩の過剰摂取、肥満、運動不足、過度の飲酒など)の相互作用が関係していると考えられています。 一方、二次性高血圧は、腎臓病、ホルモン異常、睡眠時無呼吸症候群などの病気が原因で起こる高血圧で、全体の10%程度です。 若年者で高血圧が見つかった場合には、二次性高血圧の可能性が高いため、原因となる疾患の精査が必要です。 再生医療の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「再生医療」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 高血圧が引き起こす合併症:脳卒中、心筋梗塞、腎臓病など 高血圧は自覚症状が少ないため、放置すると血管に負担がかかり続け、動脈硬化が進行します。 動脈硬化は血管の壁が厚く硬くなり、血管が狭くなる状態です。高血圧は動脈硬化を進行させ、血管が詰まったり、破れたりするリスクを高めます。 高血圧が原因となる主な合併症には、脳卒中、心筋梗塞、腎臓病、心不全などがあります。 脳卒中:脳卒中は、脳の血管が詰まったり破れたりする病気です。 麻痺やしびれ、言語障害などの後遺症が残ることもあり、要介護状態となるリスクも高い病気です。 心筋梗塞:心筋梗塞は、心臓の血管が詰まって、心臓の筋肉が壊死する病気で、強い胸痛や呼吸困難などの症状が現れ、突然死のリスクも高い病気です。 腎臓病:腎臓病は、腎臓の血管が傷つき、腎臓の機能が低下する病気です。むくみやだるさなどの症状が現れ、最終的には人工透析が必要になることもあります。 心不全:心不全は、心臓のポンプ機能が低下し、全身に十分な血液を送り出せなくなる病気です。息切れや動悸、むくみなどの症状が現れます。 高血圧は、血管に常に高い圧力をかけることで血管を傷つけ、動脈硬化を促進し、これらの合併症のリスクを大きく高めます。 高血圧の初期症状:自覚症状が少ないため注意が必要 高血圧は初期にはほとんど自覚症状がありません。 そのため、健康診断などで指摘されるまで、高血圧に気づかない人が非常に多いです。「サイレントキラー」と呼ばれる所以です。 高血圧の症状として、頭痛、めまい、肩こり、動悸、耳鳴りなどが挙げられることがありますが、これらの症状は高血圧以外でも起こるため、高血圧特有の症状とは言えません。 また、これらの症状が現れる頃には、すでに高血圧がかなり進行している可能性もあります。 高血圧は自覚症状が乏しいため、定期的な血圧測定を行うことが重要です。 高血圧のサインを見つける: 家庭血圧測定の重要性 家庭血圧測定は高血圧の早期発見・早期治療のために非常に有効です。 家庭血圧測定は、リラックスした状態で血圧を測ることができるため、病院で測定する白衣高血圧による影響を受けず、より正確な値が得られる場合もあります。 また、毎日血圧を測ることで、血圧の変化を早期に把握しやすくなります。 家庭血圧計は、薬局や家電量販店などで手軽に購入できます。 家庭血圧測定を行う際には、朝、排尿後、朝食前に測定し、安静にしてから正しい姿勢で測定する、毎日同じ時間に測定する、などの点に注意しましょう。 家庭で血圧を測ることで、高血圧の早期発見・早期治療につながり、治療中の場合は、血圧コントロールの状態を把握するのにも役立ちます。 高血圧の原因と危険因子を知る 高血圧の危険因子は多岐に渡り、大きく分けて「加齢」「遺伝」「生活習慣」の3つに分類できます。 高血圧はこれらの因子が複雑に絡み合い発症すると考えられており、ご自身の危険因子を知ることで、予防や治療への意識を高め、健康管理に繋げることが重要です。 加齢、遺伝、生活習慣…高血圧の危険因子 まず、「加齢」による影響について考えてみましょう。 生まれたばかりの赤ちゃんの血管は柔らかく、しなやかで、風船のように柔軟です。しかし、年齢を重ねるにつれて、血管も徐々に老化し、弾力性を失い硬くなっていきます。 これは、血管の壁が厚く硬くなる動脈硬化の進行によるもので、加齢とともに血管が硬くなるのは自然な老化現象の一つと言えます。 血管が硬くなると、血液がスムーズに流れにくくなり、心臓はより強い力で血液を送り出さなければならなくなり、その結果、血圧が上昇しやすくなります。 次に、「遺伝」についてです。高血圧は、親から子へと遺伝する可能性のある疾患です。 両親が高血圧の場合、子供も高血圧になりやすい傾向があり、これは体質や遺伝子などが影響していると考えられています。 遺伝的要因は私たち自身でコントロールすることはできません。 しかし、遺伝だけで高血圧のすべてが決まるわけではなく、後述する生活習慣の改善によって予防できる可能性も十分に秘めているのです。 最後に、「生活習慣」について解説します。これは、私たちが毎日の生活の中で意識的に変えられる部分であり、高血圧の予防と治療において非常に重要な要素です。 食生活の乱れや運動不足、喫煙、過度の飲酒、ストレスなどは、高血圧のリスクを大きく高める要因となります。 塩分過多、肥満、運動不足…生活習慣と高血圧の関係 高血圧と密接に関係する生活習慣の中でも、特に注意が必要なのは、「塩分の摂りすぎ」「肥満」「運動不足」の3点です。 塩分の過剰摂取は、体内の水分量を増加させ、血液量を増加させることで、心臓がより多くの血液を送り出す必要が生じ、血圧の上昇に繋がります。 現代の食生活では、加工食品や外食などで、知らず知らずのうちに過剰な塩分を摂取していることが多いです。 厚生労働省が推奨する1日の塩分摂取量は、男性7.5g未満、女性6.5g未満ですが、現状では平均で男性10.9g、女性9.3gと、大幅に超過しているのが現状です。 高血圧を予防するためには、毎日の食事で減塩を意識することが重要です。 肥満、特に内臓脂肪の蓄積は、血圧を上げる物質の分泌を促進し、高血圧のリスクを高めます。 内臓脂肪は、皮下脂肪とは異なり、臓器の周囲に蓄積される脂肪で、様々な生理活性物質を分泌し、血圧や血糖値、コレステロール値などに悪影響を及ぼすことが知られています。 適正な体重を維持することは、高血圧だけでなく、様々な病気の予防にも繋がります。 運動不足は、高血圧だけでなく、様々な生活習慣病のリスクを高めます。 体を動かす習慣がないと、血液の循環が悪くなり、心臓はより多くの血液を送るために、強い力で拍動しなければならなくなります。 結果として、血圧が上昇しやすくなります。適度な運動は、血圧を下げるだけでなく、ストレス解消や精神的な健康維持にも効果的です。 喫煙、過度の飲酒…高血圧のリスクを高める要因 喫煙は、ニコチンが血管を収縮させ、血圧を上昇させる原因となります。 血管が収縮すると、血液が流れにくくなり、心臓はより強い圧力で血液を送り出さなければならず、血圧が上昇します。 さらに、喫煙は血管を傷つけ、動脈硬化を促進する作用もあるため、高血圧のリスクをさらに高めます。 禁煙は、高血圧だけでなく、様々な病気のリスクを軽減し、健康寿命を延ばすために非常に有効です。 過度の飲酒も、血圧を上昇させる要因の一つです。 アルコールは、血管を拡張させる作用と収縮させる作用の両方がありますが、過剰に摂取すると血管が収縮し、血圧が上昇します。アルコールの摂取量が多いほど、高血圧のリスクは高くなるため、節度ある飲酒を心がけましょう。 基礎疾患や薬の影響で高血圧になることも 高血圧は、加齢や生活習慣だけでなく、他の病気や薬の影響で引き起こされることもあります。 これを二次性高血圧と言い、腎臓病、副腎疾患、甲状腺疾患などが原因となることがあります。 例えば、腎臓は体内の水分や塩分のバランスを調整する役割を担っていますが、腎臓病になるとこの機能が低下し、体内に水分や塩分が過剰に蓄積され、高血圧を引き起こす可能性があります。 また、一部の薬も高血圧の副作用を引き起こす可能性があります。 例えば、ステロイド剤や一部の鎮痛剤、風邪薬などに含まれる成分が、血圧を上昇させることがあります。 服用している薬がある場合は、医師や薬剤師に相談することが大切です。 特に、高齢者の高血圧患者は約6人に1人が、3種類以上の降圧薬を最大量使用しても血圧が下がらない難治性高血圧に該当する可能性があり、早期の診断と適切な治療が重要です。 高血圧の治療と予防:生活習慣の改善と薬物療法 高血圧の治療は、大きく「生活習慣の改善」と「薬物療法」の2つの柱から成り立っています。 まるで、建物を支える二本の頑丈な柱のようなものです。 どちらか一方だけでは、真に健康な状態を維持することは難しく、両方をバランスよく行うことが重要です。 まず、生活習慣の改善について考えてみましょう。 高血圧の危険因子には、塩分の摂りすぎや肥満、運動不足、喫煙、過度の飲酒など、様々なものがあります。 まるで、私たちの体に少しずつ負荷をかけていく重りのようなものです。 これらの重りを一つずつ取り除く、あるいは軽くしていくことで、高血圧を予防し、治療していくことができるのです。 2017年のアメリカ心臓病学会(ACC)とアメリカ心臓協会(AHA)のガイドラインでも、高血圧管理には包括的な戦略が必要であると強調されています。 薬物療法だけでなく、食事療法や運動療法といった生活習慣の改善も重要視されているのです。 生活習慣の改善法 具体的には、1日に6g未満の塩分摂取を目標に減塩を心がけましょう。 外食や加工食品には、想像以上に多くの塩分が含まれていることが多いです。 例えば、カップラーメン1杯には約5g、スナック菓子1袋には約1gの塩分が含まれています。 普段何気なく口にしているものが、実は高血圧の大きな原因となっている可能性もあるのです。 カリウムを多く含む野菜や果物を積極的に摂ることも、血圧を下げる効果が期待できます。 次に、適度な運動についてです。 ウォーキングやジョギング、水泳など、無理なく続けられる運動を見つけ、1日30分以上を目標に取り組んでみましょう。 体を動かす習慣がないと、血管の柔軟性が失われ、血液循環が悪化し、心臓に負担がかかります。 その結果、血圧が上昇しやすくなるのです。 運動は、血圧を下げるだけでなく、ストレス軽減や精神的な健康維持にも効果的です。 心身ともに健康な状態を保つために、日常生活に運動を取り入れてみましょう。 さらに、禁煙も高血圧の予防と治療に大きく貢献します。 喫煙は血管を収縮させ、血圧を上昇させるだけでなく、動脈硬化も促進します。 動脈硬化は、血管の壁が厚く硬くなり、血管が狭くなる状態です。 まるで、水道管に徐々に錆が溜まっていくようなものです。 錆が溜まると、水の流れが悪くなるのと同様に、動脈硬化が進むと、血液の流れが悪くなり、様々な合併症を引き起こすリスクが高まります。 そして、過度の飲酒も控えましょう。 アルコールは、少量であれば血管を拡張させる作用がありますが、過剰に摂取すると血管が収縮し、血圧が上昇します。 薬物療法での改善 次に、薬物療法についてです。 生活習慣の改善だけでは血圧が十分に下がらない場合や、すでに合併症の危険性が高い場合には、薬物療法が必要になります。 降圧薬には、利尿薬やACE阻害薬、ARB、カルシウム拮抗薬など、様々な種類があり、2023年のコクラン共同計画のシステマティックレビューでは、一次治療薬としてチアジド系利尿薬が他の降圧薬と比較され、総死亡率や心血管イベント発生率に大きな差がないことが示唆されています。 さらに、有害事象による治療中止は利尿薬の方が少ない傾向があることも示されています。 薬の種類や服用量は、患者さんの状態や他の病気の有無などを考慮して、医師が決定します。 薬を飲み始めたら、必ず医師の指示に従って服用し、自己判断で中断したり、量を変えたりしないようにしましょう. 高血圧の治療は、長期にわたる場合がほとんどです。生活習慣の改善や薬物療法を継続していくためには、医師との信頼関係が不可欠です。疑問や不安があれば、遠慮なく医師に相談し、一緒に治療を進めていきましょう。 まとめ 高血圧は自覚症状がないまま進行し、脳卒中や心筋梗塞などの深刻な合併症を引き起こす可能性があるため、早期発見と適切な管理が重要です。 高血圧の基準値は収縮期血圧130mmHg以上、または拡張期血圧80mmHg以上で、家庭血圧測定による日常的な血圧管理が推奨されています。 高血圧の大部分は原因不明の本態性高血圧で、加齢や遺伝、生活習慣の積み重ねが影響しています。 特に、塩分の過剰摂取、肥満、運動不足、喫煙、過度の飲酒は高血圧のリスクを高めるため、生活習慣の改善が重要です。 生活習慣の改善に加えて、必要に応じて薬物療法も併用されます。 自分に合った治療法を見つけるためには、医師と相談し、信頼関係を築きながら治療を進めていくことが大切です。 高血圧は早期発見・早期治療で合併症のリスクを減らすことができるので、少しでも不安を感じたら、まずは医療機関に相談してみましょう。 再生医療の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「再生医療」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 参考文献 2017年版 成人高血圧の予防、検出、評価、管理に関するACC/AHA/AAPA/ABC/ACPM/AGS/APhA/ASH/ASPC/NMA/PCNAガイドライン(要約) Li EC, Heran BS, Wright JM. "Angiotensin converting enzyme (ACE) inhibitors versus angiotensin receptor blockers for primary hypertension." The Cochrane database of systematic reviews 2014, no. 8 (2014): CD009096. 高血圧と血管疾患 Reinhart M, Puil L, Salzwedel DM, Wright JM. "First-line diuretics versus other classes of antihypertensive drugs for hypertension." The Cochrane database of systematic reviews 7, no. 7 (2023): CD008161. Shalaeva EV, Messerli FH. "What is resistant arterial hypertension?" Blood pressure 32, no. 1 (2023): 2185457. Messerli FH, Bangalore S, Mandrola JM. "β blockers switched to first-line therapy in hypertension." Lancet (London, England) 402, no. 10414 (2023): 1802-1804. Carey RM, Moran AE, Whelton PK. "Treatment of Hypertension: A Review." JAMA 328, no. 18 (2022): 1849-1861. 医師監修 リペアセルクリニック 内科専門医 渡久地 政尚
2025.02.11 -
- 肩
肩の痛み、我慢していませんか? 朝、髪を梳かす、洋服を着替えるといった何気ない動作でさえ、激痛が走る。夜も痛みのあまり眠れない…。 日本では、四十肩・五十肩を含む肩関節周囲炎だけで推定700万人が悩まされているというデータも。 さらに、腱板損傷や神経の圧迫など、肩の痛みの原因は多岐に渡ります。 この記事では、肩の痛みの代表的な4つの原因と、それぞれの症状、さらに保存療法・手術療法・在宅ケアといった様々な治療法のメリット・デメリットを詳しく解説します。 肩の痛みを根本から理解し、適切な対処法を見つけるための、決定版と言えるでしょう。 肩の痛みの原因4選とそれぞれの症状 肩の痛み。それは、日常生活の些細な動作さえも困難にする、悩ましい症状です。 朝、髪を梳かす時、洋服を着替える時、高い所の物を取ろうとする時など、痛みが走るたびに憂鬱な気分になりますよね。 肩の痛みは、その原因によって症状や痛みの種類も様々です。 今回は、肩の痛みの代表的な原因を4つご紹介し、それぞれの症状について、より詳しく、そして具体的に解説していきます。 五十肩/四十肩(肩関節周囲炎) 五十肩/四十肩は、正式には「肩関節周囲炎」と呼ばれ、肩関節を包む組織に炎症が起こることで、痛みや動かしにくさが現れる病気です。 40~60歳代に多く発症し、特に女性に多い傾向があります。 まるで肩関節が錆びついたように、スムーズに動かなくなるのが特徴です。 原因ははっきりとは解明されていませんが、加齢による肩関節の老化現象や、糖尿病などの基礎疾患が影響していると考えられています。 五十肩/四十肩は、炎症期、拘縮期、回復期の3つの時期に分けられます。 最初の炎症期には、肩に鋭い痛みが走り、夜も眠れないほどの激痛に襲われることがあります。 まるで肩の中に棘が刺さっているような感覚で、少し動かしただけでもズキズキと痛みます。安静時にも痛みがあり、特に夜間は痛みが強くなる傾向があります。 次の拘縮期には、痛みはやや落ち着いてきますが、肩関節が硬くなり、腕を上げにくくなります。 例えば、洗濯物を干す、背中に手を回すといった動作が困難になります。 最後の回復期には、徐々に痛みと動かしにくさが改善していきます。日 常生活動作も少しずつ楽になり、再び活動的に過ごせるようになります。 多くの場合、1年から4年程度で自然に治癒していきますが、中には回復に時間がかかるケースもあります。 再生医療の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「肩の痛み」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 腱板損傷 腱板とは、肩甲骨と上腕骨をつなぐ、棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋という4つの筋肉の腱の集合体です。 この腱板が切れたり、傷ついたりした状態が腱板損傷です。スポーツや転倒など、急激な外力で起こります。 加齢変化の場合は、日常生活動作で徐々に損傷が進行していくこともあります。 腱板損傷の症状は、肩の痛み、腕を上げにくい、力が入らないなど、五十肩/四十肩と似ています。 そのため、鑑別が難しいケースもあります。大きな違いは、腱板が損傷しているため、損傷した腱に対応する筋肉の筋力低下が起こることです。 例えば棘上筋が損傷すると、腕を外側に持ち上げる力が弱くなります。 また、寝ていて痛みが出ることもあります。痛みは、断裂した腱の種類や損傷の程度によって異なり、全く症状がない場合もあります。 頸椎椎間板ヘルニア 頸椎椎間板ヘルニアは、首の骨と骨の間にあるクッションの役割をする椎間板が飛び出し、神経を圧迫することで、肩や腕に痛みやしびれが生じる病気です。 単に肩の痛みだけでなく、首の痛み、腕のしびれ、手の動かしにくさなど、様々な症状が現れることがあります。 首の神経は、肩や腕、手につながっているため、神経が圧迫されると、その支配領域に沿って症状が現れます。 これは、まるで電気が流れるように、首から肩、腕、手へと痛みが広がっていくような感覚です。 加齢や姿勢の悪さ、外傷などが原因で発症し、肩の痛みのみを訴える場合もあり、見過ごされることもあります。他の肩関節疾患との鑑別が重要となります。 医学論文においても、頚椎根症は頸椎から出ている神経根の炎症や圧迫によって引き起こされ、患部の神経根が支配する領域に運動障害や感覚障害を伴う痛みを生じることが報告されています(Corey DL and Comeau D. Cervical radiculopathy. 2014)。 胸郭出口症候群 胸郭出口症候群は、首から腕、手へと伸びる神経や血管が、胸郭出口と呼ばれる狭い部分で圧迫されることで、肩や腕、手に痛みやしびれ、冷感などが現れる病気です。 なで肩の女性に多くみられます。 鎖骨や肋骨の異常、筋肉の緊張、姿勢の悪さなど、様々な原因が考えられます。 症状は多様で、他の病気と間違えやすいのが特徴です。 肩や腕の痛み、しびれ、だるさ、冷感など、様々な症状が現れ、重症になると手の握力が弱まったり、細かい作業がしにくくなったりすることもあります。 神経や血管の圧迫される部位や程度によって症状が変化するため、診断が難しい場合もあります。 肩の痛みの治療法3選とそれぞれのメリット・デメリット 肩の痛み。それは、日常生活の些細な動作さえも困難にする、悩ましい症状です。 朝、髪を梳かす時、洋服を着替える時、高い所の物を取ろうとする時など、痛みが走るたびに憂鬱な気分になりますよね。 痛みの原因、症状の重さ、そして患者さん自身のライフスタイルや価値観に合わせた最適な治療法を選択することが重要です。 ここでは、肩の痛みに対す る主な治療法を3つご紹介します。これらの情報を参考に、ご自身の状況に合った治療法を見つけるための一助としてください。 保存療法(薬物療法、リハビリテーションなど) 身体への負担が少ないため、多くの場合、最初の治療として選択されます。 保存療法には、薬物療法とリハビリテーションがあります。 薬物療法 例えば、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は、炎症や痛みを引き起こす物質の生成を抑えることで効果を発揮します。 SAIDsは、内服薬だけでなく、湿布薬や塗り薬などの外用薬もあります。 痛みが強い場合には、ステロイド注射を行うこともあります。 ステロイドは強力な抗炎症作用を持つ薬であり、炎症を起こしている関節に直接注射することで、速やかに痛みを軽減できます。 リハビリテーション 具体的には、ストレッチ、筋力トレーニング、温熱療法などがあります。 保存療法のメリットは、侵襲的な治療ではないため、日常生活への影響も最小限に抑えられます。 しかし、効果が現れるまでに時間がかかる場合や、重度の症状に対しては効果が不十分な場合もあります。 特に、腱板断裂などの構造的な異常がある場合には、保存療法だけでは十分な効果が得られない可能性があります。 ただ、経験上、肩腱板損傷の手術の成績はあまりよくありません。 日常生活ができるなら、整形外科医として、手術はあまりお勧めしていません、 しかし、昨今、再生医療という新しい治療法が出てきました。幹細胞による肩腱板損傷の再生です。 ただ注意点として、元気な幹細胞でないと、うまく治療はできません。医療機関によって幹細胞の培養方法は全く違うのです。 リペアセルクリニックに幹細胞は、国内唯一の分化誘導と、冷凍しないで培養する方法で多くの患者様を元気にしてきました。詳しくはこちらへ 手術療法(関節鏡手術など) 近年では、関節鏡手術という低侵襲な手術が広く行われています。 関節鏡手術は、小さな切開部からカメラと特殊な器具を挿入し、関節内部の状態を直接確認しながら行う手術です。 従来の手術に比べて傷口が小さくても可能です。 手術療法のメリットは、保存療法では改善が見られない症状に対しても効果が期待できることです。 特に、腱板断裂のように構造的な異常が原因となっている場合には、手術によって根本的な原因を取り除くことができます。 しかし、手術にはどうしても身体への負担や費用、感染症などの合併症のリスクが伴います。 よく見られる合併症は、拘縮です。あとは痛みが改善しないこともあります。 手術療法を選択する際には、医師とよく相談し、メリットとデメリットを十分に理解した上で判断することが重要です。 文献においても、肩の痛みの治療は多くの場合、疼痛コントロールと運動療法に基づいており、手術は限定的に行われるとされています。 在宅ケア(ストレッチ、温罨法など) 在宅ケアとは、痛みが軽度の場合や、手術後のリハビリテーションとして行われます。 代表的な方法として、ストレッチや温罨法などがあります。 ストレッチは、肩関節の柔軟性を高め、筋肉の緊張を和らげる効果があります。 温罨法は、患部を温めることで血行を促進し、痛みを和らげる効果があります 。温罨法には、蒸しタオルや温湿布、入浴などが有効です。 在宅ケアのメリットは、手軽に行えることと、費用がかからないことです。 自宅でできるため、通院の負担もありません。しかし、効果は限定的であり、症状によっては悪化させる可能性もあります。 肩の痛みを予防するための生活習慣改善3選 適度な運動 運動不足は、肩周りの筋肉を弱らせ、関節の柔軟性を低下させ、症状を強くします。 例えば、デスクワーク中心の生活を送っていると、肩甲骨周囲の筋肉が硬くなり、血行不良に陥りやすくなります。 このような状態が続くと、肩関節の動きが悪くなり、痛みが発生しやすくなるのです。 適度な運動は、肩周りの筋肉を強化し、柔軟性を高めることで、肩への負担を軽減し、痛みを予防する効果が期待できます。 具体的には、ウォーキングやジョギング、水泳、ヨガ、ピラティスなどの運動が効果的です。 正しい姿勢 猫背や前かがみの姿勢は、肩甲骨の位置を変化させ、肩関節への負担を増大させます。 長時間のデスクワークやスマートフォンの使用は、無意識のうちに猫背になりやすく負担がかかります。 正しい姿勢を保つことは、肩への負担を軽減し、痛みを予防する上で非常に重要です。 具体的には、立っているときは背筋を伸ばし、あごを引いて、お腹に力を入れるように意識しましょう。 座っているときは、深く椅子に座り、背もたれに寄りかかるようにしましょう。 また、パソコン作業時には、画面を目の高さに合わせ、キーボードとマウスは体に近い位置に置くように心がけてください。 バランスの取れた食事 栄養バランスの取れた食事は、健康な体を維持するために不可欠です。 肩の痛みにおいても、栄養状態は重要な役割を果たします。 例えば、タンパク質は筋肉の構成成分であり、肩周りの筋肉を強化するために必要不可欠な栄養素です。 カルシウムは骨を強くし、ビタミンDはカルシウムの吸収を促進する働きがあります。 これらの栄養素が不足すると、骨や筋肉が弱くなり、肩の痛みを引き起こしやすくなります。 再生医療の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「肩の痛み」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 参考文献 Corey DL, Comeau D. "Cervical radiculopathy." The Medical clinics of North America 98, no. 4 (2014): 791-9, xii. Greenberg DL. "Evaluation and treatment of shoulder pain." The Medical clinics of North America 98, no. 3 (2014): 487-504. Crookes T, Wall C, Byrnes J, Johnson T, Gill D. "Chronic shoulder pain." Australian journal of general practice 52, no. 11 (2023): 753-758.
2025.02.11 -
- 変形性膝関節症
- 再生治療
- ひざ関節
- オスグッドシュラッター病
- スポーツ医療
寝起きで膝が痛いと感じることはありませんか。 寝起きの膝の痛みの原因には、筋力の低下や変形性膝関節症などがあります。 朝起きた際に膝が痛いと感じる理由は、年代によってさまざまなので、原因に合わせて予防策をとることが大切です。 本記事では、寝起きで膝が痛い原因や対処法を詳しく解説します。 寝起きの膝の痛みの原因を知り、適切に対処しましょう。 寝起きで(朝起きて)膝が痛い原因を年代別に解説 寝起きで(朝起きて)膝が痛い原因は、以下の3つです。 寝起きで膝が痛む原因は、生活習慣や体質によっても異なります。自身の年代に多い原因を確認し、十分な対策をとりましょう。 【10代・20代】成長痛やオスグッドなど 10代や20代に多い、寝起きの膝の痛み原因は、以下の4つです。 疾患名 特徴 成長痛 成長期の子どもにみられる一過性の痛み オスグッド 骨や筋肉の成長スピードと運動量が見合わないことで出現する膝の痛み 膝蓋骨脱臼 膝関節周囲の筋力低下や靭帯損傷などによって、膝蓋骨が正しい位置から外れた状態 膝関節捻挫 膝関節をひねったり、無理に動かしたりすると出現する痛みや腫れ 寝起きに膝が痛くなる原因は、自身ではわからない場合もあります。 成長期に好発する成長痛やオスグッドだけでなく、外傷による脱臼や捻挫も、膝の痛みの原因となることを覚えておきましょう。 【30代】筋力や柔軟性の低下 30代に多い、寝起きに膝が痛くなる原因は、筋力や柔軟性の低下があります。 日常生活で膝を使う機会が少ない人や、運動習慣がない方は、下半身の筋肉が硬くなりやすいため注意が必要です。 膝周囲の筋肉が硬くなると柔軟性も低下し、足をスムーズに動かせなくなる可能性があります。 【40代・50代】変形性膝関節症 変形性膝関節症は、寝起きに膝が痛くなる原因の1つで、40代から50代の発症が多いといわれています。変形性膝関節症は、膝の関節軟骨が擦り減り、以下の症状が出現する疾患です。 変形性膝関節症による膝の痛みを放置していると、膝関節の変形が進行し、日常生活に支障をきたす可能性があります。膝に少しでも違和感を覚えた際は、早めに医療機関を受診しましょう。 変形性膝関節症の症状は、以下で詳しく解説していますので合わせてご覧ください。 寝起きで膝が痛いときの予防・対処法【症状別】 寝起きで膝が痛いときの予防・対処法は、以下のとおりです。 寝起きで膝が痛いときの予防法は、原因や症状によって異なります。膝が痛む原因を知った上で、自身の症状に合った対処をとることが大切です。 オスグッドの予防・対処法 寝起きで膝が痛い原因がオスグッドの場合は、以下の予防策や対処法をとりましょう。 予防策 対処法 運動量を調節する 運動メニューを見直す 栄養バランスの良い食事を摂取する 運動前後にストレッチを行う 休息をとる アイシングをする 大腿四頭筋(太もも前の筋肉)を中心にストレッチを行う サポーターやテーピングを使用する オスグッドは成長期に発症しやすい疾患であり、無理に動かすと剥離骨折を発症する恐れがあります。 どうしても練習を休めない場合は、練習メニューや運動量を工夫し、膝に負担がかからないようにしましょう。 筋力や柔軟性の低下の予防・対処法 寝起きに膝が痛む原因が筋力や柔軟性の低下の場合は、予防・対処法に以下の運動を行うのが効果的です。 膝の痛みが強いときには、筋トレやストレッチを行うのではなく、安静にしましょう。 しっかりと休息をとり膝の痛みが落ち着いてきたら、予防のために膝周囲の筋力や柔軟性を高める運動を行うのがポイントです。 変形性膝関節症の予防・対処法 変形性膝関節症で膝が痛くなるときは、以下の予防策や対処法を実践しましょう。 予防策 対処法 下半身を中心とした筋力トレーニングを行う 膝の曲げ伸ばしストレッチを行う 下腹部に力を入れ、まっすぐ前を見て歩くことを意識する 栄養バランスの良い食事を心がける 薬物治療を受ける ステロイド注射やヒアルロン酸注射などの関節腔内注射を受ける 筋トレやストレッチなどを行う 膝のサポーターやインソールを使用する 手術療法を受ける 再生医療を受ける 筋力トレーニングやストレッチにより、膝周囲の筋力をつけると、膝の安定性が増し歩きやすくなります。変形性膝関節症は肥満体型の方もなりやすい疾患のため、栄養バランスを考えた食事を摂ることが大切です。 変形性膝関節症は進行性の病気ですが、早めに治療を開始し適切な対処を行えば、痛みを緩和できる可能性があります。 変形性膝関節症の原因や治療方法については、以下で詳しく解説していますので合わせてご覧ください。 寝起きの膝の痛みでお悩みの方は再生医療もご検討ください 寝起きの膝の痛みでお悩みの方は、再生医療による治療をご検討ください。 再生医療では痛みの緩和だけでなく、変形性膝関節症によってすり減った膝の関節軟骨の再生が期待できます。 関節軟骨が再生されると、寝起きや歩行時の膝の痛みが軽減する可能性があります。 変形性膝関節症が原因で寝起きに膝の痛みを感じている人は、お気軽に当院へご相談ください。 寝起き・朝起きて膝が痛い際のよくある質問 寝起きや朝起きて膝が痛いときについて、よくある質問は以下の2つです。 寝起きで膝が痛い原因は、年代や既往歴によってさまざまです。膝の痛みが続くときは、早めに医療機関を受診し原因を特定しましょう。 寝起きに歩けないほど膝が痛いときの原因は? 寝起きに歩けないほど膝が痛いときは、以下の原因が挙げられます。 変形性膝関節症や関節リウマチは、関節が変形し痛みが出現する進行性の疾患です。症状が進行すると、寝起きだけでなく安静時や運動時も膝が痛くなる可能性があります。 関節リウマチの症状や治療法については、以下で詳しく解説していますので参考にしてください。 筋肉の緊張やこわばりも、寝起きで膝が痛くなる原因の1つです。運動習慣がない方は膝周囲の筋肉が硬くなり、筋緊張やこわばりが起こりやすくなります。 半月板は膝関節を支える役割を担っている部位です。膝をひねったり、スポーツで強い外力を受けたりすると、半月板が損傷し膝に痛みが出現します。 半月板損傷の症状は、以下で詳しく解説していますので合わせてご覧ください。 寝起きで膝の内側が痛いときの原因は? 寝起きで膝の内側が痛いときの原因は、以下が考えられます。 スポーツや仕事などで膝を使いすぎると、膝の内側の「鵞足(がそく)」と呼ばれる部分に炎症が起こります。 膝に大きな負担がかかって発症する鵞足炎や内側半月板損傷は、膝の内側が痛くなる原因であるため注意しましょう。 【まとめ】寝起きで膝が痛い原因と対処法 寝起きで膝が痛い原因には、膝周囲の筋力低下や変形性膝関節症などがあります。歩行時に膝に違和感があったり、寝起きで膝が痛くなったりした場合は、早めに医療機関を受診しましょう。 膝が痛くなる原因がわかったら、自身にあった予防策や対処法を行うことが大切です。 筋トレやストレッチなどのセルフケアを行っても、痛みが引かず長期にわたって慢性化している場合は、当クリニック(リペアセルクリニック)の再生医療をご検討ください。 当クリニックが提供する再生医療には、関節や膝の症状に適した治療方法も提供しておりますので、ぜひ無料相談をご利用ください。
2025.02.07 -
- 再生治療
- スポーツ医療
- アキレス腱
アキレス腱炎の放置による症状悪化のリスクや治療法を解説。痛みや腫れの原因、予防方法から、早期回復を目指せる再生医療まで、アキレス腱炎でお悩みの方に役立つ情報をお届けします。 アキレス腱炎で痛みが治らず困っているものの、すぐに病院へ行けず不安を感じている方は多いのではないでしょうか。 この記事では、アキレス腱炎の原因や症状、治療法から予防策までを詳しく解説します。 また、放置した場合のリスクや早期治療の重要性についても触れ、さらに早期回復を目指せる再生医療という選択肢についてもご紹介します。 症状を悪化させないためのヒントをぜひ参考にしてください。 アキレス腱炎を放置しておくとどうなる? かかとからふくらはぎにかけての腱に痛みがある場合、アキレス腱炎の可能性があります。 初期症状は軽度な痛みや違和感にとどまることが多いため、見過ごされがちです。 しかし、適切な治療をせずに放置すると症状が進行し、日常生活やスポーツ活動に支障をきたす可能性があります。 アキレス腱炎を放置しておくとどうなるのか、リスクについて理解しておきましょう。 アキレス腱炎の症状の悪化リスクがある アキレス腱炎の初期症状としては、運動後や朝起きた際にアキレス腱部分に違和感や軽い痛みを感じることが一般的です。腫れや皮膚の熱感が伴う場合もあります。 これらの症状は一時的に軽減することもありますが、放置すると炎症が悪化および慢性化するリスクがあります。 特に、症状が軽い段階で適切な治療を行わない場合、痛みが強くなったり腱の動きが制限されたりすることがあります。 日常生活に支障が出る前に早めの対応が重要です。 症状の進行とアキレス腱断裂の危険性もある アキレス腱炎が長期間放置されると、腱の組織が劣化していき弾力性が失われる可能性があります。 この状態が進行すると、炎症が進行して「アキレス腱症」や「アキレス腱周囲炎」として慢性化するリスクがあるため注意が必要です。 また、腱の弾力性が失われることで断裂のリスクが高まります。アキレス腱が断裂すると、歩行や基本的な動作が著しく困難になります。 アキレス腱の断裂は、手術が必要となるケースも少なくありません。特にスポーツや立ち仕事が多い方は症状が進行しやすいため、早期の治療が望ましいです。 アキレス腱炎と断裂の違い アキレス腱炎やアキレス腱症は、炎症や負担の蓄積による痛みや腫れが主な症状で、保存療法で改善が期待できる場合が多いです。 一方、アキレス腱断裂は腱が完全または部分的に切れる状態で、突然の激痛や腱が切れる音が特徴です。 断裂の場合、保存療法だけでは十分な回復が見込めないため、手術やリハビリが必要になります。 アキレス腱炎の原因 アキレス腱炎は、日常生活や運動習慣、身体の状態など、さまざまな要因が関与して発症します。 原因 具体例 過度な運動や負荷 長時間のランニングやバレーボールやバスケットボールなどにおける繰り返しのジャンプなど、アキレス腱に繰り返し負担をかける運動 急激な運動量の増加 運動経験が少ない状態から急に激しい運動を始めた場合 筋力や柔軟性の不足 ふくらはぎの筋肉が硬い、または柔軟性が不足していることでアキレス腱にストレスがかかる 不適切な靴の使用 クッション性の少ない靴、かかとの高さが極端に高い靴、サイズの合わない靴など 足の構造的な問題 扁平足※1やハイアーチ※2など、歩行時や運動時にアキレス腱に過剰な負担を与える足の形状 ※1:土踏まずが低い状態 ※2:土踏まずが高い状態 加齢による腱の劣化 年齢を重ねることでアキレス腱の弾力性や強度が低下し、炎症が起きやすくなる 急な方向転換や動作の繰り返し テニスやバスケットボールなど、方向転換や急停止を伴うスポーツ アキレス腱炎の原因は複数の要因が複雑に絡み合っている場合が多いため、早めの対策が重要です。 アキレス腱炎の症状 アキレス腱炎に関連する主な症状は以下の通りです。 症状 具体例 アキレス腱部分の痛みや違和感 運動後や朝起きた際に、かかとの上部やふくらはぎの下部に近いアキレス腱周辺に痛みや違和感を感じる 腫れや熱感 アキレス腱の周囲が腫れたり、触ると熱を感じる場合がある 動作時の痛み 歩行や走行、階段の上り下りなど、足を動かす際に痛みが増す ふくらはぎの硬さや張り感 アキレス腱に繋がるふくらはぎの筋肉が硬く感じられる 痛みが持続する 痛みが断続的ではなく、慢性的に続く場合、症状が悪化している可能性がある 腱の厚みや硬さの変化 アキレス腱部分が厚く感じたり、硬くなる 朝の動き始めの痛み 朝起きた直後に、アキレス腱部分に特に強い痛みや硬さを感じる これらの症状は、放置すると悪化し、慢性的な痛みや断裂のリスクが高まる可能性があります。早期に医療機関を受診し、適切な対応を取ることが重要です。 アキレス腱炎の治療 アキレス腱炎の治療は、症状の程度や患者の生活環境に応じて異なります。 軽症の場合は保存療法が中心となり、スポーツへの早期復帰を目指す場合や重症の場合は、再生医療が選択肢の1つとなることがあります。 2つの治療法について解説するので、ぜひ参考にしてください。 保存療法 保存療法は、アキレス腱炎の初期段階や軽度の症状に対して有効な治療法です。 以下のような方法が一般的に行われます。 アイシングは1回につき15~20分程度、1日3~4回行うのが効果的です。 また、ストレッチやリハビリでは、ふくらはぎやアキレス腱の柔軟性を改善し、腱への負担を軽減を目指します。 スポーツへの早期の復帰を目指す再生医療という選択肢 アキレス腱炎が慢性化している場合や、スポーツ選手が早期復帰を目指す場合には、再生医療が有効な選択肢となります。 再生医療とは、身体の自然治癒力を高めることにより、失われた組織や機能などの修復・再生を行う治療方法です。 アキレス腱炎の治療においては、人体が本来持つ治癒力を活かして、傷ついたアキレス腱の修復を促進します。 再生医療は、身体への負担が少なく早期の回復に期待できる点が特徴です。 当院(リペアセルクリニック)では厚生労働省から受理された再生医療を行っています。再生医療をご検討の際は、ぜひ当院へご相談ください。 アキレス腱炎を予防する方法 アキレス腱炎を防ぐためには、日常生活や運動時にアキレス腱への負担を軽減する工夫が必要です。 以下に挙げるポイントを意識することで、アキレス腱への負担を減らし、炎症を予防する効果が期待できます。 それぞれのポイントを取り入れて、アキレス腱炎の予防に役立てましょう。 日常生活でできる予防策 日常生活の中で股関節への負担を減らし、痛みを予防するためには、普段からの意識が大切です。 以下に挙げるポイントを実践することで、股関節の健康を保ち、症状の進行を防ぐことが期待できます。 日常的にストレッチや適切な休息を取り入れることで、アキレス腱にかかる負担を軽減することが可能です。 また、体重管理や歩き方の改善も重要なポイントとなります。 過度な運動は避ける 過度な運動はアキレス腱に過剰な負担を与え、炎症を引き起こす原因となります。 以下に、適切な運動習慣を維持するためのポイントを整理しました。 ポイント 詳細 運動量を徐々に増やす 急激に運動量を増やさず、少しずつ体を慣らしていくことが大切 無理なトレーニングを避ける 長時間のランニングや急な方向転換を繰り返すスポーツを控える 十分なウォーミングアップ 運動前のウォーミングアップと運動後のクールダウンをしっかり行い、アキレス腱の負担を軽減する 運動量やトレーニングの計画を適切に管理することで、アキレス腱への過剰な負担を防ぐことが可能です。 足に合った靴を選ぶ 足に合った靴を選ぶことは、アキレス腱炎の予防において非常に重要です。 以下に、靴選びで注意すべきポイントをまとめました。 ポイント 詳細 適切なサイズの靴を選ぶ 足にぴったり合う靴を選ぶことで、足全体への負担を軽減できる クッション性のある靴を選ぶ 足への衝撃を吸収する靴を選び、アキレス腱にかかる負担を軽減する 靴の寿命に注意する 古くなった靴はサポート力が失われるため、適切なタイミングで靴を買い替える 足に合った靴を選び、状態に応じて適切にメンテナンスを行うことで、アキレス腱炎のリスクを減らすことができます。 アキレス腱炎についてよくある質問 アキレス腱炎に関する悩みや疑問について最後に紹介します。 アキレス腱炎についてお悩みの方は、参考までにご覧ください。 アキレス腱炎のセルフチェック方法は? アキレス腱炎は、初期症状を見逃さずに早めに対処することが重要です。 以下のようなセルフチェック方法を知っておくことで、異常を早期に発見し、症状の悪化を防げます。 チェック項目 詳細 痛みの有無を確認する 朝の寝起きや運動後に、アキレス腱に痛みや違和感を感じる場合は要注意 腫れや厚みを触診する アキレス腱の腫れや痛みを感じる場合、炎症の兆候の可能性あり 動作時の違和感を確認する 歩行や階段の昇降でアキレス腱に違和感がある場合、炎症の可能性あり 片側と比較しながらチェックすると、異常がわかりやすくなります。 これらのセルフチェックで異常が認められた場合は、早めに医療機関を受診してください。 アキレス腱炎を放置すると手術が必要になる? アキレス腱炎を放置すると、症状が進行して手術が必要になる可能性があります。 炎症が慢性化すると腱の組織が劣化し、さらに悪化するとアキレス腱が断裂するリスクが高まります。 断裂した場合は保存療法での回復が難しく、手術が選択されるケースが多くなるため、痛みを感じたら早めに医療機関を受診するのが大切です。 自宅ケアだけでアキレス腱炎は治る? 軽度のアキレス腱炎であれば、自宅ケアで症状が改善する場合があります。 ケア方法 詳細 安静にする 運動を控え、アキレス腱への負担を軽減する アイシングを行う 痛みや腫れを抑えるために、患部を冷却する 軽いストレッチを行う ふくらはぎの筋肉をほぐし、アキレス腱の負担を軽減する ただし、症状が改善しない場合や痛みが悪化する場合には、放置せずに医療機関を受診することが重要です。 【まとめ】アキレス腱炎はほっとかずに医療機関を受診しよう アキレス腱炎は、初期症状を見過ごすと慢性化し、最悪の場合は腱の断裂に至る危険性があります。 その原因は過度な運動や足に合わない靴、日常生活での負荷などさまざまです。 症状が現れた場合は、安静やアイシングなどの保存療法で改善することもありますが、放置せず医療機関で適切な診断と治療を受けることが重要です。 さらに、早期の症状改善やスポーツ復帰を目指す場合には、再生医療が次世代医療の選択肢として注目されています。 PRP療法や幹細胞治療は、アキレス腱の修復をサポートし、回復を促進します。再生医療をご検討の際は、ぜひ当院へご相談ください。
2025.02.07 -
- 再生治療
- スポーツ医療
- アキレス腱
運動不足や加齢に伴う筋力低下が原因で肉離れを起こしてしまい、なかなか治らないとお悩みではありませんか? 肉離れを放置していると、血腫の発生に伴う違和感や筋力の低下に繋がり、結果的に生活の質を落としてしまいます。 肉離れを治すためにも、肉離れに関する正しい知識や原因について知っておくことが大切です。 本記事では肉離れの原因や早く治すコツ、肉離れに関する質問について解説しています。 肉離れが治らず悩んでいる方、肉離れの詳細について知りたい方は、ぜひ参考にしてください。 肉離れが治らない・痛みが長引いてしまう原因 肉離れが治らない・痛みが長引いてしまう原因は、以下の通りです。 ここからは肉離れ後の処置の大切さも含めて、解説していきます。 肉離れ直後の応急処置が不十分だった 肉離れした直後の応急処置が不十分な場合、完治が遅れる原因の1つとなります。 応急処置が不十分だったり、患部への冷却と圧迫が足りない点が肉離れが完治しない原因です。 肉離れを起こした際は、以下の「RICE(ライス)処置」を適切に行いましょう。 RICE処置を行うことで、痛みや腫れを抑えることができ、早い段階での回復が期待できます。 完治しきる前に肉離れ部位への運動負荷がかかってしまっていた 完治する前に患部への運動負荷がかかると、回復までの道のりが長くなってしまいます。 自己判断で運動を再開すると、肉離れが悪化する可能性があるため、必ず医師の診断を仰ぎましょう。 また不十分なリハビリも回復を長引かせてしまう要因となるので、大丈夫だと自己判断せず、日々のリハビリを継続してください。 筋力と柔軟性の低下も再発のリスクを招くため、完治直前でもリハビリを習慣化するよう心掛けましょう。 反復性肉離れになってしまっている 何度も肉離れを繰り返している場合、反復性肉離れになっている可能性があります。 反復性肉離れとは、過去に肉離れを起こした箇所が再度肉離れする状態のことです。 反復性肉離れの原因として、不十分なリハビリによる筋肉の柔軟性の低下が挙げられます。 再度肉離れを起こさないためにも、完治後もリハビリやストレッチを意識して行うようにしましょう。 そもそも肉離れとは? ここからは、以下の肉離れに関する基本情報について解説していきます。 肉離れに関する理解を深め、自分の症状がどこに当てはまるのか確認してみましょう。 肉離れの定義とメカニズムについて 肉離れは、筋肉の一部または全体が断裂してしまった状態のことです。 肉離れを起こすと内出血や腫れを起こし、患部が激しく痛み、運動ができない状態になってしまいます。 原因として、ジャンプやダッシュによる筋肉への急激な負荷が挙げられます。 肉離れというと普段運動を行っている方に起きるイメージですが、そのようなことはありません。 運動不足や加齢によって筋力が低下している方も、肉離れを起こすリスクを持っているので注意しましょう。 肉離れの重症度の分類と症状【軽度・中度・重度別の目安】 肉離れの重症度別の症状は、以下の通りです。 重症度 症状 患部による判別方法 軽度 ・患部を押すと痛みを感じる ・何もしなければ痛みは感じない 【ふくらはぎ】 ・ストレッチしてもやや痛みがある程度 【ハムストリングス】 ・脚を70度以上動かせる 【大腿四頭筋】 ・脚を90度以上動かせる 中度 ・患部を押すと強い痛みを感じる ・内出血や腫れが見られる 【ふくらはぎ】 ・膝を曲げるとストレッチによる痛みが軽くなる 【ハムストリングス】 ・脚を30度~70度動かせる 【大腿四頭筋】 ・脚を45~90度動かせる 重度 ・何もしなくても痛みを感じる ・内出血や患部の凹みが見られる 【ふくらはぎ】 ・膝を曲げてもストレッチによる痛みが強い 【ハムストリングス】 ・脚を30度まで動かせる 【大腿四頭筋】 ・脚を45度まで動かせる 肉離れが軽度の場合は大丈夫だと判断する方もいますが、適切な処置をしないと悪化する可能性があります。 また中度・重度で処置やリハビリが不十分な場合も、歩行機能や身体の歪みに繋がるので注意しましょう。 肉離れと思われる症状が表れた際は、自己判断せず、医師に相談したうえで適切な処置を受けることが大切です。 肉離れが全治するまでの期間 肉離れが全治するまでの期間は、以下の通りです。 重症度 期間 軽度 1~2週間 中度 3~5週間 重度 8~13週間 引用:日本臨床スポーツ医学会「肉離れの診断と治療」 個人差もありますが、軽度の場合はストレッチ痛が軽減してからリハビリを行います。 中度の場合は松葉杖による歩行や温熱療法、重度の場合は患部を圧迫する保存療法を行うケースもあります。 またスポーツ競技に復帰したい方の治療として、断裂した筋肉を繋げる外科的手術も存在します。 基本的には重度でない限り、リハビリやストレッチによる治療方法が一般的です。 肉離れを早く治すコツ 肉離れを早く治すコツとして、以下が挙げられます。 肉離れが長引いて困っている方は、上記のコツを参考にしてください。 リハビリを行う 肉離れは適切なリハビリを行えば、早い段階での回復が期待できます。 肉離れする可能性の高い部位別のリハビリメニューは、以下の通りです。 部位 リハビリ方法 ふくらはぎ ①仰向けの状態で片足を上げる ②そのまま片足を90度曲げる ③太ももを抱える ④痛みが出る直前まで膝を曲げる ⑤同じ動作を10回繰り返す ハムストリングス ①立った状態で脚の付け根に手を添える ②そのまま胸を張ってお尻を引く ③つま先の向きを変えて伸ばす ④伸びた状態を15~30秒キープする ⑤同じ動作を2~4回繰り返す 大腿四頭筋 ①椅子に浅く腰掛ける ②お腹を少し前に出した姿勢にする ③つま先を上げるように膝を屈伸させる ④同じ動作を10回繰り返す 上記のリハビリを医師の判断の元、無理のない範囲で行いましょう。 習慣化することで筋力や柔軟性が上がり、再発する可能性が低くなります。 運動復帰のタイミングは自己判断しない 運動に復帰するタイミングは必ず医師に相談し、自己判断はしないでください。 何故なら、完治していない状態で患部に負荷をかける可能性があるからです。 患部に運動負荷がかかって悪化し、肉離れが再発したり、後遺症が残ったりするケースも珍しくありません。 自分で「完治したかもしれない」と思っても、必ず医師の相談を仰いでから運動を行いましょう。 セルフストレッチを行う 肉離れはリハビリのほか、セルフストレッチによる改善も期待できます。 肉離れにおすすめのセルフストレッチは、以下の通りです。 部位 セルフストレッチ方法 ふくらはぎ ①厚い本の上につま先を乗せる ②体重をかけてふくらはぎを伸ばす ③同じ動作を10~20回繰り返す ハムストリングス ①うつ伏せになる ②ゆっくり膝を曲げる ③ゆっくり膝を元の位置に戻す ④同じ動作を3~7回繰り返す 大腿四頭筋 ①うつ伏せの状態で身体を横にする ②膝を曲げて足を後ろに引っ張る ③十分に伸びたらゆっくり戻す ④同じ動作を3回繰り返す ただし、重症度によってはセルフストレッチによって肉離れが悪化する可能性もあります。 セルフストレッチを習慣化したい方は、必ず医師の許可を得てから行いましょう。 後遺症が長引く場合は再生医療もご検討ください。 肉離れの後遺症が長引いている場合は、リペアセルクリニックで提供している再生医療も選択肢としてご検討ください。 当院(リペアセルクリニック)では自己治癒力を高めるPRP治療により、肉離れによる後遺症の改善を目指しています。 PRP治療とは患者様の血液から血小板の濃縮液を抽出し、組織の修復や細胞増殖を促す治療法です。 患者様ご自身の血液から精製された濃縮液を利用するため、アレルギー反応などの副作用が起こる可能性が低いメリットがあります。 長く続く肉離れの痛みに悩む方にとって、身体に負担が少ない状態で回復できる治療法と言えるでしょう。 治療内容の詳細を知りたい方は、無料相談も行っておりますので、ぜひ当院へご相談ください。 肉離れに関してよくある質問と回答 肉離れに関するよくある質問は、以下の通りです。 肉離れに関する疑問について回答しているので、ぜひ参考にしてください。 肉離れ・筋肉痛・こむら返りは何が違う? 肉離れ・筋肉痛・こむら返りの違いは、以下の通りです。 症状 内容 原因 肉離れ 突然の衝撃で筋肉の一部または全体が断裂した状態 急なダッシュとジャンプによる衝撃 筋肉痛 運動によって筋繊維が損傷している状態 運動などによる筋肉の酷使 こむら返り 突然の衝撃で筋肉が収縮した状態 筋肉の緊張/水分不足/筋力低下 一見似た症状ではありますが、状態や原因は全く異なります。 もし肉離れに似た症状が出た場合は、自己判断せず医師にご相談ください。 歩けるけど痛い肉離れはどうすればいい? 歩ける状態であっても、部分断裂を引き起こしている可能性があります。 部分断裂を放置し、患部の腫れ・内出血が酷くなるケースも珍しくありません。 肉離れによる後遺症を起こさないためにも、適切な処置を行いましょう。 ご自身で「軽度かもしれない」と思っていても、必ず医師にご相談ください。 軽度の肉離れはどれくらいで治る? 軽度の肉離れは1~2週間程度で治りますが、自己判断はしないでください。 軽度の肉離れは患部を押すと痛みますが、何もしなければ痛みを感じないことが多いです。 そのため完治したと思い、肉離れが悪化してしまうケースもあります。 「完治したかもしれない」と感じたら、医師の判断を仰いでください。 肉離れを放っておくとどうなる? 肉離れを放置すると、重度の後遺症が残る可能性があるので注意してください。 肉離れ直後は痛みを感じなくても、腫れや内出血が酷くなり、関節の動きが鈍くなるケースがあります。 痛みが無くても放置せず、RICE処置を心掛けてください。 肉離れを起こした際は「痛くないから大丈夫」と判断せず、医師の診断を受けましょう。 まとめ:肉離れの回復期間を把握して完治させよう 肉離れは適切な処置やリハビリを行えば、早い段階での回復が期待できます。 肉離れが痛くなくても「治った」と自己判断せず、必ず医師の判断を仰いでください。 また重症度に合わせて、通院によるリハビリや自宅でのセルフストレッチを継続していきましょう。 もしリハビリやストレッチの継続で治らない場合は、リペアセルクリニック(当院)の再生医療という選択肢をご検討ください。 当院では自己治癒力を高めるPRP治療を行い、肉離れによって損傷した組織の修復や細胞増殖を目指しています。 肉離れによる後遺症に悩んでいる方は、お気軽にご来院・お問い合わせください。
2025.02.07 -
- 再生治療
- ひざ関節
- スポーツ医療
膝軟骨がすり減ると、関節の痛みや変形性膝関節症などの原因となります。このような症状を改善する方法として、再生医療が注目されています。 この記事では、膝軟骨を増やす方法としての再生医療や、膝軟骨がすり減る原因を解説します。 ぜひ最後まで記事をご覧になって、膝軟骨を増やす方法として再生医療をご検討ください。 膝軟骨を増やす方法「分化誘導による関節の再生医療」 膝軟骨を増やす新しい方法、幹細胞の「分化誘導」を活用した再生医療について紹介します。 再生医療では、患者自身の幹細胞を用い、損傷した膝軟骨を修復することを目指します。 この方法により、軟骨の回復だけでなく、膝関節全体の機能改善が期待されています。 基本的に膝軟骨は自然に増えることはありませんが、幹細胞の「分化誘導による関節の再生医療」であれば膝軟骨の再生が期待できます。 分化誘導により、投与した幹細胞をフル活用して目的とする組織への再生能力を高めます。 分化誘導により軟骨下骨の再生を促す 膝軟骨の再生には、その下にある「軟骨下骨(なんこつかこつ)」の状態が重要です。 軟骨下骨は膝軟骨を支える土台の役割を果たしており、この部分が損傷していると、十分な軟骨の再生に期待できません。 まずは分化誘導により、軟骨の土台となる軟骨下骨の面積が大きくなるよう幹細胞を分化誘導して、再生を促します。 軟骨下骨が多く再生されると、より多くの軟骨の再生が実現可能となります。 分化誘導による再生医療の具体的なプロセスは以下の通りです。 リペアセルクリニック大坂院では、幹細胞を使用した再生医療を用いて膝関節の機能を回復する治療を行っています。 慢性的な膝の痛みにお悩みの方は、ぜひ再生医療をご検討ください。 膝軟骨がすり減る原因 膝軟骨がすり減る原因はさまざまで、日常生活や体の状態が大きく関係しています。 軟骨は、膝関節を守るクッションのような役割を果たしていますが、その役割が損なわれると、痛みや関節の不安定さが生じることがあります。 膝の軟骨がすり減る原因を理解して、対処できる内容は改善することで進行を遅らせましょう。 加齢や筋力低下 加齢に伴い、膝軟骨は水分量やしなやかさを失い、弾力性が低下します。これにより、軟骨が摩耗しやすくなります。 また、筋力が低下することで膝関節の安定性が損なわれ、余計な負担が軟骨にかかりやすくなるのも要因の一つです。 特に太ももやふくらはぎの筋力低下は、膝を支える力が弱まるため注意が必要です。 筋力の低下を防ぐために、筋力トレーニングやストレッチ、運動を習慣づけましょう。 ただし激しい運動は膝への負担が大きくなるため、無理のない範囲で行うのが大切です。 膝への負担 膝に過剰な負担をかける生活習慣や環境も、軟骨がすり減る原因となります。 これらの要因が重なると、軟骨の摩耗が進行しやすくなります。 立ち仕事など仕事内容を変えるのが難しい場合は、適度な休憩や膝への負担を軽減する工夫を取り入れ、激しいスポーツは控えたり、食生活や運動習慣を見直すのが重要です。 他の疾患による影響 膝軟骨のすり減りは、以下の疾患によっても進行する可能性があります。 これらの疾患を放置すると症状が進行し、関節の損傷や慢性的な痛みを引き起こすリスクがあります。 膝に痛みや違和感があるときは、我慢や放置せずに医療機関を受診しましょう。 軟骨がすり減りやすい人の特徴 膝軟骨のすり減りは、以下のような特徴を持つ方に多く見られます。 これらの要因が重なると、膝軟骨がすり減り、変形性膝関節症のリスクが高まります。 特徴 説明 膝のケガの経験がある方 靭帯や半月板など、膝の安定性を保つ組織に損傷歴がある場合、軟骨のすり減りが進行しやすくなります。 肥満傾向の方 歩行時、膝には体重の約3倍の負荷がかかります。体重が増えると、膝への負担も増大し、軟骨の摩耗が早まる傾向があります。 女性 統計的に、女性は男性よりも変形性膝関節症を発症しやすいとされています。特に閉経後は、骨や軟骨の健康を維持するエストロゲンの減少が影響すると考えられています。 加齢 年齢を重ねると、軟骨の水分量や弾力性が低下し、すり減りやすくなります。これは自然な老化現象の一部です。 遺伝的要因 家族に変形性膝関節症の患者がいる場合、同様の症状を発症するリスクが高まります。 過度な膝の使用 長時間の立ち仕事や膝を酷使するスポーツは、軟骨の摩耗を促進する可能性があります。 膝軟骨がすり減る要因を理解し、適切な予防策を講じましょう。 定期的な運動や体重管理、膝への過度な負担を避ける生活習慣の見直しが重要です。 膝軟骨がすり減ると「変形性膝関節症」になり痛みを感じる 膝軟骨の減少は「変形性膝関節症」の主な原因の1つです。 膝軟骨の役割は膝関節を衝撃から守り、スムーズな動きをサポートすることです。 しかし、加齢や過剰な負荷、遺伝的要因などによって軟骨がすり減ると、「変形性膝関節症」と呼ばれる疾患が進行します。 変形性膝関節症では、軟骨が摩耗するだけでなく、関節内で炎症が起こり骨同士が直接接触するようになります。 その結果、膝の痛みや可動域の制限が生じ、日常生活に支障をきたす可能性があります。 変形性膝関節症は初期段階では軽度の痛みから始まり、進行するにつれて関節の変形や可動域の制限が目立つようになります。 この疾患は特に中高年に多く見られますが、肥満や膝への過剰な負荷を伴う生活習慣を持つ若年者にも発症することがあります。 変形性膝関節症の症状を認識し、早期に対策を講じることが、進行を遅らせるために重要です。 変形性膝関節症の症状 変形性膝関節症の症状は、進行段階に応じて異なります。 主な症状は以下の通りです。 これらの症状に1つでも当てはまる場合は、早めに医療機関を受診しましょう。 変形性関節症の治療法 変形性膝関節症の治療は、進行段階や症状の程度によって異なります。 以下に変形性関節症の主な治療法をまとめました。 治療法 内容 薬物療法 ・非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の内服や外用で痛みと炎症を抑える ・ヒアルロン酸注射で関節の潤滑を改善し、動きをスムーズにする リハビリ療法 ・筋力トレーニングで膝を支える筋肉を強化 ・ストレッチやバランス訓練で膝の可動域を改善 手術療法 ・人工関節置換術ですり減った関節を人工関節に置き換える ・骨切り術で脚の軸を調整し、膝関節の負担を分散 再生医療 ・多血小板血漿を関節内に注入し、組織の修復を促進するPRP療法 ・幹細胞を用いて、損傷した軟骨や骨壊死部分などの再生を目指す幹細胞治療 生活習慣の改善 ・適切な体重管理で膝への負担を軽減 ・サポーターや衝撃吸収素材の靴を活用して膝を保護 特に再生医療は、膝軟骨の修復を目指す新しい治療法として注目されています。 リペアセルクリニック大坂院では、自己幹細胞やPRP療法を用いた治療を提供しています。 再生医療は、長期の入院や手術を必要としない治療法を求めている方におすすめの治療法です。 膝の痛みや違和感でお悩みの方は、ぜひ一度当院にご相談ください。 【まとめ】軟骨を増やしたい方は当院の再生医療をご検討ください 関節を守る重要な役割を果たしている膝軟骨は、加齢や過剰な負担、疾患などによってすり減ると、変形性膝関節症などの深刻な問題に発展します。 症状が進行すると膝の痛みや可動域の制限が生じ、日常生活に大きな支障をきたします。そのため、早期の対策と適切な治療が不可欠です。 治療方法には、痛みや炎症を抑える薬物療法や、人工関節置換術や骨切り術などの手術、幹細胞の分化誘導を活用した再生医療などがあります。 幹細胞の分化誘導による再生医療では、膝軟骨の再生を促し、手術に頼らず自然な形で回復を目指せます。 膝の痛みでお悩みの方は、悪化する前に早めの対策を検討しましょう。 再生医療について興味がある方は、ぜひ当院(リペアセルクリニック)へお気軽にご相談ください。
2025.02.07 -
- 再生治療
- スポーツ医療
疲労骨折してしまった場合、病院で治療を受けなければいけないのか、自然治癒できるのか気になる方も多いでしょう。 ひどい痛みではない場合、病院に行かずに放っておこうと考える人もいると思います。 結論、疲労骨折は安静にしておくことで自然治癒できます。 しかし早く治すためには、適切なケアが大切であり、自己判断で放置するのは危険です。 この記事では、疲労骨折が起こりやすい部位や考えられる原因、自然治癒の方法、治療にかかる期間予防方法などを解説しています。 「もしかして疲労骨折かも?」と感じたときの参考にしてみてください。 【結論】疲労骨折は自然治癒できる 疲労骨折は、多くの場合自然治癒できるケガのひとつです。自然治癒可能なケガではありますが、放置してしまうと、治りが遅くなる可能性が高まります。 疲労骨折の典型的な症状や原因、起こりやすい部位を理解して、適切な対応を取ることが大切です。 疲労骨折かどうかを見分ける手段のひとつとして、参考にしてみてください。 疲労骨折とは 同じ行動を何度も繰り返して行うことにより、骨にストレスが生じたことによる骨折です。 疲労骨折の場合は通常の骨折とは異なり、明らかな出血や強い痛み、腫れなどの外傷は少ない傾向にあります。 強い痛みや外傷がないため、捻挫と勘違いしてしまう可能性も高いです。 しかし疲労骨折のあとも患部に負荷のかかる運動を行ったり、圧迫したりした際に疼痛が生じ、腫れる場合もあります。 適切な治療を行わず放置してしまうと、さらなる症状の重症化につながる恐れがあるため注意が必要です。 一般的に疲労骨折は、安静にしていると痛みが軽くなる傾向にあるため、無理をせずに過ごしましょう。 疲労骨折が起こりやすい部位 疲労骨折は、体重を支える下肢に発生しやすい傾向にあります。 骨に負担がかかりすぎることによって発生する疲労骨折は、身体を支える際に負荷がかかる下肢に起こりやすいものです。 一般的に疲労骨折が起こりやすい部位は、以下の通りです。 疲労骨折が起こりやすい部位を把握して、負担をかけすぎないように心がけましょう。 疲労骨折の原因 繰り返し衝撃が加わったり、筋肉が引っ張られたりすることで生じます。 発生が多い状況として、スポーツに取り組む人が、過度に練習を繰り返し疲労骨折に至るケースが挙げられます。 また軍隊の訓練において最大100kmも歩き続ける「行軍訓練」を実施した際に、疲労骨折がよく発生します。 どちらも通常の生活よりも過酷な運動や、繰り返しの負荷を行うことによって、ストレスが加わり疲労骨折が発生します。 ほかにも、以下のような状況の際に疲労骨折が生じるケースが多いです。 徐々に運動を行った場合、骨は「リモデリング」という骨組織の破壊と再構築を行うことで、徐々に負荷へ適応していきます。 一方、急激に負荷が加わってしまうと、リモデリングに求められる時間が短くなり、骨の再構築が間に合わなくなることで疲労骨折が起きる仕組みです。 歩ける場合でも疲労骨折している可能性がある 通常の骨折とは異なり、疲労骨折は骨のズレが生じないため、部位によっては無理せず歩くことが可能です。 歩けるからといって無理して歩いてしまうと、さらに状態が悪化する恐れがあるため、できる限り安静に過ごす必要があります。 痛みや違和感があるなど、疲労骨折が疑われる場合は、早めに病院で診察してもらいましょう。 病院では基本的に「問診」「身体診断」「画像検査」を行い、疲労骨折の有無を診断します。 問診では、症状や発症時期、トレーニング状況など、痛みや違和感に至ったまでの過程をヒアリングされます。 身体診断は、圧痛や可動域制限、腫れなどがないか、目視で確認を行うのが一般的です。 またX線検査やMRI検査、骨シンチグラフィなどを用いて体内を画像で検査します。 それぞれの結果をもとに疲労骨折かどうかが診断されます。 疲労骨折の自然治癒方法と治療期間 疲労骨折の自然治癒方法と治療期間について解説します。 自然治癒での治し方 治療期間の目安 自然治癒を補助する治療方法 疲労骨折を自然治癒で治す方法と一般的な治療期間の目安を解説するので、参考にしてみてください。 自然治癒での治し方 自然治癒で疲労骨折を治す場合、適切な休息とケアが欠かせません。多くの疲労骨折は、休息とケアで改善が期待できます。 疲労骨折の回復速度を早めるには、整形外科での運動療法・物理療法によるリハビリを受けてもよいでしょう。 休息とケアを患部の状態に合わせて適切に行うことに加え、疲労骨折の原因となったスポーツは禁止されます。 疲労骨折時に行うリハビリでは、段階的に負荷を上げていく運動や全身の筋力トレーニング、関節可動域訓練などを行うのが一般的です。 また通常の骨折のように、ギプスや装具などでの固定は基本的には必要ありません。 痛みや違和感がない場合でも安静に過ごし、患部への負荷をかけないように意識しましょう。 早期回復を目指す場合は、バランスのよい食事による栄養摂取も不可欠です。 治療期間の目安 疲労骨折の自然治癒に取り組む場合、一般的には2~3か月が休息期間として設定されています。 部位や重症度によって休息期間は異なりますが、設定された期間中は疲労骨折の原因となった運動は禁止されます。 疲労骨折した部位と、自然治癒までにかかる一般的な期間は以下のとおりです。 脛骨…4~8週間 中足骨…6~8週間 大腿骨頸部…8~12週間 腰椎…6~12週間 あくまで目安であるため、治癒までの期間は個人差が生じることに留意しておきましょう。 自然治癒を補助する治療方法 医師や理学療法士と相談して、自然治癒に加えて補助的治療の導入を検討してみるのもおすすめです。 自然治癒を補助する治療方法の種類と、期待できる効果は以下のとおりです。 治療方法 期待できる効果 アイシング 痛みと腫れの緩和 電気刺激療法 痛みの軽減/筋肉の緊張緩和 超音波療法 骨治癒の促進 マッサージ療法 血行促進/筋肉の緊張緩和 ストレッチング 関節可動域の維持/筋力低下の予防 運動療法 筋力強化/関節機能の回復 アイシングや電気刺激療法をはじめとする物理療法は、痛みの緩和や、炎症を抑えることが期待されている治療方法です。 効果には個人差がありますが、早期回復を目指す場合は医師と相談の上で採用してもよい方法でしょう。 疲労骨折を自然治癒したあとの予防策 疲労骨折は自然治癒したあとも、再発させないことが大切です。 再発を予防するために必要なこと 自然治癒に有効な食べ物 ここからは疲労骨折を再発させないための予防方法や、予防に有効な食べ物を紹介します。 再発を予防するために必要なこと 一度治った疲労骨折を再発させないためにも、運動する際はウォームアップとクールダウンを丁寧に行うことが大切です。急激に負荷をかけないよう注意しましょう。 またトレーニングで負荷を増やす場合は一週間のうち10%以下に抑え、そこから徐々に負荷を増加させます。 10kgの負荷を使用している場合は、11kgより重くせず、身体に対して過度にストレスを与えないという心がけが欠かせません。 定期的に休息日を設けながらトレーニングするのも有効でしょう。週2~3日、1日15~30分の日光浴も不可欠です。 運動の種類もランニング以外を選ぶことも有効で、水泳や自転車などのクロストレーニングに取り組んでみると、脚への負担低減につながります。 トレーニングを行う際は、足にぴったりのクッション性や機能が整った靴を使用し、硬かったり柔らかかったりする路面は避けるなど、運動に向けたコンディションを整えることも重要です。 トレーニング以外でも食生活を整え、バランスのよい食事を取ることで疲労骨折の予防を目指せます。 自分に合ったトレーニング方法や負荷、休息、食事で無理なくトレーニングを行ってください。 自然治癒に有効な食べ物 身体にとって適切な栄養を摂取することは、疲労骨折の再発予防につながります。 適切な栄養摂取は再発の予防だけでなく、疲労骨折の早期回復も促進するため、トレーニングを行う上で心がけたいポイントです。 どの栄養もバランスよく摂取することが、骨の健康を目指す上では大切ですが、なかでも疲労骨折の回復・予防に有効といわれている栄養素や食べ物は以下のとおりです。 栄養素 食べ物 タンパク質 肉類、魚介類、大豆製品、卵、乳製品 ビタミンD 魚、きのこ類、卵黄 カルシウム 乳製品、小魚、大豆製品、緑黄色野菜 マグネシウム 大豆製品、未精製の穀類 骨形成(骨の生成)と骨吸収(古い骨の破壊)をするには、血中のカルシウム濃度を適切に保つ必要があるため、カルシウムの摂取は欠かせません。 特定の食材ばかりを取るのではなく、バランスのよい食事を心がけましょう。 疲労骨折と自然治癒に関してよくある質問と回答 最後に疲労骨折と自然治癒に関してよくある質問を紹介します。 疲労骨折になりかけの前兆はある? 疲労骨折になりやすい人の特徴はある? 疑問がある方はここで解消してください。 疲労骨折になりかけの前兆はある? 疲労骨折になりかけている場合、以下のような前兆が出ると考えられます。 特定の動作をすると痛い 安静にすると痛みが和らぐ 明らかなケガはしていないのに痛む 通常の骨折は、明らかに衝撃が加わるようなケガをしており、患部が腫れたり安静にしていても痛むなどの症状が出るという点で異なります。 疲労骨折になりやすい人の特徴はある? 疲労骨折になりやすい人の傾向として、以下のような特徴が挙げられます。 急にトレーニング量を増やした ランニングのフォームが揃っていない 地面が硬い/柔らかい 靴が足に合っていない 筋力・柔軟性不足 技術不足 加齢 体重増加 偏平足 栄養不足 骨密度の低下 O脚またはX脚 骨に対する過度な負荷をかけ続けることで疲労骨折につながるため、無理のない運動負荷に収めることが大切です。 【まとめ】自然治癒では完治できない疲労骨折には「再生医療」をご検討ください 疲労骨折した場合、自然治癒だけでは完全回復には至らない可能性があります。 自然治癒に取り組み、経過観察をしても回復の兆しが見えなかったり悪化したりした場合は、手術が必要となるおそれがあるため注意が必要です。 もし疲労骨折が慢性化していたり、再発が多い、既存の手術治療で完治しなかったなどの場合は、当院(リペアセルクリニック)の再生医療をご検討ください。 再生医療を活用することで、治療期間を大幅に短縮し、日常生活や競技への早期回復が見込めるようになります。 自然治癒では完治しきらず手術が必要となる場合でも、手術をせずに済ませられるのも再生医療の特徴です。 手術後の悪影響や後遺症の心配をする必要がなくなるため、興味がある方は再生医療の活用を検討してみてください。 再生医療の詳しい治療法やプラン、料金などを知りたい方は、無料相談も行っていますのでお気軽にご相談ください。
2025.02.07 -
- 再生治療
- ひざ関節
歩きすぎた翌日や運動後に、膝の裏に痛みを感じてお悩みではないでしょうか。 膝の裏の痛みは日常生活に支障をきたし、放置することで悪化する可能性もあります。 この記事では、膝の裏の痛みを軽減するための対処法や原因となる疾患について解説します。 歩きすぎて膝の裏が痛いときの対処法は? 膝の裏が痛い場合、適切な対処法をとることで症状を和らげることができます。以下のポイントを参考にしながら、自分に合った方法を見つけてください。 それぞれの対処法について詳しく解説していきます。 「RICE処置」で早めの回復を目指す 膝の裏が痛む場合、まずは「RICE処置」を実践することが効果的です。 RICE処置は、患部への負担を最小限に抑え、炎症や腫れを軽減するために効果的な方法です。 特に、痛みが発生してからすぐに行うことで、早期回復につながる可能性があります。 ただし、症状が重い場合や改善が見られない場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。 湿布で痛みの緩和を図る 膝裏の痛みを和らげるために湿布を使用するのも効果的です。 冷湿布と温湿布を症状に応じて使い分けましょう。 症状に合った湿布を選び、適切に使用することが重要です。 ストレッチで筋肉の柔軟性を高める 膝裏の痛みが筋肉の硬さや柔軟性の低下によるものであれば、ストレッチを取り入れることで改善が期待できます。 ストレッチ中に痛みを感じる場合は無理をせず、体に負担をかけない範囲で行うことが重要です。 痛みが強いときや治らないときは医療機関を受診する 膝裏の痛みが強い場合や、セルフケアを行っても症状が改善しない場合は、医療機関を受診しましょう。 適切な診断と治療を受けることで、症状の悪化を防ぎ、早期回復を目指せます。 歩きすぎて膝の裏が痛いときに考えられる3つの疾患 膝の裏に痛みを感じる原因には、日常的な負担だけでなく、特定の疾患が関係していることがあります。 歩きすぎによる膝裏の痛みに関連する代表的な3つの疾患を紹介します。 それぞれの疾患について詳しく紹介しているので、ぜひご覧ください。 膝窩筋腱炎(しっかきんけんえん) 膝窩筋腱炎とは、膝の裏にある膝窩筋という筋肉とその腱に炎症が生じる状態です。 主にランニングやジャンプといった運動を繰り返すことで発症する可能性が高いです。 症状 ・膝裏の鈍い痛み ・膝の曲げ伸ばしや階段の上り下りで痛みを感じる ・膝関節の可動域が制限される 原因 ・長時間同じ姿勢を保つ(デスクワークなど) ・急激な運動量の増加 ・筋肉の柔軟性不足 治療法 ・保存療法(安静、冷却、ストレッチなど) 膝窩筋腱炎は初期段階で適切な対応を取ることで、症状の悪化を防げる可能性があります。 膝の裏に痛みを感じたら、無理をせず早めに医療機関を受診しましょう。 ベーカー嚢腫(のうしゅ) ベーカー嚢腫は、膝の裏にある滑液包が炎症を起こし、関節液が過剰に溜まることで膨らんだ状態です。 膝の関節内に問題がある場合に併発することが多く、特に関節リウマチや変形性膝関節症の患者に見られることがあります。 症状 ・膝裏の腫れや圧迫感 ・膝の可動域が制限される ・膝を曲げた時に感じる痛み 原因 ・膝関節への過剰な負担 ・変形性膝関節症などの疾患 治療法 ・保存療法(安静、湿布など) ・溜まった関節液の吸引 ・手術療法 ベーカー嚢腫は放置すると症状が悪化し、膝関節のさらなる負担や他の疾患を併発する可能性があります。 また、原因となる疾患の治療も重要であり、リウマチや変形性膝関節症が疑われる場合は、医療機関での治療が必要です。 変形性膝関節症(へんけんせいひざかんせつしょう) 変形性膝関節症は、膝関節の軟骨が徐々にすり減り、関節が変形してしまう疾患です。 以下のような症状が現れ、日常生活に影響を及ぼします。 症状 ・膝の痛み ・膝の腫れや変形 ・歩行など動きの制限 原因 ・半月板や靭帯など膝関節の損傷 ・加齢による膝軟骨の老化 ・膝関節への過度な負担 治療法 ・保存療法(運動療法、痛み止めの使用) ・手術療法(人工関節置換術、骨切り術など) ・再生医療(幹細胞治療、PRP療法) 初期段階では保存療法が有効ですが、進行すると手術が必要になることがあります。 また、再生医療は新しい治療法として注目されています。膝に痛みや違和感を感じたら、早めに医療機関を受診しましょう。 歩きすぎによる膝の裏の痛みを防ぐ方法 膝の裏の痛みを防ぐには、日頃から膝に負担をかけにくい体づくりを心がけることが大切です。 膝周りの筋力や柔軟性を強化することで、歩行時の衝撃を吸収しやすくなり、痛みを予防できます。 特に太ももの筋肉(大腿四頭筋)や膝裏を支える筋肉を鍛えることが有効です。 また、適切な体重を維持することも重要です。体重が増えると膝への負担が大きくなるため、食事や運動で体重を管理しましょう。 歩きすぎて膝の裏が痛いときは再生医療もご検討ください 膝の裏の痛みが続く場合、再生医療という新しい治療法も選択肢のひとつとして検討しましょう。 再生医療は、体の自然な回復力を活かして損傷した組織の再生を促す治療法です。 これらの治療法は、膝の痛みの緩和や症状の進行を抑える可能性があるとされています。 ただし、効果や適応は症状や個人の状態によって異なるため、医師との十分な相談が必要です。 膝の裏の痛みでお悩みの方は、保存療法や手術療法と併せて再生医療も検討してみてはいかがでしょうか。 再生医療について詳しく知りたい場合は、ぜひ当院へお気軽にご相談ください。 【まとめ】歩きすぎて膝の裏が痛いときに無理は禁物 歩きすぎて膝の裏が痛いときに無理は禁物です。まずは安静にしてRICE処置で対処しましょう。 他にも対処法としてはストレッチ、湿布の活用などがありますが、痛みが強い場合や改善が見られない場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。 また、歩きすぎて膝の裏が痛いときの治療法としては保存療法や手術療法が一般的ですが、近年では再生医療という新しい治療法も注目されています。 再生医療について詳しく知りたい方は、当院へお気軽にご相談ください。
2025.02.07 -
- 再生治療
- 変形性股関節症
- 股関節
股関節の痛みで日常生活に支障をきたしている方の中には「放っておけばそのうち治るだろう」と考える方もいるでしょう。 しかし、股関節の痛みを放置すると、症状が悪化して深刻な疾患に繋がる可能性があります。 本記事では、股関節の痛みを放置することで起こりうるリスクや考えられる疾患、治療法について詳しく解説します。 また、手術しない治療法として注目されている再生医療の具体的な治療方法や生活上の注意点を紹介します。股関節の痛みにお悩みの方が、安心して治療を検討できるよう役立つ情報をお届けします。 股関節の痛みをほっくとどうなるのか? 股関節の痛みを放置すると、日常生活に支障をきたす可能性が高まります。 初期段階では軽い違和感や不快感に過ぎないことが多いですが、これを無視することで痛みが悪化し、深刻な疾患へと進行するリスクがあります。 股関節は体重を支える重要な関節であり、その機能が損なわれると歩行や姿勢の維持に支障をきたします。 さらに、適切な治療を受けないままでは、将来的に手術が必要になるケースもあるため、早めの対応が重要です。 変形性股関節症などの疾患に繋がるリスクがある 股関節の痛みを放置すると、変形性股関節症やリウマチ性股関節症など、深刻な疾患に繋がるリスクが高まります。 変形性股関節症は、加齢や過度の負担により関節軟骨がすり減って変形し、痛みや可動域が低下する疾患です。 初期には軽度の違和感や疲労感がある程度ですが、放置することで軟骨の損傷が進行し、強い痛みや関節の可動域制限を引き起こします。 また、股関節の痛みが骨折や腫瘍などの疾患が原因である場合、それらを放置するとさらに深刻な健康問題を招く恐れがあります。 特に高齢者では、大腿骨頸部骨折が痛みの原因であるケースも多く、早期発見と治療が命に関わる場合もあります。痛みを放置せず、医療機関で適切な診断を受けることが重要です。 歩行困難や立ち上がり動作が難しくなる 股関節の痛みを放置すると、歩行や立ち上がりといった日常生活の中での基本的な動作が困難になる場合があります。 歩行時に激しい痛みを感じるだけでなく、立ち上がる際に関節に大きな負担がかかり、スムーズな動作ができなくなります。 また、痛みを避けようとすることで不自然な姿勢や動作が習慣化し、他の関節や筋肉にも負担をかける悪循環に陥ります。 これにより、腰痛や膝の痛みが二次的に発生することも珍しくありません。股関節の症状の悪化を防ぐためにも、痛みが軽いうちに適切な治療を受けることが重要です。 股関節が痛いときに考えられる疾患 股関節が痛む場合、その原因としていくつかの疾患が考えられます。 それぞれの疾患には特徴的な症状があります。以下に挙げる疾患について理解を深め、当てはまる場合は医療機関を受診しましょう。 変形性股関節症 変形性股関節症は、関節軟骨が加齢や負担によりすり減り、股関節の機能が低下する疾患です。 変形性股関節症は特に中高年の方に多く見られ、痛みや可動域の制限により、日常生活に大きな影響を与える可能性があります。 症状が進行し、痛みが大きくなると立ち座りや階段の上り下りなどが困難になるため、早期に治療を開始することが重要です。 リウマチ性股関節症 リウマチ性股関節症は、自己免疫疾患の一つで、股関節を含む関節に炎症が生じる病気です。 リウマチ性股関節症は他の関節にも炎症が広がることが多く、放置すると日常生活に大きな支障をきたします。 大腿骨頸部骨折 高齢者に多い大腿骨頸部骨折は、転倒などの外傷が原因で発生することが多いです。 大腿骨頸部骨折は適切に治療しないと長期間の寝たきり状態を招き、筋力低下や二次的な健康問題を引き起こす可能性があります。 転倒を防ぐための環境整備や、骨の健康を保つための栄養管理が予防のポイントです。 股関節の痛みに対する病期別の治療法 股関節の痛みに対する治療法は、症状の進行度によっても異なります。 それぞれの治療法について解説します。 初期・進行期は「保存療法」が中心 初期や進行期の股関節痛には、主に保存療法が用いられます。保存療法は手術を行わず、痛みの軽減や関節の機能維持を目的とする治療法です。 保存療法は痛みが軽度の段階で有効ですが、症状が進行する場合には他の治療法を検討する必要があります。 末期の場合「手術療法」になることも 保存療法では改善が見込めない末期の状態では、手術療法が検討されます。 特に関節の変形や痛みが重度で日常生活が困難な場合、以下のような手術が選択されることがあります。 手術療法はリハビリが必要となる場合が多いですが、適切に行うことで痛みの軽減や生活の質の向上が期待できます。 手術を検討する際は、専門医と十分に相談することが重要です。 股関節の痛みはほっとかずに医療機関へ 股関節の痛みを感じたときは「そのうち治るだろう」と放っておかずに、早めに医療機関を受診しましょう。 特に、強い痛みにより日常生活に支障が出ている場合は、早急に治療を行う必要があります。 痛みを放置すると、症状の慢性化や股関節の変形が進行するなど、悪化して治療が難しくなる可能性も否定できません。 症状が悪化する前に医療機関を受診すれば、保存療法など負担の少ない治療法が選択できる場合もあります。 手術しない治療法として再生医療が注目されている 股関節の痛みや変形が進行している場合、従来は人工関節置換術が一般的な治療法でした。 しかし、手術に伴う負担やリハビリ期間の長さ、再手術のリスクなどから、手術を避けたいと考える患者さまも少なくありません。 近年では、手術を必要としない治療法として再生医療が注目を集めています。 再生医療は、患者さま自身の細胞を活用して損傷した組織を修復・再生する治療法です。 主に以下の特徴があります。 医療技術の進歩により、手術以外の選択肢が広がっている現在、再生医療は今後さらに注目を集める治療法のひとつです。 股関節の痛みに関してよくある質問 日常生活に大きく影響を与える股関節の痛みに関して、よくある質問を紹介します。 股関節の痛みにお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。 股関節が痛いときは歩かないほうがいい? 股関節が痛いときは、無理して歩かない方が良いです。 特に強い痛みがある場合は、関節や筋肉に負担をかける可能性があるため、安静にすることを優先してください。 ただし、長期間にわたって股関節を動かさないと関節が硬くなったり、筋力が低下したりするリスクもあります。 痛みが落ち着いてきたら、医師や理学療法士の指導のもとで軽い運動を取り入れると、症状の改善が期待できます。 突然歩けないほど股関節が痛くなる原因は? 突然歩けないほどの股関節の痛みが生じる原因には、以下のような疾患が考えられます。 これらの症状が現れた場合は、早急に医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることが重要です。 股関節が痛くて歩けないときの対処法は? 股関節の痛みが強く、歩けない場合には以下の対処法が有効です。 まずは安静にするのが大切ですが、痛みが強いときは医療機関を受診して医師の診察を受けましょう。 変形性股関節症は手術せずに治せる? 変形性股関節症は初期や中期の段階であれば、手術を行わずに治療することも可能です。 手術以外の治療として、以下の方法があります。 ただし、進行が進んで末期に至ると、人工関節置換術などの外科的治療が必要になる場合があります。 手術を回避したい方は、再生医療による治療もご検討ください。 【まとめ】股関節の痛みはほっとかずに医療機関を受診しよう 股関節の痛みは、放っておくと症状が悪化し、変形性股関節症やリウマチ性股関節症、大腿骨頸部骨折などの深刻な疾患に繋がるリスクがあります。 また、痛みが進行すると歩行や立ち上がり動作が困難になり、日常生活に大きな支障をきたす可能性もあります。 初期や進行期には保存療法が中心となりますが、症状が進んで末期に至ると手術療法が必要になる場合もあります。 近年では、手術しない治療法として再生医療も注目されています。患者さま自身の細胞を活用した治療法は、体への負担が少なく、損傷した軟骨の修復が期待できます。 股関節の痛みを軽視せず、早期の受診と適切な治療を受け、日常生活の快適さを取り戻しましょう。
2025.02.07