-
- ひざ関節
- 膝部、その他疾患
膝の内側を押すと痛みを感じる症状は、リンパの滞りが原因となることがあります。 ただし、膝の痛みには筋肉や腱の炎症など他の疾患が隠れている可能性もあるため、適切な対処が必要です。 この記事では、リンパ詰まりと膝の内側の痛みの関係や、リンパ詰まり以外の原因について解説します。 膝の内側の痛みでお悩みの方は、ぜひ最後まで読んで適切な対処法を見つけましょう。 膝の内側を押すと痛いのはリンパが原因? 膝の内側を押すと痛む症状について、リンパの滞りが関係するケースと他の疾患が原因のケースがあります。 痛みの原因を正しく把握するために、以下の2つの項目について解説します。 リンパの滞りが原因の場合の症状 膝の内側の痛みで考えられる疾患 これらの知識を身につけて、適切な対処法を選択しましょう。 リンパの滞りが原因の場合の症状 リンパの流れが滞ることで痛みを引き起こしている場合は、以下の症状が現れます。 膝の内側を押すとズキズキとした痛みがある 膝周辺にむくみや腫れがみられる 膝が重だるく感じる 長時間同じ姿勢でいた後に痛みが強くなる 膝の動きがぎこちなく感じる リンパ液が滞ると、老廃物が蓄積され炎症反応が起こりやすくなります。 とくに膝の内側はリンパ節が集中している部位のため、滞りの影響を受けやすい場所です。 膝の内側の痛みで考えられる疾患 膝の内側の痛みは、リンパの滞り以外にも鵞足炎(がそくえん)という疾患が原因となることがあります。 鵞足炎は膝の内側にある鵞足に炎症が起こる疾患で、以下のような症状が特徴です。 歩行時や階段の上り下りで痛みが増す 膝を曲げたり伸ばしたりする動作で痛む 運動後に痛みが強くなる 膝の内側に熱感がある 押すと明確な痛みがある 鵞足炎は繰り返しの運動や膝への負担により発症しやすく、早期の適切な治療が重要です。 痛みが続く場合は、無理をせず早めに医療機関を受診しましょう。 膝の内側でリンパが滞る原因 膝の内側でリンパが滞る原因について、以下の2つが考えられます。 筋肉の収縮運動が十分に働いていない 食生活が乱れている これらの原因を理解して改善を試みましょう。 筋肉の収縮運動が十分に働いていない 筋肉の収縮運動は、リンパ液を押し流すポンプの役割を果たしています。 しかし、以下のような状況では筋肉の収縮運動が十分に働きません。 長時間の座り作業やデスクワーク 運動不足による筋力低下 加齢による筋肉量の減少 足首の動きが少ない生活習慣 ストレスによる筋肉の緊張 とくに下半身の筋肉は重力に逆らってリンパを押し上げる重要な働きがあるため、定期的な運動が必要です。 食生活が乱れている 食生活の乱れは体内の水分バランスを崩し、リンパの流れを悪化させる原因となります。 以下に該当する場合は、リンパ詰まりを引き起こしやすい可能性があるため注意が必要です。 塩分の多い加工食品を頻繁に摂取する 水分摂取量が不足している アルコールを過度に摂取する 糖質や脂質の摂りすぎ 野菜や果物の摂取が少ない とくに塩分の摂りすぎは体内に水分を溜め込みやすくします。 バランスの取れた食生活を心がけて体内の循環機能を正常に保ち、リンパの流れを改善しましょう。 膝の内側を押すと痛いときに医療機関を受診する目安 膝の内側の痛みが続く場合、適切なタイミングで医療機関を受診することが大切です。 以下の症状がある場合は、早めに整形外科を受診しましょう。 痛みが日常生活に支障をきたしている 膝の腫れや熱感が強い 歩行時の痛みが激しい 膝の曲げ伸ばしが困難 安静にしていても痛みがある 痛み止めを服用しても改善しない 運動後に痛みが増す場合や、階段の上り下りで強い痛みを感じる場合は、鵞足炎などの疾患の可能性があります。 また、痛みと同時に膝の変形や著しい腫れがみられる場合は、他の疾患の可能性も考えられるため、速やかに医療機関を受診しましょう。 リンパ詰まりによる膝の内側の痛みへの対処法 リンパ詰まりによる膝の内側の痛みには、日常生活で実践できる対処法があります。 主に以下の3つの方法を継続的に行うことが大切です。 下半身の筋力トレーニング 患部周辺のマッサージ バランスの取れた食生活 これらの方法を組み合わせることで、リンパの循環促進につながります。 しかし、膝の内側が痛む原因がリンパではない可能性も考慮し、早期に医療機関での診断を受けて原因を特定することを優先しましょう。 下半身の筋力トレーニング 下半身の筋肉は、重力に逆らってリンパ液を循環させるポンプの働きを担っているため、下半身の筋力トレーニングが有効です。 主に以下のトレーニングに取り組みましょう。 トレーニング名 実施方法 スクワット 足を肩幅に開き、ゆっくりと膝を曲げて腰を落とす 膝を伸ばす 膝がつま先より前に出ないよう注意する カーフレイズ つま先立ちになってかかとを上げ下げする運動 ふくらはぎの筋肉を意識して行う 足首回し 座った状態で足首をゆっくりと右回り・左回りに回す 筋力トレーニングは、無理をせず痛みのない範囲で継続することが重要です。 膝の内側の痛みが強いときは筋力トレーニングを中止し、安静を優先しましょう。 痛みが軽減し、慣れてきたら徐々に回数を増やすことが重要です。 患部周辺のマッサージ 膝周辺のマッサージは、リンパの流れを直接的に促進します。 心臓に向かって優しくさするように行うことで、血管やリンパ管の収縮力を高め、血液やリンパ液の流れ改善につながります。 以下の手順でマッサージを行いましょう。 ①膝の内側を円を描くように優しくさする ②ふくらはぎから太ももに向けて下から上へさする ③膝裏のリンパ節を軽く押す ④足首から膝に向けて全体的にさする マッサージは入浴後の血行が良い状態で行うとより効果的です。 患部に触れた際に痛みや違和感がある場合は、何らかの疾患が隠れている可能性があるため、マッサージは中止しましょう。 また、専門家ではなく自分で行う場合は、強く押さずに痛みを感じない程度の圧で行うことが重要です。 バランスの取れた食生活 適切な栄養バランスと水分摂取は、リンパの流れを正常に保つために欠かせません。 リンパの流れを改善する食生活のポイントは、以下のとおりです。 積極的に摂取したい食品 効果と理由 水・白湯 1日1.5〜2Lを目安に摂取。リンパ液の粘度を下げて流れを促進 カリウムの多い食品 バナナ・アボカド・ほうれん草など。余分な塩分を排出しむくみを解消 抗酸化作用の高い食品 ベリー類・緑黄色野菜。炎症を抑えリンパの働きをサポート 規則正しい食事時間と適度な運動を組み合わせることで、より効果的なケアができます。 膝の内側を押すと痛いときはリンパ詰まり以外の原因も疑おう 膝の内側を押すと痛む症状は、リンパの詰まり、あるいは他の疾患が原因の可能性があります。 セルフケアでリンパの流れを改善できますが、膝の内側が痛む原因がリンパではない可能性も考慮し、早期に医療機関での診断を受けて原因を特定しましょう。 また、膝の痛みが「変形性膝関節症」や「鵞足炎」などの疾患が原因の場合、再生医療という治療の選択肢があります。 再生医療は他の細胞に変化する能力を持つ幹細胞や、血液に含まれる成長因子の働きを活用する治療法です。 当院リペアセルクリニックでは、再生医療の専門知識を持つ医師が患者様一人ひとりに合わせた治療方針を提案いたします。 再生医療について詳しく知りたい方は、ぜひ当院リペアセルクリニックまでご相談ください。
2025.09.30 -
- アキレス腱
アキレス腱炎による痛みは、日常生活やスポーツ活動に大きな支障をきたす厄介な症状です。 歩行時の違和感から始まり、重症化すると激しい痛みで歩くことさえ困難になる場合があります。 アキレス腱炎を放置すると慢性化して完治までの時間も長くなるため、早期回復のためにも早期受診と適切な治療を受けることが重要です。 この記事では、アキレス腱炎の痛みに対する対処法から医療機関を受診すべき症状まで詳しく解説します。 アキレス腱炎の痛みでお悩みの方は、ぜひ最後まで読んで適切な対処法を見つけましょう。 また、現在リペアセルクリニックでは手術せずにアキレス腱炎の治療ができる再生医療に関する情報をLINEで発信しております。 スポーツ外傷や慢性的な痛みの治療選択肢として、ぜひ登録して再生医療についてチェックしてみてください。 アキレス腱炎の痛みに対する対処法・セルフケア6選 アキレス腱炎の痛みを和らげる効果的な対処法、セルフケアを6つ紹介します。 患部への負担を避けて安静にする 患部をアイシング(冷却)する アキレス腱周辺をストレッチする アキレス腱周辺の筋力トレーニングをする テーピングやサポーターを活用する 消炎鎮痛剤(ロキソニン)や湿布を活用する これらの正しい知識を身につけて、効果的に痛みをコントロールしましょう。 患部への負担を避けて安静にする アキレス腱炎の痛みがある場合は、患部への負担を避けて安静にすることが重要です。 痛みが生じている状態で無理に運動を続けると、炎症が悪化して治癒期間が長引く可能性があります。 ランニングやジャンプなどアキレス腱に負荷のかかる動作は一時的に中止し、日常生活でも可能な限り患部を休ませましょう。 痛みが強い場合は、かかとを上げる中敷きやヒールパッドを使用して歩行時の負担を軽減することも効果的です。 患部をアイシング(冷却)する 炎症による痛みや腫れが強いときは、患部を冷やすアイシングが効果的です。 氷嚢や保冷剤をタオルで包み、アキレス腱を10~15分間冷やします。 直接肌に氷を当てると凍傷のリスクがあるため、必ずタオルなどで包んでから使用しましょう。 ただし、慢性的な痛みの場合は温めた方が良い場合もあるため、症状に応じて使い分けることが大切です。 アキレス腱周辺をストレッチする 痛みが軽減された後に行うアキレス腱の柔軟性を改善するストレッチは、再発予防に役立ちます。 ①階段や段差の端に足の前半分だけを乗せ、壁や手すりに手をついて体を支える ②かかとをゆっくりと下方向に下げ、アキレス腱の伸びを感じながら15秒間キープする ③かかとを上げてつま先立ちの姿勢になり、15秒間その状態を保つ ④元の位置に戻し、②から③を2〜3回繰り返す ストレッチは痛みのない範囲で行い、無理に伸ばそうとしないことが大切です。 継続的に行うことで、アキレス腱とふくらはぎの筋肉の柔軟性が向上し、痛みの改善が期待できます。 痛みが強い急性期に行うと悪化するリスクがあるため、痛みが軽減してから実施しましょう。 アキレス腱周辺の筋力トレーニングをする ふくらはぎの筋力強化は、アキレス腱への負担を軽減し安定性を高める重要な要素です。 痛みが落ち着いてきたら、以下のような筋力トレーニングを開始しましょう。 ①立った状態でかかとを上げ下げする ②10~15回ほど繰り返す 最初は両足で行い、慣れてきたら片足ずつ行うと負荷を上げられます。 痛みが生じる場合は無理をせず、徐々に負荷を上げていきましょう。 テーピングやサポーターを活用する テーピングやサポーターは、アキレス腱への負担を軽減し、痛みをコントロールする有効な方法です。 日常生活では薄手のサポーターを使用し、スポーツ復帰時にはより強固なテーピングを施すなど、場面に応じて使い分けることが効果的です。 ただし、長時間の使用は筋力低下を招く可能性があるため、症状の改善に合わせて徐々に使用時間を減らしていきましょう。 消炎鎮痛剤(ロキソニン)や湿布を活用する 痛みや炎症が強い場合は、消炎鎮痛剤や湿布を適切に使用して症状をコントロールしましょう。 ロキソニンなどの内服薬は、炎症を抑える効果が高く、強い痛みがあるときに効果的です。 また、冷感湿布は急性期の炎症に、温感湿布は慢性期の痛みに適しています。 長期間の使用は副作用のリスクがあるため、薬剤師や医師に相談の上、適切な期間内で使用してください。 アキレス腱が痛いときに医療機関を受診すべき症状 アキレス腱の痛みがあり、以下のような症状が見られるときは速やかに医療機関を受診しましょう。 安静時にも痛みが続く 患部に明らかな腫れや熱感がある 痛みの症状が日に日に悪化している 歩けないほどの強い痛みがある 足首を動かせない つま先立ちができない 受傷時に「ブチッ」という断裂音が聞こえた また、1週間以上痛みや腫れが続く場合や、日常生活に支障をきたすほどの強い痛みがある場合も医療機関による診断を受けましょう。 早めに治療を受けて症状の悪化を防ぎ、早期の回復を目指すことが大切です。 アキレス腱炎の主な原因 アキレス腱炎の主な原因は、以下の4つです。 オーバーユース(使いすぎ) ウォーミングアップ不足 ふくらはぎの筋力や柔軟性低下 足に合わない靴の着用 これらの要因を把握して、日常生活やスポーツ活動でケガをしないよう注意しましょう。 オーバーユース(使いすぎ) アキレス腱炎の主な原因として、足首の使いすぎによってアキレス腱に繰り返し負荷がかかっていることが挙げられます。 ダッシュやジャンプを多く行うスポーツでは、ふくらはぎの筋肉が頻繁に使われ、それにつながるアキレス腱に継続的な負荷がかかります。 陸上競技、サッカー、バスケットボール、テニスなどのスポーツでは注意が必要です。 疲労が蓄積された状態で運動を続けることで、筋肉が硬くなり炎症のリスクが高まります。適度な休息と運動後のケアが大切です。 ウォーミングアップ不足 筋肉が硬い状態で急に運動を開始すると、アキレス腱に過度な負担がかかり炎症を起こしやすくなります。 とくに中高年の方や運動を最近開始したばかりの方は、筋肉の柔軟性が低下している可能性があります。 運動前には必ずウォーミングアップを行い、ふくらはぎとアキレス腱を十分に温めましょう。 ふくらはぎの筋力や柔軟性低下 加齢や運動不足により、ふくらはぎの筋力低下や柔軟性の減少が生じると、アキレス腱への負担が増加します。 日常的にストレッチや筋力トレーニングを継続することで、筋力や柔軟性を維持できます。 とくに中高年の方は急激な運動は避け、段階的に体力を向上させることが重要です。 足に合わない靴の着用 クッション性の低い靴や足のサイズに合っていない靴、かかと部分がすり減った靴などは、歩行時や運動時のバランスが悪くなり、アキレス腱に大きな負荷がかかります。 靴を購入する際は必ず試し履きを行い、足の専門店で正確なサイズを測定してもらうことをおすすめします。 また、インソールやヒールパッドを使用して、足への負担を軽減することも効果的な予防策です。 つらいアキレス腱炎の痛みには再生医療も選択肢の一つ アキレス腱炎になった場合は、まず安静にし、アイシングをして患部の炎症を抑えることが重要です。 痛みが強い場合は、テーピングやサポーターの活用や消炎鎮痛剤を使用する方法もありますが、医療機関への受診が推奨されます。 また、治療をしても痛みが改善しない慢性的なアキレス腱炎に対しては、再生医療という治療法も選択肢の一つです。 \アキレス腱炎に有効な再生医療とは/ 再生医療は患者様の細胞・血液を用いて自然治癒力を促進させることで、アキレス腱炎の痛み改善や炎症抑制が期待できます。 【こんな方は再生医療をご検討ください】 アキレス腱炎による痛みを早く治したい 現在受けている治療で効果が得られていない 当院「リペアセルクリニック」では、アキレス腱炎をはじめとする腱や靭帯の問題に対して再生医療を提供しています。 手術や入院を必要とせず、日常生活を送りながらアキレス腱炎の改善を目指せるのが特徴です。 具体的な治療法については、無料カウンセリングを行っておりますので、ぜひ当院リペアセルクリニックまでご相談ください。
2025.09.30 -
- スポーツ医療
胸の痛みや違和感があると「病院に行くべきか」「自然に治るのか」と不安になる方も多いのではないでしょうか。 その痛みの原因の一つとして考えられるのが肋骨骨折です。 肋骨骨折は安静にしていれば自然に治る怪我ですが、適切に処置しないと内臓損傷や骨の変形につながるリスクがあります。 この記事では、肋骨骨折の自然治癒期間や受診の判断基準、やってはいけないことを詳しく解説します。 胸部の痛みでお悩みの方は、ぜひ最後まで読んで適切な判断ができるようになりましょう。 肋骨骨折が自然に治るのは約2〜3カ月が目安 単純な肋骨骨折の場合、患部への負担を避けて安静にしておくことで約2〜3カ月で自然に治るのが一般的です。 骨折の程度や年齢、全身状態によって自然治癒までの期間に個人差はありますが、多くの場合は手術をしなくても自然に骨が修復されます。 肋骨は呼吸とともに動く骨のため、完全に動きを止めることはできません。 しかし、骨折部位への負担を最小限に抑えることで、骨の自然な修復機能が働き治癒が進みます。 肋骨骨折によって気胸の合併や内臓損傷などの可能性もあるため、自然治癒を目指す場合でも医療機関で診断を受けた方が良いです。 肋骨骨折の安静期間は約3〜4週間 受傷後の約3〜4週間は、患部に負担をかけないよう安静にすることが重要です。 この期間は骨の修復が活発に行われる時期のため、無理な動作や患部に衝撃が加わる行動は避けましょう。 安静期間中は、深呼吸・咳・くしゃみをできるだけ避け、重いものを持ち上げる動作も控えてください。 寝るときは患部を下にしない体勢を心がけ、痛みが強い場合は上体を少し起こした状態で休むと楽になります。 3〜4週間を過ぎると骨の結合が進み、徐々に日常動作を再開できるようになります。 ただし、完全な治癒までは2〜3カ月かかるため、激しい運動や重労働は医師と相談してから始めましょう。 肋骨骨折で医療機関を受診すべきチェックリスト 胸の違和感が強い場合は、放置せずに医療機関を受診しましょう。 以下を参考に、ご自身の症状に当てはまるかを確認してみてください。 ぶつけた後に胸を押すと違和感がある 呼吸、くしゃみで胸の違和感が強くなる 内出血がある 息をするのが苦しい 胸から軋む音がする 痛みが日に日に悪化している 発熱や全身の倦怠感がある とくに患部に内出血がみられると、肋骨を骨折している可能性が高いと考えられます。 また、急激な息苦しさがある場合、肺に穴が開いて空気が漏れ出してしまう気胸を合併している可能性があるため、早期に医療機関を受診しましょう。 肋骨骨折かどうか判断する基準・症状 肋骨骨折を自分で判断する基準や症状は、主に以下の2つがあります。 胸部の違和感や腫れがあるか 胸部の骨から軋む音がするか これらの症状を正しく理解して、早期発見と適切な対応につなげましょう。 胸部の違和感や腫れがあるか 肋骨骨折の典型的な症状は、胸部の限局的な痛みと腫れです。 以下の特徴がある場合は、肋骨骨折が疑われます。 受傷部位を押すと鋭い痛みがある 呼吸や体を動かすと痛みが悪化する 患部が腫れて熱を持っている 皮膚の色が変わっている(青紫色の内出血) 触ると骨の段差やへこみを感じる 安静時には痛みが軽くても、深呼吸・咳・くしゃみをした時に急に痛みが強くなるのが特徴です。 また、寝返りを打つときや起き上がるときにも痛みを感じやすくなります。 胸部の骨から軋む音がするか 骨折した肋骨の断端が動くことで、軋む音(骨摩擦音)が聞こえることがあります。 この音は「ギシギシ」や「ザラザラ」といった感覚で、呼吸時や体動時に感じられます。 骨摩擦音は骨折を見分ける重要な症状です。 ただし、すべての肋骨骨折で音が出るわけではなく、骨折の程度や部位によって異なります。 もし胸から異常な音が聞こえる場合は、骨折部位をさらに損傷させないよう体を動かさず、速やかに医療機関を受診してください。 肋骨骨折が自然に治るまでやってはいけないこと 治療期間中は、肋骨骨折の治癒を妨げる以下の動作は控えましょう。 重いものを持ち上げる動作 激しい運動やスポーツ 深呼吸や強い咳を無理に我慢しない(適度に行う) 患部を強く押したり揉んだりする 長時間同じ姿勢を続ける 痛み止めを過度に我慢する 医師の指示なしに固定を外す 喫煙(血流を悪化させ治癒を遅らせる) とくに重いものを持ち上げる動作は、胸部に強い負荷がかかるため避けてください。 また、痛みを我慢しすぎると体に余計な負担がかかります。 医師から処方された痛み止めは適切に使用し、楽な姿勢で安静を保ちましょう。 肋骨骨折の自然治癒に関するよくある質問 肋骨骨折について、よくある質問の以下2つを紹介します。 肋骨骨折は放置しても大丈夫? 肋骨のひびを早く治す方法は? これらの疑問を解決して、治療に取り組みましょう。 肋骨骨折は放置しても大丈夫? 肋骨骨折は、放置せずに医療機関で診断を受けることが推奨されます。 放置するリスクとして、気胸(肺に穴が開く)、血胸(胸の中に血がたまる)、骨の変形治癒などがあります。 これらの合併症は命に関わる場合もあるため、軽視できません。 症状が軽くても一度は医師の診察を受けましょう。 肋骨のひびを早く治す方法は? 肋骨のひびを早く治すには、安静にして過ごすことが大切です。 また、骨の修復を助ける栄養素の摂取も欠かせません。 骨の材料となるカルシウム、タンパク質、ビタミンD、ビタミンCを積極的に摂取しましょう。 症状によっては軽い運動が推奨される場合もありますが、激しい運動は避け、医師と相談しながら徐々に活動量を増やしていきましょう。 肋骨骨折や骨のひびを早く治すには再生医療も選択肢の一つ 肋骨骨折は約2〜3カ月で自然に治る可能性がありますが、合併症などのリスクがあるため、胸部の痛みや違和感がある場合は医療機関を受診しましょう。 治癒を早めたい方や改善が見られない方には、再生医療という新しい治療選択肢があります。 \肋骨骨折の治療に有効な再生医療とは/ 再生医療は患者様の細胞・血液を用いて自然治癒力を促進させることで、骨折の長引く痛みや後遺症の改善が期待できる可能性があります。 【こんな方は再生医療をご検討ください】 肋骨骨折の痛みを早く治したい 長引く骨折の痛みに悩まされている 現在受けている治療を継続すべきか不安を抱えている 当院「リペアセルクリニック」では、肋骨骨折をはじめとする骨の問題に対する再生医療を提供しています。 具体的な治療法については、無料カウンセリングを行っておりますので、ぜひ当院リペアセルクリニックまでご相談ください。
2025.09.30 -
- 脳梗塞
- 脳卒中
- 頭部
脳梗塞とは脳の血管が血栓で詰まり、血流が止まることで脳組織が死んでしまう病気です。 突然発症することが多く、治療が遅れると重篤な後遺症のリスクがあり、生命に関わることもあります。 脳梗塞を発症した方やご家族の中には、「本当に治るのか」「どのような治療を受ければよいのか」と不安に感じている方も多いのではないでしょうか。 この記事では、脳梗塞の回復見込みや病期別の治療法、入院期間について詳しく解説します。 また、現在リペアセルクリニックでは脳梗塞の後遺症や再発予防に対する治療法として、再生医療を行っています。 \脳梗塞に有効な再生医療とは/ 再生医療は、損傷した脳細胞にアプローチする治療によって、従来の治療では難しい脳細胞の改善が期待できます。 【こんな方は再生医療をご検討ください】 脳梗塞が治るか不安を抱えて生活している 治療後にも後遺症に悩まされている 現在の治療では目立った効果が出ていない 「脳梗塞が治るか不安」「後遺症を早く治したい」という方の新たな選択肢として、ぜひ検討してみてください。 以下の動画では、実際に当院リペアセルクリニックで再生医療を受け、脳梗塞の後遺症が改善された患者様の症例を紹介しています。 https://youtu.be/AoMLP77h-c4?si=r7ykvSwmkQJPeu9i 再生医療の治療法や症例については、当院リペアセルクリニックの公式LINEで発信しているので、ぜひご登録ください。 脳梗塞は治る見込みあり|早期治療が重要 脳梗塞は治る見込みがある疾患です。 以下の適切な知識を持って治療に取り組むことで、より良い回復を目指せる可能性があります。 早期治療の重要性 脳梗塞治療に必要な検査 これらの正しい知識を身につけて、適切な治療を選択しましょう。 また、脳梗塞の後遺症の回復に関しては、以下の記事も参考になります。 早期治療の重要性 脳梗塞の回復において、早期治療は重要な要素です。 脳梗塞は発症してから時間が経つにつれて、脳組織の損傷が拡大していきます。 とくに発症から4.5時間以内に治療を開始できれば、血栓を溶かす薬物治療が可能になり、脳へのダメージを最小限に抑えられます。 また、原則6時間以内(特定条件下では24時間以内)※であれば血管内治療による血栓除去も有効です。 ※出典:日本脳神経血管内治療学会 そのため、手足の麻痺やろれつが回らないなど、脳梗塞の症状を感じたらすぐに救急車を呼んで医療機関での治療を受けましょう。 脳梗塞治療に必要な検査 脳梗塞に対して早期治療を行うためには、まずは以下の検査による正確な診断が必要です。 検査 内容 身体検査 心臓の音や血圧を測り、脳や神経の働きを調べる 血液検査 血液の凝固速度、血糖値、感染症の有無を調べる CT検査 脳出血や脳の腫れ、異常な影などを画像で確認する MRI検査 脳の細かな変化や血流の状態を詳細に画像化する 頸動脈超音波検査 首の動脈の狭窄や血管壁の厚みを超音波で調べる 脳血管造影検査 造影剤を使って血管の形や血流の流れを詳しく観察する 心エコー検査 心臓の動きや構造、血栓の有無を超音波で確認する 検査結果に基づいて、患者様一人ひとりに合った治療計画を立てられます。 【病期別】脳梗塞に対する治療法 脳梗塞は病期に応じた適切な治療法を理解することが大切です。 脳梗塞の治療は、以下の急性期、回復期、生活期の3つの段階に分けられ、それぞれ異なる治療目標があります。 急性期 回復期 生活期 各段階で適切な治療を受けることで、より良い回復を目指しましょう。 急性期 急性期は脳梗塞の発症から2〜3週間程度の時期を指し、脳へのダメージを最小限に抑える治療が優先となります。 とくに発症から6時間以内は、血管を詰まらせている血栓に直接アプローチできる治療が適応できる可能性があります。 急性期に行われる治療は、主に以下の3つです。 血栓溶解療法(t-PA治療) 血栓溶解療法(t-PA治療)は、血管を詰まらせている血栓を溶かすアルテプラーゼという薬を注射する治療法です。 脳梗塞の発症後4.5時間以内に開始すると効果的で、脳への血流を回復させることができます。 4.5時間を超えると、薬により出血のリスクが高くなるため使用できません。 そのため、症状を感じたらできるだけ早く医療機関を受診することが重要です。 血管内治療(血栓回収療法) 血管内治療(血栓回収療法)は、重症の脳梗塞に対してカテーテルという細い管を血管に挿入し、直接血栓を除去する治療法です。 局所麻酔または全身麻酔下で行われ、網目状の器具や吸引装置を使って血栓を取り除きます。 血栓溶解療法と同様に、脳梗塞発症後できるだけ早く開始すると効果的です。 一般的には6時間以内の治療が推奨されています。 抗血栓療法(内服治療) 抗血栓療法は血栓に対する急性期治療に加えて、脳梗塞の再発予防として内服薬による治療も同時に行います。 主に2種類の薬が使用されます。 内服薬 特徴 抗血小板薬(アスピリン・クロピドグレル) 新しく血栓ができることを防ぐ薬 患者様の状態に応じて、クロピドグレルなど他の抗血小板薬と併用する場合もある 抗凝固剤(ワーファリンなど) 新たな血栓ができるリスクを減らすために使用される薬 ワルファリンやダビガトランなど、長期間使用できる種類がある 医師が患者様の状態を総合的に判断して薬を選択し、再発予防を目指します。 回復期 回復期は脳梗塞の発症から約6カ月間の時期を指し、主な治療目標はリハビリテーションによる機能回復です。 この時期には理学療法、作業療法、言語療法などの専門的なリハビリを集中的に行います。 理学療法:歩行訓練や筋力強化 作業療法:日常生活動作の練習 言語療法:話す・飲み込む機能の改善 回復期リハビリテーション病院では、医師、看護師、各種療法士などの多職種チームが連携し、患者様の状態に合わせた個別のリハビリプログラムを作成します。 生活期 生活期は回復期以降の時期を指し、在宅での生活を継続しながら維持期リハビリを行う段階です。 この時期の治療は、外来でのリハビリや訪問リハビリを継続し、獲得した機能を維持・向上させることが目標となります。 また、血圧管理、血糖管理、コレステロール管理などの内科的治療を継続し、脳梗塞の再発予防に努めます。 定期的な医師による診察と検査により、適切な薬物調整を行うことが重要です。 脳梗塞の入院期間・費用 脳梗塞の治療について、入院期間と費用を事前に把握することで適切な準備ができます。 入院に関する情報は以下の2つに分けて説明します。 平均入院期間 平均入院費用 これらの情報を参考に、入院に向けた準備を進めましょう。 平均入院期間 厚生労働省の調査※によると、脳梗塞を含む脳血管疾患の平均入院期間は68.9日です。 ※出典:厚生労働省「患者調査」 軽度の脳梗塞の場合は2週間程度で退院できることもありますが、障害のある脳の部位や範囲など、脳梗塞の重症度によって入院期間は大きく変動します。 また、年齢によっても入院期間に差があります。年齢別の平均入院期間は以下の通りです。 年齢 平均入院期間(平均在院日数) 0~14歳 11.8日 15~34歳 31.4日 35~64歳 44.5日 65歳以上 75.5日 70歳以上 77.7日 75歳以上 80.1日 ※出典:厚生労働省「患者調査」 高齢で脳梗塞を発症した場合、リハビリが長期化しやすい傾向があります。 年齢が高くなるほど入院期間が長くなることを理解しておきましょう。 平均入院費用 厚生労働省の調査※によると、脳梗塞を含む脳血管疾患の平均入院費用は約72~94万円(加入している医療保険制度により異なる)です。 ※出典:厚生労働省「医療給付実態調査報告」 脳梗塞の入院・治療費は、高額療養費制度を活用することで負担を軽減できます。 高額療養費制度※とは、医療機関での医療費が1カ月で上限額を超えた場合、超えた分の金額があとから払い戻される制度です。 ※出典:厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」 脳梗塞の医療費は入院期間や重症度によって変動するため、具体的な金額については医療機関にご確認ください。 脳梗塞の治る見込みや治療に関するよくある質問 脳梗塞の治療や回復見込みについて、よくある質問をご紹介します。 脳梗塞になったら長生きできる? 脳梗塞が完治する確率は? 治療方針の検討にお役立てください。 脳梗塞になったら長生きできる? 脳梗塞を発症しても、適切な治療とリハビリにより長生きすることは十分に可能です。 とくに軽度から中等度の脳梗塞の場合、適切な治療により社会復帰される方も多くいらっしゃいます。 ただし、長生きを目指すうえでは再発予防が重要です。 血圧管理、血糖管理、コレステロール管理など内科治療の継続、そして生活習慣の改善も大切です。 禁煙、節酒、適度な運動、バランスの取れた食事を心がけ、健康的な生活を送りましょう。 脳梗塞が完治する確率は? 国内外の大規模研究によると、発症から90日後に完治に近い状態(mRS 0~1:症状がない、あるいは日常生活にほとんど支障がない状態)となる人の割合はおおよそ30~40%程度と報告※されています。 ※出典:日本脳卒中学会「脳卒中治療ガイドライン2021(改訂2025)」 早期の治療(血栓溶解療法や血管内治療)やリハビリテーションの導入が、良好な回復につながる重要な要因です。 脳梗塞を根本的に治したい方は再生医療をご検討ください 脳梗塞は完治が困難な場合もありますが、適切な治療により日常生活の質を向上させることも十分に可能です。 現在、脳梗塞の後遺症や再発予防として再生医療が注目されています。 再生医療は損傷を受けた脳組織の再生を促す医療技術で、麻痺やろれつが回らない後遺症がある方や、脳梗塞の再発予防を希望される方の治療選択肢となっています。 また、リペアセルクリニックには理学療法士や柔道整復師、鍼灸師、トレーナーのチーム体制が整っており、各専門職によるリハビリテーションの訓練や指導も可能です。 脳梗塞の後遺症や再発予防でお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
2025.09.30 -
- 靭帯損傷
- ひざ関節
スポーツで発症しやすいケガとして、「前十字靭帯断裂」があります。 インターネットではスポーツ復帰まで時間がかかるとの記載が多く、「全治までどのくらいかかるのか」「ちゃんと復帰できるのか」と不安に思われるかもしれません。 結論から言えばリハビリをしっかりすれば復帰できますが、全治=競技復帰ではない点に注意が必要です。 不十分な状態で復帰すれば、再断裂につながりかねません。 そこでこの記事では、前十字靭帯断裂から競技復帰までの過程を詳しく解説します。 前十字靭帯断裂の全治までに必要な期間の目安は? 結論から言えば、8〜10ヶ月が前十字靭帯断裂の全治期間です。 しかし、これは「治療にかかる期間」であり、競技復帰のための期間ではありません。 競技復帰するためには、手術を受けた後にも継続的なリハビリが必要です。 なお、仕事やスポーツへの復帰にかかるおおよその目安は以下の表をご参照ください。 仕事やスポーツに復帰するまでにかかる目安 デスクワークなど膝への負担が少ない仕事 およそ1ヶ月 膝への負担が大きい仕事 3〜4ヶ月 スポーツへの復帰 8〜12ヶ月 あくまでも目安で手術内容や年齢にも左右されますが、簡単な仕事であれば1ヶ月程度で復帰できるでしょう。 前十字靭帯断裂では手術が必要? スポーツを続けたいならば、前十字靭帯断裂をした後は手術が必要です。 前十字靭帯断裂とは、前十字靭帯が完全に断裂した状態を指します。 前十字靭帯は膝を支えてくれる重要な靭帯であり、完全に断裂した状態では膝がガクッとなったり、不安定な感じがしたりします。 このような状態でのスポーツは難しいため、手術が必要となるでしょう。 なお、手術しなかったときのリスクなどは以下の記事でまとめてありますので、ぜひご確認ください。 前十字靭帯断裂の手術後に行うリハビリの過程を解説 前十字靭帯の断裂後、以下のような経過でリハビリを行います。 手術からの期間 リハビリ内容 手術直後 膝以外の部位のトレーニング 膝周囲のマッサージ 膝を動かさずに膝の筋肉の筋トレ 1週間〜2週間 0〜90°まで膝を動かす 痛みがない範囲で体重を乗せる 1ヶ月 0〜130°まで膝を動かす 自立歩行 踏み台昇降やエアロバイク 軽いジャンプ 2ヶ月 左右差なく膝の動きを出す 階段昇降 軽いターン練習やステップ練習など 3ヶ月 ジョギング開始 スクワットやランジなどの自重トレーニング 4ヶ月 片足立ちなどのバランス練習 瞬発力トレーニング 6ヶ月 競技復帰に向けた練習 8ヶ月 段階的にスポーツ復帰 これらの目安はリハビリ期間中の筋肉の状態や、前十字靭帯以外の組織の損傷具合によって左右されます。 また、身体面だけでなく心理面での問題で長引く可能性もあるため、あくまで目安とお考えください。 前十字靭帯断裂後に競技復帰するまでに必要なこと 前十字靭帯断裂から競技復帰するまでには、靭帯が完治するだけでなく身体面・心理面で必要な能力の基準を満たす必要があります。 もし基準を満たさないまま競技復帰したら、再断裂の可能性を否定できません。 事実、手術後9ヶ月以内に復帰した場合、9ヶ月以降に復帰したケースよりも7倍再断裂するリスクが高まるという研究※もあります。 ここからの項で詳しく解説するので、ぜひ最後までチェックしてください。 社会復帰までと競技復帰までの違い 社会復帰までと競技復帰までには、大きく以下のような違いがあります。 復帰に必要な期間 復帰に必要な身体面の能力 仕事内容にもよりますが、社会復帰は競技復帰と比較して短い期間で復帰できる傾向にあります。 スポーツと比較すると、多くの仕事ではスポーツほど筋力やバランス能力が必要ではありません。 そのため、膝に負担がかからない仕事であれば、痛み次第で早期に復帰できる可能性が高いでしょう。 なお、復帰に必要な期間は前十字靭帯断裂の全治までに必要な期間の目安は?で解説しているのでご参照ください。 競技復帰までに必要な基準 前十字靭帯断裂からスポーツ復帰するために必要な基準※は、以下のとおりです。 検査項目 必要な基準 膝の動く範囲 左右の差がない 筋力 大腿四頭筋とハムストリングの筋力が怪我をしていない側の80%以上ある 関節の安定性 膝を捻って曲げた時に亜脱臼しない(ピボットシフトテスト陰性) パフォーマンス能力 片足ジャンプが怪我をしていない方の90%は飛べる ストップ・ターンなどが怪我していない側と同じレベルでできる 心理面 動作での痛みがない 前十字靭帯断裂後の質問表(ACL-RSIスコア)の特典が高い 日常生活で自覚的な問題がない ※出典:Association Between Meeting Return-to-Sport Criteria and Psychological Readiness to Return to Sport After Anterior Cruciate Ligament Reconstruction 上記表の項目が満たされていなければ、再断裂のリスクが高くなります。 そのため、基準が満たされていなければ焦らずリハビリを継続しましょう。 また、これらの項目だけでなく前十字靭帯断裂後の関節機能を測定する機械(KS measureなど)での検査も復帰するための指標となります。 導入されている施設であれば、積極的に測定してください。 前十字靭帯断裂に対する再生医療の可能性 前十字靭帯断裂では手術が必要なことは前述したとおりです。 手術をした後は組織の回復を図るために、安静にしなければなりません。 もし安静にしなかったならば、回復が遅れるばかりか再断裂のリスクも高くなります。 しかし、近年再生医療が発達してきており、前十字靭帯断裂にも適応となる可能性が出てきました。 断裂した靭帯を完全にくっつけることは難しくても、再生医療を行うことで手術後の靭帯の回復が早くなる可能性があります。 また、前十字靭帯断裂に伴う他の関節組織(半月板や関節軟骨など)の損傷や、将来の変形性膝関節症へのリスク軽減にも有効になるかもしれません。 当院リペアセルクリニック大阪院での再生医療に取り組んでおりますので、興味がある人はお気軽にお問い合わせください。 前十字靭帯断裂でよくある質問 前十字靭帯断裂でよくある質問をまとめました。 前十字靭帯断裂ではどのような手術を行いますか? 前十字靭帯断裂で行われる手術は、主に以下の2つです。 手術方法 内容 特徴 BTB法 膝のお皿の下にある腱(膝蓋腱)を使用して前十字靭帯を再建する方法 固定強度・早期安定性に優れ、競技復帰を急ぐ選手に向く ST-G法 太ももの裏にある筋肉の腱(半腱様筋と薄筋)を使用して前十字靭帯を再建する方法 膝の痛みにつながるリスクが少なく、日常生活や膝が動きやすい。また、傷跡が小さい それぞれメリットもありますが、状況に合わせた使い分けが必要です。 詳しくは執刀医にご相談ください。 前十字靭帯後どれくらいで走れますか? 順調な経過であれば、ジョギングは3ヶ月程度で可能です。 また、ダッシュは4〜6ヶ月程度でできるようになるでしょう。 【まとめ】前十字靭帯断裂は全治まで適切なリハビリが大切 前十字靭帯断裂の全治期間について解説しました。 ポイントは以下のとおりです。 前十字靭帯断裂の全治は8〜10ヶ月程度 全治すればスポーツ復帰できるわけではない スポーツ復帰するためにはクリアすべき基準がある 前十字靭帯断裂は適切なリハビリをすれば、スポーツ復帰できる可能性が高いでしょう。 しかし、焦って復帰すれば再断裂のリスクが高くなります。 本記事でご紹介した基準を満たせるよう、焦らずリハビリを頑張ってください。 また、当院では前十字靭帯断裂の靭帯再生を促す再生医療にも取り組んでいます。 完全に元に戻せなくても、回復を促進したり再断裂を予防したりする効果に期待できる治療です。 興味がある人は、お気軽にお問い合わせください。
2025.09.30 -
- 脊椎
坐骨神経痛になった場合、やってはいけない動作や、生活習慣があるのはご存じでしょうか? ヨガやストレッチは腰痛防止に効果的ですが、自己流では坐骨神経痛を悪化させる恐れがあります。 痛みをやわらげるために湿布を貼っても、逆効果になる場合があるので注意が必要です。 本記事では、坐骨神経痛でやってはいけないことや、症状の改善方法などをわかりやすく解説します。 坐骨神経痛は手術を必要とするケースもあるので、切らずに治したい方は、再生医療も参考にしてみてください。 坐骨神経痛でやってはいけないこと5選 坐骨神経痛でやってはいけないことは、以下の動作や生活習慣です。 腰の痛みや足のしびれには、日常的な動作や姿勢が影響している可能性があります。 ここからは、坐骨神経痛でやってはいけないこと5選をみていきましょう。 重いものを持ち上げる 坐骨神経痛の原因には腰椎椎間板ヘルニアや、腰部脊柱管狭窄症などがあり、以下のような動作が坐骨神経の圧迫につながります。 重いものを持つときは足を肩幅に開き、膝を曲げて腰への負担を軽くしましょう。 お米やペットボトルなど、重量のある買い物はショッピングカートの利用がおすすめです。 同じ姿勢を長時間続ける 同じ姿勢を長く続けると、脊柱起立筋や大腰筋などが緊張し、血行が悪くなります。 血行不良は坐骨神経痛の悪化につながるため、長時間座ったままのデスクワークや、立ち仕事には要注意です。 同じ姿勢が長時間続く場合は、1時間に1回程度立ちあがって歩いたり、腰を伸ばしたりしてみましょう。 立ち仕事は「両脚立ち」で荷重を分散し、適度に休憩を取ると、腰にかかる負担が軽くなります。 患部を冷やす 坐骨神経痛になったときは、患部を冷やし過ぎないように注意しましょう。 腰を冷やすと一時的に痛みはやわらぎますが、冷やし過ぎは筋肉が緊張し、血行も悪くなるため、坐骨神経痛の悪化につながります。 痛みやしびれが続く場合は、蒸しタオルなどで患部を温め、血行を促進させる必要があります。 自己流のストレッチ 自己流のストレッチを行うと、坐骨神経痛の悪化を招く恐れがあります。 たとえば、ストレッチでハムストリングス(太ももの内側の筋肉)を伸ばした場合、坐骨神経が刺激され、痛みが強くなる可能性も。 坐骨神経痛が続く場合は、全身の筋肉を温め、腰にも負担がかからない水中ウォーキングなどがおすすめです。 肥満 坐骨神経痛になった場合は、肥満にも要注意です。 お腹に脂肪が付くと重心が前側になるため、腰椎に大きな負担がかかります。 「洗顔のために腰を曲げたら激痛が走った」など、肥満が原因でぎっくり腰になる可能性も。 肥満は坐骨神経痛を悪化させる恐れがあるので、適度な運動や、バランスの取れた食事を意識しましょう。 坐骨神経痛の病期別の注意点(急性期・回復期・慢性期) 坐骨神経痛には症状に応じた「病期」があり、以下のように分類されます。 病期によって「やってはいけないこと」や、改善に向けた動作があるので、以下を参考に実践してみましょう。 急性期:安静にしすぎない/強い屈曲NG 坐骨神経痛は発症から2週間程度が急性期となり、一般的には痛みの緩和を優先します。 しかし、痛みを避けるために安静にしすぎると、腰まわりの筋力が落ち、筋肉の柔軟性も低下します。 強い屈曲も坐骨神経痛の悪化につながるため、腰を大きくひねったり、必要以上に反らしたりする動作は避けましょう。 ひねる・反るなどの動きを抑えたい場合は、コルセットの使用をおすすめします。 回復期:可動域運動/軽い体幹トレーニング 坐骨神経痛の回復期とは、発症から2週間~3カ月程度の時期です。 痛みやしびれがやわらぐ時期になるため、以下の可動域運動や、軽い体幹トレーニングを実践してみましょう。 可動域運動などの種類 実践方法 腰の可動域運動 【腰回し】 ・腰をゆっくりと左右に回し、可動域を広くする運動 【お尻の筋肉ストレッチ】 ・仰向けに寝て片方の足を抱え、お尻の筋肉を伸ばしながら20秒キープ ・反対側の足も同様に1日2セット 体幹トレーニング 【ヒップリフト】 ・仰向けに寝て両膝を立て、上体が反らない程度に腰を浮かす ・背中から腰の順番に下す動作を10回、1日2セット行う 【インナーマッスルの強化】 ・四つん這いになり、片足のかかとをお尻に向けて上げる ・同時に足と反対側の腕を床と平行に伸ばす ・1セット10回を両方の足で行う 適度な運動は血行を促し、筋力を維持する効果があります。 慢性期:再発予防の運動・環境調整 坐骨神経痛の発症から数週間や数カ月が経過すると、慢性期に入ります。 慢性期は痛みが軽くなる場合もありますが、再発のリスクに備え、運動などの予防策が必要です。 具体的には、10~15分程度のウォーキングや、体幹トレーニングがおすすめです。 ウォーキングの際には歩幅を大きくし、「つま先で蹴って踵で着地」を意識してみましょう。 環境整備も坐骨神経痛を緩和できるので、適度な固さのマットレスで寝たり、カイロで腰を温めたりする方法があります。 坐骨神経痛の受診時期の目安 坐骨神経痛が疑われる場合、以下のタイミングが受診の目安となります。 軽度の坐骨神経痛は自然に治る場合もありますが、重度になると専門的な治療が必要です。 痛みやしびれとともに、頻尿・尿漏れなどの症状があるときは、受診を急いだほうがよいでしょう。 坐骨神経痛の治療方法 坐骨神経痛には以下の治療方法があり、症状に応じて選択します。 治療方法 治療内容 保存療法 ・腰まわりの筋肉を強化して体幹を整えたり、ストレッチで筋肉をほぐしたりする治療方法 ・痛みやしびれを緩和させるため、非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)や、神経障害性疼痛治療薬などを投与する場合もある 手術療法 ・神経を圧迫している椎間板の切除や、摘出などを行う治療方法 ・術後は1~2週間程度の入院が必要 再生医療 ・自分の幹細胞や多血小板血漿を活用し、機能が低下した神経などを修復する治療方法 ・通院のみで治療するため、手術や入院は不要 保存療法は手術を行わないため、体への負担が軽い治療方法です。 ただし、薬物の効果は一時的なものであり、神経障害には対応できない可能性があります。 手術療法は痛みの原因を取り除けますが、入院を必要とするため、休みを取れない方には難しい選択肢です。 根本的な治療や、切らない治療方法を選択したい場合は、再生医療で解決できる可能性があります。 具体的な治療方法などを知りたい方は、ぜひリペアセルクリニックにご相談ください。 リペアセルクリニックでは再生医療を用いて、坐骨神経痛の原因となる脊柱管狭窄症や、椎間板ヘルニアの治療に成果を上げています。 カウンセリングには十分な時間を確保しているので、医師に適応可能性を相談してみましょう。 【まとめ】坐骨神経痛は慢性化に注意!根本治療には再生医療も検討を 座骨神経痛は慢性化しやすく、仕事や生活に支障をきたす場合があります。 歩行や立ち上がりが困難になると、常にストレスを抱える状態となるため、早めの治療が必要です。 「自己流で治療したけど治らない」「根本的に治療したい」など、悩みを抱えている方は再生医療も検討してみましょう。 再生医療についてより詳しく知りたい方は、ぜひリペアセルクリニックの無料相談をご活用ください。
2025.09.30 -
- 肘
- 再生治療
「野球肘(やきゅうひじ)」とは、投球動作を繰り返す野球選手に多く見られる代表的なスポーツ障害です。 「練習中に肘が痛むけど、我慢して投げても大丈夫?」「成長期の子どもに影響はない?」といった不安を抱える選手や保護者の方も多くいらっしゃるかと思います。 そこで本記事では、野球肘の症状・原因・発症しやすい年齢やポジションを医師監修の知見を踏まえてわかりやすく解説します。 さらに従来の治療方法に加えて近年注目される再生医療による新しい治療法についても紹介し、競技復帰と再発予防を両立させる方法をお伝えします。 野球肘に悩んでいる方や、その予防に関心のある方は、ぜひ最後までご覧ください。 野球肘とは? 野球肘とは、投球動作の繰り返しによって肘の関節や靭帯に過度な負担がかかり、炎症や損傷を生じるスポーツ障害のことです。 特に野球の投手やキャッチャーに多く見られ、小中学生から高校生といった成長期の選手に発症しやすい特徴があります。 下記では野球肘の特徴について、詳しく解説していきます。 野球肘の症状 発症しやすい年齢やポジション 発症しやすい年齢やポジションについても解説していくので、ぜひ参考にしてみてください。 野球肘の症状 野球肘の症状は「肘の痛みを訴える」ことが中心ですが、その現れ方には特徴があり、進行度によって異なります。 特に成長期の選手では、症状を見逃すと重症化しやすいため注意が必要です。 一般的にみられる症状は以下の通りです。 特に「内側型」では投球時の内側の鋭い痛み、「外側型」では肘の外側に慢性的な痛みと可動域制限、「後方型」ではリリース後の強い後方痛が典型的です。 これらは選手のフォームや投球数とも関連しており、放置すると骨や靭帯に不可逆的な損傷を残す恐れがあります。 「投球後に痛みや違和感が続く」場合は単なる疲労ではなく、野球肘の初期症状である可能性が高いため、早期に整形外科での診断を受けることが大切です。 発症しやすい年齢やポジション 野球肘は、特に成長期である小中学生から高校生に多く発症するスポーツ障害です。 この時期は骨の成長軟骨(骨端線)が未成熟で、強い投球動作に耐えられるほどの強度を持っていないため、大人に比べて損傷リスクが高くなります。 そのため早期に症状を見つけて適切な対応をすることが重要です。 発症しやすい年齢層とポジションには以下の傾向があります。 年齢層 発症リスクの特徴 小学高学年~中学生 ・発症が最も多い ・成長軟骨が未成熟で損傷しやすい。 高校生 投球過多や無理なフォームで発症するケースあり 成長期の男子 ・特に多い ・女子は低いがゼロではない。 ポジション 発症リスクの特徴 投手 ・最も多い ・繰り返しの投球で肘に強い負担。 捕手 ・次に多い ・返球・送球で負担が蓄積 内野手 ショート・サードで遠投や速い送球が多く発症例あり 外野手 頻度は低いが遠投が多くリスクは無視できない 野球肘は「投手だけの病気」ではなく、投球や送球の多いポジションに広く起こり得る障害です。 特に成長期の選手においては、ポジションに関わらず発症のリスクがあることを理解し、投球数の管理や休養を徹底することが予防の第一歩となります。 野球肘の種類と病態 野球肘は、ひとくちに「肘の痛み」と表現されますが、実際には損傷部位や発症メカニズムによって複数のタイプに分類される病態の総称です。 特に成長期の子どもから高校生にかけては骨や軟骨が未成熟なため、損傷の形態が成人とは異なる点に注意が必要です。 一般的に野球肘は次の3つに分類されます。 種類 病態の特徴 内側型 ・投球で肘内側に牽引力が加わり、内側側副靭帯や成長軟骨を損傷 ・代表例は「上腕骨内側上顆炎」。悪化すると靭帯損傷や疲労骨折に進展 外側型 ・投球で肘外側の骨同士が衝突し、関節軟骨が損傷 ・代表例は「離断性骨軟骨炎(OCD)」。進行すると骨や軟骨片が剥離し手術が必要になる場合あり 後方型 ・投球終末に肘後方で骨が衝突し、骨棘形成や炎症を起こす ・成長期から成人まで幅広く発症し、フォーム不良とも関係が深い。 野球肘は一つの疾患名ではなく、肘の内側・外側・後方に生じる複数の病態を含む包括的な名称です。 正しい診断を受けることで、自分の症状がどのタイプに属しているのかを把握し、適切な治療・リハビリにつなげることが大切です。 復帰までの流れと目安 野球肘からの復帰には、痛みを取り除くことだけでなく、原因を理解し再発を防ぐプロセスを踏むことが重要です。 症状の程度や病態(内側型・外側型・後方型)によって治療期間は異なりますが、一般的な流れは以下のようになります。 復帰時期は「痛みの消失」と「機能回復」を基準に判断すべきであり、単純に時間だけで決めてしまうと、再発の原因にもなります。 したがって、復帰には「焦らず段階を踏むこと」が最も重要であり、医師や理学療法士の指導のもとで慎重に進める必要があります。 野球肘の治療方法 野球肘の治療は、損傷の程度や病態に応じて保存療法と手術療法に分かれます。 特に成長期の選手では、安静とリハビリを中心とした保存的治療が基本となり、重症例や進行例でのみ手術が検討されます。 治療法 内容 保存療法(初期~中等度) 投球中止と安静:炎症悪化を防ぐため投球を控える 薬物療法:消炎鎮痛薬や湿布で炎症・痛みを軽減 物理療法:温熱療法・アイシングで炎症コントロール リハビリ:可動域訓練・全身筋力強化・フォーム改善で再発予防 手術療法(進行例・重症例) 離断性骨軟骨炎(OCD):骨・軟骨片除去や骨釘固定術 内側側副靭帯損傷:靭帯再建術(トミー・ジョン手術) 骨棘形成(後方型):骨棘切除術で痛みや可動域制限を改善 上記が主な治療法となりますが、成長期の野球選手では投球制限を守り、症状が出た時点で早期受診と安静が最も重要な治療となります。 したがって、野球肘の治療は単に痛みを取るだけでなく、再発を防ぎ、将来も安心してプレーを続けられる状態をつくることが最大の目的といえます。 再生医療という新しい選択肢 近年、野球肘の治療において注目されているのが再生医療です。 従来の治療は「保存療法で痛みを抑える」か「損傷部位を手術で修復する」ことが中心でした。 しかし、再生医療は体が本来持つ修復力を活用し、組織の再生や修復を促すことで、より根本的な回復を目指す新しい治療方法として広がりを見せています。 区分 内容 PRP(多血小板血漿)療法 ・自分の血液から血小板を濃縮し患部に注射 ・成長因子が組織修復を促進し、炎症を抑え回復を早める 幹細胞治療 ・脂肪や骨髄から採取した幹細胞を投与し、靭帯や軟骨の再生を誘導 ・損傷組織の修復に有効性が報告されている 再生医療は、手術に比べて低侵襲(体への負担が少ない)・組織の再生を目指せるため、根本的な回復が期待できるといったメリットが存在します。 特に再発を繰り返す選手や、早期復帰を望むアスリートにとって、有力な治療の一つといえるでしょう。 以下ではリペアセルクリニック大阪院が、肘関節において実際に行った取り組みと改善の過程の症例を紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。 野球肘は早期治療と再生医療で競技復帰と再発防止を実現できる 野球肘は、単なる「肘の痛み」ではなく、成長期の選手や投球数の多いプレーヤーに発症しやすい重大なスポーツ障害です。 放置すると靭帯損傷や軟骨障害など重症化し、競技継続に影響を及ぼす可能性があります。 そのため、早期発見と適切な治療・投球制限やフォーム改善による予防が極めて重要です。 治療法は症状に応じて「保存療法」「手術療法」が選択されますが、近年はPRP療法や幹細胞治療といった再生医療が新たな選択肢として注目されています。 特に「なるべく手術は避けたい」「競技を続けながら治療を進めたい」と考える選手や保護者の方には、リペアセルクリニック大阪院の再生医療の検討がおすすめです。 野球肘で悩んでいる方にとって、リペアセルクリニックは「保存療法と手術の間を埋める新しい選択肢」となり得ます。 「できるだけ早く競技に戻りたい」「再発を防ぎながら長く野球を続けたい」とお考えの方は、一度リペアセルクリニックに相談してみてください。
2025.09.28 -
糖尿病とは、インスリンというホルモンが産生できなくなる・効かなくなるために血糖値を下げられなくなる病気です。 悪化すると腎臓疾患や足のしびれなどの神経症状につながるため、普段の食事で血糖値が上がらないように抑えなければいけません。 しかし、実際に「何を食べたらいけないのだろう」「どれくらい食べても良いかわからない」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。 そこでこの記事では、糖尿病の食事の基本や具体的な食事例をご紹介します。 糖尿病と食事の関係・基礎知識 糖尿病とは、なんらかの原因で血糖値を下げる「インスリン」というホルモンが足りない・効かない状態になる病気です。 重症化すると血糖値が上がり続け、心筋梗塞などの血管病や糖尿病3大合併症(腎症・網膜症・神経症)が発症し命に関わります。 そのため、いかに血糖値を抑えるかが重要です。 血糖値は食事することで上がります。 つまり、糖尿病では血糖値を上げないような食事の工夫が必要です。 糖尿病の方向けの具体的な食事の例 具体的な食事のメニューを、以下に提示します。 具体的な食事例 食事例① ごはん(雑穀入り) 100g 焼き鮭 1切れ 蒸しキャベツのごま和え 具だくさん味噌汁(野菜中心) 無糖ヨーグルト 100gとフルーツ 食事例② ごはん 120g 鶏むね肉のグリル(皮なし) ブロッコリーとトマトのサラダ きんぴらごぼう(油控えめ) 具だくさん味噌汁(野菜中心) これらの食事の特徴は、以下のとおりです。 血糖値が上がりにくい食品(低GI食品)が多い 食物繊維・たんぱく質が豊富 脂質を抑えている 糖尿病の食事では、「血糖を上げすぎない・体重を増やさない・合併症を防ぐ」ことが重要です。 そのため、糖尿病診療ガイドライン※でも血糖値を上げにくい食品(雑穀や食物繊維の多い食品)が推奨されています。 また、過体重を増やすために筋肉の維持が重要なため、たんぱく質も積極的に摂取しましょう。 加えて、脂質の取りすぎは高血圧や動脈硬化につながりやすく、糖尿病の3大合併症リスクが高まるため注意してください。 ※出典:糖尿病診療ガイドライン2024 コンビニ・外食の選び方 糖尿病患者はコンビニ・外食を利用してはいけないと思われるかもしれませんがそんなことはありません。 きちんと対策を立てれば、糖尿病患者の方でもコンビニ・外食は利用できます。 具体的な対策は、以下の表をご参照ください。 対策 理由 主食を工夫する おにぎりは魚や野菜が入ったものを選ぶ サンドウィッチは揚げ物が入っていると糖質・脂質過多になるためNG 麺類はゆで卵や野菜が入ったものを選び、食物繊維とたんぱく質を補う 副菜をプラスする サラダやお肉・魚を追加し、食物繊維・たんぱく質を補う 甘い飲み物は飲まない ジュースやエナジードリンクは血糖値を急激に高めるため避ける デザートは極力控える 甘いスイーツは血糖値が上がりやすいため避ける 無糖ヨーグルトやフルールは少量なら可能 具体的な食事例で説明したとおり、血糖値が上がりにくい食品や食物繊維・たんぱく質が豊富な食事を選びましょう。 また、コンビニや外食の場合、洋食だと脂質が高くなる傾向があります。 これは洋食ではバター・生クリームといった乳製品や動物性脂肪が多いためです。 そのため、洋食では脂質過剰になる可能性があるので、ヘルシーな和食をおすすめします 食べ過ぎ時の調整方法 いろいろと気をつけていても、どうしても食べすぎてしまうこともあるでしょう。 しかし、少し食べすぎたくらいであれば以下の調整を実践すれば問題ありません。 食後に運動する 次の食事で調整する 間食を控える 食後の運動は血糖値の上昇を抑える作用に期待できるので、軽い有酸素運動やスクワットなど無理のない範囲で積極的に取り入れましょう。 また、食べすぎてしまった場合にはその次の食事の内容が重要です。 間食や糖質を抑え、食物繊維やタンパク質が豊富な食事を摂るように意識してください。 糖尿病の方向けの食事を継続するための工夫 糖尿病では、バランスの取れた食事を継続することが重要です。 そのための工夫をまとめましたので、以下の表をご参照ください。 糖尿病食を継続するための工夫 我慢より「工夫」 好きなものを完全に禁止せず量や頻度を調整して楽しみを残す 揚げ物は揚げ焼き、オーブン焼きで代用 甘い物が欲しいなら 果物を少量、または無糖ヨーグルトと一緒に 食べ方に注意する ゆっくり噛んで食べることで血糖値の急激な上昇を抑える 1日3食を規則正しく 継続しやすい環境を整える おやつやジュースは買わない(家に置かない) 食器を小さくして食べ過ぎを予防する 外食時には「定番メニュー」を決めておく バリエーションを増やす 洋食や中華・デザートの低糖質・低脂質メニューも作る 調味料を変えて飽きがこないよう調整する また、モチベーション維持のためにご褒美を設定してあげることはすすめです。 医師と相談したうえ、ご自身の体調に合ったご褒美を用意してモチベーションを高めてください。 食事療法だけでは不安な方におすすめの新しいサポートを紹介 糖尿病は治らない病気で、食事や運動で症状の進行を抑えることが重要と考えられてきました。 しかし、近年では「再生医療」が発達してきたことで根本からの改善が可能な可能性があります。 これはインスリンを産生する組織を再生医療で治療することで、体本来の機能を取り戻せる可能性があるためです。 実際に、当院リペアセルクリニック大阪院でも糖尿病患者様に対し再生医療を実施することで、症状の緩和を得られたケースを経験しました。 以下のページでご紹介していますので、気になる方はぜひご覧ください。 糖尿病食は工夫次第で日常に取り入れられる 糖尿病の食事について、献立の具体例や注意点をまとめました。 ポイントは以下のとおりです。 糖質・脂質を抑え、食物繊維・タンパク質を積極的に取り入れる コンビニや外食・食べ過ぎもリカバリー可能 無理なく継続することが大事 糖尿病ではインスリンが効きにくいため、血糖値を抑えることが重要です。 そのため食事では血糖値の上昇を抑える工夫を継続しましょう。 食事の内容だけでなく、よく噛んで食べたり継続しやすい環境を整えたりする工夫が重要です。 とはいえ食事のストレスは継続を難しくする要因ですので、楽しみながら食事を取れるように心がけてください。 なお、糖尿病は根治が難しいとされてきましたが、近年は再生医療で症状の緩和が得られる症例が増えてきています。 実際に、当院リペアセルクリニックでも効果を実感してくださる患者様を経験してきました。 もし糖尿病で根本から治療していきたいと考えられている方がおられましたら、お気軽にご相談ください。
2025.09.25 -
- 脳卒中
- 頭部
脳挫傷などの頭部外傷は、数年経過してから後遺症が現れることがあります。 最近記憶力が落ちた、集中できなくなったと感じる症状は、過去の脳挫傷が原因で後遺症が現れているかもしれません。 本記事では、脳挫傷後に数年経過してから現れる後遺症の種類や症状、後遺症に気づくきっかけについて詳しく解説します。 また、後遺症が判明した場合に利用できる支援制度や交通事故の場合の法的な問題まで、幅広く対応方法をご紹介します。 脳挫傷の後遺症でお悩みの方やそのご家族の方に、少しでも安心していただける情報をお届けします。 脳挫傷は後遺症として残りやすい傾向にある 頭部に強い衝撃を受けた際に脳組織が損傷する「脳挫傷」は、後遺症が残りやすい傾向があります。 脳挫傷が後遺症として残りやすい主な理由は以下の通りです。 脳神経細胞は一度損傷すると完全な修復が難しく、再生能力が限られている 損傷は受傷部位だけでなく周辺組織にも影響を及ぼすことがある 初期検査では検出できない微細な損傷が時間経過とともに症状として現れることがある 脳の各部位が特定の機能を担っているため、損傷部位によって症状が異なる 重要なのは、脳挫傷の重症度と後遺症の程度が必ずしも比例しないことです。 一見すると軽症に見えても、後に深刻な後遺症が現れる可能性があります。 とくに高次脳機能障害が軽度の場合などは、日常生活や仕事の中で少しずつ症状に気づくことがあります。 頭部に衝撃を受けた場合は、症状がなくても医療機関での診察と経過観察を行うことが重要です。 脳挫傷(頭部外傷)の数年後に現れやすい後遺症 脳挫傷を含む頭部外傷では、受傷直後から症状が現れるケースだけでなく、数ヶ月から数年経過してから症状が顕在化することがあります。 これは遅発性後遺症・遅発性脳障害と呼ばれることもあり、患者さまやご家族が戸惑うことが少なくありません。 脳挫傷の数年後に現れやすい後遺症は個人差が大きく、脳のどの部位が損傷を受けたかによっても異なります。 数年後に現れやすいとされる後遺症は以下の通りです。 遅発性脳障害 高次脳機能障害 外傷性てんかん 身体性機能障害 本章では、それぞれの後遺症について詳しく解説していきます。 遅発性脳障害 頭部外傷後、数ヶ月から数年、あるいは数十年経過してから現れる神経変性疾患を遅発性脳障害と呼びます。 脳挫傷に限らず、頭部外傷によって引き起こされる可能性がある後遺症です。 現れる症状は、高次脳機能障害や外傷性てんかん、人格変化、PTSDなどさまざまです。 代表例として「慢性外傷性脳症(CTE)」があり、かつては「ボクサー脳症」として知られていました。 慢性外傷性脳症(CTE)」は主にボクシングやアメリカンフットボールなどで繰り返しの頭部外傷を受けた人に見られますが、稀に単発の重度頭部外傷後にも発症します。 症状の出現に個人差があるため、頭部外傷の既往がある方は定期的な経過観察が重要です。 高次脳機能障害 高次脳機能障害とは、脳挫傷などの頭部外傷によって引き起こされる認知・記憶・行動などの機能障害です。 特徴的なのは、受傷直後には明らかな症状が現れず、数ヶ月から数年後に日常生活や仕事の中で徐々に気づかれることがあるという点です。 とくに症状が軽い場合、脳挫傷直後に異常を自覚できないことが多く、時間の経過とともに症状が顕在化します。 会社や学校復帰後、複数作業の処理が困難になったり、新しい情報を記憶するのが難しくなったりといった、社会生活で変化に気づくケースが少なくありません。 異変を感じたらすぐに専門医への受診をおすすめします。 外傷性てんかん 頭部外傷後、数ヶ月から数年経過してから外傷性てんかんが発症することがあります。 外傷性てんかんには発症時期によって分類があります。 受傷後24時間以内や1週間以内に発作が起きる「超早期・早期てんかん」 受傷後1週間以上経過してから発症する「晩期てんかん」 早期てんかんは晩期てんかんと比較して予後が良好なケースが多く見られますが、個人差があります。 一方、晩期てんかんはより長期的な治療が必要になることが多く、中には難治性てんかんに進展する場合もあります。 症状としては痙攣発作や意識障害が典型的であり、発作が繰り返されることで日常生活に支障をきたします。 重要なのは、脳損傷の大きさだけではてんかんの重症度は判断できないという点です。損傷部位以外が二次的にてんかんの原因となるケースもあります。 専門医による適切な診断と継続的な抗てんかん薬による治療が必要になるので、症状が現れた場合は、すみやかに神経内科や脳神経外科を受診しましょう。 身体性機能障害 脳挫傷を含む頭部外傷後に生じる身体性機能障害の代表的なものが、運動麻痺です。 これは脳の運動をつかさどる部位(大脳皮質運動野や内包、橋など)が損傷を受けることで起こります。 運動麻痺はその範囲によって以下のように分類されます。 四肢麻痺:両側の四肢(両腕と両脚)が麻痺する状態 片麻痺:一側の上下肢(片方の腕と脚)が麻痺する状態 単麻痺:一肢のみ(片方の腕または脚)が麻痺する状態 また、麻痺の程度は重症度によって以下のように分けられます。 高度:運動性・支持性がほとんど失われ、基本動作ができない状態 中等度:運動性・支持性が相当程度失われ、基本動作にかなりの制限がある状態 軽度:運動性・支持性が多少失われ、動作の巧緻性や速度が損なわれている状態 症状は時間経過とともに改善することもありますが、重度の場合は後遺症として残ることもあります。 身体性機能障害は日常生活や就労に大きな影響を与えることがあり、重症度に応じたリハビリテーションや支援が必要です。 数年後に脳挫傷の後遺症に気づくきっかけとなる症状 脳挫傷を含む頭部外傷を受けた後、数年経過してから後遺症に気づくことは珍しくありません。 とくに高次脳機能障害は、日常生活の中で少しずつ顕在化することが多いのが特徴です。 後遺症に気づくきっかけは、主に日常のさまざまな場面での「以前とは違う」という変化として現れます。 仕事や学業のパフォーマンスの低下、人間関係での摩擦の増加、日常生活での計画立案や実行の困難さなど、脳の機能低下が具体的な形で現れるようになります。 これらの症状は当初、単なる疲れや加齢、ストレスによるものと考えられがちですが、実は脳挫傷の後遺症である可能性があります。 以下では、数年後に気づくことが多い主な症状について、仕事・学業、人間関係、日常生活の3つの側面から詳しく解説していきます。 仕事や学業での困難|記憶力低下・複数作業の困難さ 脳挫傷後の数年経過後に気づかれやすい症状として、仕事や学業での困難があります。 とくに「記憶力の低下」は多くの患者さまが自覚する症状です。 新しい情報を覚えられない 覚えてもすぐに忘れてしまう 以前なら簡単に思い出せたことが出てこない など また「複数の作業を同時に行う難しさ」も特徴的です。 会議中にメモを取りながら発言の内容を理解する、話をしながら資料を探すなど、以前は何気なくできていた同時並行作業が困難になります。 集中力も続かなくなり、作業の切り替えにも時間がかかるようになります。 こうした変化によって、仕事のミスが増える、納期に間に合わない、学業成績が低下するなどの問題が生じ、本人が「何かおかしい」と感じるきっかけになることが少なくありません。 人間関係の変化|感情コントロール・対人関係の問題 脳挫傷の後遺症として、感情のコントロールが難しくなることがあります。 これは前頭葉の機能低下によるもので、以前は抑制できていた感情が抑えられなくなる症状です。 些細なことでイライラする 急に怒りっぽくなる 感情の起伏が激しくなる 泣きやすくなる など 具体的には、些細なことでイライラする、急に怒りっぽくなる、感情の起伏が激しくなる、泣きやすくなるなどの変化が現れます。 また、感情表現が乏しくなる「感情の平板化」が起こることもあります。 これらの変化は対人関係に大きな影響を与えます。家族や同僚、友人との関係に摩擦が生じ、「性格が変わった」と周囲から指摘されることも少なくありません。 本人は自分の変化に気づいていないこともあり、周囲からの指摘で初めて後遺症の可能性に気づくケースもあります。 日常生活での支障|計画性の低下・疲れやすさ 脳挫傷の後遺症は日常生活にも様々な支障をきたします。 予定の管理ができなくなる、 優先順位をつけられなくなる 数時間で極度の疲労を感じる 集中力が持続しない これらの「計画性の低下」と「疲れやすさ」は特徴的な症状です。 その他、時間や場所の感覚が鈍くなる、物事への関心が薄れる、意欲の低下などの症状も現れることがあります。 これらの変化が複合的に起こることで、日常生活全般に支障をきたし、生活の質が低下します。 交通事故から数年後に脳挫傷の後遺症が現れた場合 交通事故などによる脳挫傷の後遺症が数年後に現れるケースは少なくありません。 当初は軽症と思われていた症状が時間の経過とともに悪化したり、新たな症状が出現したりすることがあります。 このような「遅発性」の後遺症は、法的・医学的に複雑な問題を引き起こすことがあります。 脳挫傷による主な後遺症には以下のようなものがあります。 後遺症の種類 主な症状 高次脳機能障害 記憶障害 集中力低下 判断力・計画力の低下 情緒的変化 身体性機能障害 身体の麻痺 手足のしびれ 歩行障害 バランス感覚の低下 外傷性てんかん けいれん発作 意識障害 認知機能の低下 遅発性脳障害 進行性の認知症状 人格変化 運動障害 感覚器の機能障害 視力低下 聴力障害 嗅覚・味覚異常 平衡機能障害 めまい 吐き気 バランス感覚の喪失 慢性頭痛 持続的な頭痛 光・音への過敏症状 交通事故から数年経過して後遺症が判明した場合、損害賠償請求の期限や、事故と症状の因果関係の立証など、法的な問題に直面することがあります。 本章では、これらの課題について詳しく解説します。 損害賠償請求の期限|民法の規定 交通事故から数年後に脳挫傷の後遺症が判明した場合、損害賠償請求が可能かどうかは「消滅時効」という概念が重要になります。 民法では不法行為による損害賠償請求権に関して、第724条で「被害者またはその法定代理人が損害および加害者を知った時から3年間」※と規定しています。 ※出典:民法 第七百二十四条 さらに第724条の2では、「人の生命または身体を害する不法行為」については、この期間が「5年間」に延長※されます。 ※出典:民法 第七百二十四条の二 つまり、脳挫傷の後遺症を自覚した時点から5年以内であれば、法律上は損害賠償請求が可能となります。 また第724条では「不法行為の時(事故発生時)から20年間」という長期の時効期間も設けられています。 ただし、後遺症が発生してから年月が経過するほど、その症状と事故との因果関係を証明することは難しくなります。 時効が成立していなくても、因果関係の立証ができなければ賠償請求は認められない可能性が高いのが実情です。 数年後に因果関係を立証するのは簡単ではない 脳挫傷の後遺症と交通事故との因果関係を数年後に立証することは、非常に困難です。 一般的に交通事故による症状は事故直後から現れ、時間の経過とともに改善していくと考えられています。 そのため、「数年後に症状が出現した」と主張しても、「事故との関連性が不明」と反論されるケースが多いのです。 因果関係を立証するためには、以下の条件が必要と考えられます。 事故(受傷)の事実が客観的に確認できること 日常生活または社会生活に明らかな制約があること その制約の主な原因が脳損傷による障害であること 事故直後からの診断画像や診断書など医学的証拠があること 特に重要なのは、事故後早期の段階でMRIやCTなどの画像検査で脳損傷の所見が確認されていること、そして継続的に医療機関を受診していた記録が残っていることです。 これらの証拠がなければ、後遺症と事故との因果関係を証明することは極めて困難になります。 脳挫傷の後遺症が数年後に判明した場合の対応方法 脳挫傷の後遺症が数年経過してから判明した場合でも、適切な対応で症状改善や生活の質向上が期待できます。 対応の基本は三つの側面から考えることが重要です。 専門的な医療機関での診断と適切なリハビリテーション 家族を含めた周囲の理解とサポート体制の構築 利用可能な公的支援制度の活用です。 後遺症の種類や重症度は個人差が大きいため、患者さま一人ひとりの状況に合わせた総合的なアプローチが必要になります。 本章では、これらの対応方法について詳しく解説していきます。 医療機関の受診とリハビリ 脳挫傷の後遺症を疑う症状に気づいたら、まずは脳神経外科や神経内科などの専門医療機関を受診しましょう。 医師に対して「以前に頭部外傷があった」ことを必ず伝え、現在の症状を詳しく説明することが重要です。 診断では、MRIやCTなどの画像検査に加え、神経心理学的検査などが行われることがあります。 診断が確定したら、症状に応じた適切なリハビリテーションプログラムが提案されます。 機能回復のためには、高次脳機能障害には認知リハビリテーション、運動麻痺には理学療法など、症状に合わせた専門的なリハビリの継続が重要です。 家族や周囲のサポート 脳挫傷の後遺症、特に高次脳機能障害は目に見えない障害であるため、家族や周囲の理解とサポートが非常に大切です。 患者さまの変化を理解し、無理な要求を避け、できることを少しずつ増やしていく姿勢を持ち接することで、症状の改善を目指せます。 また、家族会などの自助グループに参加することで、同じ悩みを持つ家族との情報交換や精神的なサポートも得られます。 日常生活では、環境を整理して混乱を減らす、メモやスケジュール表を活用するなどのサポートも効果的です。 後遺症が判明した際に利用できる支援制度 脳挫傷の後遺症が判明した場合、以下のような公的支援制度を利用することができます。 高次脳機能障害の相談窓口:各都道府県に設置されており、相談支援を行うほか、適切な医療機関や支援機関の紹介を行っています。 障害者手帳の申請:症状に応じて、身体障害者手帳や精神障害者保健福祉手帳の交付対象となる場合があり、医療費助成や税金の減免などの支援を受けられることがあります。 介護保険サービス:40歳以上の方で、症状が介護保険の特定疾病に該当する場合、介護保険サービスを利用できることがあります。 障害福祉サービス:自立支援医療や就労支援サービスなど、障害者総合支援法に基づくサービスを利用できる場合があります。 これらの制度を効果的に活用するために、地域の障害福祉課や高次脳機能障害の相談窓口に連絡することをおすすめします。 【まとめ】脳挫傷(頭部外傷)は数年後に後遺症が現れる可能性がある 脳挫傷は後遺症が残りやすい傾向があり、受傷直後だけでなく数年後に症状が顕在化することがあります。 主な後遺症として高次脳機能障害、遅発性脳障害、外傷性てんかん、身体性機能障害などが挙げられます。 後遺症に気づくきっかけは、記憶力低下や複数作業の困難さ、感情コントロールの問題、計画性の低下や疲れやすさなど、日常生活の様々な場面での変化として現れます。 数年後に後遺症が判明した場合でも、専門医療機関での診断・リハビリ、家族のサポート、公的支援制度の活用など適切な対応で症状改善が期待できます。 頭部に衝撃を受けた方は、症状の有無にかかわらず医療機関を受診して、経過を観察しましょう。 脳の疾患による後遺症に対して、近年では改善・回復効果が期待できる治療方法として再生医療が注目されています。 当院「リペアセルクリニック」では、患者様自身の幹細胞を採取・培養して投与する幹細胞治療を実施しています。 幹細胞は神経・血管・骨・軟骨などに変化する性質があり、その幹細胞を培養して数を増やすことで、いろいろな組織に変化する性質を利用して脳細胞を再生。 これによって一度機能しなくなった脳細胞が復活し、脳卒中の後遺症の改善が期待できます。 脳の再生医療による脳卒中の治療は、早ければ早いほど脳機能の回復が期待できますが、一定時間が経ってしまっても効果を発揮します。 再生医療について興味をお持ちの方は、お気軽に当クリニックまでご相談ください。
2025.03.08 -
- 脳梗塞
- 脳卒中
- 頭部
脳挫傷の後遺症が治るのか、不安な方はいませんか。 脳挫傷とは、頭部へ強い衝撃が加わることで、脳が損傷し出血や腫れを引き起こした状態です。 損傷部位や衝撃を受けた範囲によって、症状の程度や回復具合は異なります。 本記事では、脳挫傷の後遺症や後遺症の回復に影響する要因について、詳しく解説します。 後遺症について不安がある方は、ぜひこの記事を参考にしてください。 脳挫傷の後遺症は治るのか|回復の可能性について 脳挫傷では、脳組織の破壊がみられない、損傷の程度が軽度であれば、症状は徐々に回復する可能性があります。 しかし、損傷が重度の場合や適切な治療が遅れた場合は、後遺症が残ることもあります。 脳は人体の他の部位に比べて再生能力が乏しいため、損傷度合いが大きい場合は完全再生が難しいことが理由です。 また、回復の程度は脳の損傷部位・範囲・深さや、リハビリテーションなどによって大きく異なります。 脳挫傷になった際の年齢や合併症の有無などの要因も、後遺症の出現に大きく関係するため、患者様自身に合った治療を受けることが重要です。 脳挫傷の原因・症状を解説 脳挫傷の原因は、交通事故や転倒などで、頭部に強い衝撃が加わることです。 脳の損傷部位や程度によって、以下の症状が現れます。 頭痛 嘔気・嘔吐 意識障害 麻痺 感覚障害 言語障害 脳挫傷は、受傷後1~2日経過してから症状が現れることもあるため、事故直後は無症状だった場合も経過に注意が必要です。 頭部を強打した場合は、たとえ無症状でも必ず医療機関を受診し、医師の指示に従って経過観察を行ってください。 脳挫傷の後遺症 脳挫傷になると、以下の後遺症が現れる場合があります。 軽度の脳挫傷であれば、適切な治療と経過観察により、数日で症状が改善する場合もあります。 しかし、重症の場合は生命に関わる状態になったり、重い後遺症が残ったりする可能性があります。 重い後遺症は日常生活に支障をきたす可能性が高いため、症状に気づいた時点で早急に医療機関を受診しましょう。 高次脳機能障害 脳挫傷の後遺症の1つに、高次脳機能障害があります。高次脳機能障害とは、「脳損傷に起因する認知障害※」のことであり、主に以下の4つの機能が障害されます。 ※引用:高次脳機能障害情報・支援センター 記憶障害 注意障害 遂行機能障害 社会的行動障害 記憶力や注意力が低下したり、物事を上手く実行できなかったりする症状のため、周囲から見ても症状がわかりにくいのが特徴です。 運動機能障害 脳挫傷になると、身体の麻痺やしびれをはじめとした、以下の症状が現れる運動機能障害を引き起こす場合があります。 手足のしびれ 身体の麻痺 筋力低下 歩行障害 運動機能障害は継続的なリハビリテーションで、徐々に症状が回復していく可能性があります。 感覚障害 脳挫傷の後遺症に、以下の6種類の感覚障害がみられる場合があります。 感覚障害の種類 症状 感覚過敏 外部からの刺激が過剰に感じ、不快感を伴う 異常感覚 電気が走っているような感覚がみられる 錯感覚 触られると痛みやぴりぴり感を感じる 神経痛 神経の刺激により引き起こされる痛みを感じる 感覚鈍麻 五感(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚)が鈍くなる 感覚脱失 五感(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚)を感じなくなる しびれや痛みなどの症状は、感覚障害から引き起こされる場合と運動障害に起因しているケースがあります。 感覚障害と運動障害を併発している場合もあるため、医療機関を受診して原因を調べることが必要です。 遷延性意識障害 遷延性意識障害(植物状態)は、重篤な脳挫傷の後遺症の1つです。 日本脳神経外科学会は、以下の6項目が3カ月以上続いた状態を「遷延性意識障害」と定義しています。 自力移動が不可能である 自力摂食が不可能である 屎尿失禁状態にある 声を出しても意味のある発語が不可能である 簡単な命令(眼を開く、手を握るなど)にはかろうじて応じることもあるが、それ以上の意思疎通は不可能である 眼球はかろうじて物を追っても認識は出来ない 遷延性意識障害は、適切な治療を受けても症状の改善がみられない状態を指します。 外傷性てんかん 脳挫傷の後遺症に、外傷性てんかんがあります。 外傷性てんかんとは、脳から発せられる身体を動かす指令が正常時とは異なってしまう疾患で、以下の症状が現れます。 けいれんが起こる 意識を消失する 記憶が飛ぶ てんかん発作は、多くの場合は繰り返し症状が現れます。早期に適切な治療を開始し、てんかんの発生頻度を低下させまることで症状をコントロールすることが重要です。 平衡機能障害 脳挫傷では、平衡機能障害が後遺症として現れる場合があります。平衡機能障害は身体のバランスが取りづらくなる状態で、以下の症状がみられます。 めまいやふらつき 歩行困難 立位の不安定性 めまいやふらつきの症状が重くなると、転倒リスクが高まるため注意が必要です。 平衡機能障害が後遺症で出た場合は、医師の指示のもとリハビリテーションやバランス運動を行い、平衡感覚の改善を目指しましょう。 頭痛 脳挫傷になると、慢性的な頭痛が現れる場合があります。 頭痛がひどい場合には、光や音に敏感になったり、吐き気を催したりするケースもあります。 受傷直後より痛みが激しくなった場合は、脳挫傷の悪化も考えられるため、早急に医療機関を受診してください。 脳挫傷の後遺症の回復に影響する要因 脳挫傷の後遺症の回復には、以下の要因が影響します。 損傷した部位や範囲 損傷の深さ 受傷時の年齢 既往歴 合併症の有無 脳挫傷は損傷部位によって現れる症状が異なり、後遺症の回復にも個人差があります。 後遺症の回復には早期治療がカギとなるため、少しでも身体に異変を感じたら、医療機関を受診し治療を受けましょう。 脳挫傷の後遺症の治療・リハビリテーション 脳挫傷の後遺症の治療やリハビリテーションは、受傷してからの日数によって異なります。 急性期から治療やリハビリテーションを開始すると、後遺症が回復する可能性が高まります。 時期や症状に合った治療を受け、後遺症の回復を目指しましょう。 急性期のリハビリテーション 脳挫傷の急性期は、全身状態が不安定で生命の危険性もあるため、感覚刺激やポジショニング(正しい姿勢の保持)を主としたリハビリテーションを行います。 急性期は昏睡状態や意識障害が生じている場合が多く、集中治療室で全身状態を厳重に管理されている場合がほとんどです。 肺炎・褥瘡・関節拘縮といった二次的な合併症の予防をしつつ、早期の機能回復を目指しリハビリテーションを実施します。 回復期のリハビリテーション 急性期を脱し全身状態の安定がみられる回復期は、以下の4機能に分けてリハビリテーションを進めていくことが大切です。 運動機能 日常生活動作 認知機能 行動異常 脳挫傷をはじめとした頭部外傷では、初期の意識障害が長期にわたるほど高次脳機能障害が重症化しやすく、後遺症の回復が難しくなる傾向があります。 維持期(生活期)のリハビリテーション 脳挫傷の維持期は生活期と呼ばれ、後遺症と上手く付き合うためのリハビリテーションを行います。 脳挫傷は後遺症の回復の程度に個人差が大きく、社会生活へ復帰するまでの期間も異なり、数ヶ月から数年、あるいはそれ以上かかる場合もあり様々です。 運動機能や認知機能へアプローチするリハビリテーションを継続しながら、日常生活動作の再獲得を目指しましょう。 脳挫傷の後遺症と上手く付き合うための生活の工夫 脳挫傷の方は、以下を参考に生活を工夫し、後遺症と上手く付き合うことが大切です。 環境を整備する リハビリで自身に合った身体の動かし方を知る 家族や友人、職場へ症状を伝えておく 気になる症状がある場合は早めに医療機関を受診する 受傷直後に無症状であった脳挫傷でも、経時的に後遺症が現れる場合があります。 脳挫傷の症状がみられる場合は、家族や友人など周囲の人に症状の程度を伝えておき、必要時にサポートを受けることも大切です。 高次脳機能障害や認知機能の低下により、新たな症状に気づかないケースもあるため、少しでも気になる症状がある場合は早めに医療機関を受診しましょう。 【まとめ】脳挫傷の後遺症は回復する可能性がある!早期リハビリテーションの実施が重要 脳挫傷は組織が損傷していなければ、後遺症の回復が期待できます。 後遺症の回復には、早期治療や継続的なリハビリテーションの実施が重要なため、症状がみられたら早急に医療機関を受診しましょう。 ただし、発症してから一定期間が過ぎてしまった場合、リハビリテーション以外に後遺症に対して効果のある治療法がないのが現実です。 脳挫傷を含む脳卒中の症状の多くは、発症後数ヶ月はリハビリを行えば改善が見込めますが、慢性期を過ぎてしまった場合は効果が低くなっていきます。 そのようなケースに対して回復効果が期待できるのが再生治療です。 当院(リペアセルクリニック)では、損傷した部位の修復や再発予防が期待できる、再生医療による治療を実施しています。 後遺症でお困りの方は、お気軽に当院(リペアセルクリニック)へご相談ください。
2025.03.08 -
- 脳卒中
- 頭部
「高次脳機能障害は治るか知りたい」と不安や疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。 高次脳機能障害とは、脳の一部がダメージを受けたことで思うような行動が取れなくなったり、注意力や記憶力に問題が生じたりする脳卒中の後遺症の一つです。 高次脳機能障害は完治が難しいと考えられていますが、リハビリを受けることで症状の緩和・改善が見込めます。 この記事では、高次脳機能障害の回復過程やリハビリ方法について解説しています。 また、当院リペアセルクリニックの公式LINEでは、脳卒中の治療として注目されている再生医療に関する内容や症例を公開中です。 後遺症の改善や、脳卒中の再発予防につながる可能性がある治療法なので参考にしてください。 高次脳機能障害が治る見込みはある? 高次脳機能障害はリハビリを継続することで改善の見込みがあります。 脳は損傷を受けても残っている神経の働きを活用したり、新しい神経経路を作り出したりする可塑性(かそせい)と呼ばれる力があります。 そのため、早期に適切なリハビリを始め、継続的に取り組むことが重要です。 ただし、リハビリの効果があらわれるスピードや程度は個人差があります。 症状が軽度の方は比較的早く改善が見られることもありますが、重度の場合は回復に時間がかかることもあります。 専門医と相談しながら、患者さまに合ったリハビリを継続しましょう。 高次脳機能障害の回復過程|期間は1年が目安 高次脳機能障害とは、脳の損傷により記憶力・注意力・思考力・言語能力・感情などに障害が起こる後遺症です。 主な原因は脳卒中(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血など)や、交通事故による頭部の外傷とされています。 高次脳機能障害は外見からはわかりにくく、周囲の方や患者さまも障害に気づきにくいのが特徴です。 適切なリハビリを受けると、症状が回復する可能性があります。 リハビリ後1年で約97%の方に改善がみられる 回復には発症から早期のリハビリ開始が重要 この項目では、高次脳機能障害の具体的な回復期間について解説します。 リハビリ後1年で約97%の方に改善がみられる 高次脳機能障害のリハビリを受けた方のうち、症状の改善がみられた割合は以下の通りです。※ ※出典:高次脳機能障害者支援の手引き(改訂第2版) 発症から半年:74% 発症から1年:97% 高次脳機能障害は、発症早期に適切な訓練を受けるのが重要です。 多様な種類のリハビリがあるので医療機関や福祉施設など、さまざまなサービスと連携して行います。 リハビリの効果には個人差がありますが、合計1年を目安とした訓練を受けるのが望ましいです。 回復には発症から早期のリハビリ開始が重要 高次脳機能障害は、発症からリハビリ開始までの期間が短いほど、改善に期待ができます。 発症からリハビリ開始までの期間別に、症状が改善した患者の割合をまとめました。※ ※出典:平成13年度高次脳機能障害支援モデル事業年次報告 (北海道・札幌市) 発症から6カ月以内に訓練開始:46%が改善 6か月から1年以内に訓練開始:32%が改善 1年以上経ってから訓練開始:14%が改善 高次脳機能障害は外見からはわかりにくく、患者さま本人やご家族も障害に気づかない場合や気付くのが遅れる場合もあります。 上記のデータでは、発症から時間が経ってしまうと十分な効果を得にくい傾向があることがわかります。 リハビリは医療機関やリハビリテーションセンターで受けられるので、心配な方は受診を検討してください。 【症状別】高次脳機能障害のリハビリ方法 高次脳機能障害のリハビリは、主に病院や診療所などで行います。 以下では、高次脳機能障害の症状とリハビリの内容をまとめました。 記憶障害のリハビリ方法 注意障害のリハビリ方法 遂行機能障害のリハビリ方法 社会的行動障害のリハビリ方法 一つずつみていきましょう。 記憶障害のリハビリ方法 高次脳機能障害の症状の一つに記憶障害があります。 記憶障害とは、新しい情報を覚えにくくなったり、過去の出来事や約束を忘れやすくなったりする状態※を指します。 ※出典「:医学的リハビリテーションプログラム | 国立障害者リハビリテーションセンター」 また、新しいことを覚えるのに時間がかかることも少なくありません。 記憶障害のリハビリでは、どの種類の記憶に問題があるのか、どの程度の期間情報を保持できるのかを確認しながら個々に合った訓練を行うことが重要です。 具体的なリハビリ方法は、主に以下の2つに分けられます。 リハビリ方法 内容 内的記憶戦略法 言葉やイラストを使って情報を関連付けることで、覚えやすくする 買い物リストを頭の中で物語のように組み立てる 覚えたい言葉を絵や記号と結びつける 外的補助手段 ノート、手帳、スマートフォンのメモ機能などを活用して、忘れやすい情報を補う 日々の予定や買い物リスト、重要な連絡事項などを記録し、忘れたことによる不便やトラブルの軽減を目指す いずれの方法も、訓練を繰り返し行います。 また、思い出しやすい環境を整えることも効果的です。 ご家族が声かけやメモの補助を行うことで、リハビリの効果をさらに高められます。 注意障害のリハビリ方法 高次脳機能障害の症状の一つに注意障害があります。 注意障害とは物事に集中する力が低下したり、周囲の状況をうまく判断できなかったりする状態※です。 ※出典:「医学的リハビリテーションプログラム | 国立障害者リハビリテーションセンター」 たとえば、長時間の作業が続かず途中で止めてしまったり、複数の作業を同時にこなすのが難しかったりする場合があります。 注意障害のリハビリでは、集中しやすい環境を整えることが大切です。 具体的には、個室や静かな場所で決まった支援者と一緒に訓練を行うことで、注意力を高めやすくなります。 また、課題は簡単なものから少しずつステップアップしていくことが効果的です。 主なリハビリの内容は、以下の通りです。 パズル まちがい探し 教育関連のテキスト 電卓の計算 校正作業 辞書調べ 入力作業 訓練を繰り返すと注意を持続させる力が徐々に改善され、日常生活や仕事でのミス軽減につながります。 ご家族がそばで声かけや環境の調整を行うことも、リハビリの効果を高めるポイントです。 遂行機能障害のリハビリ方法 高次脳機能障害の一つに遂行機能障害があります。 遂行機能は物事を計画・段取りする力で、障害があると予定に遅れやすくなったり、作業を途中でやめたりします。※ ※出典:「医学的リハビリテーションプログラム | 国立障害者リハビリテーションセンター」 記憶障害や注意障害が影響している場合もあり、どの能力に問題があるのかを見極めることが重要です。 遂行機能障害のリハビリでは日常生活や作業に近い課題を通して、計画性や行動の管理能力を段階的に訓練します。 個々の特性に応じて、習慣化しやすい方法を取り入れることもポイントです。 主なリハビリの内容は、以下の通りです。 日常生活で必要な動作や作業を繰り返し行って習慣化し、手順を体で覚える 作業やスケジュールの順序を支援者と一緒に考え、段取りの立て方や優先順位を身につける ワークブックや組み立てキットなどマニュアルに沿って作業を行い、計画性の改善と作業の安定につなげる リハビリを繰り返すことで、遂行機能障害の影響を受けにくい生活の習慣や作業手順を作れます。 ご家族が日常生活で声かけや作業の補助を行うと、より効果的にリハビリを進められます。 社会的行動障害のリハビリ方法 高次脳機能障害の一つに社会的行動障害があります。 社会的行動障害は欲求や感情のコントロールが難しくなり、他者との関わりで問題が生じやすくなる症状※です。 ※出典:「医学的リハビリテーションプログラム | 国立障害者リハビリテーションセンター」 たとえば、興奮して大声を出したり、自傷行為に至ったり、自分中心の行動で満足感を得ようとしたりする場合があります。 社会的行動障害のリハビリでは、まず刺激の少ない静かな環境を整えることが重要です。 どのような状況やきっかけで症状が現れるのかを把握し、患者さまと一緒に対処法を考えていきます。 主なリハビリの内容は、以下の通りです。 症状が出やすい場面や行動のパターンを観察し、どの刺激が問題を引き起こすかを整理する 落ち着く方法や感情の切り替え方、声かけや環境調整など、症状が出たときに取る対応を練習する 簡単なゲームやロールプレイを通じて他者との関わり方やマナーを学ぶ リハビリを繰り返すことで感情や行動のコントロールが少しずつ身につき、日常生活や人間関係の安定につながります。 ご家族の理解や支援も、リハビリ効果を高める大切なポイントです。 高次脳機能障害へ家族ができる接し方と対応方法 高次脳機能障害へご家族ができる接し方と対応方法は、以下の通りです。 症状を理解する 生活環境を整備する 専門機関の利用を検討する 高次脳機能障害のある方を支える際、ご家族の関わり方は回復や日常生活の安定に大きく影響します。 接し方や対応方法を知ることで、本人もご家族も負担を軽くしながら生活しやすくなります。 症状を理解する 高次脳機能障害に対応する際は、まず症状を正しく理解することが大切です。 症状の現れ方は患者さまによって異なり、たとえば物事をすぐに忘れてしまう、集中が続かない、決められた行動がとれない、感情の起伏が激しいなど多岐に渡るためです。 対応の基本的な考え方は、以下の通りです。 どのようなときに問題が現れるのか観察する 問題が現れた際の状況を整理する(時間や場所、相手、話題など) 整理した状況を元に、単純な対策を立てて実行する(人の多い場所を避ける、手帳やメモなどの補助ツールを活用する) ※出典:厚生労働科学研究「障害福祉サービス等事業者向け高次脳機能障害支援マニュアル」 高次脳機能障害の方自身も感情のコントロールが難しい場合があるため、ご家族が症状を把握しておくことで無用な摩擦を避けられます。 症状を理解できれば、患者さまもご家族も余計なストレスを減らせ、日常生活のサポートがよりスムーズになります。 生活環境を整備する 高次脳機能障害のある方を支える上で、生活環境の整備は有効な対処法です。 環境を工夫できれば日常生活のしやすさが増し、症状の悪化を防ぎ改善を助ける可能性があります。 環境整備の具体例は、以下の通りです。 症状 環境整備の具体例 作業のミスが多い 作業後のチェック方法を話し合って決める 外出のたびに家の鍵が見つからない 鍵の保管場所を決める 家電の操作方法が覚えられない 操作方法の図や写真を家電の近くに貼る 浴室に入っても体を洗わずに座っている 最初の動作を補助する ギャンブルにお金を使い込む 不安や他の問題の回避のためにギャンブルに依存している可能性があるため、代替え方法を探してみる ※出典:厚生労働科学研究「障害福祉サービス等事業者向け高次脳機能障害支援マニュアル」 上記の工夫により本人は安心して生活でき、ご家族もサポートしやすくなります。 専門機関の利用を検討する 高次脳機能障害の症状に長期的に対応するために、医療や介護・福祉の専門サービスを活用しましょう。 主な障害福祉サービスの一例は、下記の通りです。 障害者福祉サービス 内容 自立訓練(生活訓練) 通所や自宅の訪問、施設での宿泊などを通じて日常生活に必要な能力を高めるための支援を行う 共同生活援助(グループホーム) 少人数での共同生活にて孤立の防止や身体・精神状態の安定を目指す 施設入所支援 施設に入所した方に入浴や食事の介護、日常生活の支援を行う ※出典:厚生労働科学研究「障害福祉サービス等事業者向け高次脳機能障害支援マニュアル」 また、高次脳機能障害の方が受けられる支援の一例は、下記の通りです。 身体障害者手帳を取得すると、医療費の自己負担が軽くなったり、公共料金が割引かれたりする 介護保険を利用して訪問介護やヘルパーサービスを受け、本人やサポートするご家族の負担を軽減する 医療機関やリハビリ施設では、症状に応じたリハビリプログラムを提供してもらえる 患者さまとご家族が安心して生活するために、制度やサービスを上手に活用しましょう。 高次脳機能障害の社会復帰を目指す生活訓練プログラムについて 生活訓練プログラムとは、日常生活を安定させ、積極的な社会参加ができるようになることを目指します。 患者さま本人だけでなく、ご家族にも働きかけます。 以下では、生活訓練プログラムの内容をまとめました。 生活リズムの確立 生活で必要な管理能力の向上 社会生活技能の獲得 社会的コミュニケーション能力の向上 障害の自己認識と現実的な目標設定 必要とする支援の明確化 家族への支援体制 順番に紹介します。 生活リズムの確立 生活訓練プログラムでは、生活リズムを整えるのが重要です。 高次脳機能障害では、記憶力や意欲の低下によって、日課を組み立てて行動するのが難しい場合があるためです。 施設に入所して規則正しい生活を身につけ、日中の訓練と訓練の空き時間を少なくすると安定する傾向にあります。 生活で必要な管理能力の向上 生活管理能力の向上も生活訓練プログラムの一つに挙げられます。 患者さま自身が進んで日課をこなすために、施設では以下の訓練を行います。 スケジュール帳の活用 目印や案内の表示に沿って行動する その日のスケジュールを確認する時間をとる チェック表や薬ボックスを使用して服薬を管理する 小遣い帳を使用して金銭を管理する スケジュール帳や薬ボックスなど、シンプルでわかりやすいものを使用して、自己管理の習慣化を図ります。 社会生活技能の獲得 社会生活技能では、地域での生活や患者さまの目標に沿って外出や生活体験の実習を行います。 具体的な内容は買い物や交通機関の利用、調理などです。 支援者から実習の場で評価や助言があるので、次回に活かせるようにしましょう。 社会的コミュニケーション能力の向上 社会的なコミュニケーション能力を向上するために、施設の患者さま同士でグループワークを行います。 意見の交換や役割分担などは、コミュニケーション能力の向上に効果的です。 グループワークでは、福祉制度を学んだり、外出の計画をしたりします。 また、他の施設の患者さまと共に日課をこなし、交流するのも重要な訓練です。 障害の自己認識と現実的な目標設定 生活訓練プログラムでは、障害の認識を深め、現実的な目標が設定できるようになる支援も行っています。 具体的な内容は以下の通りです。 外出や課題の訓練のフィードバックを受ける 患者さま同士のトラブルがあった際、支援者による客観的なフィードバックを受ける 一般企業や就労継続支援事業所にて実習する 実習の結果は、職員から直接本人に伝えてもらうとより高い効果が期待できます。 必要とする支援の明確化 必要とする支援の明確化も生活訓練プログラムの一つです。 患者さま本人の希望と支援者が提案する支援内容や方向性の間にギャップが生じる場合があるためです。 現在は何が必要かを考え、支援者の提案に患者さまが消極的でも実際に試してみましょう。 スムーズに適応する可能性があります。 家族への支援体制 生活訓練プログラムでは、ご家族の支援も重要です。 患者さまが障害を負ったことへのショックは大きく、受け止めるまでには時間がかかるでしょう。 主な内容は以下の通りです。 ご家族の不安や負担の軽減を図る 患者さまの障害について理解してもらう 相談を受ける サポートや介護の情報提供 家族懇談会の開催 ご家族が孤立しないよう、継続的に支援を受けられます。 就労移行支援プログラム 就労移行支援プログラムは、一般企業や在宅で働きたいとお考えの患者さまを対象に、障害者支援施設が行います。 必要な知識や能力を高めるトレーニングを行う 施設内外で職場実習を行い、さまざまな職業の体験 患者さまの能力にあった仕事探し 職場や患者さまに連絡をとり、就職後も長く働けるような支援を行う 日頃の生活リズムや訓練を通じて、適性を見極めるのが重要です。 希望と現実の間にギャップがある場合は、長期的な目標と短期的な目標を設定し、段階的にステップアップしていくことが一般的です。 高次脳機能障害の根本的な回復を目指す「再生医療」とは 再生医療は損傷した組織にアプローチし、後遺症の改善や脳卒中の再発予防につながる可能性がある治療法です。 患者さま自身から組織の修復や再生のベースとなる幹細胞を採取・培養し、幹部に投与することで失われた機能の改善を目指します。 副作用のリスクが低く手術や入院の必要もないため、高齢の方や体力に不安がある方でも取り組みやすい治療です。 当院「リペアセルクリニック」では、高次脳機能障害の患者さまに再生医療をご提供しています。 高次脳機能障害の回復を不安に感じているご家族や患者さまは、まずはお気軽にご相談ください。 高次脳機能障害の回復期間は1年が目安!早期のリハビリ開始が重要 高次脳機能障害の回復期間は、適切な治療・リハビリを継続することで1年を目安に症状の改善がみられます。 また、治療の開始は発症から早いほど症状の改善に期待できます。 高次脳機能障害リハビリプログラムは、発症後すぐに行う医学的リハビリテーションプログラムから始め、症状に合わせて日常生活や就労の訓練を行います。 ご自身の症状や目標に合わせて適切なプログラムを選択し、継続的にリハビリに取り組むことが大切です。 また、高次脳機能障害の根本的な改善を目指し、リハビリ効果を高める方法として、再生医療をご検討ください。 再生医療の治療効果は、脳卒中の発症後から早ければ早いほど改善が期待できます。 高次脳機能障害を治療したいとお考えの方は、当院「リペアセルクリニック」の再生医療をご検討ください。 \公式LINEでは再生医療に関する情報や症例を公開中!/
2025.03.08 -
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症状が軽い脳梗塞に対して「症状が軽ければ治るのか?」という疑問を抱いている方も多いのではないでしょうか。 脳梗塞は軽いから大丈夫と油断できるものではありません。 本記事では、軽い脳梗塞のタイプや症状・予防法、そして根本的な改善を目指せる再生医療の選択肢についてご紹介します。 軽い脳梗塞について疑問や不安がある方は、ぜひこの記事を参考にしてください。 なお、当院「リペアセルクリニック」では、公式LINEにて脳梗塞(脳卒中)の再発予防に役立つ再生医療を紹介しています。 再生医療について知りたい方は、ぜひ公式LINEにご登録ください。 軽い脳梗塞とは 脳梗塞の中には症状が軽く、気づきにくいタイプがあります。 このような症状が軽い脳梗塞や自覚症状がないまま進行する脳梗塞を「無症候性脳梗塞」と呼びます。 多くの場合は「ラクナ梗塞」 軽い脳梗塞の重症化を防ぐカギは「早期発見」 本章では、軽い脳梗塞について詳しく解説します。 多くの場合は「ラクナ梗塞」 脳梗塞は主に、アテローム血栓性脳梗塞・心原性脳塞栓症・ラクナ梗塞の3種類に分類されます。 この中で、症状が軽いケースはラクナ梗塞であることが多いです。 ラクナ梗塞は、脳の細い血管(穿通枝)が詰まることで起こる脳梗塞で、脳の深部(基底核や脳幹など)に小さな病変ができるのが特徴です。 症状が軽い傾向にあるラクナ梗塞ですが、繰り返し発症すると次第に認知機能障害や歩行障害、排尿障害などを引き起こす可能性があります。 これは小さな梗塞が積み重なることで、脳の機能に徐々に影響を及ぼすためです。 軽い脳梗塞の重症化を防ぐカギは「早期発見」 軽い脳梗塞は発見された時点では後遺症がないことが多いのですが、放置すると新たな脳梗塞につながる可能性があります。 脳梗塞を繰り返すことで徐々に脳の機能に影響を及ぼし、最終的には認知機能の低下や運動障害などの後遺症につながることもあります。 後遺症を残さないためには早期発見と適切な治療が重要です。 早期発見ができれば、生活習慣の改善などを行い、新たな脳梗塞の発症リスクを大幅に下げることができます。 軽い脳梗塞の前兆・初期症状 軽い脳梗塞は自覚症状がほとんどないため発見が難しいものですが、重度の脳梗塞へと進行する前に何らかの前兆が現れることがあります。 これらの前兆や初期症状を見逃さないことが、深刻な事態を防ぐ鍵となります。 脳梗塞の前兆「一過性脳虚血発作(TIA)」 脳梗塞の初期症状を見逃さないための「FASTチェック」 脳梗塞を少しでも早く発見できるよう、前兆や初期症状への理解を深めましょう。 脳梗塞の前兆「一過性脳虚血発作(TIA)」 一過性脳虚血発作(TIA: Transient Ischemic Attack)は、脳梗塞と同じ症状が一時的に起こり、通常は数分から数時間以内、多くは24時間以内に自然消失する状態を指します。 すぐに症状が消失したからといって、決して軽視してはいけません。 一過性脳虚血発作を経験した人の約3割※が、後に本格的な脳梗塞を発症します。 ※出典:先進医療.net「脳卒中の前触れ発作『一過性脳虚血発作(TIA)』とは」先進医療.net, 2018年1月5日 一時的な症状であっても、次の発作は軽いとは限らず、重度の脳梗塞になる可能性があります。 脳梗塞の初期症状を見逃さないための「FASTチェック」 脳梗塞が疑われる場合、迅速な行動が必要です。 脳梗塞を含む脳卒中の主な症状を簡単に確認できる方法「FASTチェック」を紹介します。 F(Face):顔の片側が下がる、または笑うと片側だけ動かない A(Arm):片方の腕が上がらない、または力が入らない S(Speech):言葉がはっきり話せない、ろれつが回らない T(Time):上記のFASの症状が見られたら発症時刻を確認し、すぐに救急車を呼ぶ 「F・A・S」の部分でひとつでも当てはまる症状があれば、脳卒中の可能性が高いと言われています。 脳卒中は症状が出てからの時間経過が治療効果を大きく左右するため、T(Time)が特に重要です。 「様子を見よう」と判断せず、すぐに119番通報し、救急車を呼ぶ行動が命を守ることにつながります。 軽い脳梗塞の主な原因と予防方法 軽い脳梗塞の主な原因は以下の7つです。 高血圧 糖尿病 脂質異常症 肥満 飲酒・喫煙 運動不足 ストレス 予防の第一歩は、原因を理解することです。できることから生活に取り入れていきましょう。 高血圧 高血圧は軽い脳梗塞の最も重要な原因の一つです。 血圧が高い状態が続くと血管に強い圧力がかかり、血管の壁が傷つきやすくなります。 傷ついた血管には血の塊ができやすく、これが脳の血管を詰まらせる原因となります。 高血圧の予防には、塩分を控えた食事、適度な運動、十分な睡眠が効果的です。 薬による治療が必要な場合もありますが、生活習慣の改善で血圧をコントロールできることも多くあります。 糖尿病 糖尿病は血液中の糖分が多い状態が続く病気で、脳梗塞のリスクを高めます。 高血糖が続くと血管の内側が傷つき、血液がドロドロになって血の塊ができやすくなります。 糖尿病の予防には、バランスの取れた食事と規則正しい生活リズムが重要です。 とくに炭水化物の摂りすぎに注意し、野菜を多く取り入れた食事を心がけましょう。 既に糖尿病と診断されている方は、血糖値をコントロールし、定期的に血液検査を受けて医師と相談しながら治療を続けることが大切です。 脂質異常症 脂質異常症は血液中のコレステロールや中性脂肪が異常に多い、または善玉コレステロールが少ない状態です。 悪玉コレステロールが増えすぎると血管の壁に蓄積し、血管を狭くして血の流れを悪くします。 この状態が続くと血管が詰まりやすくなり、脳梗塞の原因となります。 脂質異常症の予防には、揚げ物や肉の脂身を控え、魚や野菜を多く摂る食生活が効果的です。 青魚に含まれるEPAやDHAは血液をサラサラにする働きがあります。 運動も脂質の改善に重要で、週に3回以上、30分程度のウォーキングから始めることをおすすめします。 肥満 肥満は他の生活習慣病の原因となり、間接的に脳梗塞のリスクを高めます。 体重が増えすぎると高血圧、糖尿病、脂質異常症を引き起こしやすくなり、脳梗塞の危険性が上がります。 肥満の解消には、摂取カロリーを適切にコントロールすることが重要です。 食塩の1日の適正摂取量は、男性7.5g未満・女性6.5g未満・高血圧対策では6.0g未満が推奨※されています。 ※出典:厚生労働省「日本における食塩摂取量の現状と減塩推進への課題」 急激なダイエットではなく、月に1〜2kg程度のペースでゆっくり体重を減らしていきましょう。 また、筋肉量を増やすことで基礎代謝が上がり、太りにくい体質になります。 飲酒・喫煙 飲酒と喫煙は脳梗塞の危険因子です。 過度の飲酒は血圧を上昇させ、喫煙は血管を収縮させるため、ともに血液の流れを悪くし脳梗塞の危険因子となります。 脳梗塞を防ぐためには、飲酒を控え、禁煙を目指すことが重要です。 禁煙が難しい場合は、禁煙外来や補助薬の活用も検討しましょう。 運動不足 運動不足は血液の流れを悪くし、生活習慣病の原因となって脳梗塞のリスクを高めます。 定期的な運動は血液の流れを良くし、血圧や血糖値、コレステロール値の改善に効果があります。 運動習慣がない方は、まず1日20〜30分程度のウォーキングから始めましょう。 エレベーターを使わず階段を利用したり、一駅分歩いたりするなど、日常生活の中で体を動かす機会を増やすことも効果的です。 ストレス 慢性的なストレスは血圧を上げ、血液をドロドロにして脳梗塞のリスクを高める要因となります。 ストレスが続くと体内でストレスホルモンが分泌され、血管を収縮させて血液の流れを悪くします。 ストレス対策には、十分な睡眠時間の確保、趣味の時間を作る、深呼吸や軽いストレッチなどのリラクゼーション方法が効果的です。 また、人との会話や笑うことも自然なストレス解消になります。 ストレスを完全になくすことは難しいですが、上手に付き合っていく方法を身につけることで、脳梗塞の予防に繋がります。 軽い脳梗塞の再発予防に注目されている「再生医療」について 軽い脳梗塞を経験すると気になるのは「再発するのではないか」という点でしょう。 近年では、脳梗塞の再発予防に関して、再生医療という新しい治療選択肢が注目を集めています。 再生医療とは、患者さま自身の幹細胞を利用して損傷した細胞や組織の再生・修復を促す医療技術のことです。 脳梗塞の再発予防や後遺症の改善を目的とした再生医療について、詳しく知りたい方は当院「リペアセルクリニック」の公式LINEにご登録ください。 公式LINEでは、再生医療についての詳細や脳梗塞の改善症例をご確認いただけます。 \公式LINEでは再生医療に関する情報や症例を公開中!/ 軽い脳梗塞に関してよくある質問 軽い脳梗塞に関してよくある以下の質問をご紹介します。 軽い脳梗塞になったらどうなる? 軽い脳梗塞は治る? 正しい知識を持つことで不安を軽減し、適切な対応ができるようになります。ご自身の状況と照らし合わせながらご確認ください。 軽い脳梗塞になったらどうなる? 軽い脳梗塞になると、一時的な手足のしびれ、ろれつが回らない、言葉が出にくい、めまい、ふらつきなどの症状が現れることがあります。 これらの症状は通常24時間以内に改善することが多く、日常生活への影響は比較的軽微です。 しかし、軽い脳梗塞や一過性脳虚血発作は「警告サイン」とも呼ばれ、将来的により大きな脳梗塞を起こすリスクが高まります。 症状が軽いからといって放置せず、必ず医療機関を受診することが大切です。 軽い脳梗塞は治る? 軽い脳梗塞は、適切な治療により症状の改善が期待できる疾患です。 治療には薬物療法、リハビリテーション、生活習慣の改善が組み合わされます。 薬物療法では血液をサラサラにする薬や血圧を下げる薬などが使用され、再発予防に重要な役割を果たします。 軽い脳梗塞でも油断は禁物!早期発見と治療が回復のカギ 軽い脳梗塞は、一時的な手足のしびれや言葉の出にくさ、めまいなどの症状が現れる脳梗塞です。 症状が短時間で改善することが多いため見過ごされがちですが、放置すると将来的により重篤な脳梗塞を起こす可能性があるため油断はできません。 軽い脳梗塞は早期発見・早期治療により良好な回復が期待できます。 予防・治療法としては、高血圧管理や生活習慣の改善、医師の判断による抗血小板薬の服用などがあります。 早期発見できた場合は、適切な対策を講じて将来の重篤な脳梗塞を予防しましょう。 脳梗塞を含む脳卒中の再発予防や後遺症の改善に対しては、再生医療という選択肢もあります。 再生医療は幹細胞を用いる治療法で、傷ついた血管や組織の再生・修復を促す医療技術のことです。 脳梗塞の再発予防や後遺症でお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」にご相談ください。
2025.03.08 -
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脳出血は再発リスクが高いと聞いて、再発が心配な患者さまやご家族も多いのではないでしょうか。 再発させないためには、生活習慣の改善や血圧の管理などが重要です。 この記事では、脳出血の再発を予防する方法や年代別の対策、再発を防ぐ治療法について解説します。 脳出血の再発予防に効果が期待される再生医療についても、まとめているのでぜひ参考にしてみてください。 なお、当院リペアセルクリニックの公式LINEでは、「再生医療ではどのような治療を行うのか」「再生医療で治療した症例」を無料で配信しています。 脳出血の再発予防が期待できる再生医療について気になる方は、ぜひ公式LINEをチェックしてみてください。 脳出血を再発しないためにできること 脳出血を再発しないためにできることを紹介します。 再発率が高い脳出血ですが、適切な健康管理や対策ができれば再発リスクの低下が期待できます。 血圧管理 食生活の改善 有酸素運動の習慣化 睡眠時間の確保 禁煙 減酒・禁酒 ストレス解消 薬を正しく服用 定期的な検査 一つずつみていきましょう。 血圧管理 脳出血を再発しないためには、以下のような継続的な血圧の管理が欠かせません。 日頃から血圧を測り記録する 塩分の摂取を抑える 血圧を下げる薬の服用 禁煙 血圧は、毎日同じ状態かつ同じ方法で測り、記録しましょう。 家庭で測る際の家庭血圧では、125/75mmHg未満※が正常値です。 ※出典:日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2019」 血圧が高い際や定期健診の際に医師に提出すると、適切な治療が受けられます。 また、喫煙は高血圧や動脈硬化を引き起こす作用があるので、禁煙も血圧の管理には重要です。 高血圧は脳卒中における大きな危険因子なので、再発しないためにも血圧には注意しましょう。 食生活の改善 https://youtu.be/FytmHfYCyt4?si=Xvu6TyqVwK2G9KkR 脳出血を再発しないためにできることの一つに食生活の改善が挙げられます。 以下のような食べ物は脳出血のリスクを高めることが報告されているので、毎日摂取することは控えましょう。 食べ物 脳出血のリスクを高める理由 塩分の多い食べ物 塩は水分を引き寄せる性質があるため、血液の量が増え高血圧になる。 アルコール 血管を収縮させたり、心臓を興奮させたりして血圧が上昇する。 甘い食べ物 糖尿病や肥満、脂質異常症など、脳出血の危険因子となる病気を引き起こす。 天ぷらのような脂質の多い食べ物 血管の詰まりを引き起こす。 チーズ 血中コレステロールが増加し、血管の詰まりを引き起こす。 バター LDLコレステロールが増加し、心臓や血管の病気を引き起こす。 高血圧の予防には、1日の塩分摂取量6g未満※が目標とされています。 ※出典:日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2019」 また、野菜や果物は塩分を排出する効果が期待できるので、適度に摂取すると良いでしょう。 有酸素運動の習慣化 有酸素運動を習慣化することも、脳出血の再発防止に有効です。 おすすめの有酸素運動は、以下のとおりです。 ウォーキング サイクリング 水泳 ラジオ体操 ストレッチ 上記のような有酸素運動は、血中の糖分や脂肪分を消費するので、血圧や血糖値を下げる効果が期待できます。 1日30分程度から、無理のない範囲で続けてみましょう。 睡眠時間の確保 脳出血の再発を防ぐためには、十分な睡眠時間を確保しましょう。 睡眠不足や不規則な生活は、糖尿病や高血圧など、脳出血を引き起こす生活習慣病の原因となります。 年齢別の推奨睡眠時間は、以下のとおりです。 年齢 推奨睡眠時間 15歳 約8時間 25歳 約7時間 45歳 約6.5時間 65歳 約6時間 ※参考:厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」 成人後は20年ごとに約30分単位で推奨睡眠時間が減少します。 また、良い睡眠には睡眠の質も重要です。 十分な睡眠時間が確保できていても、睡眠の質が低いと良い睡眠とはいえません。 朝は日光を浴びて体内時計をリセットする 散歩やジョギングなどの運動を日中に行う 1日3食をバランスよく食べる 就寝前1~2時間前に入浴する カフェインやアルコール、タバコなどは控える 上記を参考に、睡眠時間と睡眠の質の両方を意識してみてください。 禁煙 タバコを吸っている方は、脳出血の再発を防ぐために禁煙しましょう。 タバコにはさまざまな有害物質が含まれており、一部の物質は血管を狭くしたり、血管を硬くしたりする働きがあるといわれています。 脳出血は脳卒中の原因の1つですが、喫煙者は非喫煙者に比べ、男性で1.3倍、女性で2.0倍、脳卒中になりやすいという研究結果もあるほどです。 また、タバコを吸う本数が増えるほど脳出血のリスクが高くなります。 タバコは脳出血以外にもさまざまな病気を引き起こすため、タバコを吸っている方は禁煙するようにしましょう。 ※参考:国立がん研究センター「男女別、喫煙と脳卒中病型別発症との関係について」 減酒・禁酒 脳出血を再発させないために、アルコールはほどほどにしましょう。 過度なアルコール摂取は血圧を上昇させ、脳出血のリスクとなるからです。 適量であればアルコールは血圧を下げる効果がありますが、過度に摂取すると血管が収縮し、心臓の働きが活発になります。 また、アルコールを肝臓で分解するときに体内の水分を使用するため、脱水状態になり、脳出血を引き起こしやすくなります。 結果として血圧が上昇してしまうため、適度な飲酒を心がけてください。 1日の推奨アルコール摂取量は、以下のとおりです。 日本酒:1合 焼酎:0.6合 ビール:350mL〜500mL チューハイ:350mL〜500mL ワイン:180mL 上記の量を目安に、飲み過ぎには注意してください。 ※参考:京都大学医学部附属病院「脳卒中の再発予防」 ストレス解消 脳出血を再発しないためには、ストレス解消も重要な対策の一つです。 ストレスは以下のような脳出血の原因となる生活習慣病を引き起こします。 高血圧 脂質異常症 糖尿病 ストレスは現代社会において避けられないものですが、できる範囲でセルフケアを意識しましょう。 簡単にできるセルフケアとしては、以下の5つが挙げられます。 軽いランニングや散歩をする 気持ちを紙に書いたり、言葉として吐き出したりしてみる 深呼吸をする 好きな音楽を聴く 好きな歌を歌う セルフケアのポイントは無理をしないことです。 その日の体調や気分に合わせて、好きなものを選んでみてください。 薬を正しく服用 脳出血を再発しないためには、医師の指示に従って薬を正しく服用しましょう。 原因や患者さまの状態に合わせて、以下のような種類の降圧剤が処方されます。 血液をサラサラにする 血管を広げる 塩分や水分を排出する また、忘れず服用し、自己判断で止めないようにしましょう。 薬についてお悩みの点があれば、薬剤師や医師に相談してください。 定期的な検査 定期検査で潜在リスクの早期発見をすることは、脳出血の再発予防に欠かせません。 脳出血の原因である動脈硬化や高血圧、糖尿病などは、患者さま自身では症状に気づきにくい場合があるためです。 検査では、血液検査や尿検査、MRIやCTを使用して脳の状態を確認する脳ドックなどを行います。 早期に発見できれば重症化を防げる可能性があるため、症状がなくても定期的に検査を受けましょう。 【年代別】脳出血を再発しないための対策 脳出血の再発を防ぐ対策を年代別に紹介します。 40〜50代|生活習慣の改善が重要 60代以上|血圧管理が重要 年代ごとに対策のポイントが異なるので、詳しくみていきましょう。 40〜50代|生活習慣の改善が重要 40~50代の脳出血の再発対策は、以下のとおりです。 ウォーキングやストレッチなどの定期的な運動 生活リズムを整える ストレスの管理 定期的な健康診断 とくに40~50代の方は、生活習慣を改善するのが脳出血の再発を防ぐポイントです。 ストレスは高血圧の原因の一つです。家庭や仕事のストレスは適度な運動や趣味で発散しましょう。 また、40~50代の方は仕事や育児で多忙な方も多いことでしょうが、定期的な健康診断を受けて再発を早期に発見できるようにしましょう。 60代以上|血圧管理が重要 高齢者の方の再発防止策は、以下のとおりです。 高血圧を予防する 医師による定期的な診察を受ける 薬を指示どおりに正しく服用する 柵や杖などで転倒を防止する 高齢者の方は老化によって脳出血が起こりやすいので、再発に注意したい年代です。 血圧は定期的に計測し、記録しておきましょう。 また、食生活も高血圧と深い関わりがあるため、塩分を控えて、野菜や果物を意識して摂取しましょう。 脳出血の再発予防に注目されている再生医療 脳出血の再発予防に、再生医療による治療が注目されています。 再生医療の治療方法や当院が扱う再生医療の特徴について紹介します。 再生医療とは 当院(リペアセルクリニック)の特徴 脳出血を再発しないための選択肢として参考にしてみてください。 再生医療とは 再生医療とは患者さま自身の細胞の力を用いて、入院や手術なしで脳出血の再発予防ができる可能性がある治療法です。 治療で用いられる幹細胞は、損傷した血管や組織の修復や再生を促す働きがあります。 脳出血の患者さまが再生医療を受けた際に期待できる効果は、以下のとおりです。 弱った血管の修復や新しい血管の再生による再発予防 脳細胞の修復による後遺症の回復 再生医療は、脳出血を発症して損傷した血管だけでなく、再発のリスクになり得る弱った血管の修復にも期待できます。 脳出血を再発しないための治療法をお探しの方は、再生医療を検討しましょう。 当院(リペアセルクリニック)の特徴 当院が扱う再生医療の特徴について紹介します。 自己脂肪由来幹細胞治療を行う 独自の培養技術で生存率・活動率が高い幹細胞を投与できる 一度に最大2億個の幹細胞を投与できる 当院の自己由来幹細胞治療では、患者さまの細胞を用いるため、アレルギーや拒絶反応のリスクが少ない点が特徴です。 また、独自の培養技術で生存率・活動率が高い幹細胞を一度に2億個も投与できます。 高品質な幹細胞を一度に大量に投与できるため、治療成績も良好です。 脳出血を再発しないためにできることに関するよくある質問 最後に、脳出血を再発しないためにできることに関するよくある質問を紹介します。 脳出血を再発しやすい人は? 脳出血の予防に水分摂取が必要なのはなぜ? 脳出血の再発について気になることがある方は、ぜひ参考にしてください。 脳出血を再発しやすい人は? 以下のような方は脳出血を再発するリスクが高いです。 高血圧や糖尿病を持っている お酒をよく飲む タバコを頻繁に吸う 普段運動をしない 食べ物のバランスが悪い 睡眠不足 薬をきちんと服用しない ※参考:京都大学医学部附属病院「脳卒中の再発予防」 脳出血や脳梗塞を始めとする脳卒中は、発症から10年以内に約50%以上の人が再発するといわれています。 処方された薬は医師の指示どおりに服用し、よく寝て運動するなど生活習慣を見直しましょう。 また、高血圧や糖尿病などの生活習慣病を患っている方は、そのような病気を治療することも重要です。 脳出血の予防に水分摂取が必要なのはなぜ? 脳出血の予防に水分摂取が必要なのは、高血圧が脳出血の原因となるからです。 脳出血を発症した患者の74%が過去に高血圧を患っていたというデータもあるほど、高血圧は脳出血の主要なリスク因子の1つです。 ※参考:自治医科大学「[医学部]日本人脳出血患者の発症前未治療高血圧と血圧コントロール状況の詳細を報告」 水分は1日2Lを目安に、こまめに飲むようにしましょう。 脳出血を再発しないために危険因子を防ぐことが重要 再発率の高い脳出血ですが、再発しないためにできることはいくつかあります。 以下の改善ポイントを押さえ、生活習慣を見直して高血圧や動脈硬化、糖尿病などの危険因子を防ぎましょう。 血圧管理 食生活の改善 有酸素運動の習慣化 睡眠時間の確保 禁煙 減酒・禁酒 ストレス解消 薬を正しく服用 定期的な検査 上記の対策に加えて、脳出血の再発予防には再生医療による治療も選択肢の一つです。 これまで、脳出血によって一度損傷した脳細胞は「二度と元に戻らない」と言われてきました。 しかし、先端医療である再生医療では、損傷した脳細胞に対する治療によって、従来の治療では元に戻らないとされている脳細胞の改善が期待できます。 具体的な治療法や症例については、当院リペアセルクリニックで無料カウンセリングを行っておりますので、ぜひご相談ください。
2025.03.07 -
- 頭部、その他疾患
- 再生治療
脳血管性認知症は、脳梗塞や脳出血などの脳血管障害が原因で起こる認知症です。 物忘れが激しくなったり、日付や曜日が思い出せなくなったりと、患者さまやご家族の日常生活に大きな影響を与えます。 「どのようなリハビリを行えば症状が改善するのかわからない」「家族として何をサポートすればよいのか知りたい」といった悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。 この記事では、脳血管性認知症の具体的なリハビリテーション方法から進行を遅らせるためのポイントまでを詳しく解説します。 脳血管性認知症で悩まれている方は、ぜひ最後まで読んで適切な対処法を見つけましょう。 また、現在リペアセルクリニックでは脳卒中の後遺症改善や再発予防などの治療法である、再生医療に関する情報をLINEで発信しております。 簡易オンライン診断も実施しています。以下より公式LINEにご登録いただき、ぜひお試しください。 脳血管性認知症のリハビリテーション一覧 脳血管性認知症のリハビリテーションは、損傷を受けた脳の部位や症状に応じて、さまざまな専門的アプローチを組み合わせて行います。 主なリハビリテーションは以下のとおりです。 理学療法 作業療法 言語聴覚療法 その他のリハビリ方法 これらの専門的なリハビリテーションを組み合わせることで、患者さまの状態に応じた効果的な治療が期待できます。 理学療法 理学療法は、身体機能の回復と維持を目指し、筋力や柔軟性、バランス能力の改善を図る専門的なリハビリテーションです。 関節可動域訓練(関節の動く範囲を広げる運動) 筋力強化訓練(弱った筋肉を鍛える運動) バランス訓練(転倒予防のための体のバランス改善) 歩行訓練(安全に歩くための練習) ストレッチング(筋肉の柔軟性を保つ運動) 起き上がり・立ち上がり訓練 理学療法士が患者さまの身体機能を評価し、個人に合わせたプログラムを作成します。 継続的な取り組みにより、日常生活での移動能力向上が期待できます。 作業療法 作業療法は、日常生活での基本動作や社会参加に必要な能力の回復を目指す専門的なリハビリテーションです。 着替えや身だしなみの練習 食事動作の訓練(箸やスプーンの使い方) 入浴動作の練習 家事動作の訓練(料理や掃除の練習) 認知機能訓練(注意力や記憶力の改善) 手指の細かい動作訓練 作業療法士が患者さまの生活スタイルに合わせて、実用的な動作練習を行います。 自立した生活を送るための基盤づくりに重要な役割を果たします。 言語聴覚療法 言語聴覚療法は、言語機能や嚥下機能の改善を通じて、コミュニケーション能力と安全な食事の回復を目指す専門的なリハビリテーションです。 発話訓練(言葉を話す練習) 理解訓練(言葉の意味を理解する練習) 読字・書字訓練(文字の読み書き練習) 嚥下訓練(安全に飲み込むための練習) 口腔機能訓練(口の周りの筋肉を鍛える運動) 呼吸訓練(発声に必要な呼吸の練習) 言語聴覚士が患者さまの言語・嚥下能力を詳しく評価し、個別のプログラムを実施します。 家族とのコミュニケーションを円滑にし、誤嚥リスクを減らす効果が期待できます。 その他のリハビリ方法 専門的なリハビリテーション以外にも、認知機能の活性化や心理的な安定を図るさまざまなプログラムがあります。 回想法(過去の思い出を語り合う療法) 音楽療法(音楽を聴いたり歌ったりする活動) 認知刺激療法(計算やパズルなど脳を刺激する活動) アロマテラピー(香りによる感覚刺激) 園芸療法(植物の世話を通じた活動) ペットセラピー(動物との触れ合い) これらのリハビリは、患者さまの興味や好みに合わせて選択することで、楽しみながら認知機能の維持・改善を図れます。 【症状別】脳血管性認知症のリハビリテーション内容 脳血管性認知症では、損傷を受けた脳の部位や症状に応じて、以下のさまざまなリハビリテーションを組み合わせて行います。 認知機能のリハビリ 日常生活動作のリハビリ 運動機能のリハビリ 言語機能のリハビリ 嚥下機能のリハビリ 患者さまの状態に合わせた適切なリハビリの選択が、症状改善への第一歩となります。 認知機能のリハビリ 認知機能のリハビリテーションは、五感を刺激して脳の活性化を図り、記憶力や判断力の維持・向上を目指す訓練です。 主に以下の活動を通じて、脳の活性化と認知機能の改善を図ります。 塗り絵や習字などの創作活動 簡単な計算問題 パズルやクロスワード 音楽を聴いたり歌ったりする音楽療法 興味のある話題についてのディスカッション アロマテラピーによる嗅覚刺激 ペットセラピーでの触れ合い 患者さまの興味や好みに合わせて内容を選ぶことで、楽しみながら継続できます。 日常生活動作のリハビリ 日常生活動作のリハビリテーションでは、着替えや食事、トイレなど基本的な生活動作を自立して行えるよう訓練します。 主に以下の訓練を通じて、日常生活の自立度向上を目指します。 関節が動く範囲を広げる運動 着替えの練習(ボタンの留め外し、ファスナーの操作など) トイレ動作の練習 食事動作の練習(スプーンや箸の使い方など) 関節の柔軟性を保つストレッチ 入浴動作の練習 これらの訓練は、日常生活に戻るためには欠かせないリハビリです。少しずつできることを増やしていくことで、患者さまの自信回復にもつながります。 運動機能のリハビリ 運動療法は身体機能の維持・向上だけでなく、認知機能の改善にも効果が認められています。 主に以下の運動を行い、身体機能と認知機能の両方を改善します。 ウォーキングなどの有酸素運動 サイクリング(エアロバイクを含む) 水中歩行 バランス訓練 筋力強化訓練 関節可動域訓練 水中での訓練は身体への負担が少なく、安全に運動できるためおすすめです。 10分程度の軽い運動でも効果が期待できるので、患者さまの体力に合わせて無理のない範囲で取り組みましょう。 言語機能のリハビリ 脳血管性認知症では失語症などの言語障害が生じることがあります。 言語機能のリハビリテーションでは、コミュニケーション能力の回復と維持を目指します。 主に以下の訓練を行い、コミュニケーション能力の改善を図ります。 家族や介護者との日常会話の練習 発声練習や発音訓練 文字の読み書き練習 ジェスチャーを使ったコミュニケーション訓練 スキンシップを取り入れた会話 歌を歌うことでの発話促進 言葉だけでなく、身振り手振りや表情を使ったコミュニケーションも大切です。 患者さまが伝えたいことを理解しようとする姿勢が、リハビリの効果を高めます。 嚥下機能のリハビリ 脳血管性認知症では、食べ物を飲み込む嚥下(えんげ)機能に障害が生じることがあります。 嚥下機能のリハビリテーションは、安全に食事ができるよう飲み込み機能の改善を図ります。 主に以下の訓練を段階的に行い、誤嚥リスクの少ない食事ができることを目指します。 舌や頬のマッサージ 食前の嚥下体操 発声練習(あいうえお体操など) 水分やゼリーを使った飲み込み訓練 段階的な食形態の調整 正しい姿勢での食事練習 まずは基礎訓練から始めて、段階的に実際の食べ物を使った訓練に移行していきます。誤嚥(食べ物が気管に入ること)を防ぐため、専門職の指導のもとで進めることが重要です。 脳血管性認知症の進行を遅らせるためのポイント 脳血管性認知症の進行を遅らせるためのポイントとして、以下の3つがあります。 患者本人が無理をしない範囲で行う リハビリを楽しめるように工夫する 生活習慣も改善する 患者さまの心身の状態を最優先に考えながら、適切なサポートを行いましょう。 患者本人が無理をしない範囲で行う リハビリテーションで最も大切なことは、決して無理をしないことです。患者さまの体調や気持ちを優先的に考えて進めましょう。 体調が悪いときや本人がリハビリを嫌がるときに無理をしても、効果が上がらないどころか「リハビリは嫌なもの」という印象を与えてしまいます。 もし嫌がる様子が見られたら、本人の好きな別の方法に変えたり、気持ちが向くまで待ったりすることが大切です。 また、リハビリの途中で体調が悪くなった場合は、無理をせずにすぐに中断してください。 リハビリを楽しめるように工夫する リハビリテーションを継続するためには、患者さまが楽しく取り組めるような環境づくりが不可欠です。 本人の趣味や興味に合わせたリハビリ内容を選ぶことで、積極的な参加を促せます。 音楽が好きな方には音楽療法を、手先を動かすことが好きな方には創作活動を取り入れるなど、個人の嗜好に応じてプログラムを調整しましょう。 また、グループ活動を通じて他の参加者との交流を楽しめる環境も効果的です。 生活習慣も改善する 脳血管性認知症の進行を遅らせるためには、原因となる脳血管障害の再発予防が重要です。 日常生活での以下の改善に取り組むことで、症状の進行を抑制できます。 塩分を控えた食事(1日6g未満を目標) 脂質を抑えた食事内容 野菜や魚を中心とした栄養バランスの良い食事 適度な有酸素運動(週3回、1回30分程度) 禁煙・節酒の実践 十分な睡眠時間の確保(7〜8時間) 血圧・血糖値の定期的な管理 これらの生活習慣改善は、新たな脳血管障害の発症リスクを下げ、認知症の進行を遅らせる効果が期待できます。 脳血管性認知症のリハビリに関するよくある質問 脳血管性認知症のリハビリについて、よくある質問を紹介します。 脳血管性認知症の症状は? 脳血管性認知症に効果的な運動は? 脳血管障害による認知症は回復しますか? これらの疑問を解消して、適切なリハビリに取り組む参考にしてください。 脳血管性認知症の症状は? 脳血管性認知症の主な症状は、記憶障害、見当識障害(日時や場所がわからなくなる)、手足の麻痺、感情のコントロールが難しくなる感情失禁、抑うつ症状などです。 特徴は、障害を受けていない脳の部位は正常に機能するため、「できることとできないことの差が大きい」ことです。 そのため「まだら認知症」とも呼ばれます。 脳血管性認知症に効果的な運動は? ウォーキングや水中歩行などの有酸素運動が効果的です。 10分程度の軽い運動でも認知機能の改善が期待できます。 水中歩行は身体への負担が少なく、関節に問題がある方でもケガのリスクが少なく取り組めます。 また、サイクリングやエアロバイクなども、体力に応じて調整しやすい運動として推奨されています。 運動は脳の血流を改善し、認知機能の維持・向上に役立ちますが、無理をせず患者さまの体調に合わせて行うことが重要です。 脳血管障害による認知症は回復しますか? 脳血管障害による認知症は、適切なリハビリと治療により、症状の改善や進行の抑制が期待できます。 完全な回復は難しい場合もありますが、機能の維持や部分的な改善は十分に可能です。 脳血管性認知症は、原因となる脳血管障害の再発を防ぐことで進行を抑制できます。 また、損傷を受けていない脳の部位が代償的に機能することで、症状の改善も見込まれます。 早期からの適切なリハビリテーションと生活習慣の改善、必要に応じた薬物療法や再生医療などの組み合わせにより、患者さまの生活の質の向上を目指せます。 脳血管性認知症のリハビリ効果を高めるには再生医療も選択肢の一つ 脳血管性認知症をはじめとする脳卒中の後遺症に対して、再生医療という治療法があります。 再生医療は、患者さま自身の幹細胞を使用して、損傷した脳細胞や血管の機能改善を促す治療法です。 また、身体麻痺や言語障害などの後遺症改善、再発予防に対しても再生医療を実施しています。 再生医療は患者さま自身の幹細胞や血液を使用するため、拒絶反応やアレルギーのリスクが低いのが特徴です。 リハビリと併用することで、改善効果の向上が期待できます。 再生医療については、当院「リペアセルクリニック」へお気軽にお問い合わせください。
2025.03.07 -
- 脳梗塞
- 脳卒中
- 頭部
脳梗塞を発症し、怒りっぽい性格になった方はいませんか。 怒りっぽい性格になったように感じるのは、後遺症の1つである「社会的行動障害」の症状が原因となっている可能性があります。 本記事では、脳梗塞の後遺症で怒りっぽくなる理由や、後遺症の治療方法について、詳しく解説します。 脳梗塞の後遺症である「高次脳機能障害」の症状は、周囲からはわかりにくい特徴があります。 脳梗塞後に怒りっぽい性格になった場合は、家族や友人へ症状を伝え、必要なサポートを受けましょう。 脳梗塞の後遺症で怒りっぽい性格になるのは本当? 脳梗塞の後遺症で怒りっぽい性格になった場合は、以下のような原因・特徴があります。 性格の変化は「社会的行動障害」の症状の一つ 自分では性格の変化を認識できないことが多い 社会的行動障害の症状が現れている可能性があります。 社会的行動障害になると、感情や行動のコントロールに困難感を感じ、二次的に意欲・活動性の低下が起こるのが特徴です。 性格の変化は自分自身で気づくことが難しく、周囲の方に指摘されて初めて後遺症に気づく場合が大半です。 性格の変化は「社会的行動障害」の症状の一つ 脳梗塞発症後の性格の変化は、社会的行動障害の可能性があります。 社会的行動障害とは、後遺症である高次脳機能障害の一つで、感情のコントロールが難しくなったり、暴言や大声を発したりする症状がみられます。 感情コントロールが上手くできずに人間関係に悩む方もいるため、社会的行動障害について周囲も理解を深めることが大切です。 自分では性格の変化を認識できないことが多い 脳梗塞後の性格の変化は、自分自身で症状を認識することが難しい特徴があります。 「温厚だった人が怒りっぽくなった」「意欲がない」などの症状は、脳梗塞の後遺症にみられる症状です。 怒りっぽい性格になり暴言や大声を発したりすることで、周囲の人との関係が上手くいかなくなり、抑うつ状態になる場合もあるため家族や周囲のサポートが必要です。 脳梗塞の後遺症で起こる「高次脳機能障害」の症状はさまざま 脳梗塞の後遺症で起こる高次脳機能障害には、以下の症状があります。 記憶障害 注意障害 遂行機能障害 社会的行動障害 脳梗塞の発症部位によって、症状の程度や現れる後遺症は異なります。 高次脳機能障害がみられる方は、周囲へ症状を伝えたり医療機関を受診したりして、適切な支援を受けましょう。 記憶障害 脳梗塞後に以下の症状がある場合は、高次脳機能障害の1つである記憶障害の可能性があります。 数秒前に言ったことを忘れてしまう 人や時間、場所がわからなくなる 事実とは違う話をする 脳梗塞になる前のことを忘れてしまう 人や場所がわからなくなる症状(見当識障害)が現れると、家族や友人を認識できなくなる場合もあり、孤独感を感じやすくなります。 記憶障害による孤独感は、感情のコントロールへも影響が出るため注意が必要です。 短期記憶に障害が生じると、物忘れが激しくなったり、作り話で記憶障害を隠したりする場合があります。 記憶障害のある患者様の作り話に悪意はないため、矛盾点を強く指摘しないことが大切です。 注意障害 高次脳機能障害の1つである注意障害がみられる場合は、以下の症状が現れます。 反応が鈍くなる 気が散りやすい 作業中のミスが増える 特定の物事に固執してしまい切り替えが難しくなる 注意障害では、集中力が低下し固執性が強くなる症状が現れるため、仕事でミスをしやすくなります。 日常生活で集中力を必要とする作業は、高次脳機能障害の患者様に大きな負担がかかるため注意が必要です。 遂行機能障害 脳梗塞後に高次脳機能障害の一つである遂行機能障害がみられる場合があります。 遂行機能障害とは物事を進める能力が低下する障害で、以下の症状が現れます。 物事の計画ができない 衝動的に行動する 複数の作業に優先順位をつけられない 自主的に行動ができない 遂行機能障害の程度には個人差があり、具体的な診断基準はありません。 そのため認知機能テストで遂行機能障害の程度を把握し、症状に合わせた認知リハビリテーションで遂行機能の向上を目指します。 社会的行動障害 社会的行動障害は感情や行動のコントロールが難しくなり、以下の症状が現れます。 感情のコントロール障害 易怒性 金銭管理の困難感 意欲・活動性の低下 固執 抑うつ 感情のコントロール障害や易怒性は、二次的に意欲・活動性の低下につながります。 社会的行動障害では自身の欲求を抑えられずに、金銭トラブルに発展する例もあり注意が必要です。 意欲・活動性が低下すると抑うつ傾向になるため、社会参加や対人関係にも困難感を感じやすくなります。 脳梗塞後に怒りっぽい性格になった場合に家族ができること 脳梗塞後に怒りっぽい性格になった場合に、患者様の家族ができることは以下の2つです。 後遺症を理解し本人の意思を尊重する 専門家に相談することも重要 性格の変化は患者様自身で気づくことが難しく、家族から受診をすすめられても断られるケースがあります。 脳梗塞患者様の家族は、後遺症の問題を抱え込まないように、周囲の支援を受けることが大切です。 後遺症を理解し本人の意思を尊重する 脳梗塞後に性格の変化がみられる場合は、症状を理解し本人の意思を尊重しましょう。 本人は後遺症に気づいていない場合もあり、周囲から指摘されて初めて症状に気づくケースが大半です。 家族は後遺症による不安や悩みなどを傾聴し、適切な治療が受けられるように支援することが大切です。 専門家に相談することも重要 脳梗塞後に怒りっぽい性格になった場合は、医療者や行政機関などの専門家に相談することも重要です。 家族が本人に悩みを聞いても、強く拒まれ適切な治療を開始できない場合があります。 また、怒りっぽい性格は対人トラブルを招きやすく、家族も大きなストレスを抱えてしまう可能性があります。 怒りっぽい性格が社会的行動障害に起因する場合は、障がい者支援や介護保険サービスが利用できることもあるため、専門家に相談しましょう。 脳梗塞後の高次脳機能障害に対する治療方法 脳梗塞後の高次脳機能障害には、以下の3つの治療方法があります。 リハビリ 薬物療法 再生医療 高次脳機能障害にはさまざまな種類があり、症状の程度も個人差があります。症状に合わせた治療方法を検討し、後遺症を緩和していくことが大切です。 リハビリ 脳梗塞後に高次脳機能障害になった場合は、以下のような認知機能にアプローチするリハビリテーションを行います。 自分自身の言動を振り返る 記憶障害の代償方法を身につける グループ活動で自身を客観的に捉える 高次脳機能障害は、自身の言動を客観的に捉えて理解することで、症状の緩和を目指します。 本人が興奮状態にあるうちは自身を振り返ることが難しいため、場所や時間などを変え冷静になってから振り返りを行いましょう。 薬物療法 脳梗塞で意欲の低下や感情コントロールの困難がみられる場合の治療法に、薬物療法があります。 脳梗塞後の後遺症に対する薬物療法は、精神的な症状を改善する薬剤や脳梗塞の再発を防ぐ薬を使用します。 薬物療法は症状の軽減を目的とするため、リハビリや専門家のサポートと並行して行いましょう。 再生医療 脳梗塞後の高次機能障害に対する治療方法の1つに、再生医療があります。 再生医療は患者様自身の細胞を利用して損傷した組織の修復を促す治療法で、以下の特徴があります。 脳梗塞の後遺症を治療する際は、リハビリテーションと並行して再生医療を受けると、症状の改善に期待できます。 脳梗塞の後遺症でお困りの方は、当院(リペアセルクリニック)へお気軽にご相談ください。 【まとめ】脳梗塞後に怒りっぽい性格になったら高次脳機能障害の治療を行いましょう 脳梗塞後に怒りっぽい性格になった際は、高次脳機能障害の治療を行いましょう。 高次脳機能障害の症状改善には、リハビリや薬物療法、再生医療による治療があります。 脳梗塞の後遺症は個人差があり、患者様に合った治療を組み合わせて症状の改善を目指すことが大切です。 高次脳機能障害でお悩みの方は、当院(リペアセルクリニック)の再生医療をご検討ください。
2025.03.07 -
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脳梗塞の後遺症でふらつきやめまいが出現し、お困りの方はいませんか。 脳梗塞は、血の塊(血栓)が脳血管をふさぎ、発症部位より先の血流が滞ることで脳細胞が壊死する疾患です。 後遺症で出現するふらつきは、体幹失調が原因の可能性があります。体幹失調は、胴体のバランスが取りづらく、スムーズに身体を動かせない状態です。 本記事では、脳梗塞の後遺症によってふらつきが出現する原因や、めまいの特徴について詳しくご紹介します。 ふらつきやめまいは発症からの日数によって、症状の特徴が異なります。経過に合ったリハビリテーションを行い、脳梗塞によるふらつきを改善しましょう。 脳梗塞の後遺症でふらつく原因 脳梗塞の後遺症でふらつく原因は、小脳や脳幹の損傷によって体幹失調が起こっている可能性が高いです。 体幹失調とは、脳と胴体の連携が十分にできず、バランスを取ることが困難になる状態です。 脳梗塞は血の塊(血栓)が脳血管で詰まる疾患で、梗塞部位より先の血流が滞り脳細胞が壊死します。 小脳梗塞を引き起こすと、脳は身体を動かす指令を伝達できなくなる恐れがあるため注意が必要です。 体幹失調とは 体幹失調とは、脳梗塞の後遺症で起こる可能性がある運動失調の一種で、以下の特徴が現れます。 座っているときにグラグラする 足を大きく開いて歩く 手足の動きがバラバラになる 千鳥足のような歩き方になる 起き上がりや寝返りが困難になる 体幹失調は歩行時に症状が目立ちますが、身体のバランスが悪くなるため座っているときにも症状が現れる場合があります。 脳梗塞で体幹失調が起こるメカニズム 脳梗塞によって脳幹や特定部位が損傷すると、体幹失調が起こる可能性があります。体幹失調のメカニズムは、以下のとおりです。 脳幹に血栓が詰まり、発症部位より先の血流が遮断される 血流が減少し脳細胞が壊死する 身体へ指令を出す脳幹やバランスを取るための小脳や前庭迷路が機能しづらくなくなる 歩行時にふらつき症状やめまいが出現する 脳は、神経に身体を動かす指令を送る役割を担っています。 脳血管の一部の血流が遮断されると、身体をスムーズに動かせなくなり、日常生活にも支障をきたす恐れがあります。 脳梗塞の後遺症による「めまい」の特徴 脳梗塞の後遺症による「めまい」は、大きく以下の3つに分けられます。 めまいの種類 特徴 回転性めまい ぐるぐると回っているように感じる 浮遊性めまい ふわふわと宙に浮いているように感じる 前失神性めまい 立ちくらみ同様、目の前が突然真っ暗になったように感じる めまいが起こると、自分自身が動いていなくても動いているように感じ、周囲からはふらついている状態に見えます。 脳梗塞によるふらつき・めまいの症状の変化 脳梗塞によるふらつきやめまいでは、発症してからの日数によって症状が変化します。 症状に合わせて、適切な治療やリハビリテーションを受け、ふらつきを改善していくことが重要です。 発症直後 脳梗塞の発症直後は、ぐるぐると回っているように感じる「回転性めまい」が出現しやすく、重いふらつき症状が現れます。 発症直後の回転性めまいは重度で、自分自身で立位を保つことは困難です。 以下の脳梗塞の初期症状(一過性脳虚血発作)がみられた場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。 口が閉まりにくい ろれつが回らない 言葉が出ない 片麻痺 めまいやふらつきがある 視野が狭くなる 治療せずに放置すると重い後遺症が出る恐れがあるため、早期発見・早期治療を行うことが大切です。 脳梗塞の初期症状や発症原因については、以下の記事で詳しく解説していますので、合わせてご覧ください。 数日〜数週間経過後 脳梗塞の発症から数日~数週間経過すると、回転性めまいの症状が軽減する場合があります。 しかし、平衡感覚障害やふらつきが残る場合があるため、リハビリが重要です。 歩行時のふらつきやめまいがあるときは、無理に動かず、医療者の指示に従いましょう。 治療後 脳梗塞の治療後は、後遺症としてふらつきやめまいが出る場合があります。 後遺症でめまいやふらつきがある方は、治療やリハビリテーションを継続し、転倒リスクの軽減を図ることが大切です。 脳梗塞の後遺症によるふらつき改善に重要なリハビリテーション 脳梗塞の後遺症によるふらつきを改善するには、以下のリハビリテーションを行うことが重要です。 リハビリテーションで効果を得られるように、適切なリハビリ方法を確認しましょう。 フレンケル体操 脳梗塞の後遺症によるふらつきに効果的なリハビリテーションの1つに、フレンケル体操があります。 フレンケル体操は、小脳を原因とした運動失調に有用なリハビリテーションで、身体の位置感覚や運動バランスを改善するために行われます。 体操の運動項目は120種類以上あり、後遺症の程度や病状に合わせて選択するのが一般的です。 仰向けで行う方法 両足のかかとを床につける 片足をすべらせるように動かし、膝の曲げ伸ばしを行う かかとを床につけたまま、片膝を曲げた状態で股関節を内外に動かす 片膝を立てた状態で股関節を内外へ動かす 椅子に座って行う方法 椅子に座り、数分間姿勢を保持する 足の前に目印を置き、片方のつま先でタッチして元の姿勢に戻る 足を閉じて立ち上がり、再度椅子に座る 無理のない範囲でフレンケル体操を実施し、身体の平衡感覚の改善を目指しましょう。 前庭リハビリテーション 脳梗塞の後遺症でふらつきがみられる場合に、前庭リハビリテーションを行う方法があります。 前庭リハビリテーションは、歩行や姿勢の保持など、日常生活動作の改善を目的として行われる反復訓練です。 リハビリテーションを行うことで、平衡感覚をつかさどる前庭の機能を改善し、ふらつき症状やめまいの軽減が期待できます。 椅子に座って行う方法 体の正面で腕を伸ばし、親指を目の高さに持ってくる 親指を見ながら頭を左右・上下に動かす 立って行う方法 目を開けたまま足を閉じて立ち、前後左右に身体を傾ける 1ができたら、目を閉じて立ち、前後左右に身体を傾ける 椅子に座って行う方法や、立って実施する訓練ができたら、歩行訓練を行います。 歩行時は身体を静止しているときと比べて転倒リスクが高いため、注意して実施しましょう。 脳梗塞の後遺症によるふらつきにお困りの方は再生医療をご検討ください 脳梗塞の後遺症によるふらつきにお困りの方は、後遺症の根本的な治療を目指せる再生医療を検討してみましょう。 再生医療とは、体が持つ再生能力を利用して一度壊死した脳細胞を再生させる医療技術のことで、脳機能の回復が期待できます。 また、リハビリと並行して再生医療を行うことで身体機能の回復効果を高め、治療期間の短縮にもつながります。 リペアセルクリニックでは、患者さまの症状に適したリハビリの訓練や指導が行えるよう、医師の他に理学療法士や柔道整復師などの専門資格を持つチーム体制が整っています。 脳梗塞の後遺症でお悩みの方は、ぜひ当院(リペアセルクリニック)にご相談ください。 【まとめ】脳梗塞の後遺症によるふらつき改善にはリハビリが重要 脳梗塞の後遺症によるふらつき改善には、症状に合ったリハビリが重要です。 適切なリハビリテーションを行うことで、ふらつきが改善され、転倒リスクが低減します。 後遺症のめまいやふらつきが改善せずお困りの場合は、リハビリテーションと並行して再生医療による治療も検討しましょう。 当院(リペアセルクリニック)の再生医療は、厚生労働省に受理された治療法で、後遺症の改善だけでなく脳梗塞の再発予防も期待できます。 脳梗塞の後遺症によるふらつきにお悩みの方は 、当院(リペアセルクリニック)へお気軽にお問い合わせください。
2025.03.07 -
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脳の中でも生命維持に関わる重要な部位である脳幹での出血は特に深刻とされています。 脳幹出血を経験した患者さまやご家族は、回復の見込みはあるのか?不安を抱えていることでしょう。 この記事では、脳幹出血の回復見込みについて複数の医学論文のデータも合わせて解説します。 脳幹出血は重篤な疾患ですが、適切な治療と早期からのリハビリによって機能回復の可能性を高められることがわかります。 脳幹出血に回復の見込みはあるのか【論文データについても解説】 脳幹出血に回復見込みはどの程度あるのでしょうか? ここでは複数の医学論文のデータも合わせて脳幹出血後の回復率や死亡率、また回復に影響する要因について解説します。 脳幹出血から良好回復した方は約6.1% 患者の予後は61%が死亡例というデータも 脳幹出血を発症した時の意識状態が予後に影響 発症1か月時点で半年後の歩行能力が予測可能 意識状態や年齢といった要素が予後にどう関わるのか、また発症初期の状態から将来の機能回復をどの程度予測できるのかについても解説します。 脳幹出血から良好回復した方は約6.1% 脳幹出血患者を対象とした研究※では、発症から3ヶ月後の転帰として「良好な回復」が得られたのは全体の6.1%でした。 ※出典:ScienceDirect その他の転帰としては「中等度障害」12.7%、「重度障害」12.7%、「植物状態」10.8%、そして「死亡」が57.5%となっています。 ただし、脳幹出血の死亡率は研究によって幅があり、対象患者の状態や年齢層、医療体制などの違いが影響していると考えられます。 上記から脳幹出血は重篤性がありますが、良好な回復を遂げる可能性もあることがわかります。 患者の予後は61%が死亡例というデータも 国立病院機構災害医療センターによる脳幹出血患者を対象とした研究では、退院時の予後として死亡例が61%、生存例が39%※という結果が報告されています。 ※出典: 脳幹出血患者の予後に関する臨床的検討 また、生存例の詳細は以下のようになっています。 良好な回復:3% 中等度障害:9% 重度障害:13% 植物状態:14% この研究では年齢層による死亡率の差も分析されており、70歳以上の患者の死亡率は79%、70歳未満では57%と高齢なほど死亡率が高い傾向が見られましたが、統計学的な有意差は認められていません。 つまり、年齢と死亡率の間に明確な相関関係があるとは言えないものの、数値としては高齢者ほど予後不良となる可能性が高いことがわかります。 脳幹出血を発症した時の意識状態が予後に影響 脳幹出血患者の予後を左右する重要な因子として、発症時の意識状態が挙げられます。 国立病院機構災害医療センターの研究では、来院時の運動機能スコア(M1~M6)と予後の関係について詳細な分析※が行われました。 ※出典: 脳幹出血患者の予後に関する臨床的検討 結果として、M1(全く動かない)の患者21例の死亡率は86%、M2(痛み刺激に対して除脳硬直)の患者25例の死亡率は76%と非常に高い割合でした。 脳幹出血発症時の意識レベルは患者の予後を予測する上で非常に重要な指標であり、特に重度の意識障害を伴う場合は、死亡リスクが著しく高まるということがわかります。 発症1か月時点で半年後の歩行能力が予測可能 脳幹出血患者の半年後の歩行能力は、発症1ヶ月時点での評価で高い精度で予測できる※ことが明らかになりました。 ※出典: 脳幹出血患者の予後予測. 脳卒中の外科 17例の脳幹出血患者を観察した研究では、1ヶ月時点で以下の条件を満たす患者は半年後に歩行能力を獲得できる可能性が高いことが示されています。 特に、端座位保持能力と歩行機能の間には強い関連があり、1ヶ月以内に端座位を自力保持できた患者はほぼ全例が半年後に歩行可能となっています。 脳幹出血の改善には早期のリハビリが重要 脳幹出血は重篤な後遺症をもたらす可能性が高いため、機能回復に向けた計画的なリハビリテーションが重要です。 リハビリは以下の3段階に分けて進められます。 急性期のリハビリ 回復期のリハビリ 維持期のリハビリ 本章では、各時期のリハビリの特徴と重要なポイントについて詳しく解説します。 急性期のリハビリ 急性期(発症直後2週間〜1ヶ月程度)のリハビリテーションは、二次的合併症の予防と早期の機能回復に重点を置きます。 急性期は全身状態に注意した上で主に以下のリハビリを行います。 関節可動域訓練(関節が固まるのを防ぐ) ベッド上での寝返り訓練 座位訓練(上体を起こす練習) 嚥下(えんげ)訓練 車いすへの移乗訓練 立位・歩行訓練(状態に応じて) 言語機能の回復訓練 ストレッチ運動 近年の研究では、早期からリハビリを開始した患者の方が、長期的な予後や後遺症の改善に良い効果が見られています。 回復期のリハビリ 回復期(3〜6ヶ月程度)のリハビリテーションでは、急性期で回復しなかった機能や後遺症の改善を目指します。 回復期には、主に以下のリハビリを行います。 生活に必要な基本動作訓練(立つ、座る、歩くなど) 日常生活動作(ADL)訓練(食事、着替え、トイレなど) 麻痺の改善訓練(促通訓練) 筋力増強訓練 痙縮(けいしゅく)対策(ストレッチや薬物療法) 高次脳機能訓練 嚥下・構音訓練 装具の使用訓練 この時期には一般的に回復期リハビリテーション病棟へ転院し、集中的なリハビリを行います。 維持期のリハビリ 維持期(発症6ヶ月以降)は「生活期」とも呼ばれ、回復した機能の維持と社会生活への復帰を目指す時期です。 この時期は在宅で生活しながら、以下のようなリハビリを継続します。 物理療法(病院で実施) 自宅でのストレッチや筋力訓練 散歩やラジオ体操などの日常運動 生活に必要な動作の確認と練習 装具の調整とメンテナンス デイケアや訪問リハビリの活用 社会参加を促す活動 再発予防のための生活習慣指導 継続的なリハビリと生活習慣の改善により、機能維持と再発予防を両立させることが重要です。 脳幹出血にはどのような後遺症がある? 脳幹出血には、主に以下の後遺症が出る場合があります。 後遺症の種類 主な症状 運動麻痺 手足が思うように動かせない 感覚障害 触覚や痛覚の異常、しびれ 嚥下障害 飲食物の飲み込みが困難 構音障害 発音がうまくできない、呂律が回らない 眼球運動障害 物が二重に見える、まぶたが開かない 自律神経障害 体温調節障害、発汗異常、血圧変動 運動失調 ふらつき、体のバランスが取りにくい 高次脳機能障害 記憶障害、注意障害、判断力低下 脳幹出血の後遺症は、適切なリハビリによって改善する可能性があります。 脳幹出血の再発防止・後遺症からの回復には「再生医療」が注目されている 脳幹出血の再発防止・後遺症に対して、再生医療という治療方法があります。 再生医療は、人間が持っている再生能力を活かした医療技術の一つです。 当院「リペアセルクリニック」では、自己脂肪由来の幹細胞治療を実施しています。 手術や入院を必要としない治療方法です。 再生医療の詳細については、無料のメール相談やオンラインカウンセリングからお問い合わせください。 脳幹出血の回復見込みに関してよくある質問 脳幹出血の回復見込みに関してよくある質問を紹介します。 脳幹出血の回復率は? 脳幹出血の余命はどのくらい? 脳幹出血を予防する方法は? 出血の程度や部位、患者さまの年齢や既往歴によって回復の見込みや予後は異なるため、あくまで参考としてごらんください。 脳幹出血の回復率は? 脳幹出血の発症から3ヶ月後の回復率は以下の通りです。 良好な回復:6.1%(13名) 中等度障害:12.7%(27名) 重度障害:12.7%(27名) 植物状態:10.8%(23名) 死亡:57.5%(122名) ※出典:ScienceDirect 何らかの障害を抱えながら生存される方が約36%、亡くなる方が半数以上を占めるため回復率は低いといえるでしょう。 脳幹出血の余命はどのくらい? 脳幹出血を含む脳出血患者の余命は、約12年程度とされています。 その他、生存率に関する調査では以下のような結果が報告されています。 10年生存率は約24.1% 5年生存率は24% 1年生存率は38%、 若年層(50歳以下)は高齢者(70歳以上)よりも5年生存率が高い 特に意識障害が強い場合や出血量が多い場合は、発症後数時間から数日で急激に状態が悪化するケースもあり、注意が必要です。 脳幹出血を予防する方法は? 脳幹出血の主な原因は高血圧や動脈硬化であるため、予防は基本的に生活習慣の改善によって行います。 減塩する 大量飲酒・喫煙を控える 肥満を解消する ストレスを溜めない 定期的な健康診断を受ける 適切な血圧管理 これらの予防法を継続的に実践することで、脳幹出血のリスクを減らすことができます。 【まとめ】脳幹出血は程度によって回復の見込みもある!早期のリハビリテーションが重要 脳幹出血は重篤な疾患ですが、出血の程度によっては回復の見込みがあります。 ある研究では良好回復は約6.1%※と低いものの、予後を左右する重要な因子として、発症時の意識状態や出血量、年齢などが挙げられます。 ※出典: 脳幹出血患者の予後予測. 脳卒中の外科 回復のためには早期からの適切なリハビリテーションが非常に重要であり、急性期・回復期・維持期の各段階に応じた計画的なアプローチが求められます。 また、再発予防のためには減塩や禁煙、適切な血圧管理などの生活習慣改善が不可欠です。 他にも脳幹出血の再発予防や後遺症には、再生医療の選択肢があります。 再生医療に興味がある方は、お気軽にご相談ください。
2025.03.07 -
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脳幹出血を発症すると、どのような後遺症が残るのか、またその症状に対してどのような治療やリハビリが効果的なのか疑問をお持ちの方も多いでしょう。 とくにご家族が脳幹出血を発症された方は、これからの治療や生活について不安を感じておられることと思います。 この記事では、脳幹出血の主な後遺症とその症状、治療・リハビリ方法について詳しく解説します。 脳幹出血の主な後遺症 脳幹出血の主な後遺症は以下の通りです。 運動麻痺(四肢麻痺) 感覚麻痺 眼球運動障害 嚥下障害 構音障害 高次脳機能障害 出血した部位や範囲によって症状は異なりますが、一般的には後遺症が出るケースが多いとされています。 本章では、脳幹出血後に見られる主な後遺症について詳しく解説します。 運動麻痺(四肢麻痺) 運動麻痺とは、手足を自分の意思通りに動かせなくなる状態です。 麻痺の状態は以下のように分類されます。 完全麻痺:自分の意思で手足を全く動かせない状態 不全麻痺:運動機能や感覚が完全に失われず、手足の動きが少し残る 弛緩性麻痺:筋肉の緊張が低下し、力が入らない状態 痙性麻痺:筋肉が硬く緊張した状態で、スムーズに動かすことができない 脳幹出血によって運動をコントロールする神経経路が損傷すると、四肢に麻痺が生じることがあります。 とくに脳幹は左右の神経が交差する場所であるため、両側の手足に麻痺が現れる四肢麻痺を引き起こすことがあります。 感覚麻痺 感覚麻痺は、皮膚などへの刺激を正常に感じ取れなくなる状態です。 感覚麻痺によって現れる主な症状には以下のようなものがあります。 触覚の低下(物に触れても感じにくい) 痛覚の低下(痛みを感じにくい)または過敏(わずかな刺激でも痛みを感じる) 温度感覚の低下(熱い・冷たいの区別がつきにくい) 深部感覚の低下(体の位置や動きの認識が難しい) しびれ感や異常感覚 振戦(ふるえ) 脳幹出血によって感覚を伝える神経経路が損傷されると、身体の感覚が鈍くなったり、異常を感じたりすることがあります。 眼球運動障害 眼球運動障害は、目の見え方に異常をきたす障害です。 脳幹出血によって、眼球を動かしたり瞳孔や水晶体の調節したりする神経が損傷されると、さまざまな視覚症状が現れます。 複視(物が二重に見える) 眼瞼下垂(まぶたが垂れ下がってくる) 視野狭窄(視野が狭くなる) 視力低下(物がぼやけて見える) めまい これらの症状は日常生活に大きな支障をきたすため、早期からのリハビリテーションが重要です。 嚥下障害 嚥下(えんげ)とは、飲食物を飲み込む動作のことです。 脳幹には嚥下に関わる神経が多く存在するため、脳幹出血によって嚥下機能に影響を及ぼすことがあります。 食事中にむせる・咳き込む頻度が増える 食事に時間がかかるようになる 食べられる量が減少する よだれが増える 声が枯れやすくなる(誤嚥により声帯に負担がかかる) 嚥下障害がある場合、誤嚥性肺炎のリスクが高まるため、適切なリハビリテーションと口腔ケアが重要です。 構音障害 構音障害とは、舌、口唇、声帯などの動きに異常が生じ、はっきりと発音できなくなる障害です。 構音障害によって現れる主な症状には以下のようなものがあります。 はっきり発音できなくなる(呂律が回らない) 高い声を出しにくくなる 声がかすれやすくなる 声の大きさをコントロールしにくくなる 言葉に抑揚がなくなる 脳幹出血によって発声に関わる神経や筋肉の機能が損なわれると、言葉がはっきりと発音できなくなります。 構音障害のリハビリでは、正しい発音の練習やゆっくりと話すことを意識することで、コミュニケーション能力の改善が期待できます。 高次脳機能障害 高次脳機能障害とは、脳の損傷によって生じる認知・思考・行動の障害です。 高次脳機能障害には以下のような症状が含まれます。 注意力や集中力の低下 記憶障害(とくに新しいことを覚えられない) 遂行機能障害(計画を立てて実行することが難しい) 社会的行動障害(感情のコントロールが難しい) 意欲の低下 高次脳機能障害は外見からは分かりにくいため「見えない障害」とも呼ばれます。 本人が気付きにくいからこそ、家族や周囲の人の理解が必要です。 脳幹出血の後遺症に対するリハビリと治療方法 脳幹出血は重篤な症状を引き起こす疾患であり、後遺症の回復には適切な治療とリハビリテーションが欠かせません。 治療とリハビリは病期によって大きく内容が変わります。 急性期の治療とリハビリ 回復期の治療とリハビリ 維持期の治療とリハビリ 脳幹出血の後遺症に対するアプローチは、上記の3段階に分けて行われ、それぞれの段階で必要な治療とリハビリ方法が選択されます。 急性期の治療とリハビリ 発症から約2週間〜1カ月程度の急性期は、命を守り、状態を安定させることが最優先される時期です。 急性期の治療は主に次のように行われます。 治療方法 内容 降圧療法 出血の拡大を防ぐため血圧を適切にコントロール 脳浮腫治療 マンニトールやグリセオールなど薬剤を用いて脳浮腫(脳の腫れ)を軽減 ドレナージ手術 水頭症が見られる場合にチューブで脳脊髄液を体外に排出 人工呼吸器管理 呼吸機能低下時に実施 気管切開 長期的な呼吸管理が必要な場合に実施 脳幹出血は他の脳出血と異なり、手術の負担が大きいという理由から血腫除去手術はあまり適応されません。 治療の主な目的は出血の拡大防止と全身状態の安定化です。 急性期には、全身状態に注意した上で以下のリハビリが実施されます。 ベッドでの関節可動域訓練 早期離床訓練(座位訓練) 嚥下機能評価と訓練 呼吸リハビリ 基本動作訓練 急性期のリハビリは、可能な限り早期から開始することが推奨されています。長期間のベッド上安静は筋力低下や関節拘縮、褥瘡などの二次的合併症のリスクを高めるためです。 ただし、脳幹出血の場合は他の脳血管疾患よりも安静度が高く設定されることが多いため、医師の判断のもとで状態に合わせた適切なリハビリを進めていきます。 回復期の治療とリハビリ 回復期(発症後約3~6カ月)は、失われた機能の回復に集中的に取り組む時期です。 急性期を過ぎても症状や後遺症に応じて以下のような治療が行われます。 治療方法 内容 薬物療法 痙縮に対する筋弛緩薬の投与 ボツリヌス療法 強い痙縮に対しボツリヌス毒素を注射し筋緊張を緩和 ITB療法 重度痙縮に対しバクロフェンを脊髄腔内に持続投与 電気刺激療法 筋肉に電気刺激を与え運動機能回復を促進 回復期ではとくに痙縮(けいしゅく)と呼ばれる手足の筋肉が緊張して突っ張る症状に対する治療が重要です。 回復期には、症状や後遺症に応じて以下のリハビリが実施されます。 歩行訓練 ADL(日常生活動作)訓練 上肢機能訓練 高次脳機能障害へのアプローチ 嚥下・構音訓練 筋力増強訓練 脳幹出血患者の場合、リハビリ専門病院への入院期間は150日間(高次脳機能障害を伴う場合は180日間)までと決まっています。 この時期は機能回復が期待できる時期であり、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士など多職種によるリハビリが行われます。 維持期の治療とリハビリ 維持期(発症後6カ月以降)は、回復した機能の維持と、残された症状に適応した生活の再構築を目指す時期です。 維持期には、以下の治療が行われます。 治療方法 内容 継続的な薬物療法 痙縮、高血圧、脳卒中再発予防のための薬物治療 定期的な検査 合併症の早期発見のための検査(血液検査やCT・MRIなど) 再発予防治療 高血圧、糖尿病、脂質異常症などの基礎疾患管理 二次的合併症対応 関節拘縮、排尿障害、うつなどへの治療 補助具・福祉機器の処方 日常生活の自立度を高めるための支援機器提供と調整 維持期の治療では再発予防がとくに重要です。脳幹出血は再発すると症状がさらに重篤化することが多いため、基礎疾患の管理と定期的な健康チェックが欠かせません。 また、維持期には、以下のリハビリが実施されます。 外来リハビリテーション 訪問リハビリテーション デイケア・デイサービスでのリハビリ 自主トレーニング 環境調整と生活支援 維持期のリハビリは在宅で行われることが一般的で、介護保険サービスを活用しながら継続的に実施します。 リハビリを継続することで生活の質を向上させることができます。 脳幹出血の後遺症に対する治療の選択肢「再生医療」について 脳幹出血の後遺症に対する治療選択肢の一つとして再生医療があります。 再生医療は、人間が持っている再生能力を活かした医療技術です。 当院「リペアセルクリニック」で行っている再生医療は、自己脂肪由来の幹細胞治療です。 幹細胞治療では、患者さまの脂肪から幹細胞を採取・培養し、点滴で体内に戻すことで損傷した脳細胞の再生を図ります。 患者さま自身の幹細胞を利用するため、副作用のリスクが少ないのが特徴です。 脳幹出血を含む脳卒中に対する再生医療について詳細を知りたい方は、以下をご覧ください。 脳幹出血の後遺症に関してよくある質問 脳幹出血の後遺症に関してよくある質問を紹介します。 脳幹出血の後遺症から回復する見込みはある? 脳幹出血で後遺症になったら余命はどのくらい? 脳幹出血の前兆・サインはある? それぞれ詳しくみていきましょう。 脳幹出血の後遺症から回復する見込みはある? 脳幹出血の後遺症からの回復見込みは、出血の重症度によって大きく異なります。 軽度から中程度の場合は回復が期待できることもありますが、重度の場合は回復が難しい可能性が高いです。 調査では、脳幹出血患者の約6.1%が良好な回復、25.4%が中〜重度の障害を残すという結果※が報告されています。 ※出典:PubMed 発症時の意識レベルや出血量が大きな予後因子となります。 脳幹出血で後遺症になったら余命はどのくらい? 脳幹出血に限らず脳出血で後遺症が残った場合の余命については、研究データによると、脳内出血全体の10年生存率は約24%※とされています。 ※出典:AHASIA Journals Stroke 具体的には、深部出血で31.6%、脳葉出血で23.8%、後頭蓋窩(脳幹や小脳を含む部位)出血では34.3%の10年生存率が報告されています。 脳幹出血の前兆・サインはある? 脳幹出血の発症前に現れることがある前兆やサインとしては、主に以下の症状が知られています。 突然の激しいめまい 大きないびき 視覚の異常(視野が狭くなる、物が二重に見えるなど) これらの症状を感じた場合は、早急に医療機関を受診することが重要です。 【まとめ】脳幹出血の後遺症にお悩みの方は再生医療をご検討ください 脳幹出血は重篤な症状を引き起こす疾患で、運動麻痺や高次脳機能障害などの後遺症が出ることがあります。 後遺症の新たな治療方法として再生医療をご検討ください。 当院「リペアセルクリニック」では自己脂肪由来の幹細胞治療を提供しており、一般的な治療(約1億個)の2倍となる2億個の幹細胞を投与可能です。 脳幹出血の後遺症でお悩みの方は、当院にご相談ください。
2025.03.07 -
- 内科
ズキズキと刺すような痛みと、透明な液体が詰まった赤い発疹を伴う症状が出る。 実はこれ、誰でも発症する可能性のある帯状疱疹かもしれません。 本稿では、帯状疱疹がなぜ起こり、どんな症状が出るのか、治療法、そして予防に有効なワクチン情報まで、詳しく解説します。 もしかして、今の体の不調は帯状疱疹の初期症状かも? 少しでも気になる方は、ぜひ読み進めてみてください。 帯状疱疹の症状と原因を詳しく解説 帯状疱疹は、ズキズキと刺すような痛みと、透明な液体が詰まった赤い発疹を伴う症状が現れる病気です。 特徴的なのは、体の左右どちらか一方にのみ現れる発疹です。 実は、幼少期に感染した水ぼうそうの原因ウイルスは体内に残り、誰にでも起こりうる身近な病気とも言えます。 今回は、帯状疱疹の症状や原因、そして病気の経過について、わかりやすく解説していきます。 帯状疱疹とは? 帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)によって引き起こされます。 このウイルスは、実は小児期の水疱瘡の原因となるウイルスと同じものなのです。 初感染時には水ぼうそうとして発症しますが、治癒した後もウイルスは神経節と呼ばれる神経細胞の集まりに潜伏し続けます。 このウイルスは通常、人体の免疫システムによって抑制された状態で体内に留まっていますが、加齢や過労、ストレスなどによって免疫力が低下すると、休眠状態だったウイルスが再び活動を始め、帯状疱疹の症状として現れてきます。 VZVはアルファヘルペスウイルスというグループに属し、単純ヘルペスウイルスと同様に、一度感染すると体内に潜伏し続けるという特徴を持っています。 再生医療の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「再生医療」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 帯状疱疹の初期症状 帯状疱疹の初期症状は、実にさまざまです。 そのため、他の病気と見分けにくく、診断が遅れてしまうケースも少なくありません。 初期には、風邪に似ただるさや頭痛、微熱といった全身症状が現れることがあります。 また、皮膚症状が現れる数日前から、ピリピリとした痛みやしびれ、かゆみといった皮膚の違和感を感じることもあります。 こうした症状は、ウイルスによって神経に炎症が生じることで起こります。 しかし、これらの初期症状は個人差が大きく、必ずしも全員が同じような症状が出るわけではありません。 例えば、皮膚症状が出る前に強い痛みを感じる人もいれば、全く痛みを感じない人もいます。 重要なのは、これらの初期症状に注意を払い、少しでも異変を感じたら早めに医療機関を受診することです。 帯状疱疹の特徴的な症状:ピリピリとした痛みと赤い発疹 帯状疱疹の最も特徴的な症状は、なんといってもピリピリとした痛みと赤い発疹です。 痛みは、発疹が現れる数日前から始まることもあり、ヒリヒリ、シクシクなど、痛みの感じ方は人それぞれです。 痛みの程度も個人差が大きく、軽い痛みで済む人もいれば、激痛に苦しむ人もいます。 赤い発疹は、小さな水ぶくれが集まったもので、神経に沿うような帯のような形で出現してきます。 この水ぶくれは、次第にかさぶたになり、おおよそ2~3週間程度で完治に向かいます。 しかし、皮膚の症状が治まった後も、痛みが続く場合があります。 これは「帯状疱疹後神経痛」と呼ばれる合併症で、この症状は、とりわけお年を召した方に発生する傾向が確認されています。 帯状疱疹の症状の経過と回復までの期間 帯状疱疹の症状は、一般的に2~4週間で治まります。 最初は赤い水疱が現れ始め、かさぶたになって治っていきます。 しかし、前述のように、痛みは発疹が治った後も残ることがあります。 この帯状疱疹後神経痛は、数か月、数年と長引くことも報告されており、生活の質を著しく低下させる可能性があります。 年齢が高い方や免疫が弱っている方については、この病気にかかりやすいだけではなく、その後の神経痛に悩まされる可能性も増加します。 できるだけ早い段階で治療を始めることによって、そのような症状が残るリスクを抑制できることもあり、早期発見・早期治療が重要です。 帯状疱疹の原因:水痘・帯状疱疹ウイルスの再活性化 帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)の再活性化が原因で起こります。 幼少期に水疱瘡を経験したことのある方は、このVZVが体内の神経節に潜伏しています。 加齢、疲労、ストレス、病気などによって免疫力が低下すると、VZVが再び活性化し、帯状疱疹を発症します。 免疫力の低下は、VZVの再活性化の主要な引き金となります。 高齢者や免疫抑制剤を使用している人、あるいは持病がある人は、特に注意が必要です。 VZVの再活性化は、神経に沿って炎症を引き起こし、独特の痛みと共に、皮膚に吹き出物が現れるのが特徴です。 帯状疱疹の発生率は、年齢とともに増加することが知られており、特に50歳以上で急増します。 帯状疱疹の治療法と後遺症 帯状疱疹は、体の片側にピリピリとした痛みと赤い発疹が現れる病気です。 早期に適切な治療を行うことで、症状を迅速に和らげ、合併症の危険性も軽減できます。 少しでも気になる症状があれば、ためらわずに医療機関を受診しましょう。 帯状疱疹の治療薬:抗ウイルス薬 帯状疱疹の治療の要となるのは、抗ウイルス薬です。 この薬は、帯状疱疹の原因である水痘・帯状疱疹ウイルスの増殖を抑えることで、皮膚の症状を早く治し、神経の痛みなどの合併症を防ぐ働きがあります。 抗ウイルス薬には、アシクロビル、バラシクロビル、ファムシクロビルなどがあり、一般的には内服薬として処方されます。 それぞれのお薬の働きをシンプルにご説明いたします。 アシクロビル:アシクロビルは帯状疱疹治療の基本となる薬ですが、1日5回服用する必要があります。 バラシクロビル:バラシクロビルはアシクロビルに比べて1日の服用回数が少なく、飲み忘れを防ぎやすいという利点があります。 ファムシクロビル:ファムシクロビルは1日2~3回服用し、食事の影響を受けにくいという特徴があります。 どの薬が患者さんに最適かは、現在の状態や他の疾患の有無、年齢などを考慮して医師が判断します。 自己判断で薬の服用を中止したり、服用量を変えたりすることは大変危険ですので、絶対にしないでください。 医師の指示に従って正しく服用することが重要です。 発疹出現後72時間以内に抗ウイルス療法を開始することで、症状の悪化や併発症の危険性を抑えられることが示されています。 帯状疱疹の痛みを抑える薬 帯状疱疹では、発疹に伴い、強い痛みを感じる方が多くいらっしゃいます。 このような痛みは、ウイルスが神経を刺激して炎症が発生することにより生じます。 痛みを和らげるために、鎮痛薬が使用されます。 鎮痛薬には、アセトアミノフェンや非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)などがあります。 これらの薬は、痛みや炎症を抑える効果があります。 痛みが強い場合には、神経障害性疼痛治療薬と呼ばれる種類の薬が処方されることもあります。 神経障害性疼痛治療薬は、神経の損傷によって生じる痛みを特異的に抑える薬です。 適切な鎮痛薬を選ぶことで、日常生活における痛みを軽減し、より快適に過ごせるようになります。 痛みの強さと性質を考慮して、医師が適切な薬剤を選択し、処方しますので、ご安心ください。 ▼痛み止めどれがいい?併せてお読みください。 帯状疱疹の治療期間 帯状疱疹の治療期間は、症状の重さや個人差によって異なりますが、通常は2~4週間程度です。 抗ウイルス薬は、発疹が出てから72時間以内に服用を開始すると最も効果的です。 できるだけ早い段階で治療を始めることにより、症状の悪化や後遺症のリスクを減らすことができます。 治療期間中は、医師の指示に従って薬をきちんと服用し、患部を清潔に保つことが大切です。 また、十分な休息と栄養を摂ることも、早期回復に繋がります。 帯状疱疹の合併症:帯状疱疹後神経痛 帯状疱疹の合併症として最も注意すべきなのは、帯状疱疹後神経痛(PHN)です。 この症状は、帯状疱疹そのものが完治した後でも痛みが残る症状のことで、お年寄りや抵抗力が弱っている患者さんに発症することが多いとされています。 帯状疱疹後神経痛は、日常生活の質が大きく損なわれる可能性があり、適切な治療と管理が必要です。 帯状疱疹後神経痛の症状と治療法 帯状疱疹後神経痛の症状は、ピリピリ、シクシクする痛み、焼けつくような痛みなど、人によって様々です。服が軽く当たっただけでも痛みが生じたり、夜も眠れないほどの強い痛みが出ることもあります。 治療には、鎮痛薬、神経障害性疼痛治療薬、抗うつ薬、抗けいれん薬などが用いられます。 また、塗り薬や神経ブロック注射、リハビリテーションなども有効な場合があります。 痛みが長引く場合は、ペインクリニックなどの専門医療機関への受診も検討しましょう。 帯状疱疹後神経痛は、QOL(生活の質)に大きな影響を与える可能性があります。 日常生活に支障が出るほどの痛みがある場合は、我慢せずに医師に相談し、適切な治療を受けることが重要です。 帯状疱疹ワクチンの種類と効果 帯状疱疹は、ビリビリ、シクシクする痛みと赤みを帯びた発疹が主な特徴となる病気です。 50歳を過ぎると発症リスクが急激に上がり、80歳までに約3人に1人が発症すると言われています。 帯状疱疹後神経痛といった後遺症に悩まされる方も少なくありません。 帯状疱疹はワクチンで予防できることをご存知ですか? ワクチン接種によって発症リスクや重症化リスクを大幅に下げることができますので、ぜひワクチンについて知っていただきたいと思います。 帯状疱疹ワクチンの種類:生ワクチンと不活化ワクチン 帯状疱疹ワクチンには、大きく分けて「生ワクチン」と「不活化ワクチン」の2種類があります。 それぞれの特徴を理解し、あなたの状態に適したワクチンを選ぶことが大切です。 ワクチン種類 特徴 効果 副反応 対象年齢 生ワクチン 毒性を弱めた生きたウイルスを使用 帯状疱疹の発症予防効果は約50% 注射部位の痛み、発赤、腫れ 50歳以上 不活化ワクチン ウイルスの一部または不活化したウイルスを使用 帯状疱疹の発症予防効果は約90%、帯状疱疹後神経痛の発症予防効果も高い 注射部位の痛み、発赤、腫れ、頭痛、疲労 50歳以上 生ワクチンは、毒性を弱めた水痘・帯状疱疹ウイルスを接種することで、体内に免疫を作り出す仕組みです。 水疱瘡の感染予防としても活用されています。不活化ワクチンは、ウイルスの抗原となる一部を接種することで免疫を獲得させます。 ウイルスは不活化されているため、生ワクチンに比べて安全性が高い一方、免疫反応を高めるために、複数回の接種が必要となる場合があります。 帯状疱疹ワクチンの効果と持続期間 帯状疱疹ワクチンは、帯状疱疹を発症する確率を下げることができます。 生ワクチンの場合、その効果は約50%で、効果の持続期間は5年程度です。 つまり、接種後5年経過すると、この病気を防ぐ効果が次第に低下し、再び発症リスクが高まる可能性があります。 一方、不活化ワクチンの場合、90歳以上の方でも約90%の高い発症予防効果があり、後遺症として生じる神経痛の危険性も軽減できます。 その効果は少なくとも10年間持続すると考えられており、より長期的な予防効果が期待できます。 2018年から利用可能な不活化サブユニットワクチンは、有効性が高く、比較的忍容性も良好です。 帯状疱疹ワクチンの副反応 帯状疱疹ワクチン接種後に起こりうる副反応として、注射部位の痛み、発赤、腫れなどの局所反応が挙げられます。 これらの症状は、ワクチン接種による免疫反応の一環として現れるものであり、通常は数日以内に軽快します。 その他、頭痛や疲労感、発熱などの全身症状が現れる場合もありますが、多くは一時的なものです。 重篤な副反応はまれですが、アナフィラキシーショックなどのアレルギー反応が起こる可能性もゼロではありません。 気になる症状が出た場合は、速やかに医師に相談しましょう。 帯状疱疹ワクチンの接種費用と接種場所 帯状疱疹ワクチンの接種費用は、医療機関によって異なりますが、おおよそ1回あたり20,000円程度です(不活化ワクチン2回接種の場合の合計は40,000円程度)。 多くの自治体で助成制度が設けられており、自己負担額が軽減される場合がありますので、お住まいの自治体にお問い合わせください。 接種は、医療機関やワクチン接種会場で受けられます。 かかりつけ医に相談するか、自治体のホームページなどで接種可能な医療機関を検索できます。 帯状疱疹ワクチンの接種対象者 帯状疱疹ワクチンは、50歳以上の方を対象に接種が推奨されています。 とりわけ、お年を召した方や抵抗力が弱っている人は、帯状疱疹を発症すると重症化しやすい傾向があるため、ワクチン接種が重要です。 ただし、妊娠中の方、免疫不全の方、水痘ワクチン接種後8週間以内の方などは接種できない場合があります。 特定の疾患をお持ちの方は、接種前に医師に相談する必要があります。 生医療の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「再生医療」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 参考文献 Ehrenstein B. "[Diagnosis, treatment and prophylaxis of herpes zoster]." Zeitschrift fur Rheumatologie 79, no. 10 (2020): 1009-1017. Arvin AM. "Varicella-zoster virus." Clinical microbiology reviews 9, no. 3 (1996): 361-81. 監修医師 リペアセルクリニック 内科専門医 渡久地 政尚
2025.02.12 -
- 内科
つらい痛み、我慢していませんか? 日常生活を脅かす頭痛、生理痛、神経痛など、痛みは種類も程度も人それぞれ。 市販の痛み止めを飲んでみたけれど効かない、、そんな経験はありませんか? 実は痛み止めには様々な種類があり、その効果や副作用、適切な使い分けを知ることが、痛みを効果的に管理する鍵となります。 この記事では、NSAIDsなどの代表的な痛み止めの種類や効果から、副作用、多剤併用鎮痛法といった一歩進んだ知識まで、医師がわかりやすく解説します。 自分にぴったりの痛み止め選び、そして痛みと賢く付き合う方法を、一緒に探ってみましょう。 痛み止めの種類と効果を知る5つのポイント 痛みは、私たちにとって非常に不快な感覚であり、日常生活に大きな影響を与えます。 痛みを我慢することは、身体的にも精神的にも負担が大きく、生活の質を低下させる可能性があります。 そこで今回は、様々な痛みを和らげる「痛み止め」の種類と効果について、内科専門医がわかりやすく解説します。 年齢や痛みの種類によって適切な薬は異なりますので、この情報を参考に、ご自身に合った痛み止め選びのヒントとして役立ててください。 NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)の特徴と効果 NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)は、炎症を抑え、痛みや熱を和らげる効果があります。 「非ステロイド性」とは、ステロイド系の薬ではないことを意味しています。 ステロイド系の薬は強力な抗炎症作用がありますが、副作用も多いため、NSAIDsは比較的安全に使用できる痛み止めとして広く使われています。 よく耳にする「ロキソニン」や「ボルタレン」も、このNSAIDsの一種です。こ れらの薬は、炎症を起こしている部分に直接作用することで、痛みや腫れ、熱といった症状を改善します。 例えば、ねんざをして足首が腫れて熱を持っている時、NSAIDsを服用すると、炎症が抑えられ、痛みや腫れ、熱が引いていくのです。 薬の名前 効果 注意点 ロキソニン 筋肉痛、関節痛などに効果を発揮します。 腎障害や脳浮腫のリスクがあります。特に、若年者で運動前に服用すると、これらのリスクが高まる可能性があるので注意が必要です。 ボルタレン 激しい痛みや怪我、捻挫、骨折など急性期の痛みに効果を発揮します。 長期間の使用は胃腸への負担となることがあります。 セレコックス 胃腸への負担が少ない 他のNSAIDsと比べて高価な場合があります。 アセトアミノフェンの特徴と効果 アセトアミノフェンは、比較的副作用が少なく、安全性が高い痛み止めとして知られています。 解熱効果もあるので、風邪などで熱がある時にもよく使われます。「カロナール」という名前で市販されている薬が代表的です。 アセトアミノフェンは、NSAIDsのように炎症を抑える効果は弱いため、強い炎症を伴う痛みにはあまり効果がありません。 しかし、安全性が高いため、子供や高齢者、妊娠中・授乳中の方にも使用できる場合があります。 オピオイド鎮痛薬の特徴と効果 オピオイド鎮痛薬は、他の痛み止めでは効かないような強い痛みに対して使われる、非常に強力な鎮痛薬です。 手術後の痛みや、がんによる痛みなど、激しい痛みに対して効果を発揮します。 しかし、依存性や副作用のリスクがあるため、医師の指示に従って慎重に使用する必要があります。 「トラムセット」のように、アセトアミノフェンとオピオイドを組み合わせた薬もあります。 オピオイド鎮痛薬は、多剤併用鎮痛法の一環として使用されることもあり、パラセタモール(アセトアミノフェンの別名)との併用で相加的または相乗的な効果を発揮し、鎮痛効果を高め、副作用を軽減する可能性が示唆されています。 その他の鎮痛薬(抗うつ薬、抗てんかん薬など) 実は、抗うつ薬や抗てんかん薬といった薬も、特定の痛みに効果を発揮することがあります。 神経痛など、他の痛み止めでは効果が得られないような慢性的な痛みを抱えている方は、医師に相談してみましょう。 これらの薬は、本来の目的とは異なる用途で使用されるため、「適応外使用」と呼ばれます。 痛み止めが効かない時:多剤併用鎮痛法とは 痛みがなかなか取れない、そんな時もあるかもしれません。 痛みの種類や程度、原因は人それぞれ異なるため、一つの痛み止めだけでは効果が不十分な場合があります。 そこで、複数の種類の薬を組み合わせて使う「多剤併用鎮痛法」という方法があります。 それぞれの薬が異なるメカニズムで痛みを抑えるため、単剤よりも高い鎮痛効果が期待できる一方で、薬物相互作用や副作用のリスクも考慮する必要があります。 例えば、NSAIDsとアセトアミノフェンを併用することで、より強い鎮痛効果が得られる場合があります。 また、オピオイド鎮痛薬を使用する場合、パラセタモールとの併用は、オピオイド鎮痛薬の量を減らすことができ、副作用軽減につながる可能性があります。多 剤併用鎮痛法は、特に高齢者で合併症や併用薬が多い場合に、そのメリットが大きくなります。 痛み止めの副作用と注意点6選 痛み止めは、つらい痛みを和らげてくれる頼もしい存在ですが、一方で副作用も存在します。 安全に服用するためには、どのような副作用が起こりうるのか、どのような点に注意すべきなのかを事前に理解しておくことが重要です。 この章では、痛み止めの副作用や注意点、そして副作用が出たときの対処法について、より詳しく解説します。 自分に合った痛み止めを選び、正しく服用することで、痛みを効果的にコントロールし、快適な生活を送れるようにしましょう。 鎮痛薬の種類別の副作用 痛み止めには様々な種類があり、それぞれに特徴的な副作用があります。それぞれの副作用と、その副作用がなぜ起こるのかを理解しておくことが大切です。 アセトアミノフェン: 比較的安全性が高い薬として知られていますが、過剰に摂取すると肝臓に負担がかかり、肝機能障害を引き起こす可能性があります。 肝臓は、体内の有害物質を解毒する重要な臓器です。アセトアミノフェンも肝臓で代謝されますが、過剰に摂取すると肝臓の処理能力を超えてしまい、肝細胞がダメージを受けてしまうのです。 決められた服用量を厳守し、用法用量を守ることが非常に大切です。 NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬): 胃腸障害(吐き気、下痢、胃痛、胃潰瘍、十二指腸潰瘍など)や腎臓への影響(腎機能障害)、まれにですが心血管系への影響(心筋梗塞、脳卒中)などが起こる可能性があります。 NSAIDsは炎症を引き起こす物質の生成を抑えることで効果を発揮しますが、同時に胃腸を守る働きを持つ物質の生成も抑制してしまうため、胃腸障害が起こりやすくなります。 特に、高齢の方や持病のある方は注意が必要です。空腹時の服用を避け、胃腸薬と併用する、あるいはセレコックスのような胃腸への負担が少ないNSAIDsを選択するなどの対策が有効です。 また、腎機能が低下している方は、NSAIDsの服用によって腎機能がさらに悪化する可能性があるため、医師への相談が必要です。 さらに、ロキソニンを運動前に服用すると、腎障害や脳浮腫のリスクを高める可能性があるという報告もあります。これは、運動によって腎血流量が低下している状態でロキソニンを服用すると、腎臓への負担がさらに増大してしまうためと考えられています。 オピオイド鎮痛薬: 便秘、眠気、吐き気などが起こりやすいです。 また、長期間使用すると依存性が生じる可能性があり、さらに、呼吸抑制といった重篤な副作用も起こりえます。 医師の指示に従って服用することが非常に重要です。分娩時の疼痛緩和にもオピオイド鎮痛薬が用いられることがありますが、母体と胎児への影響を考慮して慎重に使用する必要があります。 併用禁忌の薬とその理由 一部の痛み止めは、特定の薬と一緒に服用すると、効果が弱まったり、副作用が強まったり、あるいは予期せぬ重篤な副作用が生じる可能性があります。 例えば、ワーファリンなどの抗凝固薬とNSAIDsを併用すると、出血しやすくなる作用が重なってしまい、出血のリスクが高まる可能性があります。 また、一部の抗うつ薬と特定の痛み止めを併用すると、セロトニン症候群という、精神状態の変化、自律神経系の異常、神経筋の異常を特徴とする重篤な副作用が起こる可能性があります。 服用中の薬がある場合は、必ず医師や薬剤師に相談しましょう。 妊娠中・授乳中の服用について 妊娠中や授乳中は、服用できる薬が限られます。胎盤や母乳を通じて薬の成分が胎児や乳児に移行し、影響を与える可能性があるためです。 アセトアミノフェンは、他の鎮痛薬と比較して比較的安全とされていますが、それでも医師や薬剤師に相談してから服用することが推奨されます。 NSAIDsは、妊娠後期に服用すると、胎児の動脈管収縮などを引き起こし、胎児に悪影響を与える可能性があるため、一般的には避けられます。 オピオイド鎮痛薬も、胎児や新生児に影響を与える可能性があります。自己判断で服用せず、必ず医師の指示に従ってください。 分娩時の疼痛緩和には、硬膜外鎮痛法が最も効果的ですが、患者さんの希望や状況によっては、笑気やオピオイド、非オピオイドなどの全身薬物療法が用いられます。 薬剤によって母体や胎児への副作用が異なるため、医師と相談して適切な方法を選択することが重要です。 子供・高齢者の服用時の注意点 子供や高齢者の方は、薬の代謝能力が低下している場合があり、副作用が出やすい傾向があります。 子供には、年齢や体重に合わせた適切な用量を服用させることが重要です。 高齢者も、少量から開始し、様子を見ながら徐々に増量していくなどの配慮が必要です。 また、高齢者は複数の薬を併用している場合が多いため、飲み合わせにも注意が必要です。 アセトアミノフェンは、小児や高齢者にも比較的安全に使用できることが多いですが、それでも用量には注意が必要です。 痛み止めの依存性と対策 オピオイド鎮痛薬は、長期間使用すると依存性が生じる可能性があります。 身体的依存と精神的依存があり、身体的依存は、薬を急にやめると離脱症状(吐き気、嘔吐、下痢、発汗、震えなど)が現れる状態です。 精神的依存は、薬がないと不安になったり、薬を求める気持ちが強くなったりする状態です。 依存性を防ぐためには、医師の指示に従って服用し、自己判断で増量したり、長期間服用したりしないことが重要です。 また、痛みが治まったら、医師の指導の下、徐々に減量していくことが必要です。 副作用が出た場合の対処法 痛み止めを服用して、何か異変を感じたら、すぐに服用を中止し、医師や薬剤師に相談しましょう。 自己判断で他の薬を服用したり、症状を我慢したりすることは危険です。適切な対処を受けることで、重篤な事態を防ぐことができます。 自分に合った痛み止めの選び方4つのステップ 痛みは、日常生活を送る上で大きな妨げとなります。 痛みを我慢せず、適切な痛み止めを使用して痛みをコントロールすることは、生活の質を向上させる上で非常に重要です。 しかし、痛み止めにも様々な種類があり、どれを選べばいいのか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。 そこで今回は、自分に合った痛み止めを選ぶための4つのステップをご紹介いたします。 痛みの種類(頭痛、生理痛、神経痛など)に合った薬 痛みには、ズキズキとした頭痛、鈍い生理痛、ピリピリとした神経痛など、様々な種類があります。 痛みの種類によって、効果的な痛み止めも異なります。 例えば、頭痛にはアセトアミノフェンやイブプロフェンなどの市販薬が有効ですが、神経痛にはこれらの薬はあまり効かず、プレガバリンやデュロキセチンといった処方薬が必要となることがあります。 医師は、痛みの種類を正確に診断し、最適な薬剤を選択するお手伝いをいたしますので、自己判断で薬を選ぶのではなく、医療機関を受診して適切なアドバイスを受けるようにしてください。 痛みの程度(軽い、中程度、激しい)に合った薬 痛みの程度も、痛み止めの選択において重要な要素です。 軽い痛みであれば、アセトアミノフェンなどの市販薬で十分な場合もありますが、中程度以上の痛みには、より強力な鎮痛効果を持つNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)が必要となることもあります。 激しい痛みには、オピオイド系鎮痛薬が用いられることもありますが、これらは依存性や副作用のリスクがあるため、医師の指示に従って慎重に使用する必要があります。 痛みの程度を正確に伝えることは、適切な薬剤を選択する上で非常に重要です。 例えば、「我慢できる程度の痛み」や「耐えられないほどの痛み」といった表現ではなく、「10段階でいうとどの程度の痛みか」といった具体的な表現で医師に伝えることで、より的確な診断と治療を受けることができます。 持病や体質に合った薬 持病がある場合や特定の薬にアレルギーがある場合は、痛み止めの選択にさらに注意が必要です。 例えば、胃腸が弱い方は、NSAIDsによって胃腸障害を起こしやすいため、アセトアミノフェンやセレコキシブなど、胃腸への負担が少ない痛み止めを選択する必要があります。 高齢者や腎機能が低下している方は、薬の代謝が遅くなるため、薬の量を調整する必要があります。また、妊娠中や授乳中の場合は、胎児や乳児への影響を考慮して、医師に相談しながら服用する薬を決めることが重要です。 特に、妊娠後期にNSAIDsを服用すると、胎児の動脈管収縮などを引き起こす可能性があるため、注意が必要です。 分娩時の疼痛緩和には硬膜外鎮痛法が最も効果的ですが、患者さんの希望や状況によっては笑気やオピオイド、非オピオイドなどの全身薬物療法が用いられます。 薬剤によって母体や胎児への副作用が異なるため、医師と相談して適切な方法を選択することが重要です。 市販薬と病院で処方される薬の違い 市販薬と病院で処方される薬は、主成分が同じでも、用量や剤形が異なる場合があります。 市販薬は比較的軽い痛みに対して使用されることが多い一方、病院で処方される薬は、より強い痛みや慢性的な痛みに対して使用されます。 市販薬は手軽に入手できるというメリットがありますが、持病がある場合や複数の薬を服用している場合は、医師の診察を受けて自分に合った薬を処方してもらう方が安全です。 パラセタモールは、単独で使用されることもありますが、他の鎮痛薬、例えばオピオイドと組み合わせて使用されることもあり、その相乗効果で鎮痛効果を高め、副作用を軽減する可能性が示唆されています。 参考文献 Freo U. "Paracetamol for multimodal analgesia." Pain management 12, no. 6 (2022): 737-750. Zuarez-Easton S, Erez O, Zafran N, Carmeli J, Garmi G, Salim R. "Pharmacologic and nonpharmacologic options for pain relief during labor: an expert review." American journal of obstetrics and gynecology 228, no. 5S (2023): S1246-S1259. 監修医師 リペアセルクリニック 内科専門医 渡久地 政尚
2025.02.11 -
- 内科
あなたは、気づかないうちに忍び寄る"サイレントキラー"の存在を知っていますか? 実は、日本人の約4人に1人がかかっているにもかかわらず、自覚症状がほとんどないため、放置されがちな高血圧。 2017年のアメリカのガイドライン改訂で、基準値が厳しくなった今、あなたも高血圧予備軍かもしれません。 高血圧は、脳卒中や心筋梗塞といった命に関わる病気を引き起こす危険因子。 この記事では、高血圧の定義から合併症、最新の治療法まで、内科専門医がわかりやすく解説します。 ご自身の健康状態を正しく理解し、健康寿命を延ばすための第一歩を踏み出しましょう。 高血圧を理解する:定義と分類、合併症のリスク 高血圧は、知らず知らずのうちに進行し、ある日突然、重大な病気を引き起こす可能性があるため、「サイレントキラー」と呼ばれています。 ご自身の健康状態を理解し、健康管理に役立てていただくために、高血圧の定義や分類、合併症、初期症状、家庭血圧測定の重要性について、内科専門医の立場からわかりやすく解説します。 高血圧とは?基準値と高血圧の分類 高血圧とは、心臓が血液を送り出す圧力(血圧)が高い状態が続いていることを指します。血圧は2つの数値で表されます。 心臓がギュッと収縮して全身に血液を送り出す時の圧力が収縮期血圧、心臓が休息して血液を再び心臓に取り込む時の圧力が拡張期血圧です。 高血圧は、大きく分けて本態性高血圧と二次性高血圧の2種類に分類されます。 90%以上の方は原因が特定できない本態性高血圧で、遺伝的要因と環境要因(食塩の過剰摂取、肥満、運動不足、過度の飲酒など)の相互作用が関係していると考えられています。 一方、二次性高血圧は、腎臓病、ホルモン異常、睡眠時無呼吸症候群などの病気が原因で起こる高血圧で、全体の10%程度です。 若年者で高血圧が見つかった場合には、二次性高血圧の可能性が高いため、原因となる疾患の精査が必要です。 再生医療の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「再生医療」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 高血圧が引き起こす合併症:脳卒中、心筋梗塞、腎臓病など 高血圧は自覚症状が少ないため、放置すると血管に負担がかかり続け、動脈硬化が進行します。 動脈硬化は血管の壁が厚く硬くなり、血管が狭くなる状態です。高血圧は動脈硬化を進行させ、血管が詰まったり、破れたりするリスクを高めます。 高血圧が原因となる主な合併症には、脳卒中、心筋梗塞、腎臓病、心不全などがあります。 脳卒中:脳卒中は、脳の血管が詰まったり破れたりする病気です。 麻痺やしびれ、言語障害などの後遺症が残ることもあり、要介護状態となるリスクも高い病気です。 心筋梗塞:心筋梗塞は、心臓の血管が詰まって、心臓の筋肉が壊死する病気で、強い胸痛や呼吸困難などの症状が現れ、突然死のリスクも高い病気です。 腎臓病:腎臓病は、腎臓の血管が傷つき、腎臓の機能が低下する病気です。むくみやだるさなどの症状が現れ、最終的には人工透析が必要になることもあります。 心不全:心不全は、心臓のポンプ機能が低下し、全身に十分な血液を送り出せなくなる病気です。息切れや動悸、むくみなどの症状が現れます。 高血圧は、血管に常に高い圧力をかけることで血管を傷つけ、動脈硬化を促進し、これらの合併症のリスクを大きく高めます。 高血圧の初期症状:自覚症状が少ないため注意が必要 高血圧は初期にはほとんど自覚症状がありません。 そのため、健康診断などで指摘されるまで、高血圧に気づかない人が非常に多いです。「サイレントキラー」と呼ばれる所以です。 高血圧の症状として、頭痛、めまい、肩こり、動悸、耳鳴りなどが挙げられることがありますが、これらの症状は高血圧以外でも起こるため、高血圧特有の症状とは言えません。 また、これらの症状が現れる頃には、すでに高血圧がかなり進行している可能性もあります。 高血圧は自覚症状が乏しいため、定期的な血圧測定を行うことが重要です。 高血圧のサインを見つける: 家庭血圧測定の重要性 家庭血圧測定は高血圧の早期発見・早期治療のために非常に有効です。 家庭血圧測定は、リラックスした状態で血圧を測ることができるため、病院で測定する白衣高血圧による影響を受けず、より正確な値が得られる場合もあります。 また、毎日血圧を測ることで、血圧の変化を早期に把握しやすくなります。 家庭血圧計は、薬局や家電量販店などで手軽に購入できます。 家庭血圧測定を行う際には、朝、排尿後、朝食前に測定し、安静にしてから正しい姿勢で測定する、毎日同じ時間に測定する、などの点に注意しましょう。 家庭で血圧を測ることで、高血圧の早期発見・早期治療につながり、治療中の場合は、血圧コントロールの状態を把握するのにも役立ちます。 高血圧の原因と危険因子を知る 高血圧の危険因子は多岐に渡り、大きく分けて「加齢」「遺伝」「生活習慣」の3つに分類できます。 高血圧はこれらの因子が複雑に絡み合い発症すると考えられており、ご自身の危険因子を知ることで、予防や治療への意識を高め、健康管理に繋げることが重要です。 加齢、遺伝、生活習慣…高血圧の危険因子 まず、「加齢」による影響について考えてみましょう。 生まれたばかりの赤ちゃんの血管は柔らかく、しなやかで、風船のように柔軟です。しかし、年齢を重ねるにつれて、血管も徐々に老化し、弾力性を失い硬くなっていきます。 これは、血管の壁が厚く硬くなる動脈硬化の進行によるもので、加齢とともに血管が硬くなるのは自然な老化現象の一つと言えます。 血管が硬くなると、血液がスムーズに流れにくくなり、心臓はより強い力で血液を送り出さなければならなくなり、その結果、血圧が上昇しやすくなります。 次に、「遺伝」についてです。高血圧は、親から子へと遺伝する可能性のある疾患です。 両親が高血圧の場合、子供も高血圧になりやすい傾向があり、これは体質や遺伝子などが影響していると考えられています。 遺伝的要因は私たち自身でコントロールすることはできません。 しかし、遺伝だけで高血圧のすべてが決まるわけではなく、後述する生活習慣の改善によって予防できる可能性も十分に秘めているのです。 最後に、「生活習慣」について解説します。これは、私たちが毎日の生活の中で意識的に変えられる部分であり、高血圧の予防と治療において非常に重要な要素です。 食生活の乱れや運動不足、喫煙、過度の飲酒、ストレスなどは、高血圧のリスクを大きく高める要因となります。 塩分過多、肥満、運動不足…生活習慣と高血圧の関係 高血圧と密接に関係する生活習慣の中でも、特に注意が必要なのは、「塩分の摂りすぎ」「肥満」「運動不足」の3点です。 塩分の過剰摂取は、体内の水分量を増加させ、血液量を増加させることで、心臓がより多くの血液を送り出す必要が生じ、血圧の上昇に繋がります。 現代の食生活では、加工食品や外食などで、知らず知らずのうちに過剰な塩分を摂取していることが多いです。 厚生労働省が推奨する1日の塩分摂取量は、男性7.5g未満、女性6.5g未満ですが、現状では平均で男性10.9g、女性9.3gと、大幅に超過しているのが現状です。 高血圧を予防するためには、毎日の食事で減塩を意識することが重要です。 肥満、特に内臓脂肪の蓄積は、血圧を上げる物質の分泌を促進し、高血圧のリスクを高めます。 内臓脂肪は、皮下脂肪とは異なり、臓器の周囲に蓄積される脂肪で、様々な生理活性物質を分泌し、血圧や血糖値、コレステロール値などに悪影響を及ぼすことが知られています。 適正な体重を維持することは、高血圧だけでなく、様々な病気の予防にも繋がります。 運動不足は、高血圧だけでなく、様々な生活習慣病のリスクを高めます。 体を動かす習慣がないと、血液の循環が悪くなり、心臓はより多くの血液を送るために、強い力で拍動しなければならなくなります。 結果として、血圧が上昇しやすくなります。適度な運動は、血圧を下げるだけでなく、ストレス解消や精神的な健康維持にも効果的です。 喫煙、過度の飲酒…高血圧のリスクを高める要因 喫煙は、ニコチンが血管を収縮させ、血圧を上昇させる原因となります。 血管が収縮すると、血液が流れにくくなり、心臓はより強い圧力で血液を送り出さなければならず、血圧が上昇します。 さらに、喫煙は血管を傷つけ、動脈硬化を促進する作用もあるため、高血圧のリスクをさらに高めます。 禁煙は、高血圧だけでなく、様々な病気のリスクを軽減し、健康寿命を延ばすために非常に有効です。 過度の飲酒も、血圧を上昇させる要因の一つです。 アルコールは、血管を拡張させる作用と収縮させる作用の両方がありますが、過剰に摂取すると血管が収縮し、血圧が上昇します。アルコールの摂取量が多いほど、高血圧のリスクは高くなるため、節度ある飲酒を心がけましょう。 基礎疾患や薬の影響で高血圧になることも 高血圧は、加齢や生活習慣だけでなく、他の病気や薬の影響で引き起こされることもあります。 これを二次性高血圧と言い、腎臓病、副腎疾患、甲状腺疾患などが原因となることがあります。 例えば、腎臓は体内の水分や塩分のバランスを調整する役割を担っていますが、腎臓病になるとこの機能が低下し、体内に水分や塩分が過剰に蓄積され、高血圧を引き起こす可能性があります。 また、一部の薬も高血圧の副作用を引き起こす可能性があります。 例えば、ステロイド剤や一部の鎮痛剤、風邪薬などに含まれる成分が、血圧を上昇させることがあります。 服用している薬がある場合は、医師や薬剤師に相談することが大切です。 特に、高齢者の高血圧患者は約6人に1人が、3種類以上の降圧薬を最大量使用しても血圧が下がらない難治性高血圧に該当する可能性があり、早期の診断と適切な治療が重要です。 高血圧の治療と予防:生活習慣の改善と薬物療法 高血圧の治療は、大きく「生活習慣の改善」と「薬物療法」の2つの柱から成り立っています。 まるで、建物を支える二本の頑丈な柱のようなものです。 どちらか一方だけでは、真に健康な状態を維持することは難しく、両方をバランスよく行うことが重要です。 まず、生活習慣の改善について考えてみましょう。 高血圧の危険因子には、塩分の摂りすぎや肥満、運動不足、喫煙、過度の飲酒など、様々なものがあります。 まるで、私たちの体に少しずつ負荷をかけていく重りのようなものです。 これらの重りを一つずつ取り除く、あるいは軽くしていくことで、高血圧を予防し、治療していくことができるのです。 2017年のアメリカ心臓病学会(ACC)とアメリカ心臓協会(AHA)のガイドラインでも、高血圧管理には包括的な戦略が必要であると強調されています。 薬物療法だけでなく、食事療法や運動療法といった生活習慣の改善も重要視されているのです。 生活習慣の改善法 具体的には、1日に6g未満の塩分摂取を目標に減塩を心がけましょう。 外食や加工食品には、想像以上に多くの塩分が含まれていることが多いです。 例えば、カップラーメン1杯には約5g、スナック菓子1袋には約1gの塩分が含まれています。 普段何気なく口にしているものが、実は高血圧の大きな原因となっている可能性もあるのです。 カリウムを多く含む野菜や果物を積極的に摂ることも、血圧を下げる効果が期待できます。 次に、適度な運動についてです。 ウォーキングやジョギング、水泳など、無理なく続けられる運動を見つけ、1日30分以上を目標に取り組んでみましょう。 体を動かす習慣がないと、血管の柔軟性が失われ、血液循環が悪化し、心臓に負担がかかります。 その結果、血圧が上昇しやすくなるのです。 運動は、血圧を下げるだけでなく、ストレス軽減や精神的な健康維持にも効果的です。 心身ともに健康な状態を保つために、日常生活に運動を取り入れてみましょう。 さらに、禁煙も高血圧の予防と治療に大きく貢献します。 喫煙は血管を収縮させ、血圧を上昇させるだけでなく、動脈硬化も促進します。 動脈硬化は、血管の壁が厚く硬くなり、血管が狭くなる状態です。 まるで、水道管に徐々に錆が溜まっていくようなものです。 錆が溜まると、水の流れが悪くなるのと同様に、動脈硬化が進むと、血液の流れが悪くなり、様々な合併症を引き起こすリスクが高まります。 そして、過度の飲酒も控えましょう。 アルコールは、少量であれば血管を拡張させる作用がありますが、過剰に摂取すると血管が収縮し、血圧が上昇します。 薬物療法での改善 次に、薬物療法についてです。 生活習慣の改善だけでは血圧が十分に下がらない場合や、すでに合併症の危険性が高い場合には、薬物療法が必要になります。 降圧薬には、利尿薬やACE阻害薬、ARB、カルシウム拮抗薬など、様々な種類があり、2023年のコクラン共同計画のシステマティックレビューでは、一次治療薬としてチアジド系利尿薬が他の降圧薬と比較され、総死亡率や心血管イベント発生率に大きな差がないことが示唆されています。 さらに、有害事象による治療中止は利尿薬の方が少ない傾向があることも示されています。 薬の種類や服用量は、患者さんの状態や他の病気の有無などを考慮して、医師が決定します。 薬を飲み始めたら、必ず医師の指示に従って服用し、自己判断で中断したり、量を変えたりしないようにしましょう. 高血圧の治療は、長期にわたる場合がほとんどです。生活習慣の改善や薬物療法を継続していくためには、医師との信頼関係が不可欠です。疑問や不安があれば、遠慮なく医師に相談し、一緒に治療を進めていきましょう。 まとめ 高血圧は自覚症状がないまま進行し、脳卒中や心筋梗塞などの深刻な合併症を引き起こす可能性があるため、早期発見と適切な管理が重要です。 高血圧の基準値は収縮期血圧130mmHg以上、または拡張期血圧80mmHg以上で、家庭血圧測定による日常的な血圧管理が推奨されています。 高血圧の大部分は原因不明の本態性高血圧で、加齢や遺伝、生活習慣の積み重ねが影響しています。 特に、塩分の過剰摂取、肥満、運動不足、喫煙、過度の飲酒は高血圧のリスクを高めるため、生活習慣の改善が重要です。 生活習慣の改善に加えて、必要に応じて薬物療法も併用されます。 自分に合った治療法を見つけるためには、医師と相談し、信頼関係を築きながら治療を進めていくことが大切です。 高血圧は早期発見・早期治療で合併症のリスクを減らすことができるので、少しでも不安を感じたら、まずは医療機関に相談してみましょう。 再生医療の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「再生医療」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 参考文献 2017年版 成人高血圧の予防、検出、評価、管理に関するACC/AHA/AAPA/ABC/ACPM/AGS/APhA/ASH/ASPC/NMA/PCNAガイドライン(要約) Li EC, Heran BS, Wright JM. "Angiotensin converting enzyme (ACE) inhibitors versus angiotensin receptor blockers for primary hypertension." The Cochrane database of systematic reviews 2014, no. 8 (2014): CD009096. 高血圧と血管疾患 Reinhart M, Puil L, Salzwedel DM, Wright JM. "First-line diuretics versus other classes of antihypertensive drugs for hypertension." The Cochrane database of systematic reviews 7, no. 7 (2023): CD008161. Shalaeva EV, Messerli FH. "What is resistant arterial hypertension?" Blood pressure 32, no. 1 (2023): 2185457. Messerli FH, Bangalore S, Mandrola JM. "β blockers switched to first-line therapy in hypertension." Lancet (London, England) 402, no. 10414 (2023): 1802-1804. Carey RM, Moran AE, Whelton PK. "Treatment of Hypertension: A Review." JAMA 328, no. 18 (2022): 1849-1861. 医師監修 リペアセルクリニック 内科専門医 渡久地 政尚
2025.02.11