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多発性硬化症になりやすい人の特徴は?年齢・性別・遺伝などのリスク要因を解説

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公開日: 2026.08.31

多発性硬化症は、脳や脊髄の神経を包む髄鞘(ずいしょう)が障害される自己免疫性の疾患です。

発症しやすい人には、若い成人、女性、家族に患者がいる人といった一定の傾向が知られています。

ただし、これらの特徴に当てはまるからといって、必ず発症するわけではありません。

本記事では、多発性硬化症の発症リスクと関連が指摘されている特徴や生活習慣、初期症状と受診の目安について解説します。

不安を整理し、必要なときに適切な行動をとるための参考として、ぜひ最後までご覧ください。

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多発性硬化症になりやすい人には一定の傾向がある

多発性硬化症は、特定の一つの原因だけで発症する病気ではありません

免疫が誤って自分の神経を攻撃してしまうことで、中枢神経に炎症と脱髄が起こると考えられています。

発病の仕組みはまだ完全には解明されていませんが、自己免疫の機序が関与しているとされています。
※参照:難病情報センター「多発性硬化症/視神経脊髄炎(指定難病13)」

現在わかっているのは、年齢・性別・遺伝的素因・感染歴・生活習慣といった複数の要因が、発症リスクと関連しているという点です。

言い換えれば、どれか一つの特徴が発症を決めているわけではありません。

そのため、以下で紹介する特徴に当てはまっても、過度に心配する必要はありません。

多発性硬化症になりやすい人の主な特徴

発症リスクとの関連が知られている代表的な特徴は、以下のとおりです。

ここでは、3つの特徴について解説します。

若い成人・女性

多発性硬化症は、若年成人での発症が多い疾患です。

20〜30代で診断されるケースが目立ち、働き盛りや子育て世代と重なることも少なくありません。

また、男性より女性に多い傾向があることも知られています。

この背景には、女性ホルモンや免疫の働き方の違いが関係している可能性が指摘されていますが、詳細は明らかになっていません。

ただし、小児期に発症する場合や、40代以降で診断される場合もあります。

そのため、年齢や性別だけで発症の可能性を判断することはできません。

家族に多発性硬化症の患者がいる人

家族に多発性硬化症の患者がいる場合、一般の方より発症リスクがやや高くなることが知られています。

これは、免疫の働きに関わる体質(遺伝的素因)が受け継がれることが関係していると考えられています。

ただし、多発性硬化症は単純な遺伝病ではありません

親から子へ一定の確率で必ず伝わるという性質の疾患ではなく、家族歴があっても大多数の方は発症しません。

遺伝的素因はあくまで要因の一つであり、環境要因が重なって初めて発症に至ると考えられています。

ご家族の診断をきっかけに不安を感じている場合は、その気持ちを含めて医師に相談してみるとよいでしょう。

特定の環境・生活習慣に関連する要因がある人

環境要因として、以下のような点が発症リスクとの関連を指摘されています。

要因 指摘されている内容
喫煙 発症リスクとの関連が指摘されており、経過にも影響する可能性がある
思春期ごろの肥満 小児期から思春期の肥満が、その後の発症リスクと関連する可能性がある
日照不足・ビタミンD低値 日光を浴びる機会が少ない地域や、血中ビタミンDが低い状態との関連が指摘されている

これらは、あくまで統計的な関連が報告されている要因です。

「禁煙すれば発症を防げる」「ビタミンDを摂れば安心」と断定できるものではありません。

一方で、喫煙や肥満は他の疾患のリスクにもなるため、健康管理として見直す価値はあります。

EBウイルス感染も発症リスクとの関連が指摘されている

近年注目されているのが、EBウイルス(エプスタイン・バール・ウイルス)への感染との関連です。

とくに、EBウイルス感染によって起こる伝染性単核球症の既往がある方では、発症リスクとの強い関連が報告されています。

ただし、ここで重要なのは、EBウイルスは多くの人が感染する一般的なウイルスだという点です。

成人のほとんどが幼少期から思春期までに感染しており、多くの場合は無症状か軽い風邪のような症状で経過します。

つまり、感染した方の大部分は多発性硬化症を発症しません。

「EBウイルスに感染したことがある=発症する」という関係ではないため、過度に不安を抱く必要はありません。

多発性硬化症は遺伝する?

多発性硬化症には遺伝的素因が関係しますが、親から子へ直接受け継がれる単一遺伝子疾患ではありません

血友病や一部の筋疾患のように、特定の遺伝子の変化によって発症が決まるタイプの病気とは性質が異なります。

関わっているのは、免疫の働き方に影響する複数の遺伝的な特徴と考えられています。

そのため、家族に患者がいる場合でも、多くの方は発症しません。

実際には、遺伝的素因を持つ方に環境要因が重なることで、発症に至ると考えられています。

お子様への影響を心配される方もいますが、「遺伝する病気」と単純に捉える必要はありません。

気になる場合は、主治医や遺伝カウンセリングの窓口で相談してみましょう。

多発性硬化症を予防することはできる?

現時点で、多発性硬化症を確実に予防する方法は確立されていません。

発症の仕組みが完全には解明されていないため、「これをすれば防げる」と断定できる手段はないのが現状です。

そのうえで、一般的な健康管理として取り組めることはあります。

  • 喫煙している場合は禁煙を検討する
  • 適正体重を維持する
  • バランスのとれた食事を心がける
  • 適度に体を動かす習慣をつける
  • 十分な睡眠を確保する

一方で、注意したいのがサプリメントの扱いです。

ビタミンDとの関連が報告されていることから大量摂取を考える方もいますが、自己判断での高用量摂取は避けてください。

ビタミンDは脂溶性のため体内に蓄積しやすく、過剰摂取によって高カルシウム血症などを起こす可能性があります。

サプリメントを使いたい場合は、医師や薬剤師に相談してから始めましょう。

しびれ・視力低下などの症状が続く場合は受診する

多発性硬化症では、以下のような症状が初発のサインとなる場合があります。

  • 片側または両側の手足のしびれ、感覚の鈍さ
  • 手足に力が入りにくい
  • 片目の視力低下、目を動かしたときの痛み
  • 物が二重に見える(複視)
  • 歩行時のふらつき、バランスのとりにくさ
  • 体を締めつけられるような帯状の違和感
  • 強い倦怠感が続く

これらの症状が数日以上続く、繰り返し現れる、範囲が広がってきたという場合は、脳神経内科への受診を検討しましょう。

とくに、入浴や発熱で症状が一時的に強まる、という経過がある場合も相談の目安になります。

診察では、神経学的な診察に加えて、MRIや血液検査、髄液検査などが行われることがあります。

症状が自然に軽快することもありますが、経過を確認するうえで一度受診しておくと安心です。

多発性硬化症は複数のリスク要因が関係すると考えられている

多発性硬化症は、若い成人や女性、家族歴がある方などで発症しやすい傾向がありますが、特定の特徴だけで発症を予測することはできません。

遺伝的素因と環境要因が複雑に関わって発症すると考えられており、リスク要因に当てはまっても大多数の方は発症しません。

確実な予防法は確立されていないため、禁煙や適正体重の維持といった一般的な健康管理を心がけるのが現実的な向き合い方です。

過度に不安を抱えるより、体の変化に気づける状態でいることのほうが大切といえます。

手足のしびれや視力低下、ふらつきなどの神経症状が続く場合は、原因を確かめるために脳神経内科を受診しましょう。

監修者

圓尾 知之

Tomoyuki Maruo

医師

資格・所属学会

日本脳神経外科学会 所属

脳神経外科の最先端治療と研究成果を活かし、脳卒中から1日でも早い回復と後遺症の軽減を目指し、患者様の日常生活の質を高められるよう全力を尽くしてまいります。

関連論文: The association between diffusion-weighted imaging-Alberta Stroke Program Early Computed Tomography Score and the outcome following mechanical thrombectomy of anterior circulation occlusion