肩に力が入らない原因と考えられる疾患について解説!発症のきっかけは?
公開日: 2019.10.16更新日: 2025.03.31
肩の痛みや、肩に力が入らない症状は日常にも大きな影響を及ぼします。
思うように力が入らないことは日常生活に不便をもたらし、予想以上のストレスとなります。
そこで今回は、肩に力が入らない症状から考えられる疾患や、発症のきっかけについて解説します。
目次
肩に力が入らない状態を引き起こす主な原因・疾患
肩に力が入らなくなる原因として、主に以下の4つの疾患が考えられます。
それぞれの疾患の症状について詳しく説明していきます。
肩腱板損傷
肩腱板損傷は、肩を酷使するスポーツや外傷によって発生する怪我です。
肩腱板を損傷する主な原因には次のようなものがあります。
- テニスや野球などのスポーツ
- 洗濯ものを干すなどの反復動作
- 転んだ、肩をぶつけたなどのイレギュラーなアクシデント
衝撃を受けた後に力が入らない症状が現れた場合、そのアクシデントが原因である可能性があります。
日常でそのような反復動作をしない方であっても、老化が進むと肩甲骨の突起部分(肩峰)に骨棘が形成されます。
この骨棘が腕を動かしたときに腱板に繰り返し接触することで炎症が生じ、徐々に腱板が摩耗・損傷していくことがあります。
肩腱板断裂
肩腱板が断裂してしまうと肩に力が入らない症状が現れます。さらに、肩に強い痛みが生じるケースも見られます。
肩腱板断裂の原因は肩を強く打った、肩をぶつけたなどの外傷で、肩腱板損傷と同様です。また、年齢を重ねると自然に腱板が切れてしまうケースもあります。
四十肩、五十肩と勘違いされやすいので、痛みが長引く場合は病院に行って詳しい検査をしましょう。
肩関節周囲炎(五十肩)
肩関節周囲炎は、一般的に五十肩と呼ばれる疾患です。肩関節の滑膜や関節包に炎症が起き、肩が硬くなることが特徴です。
肩関節周囲炎は、年齢を重ねると発症することで知られており、若年層の発症は少ないです。
年齢を重ねて肩に力が入らない症状を発症した場合、五十肩の可能性もあります。
五十肩は軽く考えられがちですが、痛みや力が入らない症状が続く際には医師に相談しましょう。
変形性肩関節症
変形性肩関節症は、肩関節の軟骨がすり減って骨が変形し、痛みや可動域制限が引き起こされる疾患です。
変形性肩関節症は肩の酷使や加齢、軟骨や周囲の組織の損傷によって発症します。
肩に力が入らない症状もありますが、多くは肩の痛みや動きの制限などの症状があります。また、肩を動かすときにゴリゴリとこすれるような音が出るのも特徴のひとつです。
肩の痛みは⼿術しなくても治療できる時代です。
肩に力が入らなくなるきっかけ
肩に力が入らなくなるきっかけは、主に以下の3つが考えられます。
- 肩の使いすぎ
- 事故による負傷
- 転倒
肩の使いすぎによって力が入らなくなるケースもあります。その場合は、スポーツを休止する必要があるかもしれません。
転倒した際に肩を打撲して肩に力が入らなくなるほか、手をついて肩を痛める場合もあります。
スポーツをしていなくても、突然肩に力が入らなくなることがあります。日常生活で肩に負担をかけるような動作をしていないか、振り返ってみましょう。
肩に力が入らない状態を防ぐための予防策
肩に力が入らない状態を防ぐためにできる対策を紹介します。
- スポーツの前に準備運動をする
- 適度に休憩を取る
- 正しい歩き方で転倒を防止する
スポーツの前に準備運動をして筋肉をほぐし、肩への負担を和らげましょう。また、適切な休憩を取り、肩の使いすぎを防ぐことが大切です。
スポーツをしない方でも、日常生活での転倒に注意し、肩の負傷を予防することが重要です。
肩に力が入らないときに病院を受診すべきタイミング
以下の症状があった場合は、病院を受診してください。
- 急に肩に力が入らなくなった
- 肩の痛みが強い
- 腕や手にしびれがある
- 日常生活に支障がある
突然肩に力が入らなくなった場合、怪我や炎症の可能性があります。また、日常生活に影響があるほど痛みが強い場合も病院に行ってください。
ほかにも、肩に力が入らない症状が長期にわたって続く場合や、症状の悪化が見られた場合には、早めに医療機関を受診しましょう。
肩に力が入らない症状に対する治療法
肩に力が入らない症状に対する治療法は、主に以下の4つです。
治療法の特徴などについて、詳しく解説します。
投薬治療
関節内注射や、消炎鎮痛剤などの内服が行われます。
また、トリガーポイント注射と呼ばれる、痛みがある部位に局所的に行う注射を検討される場合もあります。
筋肉が緊張しているケースでは筋弛緩剤が処方されますが、筋弛緩剤は副作用が出る場合がありますので注意が必要です。
薬物療法は、一時的に痛みや動かしにくさを軽減させる効果がありますが、完治を目指す治療法ではありません。
リハビリテーション療法
リハビリテーション療法では、次のような取り組みで肩に力が入らない症状の改善を目指します。
- 肩の可動域を広げる運動
- 肩関節の安定性を向上させるための筋力トレーニング
- 日常生活での肩の動かし方の指導
これらのトレーニングで肩の筋力を高め、日常的な負荷に耐えられる肩を作ります。
肩のトレーニングでは、かける負荷と運動量が重要です。無理なトレーニングを行うと効果が減ってしまうほか、怪我の悪化につながります。
専門家の指導の下、適切なリハビリを続けましょう。
手術療法
投薬治療やリハビリテーション療法の効果が感じられなかった方や、症状が重い方には手術療法が検討されます。
症状の程度によって、関節鏡手術や直視下手術などの方法が選ばれます。関節鏡手術は体に小さな穴を開けて手術する方法で、身体への負担が少ないのが特徴です。
大きな損傷の場合は直視下手術が選択されるケースがあります。
再生療法
肩の疾患に対しては、再生医療という選択肢もあります。
再生医療のひとつ「幹細胞治療」では、患者さまから採取・培養した幹細胞を腱板の損傷部位に投与します。
幹細胞治療は腱板の再生を促し症状の改善を目指す治療法です。
患者さま自身の幹細胞を利用するため、拒否反応やアレルギーが起こる可能性が低いのが特徴です。
当院「リペアセルクリニック」では肩腱板損傷に対する治療として、再生医療を行っています。
肩の痛みや力が入らない症状にお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
【まとめ】肩に力が入らない状態は放置せずに医療機関を受診して自分にあった治療法を見つけましょう
肩に力が入らない症状は、肩腱板損傷などの重大な怪我を負っているケースがあります。
痛みが強い、症状が長引く際は、医療機関を受診して適切な治療を受けましょう。
リハビリテーション療法や投薬療法で効果が見られない場合、手術療法が検討されるケースもあります。
また、手術を行わない治療法として、再生医療という選択肢もあります。
再生医療について詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。
肩の痛みは⼿術しなくても治療できる時代です。

監修者
坂本 貞範
Sadanori Sakamoto
医療法人美喜有会 理事長
「できなくなったことを、再びできるように。」
人生100年時代、皆様がより楽しく毎日を過ごせることの
お手伝いができれば幸甚の至りでございます。
略歴
1997年3月関西医科大学 医学部卒
1997年4月医師免許取得
1997年4月大阪市立大学(現大阪公立大学)医学部附属病院 勤務
1998年5月大阪社会医療センター附属病院 勤務
1998年9月大阪府立中河内救命救急センター 勤務
1999年2月国立大阪南病院 勤務
2000年3月野上病院 勤務
2003年3月大野記念病院 勤務
2005年5月さかもとクリニック 開設
2006年12月医療法人美喜有会設立 理事長就任
2019年9月リペアセルクリニック大阪院 開設
2021年5月リペアセルクリニック東京院 開設
2023年12月リペアセルクリニック札幌院 開設