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- 変形性膝関節症
- ひざ関節
変形性膝関節症のステージ(初期、中期、末期)毎の症状について 膝関節は私達が歩行するのに欠かせない部位ですが、年齢を重ねるにつれて「膝が痛い」、「膝を曲げるときに違和感がある」というような症状を伴う変形性膝関節症を発症しやすくなります。 こちらでは、膝関節の病気の1つ「変形性膝関節症」とはどのような病気なのか、その特徴と対処法についてまとめました。 変形性膝関節症の特徴 変形性膝関節症は、50歳以上の方に発症しやすい膝関節の病気です。「膝が痛い」、「膝の曲げ伸ばしがしづらい」などの症状で整形外科を受診する患者さんの多くに、この病名が当てはまるといわれています。 また、男性よりも女性の患者さんが多いことも特徴の1つとして挙げられます。男性に比べて筋力が弱く、女性ホルモンの影響も受けやすいということがその原因とされています。 変形性膝関節症のステージごとの症状について 変形性膝関節症は、段階ごとに症状の出方が異なります。初期から末期までの症状をまとめましたので、参考にしてみてくださいね。 初期の症状 初期は立ち上がりや歩き始めといった、動作を始める時に痛みが出ます。少し休むと痛みが治まるのが初期の特徴です。 中期の症状 中期になると、正座や階段の昇り降りがつらくなっていきます。中期も安静にしていれば痛みは軽くなります。 末期の症状 末期になると、安静にしている時にも痛みが起こります。また、膝が変形したことにより、歩く時にも膝がピンと伸びなくなります。そのため、歩行自体が難しくなります。 変形性膝関節症が起こる仕組み 変形性膝関節症は、膝の軟骨へ負担がかかることと関係しています。 軟骨は負担がかかるとすり減ります。このすり減ったものが分解され、老廃物として膝にたまっていきます。そうなると、滑膜(かつまく)という膜に炎症が起き、水がたまったり痛みが生じたりするのです。 また、炎症が起きている状態で膝に負担がかかると、ますます軟骨のすり減りが進みます。痛みを無視していると、どんどん悪循環に陥ってしまうため、注意が必要です。 変形性膝関節症になった時の対処法 急に膝が痛み出すと不安ですし、日常生活にも影響が及ぶと不便も感じると思いますが、変形性膝関節症を疑う場合は、まず安静にしてみましょう。無理に動いてしまうと炎症がひどくなってしまい、さらに痛みが増すことがありますから、くれぐれもご無理をされないようにしてくださいね。 安静にする期間の目安としては3日から1週間程度です。この間は、激しい運動は控えて、日常生活を行える必要最低限の動きに抑えることが大切です。もし、1週間で痛みが治まらない場合や最低限の日常生活を行うのが難しいほどの痛みがあるという場合は、迷わず整形外科を受診し治療を受けてください。 また、症状が悪化してしまうと先ほど「変形性膝関節症の症状」のところでご紹介したように、安静にしているときにも痛みが生じるようになってしまうので、時間に余裕がある方は、痛みがそれほど強くない状態であっても受診し、診察を受けておくと安心です。 まとめ・変形性膝関節症のステージ(初期、中期、末期)毎の症状について 変形性膝関節症は、年齢を重ねる程発症しやすくなるといわれ、50歳過ぎの方、特に女性に多い膝関節に痛みを伴う病気です。若い方でも、スポーツを行っていた方や、急に激しい運動をすることによって発症することもあります。膝に痛みや違和感を感じたら、我慢せず早めに整形外科を受診しましょう。 監修:リペアセルクリニック大阪院/ ▼こちらも併せてご参照ください
投稿日:2024.11.19 -
- ひざ関節
膝の人工関節手術で決断前に知っておきたいリスクとは! 膝の疾患では、人工関節を入れる手術が選択されることがあります。もちろん、年齢や生活習慣によって、人工関節を入れた方がいいかどうかの判断基準は変わってきます。保存療法でどうしても良くならない膝の疾患については、人工関節を入れることで劇的に生活が改善されることもあります。 しかし、100%手術をすることによって生活レベルが上がるという保証はなく、稀ではありますが膝に人工関節を入れることによって、重大な悪影響を及ぼすこともあります。今回は、膝の人工関節手術についてご紹介していきます。 膝に人工関節手術を行うケースとは 膝に人工関節置換術を行うのは、どのような場合なのでしょうか。 保存療法で改善の見込みがない場合 膝で起こる病態は、ほとんどの場合は整形外科的な疾患です。変形性膝関節症や関節リウマチなど、薬物療法や保存療法で改善を目指すことが多いので、基本的には手術は最終手段になります。 しかし、あまりにも病状が進行して、関節の変形や痛みが日常生活に大きく支障をきたしている場合、人工関節の手術が選択されます。発症してからいきなり人工関節置換術になるケースは稀で、まずは保存療法によって処置が行われます。 膝にかかる負担があまりにも大きいときや、病態の悪化が著しい場合に人工関節置換術が検討されるのです。 高齢者の場合 40代、50代の年齢層で、膝の人工関節置換術が行われるのは稀なケースです。というのも、あまりにも若いうちから膝の人工関節置換術を行ってしまうと、人工関節の摩耗によって再手術を行わなければならない可能性があるからです。 近年では人工関節の精度も上がっているので、耐用年数も少しずつ上がってきてはいます。しかし、それでも何十年も機能を維持することは難しく、さらに膝が荷重関節であるという特徴も重なって20年程度が限度だと言われています。したがって、膝の人工関節置換術が行われるのは、多くが60代以降の患者です。 生活レベルが下がっている場合 膝に患った疾患によって、著しく生活レベルが下がってしまっている場合は、人工関節置換術が選択されることがあります。通常の歩行が困難になっている場合や、立ちあがる、座るなどの動作も自立して出来ないようなケースでは、人工関節置換術によって機能を早急に回復することが目指されます。 膝の痛みや可動域制限によって生活レベルが下がれば、そこから筋力はどんどん低下し、再び日常生活を自立して行えるように回復するまでかなりの時間を要することになります。リハビリとの兼ね合いも考慮して、生活の支障度合いでは早めに膝の人工関節手術をすることもあるのです。 膝に人工関節の手術を行う可能性のある疾患 膝関節に人工関節手術を行う可能性があるのは、ほとんどが慢性的にダメージを蓄積する疾患です。 変形性膝関節症 一度の外力によって膝に障害を受けるわけではなく、日常生活の中で受ける軽微な外力の積み重ねによっておこる症状です。体重や足の使い方などで、膝関節の中にある関節軟骨を少しずつすり減らしていきます。 その結果、大腿骨の膝関節面と、脛骨の膝関節面が直接ぶつかるようになり、炎症を起こすとともに変形していきます。まずは保存療法によって、膝に負担がかかりにくいような関節運動を獲得することを目指します。 さらに、体重管理や、筋緊張を緩和させる手技療法なども有効な治療方法です。しかし、それでも変形性膝関節症の症状が進行していき、日常生活に著しく支障をきたすような場合は人工関節手術が選択されることがあります。 あまりにも変形が強くなると、内側の半月板や骨が潰れて外観でも変形がはっきりわかるようになります。そこまで病状が進むと、通常の歩行が困難になることもあるので、生活レベルを取り戻すための手術でもあるのです。 関節リウマチ 自己免疫疾患の一つで、自らの関節を免疫機能が攻撃してしまう病態です。指先の関節で起こる症状が有名ですが、関節リウマチの症状が膝で起こることもあります。膝でリウマチ症状が出ると、腫れがひどくなったり、変形が進んだりします。 当然痛みも伴うので、痛みをかばって行動することで、結果的に膝の負担を増やすケースもあるのです。そこからさらに膝の変形が進むと、リウマチによる症状に加えて二次的な負担が加わります。 膝が変形したことによって荷重のかかり方に変化が起き、余計に膝のダメージを悪化させるのです。立位の保持や、通常の歩行でも強い痛みと可動域制限が起こるようになると、膝の人工関節手術が視野に入ってきます。 膝の人工関節手術におけるリスクとは 人工関節を入れるということは、皮膚や筋肉を切開することになるので、それなりのリスクもつきまといます。人工関節の手術をすることで、100%生活が向上するわけではありませんから、考えられるリスクもご紹介していきます。 人工関節の摩耗 人工関節はやはり人工物なので、何十年経過しても全く機能が劣化せずに一生保てるという保証はありません。一般的には、現在の膝に使われる人工関節の耐用年数は、長くて20年ほどと言われています。 ということは、60歳で手術をした場合、80歳あたりで再手術を行う必要が出てくるわけです。再手術といっても、60歳と80歳では当然体力に差があり、高齢の体にとっては非常に負担になります。手術の後にしっかりリハビリを行わないと、生活レベルが保てないので、想像以上に過酷です。 中には、人工関節が一生持つというドクターや有識者もいますが、必ず一生保てるということはありません。人体構造の中に人工物を入れるわけですから、人工関節と元々の膝関節の間に隙間が出来たり、緩みが出たりして不具合が起きる可能性は十分あります。 膝の人工関節手術を検討する場合は、年齢についても考慮しなければなりません。 必要なリハビリとそのリスク 人工関節を入れれば、術後すぐに痛みが無く歩けるというわけではありません。人工関節を入れるために、膝周辺の組織を一度切開しているわけですから、筋力や可動域を取り戻すためにはリハビリをこなしていかなければなりません。 膝の筋力を回復することはもちろん、股関節や足関節の動作によっても膝の負担を減らしていく必要があります。人工関節には神経が通っているわけではないですが、膝の使い方が悪ければ、元々の骨と接する部分で痛みを発生させる危険性もあります。 膝の疾患が再発する恐れがある 膝に人工関節手術をしなければならない疾患は、多くが慢性的に膝へダメージを与える疾患です。そのため、膝に人工関節を入れて膝そのものを回復させたとしても、手術前と体の使い方が変わらなければ、膝の負担も変わらないということです。 人工関節を入れることで、今出ている痛みの発生源は取り除かれるかもしれませんが、膝の痛みに繋がる根本的な原因は改善されないのです。膝に人工関節を入れる手術をしても、結局は運動療法などで膝に負担を溜めすぎない体づくりをしないと、痛みを再発させる可能性は高いです。 さらに、人工関節の摩耗も早めてしまうので、手術後に全身のバランスを整えることや関節の動かし方を改善することは必須になります。 感染症のリスクがある 手術をするということは、本来であれば無菌状態の関節を切開するということです。もちろん確率は低いですが、その分感染症のリスクは高まります。特に、水虫など元々持病を患っている方は要注意です。 もし膝関節に何らかの病原菌が侵入すれば、一度人工関節を抜いて洗うという工程が必要になります。もし、人工関節置換術を行った後に感染症が発覚し、人工関節が挿入できないということになったら最悪です。 人工関節を取り除いて、残った骨で関節を繋ぎ合わせなければいけないので、左右の下肢の長さが大幅に違ってきます。通常の歩行も困難になり、生活レベルを著しく下げてしまう恐れもあるのです。 死亡の可能性もある こちらも稀ではありますが、手術の影響で血栓を発生させ、深部静脈血栓症や肺塞栓に陥る可能性もあります。どちらも手術中に発生した血栓が、静脈に詰まる病態です。これは生命の危機に繋がる病態で、膝の人工関節置換術においてもその可能性は否定できません。 しかも、死の可能性が否定できない手術であるにも関わらず、手術をしたことで膝の痛みが必ずしも改善される保証はないという点も知っておくべきです。そのあたりのリスクも加味して、手術を検討してください。 膝の人工関節手術を避けるためには 前の項目でご紹介したように、膝の人工関節手術にはリスクもあります。できれば手術を回避できた方が良いので、手術を検討しなければならない状態まで悪化させないために、今からできることをご紹介していきます。 痛みを早めに相談する 膝で何か異変が起きたと感じたときに、なるべく早く専門医に相談することが大切です。整形外科に行けばレントゲンなどで精査も出来ますし、腫脹が出ていれば関節内に溜まった成分を検査して病気を診断することもできます。 接骨院や整骨院でも、膝の痛みに対して専門的な知識によって治療を受けることが出来ます。基本的に膝の病態は、放置しておくと悪化する一方です。早めに膝の状態が分かれば、適切な治療によって病態の悪化を食い止めることが出来ます。 変形などは元に戻らないとしても、今よりも悪化させなければ生活レベルは保つことが出来るのです。 全身のバランスを整える 姿勢を整えたり、背骨や骨盤のゆがみを矯正したりしておくことも、膝の負担を減らすとても有効な手段です。姿勢が悪いせいで膝に余計な負担をかけ、変形などの症状を助長しているケースもあります。 さらに、体のゆがみによって股関節や足関節の可動域が制限され、その結果膝の負担を増やしていることもあるのです。この場合、膝だけを集中して治療しても改善しないので、全身のバランスを整えることが必要になるのです。 体重を急激に増やさない 無茶なダイエットをする必要はありませんが、肥満状態の継続や、急激な体重増加は膝の疾患を助長します。常に荷重がかかる関節でもあるので、単純に体が重くなれば変形や痛みも強くなるのです。 実際に治療の現場でも、肥満傾向にある方は変形性膝関節症になったときに変形の進行も早いので、今から体重管理をしておくことが大切です。膝に痛みが出てしまってからだと、運動が制限されるので痩せるのが難しくなります。 食事制限をするしかなくなるので、年齢によっては代謝も落ちていますから時間がかかります。 膝の人工関節手術は最終手段!うまくいくとは限らない 膝に人工関節を入れる手術を行うのは、あくまでも最終手段と思った方が良いでしょう。ご紹介したように、人工関節手術にはリスクも伴います。しかも、人工関節を膝に入れたからといって、絶対に痛みが消えてスムーズな歩行ができるとは限らないのです。 年齢によっては再手術の必要も出てきますし、まずは保存療法で改善することを最優先にする方が良いでしょう。それでも膝の人工関節手術を検討する場合は、感染のリスクや再発のリスク、さらには死亡のリスクも頭に入れた上で検討するべきです。 人工関節後は、後戻りできません、再生医療という可能性 再生医療は、手術不要、入院不要で膝の再生を行える先端医療です。ただ通常の病院、医院、クリニックで受けることができません。再生医療専門院を受診する必要があります。当リペアセルクリニックは、第二種・第三種再生医療提供計画を厚生労働省に提出し受理された厚生労働大臣許可医療機関です。 再生医療専門院であり、再生医療専門医の診察と治療を受けることが可能です。詳しくは、こんな疑問を聞いても・・・などとご心配なさらずご相談ください。 監修:リペアセルクリニック大阪院 メール相談・お問い合わせフォームはコチラ 人工股関節に関連する記事はこちら 人工股関節術後に脱臼する可能性と生活の注意点をチェック 膝の痛みに関連する記事はこちら 膝の痛みと腫れが突然出た!考えられる原因は? 完治まで膝から水はなくならない?膝に水が溜まる原因と治し方 正座すると膝が痛いのは危険サインか?変形性膝関節症の可能性も 膝を曲げると痛いのは病気のサイン?音が鳴る原因は 膝をつくと痛い!痛みの原因や症状考えれる病態は? 膝の上が痛い原因は使い過ぎ?痛みに繋がるリスクとは 膝の皿が痛いのはなぜ?考えられる原因や病名は 膝の内側の痛みの原因は?症状や治し方について 再生医療による膝の治療に関連する記事はこちら 膝の症例 現役プロスポーツ選手 ひざの痛みにPRP治療 当院の治療についての考え方や再生医療についての内容もお読みください スポーツ外傷・障害の痛みに対する当院の治療 変形性股関節症に対する当院の治療 再生医療とは PRP(多血小板血漿)療法とは ご相談から治療までの流れ
投稿日:2024.11.19 -
- ひざ関節
膝が突然腫れて痛む症状は、多くあるものです。ぶつけたり捻ったりしていないのに腫れる場合は、膝の炎症が考えられます。 この記事では、膝が突然腫れて痛む場合の原因や病気、対処法を紹介します。考えられる症状を知って適切に対応や受診を検討しましょう。 膝が突然腫れて痛い原因 膝が突然腫れて痛み出す原因は、ほとんどが使い過ぎです。姿勢や体重、生活習慣などさまざまな要因が重なって不調を起こします。 膝だけでなく全身のバランスを見直し、生活習慣や癖の改善が必要になるかもしれません。 膝の腫れ・痛みは炎症のサイン 膝の腫れは、主に関節内での炎症によって発生します。スポーツや事故などの明確な原因のない突然の膝の腫れは、慢性的な関節炎の可能性があります。 炎症が起こると炎症物質によって関節内に水分が充満し、膝に水が溜まった状態になるためです。外からみると膝が腫れあがった状態に見えます。 膝が突然腫れた場合、ほとんどのケースで痛みを伴います。軟骨が損傷したり、重度であれば骨が変形し始めている可能性も否定できません。 腫れの成分を見れば病態がわかる 膝が突然腫れて痛む原因は、腫れの成分を調べるとわかります。腫れを作っている液体成分を検査すれば、関節内で何が起こっているのか特定できるためです。 主な内容を下記にまとめました。 ・炎症物質・・・関節炎 ・血液・・・・・筋肉や腱の損傷 ・膿・・・・・・感染症 膝の水を抜くと癖になると言いますが、炎症が治まっていないから膝が腫れ続けるのです。ひどい腫れによって日常生活が制限されている場合、早めに水を抜いて原因を確かめるのが大切です。 膝が突然腫れて痛い場合に考えられる病気 膝に突然腫れが出現し、なおかつ痛みも伴っている場合、どんな病態が起きている可能性があるのか紹介します。 変形性膝関節症 変形性膝関節症は一度の激しい外力によって膝関節を壊すわけではなく、日常生活の中でかかる繰り返しの外力によって少しずつ膝関節を変形させていく症状です。 変形性膝関節症のリスクは年齢が上がるとともに高まり、50代以降で突然膝に痛みと腫れを発生させた場合はまず変形性膝関節症を疑います。 長年にわたって膝関節に負担をかけ続け、ある日長く歩いたり、重い物を持って作業したりすると、何かの引き金で炎症に発展します。当事者からすれば、それほど負担がかかる動作でなくとも急に発症するので、明確な原因がわからないこともあります。 しかし、変形性膝関節症の本質は慢性的な膝への負担にあるのです。膝関節にある関節軟骨をすり減らし、骨が変形してしまうほどのダメージなので、当然関節内で炎症を起こして腫れます。 痛みも伴い、通常の歩行時でも痛みを感じるケースもあるくらいです。膝の腫れが酷くなると、階段の上り下りもかなり支障をきたします。 対処法 腫れの原因が変形性膝関節症であった場合、まずは安静にして膝の負担を減らします。膝の腫れが引けば、運動療法を行い膝に負担をかけにくい体の使い方を作るのが大切です。 もし膝の腫れが長期間引かない場合は、膝の関節に針を刺して液体成分を抜き取る処置ですぐに緩解します。しかし、膝の炎症自体が治まっていなければ、すぐに再発するでしょう。 膝の水を抜いたら、後療、罨法、手技療法、運動療法などで膝にかかる負担を減らすようなアプローチが必要になります。 整形外科でリハビリをしても良いですし、水を抜いた後は接骨院や整骨院でも膝の治療が可能です。 関節リウマチ リウマチでは、関節に慢性的な炎症を起こすので、変形と腫れを起こします。関節リウマチの症状は指先から発生し、徐々に範囲を広げて全身の関節で痛みを起こします。 特に、荷重関節である膝関節で起きた場合の炎症は、比較的強い腫れを認めることもあるのです。変形性膝関節症の場合は、簡単な言葉で表現すると、使い過ぎ(オーバーユース)によって発生します。 しかし、関節リウマチの場合は免疫機能の異常で、病原菌やウイルスに対する免疫機能が、自分の体を構成している細胞に対して働いてしまっている状態です。そのため自らを攻撃して炎症を起こしている状態とも言えます。腫れと変形が出てくるので、可動域も狭まり運動機能が低下していく恐れもあります。 対処法 関節リウマチに対処するには、薬物療法や運動療法、手技療法が有効です。薬物療法によって炎症を抑えたり、膝の人工関節置換術など外科的手術を実施したりします。 その後、膝の変形や痛みを緩和するため、運動療法によって負担のかかりにくい体の使い方を獲得していきます。手技療法によって膝を動かす筋肉の緊張を緩和できれば、可動域が回復していく可能性は十分あると言って良いでしょう。 痛風 痛風は突然の激しい痛みを特徴とする病気です。足の親指や足の裏、かかと、膝などに症状が現れます。発症すると1日から2日でピークを迎えますが、適切な治療をしないと再発する間隔が短くなり、関節破壊を引き起こす可能性があります。 対処法 痛風発作に対しては、鎮痛薬を用いて痛みを和らげるのが一般的です。症状が落ち着いたら、尿酸値を下げる治療薬の使用が検討されます。日常生活では、尿酸値を上げる食べ物を控えめにし、適度な運動を心がけることが大切です。 偽痛風 偽痛風とは、痛風と似た関節の痛みを起こす症状です。痛風とは異なり、尿酸ではなくピロリン酸カルシウムの結晶が原因で発症します。 ピロリン酸カルシウムは老化や軽微な傷で蓄積されるため、高齢者に多く発生し、膝や手首などの大きな関節に痛みがみられます。また半数位以上が膝に発生している点も特徴です。 対処法 一般的に、偽痛風は急性であれば3日程度で症状が軽快します。根本的な治療法はなく、非ステロイド系の抗炎症薬を使用したり、患部を冷やしたりします。 オスグッド病 オスグッド病は、膝の痛みを引き起こす疾患の一つです。主に成長期の子どもに多く見られ、膝のお皿の裏側にある骨の成長と太ももの筋肉の発達のバランスが崩れることが原因と考えられています。 対処法 オスグッド病の治療は、主に安静と炎症を抑えることが中心となります。膝への負担を減らすために、スポーツ活動の一時的な制限が必要です。痛みが強い場合は、医師の指示のもと、鎮痛剤や湿布などを使用して症状を和らげます。 また、ストレッチや筋力トレーニングをして、膝周りの柔軟性と筋力を高めることも重要です。 さらに、痛みを引き起こす動作そのものを見直し、バランスの取れた動作の習得も症状の改善に役立ちます。たとえば、膝に負担のかかる動作を避け、正しい姿勢や動作を身につけることで、膝への過度な負担を減らせます。 半月板・靭帯損傷 半月板や靭帯の損傷は、膝関節の腫れや痛みの原因です。スポーツ活動だけでなく、日常的な膝への負荷の繰り返しによっても発症する可能性があります。 対処法 半月板や靭帯の損傷に対する治療は、損傷の程度によって異なります。軽度の場合でも、医師の診察を受けましょう。 医師の指示のもと、安静にするとともに、湿布や鎮痛剤で症状を和らげます。中等度以上の損傷では、専門医による詳細な診察と治療が必要です。理学療法やリハビリテーションをして、膝関節の機能回復を図ります。 場合によっては、手術療法が検討されることもあります。いずれの場合も、早期の診断と適切な治療が重要です。 打撲・強打 膝の打撲や強打は、外部からの強い衝撃によって引き起こされます。スポーツ中の事故やつまずいて転倒した際などに発生しやすい傾向にあります。 対処法 打撲や強打による膝の痛みに対しては、RICE処置が有効です。Restは安静、Iceは冷却、Compressionは圧迫、Elevationは患部の挙上を意味します。痛みが強い場合や腫れが引かない場合は、医療機関を受診し、専門医の診察を受けるのが大切です。 膝裏のリンパが詰まっている 膝裏のリンパ節が腫れると、膝の痛みや違和感を引き起こすことがあります。 リンパ節は、体内の不要なものや細菌、ウイルスなどを処理する役割を持っています。ただし、リンパ節の腫れは、感染症や炎症、腫瘍などが原因で起こることもあるため、注意が必要です。 対処法 膝裏のリンパ節の腫れに対しては、まずは安静が大切です。過度な運動は控え、患部を冷やすことで腫れを和らげます。 また、マッサージやストレッチをしてリンパの流れを良くすると効果的です。症状が長引く場合や腫れが大きい場合は、医療機関を受診し、専門医の診察を受けましょう。 膝の腫れと突然の痛みを起こしやすい人の特徴 明確なきっかけが無いのに、突然膝に腫れや痛みを発生させるのは、どんな特徴の人に多いのでしょうか。 それでは、1つずつみていきましょう。 股関節が硬い 股関節の動きが悪い場合、その分を膝関節で代償するようになるので負担が増えます。歩行の動作を例にとると、股関節が動きにくいせいで足を前に進める力が弱くなります。 その分、膝関節を大きく動かして足を前に進めるようになるので、通常時よりも負担が増えてしまうのです。この場合、膝関節で起きた炎症を抑えるための治療はもちろん、股関節の可動域を増やすような運動療法が必要です。 立ちっぱなしの状況が多い 仕事柄や生活習慣上、1日の大半を立ちっぱなしで歩き回って過ごす方の場合、変形性膝関節症などのリスクを高めるので、突然膝に痛みと腫れを起こすこともあります。 1日であれば大したダメージにはならないかもしれませんが、何日、何週間、何年と続くと大きな症状につながります。意識的に座る、膝の荷重を避ける瞬間などを作れると良いでしょう。 姿勢が悪い 猫背や巻き肩、ストレートネックなど、明らかに姿勢が悪い人は、膝にかかる負担が大きくなります。 とくに、上半身のゆがみが膝に影響を与えることも多く、頭の位置が前に出ているほど膝の不調を起こすリスクは高まります。頭はとても重い部位であり、体の重心から少し外れるだけでも負担が何倍にも増えるためです。 また、骨盤が後ろに傾いている人も、股関節の動きが悪くなって膝の負担を増やします。 股関節の動きが悪いと変形性膝関節症の進行を早めるため、なかなか治りません。ただ単に膝を使いすぎるだけでなく、通常よりも少し大きな負担をかけ続けていることが問題です。 足関節の動きが悪い 足首が硬いと、膝で代償するようになるので負担が増えます。 足首が硬くなる原因は、筋肉を使いすぎて疲労を溜めているためです。さらに、足関節捻挫の後に治療をしっかり行わず、後遺症を残してしまった場合も考えられます。 とくに、足関節捻挫をしっかり治さないと、背屈制限が残る場合があるので、足関節捻挫を軽く見てはいけません。将来的に変形性膝関節症のリスクを高めてしまいます。 体重が重い 肥満の方は変形性膝関節症のリスクが高く、年齢と共に多くの方が膝に不安を抱えるようになります。 体重が重ければ、膝の負担が増え不調が起こりやすくなるためです。 膝の使い方や姿勢をいくら良くしたところで、物理的に荷重が大きすぎれば膝関節の半月板はつぶれていきます。そこから炎症に発展し、常に膝が腫れている状態になってしまうのです。 定期的に膝の水を抜く必要がありますが、膝の腫れ癖になったかのような錯覚に陥る方もいます。しかし、癖になったのではなく膝で炎症を起こす原因が解決されていない点が理由です。 また、元々体重が重かった人はもちろん、急激に太った場合も膝の不調リスクは高まります。 膝が腫れた経験がある 以前膝が腫れた経験がある方は、再発する可能性があります。 突然の外傷以外では、日常生活の軽微な外力によって膝の炎症を起こします。原因が生活習慣にあるので、しっかり意識して変えていかないとすぐに炎症は再発するものです。 一度良くなって完治した後も、良い状態をキープできるように定期的な体のメンテナンスが大切です。 膝が突然腫れて痛い場合の対処法 もし、突然膝に腫れと痛みが出たら、どのように対処すればいいのか紹介していきます。 ふともものマッサージ 軽い力でさする程度で良いので、ふとももの緊張を取り除くことが重要です。 膝で炎症が起きる原因の多くは、膝の使い方にあります。膝の使い方を大きく左右するのがふとももの筋肉なので、ふとももの前面を自分でマッサージしてみましょう。 筋肉の緊張が緩和されれば、膝にかかる圧力も減って、自然に腫れが吸収されていく可能性もあります。あまり強い刺激を加える必要はないので、優しくもみほぐすイメージで行ってみてください。 お風呂でよく温まる 急性外傷でない限りは、温まることで症状が緩和されるケースもあります。 細菌感染など、病気でないことが前提ですが、変形性膝関節症や筋肉疲労が原因であれば有効な対処法です。温まることで筋肉の緊張もほぐれ、血流が良くなります。 その結果、腫れの成分も周りの組織に吸収されやすくなり、腫れも痛みも引くようになるのです。 接骨院を受診する 接骨院では、膝の腫れが出た原因の診断は出来ません。 しかし、有効な手技療法や後療法、運動療法などの処置ができるので、膝の負担のかかり方をコントロールするのに適しています。整形外科と接骨院の併用もできるので、上手く使い分けてください。 整形外科を受診する 突然の腫れと痛みを検査するには、整形外科が最も適しています。 レントゲンの撮影やMRIでの精査が可能で、外科的な処置で腫れの原因を特定出来るでしょう。根本的な治療でなくとも、膝の水を抜くなどの対症療法はかなり楽になります。 再生医療を検討する 人工関節の手術や長期間の入院をしないで痛みを和らげたい方は、再生医療を検討してみましょう。再生医療は、自身の治癒力を高める治療です。たとえば、膝の治療は以下のような流れで行われます。 ・採血で患者本人の幹細胞(ダメージを受けた細胞を補充する役割の細胞)を採取 ・増やした幹細胞を膝関節に注射する ・軟骨や靭帯が修復される 痛みの根本から治療したいとお考えの方はご検討ください。 膝の腫れと突然の痛みに関するよくある質問 膝の腫れと、突然の痛みに関するよくある質問をまとめました。 ・膝の炎症を治す方法は? ・膝がぷよぷよして腫れているのはなぜ? 不明な点を明らかにして、応急処置や受診の目安にしてください。 膝の炎症を治す方法は? 膝に痛みや腫れがある場合は炎症が起きていますので、氷のうやアイスパックなどで冷却します。 痛みが続く場合は医療機関の受診を検討しましょう。 膝がぷよぷよして腫れているのはなぜ? 膝がぷよぷよして腫れている原因は以下の通りです。 ・膝に水がたまっている ・変形性膝関節症 ・関節リウマチ ・痛風 また、膝にたまってしまった水は関節液と呼ばれる液体です。健康な状態の膝にも備わっていますが、関節液の量を調節する滑膜の不調により関節液が多くなってしまうことがあります。 膝が突然腫れて痛い原因まとめ 膝は骨や関節、靭帯、腱などの構造が不安定な部位であるため、普段の姿勢などちょっとしたことが原因で膝へ負担がかかり、炎症が起きて腫れや痛みが生じやすい部位です。 膝の腫れや痛みなどの治療を受けても改善されず、手術しかないのだろうかと思っている人には再生医療があります。治療法の選択肢として、再生医療も検討してみてはいかがでしょうか。 大阪リペアセルクリニックでは、厚生労働省に受理された再生能力が高い治療が可能です。変形性ひざ関節症、ひざ関節の骨壊死に対して高い治療効果が期待できます。 痛みの根本から病気を解決したい方はお気軽にお問い合わせください。
投稿日:2024.11.19 -
- ひざ関節
膝の水の正体と水が溜る原因、考えられる病気の種類と治療方法を徹底解説 膝に起こる異変の一つとして、水が溜まるという現象があります。 膝の水が溜まってしまう原因は様々で、膝の水を検査することでどんな病態が隠れているのか知ることもできます。決して年齢が高いから膝に水が溜まるわけではなく、若年層でも膝に水が溜まるケースは考えられます。 そこで今回は、膝に水が溜まる原因と、完治までどのような経過をたどっていくのかご紹介していきます。 膝の水の正体と、水が溜まる原因 膝に水が溜まる原因は、関節内に炎症が起こるからです。炎症の原因は、まず一つに「靭帯損傷」や「半月板損傷」といった外傷で膝に水が溜まる場合、もう一つは、「変形性膝関節症」などの慢性的な症状によって膝に水が溜まる場合です。 膝関節の動きに重要なものに「関節液」があります。この関節液は、関節の動きがスムーズにする潤滑剤の役割をしています。よく耳にする「膝に水が溜まる」という言葉、実のところ、この関節液が正体なのです。 このように「膝の水」は、関節液なので誰の膝関節にも存在していて、問題はその量ということです。膝に水が溜まると言われる状態は、何らかの原因で関節液が増えてしまった状況です。 この膝関節内に溜まっている膝の水(関節液)は、純粋な水分というわけではなく、血液が混じっていたり、化膿して発生した物質が混ざったりすることがあります。 その膝に溜まっている水を注射で抜き、どんな成分が含まれているか検査をすることで、膝関節で起こっている病変を特定することにも役立ちます。 その成分が、「炎症成分であれば、関節炎が起きていることが分かり」、「血液であれば靭帯損傷などの軟部組織損傷」であることがわかるのです。 膝の水 関節液 ▲炎症成分 関節炎 ▲血液 靭帯損傷、軟部組織損傷 膝の水を抜くと癖になる?! 膝に水がたまると、「水を抜くと癖になる」という話。膝に溜まった水を抜くと、何度も繰り返すようになってしまうという噂ですが、これは正しい情報ではありません。 実際に、一度膝に溜まった水を抜き、その後も何度も処置をしなければならないケースはありますが、抜いたことで癖になっているのではありません。単純に、膝関節内での炎症が治まっていないから腫れが引かないだけなのです。 ですから、癖になるからと言って膝関節の水を抜くことをためらっている方もいらっしゃいますが、我慢する必要は全くないのです。むしろ、膝の水を放置しておくことで、悪影響が出ることもあります。 水を抜くと癖になる ✕(嘘) 炎症が収まっていないから溜る 〇(抜いたほうが良い) 抜くのを我慢する ✕(意味がないので抜いたほうが良い) 膝の水を放置する ✕(悪影響も) 膝の水を放置すると、どうなるか? 膝の水を放置すると膝関節にズレが出やすく悪影響となる恐れがあります。通常であれば関節包内で関節軟骨がスムーズな動作や衝撃吸収のシステムを作り出していますが、関節内に水が充満しているとそれらの機構が上手く機能しなくなるからです。 その結果、膝をかばった動作を行うことで膝周辺の筋肉に余計に負担をかけ、その周辺に異常な緊張が生まれ、膝関節の安定性をさらに低下させてしまいます。 膝の動作でズレが出るので、膝の水が引いたあとも再び関節炎を起こしやすくなり、膝に水が溜まる現象を繰り返すことになります。また、可動域制限がかかった膝をかばうことで、股関節や足関節の負担が増加し、新たな障害の可能性が増すだけです。 膝の水を放置することは、膝だけの問題であったものが二次的に他の関節にも痛みを生じさせることになってしまうのです。 膝にたまった水の放置 ▼膝関節のスムーズな動作を阻害 ▼膝をかばった動作となり、その他の関節に負担が出る ▼新たな障害の可能性が増える 膝にたまった水を放置してはいけません 膝の水は、完治するまで無くならない ここまでご紹介してきたように、「膝に溜った水は抜いても癖になりません。」むしろ「放置しておくことは逆効果」で、炎症が治まっていない限りは膝の水は発生し続けます。 膝に水が溜ることを完治させるためには、水が無くなるまで注射で抜き続けるのではなく、膝で炎症を起こしている根本的な原因を改善しなければなりません。その原因が解決されない限りは、膝の水が溜まる現象は完治することは無いのです。 水が溜る ▼水がなくなるまで抜く ✕ 水が溜る根本原因を改善する 〇 ▲水が溜らなくなる 水を抜く必要がなくなる 膝に水が溜まる病気の種類について 膝に水が溜まるという現象が起こり得る病態とは、どのようなものがあるでしょうか。 変形性膝関節症 変形性膝関節症とは、打撲や捻挫をしたわけでもないのに、慢性的な症状で膝に水を溜める大きな原因が「変形性膝関節症」です。特に50代以降で、「外傷の可能性が無いのに膝に水が溜まってきている」場合、高い確率で「変形性膝関節症」だと思ってください。 変形性膝関節症は関節の軟骨が摩耗により、大腿骨と脛骨の関節面が直接擦れ合うようになり、関節内で炎症を起こす病態です。膝関節に負担を蓄積することで、少しずつ関節が変形していきます。 一度変形が起きた骨は元に戻ることはなく、炎症を抑えるためには体の使い方を見直す必要があります。股関節の動かし方や膝関節の動かし方、さらには背骨のゆがみや骨盤のゆがみなど、全身のバランスから改善することが必要なる場合もあります。 変形性膝関節症による炎症が落ち着けば、膝の水も無くなっていくので、必ずしも水を抜く処置を受ける必要はありません。 関節リウマチ 関節リウマチとは、全身のどの関節でも起こる可能性がある炎症です。この炎症は、免疫機能が異常を起こし、健康な骨や筋肉を構成している細胞を攻撃してしまう病態で、関節内での炎症と変形が主な症状となります。 痛みもあるので関節の可動域も狭くなり、変形が起きればさらに関節が動かしにくくなります。そこから慢性的な膝関節炎を起こし、膝全体が腫れあがったような水のたまり方をすることもあります。 薬物療法や運動療法などで炎症が軽減されれば、膝の水は自然と吸収されていきます。 靭帯損傷 靭帯損傷は、膝を支える靭帯に大きな外的衝撃を受けた場合に起こる損傷です。中でも膝に腫れを起こしやすいのが、前十字靭帯の損傷です。前十字靭帯は、他の膝関節の靭帯である後十字靭帯や内側と外側の側副靭帯に比べて、血流量が多いという特徴があります。 そのため、損傷すると関節内に出血を起こしやすく、血腫が溜まるので外から見ると膝に水が溜まったように見えるかもしれません。関節内に存在しているという構造上、保存療法だけではしっかり靭帯が治癒しないことも多くあります。 この場合、膝の腫れに対して対処するというよりは、「前十字靭帯の再建術など外科的処置を受けることによって、膝の水も治まっていく」という過程をたどります。 しかし、前十字靭帯損傷後には後遺症として、膝関節の負担が大きくなったことで慢性的な膝関節炎に移行するということが考えられます。この場合、再び膝に水が溜まる可能性もああり、運動療法などで膝に負担をかけない動かし方を獲得していく必要があります。 半月板損傷 膝の半月板を損傷するのは、外傷など強力な一回の外力によって起こるものと、変形性膝関節症などゆっくりと時間をかけて少しずつ損傷していくものとがあります。 どちらにせよ、膝関節にかかる荷重の衝撃を吸収するクッション作用が弱まるので、膝関節内で炎症を起こすことになります。そこから膝に水が溜まるようになるため、膝の水を抜くことが根本的な改善策になるわけではありません。 結局、膝の負担が変わっていなければ、すぐに膝の水は再度溜まっていきます。また、外傷によって半月板損傷を起こしている場合、半月板だけの単独損傷である場合は少なく、周辺の靭帯や軟部組織損傷を伴っていることがほとんどです。 膝に水が溜まったとき、やってはいけないこと 膝に水がたまった場合、早く完治させるために気を付けなければならないポイントをご紹介します。 我慢しすぎない 前述したように、膝に溜まった水を抜くことで癖になることはありません。必ず外科的な処置によって抜かなければならないわけではありませんが、放置すると膝関節の安定性は低下してしまいます。 屈曲角度が著しく制限されている場合や、日常生活に大きく支障が出ている場合は、我慢せずに早めに整形外科などで相談してください。放置しすぎることによって、かばった体の使い方が定着してしまい、腰痛など二次的な不調を引き起こす可能性が高まります。 痛みを無理して動かす 膝に水が溜まっているということは、少なくとも何か膝に負担をかける要因があるわけです。炎症かもしれませんし、軟部組織損傷かもしれません。いずれにせよ、痛みがありながら無理して動かすことで、プラスに働くことは無いと思ってください。 むしろ、痛みを我慢しながら動かすことで、炎症を悪化させて関節の内圧をさらに高めてしまうこともあります。安静にすることもとても大切なケアなので、膝に水が溜まってきたら出来る限り安静にしてみてください。 それでも膝の水が完治しなければ、医療機関を早めに受診してください。 過剰に冷やす よく炎症が起きた時にはアイシングをすると良いという話を聞くことがあると思います。しかし、過剰に冷やすことは、かえって膝の炎症が完治するのを遅らせてしまうこともあります。 確かに冷やすことで感覚が鈍って、痛みを感じにくくなるかもしれません。しかし、常に冷やしていると血流も悪くなり、代謝が下がって膝の水が吸収されにくくなります。 結局のところ、組織を早期に治癒させるためには、豊富な血流が必要なので基本的には温めるべきです。例外としては、前十字靭帯損傷後に、血腫が大量に溜まっている場合くらいです。急性期の大きな外傷の場合は温めることはせず、安静にしてください。 膝に水が溜まった場合の対処について 膝に水が溜まった場合、完治させるためにはどのような対処法を行うべきでしょうか。 ストレッチをする 出来る限りでいいので、ストレッチなどで膝関節周辺にある筋肉の緊張を緩和させることが大切です。筋肉の緊張が緩和すれば、膝関節の動きもスムーズになって腫れも早く引きます。 膝の水は、抜かなくても自然と吸収されるので、その機能を最大限引き出すつもりでゆっくりストレッチをしてみてください。大腿部や下腿部のストレッチが有効です。 安静にして荷重を避ける 膝が炎症を起こしてしまうのは、荷重による異常がほとんどです。荷重の角度が悪かったり、荷重の頻度が高すぎたり、荷重が重すぎたりすることでダメージを蓄積していきます。 膝に水が溜まるくらいまで炎症が進んでいるようなら、安静にして荷重を避けるだけでも完治を早めることに繋がります。 サポーターなどの装具を使う 膝関節を保護するために、ただ巻くだけの簡易的なサポーターでも良いです。荷重を分散させてくれるような高価なサポーターももちろん良いですが、一時的な対処法であることは自覚しておいた方が良いでしょう。 サポーターを付けることで慢性的な症状に対して、冷えを防ぎ安定性を高めてくれます。実際に装着してみて、少しでも楽に過ごせるようなら使い続けてみてください。 その際には、四六時中サポーターを装着して生活するのではなく、寝るときは外すなどメリハリをつけることも大切です。特に慢性的な症状が原因で出ている膝の水であれば、根本的な体の使い方を見直さない限り完治には至りません。 整形外科で水を抜いてもらう 膝関節の水を抜けるのは、整形外科です。関節に針を刺して抜く方法で、対処してもらえます。膝に水が溜まっているから即座に抜くというわけではなく、生活への支障度合いなどを考慮して選択されます。 水を抜いて検査をしてみれば、実際に何が炎症の原因になっているか判断できるので、長期間続いている場合は早めに抜いてもらってみてください。 接骨院や整骨院にいく 接骨院や整骨院では、外科的処置ができないので、水を直接的に抜くことは出来ません。しかし、周りの筋肉の緊張を緩和させたり、運動療法を行うことによって膝のダメージを軽減させたりすることは出来ます。 その結果、自然と膝の水は吸収されていくので、可動域の制限度合いによっては真っ先に受診するのも良いでしょう。 膝の水は吸収されていく 膝に水が溜まるという現象は、あくまで関節内で炎症が起きていることのサインです。炎症が治まれば、周辺の組織に吸収されて無くなっていきます。膝の水を完治させるためには、なぜ炎症を起こしているのか原因を突き止め、根本を改善することが大切です。 お近くに再生医療やスポーツ医療についての専門医がいない方へ リペアセルクリニックは、第二種・第三種再生医療提供計画を厚生労働省に提出し受理された厚生労働大臣許可医療機関です。当院では来院前でも「メール相談」を受付けています。どうぞ事前にご相談ください。 メール相談・お問い合わせフォームはコチラ 監修:リペアセルクリニック大阪院 膝の痛みに関連する記事はこちら ・膝の痛みと腫れが突然出た!考えられる原因は? ・正座すると膝が痛いのは危険サインか?変形性膝関節症の可能性も ・膝を曲げると痛いのは病気のサイン?音が鳴る原因は ・膝をつくと痛い!痛みの原因や症状考えれる病態は? ・膝の上が痛い原因は使い過ぎ?痛みに繋がるリスクとは ・膝の皿が痛いのはなぜ?考えられる原因や病名は ・膝の内側の痛みの原因は?症状や治し方について 再生医療による膝の治療に関連する記事はこちら 膝の症例 現役プロスポーツ選手 ひざの痛みにPRP治療 人工股関節、人工関節に関連する記事はこちら ・人工股関節術後に脱臼する可能性と生活の注意点をチェック ・膝の人工関節手術は失敗がある?知っておくべきリスクとは 当院の治療についての考え方や 再生医療についての内容もお読みください ・スポーツ外傷・障害の痛みに対する当院の治療 ・変形性股関節症に対する当院の治療 ・再生医療とは ・PRP(多血小板血漿)療法とは ・ご相談から治療までの流れ こちらもご参照ください
投稿日:2024.11.19 -
- ひざ関節
- 変形性膝関節症
正座ができないほどの膝の痛みは、日常生活にも影響を及ぼします。正座ができなくなる原因としては、変形性膝関節症や靭帯損傷などの病態を患っている可能性が考えられます。 そこで本記事では、正座ができないときに考えられる病態のほか、簡単に実施できる対処法を紹介します。 日常生活でよく正座をする方や、急に正座ができなくなってしまった方はぜひ最後までご覧ください。 正座が痛くてできないときに考えられる病態 正座をすると痛いときは、どんな問題が起きているのか原因を探る必要があります。 正座のよる痛みはもちろん、正座をするとき以外にも膝や脚に痛みを感じる場合は、上記の病態を患っている可能性があります。 1.変形性膝関節症 膝をぶつけたり捻ったりしたわけでもないのに、正座をすると痛い、または正座がほとんど出来ない場合は変形性膝関節症を疑います。50代以降で正座の際に痛みが出る場合は、変形性膝関節症の可能性が高いです。 変形性膝関節症は、大腿骨の下端と脛骨の上端で構成される膝関節が、少しずつ潰れて変形してしまう病態です。骨の端を覆っている関節軟骨が、繰り返しの外力によって少しずつ摩耗し、損傷していきます。 関節軟骨が摩耗すると、体重がかかったときのクッション作用が上手く機能しません。骨自体が直接干渉して潰れてしまうのです。とくに膝関節の内側で変形が起こるケースが多く、変形性膝関節症が進行するとO脚になっていきます。 この状態で、膝を最大屈曲させるような正座の動作をすれば、関節内に異常な圧迫力がかかって痛みを伴います。さらに、変形性膝関節症の場合、通常の歩行時にも痛みを伴っているケースも多いです。 痛みが長期間続く場合は、膝関節周辺の軟部組織を損傷している可能性があります。いずれにせよ、変形性膝関節症がある状態で正座をするには、根気強いリハビリが必要になります。 2.靭帯損傷 膝の周辺には、関節内にある前十字靭帯と後十字靭帯、関節の内側にある内側側副靭帯、関節の外側にある外側側副靭帯の4つが存在しています。靭帯の損傷は、歩行時や正座をするときに痛みを感じます。 また、膝関節周辺の靭帯は、それぞれが強固な作りになっています。そのため、いずれかの靭帯が損傷した場合は、他の靭帯も一緒に損傷している可能性が高いです。 たとえば、前十字靭帯が損傷するほどの外力がかかっていれば、内側側副靭帯も一緒に損傷している頻度が高いのです。正座をすると膝の屈曲角度が鋭角になり、損傷している靭帯に牽引力がかかって痛みが出ます。 さらに、靭帯損傷によって膝が腫れていれば、正座の屈曲によって関節内の圧力が高まり痛みを感じます。くわえて、膝関節の靭帯損傷が起きている場合は関節軟骨の損傷を伴うケースも多いです。 靭帯を損傷している状態の正座はほぼ不可能と言えます。 3.関節軟骨損傷 膝関節にある関節軟骨は、内側半月と外側半月の2つです。それぞれ、三日月のようにC字状の形をしています。靭帯損傷を伴うほどの外力によって一回の衝撃で関節軟骨を損傷する場合もあれば、軽微な外力の積み重ねで少しずつ関節軟骨を摩耗していく場合もあります。 通常は関節軟骨によって、膝の曲げ・伸ばし動作をスムーズに行えます。さらに、ジャンプの着地時など、地面から伝わる衝撃を吸収するのも関節軟骨の役割です。 対して、関節軟骨が損傷していると、大腿骨の関節面と脛骨の関節面の間で滑りが悪くなります。そのため、膝関節を最大屈曲させる正座では、関節面でズレを起こして痛みを伴いやすくなるのです。 4.大腿四頭筋腱炎 太ももの前面にある大腿四頭筋を繰り返し使うことで疲労が蓄積し、大腿四頭筋腱炎に発展します。大腿四頭筋腱炎はジャンパーズニーとも呼ばれ、膝蓋骨の下から脛骨粗面まで続く膝蓋靭帯の炎症も起こします。 そのため、大腿四頭筋腱が位置している膝蓋骨の上部や、膝蓋靭帯がある膝蓋骨の下部でも痛みが生じます。バレーボールやバスケットボールなど、ジャンプを繰り返すスポーツにおいて発症しやすい病態です。 大腿四頭筋腱に微細な損傷を起こしているので、牽引力が加わり痛みを発生させます。膝を最大屈曲する正座では、大腿四頭筋の牽引力も強くなるので痛みを伴いやすいのです。 大腿四頭筋腱の炎症が治まれば、再び正座も問題なく行えるようになります。早期の治癒と再発予防を目指すなら、股関節や足関節の柔軟性を高めて膝関節にかかる負担を減らすことが大切です。 5.膝関節炎 膝関節が炎症を起こしていると、正座のときに痛みが出ます。関節軟骨の損傷や靭帯損傷の二次的な症状として現れる点が特徴です。 わかりやすい損傷以外にも、膝関節を動作させる筋肉に異常な緊張があると膝関節内で炎症を起こします。たとえば大腿四頭筋が異常な緊張を起こしていれば膝蓋骨が大腿骨の関節面に強く押し付けられる形になり、そのまま膝関節の曲げ伸ばし動作を繰り返すと摩擦が起きます。 摩擦で負ったダメージによって、膝蓋大腿関節で炎症を起こし、正座をすると痛い状況に陥るのです。他にも、大腿部外側の筋肉が異常な緊張を起こし、内転筋とのバランスが悪くなると膝関節内が炎症を起こします。 打撲などの外傷が無くても、足に合わない靴を履いていたり、足関節の動きが悪かったり、股関節の動きが悪かったりすれば大腿部外側の筋肉が硬くなります。 6.オスグッド オスグッドは10代特有の症状でもありますが、大腿四頭筋の牽引力によって脛骨粗面で炎症が起きる病態です。まだ骨が成長しきっていない年代の発症率が高く、サッカーやバスケットボールといったスポーツにおけるジャンプやダッシュの動作で大腿四頭筋が強く緊張すると起こりやすいです。 大腿四頭筋の筋力を発揮をするたびに停止部である脛骨粗面に強い牽引力が加わり、微細な損傷を起こしながら炎症していきます。その結果、正座をすると痛みが伴うのです。 オスグッドは一回の激しい外力で発症するのではなく、スポーツといった日々の活動における負担の蓄積が原因です。そのため、ストレッチで柔軟性を保ちつつ無理な動きを避け、普段から体に負担をかけない意識が大切です。また、普段から正座をする習慣があるとオスグッドの発生率は低くなります。 7.肉離れ 肉離れも正座ができない原因のひとつです。正座をすると損傷部位に圧力がかかるので、痛みが伴います。 また、直接的な原因だけでなく、肉離れによる痛みをかばって膝に負担をかけるのも痛みの原因です。下肢の後面で肉離れを起こすと、損傷部に牽引力が加わらないように膝を屈曲させた状態になります。 上記の状態が長期間続けば、下肢前面にある大腿四頭筋や前脛骨筋にも負担が蓄積されます。その結果、正座で屈曲する瞬間や、強く伸展する瞬間に痛みが生じてしまうのです。 正座が痛くてできないときの対処法 この項目では、正座が痛くてできないときの対処法を紹介します。症状の悪化を防ぐためにも、できるだけ早く対処することが大切です。 1.同じ姿勢を続けない 筋緊張が正座の痛みを助長しているケースがあります。長時間同じ姿勢をとった際、動き出しの動作で痛みを伴う点が特徴です。 長時間椅子に座っていた後に正座を試みると痛みが出るので、椅子に座っている段階から20分に1回は立つなどの対策が必要です。 どんな体勢だとしても、長時間同じ姿勢を続けるのは筋緊張を招きます。こまめに体勢を変えるようにしてください。 2.膝を温める 発症から時間が経過している場合は温めると膝の動きが良くなり、正座での痛みが軽減できるケースがあります。温めると血流が良くなるので、筋緊張が緩和されます。 筋緊張が緩和されれば、膝関節で起きる異常な摩擦や荷重が無くなり、正座もスムーズにできるようになるのです。お風呂に入った後に比較的楽に正座ができるのは温め効果による一例です。 3.ストレッチをする 大腿四頭筋のストレッチをすると、正座の際にかかる膝への負担を減らせます。正座は荷重をしながら膝を最大屈曲させるので、実は負担が大きい動作です。 まずは非荷重の状態で膝を屈曲しながらストレッチをして、徐々に荷重での屈曲に移行していきます。非荷重の状態で膝を屈曲した段階で痛みが出るなら、正座をすればほぼ間違いなく痛みは憎悪します。 まずは問題なく非荷重での屈曲が出来るようにして、その後正座に挑戦するという流れで改善していきましょう。 4.医療機関に相談する まずは正座による痛みの原因を特定させることが先決です。病態の有無を診断してもらうためにも医療機関を受診し相談しましょう。医療機関を受診することで、原因に対して的確なアプローチが可能となります。 「どうせ大したことはない」「そのうち治るだろう」といった慢心が症状の悪化を招きます。少しでも違和感を感じたら早期受診を心がけましょう。 痛みで正座できない場合はご相談ください! 正座ができない原因には、変形性膝関節症や靭帯損傷、炎症などが考えられます。 膝を温める、ストレッチをするなどの対処法で改善する場合もありますが、痛みが続く場合は早めに医療機関を受診することが大切です。 また、正座をするときに痛みを感じる方は、当院にご相談ください。 当院は、第二種・第三種再生医療提供計画を厚生労働省に提出し受理された厚生労働大臣許可医療機関です。自身の細胞を用いる再生医療により、入院不要で膝の痛みや正座ができない症状の緩和を目指します。 来院予約のほか、メール相談も受け付けておりますので、ぜひご気軽にお問い合わせください。
投稿日:2024.11.19 -
- ひざ関節
「しゃがむときに膝からポキポキ音がする」 「ポキポキ音は異常のサイン?」 膝の痛みはないものの、頻繁に音がなる現象に不安を抱いている方も多いことでしょう。結論、膝からポキポキ音がするときは、関節や筋肉の問題が潜んでいる可能性があります。 この記事では、膝の音が鳴るメカニズム、関連する疾患、そして症状への対処法を詳しく解説します。痛みを伴う場合はとくに注意が必要です。早めに医療機関を受診しましょう。 しゃがむと膝がポキポキとなる鳴る理由 膝を曲げたときにポキポキ音が鳴る理由は、以下の通りです。 ・膝関節内の気泡が破裂している ・変形性膝関節症で関節間の骨同士が接触している ・半月板が損傷している ・靭帯が損傷している 膝を動かすと関節液の中で気泡が移動して破裂音が鳴る場合があります。気泡の破裂音の場合は、基本的に問題ありません。しかし、痛みを感じる場合は半月板や靭帯の損傷が考えられます。長期間の放置は症状を悪化させる可能性があるため注意が必要です。 痛くないけど膝が鳴るのは異常? 痛みを伴わずしゃがむと膝が鳴る場合は関節液の中で気泡が破裂しており、問題ないとされています。しかし、痛みがなくても変形性膝関節症の兆候として音が鳴っているかもしれません。 とくにミシミシとした音や、ジャリッとした音が鳴った場合は、半月板や軟骨に異常をきたしている可能性があります。 痛みの有無にかかわらず、膝に違和感を覚えたら医療機関を受診するよう心がけましょう。 しゃがむと膝が鳴る主な原因・疾患 しゃがむと膝が鳴る主な原因・疾患として、以下が考えられます。 ・膝の筋力が弱っている ・変形性膝関節症 ・タナ障害 ・半月板損傷 ・腸脛靭帯炎 しゃがむと膝が鳴る主な原因・疾患についてそれぞれ詳しくみていきましょう。 膝の筋力が弱っている 外傷や病気がなくても、膝周辺の筋力低下が膝の痛みや音が鳴る原因になります。 膝を動かす筋肉には、大腿四頭筋やハムストリングス、縫工筋や半腱様筋などがあり、筋肉が弱ると、膝関節の動きにズレが生じやすくなります。 よって、膝の痛みや音がなるのは運動不足による筋力低下が原因かもしれません。筋力低下を防ぐためには、軽いウォーキングや自転車など、負担の少ない運動を継続的に行うことが大切です。 変形性膝関節症 変形性膝関節症は、長期間にわたり少しずつ膝関節が変形する疾患です。大きな衝撃で急に膝が動かなくなるわけではありませんが、以前は気にならなかった膝の曲げ伸ばし時の痛みや音が徐々に強まります。 初期段階:体重がかかった状態で膝を曲げる動作を行うとで痛みを感じる 進行後:非荷重の状態でも痛みを感じる タナ障害 タナ障害は、膝関節内の滑膜(タナ)が厚くなり、膝を曲げ伸ばしする際に膝蓋骨との摩擦が生じる障害です。とくに膝を深く曲げたときに痛みや引っかかり感が現れます。 タナ障害は、スポーツなどで膝を頻繁に使用する人に多く見られます。治療としては、休息・消炎鎮痛薬・ストレッチや筋力トレーニングなどのリハビリが有効です。 半月板損傷 半月板損傷は、膝を深く曲げたりひねったりした際に、膝関節内で半月板が損傷して発生します。半月板は衝撃吸収の役割を担っている組織です。 半月板の損傷によって膝の不安定感や痛みが生じ、しゃがんだときにポキポキという音が鳴る場合があります。半月板は衝撃吸収の役割を担っていますが、加齢やスポーツによる負荷が原因で劣化するケースもあります。 痛みが続く場合は、早期に医師の診断と適切なリハビリが必要です。 腸脛靭帯炎 腸脛靭帯炎はランナーズニーとも呼ばれる疾患です。 大殿筋から始まる腸脛靭帯が大腿骨外側を通り下腿まで伸びる中で、外側顆と摩擦が生じて発症します。腸脛靭帯炎になると、屈曲や伸展運動の際に腸脛靭帯と外側顆が擦れるので、当然膝を曲げると痛みが出ます。 腸脛靭帯炎になってしまう原因は、オーバーユース(使いすぎ)です。大殿筋や大腿部の筋肉に負担がかかるような長距離ランナーに多くみられます。 疼痛部を守ろうとするあまり、周りの筋肉は自然と硬くなります。その結果、膝関節が硬くなり、痛みにくわえて音が鳴るのです。 しゃがむと膝が鳴るときの対処法 しゃがむと膝がなるときの対処法は以下の通りです。 ・大腿四頭筋のストレッチをする ・内転筋のトレーニングをする ・足首をよく回す ・整形外科で精査してもらう ・接骨院で治療する すぐに実施できる方法を以下で詳しく紹介するので、できることから取り組んでみましょう。 大腿四頭筋のストレッチをする 膝を動かす筋肉の緊張は不調の原因になります。とくに大腿四頭筋の緊張が強まると、膝の障害リスクが高まります。対策として、大腿四頭筋のストレッチを日常的におこないましょう。 ストレッチでは、膝関節をしっかりと曲げるのがポイントです。また、股関節が曲がってしまうと効果が半減するので、股関節を伸ばしながら膝を曲げるように心がけましょう。 内転筋のトレーニングをする 日常生活の中で最も筋力が落ちやすい部位が内転筋です。膝の内側にある内転筋と、大殿筋などの股関節外転筋のバランスが崩れると、膝の安定性が低下します。筋力低下により、O脚や変形性膝関節症の進行リスクが高まります。 したがって、内転筋を意識したトレーニングを取り入れましょう。内転筋を鍛えると、膝関節の運動がスムーズになり、安定性が増して痛みが軽減していきます。 チューブを使うトレーニング ゴムチューブを足に巻き付けて、股関節の内転方向に力を入れる 椅子を使うトレーニング 座った状態で足を浮かせ、膝を前にまっすぐ伸ばす ※膝の内側にボールやクッションを挟むとより効果的 足首をよく回す お風呂上がりなどに足首を手で回すと、膝を曲げたときの痛みや音が軽減できます。 足首を定期的に回すことで足関節の曲げ伸ばしがスムーズになると同時に、歩行時の推進力が向上します。すると、間接的に膝への負担が軽減されるのです。 変形性膝関節症の進行や腸脛靭帯炎のリスクも抑えられるため、積極的に実施しておきたい対処法のひとつです。 整形外科で精査してもらう 原因不明の膝の痛みや音が非荷重時・歩行時に発生する場合は、整形外科を受診しましょう。 整形外科ではレントゲンやMRIを用いた診断が可能です。転倒や打撲の事実がないのに膝関節の腫れや屈曲時の音や痛みが続く場合は、変形性膝関節症が進行しているかもしれません。 原因を特定し、適切な治療を行うためにも、早めに専門医にみてもらいましょう。 接骨院で治療する 筋緊張の緩和や筋力強化を目的とした保存治療を受ける際は接骨院の通院が適しています。 薬物療法や画像診断はおこなえませんが、膝の痛みに対して専門的な治療が受けられます。また、症状を和らげるとともに、再発予防に関する指導もしてくれます。整形外科で痛みや音の原因を精査した後に、接骨院で治療を受けることも視野にいれてみましょう。 痛みを伴う膝の異常は専門医に相談しよう 膝を曲げたときの痛みは、原因に関係なく膝になんらかの異常が起きているサインです。痛みを放置すると手術が必要な症状に発展する可能性もあるため、早めに専門医へ相談しましょう。 音が鳴るだけであれば直ちに問題になるケースは多くありませんが、疾患の兆候の可能性も考えられます。日頃からストレッチや軽めのトレーニングを実施し、あらかじめ対処しておきましょう。 また、膝に関するお悩みは当院でも受け付けております。お気軽にお問い合わせください。
投稿日:2024.11.19 -
- ひざ関節
膝は常に体重を支えている関節のため、不調を起こしやすい部位です。打撲や捻挫などによる膝の負傷もありますが、明確な原因がわからないまま痛みを発症するケースもあります。 また、膝をつくと激痛が走る症状にお悩みの方も多いのではないでしょうか。 そこで本記事では、膝をつくと激痛が走る疾患や対処法を紹介します。最後までご覧いただき、原因の追求・適切な処置を目指しましょう。 膝をつくと激痛が走る8つの疾患 膝をつくと激痛が走る場合に、どんな疾患が考えられるのか紹介していきます。 膝が地面に着くということは、膝関節や股関節が屈曲しているということです。この状況下で考えられるさまざまな原因を探っていきましょう。 1.変形性膝関節症 50代以降になると、突然症状が現れ始めるのが変形性膝関節症です。転倒や捻挫、不自然な動作の事実がない状態で発症します。 膝をつく・曲げる際に痛みを感じ、重症の場合は歩行時でも強い痛みを伴うことがあります。膝関節の過度な使用や繰り返しの負荷により、長年のダメージが蓄積され、徐々に変形が進行します。 初期段階では膝関節の軟骨が摩耗し、次第に骨自体の変形へと進展します。股関節の硬さや不良姿勢による骨盤後傾がO脚傾向を引き起こし負担を増加させます。 膝をつく・歩く際の痛みが現れる頃には、レントゲン検査で軟骨がほぼ消失していることも珍しくありません。 2.タナ障害 関節包内の棚状のヒダが関節間に挟まり、徐々に炎症を引き起こす症状をタナ障害と呼びます。この原因のヒダは、突発的な外力や体の動かし方で形成されるのではなく、多くの場合先天的に大きな形状をしています。 炎症の発生には、膝関節の軟部組織損傷などの外傷が関与します。膝の靭帯損傷や筋肉疲労で関節の動きにずれが生じると、関節包内の滑膜ヒダが挟まれやすくなります。 膝関節の屈曲や伸展時にヒダが繰り返し挟まれることから、膝をつく動作や歩行中に痛みが出現します。膝関節を曲げた際にポキッという音が生じる場合、タナ障害のリスクが高いと考えられます。 症状が現れたら、痛みを伴う動作を避け安静にして炎症の鎮静化を待ちます。同時に、膝関節の適切な使用法を学ぶ運動療法が効果的です。 3.半月板損傷 膝関節には内側半月と外側半月があり、損傷頻度が高いのは内側半月板です。膝関節に過度な捻転力や内反力がかかると内側半月を損傷します。 外傷による半月板損傷の多くは、内側側副靭帯や前十字靭帯など他の軟部組織損傷も併発します。また、変形性膝関節症のような亜急性の半月板損傷もあります。 靭帯損傷や筋断裂を引き起こすほどではない軽微な外力によって、半月板が徐々に摩耗していきます。半月板に穴が開くなどの変形が生じると、膝をつく動作時に痛みと可動域制限が発生します。 一度損傷した半月板は自然再生しません。しかし、痛みを伴わない動作の獲得は可能です。大腿部などの筋力強化や運動学習により、日常生活に支障のないレベルまで回復できます。 4.靭帯損傷 膝の主要な靭帯には、内側を大腿骨から脛骨にかけて走行する内側側副靭帯と、外側を縦に走行する外側側副靭帯があります。さらに関節内には、前十字靭帯と後十字靭帯が存在し、膝関節の前後のズレを防ぎ安定性を強化しています。 これら強固な靭帯を損傷させるには、他人との衝突など大きな外力が必要です。とくに前十字靭帯は血流量が多く、損傷時は膝関節に強い腫脹が見られます。 靭帯損傷は単独で起こることは少なく、前十字靭帯を損傷するほどの外力が加わると内側側副靭帯も同時に損傷する傾向にあります。損傷時は該当部位に圧痛や腫脹が見られ、膝をつく動作で痛みが生じます。 関節内の前十字靭帯と後十字靭帯は再生力に乏しいため、手術が選択されることも多いです。 5.分裂膝蓋骨 分裂膝蓋骨は、その名の通り膝蓋骨が分裂している病態です。発生原因は不明で、骨折とは異なり局所的な圧痛や介達痛を引き起こすことは稀です。多くの場合、日常生活に著しい支障をきたすことはありません。 ただし、ジャンプやダッシュなど瞬間的な大腿部の筋力発揮を要するスポーツでは、分裂膝蓋骨に負荷がかかり炎症性の痛みが生じます。 膝をつくなどの圧迫力でも痛みが出るため、痛みを伴う動作を控え炎症の鎮静化を待つことが重要です。分裂の様相はさまざまで、縦割れ・横割れ・外上方のみの分裂などが存在します。 日常生活に大きな支障がなければ保存療法で十分対応できます。とくに大腿四頭筋の緊張が痛みの原因となるため、ストレッチや股関節の可動域強化を通じて、痛みのない膝の動かし方を習得します。 手術を選択する場合は、分裂した小さい骨片の除去や骨癒合の試みなどが行われます。 6.鵞足炎 鵞足炎は、膝の内側下方の脛骨周囲に炎症が生じる疾患です。鵞足は脛骨の内側(膝から5〜7㎝下)に位置し、縫工筋・半腱様筋・薄筋の腱が骨に付着する部位です。 この部位の滑液包に炎症が起こるのが鵞足炎です。滑液包は関節に存在する小さなゼリー状の袋で、少量の液体を含み、骨と軟部組織の間でクッションとして機能し摩擦を軽減します。 膝の屈曲や股関節の内転動作で滑液包に繰り返し負担がかかり、慢性的な痛みを引き起こします。アスリートに多く見られますが、歩行の偏りなどの動作不良により一般の人でも発症します。 膝をつく以外にも運動時や階段を下るとき、歩行時に症状が現れます。重症化すると安静時でも疼痛が生じるようになります。 治療は理学療法や注射などの保存療法が一般的です。 7.腸脛靭帯炎 腸脛靭帯炎は、ランニングによる膝障害です。膝の屈伸運動の繰り返しで腸脛靭帯が大腿骨外顆と擦れ、炎症が起こり痛みを発症します。 長距離ランナーをはじめ、バスケットボール・水泳など多様なスポーツで発症します。過剰なランニング時間やウォームアップ不足・休養不足・硬い路面の下り坂による負担など、さまざまな要因が関与しています。 痛みは大腿骨外顆周辺や膝の外側に現れ、腸脛靭帯に沿って広がることもあります。初期は運動時に痛みが発生し、休息で消失します。 最も効果的な治療法は、ランニングや膝に負担のかかる練習の休止または軽減です。さらに、アイシングや湿布の使用、ストレッチの強化も有効です。スポーツ整形外科では、消炎鎮痛剤の内服や局所注射などの治療を行います ただし、膝の外側の痛みは腸脛靭帯炎だけが原因ではありません。若年層では疲労骨折、中高年層では外側半月板損傷の可能性もあります。症状が改善しない場合は、スポーツ専門の病院を受診しましょう。 8.ジャンパー膝(膝蓋腱炎・大腿四頭筋腱付着部炎) ジャンパー膝は、頻繁な運動や屈伸動作により発生します。バレエやランニングなどのスポーツに多い疾患で、膝蓋腱の伸張を繰り返すことで損傷が蓄積され発症します。 年齢やスポーツの有無に限らず、急激な運動の開始でも生じますが、十分な休息と膝蓋腱の安静で一過性に終わることがほとんどです。 スポーツ選手の場合は、損傷した膝蓋腱を修復する時間を与えないほど頻繁に運動を続けるため、症状が慢性化しやすい傾向にあります。 膝をつくと激痛が走るときの対処法 この項目では、膝をつくと激痛が走るときの対処法を紹介します。適切な対処で症状の改善を目指しましょう。 安静にして痛みのある動きを避ける 膝をつくと発症する激痛が外傷によるものか、関節内の炎症によるものか判断が難しい場合もあります。そんなときは、ひとまず膝関節への荷重など、痛みを伴う動作を避け安静を保ちましょう。 安静に伴い痛みが軽減したり、その後の動作がスムーズになったりと症状の改善が期待できます。 ストレッチをして筋肉の緊張を取る 大腿部や股関節、さらには下腿部の筋緊張が膝の痛みを引き起こす場合があります。とくに臀部や大腿部外側の筋緊張は、変形性膝関節症を悪化させる要因になります。 下腿部の筋緊張は足関節の動きを制限し、その分の負担を膝関節が担うことになります。結果として膝関節の不調が生じやすくなり、痛みの回復も遅れがちです。そのため、ストレッチをして筋緊張を取ることが有効な対処法となります。 痛みが生じるほどの本格的なストレッチを行う必要はなく、心地よくできる範囲内で実施すれば十分です。 整形外科を受診する 膝をつく激痛が突然現れた場合は、上記でも紹介した変形性膝関節症やタナ障害といった病態が潜んでいることがあります。初期段階なら保存療法で十分対応できますが、放置すると症状が悪化し、日常生活への支障が大きくなります。 膝関節内で起きている変化や疾患の有無を確認するためにも、整形外科の早期受診が有効な対処法です。 接骨院を受診する 膝をぶつけていないのに痛みを発症している場合、日常生活における動作が起因している可能性があります。また、問題となる行動・動作を改善しなければ悪化の一途をたどります。 整形外科で精査し、即時の外科的処置が不要と判断された場合は、接骨院での運動療法や手技療法も効果的な選択肢となります。 日常生活における動作についてアドバイスを受け、症状の改善に努めましょう。 つくと激痛が走る方必見!膝に関する豆知識 膝をつくと激痛が走る症状を改善するには、膝に関する知識を身につけることも重要です。 そこでこの項目では、豆知識と称して膝に関する解説をします。激痛が走る要因を探っていきましょう。 膝は不調が起きやすい部位 膝は荷重がかかる関節のため、明確な受傷機転がなくても痛みを感じることがあります。タナ障害など、生まれつきの関節包内のヒダが原因で起こる症状もあり、日常生活に大きく影響します。 亜急性の膝の不調の根本原因は、姿勢の悪さ・体の使い方・日常生活の動作などによる長期的なダメージの蓄積にあります。 そのため徐々に痛みが増したり、少しずつ変形したりと年齢とともに膝の激痛につながるリスクが高まります。一方、若年層ではオスグッドなどスポーツ活動に起因する症状も見られます。 とくにサッカーやバスケットボール、バレーボールなど、瞬発系の競技を頻繁に行う少年に多く見られます。このように、膝は年齢に関係なく不調を起こしやすい部位とされています。 膝関節を構成している骨について 膝関節は主に3つの骨で構成されています。 1.大腿骨:膝関節面が内側と外側に分れており、靭帯などで頑丈な安定性を保ち内反や外反といった異常な動きを防いでいます。 2.脛骨:「スネ」の骨で近位端部が膝関節面になっています。脛骨の上部に大腿骨の内側顆と外側顆がはまり込む構造です。 3.膝蓋骨:大腿骨の近位部前面に位置し、膝関節の屈曲や伸展時に滑るように移動します。 上記の骨の異常及び、周辺筋線維の異常が要因となって膝の激痛症状を引き起こしているケースもあります。 膝関節は特徴的な動きをする 膝関節の基本的な動きは屈曲と伸展で、大きな筋肉によって強い筋力を発揮します。 屈曲の主動作筋は、大腿二頭筋・半腱様筋・半膜様筋で構成されるハムストリングスです。また、伸展の主動作筋は・大腿直筋・外側広筋・内側広筋・中間広筋で構成される大腿四頭筋です。 両者とも骨盤から大腿骨を経て下腿の近位端まで到達し、膝関節だけでなく股関節の動きにも作用します。 特徴的なのが膝関節屈曲時の下腿の内旋で、膝窩筋など小さな筋肉が微妙な動きを調整します。膝関節屈曲で下腿が内旋し伸展と共に外旋するこの動きは、単純な前後面の運動ではありません。この特徴的な動きをスクリューホームムーブメントと呼びます。 膝をつくと激痛が走る際は当院にご相談ください! 膝をつくと激痛が走る疾患は主に8つ存在します。また、本記事で紹介した対処法を実践しても症状が改善しない場合は再生医療による治療を検討してみてはいかがでしょうか。 リペアセルクリニック大阪院は、第二種・第三種再生医療提供計画を厚生労働省に提出し受理された厚生労働大臣許可医療機関です。当院では来院前でもメール相談を受付けています。どうぞ事前にご相談ください。
投稿日:2024.11.19 -
- ひざ関節
膝の上側が痛む場合はさまざまな疾患や原因が潜んでいる可能性があります。 日常生活や運動時に痛みを感じた場合、単なる筋肉の疲労やストレスと見過ごしがちですが、早期に対策を講じないと症状が悪化する恐れもあるのです。 膝は日常的に大きな負担がかかる部位です。とくに膝の上側の痛みは、大腿四頭筋腱炎やランナーズニー、関節リウマチなどが原因で発症する場合があります。 本記事では、膝の上側に痛みを感じる際に考えられる疾患や原因について徹底的に解説し、早期の対策に役立つ情報を提供します。 膝の上が痛む原因 膝の上が痛む場合、ぶつけたり捻ったりなど原因が明確なケースもあります。しかし自分でもよくわからないまま痛みが突然発生する場合も多いです。 膝が痛む原因がわからない場合、どのような理由が考えられるのかを紹介します。 急激に太った 急激に太ると膝関節の変形や軟骨が摩耗し、痛みを伴いやすいです。 荷重による負担と、脂肪量の増加によって、体の使い方に変化が出ることが影響しています。 膝を安静にして痛みが軽減したら、水中歩行など負担の少ない運動から始めて減量を目指すと良いでしょう。 水分摂取量が少なすぎる 体のおよそ60%は水分で構成されているため、水分摂取量が少なすぎると、関節軟骨の柔軟性も低下して潰れやすくなります。 実際の治療では、変形性膝関節症などで膝の痛みを発生させている方に、水分をしっかり摂取するように指導しています。1日を通して、1.5リットル程度の水分摂取が目標です。水分を十分に摂取すると代謝が向上し、細胞の入れ替わりも活発になるので痛みの回復も早いです。 股関節が硬い 股関節の動きが悪いと、膝にも大きな負担がかかります。たとえば股関節の屈曲可動域が狭い場合、前への推進力が損なわれます。推進力が損なわれた分は膝関節を中心とした下腿の関節で代償するため、通常時の何倍も負担がかかってしまうのです。 その結果、膝関節周辺の軟部組織損傷を引き起こし、膝の上の痛みを発症します。痛みが出ている膝だけを集中的に治療するのではなく、股関節の可動域を広げる運動療法を一緒に行わなければ痛みは改善されません。 足関節が硬い 足関節の動きが悪いと膝関節の負担は増えます。歩行や走行時、足関節の可動域が狭いと地面を蹴り出す力が弱くなり、その分を膝関節で補うからです。 ハムストリングスや大腿四頭筋に通常時よりも大きな負担がかかり、長期間続けば膝周辺の軟部組織損傷を起こす場合もあります。ランナーズニーやジャンパーズニーなど、オーバーユースによる膝の障害も起こりやすくなり、スポーツのパフォーマンスも低下してしまいます。 痛みのある膝関節だけを集中的に治療するのではなく、足関節の動きをスムーズにする、下腿三頭筋、前脛骨筋の筋緊張を緩和させるなども大切です。 姿勢が悪い 猫背やストレートネックなどの背骨の歪みは、膝関節に大きな影響を与えます。側弯症などの左右のバランスも荷重の偏りを招くので、膝の痛みを発生させる一つの要因です。 しかし、多くの場合は先天的な変形が痛みにつながるのではなく、日常生活を送る上で少しずつ発生した歪みによって発症します。デスクワークや、子どもの抱っこなど左右非対称の動作が多い方は膝に負担が溜まりやすいです。 姿勢や体のバランスが悪いからといって、直ちに膝の痛みが発生するわけではありません。しかし長期間にわたって少しずつ膝にダメージを与え、変形性膝関節症やタナ障害などに発展していく可能性は十分にあります。 他の部位に痛みを抱えている 人間はどこかに痛みが出ると、無意識のうちに患部をかばうようになります。たとえば歩行時に痛みが出るときは足をかばいながら歩くため、いつの間にか膝に負担がかかるような歩き方になっている場合もあります。 何日、何週間も続くと膝周辺のダメージが蓄積して膝の上の痛みとして感じられるようになるでしょう。 膝の上側が痛い場合に考えられる疾患 この項目では、膝の上側が痛い場合に考えられる疾患について紹介します。 それぞれの特徴を確認し、下記の疾患が疑われる場合は速やかに医療機関を受診しましょう。 大腿四頭筋腱炎 大腿四頭筋腱炎が発生する原因は膝伸展機構の使い過ぎです。 バレーボールやバスケットボールなどのジャンプ系の競技や、サッカーなど瞬発系の競技でよく見られます。成長期には脛骨粗面部で痛みがでるオスグッドの方が発生頻度は高いですが、成長期を過ぎれば大腿四頭筋腱炎として発生する人もいます。 大腿四頭筋腱炎を発生させやすい人の特徴は、股関節が硬い、足首が硬い、大腿四頭筋が硬いなどです。 大腿四頭筋腱炎はストレッチで少しずつ改善ができるので、リスクを下げるためにも日々取り組んでおくべきです。 大腿四頭筋腱炎になったら、まずは患部に負担をかけないように安静にしましょう。その後大腿四頭筋の緊張や疲労を取り除くために、マッサージやストレッチ、罨法、後療、電療などを受けるのがおすすめです。 ランナーズニー ランナーズニーは腸脛靭帯炎とも呼ばれます。長距離ランナーの他にも、自転車をよく漕ぐ人、水泳をやっている人など、膝を曲げる行為を何度も繰り返し行う競技をしている方に多い症状です。 腸脛靭帯は大腿骨の外側を走行している長い靭帯で、大殿筋から始まっています。腸脛靭帯が大腿骨の外側顆と何度も擦れると炎症を起こし、膝の上外側で痛みを感じます。 ランナーズニーを起こしやすい人の特徴は、大殿筋が硬い、骨盤が歪んでいる、ランニングフォームが良くない、下肢のアライメント不良があるなどです。 一回の強い外力でランナーズニーになるわけではないので、痛みを発生させる動作を避けたり、競技を中止したりすれば痛みは軽減していきます。 安静にして炎症が治まるのを待つか、ストレッチなどで大腿部外側の緊張を緩和させましょう。 有痛性分裂膝蓋骨 有痛性分裂膝蓋骨は多くが先天的で、分裂膝蓋骨とも呼ばれます。骨折とは違い骨組織が損傷しているわけではないので、腫脹や限局性圧痛などは出ません。 しかし、分裂膝蓋骨に牽引力が加わり、痛みを発生させる場合があります。分裂の仕方によっては膝蓋骨の上方で二分されるため、膝の上で痛みを感じます。 日常生活に支障がなければ保存療法で十分改善が可能です。大腿四頭筋の緊張が強いと分裂膝蓋骨の痛みも強くなりやすいので、大腿四頭筋の柔軟性を高めることも大切です。 あまりにも痛みが強く出ている場合や、日常生活に支障が出ている場合は手術を行う可能性もあります。 変形性膝関節症 変形性膝関節症は、内側の関節軟骨が摩耗して薄くなり、関節面同士が直接接して摩擦を起こすのが原因です。 年齢と共に変形性膝関節症の発生リスクは高まりますが、とくに女性に多い症状でもあります。膝の内側が潰れるように変形するため、O脚のような下肢の形になるのが特徴です。変形性膝関節症を発症しやすい人は、股関節が硬い、足関節が硬い、内転筋が弱い、元々O脚であるなどが挙げられます。 症状が出てからは、痛みを完全に和らげるのは難しいです。しかし、変形性膝関節症が発症する前の段階であれば、予防できます。たとえば重いものを持つことが多い人は、なるべく持たないようにすればリスクを減らせます。 関節リウマチ 関節リウマチは関節を破壊していく病態です。通常であれば外から入ってきた病原菌やウイルスに対して攻撃をする免疫細胞が、誤って人体を構成している細胞を攻撃してしまうことで症状が出ます。 ほとんどの場合は手先や足先などで症状が出始めますが、時間が経過すると膝関節でも症状が出てきます。膝関節や膝の上が痛いといった自覚症状から始まり、進行すると関節が破壊されて変形するのが特徴です。関節リウマチになってしまう原因は不明で、薬物療法や運動療法が行われます。 変形の程度や日常生活の支障の度合いによっては手術が必要です。ただほとんどは保存療法で、変形や炎症によって狭くなった関節の可動域の回復や、負担を溜めにくい体の使い方の獲得を目指します 膝の上が痛いときの対処法 膝の痛みがある場合は、まず安静が大切です。ただし安静とは何もしないことではありません。適切なセルフケアを取り入れると痛みを緩和できます。 ここからは詳しく対処法について解説します。なお、痛みや腫れがひどい場合は無理をせず早めに専門医を受診してください。 冷やす・温める 運動後に膝に痛みや炎症が見られた場合は、氷嚢や保冷剤でアイシングを行うと良いでしょう。 約30分間冷やすと炎症を抑え、痛みを和らげる効果があります。しかし痛みが慢性化している場合は冷やすと逆に悪化するケースがあるため、温めて血行を促進する方が効果的です。 冷やすか温めるかは、症状に応じて適切に選びましょう。 湿布を貼る 湿布は消炎鎮痛作用により痛みを和らげますが、怪我直後には湿布ではなく、氷嚢や保冷剤を使ってアイシングするのが適切です。 アイシングは炎症を抑え、膝の急性の痛みを軽減します。一方、湿布は慢性的な炎症や痛みのケアに適しています。 症状に応じて、湿布とアイシングを使い分けることが重要です。 テーピングをする・サポーターを着用する 膝下の痛みを軽減するには、サポーターやテーピングが効果的です。とくに膝の曲げ伸ばしが多い動作には、エラスティックテープやキネシオテープがおすすめです。 キネシオテープは、筋肉を支えるとともに、疲労回復やケガの予防にも役立ちます。 また、保温用サポーターは寒い時期に血行を促進し、慢性的な痛みを和らげます。ただし一時的な対策のためオーバーユース時は安静が必要です。 ストレッチをする 膝の痛みは筋肉の緊張やこわばりが原因の場合が多いため、適切なストレッチを行うと血流を改善できます。 とくにふくらはぎや太ももの筋肉を重点的に伸ばすと、膝にかかる負担を軽減できます。ストレッチは運動前後に行うのが理想的です。 定期的なストレッチを習慣化すれば、痛みの改善が期待できるでしょう。 膝の上の痛みは再生医療も検討ください 膝の上の痛みは、体重や水分不足、姿勢の悪さなど間接的な原因も多く、対処が遅れ気づかず内に症状が悪化しているケースもよく見受けられます。 また、スポーツ・日常生活における繰り返しの動作、加齢などによって病態を患っている可能性もあります。 まずは安静にした上で適切なケアを行い、症状が改善しない場合は医療機関を受診しましょう。 当院は第二種・第三種再生医療提供計画を厚生労働省に提出し受理された厚生労働大臣許可医療機関です。 来院前でも膝の痛みに関する相談を受け付けているので、お気軽にお問い合わせください。
投稿日:2024.11.19 -
- ひざ関節
膝の皿が痛い!?考えられる病名や、その原因、治療について徹底解説 膝のお皿は、体表からも容易に確認することができ、膝関節の正常な動きに関与しています。膝のお皿をぶつけたなど、思い当たる理由が無いのに急に痛みが出るケースがあります。これは先天的な要因から後天的な要因まで様々な原因が考えられます。 そもそも、膝のお皿と呼んでいる部分は、医学的には「膝蓋骨(しつがいこつ)」といいます。大腿骨の下端の前面に位置しており、膝蓋大腿関節を構成している骨でもあります。膝関節を屈曲させたり伸展させたりするときに、大腿骨との関節面を滑るように上下に移動し、筋肉や骨との摩擦を軽減して正常な運動ができるようにしているのです。大腿四頭筋腱の中に入り込むように存在しています。 では以下で、膝のお皿が痛くなった場合に、どんな病気が考えられるのかご紹介し、その原因と治療方法を解説いたします。 膝蓋骨(膝の皿)に痛みが起こる原因 膝のお皿が痛いということは、膝蓋骨で痛みが起きているということです。必ずしも打撲など明確な原因があるわけではなく、日常生活の中でかかる軽微な外力の積み重ねによって痛みを発生させることも十分あるのです。膝のお皿で痛みを発生させるリスクが高いのはどんな人なのか、ご紹介していきます。 大腿四頭筋の筋力が弱い 膝蓋骨は大腿四頭筋腱の中に位置している種子骨なので、大腿四頭筋の筋力が弱いと正常な位置を保てなくなります。膝関節屈曲の際に膝蓋骨が正常な位置になければ、大腿骨と異常な摩擦を起こして炎症を起こすことも考えられます。大腿四頭筋の筋力が弱いのは、運動習慣があまりにもない場合や、下肢の負傷によって非荷重の期間が長くなった場合などで考えられます。 膝蓋骨の位置が正常でない 膝蓋骨の位置が、通常よりも上にありすぎたり、逆に下にありすぎたりすることでも、関節面で炎症を起こして痛みを発生させることがあります。膝蓋骨の位置は先天的な要因に加えて、周囲の筋力のバランスによって左右されるので、意識的に大腿部の筋力を強化することで改善することが出来ます。大腿四頭筋だけでなく、普通に生活していると筋力が落ちやすい内転筋の強化が重要になります。 股関節が硬い 膝蓋骨が位置している大腿四頭筋は、骨盤から始まる筋肉です。股関節が硬いことによって大腿四頭筋の柔軟性も失われ、膝蓋骨に影響を及ぼすことは十分考えられます。大腿四頭筋自体が硬くなってしまうことで股関節の可動域を狭めている可能性もありますし、内転筋や縫工筋など骨盤から大腿骨の内側や外側に付着する筋肉が硬いことでも影響します。 さらに、脊柱から大腿骨に走行している腸腰筋が硬いと股関節の屈曲伸展の可動域が狭くなり、膝蓋骨の動きが悪くなって痛みを発生させることに繋がります。 ハムストリングス(太ももの裏の筋肉)が硬い ハムストリングスの緊張が強いことや、そもそもハムストリングスの長さが短いことでも膝蓋骨の動きに影響し、痛みの原因になることもあります。これはハムストリングスだけの問題ではなく、大腿部の後面と前面で筋力バランスが著しく崩れてしまうことが発端になって痛みを起こします。 先天的にハムストリングスが短いケースもありますし、姿勢や体の使い方などでハムストリングスに負担をかけすぎて慢性的な緊張を生んでいることもあるのです。 足関節の動きが悪い 足関節の動きが悪いと、歩行や立ち上がりなどの動作の際にその動きを代償する形で、膝関節周辺に余計な負担をかけることになります。それが長期間続くことで、膝蓋骨と大腿骨の間で異常な摩擦を繰り返し、徐々に炎症を起こして膝のお皿で痛みを発生させるのです。 足関節の動きが悪い原因は、ふくらはぎにある腓腹筋やヒラメ筋や、脛骨部にある前脛骨筋や後脛骨筋の緊張によるものです。他には、足関節捻挫の際にしっかり固定をしなかった後遺症など、外傷後の予後が原因になっているものもあります。 姿勢が悪い 悪い姿勢の代表といえば猫背やストレートネックですが、そういった背骨のゆがみが膝のお皿で発生する痛みの原因になっていることもあります。猫背やストレートネックでは、横からみたときに頭の位置が若干前に引っ張られています。 すると、重心が常に前傾になり、バランスを取るために骨盤が逆に後傾しようとする力が働きます。その結果、股関節前側の筋肉が硬くなり、股関節の可動域が狭くなった分膝関節に負担がかかるのです。その姿勢のまま長距離の歩行を繰り返したり、立ち仕事を繰り返したりするとダメージが膝蓋骨にも蓄積し、痛みを発生させます。これは猫背とストレートネックに限ったことではなく、左右のバランスの違いや背骨の捻じれなど、様々な体のゆがみでも起こり得る痛み発生のメカニズムです。 膝のお皿が痛いときに考えられる病気 膝のお皿が痛いときに、どんな病態が起きている可能性があるのかご紹介していきます。 有痛性分裂膝蓋骨 膝蓋骨が分裂している状態で、膝の皿で痛みを発生させます。骨折とは違い、先天的な要因などで膝蓋骨が分裂して存在している状態です。骨折ではないので、それだけで腫脹が起きたり内出血が起きたりすることはありません。 分裂膝蓋骨が存在していること自体は大きな問題にはなりませんが、大腿四頭筋の繰り返しの筋力発揮や、過度な負担によって分裂部に牽引力が加わり痛みになることもあります。膝蓋骨の分裂の仕方によって、縦に分裂しているパターン、下方が横に分裂しているパターン、外上方の一部分だけが斜めに分裂しているパターンがあります。分裂の仕方で痛みの個所は若干ズレが出てくるでしょう。 ランナーズニー ランナー膝、またはランナーズニーと呼ばれる症状は、膝蓋骨と大腿骨が異常な摩擦を繰り返すことによって起きる痛みです。通常であれば滑らかに移動するはずの膝蓋骨が、ランニングの際にかかる衝撃で異常な動きをしてしまいます。 股関節の動きが悪いせいで膝関節の使い方がおかしくなっていたり、大腿四頭筋の筋力が上手く発揮できていないせいで膝蓋骨が安定しなかったり、異常な摩擦を起こす原因は様々です。特に繰り返し衝撃がかかるランナーに多い症状であることから、ランナーズニーと名付けられています。 ランナーズニーになったらまず安静にして膝のお皿で出ている痛みを落ち着け、その後膝蓋骨周辺の筋力を強化することで膝蓋骨の安定化を図ります。当初は走っているときの痛みだけが症状として出てきますが、そのうち階段の昇降時や、ちょっとした下り坂を歩くときなどにも膝の皿で痛みが出だします。そうなってくれば重症化している証拠なので、安静にすることが大切です。 大腿四頭筋腱炎 大腿四頭筋腱は膝蓋骨周辺に位置しており、そこに繰り返しの負担がかかることで痛みを発生させます。大腿四頭筋腱炎は別名ジャンパーズニー、またはジャンパー膝と呼ばれることもあり、バレーボールやバスケットボールなど、ダッシュやジャンプを繰り返す競技を行う成長期の年代に多い症状です。 ジャンパー膝発生のメカニズムは、オーバーユースに起因しています。特に成長期にバレーボールやバスケットボールを熱心に行っていると、筋肉の成長と骨の成長の間で若干のバランスのズレが出てきます。そうすると、慢性的に大腿四頭筋に緊張を生むことになってしまいます。その状態でダッシュやジャンプを繰り返し、大腿四頭筋腱に繰り返しの牽引力をかけることで、微細な損傷を起こしてきます。 それが積み重なり、膝のお皿周辺で痛みを発生させることで症状に気づくのです。ジャンパー膝が発生した場合は、痛みのある動作を中止して安静を確保します。ジャンプ競技やダッシュ競技は中止で、痛みのない動作だけで生活を送ることを優先するべきです。重症例では稀に大腿四頭筋腱の完全断裂を起こすこともありますが、その発生は稀です。 タナ障害 膝関節を覆っている関節包の内側に位置する、滑液包の内側で棚のような形状をしたヒダがあり、それが関節内で挟み込まれることで痛みを発生させます。これをタナ障害と呼び、多くは先天的に滑液包内側のヒダの形状が大きいことが関与しています。 タナ障害になると、膝のお皿付近で痛みを発生させ、罹患した本人でも正確に痛みの個所を伝えにくいこともあります。滑液包の内側にあるヒダが大きいだけで直ちにタナ障害になるわけではなく、膝の動かし方が悪いときや、過度な負担をかけ続けたときに痛みとなって発症します。 通常の歩行時でも痛みを感じることがあり、日常生活の支障度合いによっては手術も検討されるほどです。しかし、ほとんどの場合は保存療法で対処でき、痛みの出ないような動作を獲得するために運動療法や手技療法が行われます。 膝のお皿が痛くなったらどうすればいい? ある時突然、膝のお皿で痛みが出たらどのような対処をすればいいのかご紹介していきます。 圧痛があるか確認する 自分で簡単にできる鑑別方法としては、膝蓋骨を押してみて圧痛があるか確認することです。もし強い圧痛があれば、膝蓋骨骨折の可能性もあります。そうでなければ、膝蓋骨の圧痛が発生するのはランナーズニーや有痛性分裂膝蓋骨が考えられます。いずれにせよ、膝蓋骨で明らかに圧痛がある場合はそれまでの膝関節の使い方にも問題があるので、早めに医療機関に相談した方が良いでしょう。 膝に腫れがあるか確認する 膝のお皿が痛いと思っても、実は膝のお皿自体に問題があるわけではなく、膝関節の内部で異常が起きていることもあります。代表的な例では変形性膝関節症や、タナ障害などです。もし膝関節が腫れていて、水が溜まっているように感じたら、安静にして様子を見るか整形外科を受診することをお勧めします。 ストレッチをする 膝のお皿で痛みが出る原因の多くは、大腿四頭筋の緊張や疲労の蓄積によるところです。膝関節を曲げて大腿四頭筋のストレッチを入念に行い、大腿部前面の緊張を和らげてみてください。それだけでも痛みが少し楽になるようであれば、毎日続けてストレッチをすることで徐々に膝のお皿の痛みは軽減されていきますし、再発の予防にもなります。 お風呂で温まる 体が温まることによって膝のお皿の痛みが軽減するようなら、膝関節や股関節の筋緊張が原因で起きている可能性が高いです。お風呂で温まることによって血流が良くなり、筋緊張が緩和されたことで痛みが軽減しているので、冷やさないような対策が有効になります。 整形外科に行く 膝のお皿が痛いとき、最初に行くべきは整形外科でしょう。重症例では手術が必要な病態が隠れていることもありますし、膝蓋骨自体に原因があるのか、筋肉に問題があるのか確定的な診断ができるのは整形外科です。まず自分の体に何が起こっているのか確認するためにも、精査してもらってください。 膝のお皿が痛いのは関節の動かし方が悪いということ 骨折以外で膝のお皿が痛くなるということは、少なからず体の使い方に問題があるということです。膝関節の動きや股関節の動き、足関節の動き、さらには周囲の筋力バランスなど根本的な原因が隠れています。とにかく対症療法として痛みを軽減させることも重要ですが、再発を予防するために姿勢の矯正や筋力トレーニングを行うことも視野に入れておきましょう。 お近くに再生医療やスポーツ医療についての専門医がいない方へ リペアセルクリニックは、第二種・第三種再生医療提供計画を厚生労働省に提出し受理された厚生労働大臣許可医療機関です。当院では来院前でも「メール相談」を受付けています。どうぞ事前にご相談ください。 以上、膝の皿が痛い!?考えられる原因や病名について徹底解説してまいりました。参考になれば幸いです。 メール相談・お問い合わせフォームはコチラ 監修:リペアセルクリニック大阪院 その他、膝の痛みに関連する記事はこちら 膝の痛みと腫れが突然出た!考えられる原因は? 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投稿日:2024.11.19 -
- 変形性膝関節症
ひざの内側が痛むのなら変形性膝関節症かもしれません! 変形性膝関節症を発症した患者さんが訴える症状の多くが「膝の内側の痛み」です。この膝の内側の痛みが何故起こるのか?そもそも膝はどのような構造になっているのか? 関節の構造はどうなっているのか?変形性膝関節症とはどのような病気でどのような治療をするのかについて説明していきたいと思います。 膝の構造や関節の構造はどうなっているのか? 膝は人体の諸関節の中で最大の関節であると同時に損傷を受けやすい関節でもあります。膝は大腿骨、脛骨、膝蓋骨という3つの骨で構成されています。大腿骨と脛骨の表面には関節軟骨があり、関節軟骨と関節軟骨の間には半月板があります。この関節軟骨と半月板と関節軟骨の3つが膝が滑らかに動くようにしたり、荷重を分散させています。 大腿骨と脛骨は前十字靱帯、後十字靱帯、内側側副靭帯、外側副側靭帯という4つの靭帯によって結ばれています。この4つの靭帯の働きによって脱臼防止や関節の伸展・屈曲・内旋・外旋がスムーズに行われています。 膝にはもう1つ膝蓋大腿関節があり、この骨の表面にも関節軟骨が存在して、筋肉の力を効果的に下腿に伝える働きをしています。そして、これらの関節を包みこんでいる袋が関節包であり、この関節包の内膜は滑膜と呼ばれ、関節液を分泌したり吸収する働きをしています。 関節軟骨という言葉が出てきましたが、関節軟骨とはどのような物なのか? 関節軟骨の組成は60~80%が水分であり、残りはコラーゲンとプロテオグリカンです。関節軟骨の基質はⅡ型コラーゲンを主体とするコラーゲン線維の隙間を、アグリカンと呼ばれる巨大プロテオグリカン分子が埋める構造をしています。 プロテオグリカンは保水性に富み、スポンジのように水分の出し入れを行っています。軟骨細胞は小腔内に独立して存在し、軟骨組織には血管もリンパ管も存在しないため、軟骨細胞の代謝は関節運動による関節液の浸透によって行われています。このため、関節運動が行われないと軟骨の萎縮を起こします。また、軟骨組織は自己修復力がほとんどなく、ひとたび関節軟骨が損傷を受けると変性に陥ります。 関節包と滑膜について 通常大部分の関節には関節包とその内面を包む滑膜があります。前述の通り膝関節にも関節包と滑膜が存在しています。滑膜は関節の潤滑と栄養をつかさどる関節液を合成するとともに、関節内に生じた異物を除去する働きがあります。関節液の主成分は、グルコサミノグリカンの一種であるヒアルロン酸です。これはヘパリンと同種の組成であるため、関節内に出血が起きても血が固まりません。 関節の機能について 関節は、その種類によって運動の方向や正常な可動範囲が定まっており、関節運動はその方向によって決まった名称で呼ばれます。関節の可動域をROMといい、各関節はその構造上から運動の方向・機能と可動域を持っています。関節運動の方向には下記のような種類があります。 屈曲↔伸展 外転↔内転 外旋↔内旋 回内↔回外 掌屈↔背屈 関節可動域は年齢、性別、ときには職業によっても異なります。膝の運動方向は屈曲と伸展であり、可動域の範囲は屈曲が0~130、伸展が0です。 膝の痛みはなぜおこるのか? 関節を構成する靱帯や関節包には痛覚神経線維の終末が多数存在し、関節が異常運動を行った場合は強い痛みを生じて警告を発し、非生理的な関節運動が起こる事を予防しています。これらの組織に機械的刺激や化学的刺激が加わると、強く鋭い関節痛を生じます。これに加えて、滑膜の炎症によって増加した関節液や外傷による関節内出血は関節内圧の上昇をまねき、鈍重な痛みの原因となります。 変形性膝関節症とはどのような病気か? 変形性膝関節症とはその名の通り膝関節が変形し、痛みやしびれ、運動障害を起こす慢性関節疾患です。変形性関節症の中では最も頻度の高いもので、日本人の生活様式である畳の上に座るという習慣が影響していると考えられています。また、加齢や肥満、膝へのストレスが原因とされています。 原因についてさらに詳しく説明します。関節リウマチや大腿骨の顆部壊死、過去の骨折経験などもともと何らかの原因が元になっている場合が10%程度ありますが90%は原因がはっきりわかっていません。年齢では30代ではほとんど見られませんが40代以降、年齢を重ねるにつれて患者数が増えています。理由としては加齢によって関節組織(軟骨)の退行性変性が起きるためです。性別では女性の方が男性に比べ1.5~2倍くらい多い傾向にあります。特に閉経後の女性は急速に進むケースが多いです。これはエストロゲンという女性ホルモンに要因があると考えられています。肥満については、体重が増えることにより膝への負担が大きくなる事や、脂肪組織で生成されるレプチンという物質が影響することが原因と考えられています。レプチンとは食欲の抑制とエネルギー代謝の調節に関わるホルモンです。これらのような加齢や性別、遺伝、肥満や重労働やスポーツなどの膝への過度なストレスなど様々な要因が引き金となって、膝の軟骨が変形し、膝の中にある滑膜が炎症を起こします。 変形性膝関節症の進行と症状について 膝関節の腫れや痛みを主な訴えとして、関節の可動制限はそれほど著しくないが、最大伸展位を取る事が出来ずに、運動時のコツコツやゴリゴリといった軋轢音、関節裂隙(かんせつれつげき)の圧痛がみられます。高度になると内反膝あるいは外反膝の変形が起こりますが、日本では内反膝変形が多くみられます。 変形性膝関節症の症状は進行度によって症状が変化します。 【軽度】 骨と骨の隙間が少し狭くなり軟骨がすり減ってきます。起床時の第一歩の「膝の違和感」が最も早く現れる症状です。この段階では動作時のみの痛みですが、一時的でしばらく休むと痛みがなくなる場合がほとんどです。「立ち上がる時に膝が痛む」「膝がこわばる」「動き始めに膝が痛む」このような症状が現れます。 【中等度】 関節軟骨や半月板がすり減り、骨と骨の隙間がさらに狭くなります。痛みの頻度が多くなり、炎症が生じて膝の周辺が腫れたり、熱を持ったりします。膝に水がたまる事により膝を曲げると張って重くだるくなります。膝の変形が目立ち、膝に力のかかる動きをすると、コツコツやゴリゴリといった異音を自覚します。「膝が完全に曲げられない」「正座ができない」「階段の上り下り、とくに下りで膝が痛む」「膝に水がたまる」等のような症状が現れます。 【重度】 軟骨や半月板がほとんどなくなり、骨がむき出しになって、骨と骨が直接触れあうようになります。膝関節の変形も進行し、痛みも強くなります。日常生活に支障が起きるほどの痛みになります。そのため、買い物や仕事や旅行などの活動が思うようにできなくなり、活動範囲が狭まります。高齢者では家の外に出ない生活が続くと痴呆症状が現れる人もいます。骨の変形が相当進むので外見的にも関節の変形が目立ち、O脚(ガニ股)となります。「じっとしていても膝が痛む」「膝の曲げ伸ばしが難しい」「歩くときに膝が横揺れする」「歩行困難」等の症状が現れます。 変形性膝関節症の検査はどのような検査を行うのか? 【X線撮影】 膝の骨の変形の具合を調べます。骨と骨の関節部分は何も写りませんが、この関節の隙間が狭いほど関節軟骨がすり減っているという事になります。 【関節液検査】 膝に炎症が起きて腫れている場合、注射器で関節液を抜き取りその性状により病気の判定をします。変形性膝関節症では、黄色透明の関節液が排出されますが、リウマチや関節炎では、黄色混濁した関節液が出ますので鑑別診断ができます。 【MRI検査】 関節軟骨、半月板や骨内の病変の有無を調べます。変形性膝関節症が進行すると、半月板が痛んで断裂したり、骨内に骨のう腫という穴が開いたりして痛みの原因となります。また、膝関節の大腿骨内顆骨壊死が発見されたりします。 【血液検査】 関節リウマチではCRPやリウマチ因子が陽性となる事が多いですが、変形性膝関節症では通常CRPやリウマチ因子は陰性です。 変形性膝関節症の治療はどのようなものがあるのか? 変形性膝関節症の治療の1つとして肥満の人には体重を軽くするように指導するとともに大腿四頭筋の筋力強化、温熱療法が勧められます。変形性膝関節症は進行度により治療が行われます。整形外科での治療は主に保存療法(リハビリ)と手術療法です。 保存療法(リハビリ) 症状が軽い場合には痛みどめの内服薬や外用薬を使った痛みを軽減する薬物療法が行われます。関節内で炎症が起きると痛み物質が発生し、滑膜が刺激されてさらに炎症が進むことによる悪循環に陥るため、この悪循環を断ち切るために鎮痛剤の処方が行われます。 そして、痛みを起こさせないようにするために重要なのが運動療法になります。膝関節を支える筋肉を鍛えることにより、膝がしっかり安定して関節への負担が減ります。また、膝を動かすことにより血行が促進され、関節液中の痛みを起こす物質が血中に吸収されて減っていきます。さらに運動によって肥満が改善され、膝への負担が軽減されます。 次に軟骨や関節液の重要な成分であるヒアルロン酸を潤滑成分として注射して軟骨表面の保護を行う治療があります。同様に注射治療の1つに炎症を強力に抑え込み、鎮痛効果も高いステロイドの注射があります。しかしステロイドの頻繁の使用は軟骨や靭帯を弱くしてしまうので2カ月から3カ月に1回の注射が安全とされています。 手術療法 上記の一般的な保存療法に抵抗し、軟骨破壊が内側に偏しているような時は高位脛骨骨切り術という手術療法が行われます。内反変形を矯正して、内側にかかる荷重を正常な軟骨や半月板が残っている外側の関節に分散させる手術です。手術後は自分自身の関節が温存されるため、可動域が改善されスポーツなどの重労働にも耐えられます。また、時間の経過とともに筋力が増強し関節機能が改善することがこの手術の特徴となります。 高度の関節破壊のある場合には人工膝関節置換術という手術が行われます。痛みのある片側だけを置き換える片側置換術と関節面全体を金属に置き換える全置換術があります。手術後は翌日から数日で立ったり歩いたりするリハビリが始まり2週から4週程度で退院し、比較的速やかに日常生活に戻る事が出来ます。 注目されている最新の治療法があります!! 近年再生医療の分野が医学界ではめざましい進歩をあげておりますが、この再生医療を応用した治療が変形性膝関節症にも治療適応されています。 再生医療も治療の選択の1つです。再生医療とはこちらを参照ください。 変形性膝関節症に対する再生医療分野の治療は脂肪幹細胞と多血小板血漿(PRP)を用いた治療になります。脂肪幹細胞を用いた治療ではご自身のお腹や太ももの皮下脂肪を吸引し、幹細胞を採取します。採取した幹細胞を培養し関節内に投与します。これにより関節の炎症を治めるだけでなく関節軟骨の変形を抑えたり痛んだ軟骨の修復や再生を促します。 多血小板血漿(PRP)を用いた治療とは自身の血液から特殊な技術で血小板が多く含まれる血漿を取りだし、膝関節内に注入する治療法で患者さん自身が持つ修復力をサポートする治療法です。自分の血液ですので副作用もありません。 膝関節症の患者さんの多くが訴える膝の内側の痛みについて、骨の構造や関節の機能、膝関節症とは何かについて説明してきましたが、膝関節症は原因の90%が明らかになっていない疾患です。 しかし変形性膝関節症の治療法の選択肢も増えてきています。ご自身のライフスタイルや症状に合った治療を選択していきましょう。変形性膝関節症や再生医療についてさらに詳しく知りたい時には専門医に話を聞いてみましょう。 お近くに再生医療についての専門医がいない方へ さかもとクリニックは、第二種・第三種再生医療提供計画を厚生労働省に提出し受理された厚生労働大臣許可医療機関です。当院では来院前でも「メール相談」を受付けています。どうぞ事前にご相談ください。 以上、ひざの内側が痛むのなら変形性膝関節症かもしれない!についてご説明させて頂きました。参考になれば幸いです。 メール相談・お問い合わせフォームはコチラ 監修:リペアセルクリニック大阪院 膝の痛みに関連する記事はこちら 膝の痛みと腫れが突然出た!考えられる原因は? 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投稿日:2024.11.19