変形性膝関節症は水泳で平泳ぎできる?膝に負担をかけない泳法を解説【医師監修】
公開日: 2019.09.02変形性膝関節症の痛みを和らげるリハビリとして、膝に負担の少ない「水泳」が推奨されています。
しかし、泳ぎ方によってはかえって膝の痛みを悪化させる可能性もあります。
本記事では、変形性膝関節症のリハビリとしての水泳について、避けるべき泳法と推奨される泳法について詳しく解説します。
- 変形性膝関節症で平泳ぎが推奨されない理由
- 膝に負担の少ない泳法
- 水泳が膝のリハビリに効果的な3つのメリット
膝の痛みと付き合いながら効果的な運動法を探している方は、ぜひこの記事を参考にしてください。
また、変形性膝関節症の痛みにお悩みの方は、先端医療である再生医療による治療も選択肢の一つです。
当院リペアセルクリニックの公式LINEでは、変形性膝関節症に対する再生医療の治療法や症例を配信しています。
「変形性膝関節症を早く治したい」「リハビリの効果があまり見られない」という方は、ぜひご覧ください。
目次
変形性膝関節症は水泳で平泳ぎできる?
変形性膝関節症のリハビリとして水泳は有効ですが「平泳ぎ」はキック動作が膝に大きな負担をかかるため、基本的には推奨されません。
平泳ぎが推奨されない理由
- キックの際に膝を大きくひねる動作が伴う
- 膝の内側の靱帯や半月板にストレスがかかる
- 関節の炎症や痛みを引き起こしやすい
- 深く膝を曲げて力強く蹴り出す「かえる足」自体が膝の負荷が大きい
上記のように平泳ぎによる水泳は、膝への負担が大きいため、変形性膝関節症と診断された方がリハビリで水泳を行う場合は、平泳ぎは避けた方が良いです。
また、泳法によっては、膝だけでなく股関節への負担も大きく、股関節を痛める水泳選手も少なくありません。
以下の記事では、水泳で股関節が痛くなる原因や治療法を解説しているので、合わせてご覧ください。
変形性膝関節症の水泳で膝に負担をかけない泳法
本章では、変形性膝関節症の方が膝に負担をかけない泳法として、以下の2つをご紹介します。
それぞれのポイントも解説しますので、ぜひ参考にしてください。
背泳ぎ
背泳ぎは、膝への負担が少ない泳法であり、変形性膝関節症のリハビリとしても効果的に取り組めます。
項目 | 詳細 |
膝に優しい理由 |
平泳ぎのような激しい”ひねり”の動作がない。 キック時の膝の曲げ伸ばしの角度が小さく、関節へのねじれストレスが生じにくい |
泳ぐ際のポイント | 無理のないリラックスしたフォームで、ゆっくりと泳ぐことを心がける 膝を必要以上に曲げすぎず、股関節から脚全体を使って、しなやかに水を捉えるイメージでバタ足をする |
背泳ぎはリラックスしてゆったりとした気持ちで泳げるため、膝への負担軽減と合わせて、特に中高年の方のリハビリにも取り組みやすい泳法といえます。
水中ウォーキング
泳ぐのが苦手な方や膝の痛みがあり泳ぐのがまだ不安という方は、プールの中を歩く「水中ウォーキング」がおすすめです。
水中ウォーキングのメリットは、以下の通りです。
メリット | 詳細 |
膝への負担が軽い | 水の浮力によって、膝にかかる体重の負荷が軽減される。 |
筋力の維持・向上 | 水の抵抗を受けながら脚を動かすため、陸上を歩くよりも効率的に太ももやお尻の筋肉が鍛えられる。 |
関節の柔軟性アップ | 水中でゆっくりと体を動かすこと自体が、硬くなりがちな膝関節の可動域を維持し、関節が固まってしまうのを防ぐのに役立つ。 |
痛みの緩和効果 | 水の適度な温度や水圧・浮力には、関節の炎症を和らげ、痛みを軽くする効果が期待できる。 運動による血行促進も痛みの軽減につながる。 |
無理に長時間歩く必要はなく、最初は20分~30分程度を週に数回から継続してみましょう。
変形性膝関節症のリハビリに水泳が推奨されている理由
水泳が変形性膝関節症のリハビリに適しているのか、その理由を以下のポイントから解説していきます。
変形性膝関節症のリハビリとして推奨されている水泳ですが、陸上の運動とは何が違うのかわからない方も多いでしょう。
理由を知ることで、リハビリへの取り組み方も変わるかもしれません。
浮力によって膝関節への負担が少ない
水泳が変形性膝関節症のリハビリに推奨される大きな理由は、水中では「浮力」の働きによって体重が軽く感じられ、膝関節にかかる負荷や地面からの衝撃が減少するためです。
例えば、水深が胸の高さほどあるプールの中では、膝にかかる体重の負荷は軽くなります。
浮力のおかげで、膝関節への負担や衝撃が抑えられ、膝に痛みがある方でも痛みを悪化させる心配をせずに運動を続けることが可能です。
水の抵抗による全身の筋力向上が期待できる
水泳は、水の抵抗を全身で感じながら体を動かすため、膝に負担をかけることなく全身の筋力を効率的に鍛えることが可能です。
水の抵抗による筋力向上の効果
- 全方向からの抵抗で効率的に全身の筋肉を強化
- 膝を支える太ももやお尻の筋肉を鍛え、関節を安定させる
- 腹筋や背筋など体幹の筋力もバランスよく向上
水の抵抗は、動きの速さに応じて変化するため、体力やその日のコンディションに合わせて、無理なく運動を継続できます。
膝関節の柔軟性向上が期待できる
水中での運動は、水の浮力によって筋肉の緊張が自然と和らぎます。
また水圧や水温によって血行も促進されるため、硬くなりがちな膝関節の柔軟性を高め、動きをよりスムーズにする効果が期待できます。
水中では陸上よりも痛みを感じにくく、関節を動かしやすいという特性があるのが特徴です。
特にリハビリの初期段階で行う、関節の動きを良くするための可動域訓練にも適しています。
変形性膝関節症の水泳に関するよくある質問
本章では、変形性膝関節症の水泳に関するよくある質問に回答していきます。
正しい知識を身につけて、安心して水中でのリハビリに取り組みましょう。
平泳ぎは膝に悪いですか?
平泳ぎによる動作は膝への大きな負担になるため「膝に悪い」です。
「かえる足」と呼ばれる平泳ぎで行われるキックは、膝を深く曲げた状態から、足先を外側に向けて、内側に絞り込むようにして水を強く蹴ります。
一連の動作の中で、膝関節には「ひねり」の力が強く加わります。
ひねりのストレスは、膝の内側にある靱帯や、クッションの役割を果たしている半月板に大きな負担がかかるのです。
水泳膝とは?
水泳膝とは、主に平泳ぎのキック動作を繰り返し行うことによって起こる、膝の内側に痛みや腫れが生じるスポーツ障害です。
平泳ぎでは、両脚で水を挟むようにして強く蹴り出す動作を繰り返す動きが特徴です。
このときに膝の内側には、外側に開こうとする力と、内側に絞り込もうとする力が同時にかかり、大きなストレスが集中します。
何度も繰り返すことで、膝の内側にある靱帯やその周りの組織が損傷を受け、炎症を起こしてしまうのです。
変形性膝関節症を早く治したい方は再生医療を検討しよう
水中での運動は浮力によって膝への負担が少なく、水の抵抗で効率的に筋力を鍛えられ、関節の柔軟性も向上する有効なリハビリです。
しかし、「平泳ぎ」は膝をひねるキック動作が関節に大きな負担をかけるため、症状を悪化させる可能性があり推奨されません。
「背泳ぎ」や「水中ウォーキング」といった膝に優しい方法を選ぶことが重要です。
また、変形性膝関節症のリハビリに疲れてしまった方や、運動をしてもなかなか膝の痛みが改善しないとお悩みの方もいらっしゃるかもしれません。
水泳などのリハビリは、痛みの管理や機能維持にとても大切ですが、すり減ってしまった軟骨を元に戻すものではありません。
再生医療は、患者様ご自身の血液や脂肪から採取した成分を活用し、損傷した組織の修復を促し、炎症を抑えることで痛みの根本的な改善を目指す治療法です。
手術や入院をせずに治療が可能なため、早期回復や社会復帰を目指したい方は、ぜひ当院リペアセルクリニックはご相談ください。

監修者
坂本 貞範
Sadanori Sakamoto
医療法人美喜有会 理事長
「できなくなったことを、再びできるように。」
人生100年時代、皆様がより楽しく毎日を過ごせることの
お手伝いができれば幸甚の至りでございます。
略歴
1997年3月関西医科大学 医学部卒
1997年4月医師免許取得
1997年4月大阪市立大学(現大阪公立大学)医学部附属病院 勤務
1998年5月大阪社会医療センター附属病院 勤務
1998年9月大阪府立中河内救命救急センター 勤務
1999年2月国立大阪南病院 勤務
2000年3月野上病院 勤務
2003年3月大野記念病院 勤務
2005年5月さかもとクリニック 開設
2006年12月医療法人美喜有会設立 理事長就任
2019年9月リペアセルクリニック大阪院 開設
2021年5月リペアセルクリニック東京院 開設
2023年12月リペアセルクリニック札幌院 開設