水泳肩が治らない?気付かずに悪化する理由や治療法について解説
公開日: 2019.09.02更新日: 2025.02.04
水泳をやっている人の中で「水泳中に肩が痛い」「腕が上がりづらい」という場合は「水泳肩」の可能性があります。
ただの筋肉痛や疲労だと判断して練習を継続すると大きなケガにつながる可能性があるので注意が必要です。
本記事では「水泳肩の主な症状や原因」について詳しく解説します。
水泳肩に気付かないまま放置してしまうと選手生命に関わるケガや病気になるリスクが高まります。
治療方法についても解説しているので「水泳中の肩の痛み」や「腕が上がりづらい」症状がある方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
水泳肩とは?主な症状や原因
水泳肩とは、クロールやバタフライなど肩を大きく動かす泳法を繰り返したことによって、肩関節や肩周辺の筋肉に炎症や断裂が生じるスポーツ障害のことです。
以下では、水泳肩の主な症状や原因について詳しく解説します。
水泳肩の主な症状
水泳肩の主な症状は、以下の通りです。
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初期段階では、水泳や腕を上げる際に肩関節に違和感を覚えることが多いです。
症状が進行すると肩関節や肩周辺の筋肉に痛みが生じ、腕が上がりづらいなど可動域が制限されるようになります。
痛みが出てからも無理にトレーニングを継続していると、肩腱板が断裂する危険があるため注意が必要です。
水泳肩になる主な原因
水泳肩になる主な原因は、過度な練習によって継続的に肩関節に負荷がかかっていることです。
肩関節を構成している肩腱板へのダメージが蓄積されて血行が悪くなり、炎症を起こします。
特にクロールやバタフライは肩を大きく動かす泳法は、肩関節の可動域をフル活用するため、水泳肩になりやすいです。
水泳肩に気付かないまま悪化している可能性
水泳肩だと気付かずに肩の違和感や痛みを我慢して練習することで、知らぬ間に症状が悪化している可能性があります。
肩関節の負担が大きいクロールやバタフライなどの練習はもちろん、日常生活の動作でも肩への負担が蓄積されていきます。
ただの筋肉痛だと思って治療をしないでいると症状は悪化し、肩腱板が断裂する可能性があるため注意が必要です。
選手生命を守るためにも肩の違和感や痛みがある場合は、早めに医師へ相談することをおすすめします。
水泳肩の検査
水泳肩の診断には、主に「身体診察」と「画像検査」が適応されます。水泳肩では、症状が進むと肩関節周辺に左右で差が生じるなど、外見的な特徴が現れることがあるためです。
そのことから、身体診察では、肩関節に生じるサインを確認します。
また、水泳肩は画像検査においては、異常が見つからないこともありますが、レントゲン検査などで肩関節やその周辺に異常がないかどうかを確認します。
MRI検査では、肩関節の内部に生じた病変や腱板の断裂などを確認することも可能です。
水泳肩の治療方法
軽度〜中等度の水泳肩の場合「保存療法」での治療が多く、肩腱板断裂まで進行するなどの重度なものは「手術療法」が選択することが多いです。
それぞれの治療方法について詳しく解説します。
保存療法
競泳選手の水泳肩は、特に肩関節を動かしたときに痛みが出やすく、水泳する動作にも少なからず影響を及ぼしますが、軽度の水泳肩であれば「保存療法」で症状が回復することがあります。
保存療法の場合、まずは肩関節の安静を確保し、症状の進行を予防しますが、既にある程度、症状が進んでいる場合は肩関節や、その周辺に炎症を起こしている可能性があります。
その場合は、消炎鎮痛剤の内服や、湿布薬の使用で炎症に対処します。
また、生じている炎症が強く、痛みが強く出ている場合には、ステロイド剤の関節内注射を用いて炎症を抑える治療が選択されます。
手術療法
水泳肩の症状が進行すると肩腱板が断裂する可能性があり、手術療法による治療の検討が必要です。
肩腱板が断裂すると肩を動かす時の痛みだけでなく、肩に力が入らなくなって腕が上がらなくなる可能性もあります。
そのため、断裂した肩腱板をつなぎ合わせる手術をし、術後のリハビリを経て回復を目指します。
手術は、内視鏡を用いた傷や痛みが少ない関節鏡視下手術が主流です。
水泳選手の肩の故障は再生医療で治療できる
水泳肩の従来の治療法は、保存療法と手術療法が中心となっていましたが、現在では「再生医療」という先端医療が実用化されています。
再生医療では、患者さんの幹細胞を培養して増やした後、患部に注射することで肩関節に生じている痛みの症状を軽減します。
また、水泳肩の症状が悪化し、肩腱板が断裂している場合も再生医療での幹細胞治療で肩腱板が再生されることもわかっています。
先端医療である再生医療は手術をしないため、術後の後遺症や関節拘縮のリスクが少ない治療方法です。
「選手生命を守りたい」「肩を早期に治して復帰したい」という人は、ぜひ再生医療による治療を検討してみましょう。
【まとめ】水泳肩を放置すると症状が悪化して肩腱板断裂のリスクがある
水泳肩は、競泳選手や水泳選手が肩を酷使する泳法を繰り返すことで、肩に炎症や損傷が生じる症状です。
放置すると選手生命にも影響を及ぼす「肩腱板断裂」の可能性があるため、適切な診断と早期治療が求められます。
従来であれば、保存療法や手術が一般的な治療方法でしたが、近年では再生医療が新しい治療法として注目されているので、早期復帰も目指せます。
水泳肩を発症した場合は、速やかに医療機関を受診し、適切な治療を受けるようにしましょう。

監修者
坂本 貞範
Sadanori Sakamoto
医療法人美喜有会 理事長
「できなくなったことを、再びできるように。」
人生100年時代、皆様がより楽しく毎日を過ごせることの
お手伝いができれば幸甚の至りでございます。
略歴
1997年3月関西医科大学 医学部卒
1997年4月医師免許取得
1997年4月大阪市立大学(現大阪公立大学)医学部附属病院 勤務
1998年5月大阪社会医療センター附属病院 勤務
1998年9月大阪府立中河内救命救急センター 勤務
1999年2月国立大阪南病院 勤務
2000年3月野上病院 勤務
2003年3月大野記念病院 勤務
2005年5月さかもとクリニック 開設
2006年12月医療法人美喜有会設立 理事長就任
2019年9月リペアセルクリニック大阪院 開設
2021年5月リペアセルクリニック東京院 開設
2023年12月リペアセルクリニック札幌院 開設