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中枢神経障害とは?代表的な症状・原因疾患・治療法について解説【医師監修】

中枢神経障害とは?代表的な症状・原因疾患・治療法について解説【医師監修】
公開日: 2026.03.31

「中枢神経障害とはどのような病気なのか」「治療法があるのか知りたい」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。

中枢神経障害とは、脳や脊髄に異常が生じることで、運動機能や感覚、認知機能などにさまざまな症状が現れる神経障害です。

本記事では、中枢神経障害の代表的な症状や原因となる疾患、治療法について詳しく解説します。

中枢神経障害の治療に不安を感じている方は、本記事の内容を参考に、ご自身やご家族に合った治療法を検討してみてください。

また、従来の治療で十分な改善が見られない場合、再生医療も選択肢の一つになります。

再生医療は、患者さまご自身の細胞や血液を活用し、損傷した神経組織の再生・修復を目指す先端医療の一つです。

当院リペアセルクリニックでは、再生医療について無料カウンセリングを実施しております。ぜひご相談ください。

中枢神経障害とは?代表的な症状

前述の通り、中枢神経障害は脳や脊髄の損傷によってさまざまな症状を引き起こします。

本章では、中枢神経障害に見られる代表的な症状について解説します。

以下でそれぞれの症状について詳しく見ていきましょう。

運動機能障害

中枢神経障害による運動機能障害では、手足の麻痺や震え、身体の動かしにくさなどの症状が現れます。

中枢神経は、脳から脊髄を通じて全身に運動の指令を伝達する役割を担っているため、経路のいずれかが障害されると意図した通りに身体を動かすことが困難になります。

代表的な例として、脳卒中(脳梗塞・脳出血)では片側の手足に麻痺が生じやすく、パーキンソン病ではドーパミンを生産する神経細胞の減少により、手足の震えや筋肉のこわばり、動作の緩慢さなどが現れます。

また、脊髄損傷では損傷部位より下の運動機能が失われ、四肢麻痺や対麻痺を引き起こすケースも少なくありません。

感覚障害

中枢神経障害における感覚障害では、しびれや痛み、触覚・視覚・聴覚の異常など、さまざまな感覚の変化が生じます。

中枢性のしびれは、感覚信号を脳へ伝える経路や、脳内で感覚情報を処理するネットワークが損傷されることで発生します。

そのため、末梢神経の障害によるしびれとは異なり、「触った感じがわからない」「左右で感覚が異なる」「不快なしびれが持続する」といった特徴が見られることがあります。

また、中枢神経の損傷に起因する痛み(中枢性神経障害性疼痛)は、通常の鎮痛薬では効きにくく、慢性的に持続するケースが多いです。

言語・認知機能障害

中枢神経障害では、記憶力や判断力の低下、言語障害(話すこと・理解することの困難)などの認知機能障害が現れる場合があります。

アルツハイマー病では、記憶を司る脳の神経細胞が徐々に破壊されることにより、記憶障害から始まり、やがて判断力や見当識(時間・場所・人の認識)にも影響が及びます。

また、脳卒中などの血管性疾患では、脳の言語中枢が損傷を受けることで失語症(言葉を発する・理解する能力の障害)が現れるケースもあります。

さらに、注意力の低下や感情のコントロールが難しくなるなど、高次脳機能障害につながることも少なくありません。

中枢神経障害の原因となる疾患

中枢神経障害は、血管性疾患や神経変性疾患など、さまざまな原因疾患によって引き起こされます。

本章では、中枢神経障害の原因となる代表的な5つの疾患カテゴリについて解説します。

以下でそれぞれの疾患カテゴリについて詳しく見ていきましょう。

血管性疾患

血管性疾患は、脳や脊髄への血流が悪くなったり遮断されたりすることで、神経細胞が損傷を受ける疾患です。

代表的な血管性疾患には、以下のようなものがあります。

疾患名 特徴
脳梗塞 脳の血管が詰まり、血流が途絶えることで脳細胞が壊死する
脳出血 脳内の血管が破れ、出血により神経細胞が圧迫・損傷される
くも膜下出血 脳の表面を覆う膜(くも膜)の下で出血が起こる

これらの血管性疾患は突然発症するケースが多く、発症後の早期治療が後遺症の軽減に大きく影響します。。

異変を感じた場合は、ためらわずに救急医療機関を受診してください。

神経変性疾患

神経変性疾患とは、脳や脊髄の神経細胞が徐々に変性・消失していく進行性の疾患です。

代表的な神経変性疾患として「パーキンソン病」「アルツハイマー病」「ALS(筋萎縮性側索硬化症)」が挙げられます。

神経変性疾患は現時点で根本的な治療法が確立されていないケースが多いものの、早期の診断と適切な対症療法により、症状の進行を遅らせることが期待できます。

気になる症状がある場合は、神経内科専門医への受診をおすすめします。

炎症性疾患

炎症性疾患とは、免疫系の異常やウイルス・細菌感染などにより、中枢神経系に炎症が生じる疾患です。

代表的な疾患として、多発性硬化症が挙げられます。多発性硬化症では、免疫系が神経を保護する膜(ミエリン鞘)を誤って攻撃してしまうため、神経の信号伝達に障害が起こります。

その結果、視力低下や手足のしびれ、筋力低下、歩行障害などさまざまな症状が現れる可能性があります。

また、ウイルスや細菌の感染による脳炎も、中枢神経系の炎症を引き起こす原因となります。

脳炎が重症化すると、意識障害やけいれんなどの深刻な症状を伴うケースもあるため、早期の治療が不可欠です。

外傷性疾患

外傷性疾患とは、交通事故やスポーツ、転倒・転落などの外部からの物理的な衝撃により、脳や脊髄が損傷を受ける疾患です。

代表的な外傷性疾患には、脊髄損傷と頭部外傷(外傷性脳損傷)があります。脊髄損傷では損傷部位より下の運動機能や感覚が失われ、排尿・排便障害を伴うこともあります。

頭部外傷では、意識障害や記憶障害、性格変化などの高次脳機能障害が残るケースも少なくありません。

外傷性疾患による中枢神経障害は回復に長い時間を要するほか、重篤な後遺症が残るケースもあるため、受傷後は速やかに医療機関を受診することが重要です。

感染性疾患

感染性疾患とは、ウイルスや細菌が中枢神経系に感染し、炎症を引き起こすことで神経障害を生じる疾患です。

代表的な感染性疾患として、「髄膜炎」「日本脳炎」「ヘルペス脳炎」が挙げられます。

感染性疾患による中枢神経障害は、深刻な後遺症を防ぐうえで早期発見と適切な抗菌薬・抗ウイルス薬による治療が重要です。

発熱とともに激しい頭痛や意識の変化が見られた場合は、速やかに医療機関を受診してください。

中枢神経障害は治る?主な治療法

中枢神経障害の治療は、原因疾患に応じたリハビリテーションと薬物療法などの選択肢があります。

原因疾患には根治が難しいものも少なくありませんが、適切な治療によって症状の改善や進行の抑制が期待できます。

以下でそれぞれの治療法について詳しく見ていきましょう。

リハビリテーション

リハビリテーションは、中枢神経障害によって低下した運動機能や認知機能の改善、および残存する神経回路の活性化を目指す治療法です。

中枢神経障害に対するリハビリテーションには、主に以下の種類があります。

リハビリの種類 内容
理学療法(運動療法) 筋力トレーニングや歩行訓練など、身体機能の回復を目指す
作業療法(日常生活訓練) 食事・着替え・入浴など日常動作の自立を支援する
言語聴覚療法 言葉を話す・理解する・飲み込む機能の改善を図る
認知リハビリテーション 記憶力・注意力・判断力の向上を目的とした訓練を行う

リハビリテーションのポイントは、反復的な運動や感覚刺激を通じて、脳内の神経回路の再構築(神経可塑性)を促すことにあります。

損傷した部位の機能を、残された健全な神経回路が代償的に引き継ぐことで、機能の回復が期待できます。

リハビリテーションは継続的に取り組むことが重要であり、ご家族のサポートも回復に大きく貢献します。

薬物療法

薬物療法は、中枢神経障害の原因疾患や痛み・痙攣・不安などの症状に応じた治療法として用いられます。

例えば、中枢神経障害に伴う神経障害性疼痛(神経の損傷によって生じる慢性的な痛み)に対しては、通常の鎮痛薬(NSAIDs等)では十分な効果が得られにくい場合があります。

そのため、神経障害性疼痛薬物療法ガイドラインでは、以下の薬剤が第一選択薬として推奨されています。

薬剤分類 代表的な薬剤名 作用の特徴
三環系抗うつ薬(TCA) ・アミトリプチリン
・ノルトリプチリン
・イミプラミン
下行性疼痛抑制系を活性化し、痛みの伝達を抑制する
Ca²⁺チャネルα2δリガンド ・プレガバリン
・ガバペンチン
神経の過剰な興奮を抑え、痛みやしびれを緩和する
セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬 ・デュロキセチン 下行性疼痛抑制系を活性化し、鎮痛効果を発揮する

※参考:日本ペインクリニック学会「神経障害性疼痛の薬物療法」

一方で、中枢神経障害全般の薬物治療には、感染症への抗菌薬・抗ウイルス薬、自己免疫疾患へのステロイドや免疫調整薬など、原因に応じた治療も含まれます。

使用される薬は、中枢神経障害の原因によって大きく異なるため、原因や症状に応じて適切な治療を受けましょう。

中枢神経障害の根治を目指せる「再生医療」という選択肢

再生医療は、患者さまご自身の細胞や血液を活用し、損傷した神経組織の再生・修復を目指す先端医療の一つです。

従来の治療では回復が困難とされてきた中枢神経障害においても、神経機能の改善が期待されています。

具体的には、患者さまから採取した幹細胞を培養・増殖させ、点滴や注射によって体内に投与します。その幹細胞は、分化能と呼ばれる能力によって、損傷した神経の代わりとなる細胞へと変化していきます。

なお、再生医療は自由診療となるため、治療内容や費用については事前に十分な説明を受けたうえで検討しましょう。

当院リペアセルクリニックでは、再生医療について無料カウンセリングを実施しております。ぜひご相談ください。

中枢神経障害は原因疾患に合わせて治療を受けることが大切

中枢神経障害は、脳や脊髄の異常によって運動機能、感覚、認知機能などにさまざまな影響を及ぼします。

その原因は、血管性疾患・神経変性疾患・炎症性疾患・外傷性疾患・感染性疾患など多岐にわたり、いずれも重篤な後遺症を予防するために早期発見・早期治療が重要です。

治療法はリハビリテーションと薬物療法が中心ですが、いずれも対症療法であり、損傷した神経組織そのものを根本的に修復することは難しいとされてきました。

しかし、近年の医療では、再生・修復が困難とされていた神経組織を治療できる可能性がある「再生医療」が注目されています。

再生医療はリハビリテーションとの組み合わせにより、さらなる改善効果が期待できる治療法です。

中枢神経障害でお悩みの方やそのご家族は、まずは現在の症状と原因疾患を正確に把握し、担当医と相談しながら、ご自身に合った治療法を選択していきましょう。

監修者

圓尾 知之

Tomoyuki Maruo

医師

略歴

2002年3月京都府立医科大学 医学部 医学科 卒業

2002年4月医師免許取得

2002年4月大阪大学医学部附属病院 脳神経外科 勤務

2002年6月関西労災病院 脳神経外科 勤務

2003年6月大阪大学医学部附属病院 脳神経外科 勤務

2003年12月大阪母子医療センター 脳神経外科 勤務

2004年6月大阪労災病院 脳神経外科 勤務

2005年11月大手前病院 脳神経外科 勤務

2007年12月大阪大学医学部附属病院 脳神経外科 勤務

2012年3月大阪大学大学院 医学系研究科 修了(医学博士)

2012年4月大阪大学医学部 脳神経外科 特任助教

2014年4月大手前病院 脳神経外科 部長