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視神経脊髄炎の治療法は?急性期治療・再発予防薬やリハビリを解説

視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)の治療は、発作が起きたときの急性期治療と、次の発作を防ぐ再発予防治療の2つに分けて考えます。
この病気は再発のたびに視力障害や麻痺などの障害が蓄積しやすいため、発作を起こさない状態を保つことが治療の軸になります。
近年は再発予防に用いられる薬剤の選択肢が広がり、病状に応じた治療を選べるようになってきました。
本記事では、急性期治療と再発予防治療の内容、治療薬の選び方、後遺症へのリハビリ、副作用の注意点について解説します。
患者様ご本人だけでなく、支えるご家族にも役立つ内容ですので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
視神経脊髄炎の治療は「急性期」と「再発予防」に分けられる
視神経脊髄炎の治療は、急性期治療と再発予防治療の2本立てで行われます。
急性期治療の目的は、視神経炎や脊髄炎などの発作が起きた際に炎症をすばやく抑え、神経障害をできるだけ残さないことです。
一方の再発予防治療は、発作が治まった後も継続し、次の発作を防ぐことを目的とします。
視神経脊髄炎は、再発と寛解を繰り返しながら慢性の経過をとるため、長期の療養が必要とされています。
※参照:難病情報センター「多発性硬化症/視神経脊髄炎(指定難病13)」
再発を重ねるほど視力障害や麻痺が残りやすくなるため、症状が落ち着いた後の治療継続が重要になります。
「発作が治まったら治療は終わり」ではない点を、まず押さえておきましょう。
発作が起きたときに行う急性期治療
新たな視力低下や手足のしびれ・麻痺が現れた場合は、できるだけ早く治療を開始することが重要です。
炎症が長引くほど神経のダメージが大きくなり、後遺症が残りやすくなるためです。
ここでは、急性期に行われる代表的な2つの治療について解説します。
ステロイドパルス療法
ステロイドパルス療法は、高用量のステロイドを短期間に点滴で投与し、炎症を強力に抑える治療です。
視神経炎や脊髄炎の急性期における標準的な治療として、一般的に行われます。
数日間の点滴を1クールとして実施し、効果が不十分な場合は繰り返されることもあります。
また、症状の程度や治療への反応に応じて、その後に内服のステロイドへ切り替えて継続する場合があります。
短期間の大量投与では、不眠、血糖値の上昇、胃の不快感などが起こることがあります。
気になる症状があれば、その都度医療スタッフへ伝えましょう。
血液浄化療法
ステロイド治療で十分な改善が得られない場合や、症状が重い場合には血液浄化療法が検討されます。
代表的なのが血漿交換で、血液中から病気に関係する抗体や炎症物質を取り除くことを目的とします。
視神経脊髄炎ではAQP4抗体が病態に関わるため、この抗体を減らすアプローチが有効となる場合があります。
専用の装置を用いて行うため、対応できる医療機関で実施されます。
症状が重い場合には、ステロイドパルス療法の効果を待たず早期に追加されることもあります。
治療の進め方は病状によって異なるため、方針について不明な点は主治医に確認しておきましょう。
視神経脊髄炎では再発予防治療が重要
視神経脊髄炎は再発によって神経障害が蓄積しやすいため、発作が治まった後の予防治療が欠かせません。
とくにAQP4抗体陽性の患者様では再発率が高いことが知られており、予防治療の必要性が高いとされています。
ここでは、再発予防に用いられる2つの治療について解説します。
抗体医薬による再発予防
AQP4抗体陽性の視神経脊髄炎では、病態に関わる仕組みを狙って働く抗体医薬が使用されます。
標的となるのは、主に以下の3つです。
| 標的 | 考え方 |
|---|---|
| 補体 | 抗体が結合した後に組織を傷つける働きを抑える |
| IL-6受容体 | 炎症を促す情報伝達を抑える |
| B細胞 | 抗体を作り出す細胞に働きかける |
薬剤ごとに、点滴か皮下注射かといった投与方法や投与間隔、副作用の特徴、使用できる条件が異なります。
そのため、病状や合併症、通院の負担などを踏まえて選択されます。
また、薬剤によっては投与前にワクチン接種が必要な場合もあります。
免疫を抑える薬による再発予防
患者様の状態によっては、副腎皮質ステロイドの内服や免疫抑制薬を用いて再発予防を行う場合があります。
これらは以前から用いられてきた方法で、現在も病状や治療歴に応じて選択されます。
ステロイドの内服を長期間続ける場合は、骨粗しょう症、血糖値の上昇、感染症などに注意が必要です。
免疫抑制薬では、白血球の減少や肝機能への影響を確認するため、定期的な血液検査が行われます。
いずれの治療でも、副作用を確認しながら継続していくことが前提となります。
自己判断で量を減らすと再発につながる可能性があるため、気になる点は必ず主治医へ相談しましょう。
視神経脊髄炎の治療薬はどう選ぶ?
治療薬は、患者様ごとの状況を踏まえて選択されます。
考慮される主な要素は以下のとおりです。
- AQP4抗体やMOG抗体の有無
- これまでの再発回数と間隔
- 発作時の症状の重さと残った障害
- 年齢
- 妊娠を希望しているかどうか
- 感染症のリスクや持病の有無
- 通院可能な頻度
ここで大切なのは、「最も強い薬」を一律に選ぶものではないという点です。
効果が高くても副作用のリスクや生活への負担が大きければ、その方にとって最適とはいえません。
とくに妊娠を希望する場合は、使用できる薬剤が限られるため早い段階での相談が重要です。
治療方針に納得できないまま進めるより、疑問点を伝えて説明を受けることが継続の助けになります。
後遺症にはリハビリや症状に応じた治療を行う
急性期治療を行っても、しびれや筋力低下、歩行障害、視力障害、排尿・排便障害などが残る場合があります。
これらの後遺症に対しては、リハビリと症状に応じた治療を組み合わせて対応します。
| 後遺症 | 主な対応 |
|---|---|
| 筋力低下・歩行障害 | 理学療法による筋力訓練、バランス訓練、装具や杖の活用 |
| 日常生活動作の困難 | 作業療法による動作練習、自助具の選定 |
| しびれ・神経障害性疼痛 | 神経の興奮を抑える薬による薬物療法 |
| 排尿・排便障害 | 泌尿器科との連携、排尿管理の指導 |
| 視力障害 | 眼科での経過観察、生活環境の調整 |
感覚が鈍い部位では、やけどや傷に気づきにくくなります。
入浴時の湯温確認や、毎日の皮膚チェックを習慣にしておくと安心です。
治療中は感染症などの副作用に注意する
ステロイドや免疫抑制薬、抗体医薬では、いずれも免疫の働きを抑えるため感染症に注意が必要です。
治療中は、以下の点を心がけましょう。
- 手洗いやうがい、マスクなど基本的な感染対策を続ける
- 定期的な診察と血液検査を受ける
- 発熱や体調の変化があれば早めに主治医へ連絡する
- ワクチン接種の可否を事前に確認する
- 他院を受診する際は治療内容を伝える
とくに発熱時は、市販薬で様子を見る前に主治医へ相談してください。
免疫を抑えている状態では、感染症が急速に悪化する可能性があるためです。
また、症状が落ち着いていても自己判断で薬を中断しないことが大切です。
調子のよい状態は治療によって保たれている場合が多く、中断は再発のリスクにつながります。
新たな視力低下や麻痺がある場合は早めに受診する
以下の症状は、再発のサインとなる場合があります。
- 急な視力低下、視野が欠ける
- 目の奥が痛む、目を動かすと痛い
- 新たな手足のしびれや脱力が出た
- 歩きにくさが急に進んだ
- 排尿・排便の障害が現れた
- 原因のわからない強い吐き気や嘔吐が続く
- しゃっくりが止まらない
強い吐き気や止まらないしゃっくりは、脳幹の病変によって起こることがある症状です。
「胃腸の不調だろう」と自己判断せず、主治医へ連絡してください。
また、以前経験した発作と似た症状であっても、様子を見ずに相談することが大切です。
再発は早期に治療を始めるほど、障害を残しにくいとされています。
視神経脊髄炎は発作の治療と再発予防の両方が重要
視神経脊髄炎の治療では、発作時にステロイドパルス療法や血液浄化療法で炎症を抑えることが第一歩となります。
そのうえで、抗体医薬や免疫抑制薬による再発予防治療を長期的に続けることが、障害の蓄積を防ぐ鍵になります。
治療薬は抗体の種類や再発歴、妊娠希望の有無などによって選択されるため、疑問があれば主治医に確認しましょう。
後遺症が残った場合も、リハビリや症状に応じた治療によって生活機能の維持・改善を目指せます。
新たな視力低下や麻痺などの症状が現れた際は、自己判断で様子を見ず、早めに医療機関へ連絡してください。
監修者
圓尾 知之
Tomoyuki Maruo
医師
資格・所属学会
日本脳神経外科学会 所属
脳神経外科の最先端治療と研究成果を活かし、脳卒中から1日でも早い回復と後遺症の軽減を目指し、患者様の日常生活の質を高められるよう全力を尽くしてまいります。






















