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正座ができない!膝の痛みを引き起こす7つの病気と4つの対処法 膝が最も深く曲がる動作と言えば、正座ですよね。 普段は何気ない座り方であっても、膝でなにか問題がおきると正座をするときに強い痛みが出るようになります。ぶつけたり捻ったりした、いわゆる外傷後であれば原因もわかりやすいですが、正座の際の痛みは外傷だけではありません。 自分では何も思い当たる原因がないのに、ある日突然正座をすると痛いということが起こり得るのです。今回は、正座をすると膝が痛いという場合に、どんな問題が起きている可能性があるのかご紹介していきます。 正座をすると痛いときに考えられる7つの病態 正座をすると痛いという場合に、どんな問題が起きている可能性があるのか、詳しく掘り下げていきます。 1.変形性膝関節症 膝をぶつけたり捻ったりしたわけでもないのに、正座をすると痛い、または正座がほとんど出来ないとなれば変形性膝関節症を疑います。年齢にもよりますが、50代以降で正座の際に痛みが出る場合は、変形性膝関節症の可能性としては高いです。 変形性膝関節症は、大腿骨の下端と脛骨の上端で構成される膝関節が、少しずつ潰れて変形してしまう病態です。間に挟まっている関節軟骨が、繰り返しの外力によって少しずつ摩耗し、穴が開いたり破れたりしていきます。 すると、体重がかかったときのクッション作用が上手く機能せず、骨自体が直接影響を受けて潰れてしまうのです。特に膝関節の内側で変形が起こるケースが多く、変形性膝関節症が進行するとO脚のような形が酷くなっていきます。 この状態で膝を最大屈曲させるような、正座の動作をすれば、関節内に異常な圧迫力がかかって痛みを伴います。さらに、変形性膝関節症であるということは、通常の歩行時にも痛みを伴っているケースも多いです。 それが長期間続けば、膝関節周辺の軟部組織を損傷している可能性も高いので、それによって正座で痛みが出ていることも考えられます。いずれにせよ、変形性膝関節症がある状態で再び問題なく正座をするためには、根気強いリハビリが必要になります。 2.靭帯損傷 膝の周辺には、関節内にある前十字靭帯と後十字靭帯、関節の内側にある内側側副靭帯、関節の外側にある外側側副靭帯の4つが存在しています。これらで損傷が起きていると、膝関節の最大屈曲位で痛みが出るので、当然正座でも痛みが発生します。 また、膝関節周辺のこれらの靭帯は、それぞれが強固な作りになっています。そのため、どれか一つの靭帯が損傷されるほどの外力がかかっているということは、他の靭帯も一緒に損傷している可能性が高いです。 例えば、前十字靭帯が損傷するほどの外力がかかっていれば、内側側副靭帯も一緒に損傷している頻度が高いのです。正座をすることによって膝の屈曲角度が鋭角になり、損傷している靭帯に牽引力がかかって痛みが出ます。 さらに、靭帯損傷をしたことによって膝関節で腫脹がでていれば、正座の屈曲によって関節内の圧力が高まって痛みを感じることもあります。さらに、膝関節の靭帯損傷が起きている場合、関節軟骨の損傷を伴っていることも多いです。 仮に関節軟骨を損傷していれば、膝関節を屈曲させたときに関節内で嵌頓してしまい、痛みを発生させることも考えられます。靭帯損傷している場合では、正座をするということはほぼ不可能でしょう。 3.関節軟骨損傷 膝関節にある関節軟骨は、内側半月と外側半月の2つに分かれています。それぞれ、三日月のようなC字状の形をしています。靭帯損傷を伴うほどの外力によって一回の衝撃で関節軟骨を損傷する場合もあれば、軽微な外力の積み重ねで少しずつ関節軟骨を摩耗していく場合もあります。 通常は、関節軟骨があることによって、膝の屈曲伸展などの動きがスムーズに作用します。さらに、ジャンプの着地時など、地面から伝わる衝撃をうまく吸収する役割も果たしています。 この関節軟骨が損傷している状態だと、大腿骨の関節面と脛骨の関節面の間で、滑りが悪くなります。そのため、膝関節を最大屈曲させる正座という動作では、動きのズレを起こして痛みを伴いやすくなるのです。 さらに関節軟骨が摩耗して、ほとんど存在しないようなケースも見受けられます。この場合、大腿骨や脛骨の関節面が直接ぶつかることになるので、正座でも歩行でも痛みを伴うでしょう。 4.大腿四頭筋腱炎 大腿四頭筋を繰り返し使い、疲労を蓄積することで脛骨粗面や膝蓋骨周辺に微細な損傷を起こします。そこから、大腿四頭筋腱炎に発展するのです。大腿四頭筋腱炎はジャンパーズニーとも呼ばれ、膝蓋骨の下から脛骨粗面まで続く膝蓋靭帯での炎症も起こします。 そのため、大腿四頭筋腱が位置している膝蓋骨の上部や、膝蓋靭帯がある膝蓋骨の下部でも痛みを発生させることがあります。発生機序としては大腿四頭筋の使い過ぎでバレーボールやバスケットボールなど、ジャンプを繰り返す競技に力を入れている方がなりやすい症状でもあります。 大腿四頭筋腱に微細な損傷を起こしているので、牽引力が加わることで痛みを発生させます。膝を最大屈曲する正座では、大腿四頭筋の牽引力も強くなるので痛みを伴いやすいのです。大腿四頭筋腱の炎症が治まれば、再び正座も問題なく行えるようになります。 しかし、炎症が起きた後にすぐ同じようにスポーツ活動を再開すれば、いずれまたすぐに大腿四頭筋腱炎を再発させる可能性が高いです。そのため、早期治癒と再発予防を目指すなら、股関節や足関節の柔軟性を高めて膝関節にかかる負担を減らせるようにすることが大切です。 5.膝関節炎 膝関節が何らかの原因で炎症を起こしていると、正座のときでも痛みが出ます。変形性膝関節症があれば、膝関節内で炎症を起こしていることもあります。それ以外でも、関節軟骨の損傷や靭帯損傷の二次的な症状としても現れることがあるでしょう。 そういったわかりやすい損傷以外にも、膝関節を動作させる筋肉に異常な緊張があると膝関節内で炎症を起こすことがあります。例えば大腿四頭筋が異常な緊張を起こしていれば膝蓋骨が大腿骨の関節面に強く押し付けられる形になり、そのまま膝関節の屈曲伸展を繰り返すことで摩擦が起きます。 摩擦力で負ったダメージによって、膝蓋大腿関節で炎症を起こし、正座をすると痛いという状況に陥るのです。他にも、大腿部外側の筋肉が異常な緊張を起こし、内転筋とのバランスが悪くなることで膝関節内での炎症に繋がることがあります。 打撲などの外傷が無くても、足に合わない靴を履いていたり、足関節の動きが悪かったり、股関節の動きが悪かったりすれば大腿部外側の筋肉が硬くなることがあります。膝関節がO脚のように引っ張られていくので、膝関節の内側で摩擦が起きて炎症に繋がるのです。 6.オスグッド オスグッドは10代特有の症状でもありますが、大腿四頭筋の牽引力によって脛骨粗面で炎症が起きる病態です。まだ骨が成長しきっていない年代で起こることが多くサッカーやバスケットボールなど、ジャンプやダッシュで大腿四頭筋が強く緊張することが多いと起こりやすいです。 大腿四頭筋で筋力発揮をするたびに、停止部である脛骨粗面に強い牽引力が加わり、微細な損傷を起こしながら炎症していきます。その結果、正座をすることで大腿四頭筋の牽引力が高まって痛みが出ますし、地面に脛骨粗面が当たることでも痛みを発生させます。 一回の激しい外力でオスグッドを発症するというよりは、日々のスポーツ活動において負担を少しずつ蓄積することで発症していきます。そのため、普段から大腿四頭筋のストレッチを行っておくことや、股関節をはじめとする下半身の使い方を見直し、ダメージの蓄積を防ぐことが大切です。 また、オスグッドによる痛みを発生させる前に、正座をする習慣があるとオスグッドの発生率は低くなります。 7.肉離れ 大腿部の後面にあるハムストリングス、または下腿部の後面にある下腿三頭筋で肉離れを起こしていれば、正座をするときに膝で痛みを発生させることもあります。もちろん、正座をすることで損傷部位に圧力をかけることになるので、それによって痛みを発生させるということもあります。 そういった直接的な原因だけでなく、肉離れによる痛みをかばって膝に異常な負担をかけていることで、二次的な膝の痛みに繋がるのです。下肢の後面で肉離れを起こしているということは損傷部に牽引力が加わらないように少しだけ膝を屈曲させた状態で過ごすことになります。 これが長期間続けば、当然下肢前面にある大腿四頭筋や前脛骨筋にも負担を蓄積し、膝関節炎に繋がるような負担がかかります。その結果、正座など膝が強く屈曲する瞬間や、逆に強く伸展する瞬間に膝で痛みを発するようになるのです。 正座で膝に痛みが出たときの4つの対処法 正座をすると膝が痛いという状況が突然襲ってきた場合、自分でどのような対処法をすればいいのかご紹介していきます。 1.同じ姿勢を続けない 筋肉が緊張することで、正座の際の痛みを助長しているケースがあります。その場合、長時間同じ姿勢が続くと、その後に動き出すときに痛みが出ることがあります。 長時間椅子に座っていた後に、急に正座をしようとすると痛みが出るので、それ以前の段階から20分に1回は立つようにするなどの対策が必要です。どんな体勢だとしても、長時間同じ姿勢を続けていること自体が良くないので、こまめに体勢を変えるようにしてください。 2.膝を温める 外傷の直後でない限りは、温めることで膝の動きが良くなり、正座での痛みが軽減できることがあります。温めることで血流が良くなるので、筋緊張が緩和されます。 筋緊張が緩和されれば、膝関節で起きる異常な摩擦や荷重が無くなり、正座もスムーズにできるようになるのです。変形性膝関節症と診断された方でも、お風呂に入った後には正座が比較的楽にできるという方も多いです。 3.ストレッチをする 特に大腿四頭筋のストレッチをすることで、正座の際にかかる膝への負担を減らすことに繋がります。正座という動作は荷重をしながら膝を最大屈曲させる動作なので、実はかなり負担が大きいです。 まずは非荷重の状態で膝を屈曲しながらストレッチをして、徐々に荷重での屈曲に移行していきます。非荷重の状態で膝を屈曲した段階で痛みが出るなら、正座をすればほぼ間違いなく痛みは憎悪します。 まずは問題なく非荷重での屈曲が出来るようにして、その後正座に挑戦するという流れで改善していきましょう。 4.医療機関に相談する 正座をすると痛いことの原因が何にあるのか、結局のところは精査してみないとわかりません。明らかに外傷がある場合は別ですが、そうでなければ専門医に相談して原因を特定してから改善のための取り組みを行いましょう。 まずは整形外科に行き、骨など器質的な問題がなければ接骨院や整骨院でも入念な治療が受けられます。 ご注意!正座の痛みは重症化の前兆かも 正座は負担の大きい動作ではありますが、通常は痛みが無くできるはずです。しかし、関節内で炎症がある場合や、膝関節の軟部組織損傷がある場合は正座でも痛みが出ます。 歩行の痛みが無くても、正座の痛みが出てきたときには重症化の前兆である可能性も否定できないので、早めに専門医に相談するのが一番です。 お近くに再生医療やスポーツ医療についての専門医がいない方へ リペアセルクリニックは、第二種・第三種再生医療提供計画を厚生労働省に提出し受理された厚生労働大臣許可医療機関です。当院では来院前でも「メール相談」を受付けています。どうぞ事前にご相談ください。 監修:リペアセルクリニック大阪院 膝の痛み関連する記事はこちら 膝の痛みと腫れが突然出た!考えられる原因? 完治まで膝から水はなくならない? 膝を曲げると痛いのは病気のサイン? 膝をつくと痛い!痛みの原因や症状考えれる病態? 膝の上が痛い原因は使い過ぎ?痛みに繋がるリスクとは 膝の皿が痛いのはなぜ?考えられる原因や病名は 膝の内側の痛みの原因は?症状や治し方について 再生医療による膝の治療に関連する記事はこちら 膝の症例 現役プロスポーツ選手 ひざの痛みにPRP治療 ▼こちらも併せてご参照ください
最終更新日:2023.09.13 -
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膝を曲げると痛いのは病気のサイン?音がする原因とは 膝を曲げると「ポキッ」と音がした経験がある方は意外と多くいらっしゃるのではないでしょうか。関節を動かして音が鳴ることには、様々な原因が考えられます。 痛みを伴わなければ、それほど気にする必要はありません。しかし、「膝を曲げると音が鳴って」なおかつ、「痛みを伴っている」ケースがあります。 今回は、膝を曲げると音が鳴って痛いという場合に、どんな疾患が考えられるのかご紹介していきます。 膝を曲げて音が鳴るのはなぜ? 関節で音がなるのは、関節の変形であったり、筋肉の緊張であったり、様々な原因が考えられます。どれも痛みがなければ気にすることはありませんが、中には痛みを伴って音が鳴っているケースもありますよね。 特に膝を曲げて音が鳴って、なおかつ痛いという場合には、関節軟骨に異常が出ていることがあります。関節軟骨は一回の強い衝撃によって外傷で損傷する場合もありますが、日々の微細なダメージによって少しずつ損傷していくこともあります。 ですから、自分でもいつから音が鳴っているのかはっきりわからないケースも多々あるのです。その他、腸脛靭帯という大腿骨の外側を走行している長い靭帯が、大腿骨の外側顆と摩擦を起こすことで、膝を曲げた時に音が鳴るということも考えられます。 この場合、長期間放置するとランナーズニーといって、腸脛靭帯炎に発展していくことがあるので注意です。 膝を曲げて音がなり、痛む場合 ・関節の軟骨に異常の可能性 ・腸脛靭帯炎の可能性(ランナーズニー) 膝を曲げると痛いときに考えられる病態 膝を曲げると痛い場合に、膝関節やその周辺ではどのようなことが起こっているのでしょうか。考えられる病態をいくつかご紹介していきます。 膝の筋力が弱っている 何か外傷や病気があるわけではなく、単に膝周辺の筋肉が弱っていることで痛みを発生させる場合もあります。膝を曲げたり伸ばしたりする筋肉と言えば、大腿部前面にある大腿四頭筋と、大腿部後面にあるハムストリングスという筋肉が代表的です。 その他にも、縫工筋、薄筋、半腱様筋といった鵞足に付着する筋肉も、膝の動作に関連します。細かい筋肉で言えば、膝窩筋も重要です。これらの筋肉が衰えてしまうことで、膝関節の動きにズレを発生させてしまいます。 以前は膝を曲げても痛くなかったし、音が鳴ることもなかったのに、なんだか急に最近気になりだしたという方は、もしかしたら運動不足などで筋力が弱っているのかもしれません。 ウォーキングを始めたり、自転車を漕いだり、無理のない範囲で運動を始めると良いでしょう。歩行時や立ち上がり時に痛みを伴っている方は、水中ウォーキングなど負担の少ない運動からスタートすると長続きします。 いずれにせよ、一時だけ運動を頑張っても根本的な解決にはならないので、楽な運動を毎日の習慣にすることが大切です。 変形性膝関節症 変形性膝関節症は、長い時間をかけて少しずつ膝関節を変形させていく病態です。一回の大きな衝撃によって急に膝が潰れたりするわけではないので、以前は気にならなかった膝屈曲時の痛みや音がだんだん強く感じられるようになってきます。 変形性膝関節症の初期段階では、荷重した状態で膝を曲げるような動きで痛みが出ます。しゃがみ込んだり、屈伸運動をしたりするような場面です。 そこから時間の経過とともに変形性膝関節症が進行すると、非荷重の状態でも膝を曲げた時に痛みが発生する場合もあります。その中で、曲げるとパキッと音がする方もいらっしゃいます。 変形性膝関節症はなぜ起こる? 変形性膝関節症になってしまう大きな原因は、膝の使い方です。体重のかかり方がよくなかったり、膝を使いすぎていたり、姿勢が悪かったりすると変形性膝関節症のリスクは高まります。 非荷重の状態で膝を曲げるのにも痛みを伴うわけですから、当然平地の歩行でも痛みが出ます。痛みが出るとそこをかばおうとして姿勢がゆがみ、さらに体重のかかり方に偏りが出てしまいます。 そうなれば、結果的に膝の負担を逆に増やすことになりますし、O脚がひどくなるような変形の傾向も強くなります。 あまりにも変形が強く進み、日常生活に著しく支障をきたす場合には人工関節置換術によって手術が行われることもあるくらいです。保存療法の場合は、膝の痛みが出ない範囲で無理なく運動を行い、筋力を徐々に取り戻していき膝を安定させます。 一度変形してしまったものは元に戻りませんが、痛みの出ないような膝の使い方を獲得すれば問題ありません。 変形性膝関節症で音がなる原因は? 変形性膝関節症になると、膝を曲げた時に音が鳴ることがありますが、それは関節軟骨の摩耗が関係しています。膝関節の内側には、関節半月または半月板と呼ばれる関節軟骨が位置しています。 変形性膝関節症の場合は、その関節軟骨を徐々にすり減らしていく形になり、穴をあけてしまいます。膝を曲げたり伸ばしたりしたときに、関節軟骨が異常な挟み込まれ方をすることで、パキッと音が鳴ります。 音がなるから必ずしも変形性膝関節症になるというわけではありませんが、一つの可能性として捉えることは出来ますね。 腸脛靭帯炎 腸脛靭帯炎は別名ランナーズニーと呼ばれています。大殿筋から始まる腸脛靭帯は、大腿骨の外側を縦に走行し、下腿の骨まで到達します。 その過程で大腿骨の外側顆と接触するのですが、何らかの原因で腸脛靭帯が緊張することで外側顆との摩擦が大きくなり、炎症を起こすことがあるのです。 その結果痛みを発生させ、ランナーズニーとして診断されるようになります。腸脛靭帯炎になると、屈曲や伸展運動の際に腸脛靭帯と外側顆が擦れるので、当然膝を曲げると痛みが出ます。 しゃがむなどの荷重時の屈曲でのみ痛みが出るケースと、椅子に座って膝を曲げるような非荷重時での屈曲でも痛みが出るケースがあります。 腸脛靭帯炎になってしまうのは、要は使い過ぎが原因です。大殿筋や大腿部の筋肉に負担がかかるような、長距離ランナーに多い症状です。 痛みが出ると、そこを守ろうとして周りの筋肉は自然と硬くなります。その結果膝関節の動きが硬くなり、痛みだけでなく曲げると音が鳴るという現象が出現することも稀ではありません。 また、膝を曲げるとゴリゴリ音が鳴るという方もいらっしゃいます。 腸脛靭帯炎はどのような治療が有効? 腸脛靭帯炎を治すには、まず安静にして患部の負担を減らすことが重要です。オーバーユースが原因なのですから、休むことができれば炎症も治まって痛みを感じなくなります。 しかし、痛みが無くなった後も以前と同じような体の使い方をしていれば、またすぐに腸脛靭帯炎は再発してしまいます。運動療法や後療法、手技療法などで、腸脛靭帯部に負担を蓄積しないような体の動かし方を身に着けておくことが重要です。 特に、骨盤が後ろに傾いている状態では、腸脛靭帯に負担をかけます。人間の体の構造上、骨盤が後傾することで股関節が開いて大転子が外に向いていきます。 その結果腸脛靭帯の張りも強くなり、股関節の屈曲伸展の動きで負担がかかるようになるので、腸脛靭帯炎が発生しやすくなってしまうのです。 骨盤が後ろに傾かないように、股関節前側の緊張を緩和させたり、胸椎のしなやかさを出したりすることが根本的な治療に繋がります。 足関節の動きも重要なので、下腿三頭筋や前脛骨筋のストレッチをしたり、足首の柔軟性を高めたりすることも有効です。 膝を曲げて痛い場合はどうしたらいい? 膝を曲げると痛い、または膝を曲げると音が鳴って気になるという場合、自分ではどのような対処をしたらいいのでしょうか。 大腿四頭筋のストレッチをする 膝で不調が起こる原因の多くは、膝を動かす筋肉の緊張から始まります。特に大きな筋力を発揮する、大腿四頭筋の緊張が出ると膝の障害リスクは上がってしまいます。 そこで、日ごろから大腿四頭筋のストレッチを習慣にしておくと良いです。単純に、大腿四頭筋は膝を最大屈曲することでストレッチ出来ます。 その時に、股関節が屈曲すると大腿四頭筋が緩んでストレッチ効果が半減するので、股関節が屈曲しないように注意してください。むしろ股関節を伸展気味にして膝を曲げた方が、大腿四頭筋が良く伸びます。 内転筋のトレーニングをする 何も考えずに日常生活を送っていて、最も筋力が落ちやすい部位の一つが内転筋です。膝の内側に位置する内転筋の筋力と、大殿筋などの股関節外転筋のバランスが崩れれば、膝の安定性も失われてしまいます。 O脚傾向も強くなり、変形性膝関節症なども進行してしまいますから、意識的に内転筋を鍛える必要があるのです。トレーニングジムなどで内転筋を鍛える器具を使うのが確実ですが、そうでなくとも簡単に鍛えることが出来ます。 ゴムチューブを足に巻き付けて、股関節の内転方向に力を入れるだけでも十分です。さらに、椅子に座った状態で足を浮かせ、膝を前にまっすぐ伸ばすだけでも効果があります。 そのとき、膝の内側にボールやクッションを挟むとより効果的です。鍛えられると、膝関節の運動もスムーズになりますし、安定性が増して負担も減るので痛みが軽減していきます。 足首をよく回す お風呂上りにでも良いので、足首を手で回すことで膝の負担を減らし、曲げた時の痛みを軽減させることが出来ます。足関節の動きの悪さは、膝関節の負担に直結します。 しかも、足関節の動きの悪さを自覚しているケースは少なく、膝をどんなに治療しても痛みが軽減しない原因にもなってきます。 足関節の底屈や背屈の動きがスムーズになれば、歩行時の推進力も増して膝の負担を減らすことが出来るのです。それが変形性膝関節症の進行を食い止めることにも繋がりますし、腸脛靭帯炎のリスクを軽減することにも繋がります。 整形外科で精査してもらう 原因不明の膝痛で、非荷重や歩行程度の屈曲でも痛みが出ている場合は、整形外科でドクターに相談するのが一番です。整形外科ならレントゲンも撮影できますし、場合によってはMRIも撮影できます。 転倒や打撲が無いのに膝関節が腫れて、曲げると痛いという場合には、変形性膝関節症が進行している恐れがあります。 まずは原因をはっきりさせることで、最も適したアプローチが出来るようになるので、早めに相談しておきましょう。 接骨院で治療する 筋肉の緊張を緩和させたり、筋力強化のサポートをしたり、保存療法を行うには接骨院も適しています。注射などの薬物療法は受けられませんし、レントゲンなどで画像診断をすることもできませんが、膝を曲げると痛いという状況に対して専門的な知識を使って治療してくれます。 接骨院は国家資格を持った治療家が従事しているので、今ある痛みを早く取り除くことはもちろん、再発予防のためにできるケアの指導が受けられます。 場合によっては、整形外科で精査した後に接骨院で治療を開始するという手段もあります。 膝を曲げると痛いのは異常のサイン 曲げた時の痛みがどんな原因であれ、膝で何か異常が起きているサインであることには違いありません。放置しておくと手術に繋がる症状も隠れているので、痛みについては早めに専門医に相談してください。 音がなるだけであれば、直ちに問題になることは少ないですが、痛みを伴っている場合はすぐに対処した方が良いでしょう。 お近くに再生医療やスポーツ医療についての専門医がいない方へ リペアセルクリニックは、第二種・第三種再生医療提供計画を厚生労働省に提出し受理された厚生労働大臣許可医療機関です。 当院では来院前でも「メール相談」を受付けています。どうぞ事前にご相談ください。 >メール相談・お問い合わせフォームはコチラ 監修:リペアセルクリニック 大阪院 膝の痛み関連する記事はこちら 膝の痛みと腫れが突然出た!考えられる原因は? 完治まで膝から水はなくならない?膝に水が溜まる原因と治し方 正座すると膝が痛いのは危険サインか?変形性膝関節症の可能性も 膝をつくと痛い!痛みの原因や症状考えれる病態は? 膝の上が痛い原因は使い過ぎ?痛みに繋がるリスクとは 膝の皿が痛いのはなぜ?考えられる原因や病名は 膝の内側の痛みの原因は?症状や治し方について 人工股関節、人工関節に関連する記事はこちら 人工股関節術後に脱臼する可能性と生活の注意点をチェック 膝の人工関節手術は失敗がある?知っておくべきリスクとは 太ももの痛みに関連する記事はこちら 太ももの付け根が痛いときは股関節の異常?考えられる病態とは 足の付け根の痛みに関連する記事はこちら 足の付け根が痛い場合は手術が必要?考えられる病態とは 足の裏の痛みに関連する記事はこちら 足の裏が痛いのは足底腱膜炎が原因か?治療法や予防法も確認 再生医療による膝の治療に関連する記事はこちら 膝の症例 現役プロスポーツ選手 ひざの痛みにPRP治療 当院の治療についての考え方や再生医療についての内容もお読みください スポーツ外傷・障害の痛みに対する当院の治療 変形性股関節症に対する当院の治療 再生医療とは PRP(多血小板血漿)療法とは ご相談から治療までの流れ こちらもご参照ください
最終更新日:2023.09.15 -
- ひざ関節
膝をつくと痛い場合に考えられる8つの病名 膝は常に体重を支えている関節なので、年齢と共に軟骨がすり減りやすく、亜急性(急激ではないが徐々に進行する状況)の不調を起こしやすい部位とも言えます。 打撲や捻挫などによって膝を負傷することも当然ありますが、多くの方は明確な原因がわからず徐々に痛みが増すような症状の出方をしています。 若い年齢でもオスグッド病など、スポーツ活動を盛んに行っているなどといった日常生活の特徴があれば、歩行だけでも痛みが出るような症状になることがあります。 今回は、膝をつくと痛いという状況のときに、どんな病態が考えられるのかご紹介していきます。 膝をつくと痛い場合に考えられる8つの病名とは 膝をつくと痛いという場合に、どんな病態が考えられるのかご紹介していきます。膝を地面に着くということは、膝関節や股関節も屈曲しているということであり、様々な原因の可能性があります。 1.変形性膝関節症 50代以降の年齢になってくると急に症状が出始めるのが、変形性膝関節症です。本人の中では転倒したり、捻ったり、変な動作をしたという自覚は無く症状が出始めます。 膝をついたり曲げたりすると痛みがあり、場合によっては通常の歩行ですら強い痛みを感じるようになることもあります。膝関節の酷使や、過度な荷重の繰り返しなど、長年のダメージを蓄積することによって少しずつ変形していくものです。 最初は膝関節内にある半月板を擦り減らせて、徐々に骨自体の変形に移行していくこともあります。特に多いのが内側半月の損傷で、股関節の硬さや姿勢の悪さによって骨盤が後傾し、下肢全体がO脚傾向になることで内側半月の負担が増えます。 膝をつくと痛い、歩くと痛いという症状が出るころには、レントゲンなどで精査するとほとんど半月板が残っていないこともしばしばです。膝の内側が潰れるような変形が進み、さらにO脚傾向が強くなり、結果的に膝内側の負担をどんどん増すという悪循環になってしまいます。 2.タナ障害 関節包内にある棚のようなヒダが関節の間で挟み込まれてしまい、徐々に炎症を起こしていく症状をタナ障害と言います。タナ障害の原因である関節包内のヒダは、一回の外力で急に出来たり、体の動かし方によって出現したりするわけではなく、多くは先天的に大きい形状になっています。 そこから炎症を起こすに至る契機として、膝関節の軟部組織損傷などの外傷が関係するのです。膝の靭帯損傷や筋肉疲労などによって膝関節の動きにズレが出ると、関節包内にある滑膜ヒダが強く挟み込まれるようになります。 膝関節の屈曲や伸展の際にヒダが繰り返し挟まれることで、痛みを感じるのです。膝をつくと痛いこともあれば、歩行の際に痛みが出ることもあります。他動的に膝関節を屈曲させたときに、ポキッというようなクリック音が生じる場合、タナ障害のリスクが高いと考えることも出来ます。 症状が出たら、痛みのある動作を避けて安静にすることで炎症の鎮静化を待ち、膝関節の使い方を正すような運動療法をするのが有効です。 3.半月板損傷 膝関節は内側半月と外側半月が存在していて、損傷の頻度が高いのは内側の半月板です。スポーツ活動の際中、特にコンタクト系のスポーツを行っているときに膝関節に過度な捻転力や内反力がかかると、内側半月を損傷します。 このような外傷によって半月板を損傷するケースでは、多くの場合内側側副靭帯や前十字靭帯など、内側半月以外の軟部組織損傷も併発しています。また、変形性膝関節症のように亜急性の半月板損傷もあります。 一度で靭帯損傷や筋断裂を起こすほどではない軽微な外力によって、少しずつ半月板を摩耗していきます。半月板が損傷して穴が開くなどの変形をきたせば、膝をつくような動作のときに痛みと可動域制限が発生することもあります。 一度損傷してしまった半月板は、放っておいて再生するということはありません。しかし、それでも痛みが出ないような動作を獲得することは可能で、大腿部などの筋力強化や運動学習によって日常生活で問題ないレベルに回復していくことは出来ます。 4.靭帯損傷 膝に存在している主要な靭帯は、膝関節の内側を大腿骨から脛骨にかけて走行する内側側副靭帯、膝関節の外側を縦に走行する外側側副靭帯があります。さらに関節内に、前十字靭帯と後十字靭帯があり、それぞれ膝関節が前後にズレないように安定性の強化を担っています。 いずれも強固な靭帯であり、損傷する場合は他人との接触など大きな外力がかかっているはずです。特に前十字靭帯は血流量も多い靭帯であり、損傷すると膝関節に強い腫脹も見られます。 また、それぞれの靭帯が単独で損傷しているということも少なく、前十字靭帯が損傷するほどの外力では、内側側副靭帯も一緒に損傷していることが多いです。靭帯損傷を起こせば、損傷した靭帯部に圧痛や腫脹が見られ、膝をつくなどの動作では当然痛みが出ます。 歩行が困難になる場合もあり、関節内に存在する前十字靭帯と後十字靭帯では再生力に乏しいので、手術が選択されることも多いです。スポーツ活動をしている方にとっては、場合によっては選手生命に関わる損傷でもあるので、慎重な判断が必要です。 5.分裂膝蓋骨 その名の通り、膝蓋骨が分裂している病態です。膝蓋骨が分裂してしまう原因は不明で、骨折などとは違い限局性の圧痛や、介達痛を起こすことは稀です。分裂膝蓋骨が出現すること自体では、日常生活で著しい支障が出ることはほとんどなく、問題なく過ごせます。 しかし、ジャンプ系またはダッシュ系の競技など瞬間的な大腿部の筋力発揮が必要なスポーツでは、分裂膝蓋骨に負荷がかかり炎症の痛みを発生させることもあります。 膝をつくなど圧迫力がかかることでも痛みが出るので、痛みのある動作を控えて炎症の鎮静化を待つことが大切です。分裂の仕方は様々で、縦に割れているものや、横に割れているもの、外上方だけ分裂しているものなど様々です。 日常生活に著しい支障が出ていなければ、保存療法で十分対応が出来ます。特に大腿四頭筋の緊張が分裂膝蓋骨の痛みに繋がるので、ストレッチや股関節の可動域強化などで、痛みの出ない膝の動かし方を獲得していきます。 手術の場合は、分裂した小さい骨片を取り除く方法や、骨癒合を試みる方法などが選択されるでしょう。 6.鵞足炎 鵞足炎は「鵞足(がそく)」と呼ばれるひざの内側下方の脛骨の周囲に炎症が生じる病気です。「鵞足」とは、脛骨というスネの骨の内側(膝から5-7㎝ほど下)に位置し、縫工筋、半腱様筋、薄筋と呼ばれる筋肉の腱が骨にくっつく部位(付着部)です。 この部位にある滑液包に炎症が生じる状態が鵞足炎です。滑液包とは、膝をはじめとした関節に存在する小さなゼリー状の袋です。 少量の液体が含まれており、骨と軟部組織の間に存在し、摩擦を軽減するクッションとして機能します。 鵞足炎は膝の屈曲や股関節の内転動作によって滑液包に負担が繰り返しかかり慢性的な痛みが生じます。アスリートをはじめとしたスポーツ選手に生じやすく、また、スポーツをしていなくても打撲などをきっかけに発症することもあります。 鵞足炎の治療としては、理学療法や注射などの保存療法が一般的です。膝をつくとき以外にも、運動時や階段を下がる時や歩く時などにも痛みがでます、重症化してしまうと、何もしていなくても疼くように痛くなるようになります。 7.腸脛靭帯炎 腸脛靭帯炎とは、ランニングによる膝障害のことです。膝の屈伸運動を繰り返し行うことで腸脛靭帯が大腿骨外顆(がいか)と擦れ、炎症が起こって痛みが発生します。 マラソンなどの長距離ランナーをはじめ、バスケットボール、水泳、自転車、エアロビクス、バレエなど多岐に渡るスポーツで発症します。過剰なランニング時間やウォームアップ不足、休養不足、硬い路面や下り坂による負担など、さまざまな要因が発症に結びついています。 腸脛靭帯炎とは、膝が痛むというのが基本的な症状です。痛む箇所は大腿骨外顆周辺、膝の外側で、腸脛靭帯の走行に沿って痛みが出るケースもあります。初期はランニング後に痛みが発生するのですが、休むと痛みが消失します。 しかし、ランニングを続けていると次第に痛みは増してきて、休んでも簡単に痛みが消失しなくなります。膝の屈伸運動を繰り返し行うことで発症する腸脛靭帯炎なので、最大の治療方法はランニングや膝に負担が掛かる練習を休止、或いは練習を減らすことが症状緩和につながります。 そして、アイシングや湿布の使用、ストレッチを強化します。また、スポーツ整形外科を受診し、消炎鎮痛剤の内服や局所注射などの治療を行います。膝の外側の痛みは腸脛靭帯炎だけではありません。 中学生や高校生の場合、疲労骨折が考えられるケースもありますし、中高年なら外側半月板損傷が疑われるケースもあります。膝の外側の痛みが改善しないようであれば、スポーツを専門とする病院を受診するようにしましょう。 8.ジャンパー膝(膝蓋腱炎/大腿四頭筋腱付着部炎) 運動や屈伸運動を頻繁に行うことによって生じます。バレー、ランニングといった動きを代表に、膝蓋腱の収縮を何度も繰り返し行うことによって損傷が蓄積されて起きます。スポーツ選手に多い疾患です。 スポーツ選手でなくても体が固い方などで起きやすく、年齢に関わらず体力をつけるために急に走ったり歩いたりすることでも生じますが、基本的には充分に休息し、膝蓋腱を安静にすることで一過性で済むことがほとんどです。 これに対し、スポーツ選手は損傷した膝蓋腱が修復する余裕がないほど頻繁に運動してしまい、慢性化して治療が必要になることがあります。 膝は不調が起きやすい部位 膝は荷重関節でもあるので、ぶつけた、捻ったなどの明確な受傷機転が無くても痛みを感じるようになることもあります。タナ障害など、生まれつきもっている関節包内のヒダが原因で起こるような症状もありますし、日常生活に大きく影響してきます。 亜急性の膝で起こる不調の原因を突き詰めていくと、姿勢の悪さや体の使い方、日常生活動作や仕事での負担など、長期的に見たダメージの蓄積が根本にあります。 そのため、徐々に痛みを増したり、少しずつ変形が目立つようになったり、年齢と共に膝の痛みが起こるリスクは高くなっていくのです。逆に10代の若年層では、オスグッドなどスポーツ活動に起因する症状も出ます。 特にサッカーやバスケットボール、バレーボールなど、瞬発系の競技を頻繁に行っている少年に多いです。このように、膝関節は年齢関係なく不調を起こすことがあります。 膝関節を構成している骨について 膝の関節は主に3つの骨で構成されています。一つは大腿骨で、大腿骨の膝関節面は内側と外側に分かれており、内反や外反といった異常な動きをしないように靭帯などで頑丈な安定性を保っています。 もう一つは脛骨という「スネ」の骨で、脛骨の近位端部が膝関節面になっています。脛骨の上部に大腿骨の内側顆と外側顆がはまり込むような構造です。そしてもう一つが膝蓋骨で、大腿骨の近位部前面に位置し、膝関節の屈曲や伸展の際には滑るように移動しています。 膝関節は特徴的な動きをする 膝関節の基本的な動きは屈曲と伸展で、どちらも大きな筋肉によって動作するので強い筋力を発揮できます。膝関節屈曲の主動作筋肉は、大腿二頭筋と半腱様筋、半膜様筋で構成されているハムストリングスです。 逆に膝関節伸展の主動作筋は、大腿直筋、外側広筋、内側広筋、中間広筋で構成されている大腿四頭筋です。どちらも骨盤から大腿骨を走行し、下腿の近位端まで到達しています。 そのため、厳密には膝関節だけでなく股関節の動きにも作用しているという特徴があります。そして、もう一つ特徴的なのが膝関節屈曲の際に起こる下腿の内旋で、膝窩筋など小さな筋肉によって微妙な動きを調整しています。 膝関節屈曲で下腿が内旋、伸展すると共に下腿は外旋し、単純な前後面の運動だけではないのです。この特徴的な動きを、スクリューフォームムーブメントと呼びます。 膝をつくと痛いときに行うべき対処法 膝をつくと痛いとき、どんな対処法をすればいいのかご紹介していきます。 安静にして痛みのある動きを避ける 膝をつくと痛い場合、外傷によるものなのか、それとも関節内で起こっている炎症のせいなのか判断が付かないケースも多いはずです。まずは膝関節の荷重など、痛みのある動作をなるべくさけて安静を確保します。 安静にすることで痛みが落ち着いたり、その後の動作がスムーズになったりすることもあります。 ストレッチをして筋肉の緊張を取る 大腿部や股関節の筋肉、さらには下腿部の筋肉に緊張が出ていることで、膝に痛みが発生しているケースも考えられます。特に臀部や大腿部外側の筋緊張は、変形性膝関節症を悪化させる要因にもなるのです。 また、下腿部の筋肉が緊張すると足関節の動きが悪くなり、その分の代償を膝関節が担うことになります。その結果膝関節での不調を引き起こしやすくなり、痛みが発生した後も治りが遅くなってしまうのです。ただ、痛みのある動きで無理にストレッチをする必要はなく、心地よくできる範囲で問題ありません。 整形外科を受診する 膝をつくと痛いという症状が突然出現してきた場合、変形性膝関節症やタナ障害など、場合によっては手術が必要になる病態も隠れています。初期段階であれば保存療法で十分対応することが出来ますが、放置しておくと症状が進行して日常生活での支障も大きくなってきます。 まずは膝関節の中で何が起きているのか、病気ではないのか確認するという意味でも、整形外科でドクターに診察してもらうのが良いでしょう。 接骨院を受診する 膝をぶつけたわけでもないのに痛みが発生しているということは、日常生活の中で何かを改善しなければ、悪化する一方であるということです。整形外科で精査をして、今すぐに外科的な処置が必要ということでなければ、接骨院で運動療法や手技療法を入念にしてもらうというのも良い方法になります。 日常生活動作など、アドバイスをもらって改善や維持に努めましょう。 ご注意!膝の痛みを放置しておくと歩けなくなる 膝をつくと痛いという症状が、今後起こる重篤な症状の前兆であることも珍しくありません。今日痛みが出て、明日には歩けなくなっているということは稀ですが、放置しておけば悪化するのみです。 早めに対処するに越したことはないので、セルフケアでも改善が見られなければすぐに医療機関を受診しましょう。 お近くに再生医療やスポーツ医療についての専門医がいない方へ リペアセルクリニックは、第二種・第三種再生医療提供計画を厚生労働省に提出し受理された厚生労働大臣許可医療機関です。当院では来院前でも「メール相談」を受付けています。どうぞ事前にご相談ください。以上、膝をつくと痛い!膝をつくと痛い場合に考えられる8つの病名について記してまいりました。参考になれば幸いです。 監修:リペアセルクリニック 大阪院 ▶ メール相談・お問い合わせフォームはコチラ 膝の痛み関連する記事はこちら ・膝の痛みと腫れが突然出た!考えられる原因は? ・完治まで膝から水はなくならない?膝に水が溜まる原因と治し方 ・正座すると膝が痛いのは危険サインか?変形性膝関節症の可能性も ・膝を曲げると痛いのは病気のサイン?音が鳴る原因は ・膝の上が痛い原因は使い過ぎ?痛みに繋がるリスクとは ・膝の皿が痛いのはなぜ?考えられる原因や病名は ・膝の内側の痛みの原因は?症状や治し方について 再生医療による膝の治療に関連する記事はこちら ・膝の症例 現役プロスポーツ選手 ・ひざの痛みにPRP治療 人工股関節、人工関節に関連する記事はこちら 人工股関節術後に脱臼する可能性と生活の注意点をチェック 膝の人工関節手術は失敗がある?知っておくべきリスクとは 当院の治療についての考え方や再生医療について ・スポーツ外傷・障害の痛みに対する当院の治療 ・変形性股関節症に対する当院の治療 ・再生医療とは ・PRP(多血小板血漿)療法とは ・ご相談から治療までの流れ
最終更新日:2023.09.13 -
- ひざ関節
膝の上側が痛い場合に考えられる疾患を徹底解説し、その原因を究明 歩いているときや、椅子から立ち上がった時、寝ている状態で寝返りを打ったときなどに膝の上が痛くなる症状が出ることがあります。 中にはじっとしていても、膝の上の方に違和感があるケースもあります。このように膝の上で痛みなどの症状が出た場合、どのような原因が考えられるのでしょうか。対処法と一緒にご紹介していきます 膝の上側の構造 膝の上とは膝蓋骨の上あたりのことを指しています。そこには膝蓋骨の他に、大腿四頭筋の腱が位置しています。大腿骨の関節面と膝蓋骨が関節を作り、その上を大腿四頭筋が覆うという位置関係です。 それ以外に他の骨は存在せず、膝の上が痛い場合で骨に問題があるとすれば、膝蓋骨か大腿骨のどちらかになります。軟部組織に問題があるなら、大腿四頭筋に異常が発生しているということです。 また、膝蓋骨のすぐ脇を走行している、腸脛靭帯で炎症が起きた場合にも膝の上の痛みとして感じられることがあります。その他にも、関節内で炎症が起きたり、腫脹が出たり、といったことがあれば膝の上で痛みが出ることもあるでしょう。 膝の上が痛いときに考えられること 膝の上が急に痛くなってきた場合に、どのような病態が起きていることが考えられるでしょうか。 大腿四頭筋腱炎 大腿四頭筋腱は、膝蓋骨の上に覆いかぶさるように位置しているので、そこで炎症が起きれば膝の上で痛みとして感じられることもあります。大腿四頭筋腱炎が発生する原因としては、いわゆる膝伸展機構の使い過ぎです。 バレーボールやバスケットボールなど、ジャンプ系の競技や、サッカーなど瞬発系の競技などでよく見られます。成長期には脛骨粗面部で痛みがでるオスグッドの方が発生頻度は高いですが、成長期を過ぎれば大腿四頭筋腱炎として発生することになります。 大腿四頭筋腱炎を発生させやすい人の特徴として、股関節が硬い、足首が硬い、大腿四頭筋が硬いといったことが挙げられます。これらはストレッチなど、柔軟性を高めるアプローチをすることで少しずつ改善ができるので、大腿四頭筋腱炎のリスクを下げるためにも日々取り組んでおくべきです。 大腿四頭筋腱炎になったら、まずは患部に負担をかけないように安静にすることが第一になります。その後大腿四頭筋の緊張や疲労を取り除くために、マッサージやストレッチ、罨法、後療、電療などが施療されることになるでしょう。 スポーツをしている方の場合、選手生命が脅かされるほどの症状にはなりませんが、体の使い方を根本的に改善しない限りは再発することも考えられます。 ランナーズニー ランナーズニーは腸脛靭帯炎とも呼ばれ、膝を繰り返し使うランナーに多いことからランナーズニーと呼ばれています。長距離ランナーの他にも、自転車をよく漕ぐ人、水泳をやっている人など、膝を曲げるという行為を何度も繰り返し行う競技をしている方に、多い症状です。 腸脛靭帯は大腿骨の外側を走行している長い靭帯で、大殿筋から始まっています。腸脛靭帯が大腿骨の外側顆と何度も擦れ、その摩擦をきっかけに炎症を起こし、膝の上外側で痛みとして感じられるようになります。 ランナーズニーを起こしやすい人の特徴は、大殿筋が硬い、骨盤が歪んでいる、ランニングフォームが良くない、下肢のアライメント不良があるといったところです。 一回の強い外力でランナーズニーになるわけではないので、痛みを発生させる動作を避けたり、競技を中止したりすれば痛みは軽減していきます。ランナーズニーになると、通常の歩行時や非荷重の膝関節屈曲時にも痛みを発生させることがあります。 安静にして炎症が治まるのを待つか、ストレッチなどで大腿部外側の緊張を緩和させます。 有痛性分裂膝蓋骨 膝蓋骨が、原因不明の分裂をしていることがあります。多くは先天的な要因で、分裂膝蓋骨と呼ばれます。骨折とは違い、骨組織が損傷しているわけではないので腫脹や限局性圧痛などは出ません。 しかし、分裂膝蓋骨に牽引力が加わる痛みを発生させることがあります。分裂の仕方によって膝蓋骨の上方で二分されていることがあり、そうなると膝の上で痛みを発生させることになります。 日常生活に支障がなければ保存療法で十分改善が可能で、分裂している膝蓋骨をくっつけるのではなく、そのままでも痛みが出ないような膝の使い方を身につけます。大腿四頭筋の緊張が強いと分裂膝蓋骨の痛みも強くなりやすいので、大腿四頭筋の柔軟性を高めることも大切です。 あまりにも痛みが強く出ている場合や、日常生活に支障が出ている場合は手術が選択されることもあります。 変形性膝関節症 変形性膝関節症の多くは、内側の関節軟骨が摩耗して薄くなり、関節面同士が直接接して摩擦を起こすことが炎症になる病態です。年齢と共に変形性膝関節症の発生リスクは高まり、特に女性に多い症状でもあります。膝の内側が潰れるように変形するため、O脚のような下肢の形になります。変形性膝関節症のリスクを高めるのは、股関節が硬い、足関節が硬い、内転筋が弱い、元々O脚であるということです。症状が出てしまってからは、痛みを完全に緩和させるのは難しいです。しかし、変形性膝関節症が発症する前の段階であれば、それらのリスクを解消しておくことで予防が可能です。重いものを持つことが多いなど、荷重関節である膝に物理的な負担をかけることが多いのも、変形性膝関節症を発生させる一つの要因になります。しかし、必ずしもそういった仕事歴が関係しているわけではなく、日常生活の中での軽微な外力が蓄積して変形性膝関節症を作ります。関節内で炎症を起こして腫れることがあるので、膝の上でも痛みが感じられるようになります。 関節リウマチ 関節リウマチを端的に表すと、関節を破壊していく病態です。通常であれば外から入ってきた病原菌やウイルスに対して攻撃を行う免疫細胞が、誤って人体を構成している細胞を攻撃してしまうことで症状が出ます。 ほとんどの場合は手先や足先などで症状が出始めますが、時間が経過すると膝関節でも症状が出てきます。最初は炎症なので、膝関節や膝の上が痛いといった自覚症状から、進行すると関節が破壊されて変形していきます。関節リウマチになってしまう原因は不明で、薬物療法や運動療法が行われます。変 形の程度や日常生活の支障度合いによって、手術が選択されることもあるくらいです。ただ、ほとんどは保存療法で、変形や炎症によって狭くなった関節の可動域を回復していくことや、負担を溜めにくい体の使い方を獲得することを目指します。 膝の上側が痛む原因 膝の上で痛みが発生するケースというのは、ぶつけたり捻ったりすれば原因がハッキリしていますが、自分でもよくわからないまま痛みが突然発生することも多いです。どんなことが膝の上の痛みを発生することに繋がるのか、考えられるリスクをご紹介していきます。 急激に太った 体重が重いということは、物理的に考えて膝の負担が大きいということです。当然、痩せている人よりも太っている人の方が膝関節の変形や軟骨の摩耗も早く、年齢と共に痛みを伴いやすいです。 長年に渡って肥満傾向にある方が、膝の上で痛みを発生させやすいことはもちろんですが、急激に体重が増加した方の方が症状も出やすい傾向にあります。荷重による負担が増えたことと、脂肪の量が増加したことによって体の使い方に変化が出ることが影響しています。 膝を安静にして痛みが軽減したら、水中歩行など負担の少ない運動から初めて減量を目指すと良いでしょう。 水分摂取量が少なすぎる 体のおよそ60%は水分で構成されています。そして、関節軟骨に限ればもっと高い割合が水分で構成されています。ということは、水分摂取量が少なすぎると、関節軟骨の柔軟性も低下して潰れやすくなるということです。 実際に治療の現場では、変形性膝関節症などで膝の痛みを発生させている方に、水分をしっかり摂取するように指導することがあります。1日を通して、1.5リットル程度の水分摂取が目標です。水分を十分に摂取することで代謝も向上し、細胞の入れ替わりも活発になるので痛みの回復も早くなります。 股関節が硬い 股関節の動きが悪いと、膝にも大きな負担をかけます。例えば歩行動作で言うと、股関節の屈曲可動域が狭い場合、前への推進力が損なわれます。その分は膝関節を中心とした下腿の関節で代償することになるので、通常時の何倍も負担がかかります。 その結果、膝関節周辺の軟部組織損傷を引き起こし、膝の上の痛みとして発症するのです。この場合、痛みが出ている膝だけを集中的に治療するのではなく、股関節の可動域を広げる運動療法を一緒に行わなければ痛みは改善されません。 足関節が硬い 股関節が硬いときと同様に、足関節の動きが悪いことで膝関節の負担は増えます。歩行や走行時、足関節の可動域が狭いと地面を蹴り出す力が弱くなり、その分を膝関節で補うことになります。 ハムストリングスや大腿四頭筋に通常時よりも大きな負担がかかるので、それが長期間続けば膝周辺の軟部組織損傷を起こすこともあります。ランナーズニーやジャンパーズニーなど、オーバーユースによる膝の障害も起こりやすくなり、スポーツのパフォーマンスも低下してしまうでしょう。 痛みのある膝関節だけを集中的に治療するのではなく、足関節の動きをスムーズにすることや、下腿三頭筋、前脛骨筋などの筋緊張を緩和させることも大切です。 姿勢が悪い 猫背やストレートネックなど、背骨の歪みは膝関節に大きな影響を与えます。側弯症などの左右のバランスも、荷重の偏りを招くので膝の痛みを発生させる一つの要因になるでしょう。 しかし、多くの場合はそういった先天的な変形が痛みに繋がるのではなく、日常生活を送る上で少しずつ発生した歪みによって、軽微なダメージを膝に蓄積していくことが原因です。デスクワークのように長時間座っているような生活習慣を送っている方や、子供の抱っこなど左右非対称の動作が多い方など、膝に負担が溜まりやすい一例ではあります。 姿勢や体のバランスが悪いことで、直ちに膝で痛みが発生するわけではありませんが、長期間にわたって少しずつ膝にダメージを与え、変形性膝関節症やタナ障害などに発展していく可能性は十分にあります。 他の部位に痛みを抱えている 人間は、どこかに痛みが出ると、無意識のうちにそこをかばうようになります。例えば歩行時に痛みが出るとき、痛みをかばいながら歩くことになるので、いつの間にか膝に負担がかかるような歩き方になっている場合もあります。 すぐに膝の痛みとして影響を感じられるわけではありませんが、それが何日、何週間も続くと膝周辺のダメージも蓄積して膝の上の痛みとして感じられるようになるでしょう。負担がかかってしまった膝の治療をすることはもちろん、最初の引き金となった腰の痛みをしっかり治療していくことが大切です。 膝の上の痛みは慢性化することが多い 膝の上の痛みは、転倒など一回の外力で損傷されるというよりも、軽微な外力が積み重なって出てくることの方が多いです。膝だけに捉われずに、身体全体のバランスや動かし方から改善していくと、根本的な治療ができるでしょう。 お近くに再生医療やスポーツ医療についての専門医がいない方へ リペアセルクリニックは、第二種・第三種再生医療提供計画を厚生労働省に提出し受理された厚生労働大臣許可医療機関です。当院では来院前でも「メール相談」を受付けています。どうぞ事前にご相談ください。 メール相談・お問い合わせフォームはコチラ 監修:リペアセルクリニック大阪院 膝の痛み関連する記事はこちら 膝の痛みと腫れが突然出た!考えられる原因は? 完治まで膝から水はなくならない?膝に水が溜まる原因と治し方 正座すると膝が痛いのは危険サインか?変形性膝関節症の可能性も 膝を曲げると痛いのは病気のサイン?音が鳴る原因は 膝をつくと痛い!痛みの原因や症状考えれる病態は? 膝の皿が痛いのはなぜ?考えられる原因や病名は 膝の内側の痛みの原因は?症状や治し方について 再生医療による膝の治療に関連する記事はこちら 膝の症例 現役プロスポーツ選手 ひざの痛みにPRP治療 人工股関節、人工関節に関連する記事はこちら 人工股関節術後に脱臼する可能性と生活の注意点をチェック 膝の人工関節手術は失敗がある?知っておくべきリスクとは 当院の治療についての考え方や再生医療についての内容もお読みください スポーツ外傷・障害の痛みに対する当院の治療 変形性股関節症に対する当院の治療 再生医療とは PRP(多血小板血漿)療法とは ご相談から治療までの流れ
最終更新日:2023.10.26 -
- ひざ関節
膝の皿が痛い!?考えられる病名や、その原因、治療について徹底解説 膝のお皿は、体表からも容易に確認することができ、膝関節の正常な動きに関与しています。膝のお皿をぶつけたなど、思い当たる理由が無いのに急に痛みが出るケースがあります。これは先天的な要因から後天的な要因まで様々な原因が考えられます。 そもそも、膝のお皿と呼んでいる部分は、医学的には「膝蓋骨(しつがいこつ)」といいます。大腿骨の下端の前面に位置しており、膝蓋大腿関節を構成している骨でもあります。膝関節を屈曲させたり伸展させたりするときに、大腿骨との関節面を滑るように上下に移動し、筋肉や骨との摩擦を軽減して正常な運動ができるようにしているのです。大腿四頭筋腱の中に入り込むように存在しています。 では以下で、膝のお皿が痛くなった場合に、どんな病気が考えられるのかご紹介し、その原因と治療方法を解説いたします。 膝蓋骨(膝の皿)に痛みが起こる原因 膝のお皿が痛いということは、膝蓋骨で痛みが起きているということです。必ずしも打撲など明確な原因があるわけではなく、日常生活の中でかかる軽微な外力の積み重ねによって痛みを発生させることも十分あるのです。膝のお皿で痛みを発生させるリスクが高いのはどんな人なのか、ご紹介していきます。 大腿四頭筋の筋力が弱い 膝蓋骨は大腿四頭筋腱の中に位置している種子骨なので、大腿四頭筋の筋力が弱いと正常な位置を保てなくなります。膝関節屈曲の際に膝蓋骨が正常な位置になければ、大腿骨と異常な摩擦を起こして炎症を起こすことも考えられます。大腿四頭筋の筋力が弱いのは、運動習慣があまりにもない場合や、下肢の負傷によって非荷重の期間が長くなった場合などで考えられます。 膝蓋骨の位置が正常でない 膝蓋骨の位置が、通常よりも上にありすぎたり、逆に下にありすぎたりすることでも、関節面で炎症を起こして痛みを発生させることがあります。膝蓋骨の位置は先天的な要因に加えて、周囲の筋力のバランスによって左右されるので、意識的に大腿部の筋力を強化することで改善することが出来ます。大腿四頭筋だけでなく、普通に生活していると筋力が落ちやすい内転筋の強化が重要になります。 股関節が硬い 膝蓋骨が位置している大腿四頭筋は、骨盤から始まる筋肉です。股関節が硬いことによって大腿四頭筋の柔軟性も失われ、膝蓋骨に影響を及ぼすことは十分考えられます。大腿四頭筋自体が硬くなってしまうことで股関節の可動域を狭めている可能性もありますし、内転筋や縫工筋など骨盤から大腿骨の内側や外側に付着する筋肉が硬いことでも影響します。 さらに、脊柱から大腿骨に走行している腸腰筋が硬いと股関節の屈曲伸展の可動域が狭くなり、膝蓋骨の動きが悪くなって痛みを発生させることに繋がります。 ハムストリングス(太ももの裏の筋肉)が硬い ハムストリングスの緊張が強いことや、そもそもハムストリングスの長さが短いことでも膝蓋骨の動きに影響し、痛みの原因になることもあります。これはハムストリングスだけの問題ではなく、大腿部の後面と前面で筋力バランスが著しく崩れてしまうことが発端になって痛みを起こします。 先天的にハムストリングスが短いケースもありますし、姿勢や体の使い方などでハムストリングスに負担をかけすぎて慢性的な緊張を生んでいることもあるのです。 足関節の動きが悪い 足関節の動きが悪いと、歩行や立ち上がりなどの動作の際にその動きを代償する形で、膝関節周辺に余計な負担をかけることになります。それが長期間続くことで、膝蓋骨と大腿骨の間で異常な摩擦を繰り返し、徐々に炎症を起こして膝のお皿で痛みを発生させるのです。 足関節の動きが悪い原因は、ふくらはぎにある腓腹筋やヒラメ筋や、脛骨部にある前脛骨筋や後脛骨筋の緊張によるものです。他には、足関節捻挫の際にしっかり固定をしなかった後遺症など、外傷後の予後が原因になっているものもあります。 姿勢が悪い 悪い姿勢の代表といえば猫背やストレートネックですが、そういった背骨のゆがみが膝のお皿で発生する痛みの原因になっていることもあります。猫背やストレートネックでは、横からみたときに頭の位置が若干前に引っ張られています。 すると、重心が常に前傾になり、バランスを取るために骨盤が逆に後傾しようとする力が働きます。その結果、股関節前側の筋肉が硬くなり、股関節の可動域が狭くなった分膝関節に負担がかかるのです。その姿勢のまま長距離の歩行を繰り返したり、立ち仕事を繰り返したりするとダメージが膝蓋骨にも蓄積し、痛みを発生させます。これは猫背とストレートネックに限ったことではなく、左右のバランスの違いや背骨の捻じれなど、様々な体のゆがみでも起こり得る痛み発生のメカニズムです。 膝のお皿が痛いときに考えられる病気 膝のお皿が痛いときに、どんな病態が起きている可能性があるのかご紹介していきます。 有痛性分裂膝蓋骨 膝蓋骨が分裂している状態で、膝の皿で痛みを発生させます。骨折とは違い、先天的な要因などで膝蓋骨が分裂して存在している状態です。骨折ではないので、それだけで腫脹が起きたり内出血が起きたりすることはありません。 分裂膝蓋骨が存在していること自体は大きな問題にはなりませんが、大腿四頭筋の繰り返しの筋力発揮や、過度な負担によって分裂部に牽引力が加わり痛みになることもあります。膝蓋骨の分裂の仕方によって、縦に分裂しているパターン、下方が横に分裂しているパターン、外上方の一部分だけが斜めに分裂しているパターンがあります。分裂の仕方で痛みの個所は若干ズレが出てくるでしょう。 ランナーズニー ランナー膝、またはランナーズニーと呼ばれる症状は、膝蓋骨と大腿骨が異常な摩擦を繰り返すことによって起きる痛みです。通常であれば滑らかに移動するはずの膝蓋骨が、ランニングの際にかかる衝撃で異常な動きをしてしまいます。 股関節の動きが悪いせいで膝関節の使い方がおかしくなっていたり、大腿四頭筋の筋力が上手く発揮できていないせいで膝蓋骨が安定しなかったり、異常な摩擦を起こす原因は様々です。特に繰り返し衝撃がかかるランナーに多い症状であることから、ランナーズニーと名付けられています。 ランナーズニーになったらまず安静にして膝のお皿で出ている痛みを落ち着け、その後膝蓋骨周辺の筋力を強化することで膝蓋骨の安定化を図ります。当初は走っているときの痛みだけが症状として出てきますが、そのうち階段の昇降時や、ちょっとした下り坂を歩くときなどにも膝の皿で痛みが出だします。そうなってくれば重症化している証拠なので、安静にすることが大切です。 大腿四頭筋腱炎 大腿四頭筋腱は膝蓋骨周辺に位置しており、そこに繰り返しの負担がかかることで痛みを発生させます。大腿四頭筋腱炎は別名ジャンパーズニー、またはジャンパー膝と呼ばれることもあり、バレーボールやバスケットボールなど、ダッシュやジャンプを繰り返す競技を行う成長期の年代に多い症状です。 ジャンパー膝発生のメカニズムは、オーバーユースに起因しています。特に成長期にバレーボールやバスケットボールを熱心に行っていると、筋肉の成長と骨の成長の間で若干のバランスのズレが出てきます。そうすると、慢性的に大腿四頭筋に緊張を生むことになってしまいます。その状態でダッシュやジャンプを繰り返し、大腿四頭筋腱に繰り返しの牽引力をかけることで、微細な損傷を起こしてきます。 それが積み重なり、膝のお皿周辺で痛みを発生させることで症状に気づくのです。ジャンパー膝が発生した場合は、痛みのある動作を中止して安静を確保します。ジャンプ競技やダッシュ競技は中止で、痛みのない動作だけで生活を送ることを優先するべきです。重症例では稀に大腿四頭筋腱の完全断裂を起こすこともありますが、その発生は稀です。 タナ障害 膝関節を覆っている関節包の内側に位置する、滑液包の内側で棚のような形状をしたヒダがあり、それが関節内で挟み込まれることで痛みを発生させます。これをタナ障害と呼び、多くは先天的に滑液包内側のヒダの形状が大きいことが関与しています。 タナ障害になると、膝のお皿付近で痛みを発生させ、罹患した本人でも正確に痛みの個所を伝えにくいこともあります。滑液包の内側にあるヒダが大きいだけで直ちにタナ障害になるわけではなく、膝の動かし方が悪いときや、過度な負担をかけ続けたときに痛みとなって発症します。 通常の歩行時でも痛みを感じることがあり、日常生活の支障度合いによっては手術も検討されるほどです。しかし、ほとんどの場合は保存療法で対処でき、痛みの出ないような動作を獲得するために運動療法や手技療法が行われます。 膝のお皿が痛くなったらどうすればいい? ある時突然、膝のお皿で痛みが出たらどのような対処をすればいいのかご紹介していきます。 圧痛があるか確認する 自分で簡単にできる鑑別方法としては、膝蓋骨を押してみて圧痛があるか確認することです。もし強い圧痛があれば、膝蓋骨骨折の可能性もあります。そうでなければ、膝蓋骨の圧痛が発生するのはランナーズニーや有痛性分裂膝蓋骨が考えられます。いずれにせよ、膝蓋骨で明らかに圧痛がある場合はそれまでの膝関節の使い方にも問題があるので、早めに医療機関に相談した方が良いでしょう。 膝に腫れがあるか確認する 膝のお皿が痛いと思っても、実は膝のお皿自体に問題があるわけではなく、膝関節の内部で異常が起きていることもあります。代表的な例では変形性膝関節症や、タナ障害などです。もし膝関節が腫れていて、水が溜まっているように感じたら、安静にして様子を見るか整形外科を受診することをお勧めします。 ストレッチをする 膝のお皿で痛みが出る原因の多くは、大腿四頭筋の緊張や疲労の蓄積によるところです。膝関節を曲げて大腿四頭筋のストレッチを入念に行い、大腿部前面の緊張を和らげてみてください。それだけでも痛みが少し楽になるようであれば、毎日続けてストレッチをすることで徐々に膝のお皿の痛みは軽減されていきますし、再発の予防にもなります。 お風呂で温まる 体が温まることによって膝のお皿の痛みが軽減するようなら、膝関節や股関節の筋緊張が原因で起きている可能性が高いです。お風呂で温まることによって血流が良くなり、筋緊張が緩和されたことで痛みが軽減しているので、冷やさないような対策が有効になります。 整形外科に行く 膝のお皿が痛いとき、最初に行くべきは整形外科でしょう。重症例では手術が必要な病態が隠れていることもありますし、膝蓋骨自体に原因があるのか、筋肉に問題があるのか確定的な診断ができるのは整形外科です。まず自分の体に何が起こっているのか確認するためにも、精査してもらってください。 膝のお皿が痛いのは関節の動かし方が悪いということ 骨折以外で膝のお皿が痛くなるということは、少なからず体の使い方に問題があるということです。膝関節の動きや股関節の動き、足関節の動き、さらには周囲の筋力バランスなど根本的な原因が隠れています。とにかく対症療法として痛みを軽減させることも重要ですが、再発を予防するために姿勢の矯正や筋力トレーニングを行うことも視野に入れておきましょう。 お近くに再生医療やスポーツ医療についての専門医がいない方へ リペアセルクリニックは、第二種・第三種再生医療提供計画を厚生労働省に提出し受理された厚生労働大臣許可医療機関です。当院では来院前でも「メール相談」を受付けています。どうぞ事前にご相談ください。 以上、膝の皿が痛い!?考えられる原因や病名について徹底解説してまいりました。参考になれば幸いです。 メール相談・お問い合わせフォームはコチラ 監修:リペアセルクリニック大阪院 その他、膝の痛みに関連する記事はこちら 膝の痛みと腫れが突然出た!考えられる原因は? 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最終更新日:2024.03.29 -
- 変形性膝関節症
ひざの内側が痛むのなら変形性膝関節症かもしれません! 変形性膝関節症を発症した患者さんが訴える症状の多くが「膝の内側の痛み」です。この膝の内側の痛みが何故起こるのか?そもそも膝はどのような構造になっているのか? 関節の構造はどうなっているのか?変形性膝関節症とはどのような病気でどのような治療をするのかについて説明していきたいと思います。 膝の構造や関節の構造はどうなっているのか? 膝は人体の諸関節の中で最大の関節であると同時に損傷を受けやすい関節でもあります。膝は大腿骨、脛骨、膝蓋骨という3つの骨で構成されています。大腿骨と脛骨の表面には関節軟骨があり、関節軟骨と関節軟骨の間には半月板があります。この関節軟骨と半月板と関節軟骨の3つが膝が滑らかに動くようにしたり、荷重を分散させています。 大腿骨と脛骨は前十字靱帯、後十字靱帯、内側側副靭帯、外側副側靭帯という4つの靭帯によって結ばれています。この4つの靭帯の働きによって脱臼防止や関節の伸展・屈曲・内旋・外旋がスムーズに行われています。 膝にはもう1つ膝蓋大腿関節があり、この骨の表面にも関節軟骨が存在して、筋肉の力を効果的に下腿に伝える働きをしています。そして、これらの関節を包みこんでいる袋が関節包であり、この関節包の内膜は滑膜と呼ばれ、関節液を分泌したり吸収する働きをしています。 関節軟骨という言葉が出てきましたが、関節軟骨とはどのような物なのか? 関節軟骨の組成は60~80%が水分であり、残りはコラーゲンとプロテオグリカンです。関節軟骨の基質はⅡ型コラーゲンを主体とするコラーゲン線維の隙間を、アグリカンと呼ばれる巨大プロテオグリカン分子が埋める構造をしています。 プロテオグリカンは保水性に富み、スポンジのように水分の出し入れを行っています。軟骨細胞は小腔内に独立して存在し、軟骨組織には血管もリンパ管も存在しないため、軟骨細胞の代謝は関節運動による関節液の浸透によって行われています。このため、関節運動が行われないと軟骨の萎縮を起こします。また、軟骨組織は自己修復力がほとんどなく、ひとたび関節軟骨が損傷を受けると変性に陥ります。 関節包と滑膜について 通常大部分の関節には関節包とその内面を包む滑膜があります。前述の通り膝関節にも関節包と滑膜が存在しています。滑膜は関節の潤滑と栄養をつかさどる関節液を合成するとともに、関節内に生じた異物を除去する働きがあります。関節液の主成分は、グルコサミノグリカンの一種であるヒアルロン酸です。これはヘパリンと同種の組成であるため、関節内に出血が起きても血が固まりません。 関節の機能について 関節は、その種類によって運動の方向や正常な可動範囲が定まっており、関節運動はその方向によって決まった名称で呼ばれます。関節の可動域をROMといい、各関節はその構造上から運動の方向・機能と可動域を持っています。関節運動の方向には下記のような種類があります。 屈曲↔伸展 外転↔内転 外旋↔内旋 回内↔回外 掌屈↔背屈 関節可動域は年齢、性別、ときには職業によっても異なります。膝の運動方向は屈曲と伸展であり、可動域の範囲は屈曲が0~130、伸展が0です。 膝の痛みはなぜおこるのか? 関節を構成する靱帯や関節包には痛覚神経線維の終末が多数存在し、関節が異常運動を行った場合は強い痛みを生じて警告を発し、非生理的な関節運動が起こる事を予防しています。これらの組織に機械的刺激や化学的刺激が加わると、強く鋭い関節痛を生じます。これに加えて、滑膜の炎症によって増加した関節液や外傷による関節内出血は関節内圧の上昇をまねき、鈍重な痛みの原因となります。 変形性膝関節症とはどのような病気か? 変形性膝関節症とはその名の通り膝関節が変形し、痛みやしびれ、運動障害を起こす慢性関節疾患です。変形性関節症の中では最も頻度の高いもので、日本人の生活様式である畳の上に座るという習慣が影響していると考えられています。また、加齢や肥満、膝へのストレスが原因とされています。 原因についてさらに詳しく説明します。関節リウマチや大腿骨の顆部壊死、過去の骨折経験などもともと何らかの原因が元になっている場合が10%程度ありますが90%は原因がはっきりわかっていません。年齢では30代ではほとんど見られませんが40代以降、年齢を重ねるにつれて患者数が増えています。理由としては加齢によって関節組織(軟骨)の退行性変性が起きるためです。性別では女性の方が男性に比べ1.5~2倍くらい多い傾向にあります。特に閉経後の女性は急速に進むケースが多いです。これはエストロゲンという女性ホルモンに要因があると考えられています。肥満については、体重が増えることにより膝への負担が大きくなる事や、脂肪組織で生成されるレプチンという物質が影響することが原因と考えられています。レプチンとは食欲の抑制とエネルギー代謝の調節に関わるホルモンです。これらのような加齢や性別、遺伝、肥満や重労働やスポーツなどの膝への過度なストレスなど様々な要因が引き金となって、膝の軟骨が変形し、膝の中にある滑膜が炎症を起こします。 変形性膝関節症の進行と症状について 膝関節の腫れや痛みを主な訴えとして、関節の可動制限はそれほど著しくないが、最大伸展位を取る事が出来ずに、運動時のコツコツやゴリゴリといった軋轢音、関節裂隙(かんせつれつげき)の圧痛がみられます。高度になると内反膝あるいは外反膝の変形が起こりますが、日本では内反膝変形が多くみられます。 変形性膝関節症の症状は進行度によって症状が変化します。 【軽度】 骨と骨の隙間が少し狭くなり軟骨がすり減ってきます。起床時の第一歩の「膝の違和感」が最も早く現れる症状です。この段階では動作時のみの痛みですが、一時的でしばらく休むと痛みがなくなる場合がほとんどです。「立ち上がる時に膝が痛む」「膝がこわばる」「動き始めに膝が痛む」このような症状が現れます。 【中等度】 関節軟骨や半月板がすり減り、骨と骨の隙間がさらに狭くなります。痛みの頻度が多くなり、炎症が生じて膝の周辺が腫れたり、熱を持ったりします。膝に水がたまる事により膝を曲げると張って重くだるくなります。膝の変形が目立ち、膝に力のかかる動きをすると、コツコツやゴリゴリといった異音を自覚します。「膝が完全に曲げられない」「正座ができない」「階段の上り下り、とくに下りで膝が痛む」「膝に水がたまる」等のような症状が現れます。 【重度】 軟骨や半月板がほとんどなくなり、骨がむき出しになって、骨と骨が直接触れあうようになります。膝関節の変形も進行し、痛みも強くなります。日常生活に支障が起きるほどの痛みになります。そのため、買い物や仕事や旅行などの活動が思うようにできなくなり、活動範囲が狭まります。高齢者では家の外に出ない生活が続くと痴呆症状が現れる人もいます。骨の変形が相当進むので外見的にも関節の変形が目立ち、O脚(ガニ股)となります。「じっとしていても膝が痛む」「膝の曲げ伸ばしが難しい」「歩くときに膝が横揺れする」「歩行困難」等の症状が現れます。 変形性膝関節症の検査はどのような検査を行うのか? 【X線撮影】 膝の骨の変形の具合を調べます。骨と骨の関節部分は何も写りませんが、この関節の隙間が狭いほど関節軟骨がすり減っているという事になります。 【関節液検査】 膝に炎症が起きて腫れている場合、注射器で関節液を抜き取りその性状により病気の判定をします。変形性膝関節症では、黄色透明の関節液が排出されますが、リウマチや関節炎では、黄色混濁した関節液が出ますので鑑別診断ができます。 【MRI検査】 関節軟骨、半月板や骨内の病変の有無を調べます。変形性膝関節症が進行すると、半月板が痛んで断裂したり、骨内に骨のう腫という穴が開いたりして痛みの原因となります。また、膝関節の大腿骨内顆骨壊死が発見されたりします。 【血液検査】 関節リウマチではCRPやリウマチ因子が陽性となる事が多いですが、変形性膝関節症では通常CRPやリウマチ因子は陰性です。 変形性膝関節症の治療はどのようなものがあるのか? 変形性膝関節症の治療の1つとして肥満の人には体重を軽くするように指導するとともに大腿四頭筋の筋力強化、温熱療法が勧められます。変形性膝関節症は進行度により治療が行われます。整形外科での治療は主に保存療法(リハビリ)と手術療法です。 保存療法(リハビリ) 症状が軽い場合には痛みどめの内服薬や外用薬を使った痛みを軽減する薬物療法が行われます。関節内で炎症が起きると痛み物質が発生し、滑膜が刺激されてさらに炎症が進むことによる悪循環に陥るため、この悪循環を断ち切るために鎮痛剤の処方が行われます。 そして、痛みを起こさせないようにするために重要なのが運動療法になります。膝関節を支える筋肉を鍛えることにより、膝がしっかり安定して関節への負担が減ります。また、膝を動かすことにより血行が促進され、関節液中の痛みを起こす物質が血中に吸収されて減っていきます。さらに運動によって肥満が改善され、膝への負担が軽減されます。 次に軟骨や関節液の重要な成分であるヒアルロン酸を潤滑成分として注射して軟骨表面の保護を行う治療があります。同様に注射治療の1つに炎症を強力に抑え込み、鎮痛効果も高いステロイドの注射があります。しかしステロイドの頻繁の使用は軟骨や靭帯を弱くしてしまうので2カ月から3カ月に1回の注射が安全とされています。 手術療法 上記の一般的な保存療法に抵抗し、軟骨破壊が内側に偏しているような時は高位脛骨骨切り術という手術療法が行われます。内反変形を矯正して、内側にかかる荷重を正常な軟骨や半月板が残っている外側の関節に分散させる手術です。手術後は自分自身の関節が温存されるため、可動域が改善されスポーツなどの重労働にも耐えられます。また、時間の経過とともに筋力が増強し関節機能が改善することがこの手術の特徴となります。 高度の関節破壊のある場合には人工膝関節置換術という手術が行われます。痛みのある片側だけを置き換える片側置換術と関節面全体を金属に置き換える全置換術があります。手術後は翌日から数日で立ったり歩いたりするリハビリが始まり2週から4週程度で退院し、比較的速やかに日常生活に戻る事が出来ます。 注目されている最新の治療法があります!! 近年再生医療の分野が医学界ではめざましい進歩をあげておりますが、この再生医療を応用した治療が変形性膝関節症にも治療適応されています。 再生医療も治療の選択の1つです。再生医療とはこちらを参照ください。 変形性膝関節症に対する再生医療分野の治療は脂肪幹細胞と多血小板血漿(PRP)を用いた治療になります。脂肪幹細胞を用いた治療ではご自身のお腹や太ももの皮下脂肪を吸引し、幹細胞を採取します。採取した幹細胞を培養し関節内に投与します。これにより関節の炎症を治めるだけでなく関節軟骨の変形を抑えたり痛んだ軟骨の修復や再生を促します。 多血小板血漿(PRP)を用いた治療とは自身の血液から特殊な技術で血小板が多く含まれる血漿を取りだし、膝関節内に注入する治療法で患者さん自身が持つ修復力をサポートする治療法です。自分の血液ですので副作用もありません。 膝関節症の患者さんの多くが訴える膝の内側の痛みについて、骨の構造や関節の機能、膝関節症とは何かについて説明してきましたが、膝関節症は原因の90%が明らかになっていない疾患です。 しかし変形性膝関節症の治療法の選択肢も増えてきています。ご自身のライフスタイルや症状に合った治療を選択していきましょう。変形性膝関節症や再生医療についてさらに詳しく知りたい時には専門医に話を聞いてみましょう。 お近くに再生医療についての専門医がいない方へ さかもとクリニックは、第二種・第三種再生医療提供計画を厚生労働省に提出し受理された厚生労働大臣許可医療機関です。当院では来院前でも「メール相談」を受付けています。どうぞ事前にご相談ください。 以上、ひざの内側が痛むのなら変形性膝関節症かもしれない!についてご説明させて頂きました。参考になれば幸いです。 メール相談・お問い合わせフォームはコチラ 監修:リペアセルクリニック大阪院 膝の痛みに関連する記事はこちら 膝の痛みと腫れが突然出た!考えられる原因は? 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最終更新日:2023.09.04