成長期に発症!オスグッドシュラッター病が大人になって再発するケース
目次
オスグッド(オスグッドシュラッター病)とは
オスグッドシュラッター病は、成長期にある子供に多く見られる病気です。特に、成長期の年代である小中学生で、バスケットボールやサッカーなどのスポーツを日ごろから行っている場合に発症リスクが高くなります。
成長期が終わると、オスグッドシュラッター病の発症リスクは大幅に低下します。また、発症したオスグッドシュラッター病についても、成長期が終わるにつれて症状が快方に向かいます。
しかし、重度のオスグッドシュラッター病の場合だと、後遺症を引き起こすリスクについて考慮する必要があります。オスグッドシュラッター病における骨や軟部組織の成長異常などを引き起こしている場合、成長が終わり大人の体格になった後でもスポーツなどで膝に大きな負荷をかけた際に痛みなどの症状が出る可能性があるのです。
いわゆる「オスグッド後遺症」と呼ばれる症状です。
また、子供のころにオスグッドシュラッター病であると診断されていなくても、大人になってからオスグッド後遺症であると診断されるケースも存在します。
オスグッドの発症時期
オスグッドシュラッター病の発症期は、12歳前後の成長期に該当する期間です。この時期は骨の発達に対して軟部組織の発達が遅れることで太ももの筋肉が固くなり、剥離を起こすことで炎症と痛みの症状が現れます。
そして、成長期の終了とともに症状が回復し、早目に治療を開始することで影響は最小限に抑えられます。しかし、子供のころの症状と大人になってからの膝の使い方次第では、成人後、大人になってからオスグッドシュラッター病が再発する可能性があります。
オスグッドの原因となりやすい運動
オスグッドシュラッター病は、基本的にどんな運動でも発症する可能性が考えられます。しかし、そのメカニズムの関係上、とくに発症しやすい(好発)スポーツがいくつか存在します。
- サッカー
- バレーボール
- バスケットボール
- バドミントン
- 陸上競技
これらのスポーツは「ダッシュ」「ジャンプ」など、膝に負担のかかりやすい動きが多く取り入れられているスポーツです。そのため、部活動や習い事などでこれらのスポーツに取り組んでいる子供に発症しやすい病気であるといわれています。
オスグッドが大人になって再発する原因とは?
オスグッドシュラッター病は、一般的に成長期の終わりとともに痛みが回復し、早期に治療を開始すれば影響を最小限に抑えられます。
しかし、子供の頃の症状と、大人になってからの膝の使い方によっては、成人後に再発する可能性があります。
子供の頃にオスグッドシュラッター病を発症したと診断されていなくても、実際には症状が現れていたことで、大人になってから初めてオスグッドシュラッター病の存在を知るケースも少なくありません。 大人になってからオスグッド後遺症が再発する理由には、大きく分けて2つの原因が考えられます。
体の動かし方に問題があるケース
骨などに問題はなくても、体の使い方に問題があるために発症するケース。
器質的な問題
子供の頃のオスグッドシュラッター病で発生した骨などの組織異常が、大人になってから問題になるケース。 大人になってからオスグッド後遺症を発症する原因は、膝に大きな負担をかけていることが大きな要因です。
オスグッド後遺症にならないためには?
大人になってからオスグッド後遺症を発症する原因は、膝に大きな負担をかけていることが大きな要因です。
オスグッド後遺症を発症しないようにするためには、オスグッドシュラッター病を発症し、完治した後も再発しないようにストレッチを行うなど、オスグッドシュラッター病の改善法を実施し続けることです。
オスグッドシュラッター病の治療において医師からストレッチなどについて指導されると思いますので、痛みが無くなった後もしっかりと継続してください。
どうしても痛みが改善されない場合には、器質的な要因が関係している可能性もありますし、手術が必要になるケースも少なくありませんので、医療機関を受診し、専門医に相談するようにしましょう。
成長痛とオスグッドの違いは?
成長痛は、病気というよりも「症状」です。成長痛は、体が未発達な状態で活発に運動することによって負荷がかかり、痛みの症状を引き起こすという説がありますが、医療機関を受診しても具体的な原因が判明しません。
ですから、子供が痛みを訴えても具体的な原因が不明な場合に「成長痛」であると判断することがあります。この成長痛は、体の成長が運動量に十分追いつくことで症状が落ち着きます。
このように、オスグッドシュラッター病と成長痛は症状と好発時期の共通点があり、どちらかを発症した際にもう片方であると勘違いしてしまうケースも珍しくありません。
成長痛をオスグッドシュラッター病と間違えても医療機関で検査を受ければわかることなのですが、問題は逆のパターン、つまり「オスグッドシュラッター病を成長痛であると勘違いする」ケースです。
なぜ問題なのか…というと、オスグッドシュラッター病であった場合、治療が遅れるからです。また、オスグッドシュラッター病ではなかったとしても若年性のリウマチや白血病、感染症などの病気が原因で痛みが出ていることがあります。
病気であった場合は、早期に適切な治療を行う必要がありますが、「きっと成長痛だろう」と素人判断をしてしまうと、しかるべき検査を受ける機会を逸してしまうのです。
オスグッドの治し方・リハビリ方法について
オスグッドシュラッター病ではどんなリハビリをするのかについてご紹介します。
十分な休養
まずは「十分な休養」を確保することが第一です。
特に部活動でスポーツに取り組んでいる場合、数か月はスポーツから離れる必要があるケースもあります。
オスグッドシュラッター病になってからも膝に負担をかけてしまうと、完治に時間がかかったり、後遺症を発症するリスクを抱えることになるからです。
柔軟性の改善
次に「柔軟性の改善」を行います。
オスグッドシュラッター病は成長期における軟部組織の成長の遅れによって筋肉が固くなってしまうことが大きな要因ですから、太もも前面の筋肉の柔軟性を確保することによって、症状を改善することに繋がります。
また、膝の動作を確保するために、足首や骨盤の柔軟性を確保することも必要になります。
筋力の確保
次は「筋力の確保」です。
太もも前面の筋肉が不均衡だと、膝の前面にかかるストレスが増大します。
また、太ももの筋肉の筋力不足も同様にストレスの原因となり、負担をかけてしまいますから太ももの筋力を向上させるためのトレーニングを行います。
このとき、必要に応じて電気刺激などの器具が用いられることもあります。
動作の改善
最後に「動作の改善」です。
重心が後方に移動することによって、太もも前面の筋肉や膝の前面に大きく負荷のかかる動作に変化してしまい、このままでは症状の再発を促してしまう可能性もあります。ですから、骨盤を前に倒した前方重心に導く動作をトレーニングします。
特に、部活動などでスポーツに取り組んでいる場合、再発や後遺症のリスクなどを考慮すると、このリハビリは重要な意味を持つことになります。
症状によって手術が必要な場合もある
オスグッドシュラッター病は、症状の強さによって治療を行いながらスポーツを継続できるケースもありますし、長期間スポーツから離れなければならないケースもあります。
また、手術を必要とするケースもあります。
オスグッドシュラッター病の症状の程度にもよりますが、手術を行わなければ後遺症が残る可能性もある病気であることを、本人や家族が自覚することが必要です。
オスグッドの予防にはサポーターが有効
オスグッドシュラッター病の予防は、膝への負担を軽減することが大切になります。また、既にオスグッドシュラッター病を発症した場合も足の負担を和らげる膝のサポーターを装着することで症状を緩和することができます。
オスグッドシュラッター病になると膝の痛みを覚えるお子さんが多く、日常生活やスポーツに大きな支障が出ますが、サポーターを装着することでその痛みを軽減させる可能性があるので、試してみる価値は十分にあるといえます。
ただし、サポーターを装着することがオスグッドシュラッター病を治すことを手助けするというわけではありません。あくまでも膝の負担を減らし、痛みなどの症状を緩和する目的で使用します。ですから、正しい付け方をすることが必須です。
サポーター選びには医療機関を活用しましょう
サポーターは、付け方を誤ると症状を悪化させる可能性もあります。できるだけ医療機関を受診し、症状に合わせた装着方法や、サポーター選び、種類について助言を得るようにしてください。また、痛みがひどい場合は当然ですが医療機関で診てもらう必要があります。
注意頂きたいのは、サポーターを装着することによってオスグッドシュラッター病の痛みが緩和できてしまうと、つい無理をしてしまい、治りが悪くなったり、後遺症を発症しやすくなる可能性が出てきます。この病気は、発症年齢が低いため、周囲の大人が理解して対処してあげるべきでしょう。
オスグッドシュラッター病を発症した場合、サポーターの恩恵を過信せず、症状の緩和の意味が大きいということを念頭においてください。
- ・サポーターの活用
- ・予防に有効
- ・発症後は痛みの緩和
- ・治療にはならない
- ・できるだけ医療機関で症状に合わせた選定や、装着方法など助言を得る
サポーターの種類
オスグッドシュラッター病のサポーターには、大きく分けて「膝を覆うタイプ」と「ベルト型タイプ」の2種類があります。
膝を覆うタイプ
安定感があり、ズレにくいので使いやすいです。ただし、きつく締めすぎるタイプの場合、膝の動きが制限されてしまうというデメリットがあります。
ベルト型のタイプ
膝の動きが制限されるデメリットは少ないです。着脱も容易であり手軽に使える一方で強く締めないとズレてしまうリスクが高くなりますが、そうなると血流を阻害する点が気になります。
適切なサポーターを選ぶためにも、まずは痛みがある場合は、整形外科を受診し、医師の診察を受けることをお勧めします。
まとめ
もし、オスグッドシュラッター病を発症してしまった場合には、痛みがあるうちはスポーツを中止する必要があります。痛みがなくなればスポーツに復帰することが可能ですが、発症後3~6か月程度はスポーツの実施によって症状が強くなる傾向にあります。
オスグッドシュラッター病は成長期における一過性の病気であるとされていますから、成長期の終了とともに多くの場合で治癒する病気です。
しかし、どうしてもスポーツから離れたくない場合には、スポーツ実施前後のストレッチ、スポーツ実施時にはサポーターやテーピングで膝を固定、実施後にアイシングをするなどのケアを行ってください。
監修:リペアセルクリニック大阪院