女性に多い免疫力低下の原因とは?免疫力を高める方法について医師が解説
公開日: 2020.06.26更新日: 2025.07.31
「最近、風邪をひきやすくなった」「疲れがなかなか抜けない」とお悩みの方は、免疫力が低下しているかもしれません。
女性の免疫力が低下する主な原因は、女性ホルモンや自律神経の乱れです。
ストレスや無理なダイエット、月経、妊娠など女性ならではの出来事と深く関わっています。
この記事では、女性の免疫力が低下する原因や免疫力の低下を防ぐ方法を紹介します。
当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、免疫力向上や維持を目指す再生医療の症例や治療内容を紹介しています。
「風邪をひきやすい」「体調を崩しやすい」と感じている方は、体の内側から整える治療法について、ぜひご確認ください。
目次
女性に多い免疫力低下の原因
女性に多い免疫力低下の原因は、以下の通りです。
免疫力の低下は、風邪などの感染症にかかりやすくなるだけでなく、さまざまな病気のリスクを高める要因となります。
とくに女性は、ホルモンバランスやライフステージの変化などにより、免疫機能が不安定になりやすい傾向があります。
自身の生活や体調を振り返りながら、免疫力が低下している原因を見つけましょう。
女性ホルモンによる自律神経の乱れ
女性ホルモンの変動は、自律神経のバランスに大きな影響を与えます。
月経周期、妊娠、出産、更年期など、ホルモンバランスが乱れやすい時期には、自律神経も不安定になりやすく、免疫細胞の働きや抗体の分泌が低下するとされています。
自律神経は、呼吸・血流・消化などの体の機能を無意識に調整してくれる神経で、交感神経と副交感神経の2つです。
それぞれが優位になると増える白血球の種類が異なり、免疫の働きにも違いが現れます。
自律神経の種類 | 交感神経 | 副交感神経 |
---|---|---|
多く分泌される白血球 | 顆粒球 | リンパ球 |
主な役割 | 細菌や寄生虫の除去 | ウイルス感染の防御 |
健康な人での比率(目安) | 白血球全体の約54~60% | 白血球全体の約35~41% |
白血球の顆粒球とリンパ球の健康的な比率は決まっていて、バランスが崩れると体調や免疫機能にも影響が出やすくなります。
ホルモンや自律神経の変化は目に見えませんが、体調がすぐれないと感じている方は、自律神経のバランスにも目を向けてみましょう。
月経周期による変動
女性の体は、月経周期にあわせてホルモンバランスが大きく変化し、免疫力に影響を与える場合があります。
排卵前と排卵後に増えるホルモンは、以下のように異なります。
月経の時期 | 排卵期前 | 排卵期後 |
---|---|---|
増えるホルモン | エストロゲン | プロゲステロン |
主な働き |
|
|
排卵期後は、父親の遺伝子を半分持つ受精卵を異物として攻撃しないように、免疫力が一時的に低下します。
排卵期は個人差がありますが、月経開始から約14日後です。
そのため、月経後2週間ほど経った時期に風邪をひきやすくなったり、疲れやすくなったりする方は、月経周期による免疫力低下が原因の可能性があります。
妊娠・出産
妊娠・出産は免疫力の変化が大きい時期です。
妊娠中は胎児を異物と認識しないように、母体の免疫反応が一時的に抑えられる傾向があります。
また、出産後は母乳を分泌するホルモンであるプロラクチンが増加します。
プロラクチンは免疫機能を抑える働きがあるため、産後も体調管理が重要です。
風邪やインフルエンザなどの感染症を防ぐためにも、栄養や休息を十分にとり、体調の変化に注意深く向き合いましょう。
更年期によるエストロゲンの低下
更年期は、女性ホルモンの一種であるエストロゲンの分泌が大きく変化する時期で、免疫力にも影響を与える場合があります。
更年期とは閉経を挟んだ前後5年間のことで、40代半ばから50代後半にかけてみられるのが一般的です。
卵巣の機能が低下し、エストロゲンの分泌が減ることで、免疫細胞の働きが弱まり、体調を崩しやすくなるのが特徴です。
また、更年期には以下のようなさまざまな症状が現れやすくなります。
系統 | 主な症状 |
---|---|
精神・神経系 |
不眠、イライラ感 |
血管運動神経系 | ほてり、動悸 |
消化器系 |
吐き気、下痢 |
運動器系 |
関節痛、しびれ |
年齢のせいと思い込まず身体の変化に気づき、不調への対処や予防につなげましょう。
過度なダイエットによる栄養不足
過度なダイエットは、女性の免疫力低下の大きな原因の一つです。
過度な食事制限や栄養の偏りによりカルシウムや鉄分などが不足すると、免疫を担う細胞が十分に作られなくなります。
そのため、免疫機能の低下を招き風邪をひきやすくなったり、肌が荒れやすくなったりする不調につながる場合があります。
また、激しい運動は病原体や毒素を無力化する抗体や白血球の減少を引き起こし、免疫力の低下につながる要因です。
痩せていれば健康とは限りません。
栄養バランスの取れた食事と適度な運動を心がけ、免疫力を保つ健康的な体づくりを目指しましょう。
睡眠不足
睡眠不足は、免疫力を低下させる要因のひとつです。
睡眠不足と免疫機能の関係は、以下の通りです。
- 細菌やウイルスの侵入を防ぐ粘膜免疫(IgA)が低下する
- 成長ホルモンによる細胞の修復が不十分になる
- 自律神経が乱れ、白血球のバランスが崩れる
- 免疫細胞の記憶保持が短くなり、再感染のリスクが高まる
十分な睡眠がとれていない状態が続くと、風邪をひきやすくなったり、慢性的な疲労感や不調を感じやすくなったりします。
また、女性は月経周期やホルモンバランスの変動、妊娠・出産、更年期などの影響で睡眠の質が乱れやすく、男性と比べて不眠のリスクが1.5倍高い※という報告もあります。
※出典:PubMed
心身のリズムを整えるためにも睡眠環境や生活リズムを見直し、質の高い睡眠を心がけましょう。
女性が免疫力低下を防ぐ方法
女性が免疫力低下を防ぐ方法は、以下の通りです。
自身の生活スタイルに合った方法を見つけましょう。
バランスの良い食事を摂る
免疫力を維持・向上するためには、日々の食事が重要な役割を果たします。
腸には体内の免疫細胞の約7割が集まっている※とされていて、腸内環境を整えることで免疫力をサポートする効果が期待できます。
※出典:J-STAGE「こころとからだの免疫学」
免疫力の維持に役立つ主な栄養素と食材の例は、以下の通りです。
栄養素・食品 | 主な働き | 含まれる食材例 |
---|---|---|
鉄分 | 白血球の働きを高める | レバー、赤身肉、かつお、まぐろ |
発酵食品 | 腸内環境の改善 | 納豆、みそ、ヨーグルト |
カルシウム | 骨髄で免疫細胞をつくる材料 | 牛乳、小魚(わかさぎなど) |
大豆製品 | 免疫細胞を作るたんぱく質源 | 納豆、豆腐 |
ビタミン・オメガ3脂肪酸 | 免疫細胞の活性化 | 野菜、きのこ、青魚(サバ、サンマなど) |
栄養バランスが偏らないよう、1日3食を規則正しく摂り、体の内側から免疫力を整えましょう。
適度な運動
免疫力を高めるには、日常生活に取り入れやすい適度な運動を習慣にしましょう。
運動によって筋肉量が増えると、基礎体温が上がり白血球の働きや代謝が活性化されます。
そのため、細菌やウイルスへの抵抗力が高まり、風邪をひきにくくなるとされています。
以下は、無理なく取り組める運動の例です。
- ウォーキングや掃除などの有酸素運動を1日60分程度
- ストレッチやヨガを仕事や勉強の合間に取り入れる
- 軽めの筋トレ:週に2~3回程度
激しい運動はかえって免疫力を下げることもあるため、自分に合ったペースで継続しましょう。
体を温める
体を温めて血流を良くすることは、免疫力低下を防ぐ方法の一つです。
体温が上がると、血液中の白血球が全身を巡りやすくなり、スムーズに作用しやすくなります。
また、白血球の活性が高まりウイルスや細菌への防御力も向上するとされています。
体を内側から温める方法の一例は、以下の通りです。
- ショウガや唐辛子、根菜などの温活食材を取り入れる
- 白湯をこまめに飲む
- ぬるめのお湯でゆっくり入浴する
日々の食事や習慣を見直し、体を冷やさない生活を心がけましょう。
サプリメントの活用
日々の食事で栄養を摂るのが理想ですが、忙しい生活や食の好みにより必要な栄養素が不足しがちな方も少なくありません。
風邪をひきやすい方や体調を崩しやすい時期には、サプリメントの活用も一つの手段です。
免疫維持に役立つ代表的なサプリメントの成分とその働きは、以下の通りです。
成分名 | 主な作用 | 特徴(備考) |
---|---|---|
たんぱく質 | 免疫細胞の材料となる | 食事で不足しがちな場合に補助として有効 |
ビタミンD | 免疫細胞の活性化・バランス調整に関与 | 日光を浴びないと合成しにくい |
ビタミンC | 抗酸化作用・免疫細胞の働きを助ける | 水溶性で毎日排出されるため継続摂取が必要 |
鉄 | 酸素運搬・免疫細胞の働きを助ける | 女性は不足しやすい |
亜鉛 | 細胞分裂や酵素反応に関与し免疫維持に必要 | 吸収率が低く、欠乏しやすい |
免疫力に関係する栄養素には体内で合成できないものも多く、意識的な摂取が大切です。
ただし、過剰摂取にも注意が必要です。
適切な種類や量を把握し、自分に合った補い方を見つけましょう。
免疫力を上げるには免疫細胞療法も選択肢の一つ
免疫力を上げるには、再生医療による免疫細胞療法も有効な選択肢の一つです。
免疫細胞療法とは、患者さま自身の免疫細胞を体外で培養・活性化させてから体内に戻すことで、病気の予防や体調不良の改善を目指します。
また、がんの再発予防や治療としても注目されており、将来的な健康維持を考える上でも有望な手段とされています。
免疫細胞療法について詳しく知りたい方は、当院「リペアセルクリニック」までお気軽にご連絡ください。
再⽣医療で免疫⼒を⾼めることができる時代です。
女性の免疫力低下の原因についてよくある質問
女性の免疫力低下に関して、よく寄せられる質問をまとめました。
気になる点を確認しながら、免疫力の改善に役立ててください。
40代女性の免疫力低下の原因は?
主な原因 | 詳細 |
---|---|
エストロゲンの減少 | 抗体をつくる獲得免疫を促進する働きがあるが、40代後半から徐々に減少する |
獲得免疫の低下 | 獲得免疫は20代でピークを迎え、その後徐々に衰え、40代ではピーク時の半分程度まで低下する |
さらに、ストレスやホルモン変動に伴う自律神経の乱れは、自然免疫にも影響を与え風邪を引きやすくなる要因となります。
免疫力が低下しているサインは?
免疫力が下がっているときに見られる主なサインは、以下の通りです。
- 風邪をひきやすくなる
- 口内炎・結膜炎などの粘膜系の炎症が起きやすい
- 肌荒れ・湿疹・かゆみなどの皮膚トラブルが増える
- 疲れが取れにくい
- けがや病気が治りにくい
- 足や顔がむくみやすい
- 口・鼻・喉などの粘膜が乾燥しやすい
上記の項目に当てはまる症状が多いほど、免疫力が低下している可能性があります。
早めの対策や生活習慣の見直しを行いましょう。
女性の免疫力が下がる時期はいつ?
女性の免疫力が下がりやすい時期は、主に以下の3つです。
- 月経周期の排卵後や月経期
- 妊娠・出産期
- 更年期
上記は、ホルモンバランスが大きく変動し免疫細胞の働きや抗体の分泌が一時的に弱まるため、風邪や感染症にかかりやすくなります。
また、ストレスや睡眠不足が重なると免疫力の低下が進むこともあるため、体調の変化に気づき生活習慣を整えることが重要です。
女性の免疫力低下はホルモンバランスの乱れに注意しよう
女性はホルモンバランスの影響を受けやすく、免疫力が低下しやすい傾向にあります。
とくに以下の要因が関係しています。
女性が免疫力低下を防ぐにはバランスの取れた食事や適度な運動など、日々の生活習慣の見直しが大切です。
免疫力が低下してしまうと病気になりやすく、生活の質を落としてしまうことになりかねません。
よく体調を崩す方は医療機関を受診し、医師に相談してみましょう。
また、免疫力を積極的に高めたい方には、再生医療の免疫細胞療法という選択肢もあります。
体調不良を感じやすい方、免疫力の低下が気になる方は当院「リペアセルクリニック」までお気軽にご相談ください。

監修者
岩井 俊賢
Toshinobu Iwai
医師