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脳卒中の急性期とは?リハビリの重要性や再生医療による治療について

公開日: 2022.01.22
更新日: 2025.04.28

脳卒中の急性期とは、発症直後から1カ月程度までの期間をいいます。脳卒中の急性期にリハビリを行うと、合併症予防や機能の回復が期待できます。

本記事では、脳卒中の急性期症状や、急性期リハビリのポイントについて詳しく解説します。

この記事を読むとわかること

脳卒中の発症後すぐに治療を開始できるよう、急性期リハビリテーションの効果やポイントを確認しましょう。

脳卒中の急性期とは?

脳卒中の急性期とは、発症直後から状態が安定していない1ヶ月程度程度の期間です。脳卒中の急性期や回復期は明確な基準がないため、以下のポイントを押さえ、リハビリを始めることが必要です。

脳卒中のポイント

脳卒中のリハビリテーションの目的は、合併症予防や廃用症候群予防です。廃用症候群は、病気やけがなどで安静に過ごすことで活動力が低下し、身体の機能が衰えてしまう状態をいいます。

早期回復のためには、運動量を可能な限り確保したり、適切な運動課題を実施したりすることが重要です。脳卒中の発症時期に合わせたリハビリテーションが実施できるように、各時期の特徴を確認しましょう。

全身状態が安定するまでは急性期

脳卒中の急性期とは、全身状態が安定するまでの発症直後から1ヶ月程度の期間のことです。

急性期は脳の血管以外にも、血液の循環状態や意識レベルなどさまざまな状態が変化しやすく、突然症状が出現する場合があるため注意が必要です。

症状の出現に気づき、治療を開始するまでの時間が短いほど、症状の重症化を防げる可能性が高まります。

発症後1~2カ月後になれば回復期に入る

脳卒中の発症後、1~2カ月が経つと回復期に入ります。回復期は、急性期を脱し状態が安定している期間です。

状態が安定している回復期は、社会生活への復帰を目指して、日常生活動作(ADL)を中心としたリハビリテーションを行います。発症から6カ月以降は、生活期(維持期)と呼ばれ、自宅や施設での生活のなかでリハビリテーションを継続していきます。

脳卒中の急性期に行うリハビリのポイント

脳卒中の急性期には、以下のポイントを意識してリハビリを行います。

急性期にリハビリを行うポイント

  • 全身状態の管理
  • 廃用症候群の回避

まず脳卒中の急性期では、脳の血管だけでなく循環状態や意識レベルなど、全身のさまざまな状態が変化しやすいため「全身状態の管理」が重要となります。

しかし、急性期は脳卒中の症状だけでなく、二次的合併症の出現にも注意をしなくてはいけません。

過度の安静により長期間ベットに寝ている状態が続くと、筋力低下や床ずれなどといった廃用症候群を発症する恐れもあります。

全身状態を管理した上で、早期からベッドを離れて、食事や洗面、トイレ、歩行などの日常生活動作(ADL)のリハビリから始めることが大切です。

脳卒中の急性期に行う早期リハビリの重要性と症状別の離床基準

脳卒中の早期リハビリは、症状の重症化予防や廃用症候群予防のために重要です。

脳卒中にはさまざまな病型があり、離床開始の基準(※)は症状によっても異なります。
※離床基準は施設によって異なります。

離床とは、ベッド等で生活していた人が、徐々に床(ベッド)から離れて生活機能・範囲を拡大していくことをいいます。

 ベッドに寝たきりの状態が続くほど、心肺機能や運動機能、精神状態など、心身ともに機能低下が進んでしまいます。全身状態が落ち着いたら、医師の指示のもと、「早期離床」を目指しましょう。

脳梗塞(ラクナ梗塞)

脳梗塞(ラクナ梗塞)の離床基準は、以下のとおりです。

脳梗塞(ラクナ梗塞)の離床基準

  • 診断日より離床開始を検討
  • 心エコーの評価後、残留心内血栓と心不全徴候がなければ離床開始
  • 進行性麻痺を認める症例は個別で検討

ラクナ梗塞は、脳の深部の細い血管が詰まって起こる脳梗塞で、比較的症状が軽いのが特徴です。脳梗塞の症状が出現しているときは、症状の程度によって離床が可能かを判断する場合もあります。

脳出血

脳出血の離床基準は、以下のとおりです。

脳出血の離床基準

  • 収縮期血圧 140 mmHg以下にコントロール
  • フォローアップ画像検査で血腫の増大、急性水頭症は否定されている

脳出血は、脳血管が破裂し脳内で出血が起こる病気で、血圧変動が大きい特徴があります。急激な血圧の変化に注意しながら離床を行う必要があるため、無理に身体を動かさないようにしましょう。

くも膜下出血

くも膜下出血は、以下の項目を満たしていれば離床を開始できます。

くも膜下出血の離床基準

  • 破裂脳動脈瘤の根治術が行われている
  • 症候性脳血管攣縮がない
  • 急性水頭症が無い

くも膜下出血は、くも膜下腔に出血が広がり、激しい頭痛や嘔気が出現する疾患です。脳動脈にできたこぶ(脳動脈瘤)が破裂することで発症する病気で、血圧変動が大きいため注意が必要です。

症候性脳血管攣縮は、くも膜下出血後に脳血管が過剰に収縮し、脳血管への栄養が途絶えることで発生する脳梗塞様症状です。離床時に症候性脳血管攣縮があると、症状が悪化しさらに合併症を発症する恐れがあります。

急性期のリハビリテーションの重要性

急性期のリハビリテーションは、早期回復や合併症予防のために重要です。

臥床状態(ベッドや床で安静にしている状態)が続くと、廃用症候群のリスクも高まるため注意しましょう。

しかし、急性期は全身状態が変化しやすいため、無理なリハビリをするのは禁物です。

全身状態を管理し、無理のない範囲でリハビリをしましょう。

「脳卒中ガイドライン2021(改訂2023)」では、急性期のリハビリテーションはバイタル徴候(血圧や体温など)に留意しつつ、脳卒中発症後なるべく早期から積極的に行うことがすすめられています。
※参照:脳卒中ガイドライン2021(改訂2023)|日大医誌 82 (6):325ー332 (2023) 

急性期リハビリテーションの主な内容は、以下のとおりです。

  • ベッド上で座る
  • 自分で手足を動かす
  • 関節可動域を維持するために関節を少しずつ広げる

リハビリテーションの専門家は、症状や身体の状態をチェックし、適切なプログラムを提案してくれます。脳卒中の早期回復や、社会生活への復帰を目指して、急性期リハビリテーションに取り組みましょう。

【まとめ】脳卒中のリハビリは急性期が重要!再生医療も有効

脳卒中のリハビリは、急性期から始めることが重要です。脳卒中の急性期である発症後から1カ月程度の機関は、状態の急変に注意しながらリハビリを行うことで、早期回復が期待できます。

脳卒中に有効な治療法の1つは、再生医療です。

急性期を脱したあとはリハビリと再生医療を併用すると、リハビリ効果を高められます。脳卒中の症状についてお悩みの際は、当院までお気軽にお問い合わせください。

脳卒中のお悩みに対する新しい治療法があります。

監修者

圓尾 知之

Tomoyuki Maruo

医師

略歴

2002年3月京都府立医科大学 医学部 医学科 卒業

2002年4月医師免許取得

2002年4月大阪大学医学部附属病院 脳神経外科 勤務

2002年6月関西労災病院 脳神経外科 勤務

2003年6月大阪大学医学部附属病院 脳神経外科 勤務

2003年12月大阪母子医療センター 脳神経外科 勤務

2004年6月大阪労災病院 脳神経外科 勤務

2005年11月大手前病院 脳神経外科 勤務

2007年12月大阪大学医学部附属病院 脳神経外科 勤務

2012年3月大阪大学大学院 医学系研究科 修了(医学博士)

2012年4月大阪大学医学部 脳神経外科 特任助教

2014年4月大手前病院 脳神経外科 部長

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