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くも膜下出血は、半身麻痺や運動や言語などの神経障害など、多くの後遺症が残る可能性があります。 くも膜下出血の原因は、髄膜という脳の組織の内側にある軟膜と、中間にあるくも膜のすき間にあるくも膜下腔の出血です。 この記事ではくも膜下出血による右脳と左脳の後遺症の違いや、症状からリハビリまで詳しく解説します。 くも膜下出血の後遺症は右脳と左脳で異なる? くも膜下出血の後遺症は、半身麻痺の場合、右脳では左半身に、左脳では右半身に麻痺症状が出ます。 これは運動機能の中枢は、右脳と左脳の両方にあり、右脳は左半身の運動機能に、左脳は右半身の運動機能につながっているためです。 また、運動機能だけでなく、視覚なども同じ機能のため、右脳と左脳とでは現れる後遺症に左右の違いがあります。 くも膜下出血の後遺症 くも膜下出血の後遺症は、出血した部位や出血量、発症後から治療までの時間などによって、症状や後遺症に違いがあります。 出血量が多い場合や治療が遅れた場合は、脳血管攣縮による脳梗塞などを発症し、その結果として高次脳機能障害や運動障害などの後遺症が残ることがあります。 くも膜下出血の主な症状には次のような後遺症があります。 高次機能障害 運動障害 言語障害 感覚障害 視野障害 嚥下障害 排尿障害 感情障害 それぞれの症状について解説していきます。 高次脳機能障害 くも膜下出血の後遺症による神経症状に、高次脳機能障害があります。 高次脳機能障害は、脳の損傷による認知障害全般を指していて、失語・失行・失認や、記憶障害、注意障害、遂行機能障害などの症状が含まれます。 また、高次機能障害は外見では判断しにくいことや、本人が認識していないなどの特徴があります。 運動障害 くも膜下出血の後遺症による神経症状は、運動障害です。脳の運動に関わる部位がダメージを受けると、身体を思い通りに動かせなくなります。 運動障害の1つである麻痺は、症状の程度や出現する部位によって名称が決まっています。 麻痺や運動障害の重さ 痙縮 筋肉が重く、突っ張った感じがする程度 不全麻痺 部分的な麻痺、わずかな麻痺 完全麻痺 まったく動かない麻痺 不随意運動 無意識に手足が動いてしまう異常運動 例)健側に力を入れると麻痺側の手足が勝手に動く 運動失調 筋力低下や麻痺がないにも関わらず、協調運動ができない状態 例)小脳の障害により、歩行バランスが悪くなり上手に歩けなくなる 麻痺の現れる部位別の名称 単麻痺 片半身の上肢あるいは下肢だけの麻痺 片麻痺 右半身あるいは左半身の上下肢の麻痺 脳梗塞、脳出血、脳腫瘍、脳の外傷などで起こる 対麻痺 両下肢の麻痺 スポーツや交通事故、転落・落下による脊髄損傷で起こる場合が多い 四肢麻痺 両側の上肢と下肢の両方が麻痺した状態 脊髄損傷や脳性麻痺などによって起こる くも膜下出血の発症部位の反対側に運動障害が現れることを「半身麻痺」といいます。障害部位と反対側に麻痺が起こる理由は、脳からの指令を全身に伝達する神経が首のあたりで交差しているためです。 右脳に障害がある場合は、左半身の運動機能が障害されて左半身麻痺になる 左脳に障害がある場合は、右半身の運動機能が障害されて右半身麻痺になる 言語障害 くも膜下出血の後遺症による神経症状に、言語障害があります。言語障害は、構音障害(運動障害性構音障害)と失語症に分けられます。 脳の障害部位により、うまく話せない理由が異なるため注意が必要です。 構音障害(運動障害性構音障害) くも膜下出血の後遺症による言語障害に、構音障害(こうおんしょうがい)があります。 構音障害は声が出にくかったり、呂律が回らなかったりする言語障害です。 構音障害が起こると、口や舌などの発声・発語器官がうまく機能しなくなってしまいます。 失語症 くも膜下出血の後遺症の1つに、失語症があります。 失語症とは、脳の言語中枢が障害されて考えている言葉とは異なる言葉が出たり、聞いた単語を理解できなくなったりする症状です。 失語症の患者さんは、”言葉がわからない国に、突然放り出されたような状態”となります。 相手の言葉を理解できず、自分の思いも上手に伝えられないためコミュニケーションにストレスを感じやすいのが特徴です。 感覚障害 くも膜下出血の後遺症に感覚障害があります。感覚神経の異常反応によって視覚・聴覚などの知覚に異常が生じたり、鈍くなったりする障害です。 半身の感覚が麻痺したり手足がしびれたりすると、痛覚や温度感覚などが鈍くなる感覚障害が現れる場合があります。 視野障害 くも膜下出血の後遺症に、視野障害があります。視野障害のひとつ「Terson(テルソン)症候群」は、くも膜下出血に伴う眼内出血が原因です。 主に硝子体と呼ばれる部位に出血することで知られています。 症状としては、目のかすみや浮遊物がみえるなどがありますが、さらに悪化すると視力の低下など日常生活に支障を来す場合があります。 嚥下障害 くも膜下出血を発症すると、嚥下障害(えんげしょうがい)が起こる可能性があります。嚥下障害は、食べ物の飲み込みが上手にできなくなる症状です。 嚥下(飲み込み)障害には、窒息や誤嚥性肺炎のリスクもあるため注意が必要です。 排尿障害 くも膜下出血により排尿に関わる神経が障害されると、排尿をコントロールできなくなる症状が現れます。 排尿障害の症状例は、以下のとおりです。 失禁 頻尿 尿が出ない 尿意を感じない 排泄に関する症状はデリケートな内容であるため、周囲の人に伝えられずにストレスを感じる場合もあります。 感情障害 くも膜下出血の後遺症に、感情障害があります。感情障害で出現する症状は、以下のとおりです。 意欲の低下 感情失禁(少しのことで、喜怒哀楽が激しく現れる) 幻覚や妄想 また、気分障害の一種である「うつ病」になる場合もあります。うつ病は気持ちの落ち込みが長く続き、心の持ちようや精神力をコントロールできなくなる病気です。 うつ病の主な症状は、抑うつ気分や不安感、焦燥感(しょうそうかん:焦りやイライラ感)、不眠、食欲低下などです。 くも膜下出血の後遺症により、日常生活に支障をきたすショックがうつ病の原因になります。 くも膜下出血の後遺症に対するリハビリ くも膜下出血の後遺症に対するリハビリは、「急性期」「回復期」「維持期」の3段階に分けられます。 症状や障害の程度に応じて、理学療法(基本動作)、作業療法(日常生活動作)、言語聴覚療法(コミュニケーション機能)を組み合わせてリハビリを実施します。 急性期リハビリテーション くも膜下出血の急性期リハビリテーションは、発症からおよそ1~2カ月以内※ とされています。 ※出典:厚生労働省「脳卒中に関する留意事項」 発症直後はベットから起き上がれない状態となることが多いため、麻痺した側の手足の関節が固まってしまうことや、麻痺していない筋力が低下する可能性があります。 そのため、急性期では手足を動かしたり、筋力をつけるなど、ベットサイドで簡単にできるリハビリを行います。 回復期リハビリテーション くも膜下出血の回復期リハビリテーションは、発症からおよそ3~6ヵ月とされています。 主に、立ち上がりや歩く動作のほか、箸の練習から着替えなど、日常生活における動作を中心に行われます。 回復期で行われるリハビリは、歩行といった日常生活の確立を目標として実施されます。また、機能が低下している部分の回復も重要です。 維持期リハビリテーション くも膜下出血の維持期リハビリテーションは、発症から6ヵ月以降とされています。 回復期で行ってきたリハビリの継続や、取り戻した身体機能の維持など日常生活の自立と社会生活への復帰を目指す段階です。 つまり、維持期ではくも膜下出血によって、後遺症として残った機能障害の改善だけでなく、生活の質の向上を目的としています。 くも膜下出血の後遺症改善のための選択肢「再生医療」について 近年、くも膜下出血だけでなく脳出血や脳梗塞などにおいて、新たな治療の選択肢として再生医療があります。 くも膜下出血を含む脳卒中に対する治療として、再生医療の幹細胞治療が行われています。 再生医療について詳しい情報をご希望の方は、当院「リペアセルクリニック」にご相談ください。 無料のメール相談やオンラインカウンセリングを承っております。 【まとめ】くも膜下出血の後遺症は早期リハビリと適切な治療が重要 くも膜下出血による後遺症は、神経症状など個人によって差があります。 しかし、急性期から維持期まで、適切なリハビリを行うことにより低下した身体機能を回復させ、日常生活への支障を軽減することができます。 くも膜下出血に対する治療法としては、再生医療も選択肢の一つとして挙げられます。再生医療は、患者様自身の幹細胞を採取・培養し、体内の損傷した部位に投与する治療法です。 くも膜下出血による後遺症にお悩みの方は、ぜひ当院「リペアセルクリニック」へ一度ご相談ください。
2022.01.22 -
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「脳梗塞の前兆は?チェックリストはある?」 突然の体調不良によって脳梗塞ではないか不安を感じている方も多いのではないでしょうか。 本記事では、脳梗塞で見逃してはいけない「前兆」や「初期症状」のチェックポイントを詳しく解説します。 「もしかして脳梗塞かも…」と不安な方は、ぜひこの記事のチェックリストや初期症状を参考にしてください。 また、当院リペアセルクリニックの公式LINEでは、脳梗塞によって元に戻らなくなってしまった脳細胞の改善が期待できる再生医療について情報を公開中です。 再発防止や後遺症の治療にも効果が期待できるので、将来的な不安がある方は、ぜひご参考ください。 脳梗塞の前兆チェックリスト 脳梗塞の前兆チェックリストは、以下の通りです。 脳梗塞は突然起こるイメージがありますが、本格的な発作の前に「一過性脳虚血発作(TIA)」と呼ばれる、一時的な前兆症状が現れることがあります。 前兆が短時間で消えることがあっても、脳梗塞が迫っている重要なサインかもしれません。 どれも一時的だからと見過ごさず、症状を感じたら早急に医療機関を受診してください。 脳梗塞の前兆で見逃してはいけない初期症状 脳梗塞の初期症状は、脳のどの部分で血管が詰まったかによって、さまざまな形で現れます。 以下の初期症状は、脳梗塞を見逃さないための重要なサインです。 運動障害 感覚障害 言語障害 視覚障害 平衡感覚障害 上記の症状は、脳梗塞によって特定の脳の機能が障害されるために起こります。 一時的な症状であっても、脳梗塞の前兆である可能性を疑い、早期に医療機関を受診することが後遺症を抑えるために重要です。 以下で、それぞれの障害について、どのような初期症状が現れるのかを具体的に見ていきましょう。 運動障害 脳梗塞による運動障害では、体の片側の筋力や動きが低下します。 私たちの脳は、体の動きをコントロールする「運動野」という部分があり、脳梗塞によって神経経路がダメージを受けると、体を動かすための指令が筋肉にうまく伝わらなくなります。 特徴的なのは、脳の右側が障害されれば体の左側に、脳の左側が障害されれば体の右側に症状が出ることです。 症状の程度は様々で、完全に動かせなくなる場合もあれば、少し動かしにくい程度の軽い麻痺のこともあります。 脳梗塞によるしびれについては、以下の記事で詳しく解説しているので、合わせて参考にしてください。 感覚障害 脳梗塞による感覚障害は、触覚・痛覚・温度感覚などの体の感覚に異常が生じます。 私たちの体は、皮膚などで感じ取った様々な感覚情報を脳に伝えて認識しています。 脳梗塞によって感覚情報を処理する脳の領域や神経経路がダメージを受けると、体の片側で感覚の異常が起こります。 運動障害と同時に、同じ側の手足に感覚障害が起こることも少なくありません。 言語障害 脳梗塞による言語障害は、話すことあるいは理解することに支障が生じます。 言葉を理解したり話したりする機能は、脳の左半球にある「言語野」という部分が中心となって担っています。 脳梗塞によって言語野や関連する神経がダメージを受けると、言語機能に様々な障害が現れます。 以下の記事では、脳梗塞による言語障害について詳しく解説しているので、合わせて参考にしてください。 視覚障害 脳梗塞による視覚障害は、視野の片側が見えなくなる、二重に見えるなど見え方に異常が生じます。 私たちが見た情報は、眼から脳の後ろ側にある「後頭葉(視覚野)」という部分に送られて処理されます。 脳梗塞によってこれらの部分がダメージを受けると、様々な視覚の異常が生じます。 平衡感覚障害 脳梗塞による平衡感覚障害は、激しいめまいや著しいふらつきがあります。 体のバランスを保つ機能は、主に脳の「小脳」や「脳幹」という部分がコントロールしています。 脳梗塞によってこれらの部分がダメージを受けると、平衡感覚に異常が生じ、激しいめまいやふらつきが現れます。 これらの症状は耳の病気(内耳性のめまい)でも起こることがありますが、脳梗塞の重要なサインである可能性もあります。 脳梗塞の前兆チェックにはFAST(ファスト)を確認しよう 脳梗塞が疑われる際、覚えておくと役立つのが「FAST(ファスト)」という合言葉です。 FASTは、脳梗塞の代表的な初期症状の頭文字と取るべき行動を示しており、迅速な対応を促すためのものです。 文字 チェックするポイント Face(顔) ・顔の片側が歪んでいないか ・笑顔を作った時に口角が片方だけ下がっていないか Arm(腕) ・片方の腕や足に力が入らず、だらんと下がってしまわないか ・両腕を前に伸ばして維持できるか Speech(言葉) ・言葉がうまく話せないか ・呂律が回っていなかったり、意味不明なことを言ったりしていないか ・短い文章を繰り返せるか Time(時間) ・これらの症状に気づいたら発症時刻を確認し、すぐに救急車を呼ぶ 「F(顔の麻痺)」、「A(腕の麻痺)」、「S(言葉の障害)」のうち、一つでも当てはまる症状が見られたら、脳梗塞の可能性を疑いましょう。 そして脳梗塞を疑われる前兆があらわれたときに重要なのが「T(時間)」です。 脳梗塞の治療は、発症からいかに早く治療を開始できるかが、その後の経過を大きく左右します。 症状に気づいた時刻を正確に把握し、ためらわずにすぐ119番に電話して救急車を呼びましょう。 脳梗塞の前兆における日常生活で意識したいこと 脳梗塞の発症リスクを少しでも減らし、万が一の前兆に気づきやすくするためには、日頃の生活習慣を見直し、予防への意識といざという時のための知識を持つことが大切です。 こまめに水分補給する 定期的に運動する 前兆がみられたら時の対処法を知っておく 以下で、上記のポイントについて詳しく見ていきましょう。 こまめに水分補給する 体内の水分が不足すると血液の粘度が高まり(ドロドロに)、血栓ができやすくなるため、こまめな水分補給が大切です。 一度に大量に飲むのではなく、コップ1杯程度の水を数回に分けて飲むようにしましょう。 睡眠中は汗をかきやすく血流も滞りがちになるため、就寝前と起床後の水分補給は血栓予防に効果的です。 定期的に運動する 適度な運動は血行を促進し、肥満や高血圧などの生活習慣病を予防・改善することで、脳梗塞のリスクを低減します。 無理なく続けられる運動を選ぶことが重要です。 例えばウォーキングであれば、特別な道具も必要なく手軽に始められます。 まとまった時間が取れない場合でも、日常生活の中で意識して体を動かす機会を増やすことが、健康維持に役立ちます。 前兆がみられたら時の対処法を知っておく 脳梗塞は治療開始までの時間が予後を大きく左右するため、前兆に気づいたらすぐに救急車を呼び、適切な情報を伝えることが、命を救い後遺症を最小限に抑えるために重要です。 脳梗塞の前兆と思われる症状に気づいたら、一刻も早く専門的な治療が受けられる医療機関へ搬送されることが何よりも大切です。 また、初期治療の詳細や倒れた時にやるべきことについて以下の記事で詳しく解説しているので、参考にしてください。 脳梗塞の前兆チェックに関するよくある質問 脳梗塞の前兆チェックに関するよくある質問とその回答をご紹介します。 脳梗塞で女性特有の前兆・初期症状は? 脳梗塞の前兆は何日前にきますか? 肩こりは脳梗塞の前兆ですか? 脳梗塞を予防するには? それぞれ詳しくみていきましょう。 脳梗塞で女性特有の前兆・初期症状は? 脳梗塞の典型的な前兆(片側の麻痺や言語障害など)は男女共通ですが、女性は原因不明の倦怠感や吐き気など、一見脳梗塞とは結びつきにくい非典型的な症状が前兆として現れることがあります。 上記の症状は心疾患など他の病気とも共通点が多く、ご自身や周囲の方が「いつもと違う、何かおかしい」と感じた場合は、早めに医療機関に相談することが大切です。 脳梗塞の前兆は何日前にきますか? 脳梗塞の前兆は、本格的な脳梗塞が起こる数日前から当日という非常に短い期間に現れることが多く、症状が短時間で消えても決して油断はできません。 前兆は、本格的な脳梗塞が起こる前の「警告サイン」です。 したがって、どんなに短い時間でも脳梗塞を疑う症状が出た場合は、すぐに医療機関を受診することが重要です。 肩こりは脳梗塞の前兆ですか? 一般的な肩こりが、直接的に脳梗塞の前兆となることは稀です。 しかし、「いつもと明らかに違う」「これまでに経験したことのないような」突然の激しい肩や首の痛み、後頭部の痛みなどが現れた場合には注意が必要です。 ごく稀にですが、脳の血管に問題が起きた初期症状として、首周辺の血流の滞りや神経の麻痺によって強い痛みを感じることがあります。 特に、手足の動きにくさやしびれ、言葉のもつれといった他の症状が同時に出ている場合は、「ただの肩こり」と自己判断せず、念のため速やかに医療機関を受診しましょう。 脳梗塞を予防するには? 脳梗塞を予防するためには、バランスの取れた食事、適度な運動、禁煙・節酒といった生活習慣の改善と、定期的な健康診断による高血圧などのリスク管理が重要です。 予防のポイント 具体的な内容 食事 塩分・脂質の摂りすぎを避ける 野菜・果物・魚を中心としたバランスの良い食生活を心がける 運動 ウォーキングや水泳などの有酸素運動を行う(週に150分以上が目安) 禁煙・節酒 喫煙と飲酒はできるだけ控える 水分補給 こまめに水分を摂取する 定期的な健康診断を受け、ご自身の体の状態を把握し、早期発見・早期対応につなげましょう。 脳梗塞の前兆がみられたら早期に医療機関を受診しよう 脳梗塞は、発症後の迅速な対応がその後の経過を大きく左右するため、前兆があらわれたら時間との勝負です。 一時的な症状や軽い異変であっても、「おかしい」と感じたら自己判断せずに、ためらわずに医療機関を受診しましょう。 この記事で得た知識が、ご自身や大切な方の健康を守り、万が一の際の適切な判断の一助となれば幸いです。 日頃から予防を心がけ、不安な症状があれば、ぜひ当院リペアセルクリニックにご相談ください。
2022.01.22 -
- 脳梗塞
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「脳卒中の発症リスクをどうすれば管理できる?」 「再発を予防するためにできることは?」 上記のような疑問や不安をお持ちの方も多いのではないでしょうか。 脳卒中は、ある日突然生活を一変させる可能性のある病気ですが、生活習慣の見直しと正しい知識でリスクを下げられます。 本記事では、脳卒中の主な危険因子である高血圧や糖尿病などのリスクを管理する方法を詳しく解説します。 ご自身や大切なご家族の健康を守るため、ぜひ最後までご覧ください。 また、脳卒中のリスク管理・再発予防には、先端医療である再生医療による治療も選択肢の一つです。 当院リペアセルクリニックの公式LINEでは、損傷した脳細胞の改善にも期待できる再生医療に関する情報を配信しています。 「脳卒中の発症リスクを抑えたい」「将来的な不安がある」という方は、この機会に再生医療について確認してみてください。 脳卒中の主なリスクと管理方法 脳卒中の発症や再発には、ご自身の努力で管理できる生活習慣病などの「危険因子」が隠れているケースがあります。 この章では、脳卒中を予防するうえで特に重要な危険因子と管理方法を取り上げます。 高血圧 糖尿病 脂質異常症 心房細動(不整脈) 嗜好品の制限 ご自身やご家族の健康を守るため、どのようなリスクがあり、どうすれば管理できるのかを確認していきましょう。 高血圧 高血圧は、脳卒中を引き起こす危険因子の1つです。 血圧が高い状態が続くと血管の壁に強い圧力がかかり、血管が弾力性を失って脆くなります。 この「動脈硬化」が、脳梗塞や脳出血の直接的な原因となります。 高血圧の主な対処法は、以下の通りです。 減塩を心がける(1日6g未満) 野菜や魚中心の食事に改善する ウォーキングなどの運動を習慣にする 飲酒量を控え、必ず禁煙する 医師から処方された薬を飲み続ける 高血圧は自覚症状がほとんどないため「サイレントキラー」とも呼ばれます。 そのため、家庭で血圧を測る習慣をつけ、ご自身の数値を把握することが管理の第一歩です。 脳卒中の治療ガイドラインでは、血圧を140/90mmHg未満、特定の条件に当てはまる方は130/80mmHg未満に抑えることが推奨※されています。 ※出典:日本脳卒中学会「脳卒中治療ガイドライン2021〔改定2025〕」 また、以下の記事では、高血圧についてわかりやすく解説しているので、合わせてご覧ください。 糖尿病 糖尿病も脳卒中の重要な危険因子の一つです。 血糖値が高い状態が続き、全身の血管がダメージを受けることで動脈硬化が進行しやすくなるため、脳梗塞との関連が深いとされています。 糖尿病の主な対処法は、以下の通りです。 適切なカロリーと栄養バランスの食事 血糖コントロールを改善する運動療法 医師の処方に従った薬物療法 肥満を防ぐための体重管理 糖尿病の管理目標は、血糖値を安定させて合併症を防ぐことです。 初期段階では自覚症状が乏しいため、気づかないうちに病状が進行しているケースも少なくありません。 健康診断などで血糖値の異常を指摘された際は、放置せずに医療機関で相談しましょう。 脂質異常症 脂質異常症とは、血液中の悪玉(LDL)コレステロールや中性脂肪が多すぎる状態です。 自覚症状がないまま動脈硬化を進行させ、脳卒中の中でも「アテローム血栓性脳梗塞」のリスクを高める要因になります。 脂質異常症の主な対処法は、以下の通りです。 動物性脂肪やトランス脂肪酸の摂取を控える 食繊維や魚(EPA・DHA)を積極的に摂る コレステロール値を改善する有酸素運動 動脈硬化を悪化させる喫煙をやめる 必要に応じて脂質異常症治療薬を服用 血液中の悪玉コレステロールが過剰になると血管の壁にプラークという塊を作り、血管が狭くなることで血流が悪化します。 プラークが破れると血栓が脳の血管を詰まらせ、脳梗塞を引き起こす可能性につながります。 脂質異常症の管理には、健康診断などでの定期的な血液検査が欠かせません。 生活習慣の改善で数値が良くならない場合は、医師の判断で薬物療法が行われます。 心房細動(不整脈) 心房細動は、心臓が不規則にけいれんするように震える不整脈の一種です。 心臓の中に血の塊(血栓)ができやすくなるため、重症化しやすい「心原性脳塞栓症」の原因となります。 心房細動の主な対処法は、以下の通りです。 血栓を防ぐ抗凝固薬の服用 心拍数を整えるための薬物治療 不整脈の原因を焼くカテーテル治療 高血圧や飲酒など生活習慣の管理 心臓でできた血栓が血流に乗って脳の太い血管を詰まらせると、広範囲の脳組織がダメージを受け、深刻な後遺症につながる可能性があります。 動悸・息切れ・めまいといった症状は、心房細動のサインかもしれません。 上記のような症状を感じたら放置せずに医療機関を受診し、診断に基づいた適切な治療を開始することが重要です。 嗜好品の制限 喫煙と過度な飲酒は、それぞれが脳卒中の危険因子であるだけでなく、高血圧や脂質異常症といった他の生活習慣病を悪化させる要因にもなります。 脳卒中のリスク管理を考えるうえで、嗜好品の制限は避けて通れません。 要因 メカニズム・作用 タバコ (ニコチンなどの有害物質) ・血管を収縮させ血圧が上昇する ・血液の粘度が増大する(血液がドロドロになる) ・血管内壁を傷つけ動脈硬化を促進する 長期間の多量飲酒 ・持続的に高血圧を引き起こす ・心房細動を誘発する可能性 脳卒中予防において、禁煙は効果的な対策の一つです。 ご自身の力で禁煙するのが難しい場合は、禁煙外来で専門家の支援を受けることをおすすめします。 飲酒は、1日あたりの純アルコール量で約20g(ビール中瓶1本程度)の適量※を守りましょう。 ※出典:厚生労働省「アルコール」 脳卒中のリスク管理方法と合わせて確認したい予防十か条 脳卒中を予防するためには日々の生活を見直し、危険因子に関する正しい知識を持つことが大切です。 具体的な行動指針として、公益社団法人日本脳卒中協会では「脳卒中予防十か条」を提唱しています。 ご自身の生活習慣と照らし合わせながら、一つひとつ確認してみてください。 第1条 手始めに 高血圧から 治しましょう 第2条 糖尿病 放っておいたら 悔い残る 第3条 不整脈 見つかり次第 すぐ受診 第4条 予防には たばこを止める 意志を持て 第5条 飲むならば なるべく少なく アルコール 第6条 高すぎる コレステロールも 見逃すな 第7条 お食事の 塩分・脂肪 控えめに 第8条 体力に 合った運動 続けよう 第9条 万病の 引き金になる 太りすぎ 第10条 脳卒中 起きたらすぐに 病院へ ※出典:公益社団法人 日本脳卒中協会 上記の十か条は、脳卒中の主要な危険因子への対策から、万が一発症してしまった際の対応を分かりやすくまとめられています。 第1条から第3条は、脳卒中の3大危険因子である「高血圧」「糖尿病」「不整脈(心房細動)」の管理がいかに重要であるかを示しています。 中でも高血圧は大きな危険因子であり、血圧を適切にコントロールすることが脳卒中予防の重要なポイントです。 また、第5条のアルコールに関する標語は、「少量のお酒なら健康に良い」という考え方が新たな研究で否定されている背景から、2025年に内容が変更されました。 新たな飲酒は量に関わらずリスクを伴うため「飲むのであれば、できる限り少量に」とされています。 第10条では、脳卒中を疑う症状が現れた際は、躊躇せずに救急車を呼び、一刻も早く専門的な治療を受けることの重要性を伝えています。 脳卒中の急性期リハビリテーションにおけるリスク管理 万が一、脳卒中を発症してしまった場合、その直後の対応が回復を大きく左右します。 「急性期」とは、一般的に発症から病状が安定するまでの数週間から1ヶ月程度の期間のことです。 ここでは、脳卒中の急性期リハビリテーションにおけるリスク管理について解説します。 早期離床してリハビリを開始する 再発や合併症を予防する 急性期は脳のダメージが広がりやすく、血圧や意識レベルといった全身状態も変動しやすいデリケートなタイミングです。 そのため、専門チームが密に連携し、患者様の全身状態を常に確認しながら、治療とリハビリを慎重に進めていく必要があります。 早期離床してリハビリを開始する 脳卒中のリハビリにおいて、徹底したリスク管理のもと、可能な限り早くリハビリを始める「早期離床」が推奨されています。 目的:寝たきりによる「廃用症候群」の予防 主な合併症:筋力低下や関節の拘縮、肺炎、血栓 リハビリ内容:ベッド上の運動から始める段階的な訓練 早期から積極的に体を動かすことが障害を抑え、その後の回復を促すために重要です。 再発や合併症を予防する 脳卒中の急性期は、再発のリスクが高い時期でもあるため、リハビリは医学的な治療を妨げないように厳重な管理下で行う必要があります。 また、食べ物が気管に入ることで起こる「誤嚥性肺炎」や、足に血栓ができる「深部静脈血栓症」などの合併症にも注意が必要です。 これらの合併症は生命に関わるだけでなく、その後のリハビリの進行を大きく遅らせる原因となります。 急性期のリハビリは、機能回復を目指すだけでなく、上記のような危険な合併症を防ぐという意味でも大切です。 以下の記事では、脳梗塞の再発リスクについて詳しく解説しているので、合わせて参考にしてください。 脳卒中のリスク管理についてよくある質問 ここでは、脳卒中のリスク管理についてよくある質問に回答していきます。 脳卒中の危険因子を管理するにはどうすればいい? 脳卒中を防ぐ方法はある? 脳卒中で早期離床を促すのはなぜ? それぞれ詳しく解説します。 脳卒中の危険因子を管理するにはどうすればいい? 脳卒中の危険因子の管理は「生活習慣の見直し」と「適切な治療の継続」が基本です。 塩分を控えた食事や定期的な運動、禁煙を心がけましょう。 それに加えて、定期健診でご自身の体の状態を把握し、異常があれば必ず医師に相談してください。 処方された薬を自己判断でやめないことも、脳卒中予防では重要なポイントです。 脳卒中を防ぐ方法はある? 高血圧をはじめとする生活習慣病を管理することで、多く脳卒中を防ぐことが可能とされます。 とくに脳卒中の大きなリスクとなる高血圧を防ぐためにも血圧管理を徹底することが重要です。 また、健康的な食事や適度な運動習慣といった生活習慣の改善は、複数の危険因子に同時に良い影響を与えます。 症状がないうちからリスクを早期発見し、対策を講じることが発症を防ぐためのポイントといえるでしょう。 脳卒中で早期離床を促すのはなぜ? 脳卒中で早期離床を促すのは、「二次的合併症」を防ぎ、「脳機能回復の促進」のためです。 寝たきりの状態は回復を妨げる多くの問題を引き起こし、筋力低下や肺炎、血栓などの二次的合併症の可能性が高くなります。 また、脳機能の回復を促進する目的でも早期離床は重要です。 早期からリハビリを始めることで脳や身体機能の改善が早まり、より良い状態で退院できる可能性が高まります。 脳卒中のリスク管理と合わせて再生医療をご検討ください https://www.youtube.com/watch?v=pSaJBptY3Bc 本記事では、脳卒中の発症および再発予防におけるリスク管理の重要性について解説しました。 高血圧や糖尿病といった危険因子を日々の生活で管理し、健康的な習慣を続けることが基本となります。 これらに加え、再発予防の新たな選択肢として「再生医療」をご検討ください。 再生医療は、患者さまの脂肪から幹細胞を採取・培養し、体内に戻すことで損傷した組織や身体機能の再生・修復を促す治療法です。 また、損傷した脳機能の改善を促し、後遺症である麻痺などの症状軽減が期待できる治療法として注目されています。 脳卒中のリスク管理や再発予防にお悩みの方は、ぜひ一度当院リペアセルクリニックへご相談ください。 \公式LINEでは再生医療に関する情報や症例を公開中!/
2022.01.22 -
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脳梗塞には3つの期間があり、それぞれリハビリの内容が異なります。また、重症度や年代によってリハビリ期間が違うケースがあります。 脳梗塞が重症の場合は、リハビリにもがかかる可能性も高いです。 本記事では、急性期・回復期・生活期のリハビリ期間や、年代によるリハビリ期間の違いを解説します。 脳梗塞のリハビリに関するよくある質問も取り上げているので、ご自身の疑問を解決できるよう参考にしてください。 また、当院リペアセルクリニックの公式LINEでは、脳梗塞の治療や後遺症治療として注目されている再生医療に関する内容を公開しています。 リハビリ効果を向上させることも期待できる治療法なので、ぜひご覧ください。 脳梗塞のリハビリ期間|急性期・回復期・生活期のプログラム 脳梗塞のリハビリ期間は、発症から2~3週間の急性期、3~6ヶ月程度の回復期、それ以降の生活期に分けられます。 それぞれのリハビリは内容や動かす部位が異なります。 急性期のリハビリ 回復期のリハビリ 生活期のリハビリ 急性期、回復期、生活期のリハビリ期間や内容について詳しく解説します。 急性期のリハビリ 急性期のリハビリは、脳梗塞発症から2~3週間の間に行われます。急性期は、身体機能低下の予防や、言語障害、高次機能障害に対する機能回復を目的にリハビリを行います。 ベッドの上で寝たままだと関節の可動域が狭くなる恐れがあるため、少しずつ関節を動かしていきます。 また、症状に応じて、嚥下訓練が行われるケースもあります。 回復期のリハビリ 脳梗塞発症後、3~6ヶ月は回復期と呼ばれます。回復期は、脳梗塞からの回復に重要な期間で日常生活に戻れるようにリハビリを行います。 発症から半年以内は脳の機能の改善が期待できる重要な期間です。半年以内に集中的にリハビリを行うと、大きな効果が期待できます。 生活期のリハビリ 生活期とは、発症から3~6ヶ月の期間を指します。生活期のリハビリは、社会復帰を目的とした訓練が行われます。また、生活期の訓練はQOL(生活の質)を向上させる目的もあります。 生活期は、言語聴覚士や理学療法士の指導を受けながらリハビリを行います。 脳梗塞のリハビリにおける入院期間【年代別・重症度別】 脳梗塞のリハビリにおける入院期間を、年代・重症度別に解説します。 年代別の入院期間 重症度別の入院期間 ご自身の重症度や年代から、おおよその入院期間がわかります。 年代別の入院期間 年代別の入院期間は、以下の通りです。 急性期 回復期 20代~30代 約1~2週間 1~2か月 50代~60代 2~3週間 2~3ヶ月 70代以上 3~4週間 3~6ヶ月 20代~40代は体力がある年代のため、比較的早期に状態が安定する可能性が高いです。 中年期に入ると、糖尿病などのリスクが上がるため治療が長引くと同時に入院期間が長くなるケースがあります。 さらに、高齢になるほど回復が遅くなる傾向にあります。 重症度別の入院期間 重症度別の入院期間は、以下の通りです。 急性期 回復期 軽度 1週間程度 1か月程度 中等度 2~3週間程度 2~3ヶ月 重度 3週間以上 6ヶ月以上 脳の機能が大きく低下していない軽度な場合、急性期は1週間程度、回復期は1ヶ月程度で退院できるケースが多いです。 症状が重くなるほど回復が遅くなる傾向にあるため、退院した後も在宅でのリハビリが必要な場合もあります。 脳梗塞のリハビリ期間を短くしたい方には再生医療の選択肢 脳梗塞のリハビリ期間を短くしたい方は、再生医療による治療の選択肢もあります。 再生医療は患者さまの幹細胞を利用して治療するため、拒否反応などのリスクが低い治療法です。 脳梗塞に対する再生医療は、後遺症の改善やリハビリ効果を高めるほか、再発予防も期待できます。再生医療とリハビリを併用すると、よりリハビリ効果が高まります。 再生医療は注射による治療のため、入院する必要がないというメリットもあります。 リハビリの効果が見られない方や、少しでも早く社会復帰したい方は再生医療をご検討ください。 脳梗塞のリハビリ期間についてよくある質問 脳梗塞のリハビリ期間に関する、よくある質問にお答えします。 脳梗塞のリハビリで退院できる目安は? 脳梗塞のリハビリは180日しか受けられない? 脳梗塞でリハビリしないとどうなる? 3つの質問について、詳しく回答します。 脳梗塞のリハビリで退院できる目安は? 軽い場合は1週間程度、重度の場合は6ヶ月以上かかるケースもあります。 年代や重症度によって入院期間が大幅に異なるため、詳しい期間については医師に相談しましょう。 退院後も、デイケアや外来のリハビリが必要になる可能性があります。 脳梗塞のリハビリは180日しか受けられない? 脳梗塞における医療保険の適用範囲内でリハビリが受けられるのは、発症から180日(6ヶ月)までです。また、180日の期限は高次機能障害を伴う場合のみで、高次機能障害がない場合は150日の制限があります。 180日を過ぎた後は、自費でのリハビリや介護保険(65歳以上・要介護認定を受けている方)などの方法でリハビリを続けていくケースがあります。 脳梗塞でリハビリをしないとどうなる? 脳梗塞の治療後にリハビリをしないと、症状の悪化や後遺症の長期化につながります 手足の機能が回復しないうえ、麻痺の悪化や合併症のリスクも高まる可能性が高いです。また、生活動作ができないことで生活の質が大幅に下がるケースも考えられます。 寝たきり状態が続くと、筋力・体力の低下や認知機能低下など、「廃用症候群」と呼ばれる状態になってしまう可能性があります。 脳梗塞のリハビリ期間はご家族の理解とサポートが大切 脳梗塞のリハビリ期間は、患者さま本人がリハビリを頑張るだけでなく、ご家族の理解やサポートも重要です。 しかし、患者さまができないことをすべて代わりにやるのではなく、患者さまご自身が生活しやすいように手助けすることを意識しましょう。 脳梗塞のリハビリは長期にわたるため、乗り越えるためには周囲の方の支えが必要不可欠です。 脳梗塞の後遺症や再発に悩んでいる方は、当院「リペアセルクリニック」にご相談ください。
2021.08.06 -
- 脳卒中
- 再生治療
脳出血を発症した場合、その後の再発防止にも努めなければいけません。再発すると重い後遺症を残す可能性が高まるため、適切な再発予防策を講じる必要があります。 本記事では、脳出血の再発防止で重要な取り組みや生活習慣の改善方法について解説します。 この記事を読むとわかること 脳出血を予防するために重要なこと 脳出血を予防する生活習慣 血圧の正しい測り方 普段の生活を見直すだけでも、再発の可能性は格段に下がります。ぜひご自身の生活を振り返りながらご覧ください。 脳出血の再発を予防する!そのために欠かせない2つのこと 脳出血を予防するためには、日常生活で2つのことに気を付けなければいけません。 血圧管理 定期検査での早期発見 以上の2つのポイントについて詳しく解説します。 脳出血になった経験がある方は、ぜひこれからの生活で取り組んでみてください。 脳出血の再発を予防するには血圧管理が重要 高血圧が原因で引きおこる脳出血は患者全体の約9割を占めます。 脳出血は脳内の血管に負担がかかって引きおこるため、再発を防止するには血圧の管理が重要です。 脳出血を起こしたことがある方は家庭血圧で115/75mmHg未満※が推奨されています。 ※出典:厚生労働省「生活習慣病」 生活習慣だけで高血圧を改善できない場合、薬を飲んで血圧を下げるケースもあります。 定期検査で早期発見に取り組む 脳出血の再発を防止するには、定期的に検査を受け、医師の診断を受けることが大切です。 CTやMRIを受けることで、脳の血管や組織の異常を詳しく確認することができます。異常が早期に発見できれば、再発を未然に防ぐことが期待できます。 CT、MRIのほかに頸動脈エコーも脳出血予防に効果的な検査です。 血圧を下げる生活習慣の改善方法 脳出血を予防するには、血圧が高くならないように生活習慣を改善するのが効果的です。 血圧を下げる生活習慣の改善法 食生活を改善する 運動を習慣化する 禁煙する アルコール摂取量を減らす 脳出血を発症したことがある方は生活を見直し、再発予防に努めましょう。 食生活を改善する 塩分・脂質の摂りすぎは、血圧上昇につながります。普段の食事では、減塩に取り組みましょう。 一般的には目標摂取量は成人男性1日あたり7.5g未満、成人女性1日あたり6.5g未満ですが、高血圧予防の観点からは男女ともに1日6.0g未満が推奨されています。 また、果物や緑黄色野菜を積極的に摂り、カリウムの摂取を心掛けてください。カリウムは塩分の排出を助け、高血圧や動脈硬化の予防に役立ちます。 また、魚介・ナッツ類、アマニ油や大豆油は体内の脂質のバランスを整える働きがあります。これらの食品を日々の食事に取り入ることで、血圧管理に役立つだけでなく、全身の健康維持にもつながります。 運動を習慣化する 定期的に運動を行うことで、血圧を下げる効果が期待できます。 筋トレよりも有酸素運動が好ましく、週に2~3回、1日30分程度のウォーキングで脳出血予防に効果があります。 ただし、運動のやりすぎは体に負担をかけてしまいます。運動の頻度は医師と相談し、無理のない範囲で行いましょう。 禁煙する タバコに含まれるニコチンは血管を収縮させ、血圧を上昇させる恐れがあります。 禁煙すると脳の収縮が抑えられるため、脳出血のリスクが減少します。脳出血を発症したことがある喫煙者は、まず禁煙しましょう。 禁煙が難しい方は依存症の可能性があるので、禁煙外来などで医師の指導を受けてください。 アルコール摂取量を減らす アルコールは血圧を上昇させる作用があるので、血圧をコントロールするためにもアルコール摂取量を減らしましょう。 また、アルコールは利尿作用があります。水分が足りなくなると脳の血流が悪くなり、血栓ができやすくなる点にも注意が必要です。 1日のアルコール摂取量は20g※までに控えましょう。 ※出典:厚生労働省「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」 アルコール20gをビールや日本酒などに換算すると以下の量になります。 ビール 500ml 日本酒 180ml チューハイ 350ml ワイン 200ml 焼酎 100ml ウイスキー 60ml 女性は上記の半分が適量です。 血圧の正常値と正しい測り方 脳出血の再発予防のためには、家庭血圧で115/75mmHg未満※にコントロールする必要があります。 ※出典:厚生労働省「生活習慣病」 正しい血圧の測り方 毎日朝と夜2回、できるだけ同じ時間に測る リラックスして椅子に座り、背筋を伸ばした状態で測る 寝ている場合は仰向けになって腕を伸ばし、手のひらを上に向けて測る 毎回同じ腕で測る。原則、利き腕とは反対側 カフ(腕帯)は肘から1~2cm上、腕帯のチューブが手のひら側になるよう巻き付ける 血圧を測るのに適した時間帯は以下の通りです。 朝 起床後1時間以内、排尿後、朝食・服薬の前 夜 就寝前 以上のように、血圧を測る場合は細かく姿勢や時間帯が決まっています。 毎日測定し、正常値の血圧を維持できるようにしましょう。 脳出血の再発を予防しなければならない理由 脳出血の再発は、命の危険性だけでなく、その後の生活の質にも大きな影響を与えます。 以下の2つの理由で、脳出血は再発防止が重要です。 脳出血の再発を予防しなければならない理由 以前よりも後遺症が重くなる 新たな後遺症を発症する可能性がある また、同じ場所で再出血した場合多くの部位が損傷し、神経症状が出現するケースもあります。 脳出血の再発により高次機能障害を発症するおそれもありますので、再発防止に尽力しなければいけません。 脳出血の再発に関してよくある質問 脳出血の再発防止に取り組む方からのよくある質問を紹介します。 脳出血を再発するときの前兆やリスクが高い方の特徴について解説します。 脳出血の再発の前兆は? 脳出血発生時の前兆としては、頭痛やめまい、視覚障害などの症状が起こります。 頭痛は片頭痛などとは違い、突然強い痛みが発生します。また、普段と違う激しいめまいがあった場合は、脳出血の前兆である可能性が高いです。 視覚障害は、一部が欠けて見える、視界がぼやけるなどの特徴があります。 以上の症状が起こった場合は、すぐに病院を受診してください。 脳出血の再発率は? 脳出血は再発率が高く、初回発症後1年以内で約10%、初回発症後10年間の累積で約55%※ほどが発症すると言われています。 ※出典:PubMed「Ten year recurrence after first ever stroke in a Japanese community: the Hisayama study」 つまり、約半分の方が10年以内に再発していることになります。 再発防止のために、自身の生活を見直しましょう。 脳出血の再発リスクが高い人の特徴は? 脳出血の再発リスクが高い方には以下の特徴があります。 高血圧・糖尿病の人 飲酒・喫煙の習慣がある人 運動の習慣がない人 食生活が乱れている人 食生活の改善はすぐにできます。野菜や果物・魚中心の食事に切り替え、健康的な生活を送りましょう。 また、運動はウォーキングを30分、週2回ほどで効果が期待できます。自身の体力や体調を考えながら無理のない範囲で運動の習慣を作りましょう。 脳出血を再発しないためにも最適な治療法を選択しよう 脳出血の再発を予防するには、生活習慣の改善や血圧の管理が大切ですが、治療としては再生医療が注目されています。 再生医療では幹細胞を用いた治療を行います。幹細胞治療には、傷跡がほぼ残らない、拒絶反応のリスクが低いなどの利点があります。従来の手術より患者の身体への負担が少ない方法として期待されています。 再生医療を希望する場合には、当院へお気軽にご相談ください。
2021.08.06 -
- 脳卒中
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- 幹細胞治療
体には運動神経という神経があり、この運動神経が正しく働いていると手足を思うように動かすことができます。 しかし、脳出血によって運動神経に障害が起きると体に麻痺が生じます。 脳出血が頭の左側で起きると右半身麻痺の症状が生じ、右側で起きると左半身麻痺が生じます。この麻痺を改善していくためにはリハビリが重要です。 本記事では「脳出血後の右半身麻痺を回復させるためのリハビリの重要性」について詳しく解説していきます。 脳出血による右半身麻痺の早期回復を目指すための「再生医療」についても解説しています。 リハビリの重要性と治療方法を理解して、脳出血の後遺症を回復させるための参考にしてください。 脳出血による右半身麻痺は「運動障害」の一つ 脳出血後、脳の細胞がダメージを受けたことで後遺症が残ることもあり、右半身麻痺の症状は「運動障害」の一つです。 運動障害の症状の重さは、脳出血が生じた部位によって異なります。 名称 主な症状 完全麻痺 損傷した部位の運動機能が完全に失われて、感覚がなくなっている状態 不全麻痺 手足などの一部または全身が自分の意のままに動かせなくなっているが、手足の動きや感覚がわずかに残っている状態 痙縮(けいしゅく) 筋肉が過剰に緊張した状態になり、手足が動かしにくかったり、勝手に動いてしまったりする 不随意運動 手足などの一部または全身が自分の意思とは関係なく勝手に動いてしまう 運動失調 麻痺はないが、手や足などの複数の部位を強調して動かせない状態 また、脳出血後の後遺症は「運動障害」以外に触覚や痛覚が鈍くなってしまう「感覚障害」などさまざまな症状があります。 後遺症によって日常生活に影響が出ることも多いため、脳出血後の症状や適切な治療方法を知っておくことが重要です。 脳出血で半身麻痺・片麻痺が起きる原因は? 脳出血で半身麻痺・片麻痺は右脳と左脳のどちらかが障害を受けた場合に発症します。 右脳は左半身の運動機能につながっており、左脳は右半身の運動機能につながっています。 右脳に障害が起きた場合左半身に、左脳に障害が起きた場合、右半身に麻痺症状がみられますが、これは脳から身体につながる神経が延髄で反対側に交差しているためです。 脳出血による右半身麻痺の回復にはリハビリが重要 脳出血によって半身麻痺の後遺症が残ってしまった場合、早期のリハビリがとても重要です。 一般的に脳出血の発症から6ヶ月後までは、ダメージを受けた脳の神経ネットワークが再構築すると考えられており、特に最初の3ヶ月間が最も回復が著しいとされています。 6ヶ月以降もリハビリテーションによって改善が見られることはありますが、時間が経過すると回復の速度は緩やかになる傾向があります。 「回復期」と呼ばれる半身麻痺発症3~6ヶ月までの期間で、脳の機能回復をできる限り引き出すためにリハビリを積極的に行うことが重要です。 リハビリは患者本人だけでなく、家族の理解やサポートも大切なポイントです。 理学療法 脳出血のリハビリにおいて、理学療法の役割は主に、身体の基本的な動作能力を回復と維持です。さらに障害の悪化を防ぐために運動療法や、物理療法を行います。 身体の基本動作のリハビリでは、立つ、座る、歩く、寝るといった動作能力を行いますが、これらの基本動作を行う前に電気や温熱などの物理的手段を用いて、筋肉や関節のマッサージを行います。 特に急性期のリハビリテーションにおいて、重要な役割を果たすのが理学療法です。 作業療法 作業療法は日常生活において必要となる食事や洗顔・入浴などの応用的動作から、社会活動への参加、就学・就労支援による社会的適応能力の改善・維持を目的としています。 具体的には箸を持つ動作や手洗い、服を着るといった動作のリハビリテーションにより、元の日常生活に戻れる支援を行います。 特に回復期のリハビリテーションにおいて、作業療法は重要です。 言語療法 言語療法の主な目的は、話す、聴く、書く、読むといった言語力を向上させることや、安全に食事ができるような姿勢を取り戻すことです。 また、聞き取りやすい発話を行えるようにジェスチャーなどを用いて口や舌を動かすコミュニケーションや、集中力、記憶力、思考力の練習も行います。 【時期別】右半身麻痺の回復に必要なリハビリテーション内容 脳出血による右半身麻痺の回復に必要なリハビリ内容を「急性期」「回復期」「維持期」の3つの時期別に解説します。 急性期に行うリハビリ 回復期に行うリハビリ 維持期に行うリハビリ 早期に回復するためにも、それぞれの時期別に適したリハビリを行いましょう。 急性期に行うリハビリ 脳出血の発症から2〜3週間の「急性期」に行う主なリハビリは、以下の通りです。 麻痺した手足の関節をストレッチする ベッドから起き上がる 寝返りを打つ 急性期は特に危険な状態になりやすいので、安静にしている治療期間の体力低下を抑えることをリハビリの目的としています。 主に関節が硬くならないようにストレッチやベッド周辺でできるリハビリを中心に行います。 回復期に行うリハビリ 急性期から発症後6ヶ月までの「回復期」に行う主なリハビリは、以下の通りです。 自力で立つ、座るなどの「基本動作訓練」 杖や歩行器を用いた「歩行訓練」 食事やトイレなどの「日常動作訓練」 回復期のリハビリは、在宅復帰や社会復帰を目指して、さまざまな機能回復を目的としています。 主に自力で立つ、座るなどの基本的な動作や食事やトイレなどの日常生活に欠かせない動作を中心に行います。 維持期に行うリハビリ 一度症状が回復し、退院後の「維持期」に行う主なリハビリは、以下の通りです。 麻痺した側の手足を動かす、ストレッチする 散歩などの軽い運動 症状が回復した機能も何もしないでいると機能低下が進むため、機能維持のためにリハビリをする必要があります。 麻痺した側を積極的に動かすことも重要ですが、麻痺していない側も注意が必要です。 右脳と左脳でバランスを保っているため、意識せずとも麻痺してできないことを麻痺していない側の身体が補おうとして大きな負荷がかかります。 維持期のリハビリは、全身の機能維持を意識することが重要です。 脳出血による右半身麻痺には「再生医療」という選択肢もある 脳出血による右半身麻痺の後遺症には、再生医療という選択肢があります。 再生医療は、患者さま自身の幹細胞を利用する治療法の一つです。幹細胞を採取・培養したうえで体内に戻すことで、特定の疾患や症状に対するアプローチを行います。 再生医療を受けるかどうかは、治療の内容や手続きについて十分に理解したうえで判断することが大切です。 当院「リペアセルクリニック」では、脳出血の後遺症に対する治療として再生医療を提供しています。 詳しく知りたい方は、ぜひお気軽にご相談ください。 【まとめ】脳出血による右半身麻痺の早期回復を目指すかたは再生医療をご検討ください 脳出血による右半身麻痺を回復させる方法について解説しました。 一般的に脳出血の発症から6ヶ月後までは、ダメージを受けた脳の神経ネットワークが再構築すると考えられており、症状が回復する見込みがあります。 そのため「回復期」と呼ばれる発症から6ヶ月の時期に機能回復のためのリハビリが重要です。 また、脳出血による後遺症の早期回復を目指すなら「再生医療」による脳の再生治療を検討しましょう。 脳出血による半身麻痺や後遺症は、早い段階で再生医療を行うことにより改善が期待できるため、気になる方は当院(リペアセルクリニック)へご相談ください。
2021.08.06 -
- 脳梗塞
- 脳卒中
脳梗塞の後遺症・しびれに悩まされている方も多いのではないでしょうか。しびれは生活への影響が大きい後遺症のひとつです。 本記事では、脳梗塞の症状であるしびれを発症するメカニズムや治療方法を解説しています。 この記事を読むとわかること 脳梗塞によってしびれを発症するメカニズム 脳梗塞によるしびれと他の原因によるしびれの見分け方 脳梗塞の後遺症によるしびれの治療法 現在、しびれにお悩みの方はぜひご一読ください。 脳梗塞の症状はリハビリによって改善が見込めます。治療方法についても紹介するので日常生活が不自由なく送れるようになることを目指しましょう。 脳梗塞によってしびれを発症するメカニズムとは 脳梗塞によるしびれは、脳内の感覚を司る領域、特に視床や体性感覚野が損傷を受けることで発生します。 これらの部位が障害されると、感覚情報の伝達や処理が正常に行われなくなり、実際には刺激がないにもかかわらず、ビリビリとしたしびれや異常な感覚が生じます。 一方、しびれがない脳梗塞の場合、損傷が運動機能や他の認知機能を司る領域に限定され、感覚を担当する領域が影響を受けていない可能性があります。 その結果、しびれの症状は現れず、代わりに運動麻痺や言語障害など、他の症状が主に現れることがあります。 つまり、脳梗塞によるしびれの有無は、損傷部位の違いによって決まります。 感覚を司る領域が損傷されるとしびれが生じ、これらの領域が無事であれば、しびれは発生しないと考えられます。 脳梗塞”しびれ”の原因 人が感覚を感じる仕組み 皮膚のセンサー「触覚受容器」を通して感覚を感じ取る 感覚神経を通して脊髄を通り、脳の視床を通過 体性感覚野に到達 情報を受け取り感触を認識 皮膚や感覚神経が正しく働いていても、脳梗塞によって視床や感覚神経、体性感覚野に障害があると情報を正しく伝達できなくなります※。 ※参考:脳梗塞の後遺症“しびれ”の原因とは?生活への影響とその治療方法について医師が解説します。 神経や感覚野に異常があると、何も触っていなくてもしびれの症状が出るのです。 脳梗塞の際に視床・感覚神経・体性感覚野が損傷していなければ、しびれは発症しません。 運動障害 脳梗塞による麻痺で身体を動かさなくなると、動かさなくなった部分の筋肉が硬くなり血管も収縮してしまいます。 血管が収縮すると血液の流れが悪くなり、その状態が続くとしびれが生じるようになります。 感覚障害 脳梗塞によって感覚を司る脳神経が損傷すると、体の感覚に対する情報がうまく処理できなくなります。 それにより、触っている感覚がよくわからない、手足のしびれ、不快な刺激を感じるなどの症状が出るのです。 脳梗塞によるしびれと他の原因によるしびれの見分け方 下記の症状に当てはまる場合は、脳梗塞によるしびれの可能性があります。 片方だけ手足がしびれる 手に力が入らない ろれつが回らない 反応が遅くなる 視野が半分欠けている 脳梗塞によるしびれは、通常、体の片側(顔・腕・足)が同時にしびれることが特徴です。また、言語障害や片側の筋力低下、視野欠損などの症状を伴うことが多く、突然発症します。 一方、他の原因によるしびれは、特定の部位に限られることが多く、徐々に進行する場合や、一定の動作や姿勢で悪化する場合があります。 脳梗塞の後遺症「しびれ」による生活への影響とは 脳梗塞の後遺症でしびれを発症すると、以下のような生活への影響があります。 外出がおっくうになる 人とのコミュニケーションをしなくなる 介助のときに触られるとしびれる 細かい作業ができなくなる 活動量が低下すると気分もふさぎ込みがちになり、鬱にもなりやすくなってしまいます。 また、しびれによる不快感によって慢性的な睡眠不足になってしまうほか、顔面のしびれによる食欲不振、場合によってはリハビリに影響を及ぼすこともあります。 脳梗塞の後遺症によるしびれの治療法 脳梗塞の後遺症によるしびれの治療法は主に以下の5つです。 薬物療法 リハビリテーション 電気刺激による脳外科的療法 温熱療法 再生医療 5つの治療法について詳しく解説します。 薬物療法 薬物療法では以下の薬を処方されます。 鎮痛剤 抗うつ剤 漢方薬 薬物療法は、症状そのものを抑えることを目的としており、しびれの原因そのものを治す治療法ではありません。薬の効果で一時的に症状が和らぐ場合でも、根本的な改善にはつながらない点に注意が必要です。 リハビリテーション リハビリテーションではマッサージや関節可動域を広げる訓練を行います。 マッサージは筋肉をほぐし、血流を改善して痛みを軽減するのが目的です。また、関節の可動域を広げると、日常生活が楽になります。 電気刺激による脳外科的療法 電気刺激(しびれ同調TEN)は実際に起きているしびれと同じ強さ・周波数の電気刺激を流す治療方法です。 電気刺激を行った後も治療効果が続き、しびれ以外の感覚障害も治療できる特徴があります。後遺症によるしびれに対して効果が期待される新たな期待されています。 温熱療法 手足が冷たくなり血行が悪くなるとしびれが強くなるケースが多いため、ホットパックや温浴を用いた治療法があります。 しびれそのものに対する効果は人によって差があり、温熱療法の効果は一時的です。持続的な改善には他の治療法を併用する必要があります。 再生医療 再生医療は脳梗塞による後遺症の回復や再発予防に大きな可能性を持つ治療法です。 患者自身の細胞や組織を利用した治療法のため、拒否反応が起こる可能性が低く身体への負担が少ないのが利点です。 また、しびれ以外の後遺症の改善も期待できます。 まとめ・脳梗塞の後遺症”しびれ”の原因は?生活への影響とその治療法 しびれを発症すると食事や歩行などの日常生活にも影響を与えます。発症以前のような生活を送ることが困難になり、気分が落ち込むケースも見られます。 電気刺激と再生医療は効果が長く続くため、しびれを治療したい方はどちらを受けるか検討してください。再生医療によってしびれや麻痺による痛みの軽減が期待できます。 再生医療を検討している方は、当院にお問い合わせください。
2021.08.06 -
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- 再生治療
脳出血後には、後遺症によって全身や手足のしびれに悩まされるケースがあります。 身体のしびれは日常生活にも大きな影響を及ぼすため、どの程度回復するのか気になるのではないでしょうか。 本記事では、しびれの回復期間や原因、治療法についてご紹介します。 ぜひ、最後までご覧いただき、どの治療を受けるのか検討してください。 脳出血後のしびれ(麻痺)の回復期間には個人差がある 脳出血のしびれ(麻痺)の回復期間は、後遺症の種類や重症度、リハビリの量や質、全身の状態によって個人差があります。 発症後は早期にリハビリを開始することが大切です。 しびれの回復には脳の可塑性(かそせい)が関係している 脳出血後の「しびれ」の回復に大きく関わるのが脳の可塑性です。 脳の可塑性とは、脳の損傷した細胞の代わりを正常な脳細胞が代替し、失った神経の経路に代わる新たな経路を形成したりする性質のことです。 脳の可塑性を利用して神経細胞を適切に刺激すると、脳出血の後遺症からの回復が見込まれます。 回復の効果を促進するためにも、脳出血治療後からリハビリを行うことが重要です。 脳出血後の「しびれ」について 脳出血後のしびれは日常生活にも影響を及ぼします。 適切なリハビリによってしびれや麻痺の回復が期待できる場合もあります。 しびれ(麻痺)の原因 脳出血によって、感覚を司る「視床」や思考や記憶を司る「大脳皮質」が損傷すると、感覚の伝達に障害が発生してしびれや麻痺を発症します。 体のしびれや麻痺の症状が重い場合、日常生活がままならなくなり、鬱状態を引き起こすケースもある後遺症です。 適切な治療とリハビリを行うことで改善が期待できますが、回復までに時間を要する場合があります。 しびれの種類 脳出血後の「しびれ」には、損傷した箇所によって2つの種類にわけられます。 中枢系 脳や脊髄の損傷によって生じる 感覚の鈍さや持続的な痛み 末梢系 手足の末梢神経 ピリピリ、ビリビリした感覚 それぞれのしびれには、症状に応じた治療やリハビリが必要です。 脳出血後のしびれ(麻痺)に対する治療方法 リハビリ以外にも脳出血後のしびれを緩和する方法があります。 薬物療法 薬物療法で処方される薬は主に3つあります。 鎮痛剤 しびれだけでなく痛みもある時に使用 抗うつ剤 しびれにより落ち込みが大きく生活に支障がある場合に使用 漢方薬 しびれの部位に合わせて処方される場合あり 薬物療法は痛みなどを抑えることが目的で、しびれそのものを根本的に治療することはできません。 電気神経刺激 電気神経刺激(しびれ同調TENS)は、しびれと同じ周波数・強さの電気刺激を流してしびれや感覚障害を改善させる治療法です。 効果が持続し、ほかの感覚障害の改善も見られるため、新たな治療法として期待されています。 再生医療 再生医療は、患者さま自身の細胞や組織を利用して損傷した部位を治療します。 自身の組織を用いるため、拒絶反応や副作用のリスクが少なく安全性が高いと注目されている治療方法です。 今まで死んでしまった脳細胞は戻らないとされていました。 しかし、再生医療では体の細胞が持つ再生力を利用することで、脳細胞の再生が期待できます。 効果に個人差はありますが、しびれ(後遺症)の回復やリハビリ効果を高められます。 再生医療による脳出血後の後遺症治療は、ぜひ当院へご相談ください。 脳出血後のしびれ(麻痺)に対するリハビリテーション 脳出血後の生活期のしびれに対するリハビリでは、日常動作を支援します。 脳出血後のしびれに対するリハビリは早期に始めることが重要です。リハビリが遅れると回復までに時間がかかる可能性があります。 脳出血後のリハビリの目的はADLの向上 脳出血後のリハビリの目的は機能回復だけでなく、残された能力を最大限に活用し、生活の質を向上させる目的もあります。 ADL(日常生活動作)の改善により、回復するまでの生活の負担を軽減し、長期的な後遺症にも備えます。 脳出血のしびれ(麻痺)と回復に関するQ&A 脳出血の後遺症”しびれ”に関するよくある質問を紹介します。 しびれからの回復期間や、しびれを発症した方の回復率について回答しています。 脳出血によるしびれ(麻痺)からはいつまでに回復するの? 最も機能が回復しやすい時期は発症してから3~6カ月の回復期です。 脳の可塑性を活かしたリハビリを継続するとより良い回復が期待できます。ただし、個人の症状やリハビリの内容によって回復の程度や期間が異なります。 脳出血後によるしびれ(麻痺)からの回復率は? 2022年のデータによると、自宅に戻れた人は約26%、リハビリ目的の施設へ移行した人は約68%です。 脳出血後の回復率は、症状の重さやリハビリの開始時期によって異なります。 重度のしびれは長期的なケアが必要なケースもありますが、リハビリの開始が早いほど回復率が上がります。 脳出血後のしびれ(麻痺)や言語障害の緩和には早期のリハビリが鍵 脳出血後のしびれの回復期間や治療法について紹介しました。 しびれ(麻痺)の回復期間には個人差はありますが、発症後早期のリハビリが重要です。体調や症状を鑑みながら、無理のない範囲でリハビリを行いましょう。 脳出血後のしびれ(麻痺)を緩和させたい場合、リハビリと併用して再生医療を受けるのがおすすめです。 当院(リペアセルクリニック)で提供している再生医療は厚生労働省に受理された治療方法で、しびれを含む脳卒中の後遺症の改善や再発予防にも役立ちます。 再生医療を検討している方は、当院へお問い合わせください。
2021.08.06 -
- 脳卒中
くも膜下出血は後遺症が出ることが多く、本人はもとより、家族もつらい思いをすることが少なくありません。 家族(患者)の幸せを願い懸命に看病することはとても素晴らしいことです。そのため、「家族である自分たちができることは何か」と考えをめぐらせる方もいらっしゃるでしょう。 そこで本記事では、くも膜下出血になってしまった家族に対して、残された家族ができることについて紹介します。 お悩みの方はぜひ最後までご覧ください。 くも膜下出血になった家族に対してできること くも膜下出血を発症した家族のためにできることはいくつかあります。 家族にできることまとめ 再発した場合の早期発見 介護保険など支援サービスの申請 転倒防止のための工夫 食事や喫煙・飲酒などの管理 定期的な会話 再発防止や日常生活のサポートなど、具体的な行動について紹介していきます。 再発した場合の早期発見 くも膜下出血は、治療後も再発する可能性がある病です。そのため家族だからできる重要なことは、再発した場合の早期発見です。 くも膜下出血は早期発見が非常に大切です。そのためには本人だけでなく、周りの家族も変調にいち早く気づけるかがその後のカギを握ります。 早急に医療機関を受診すべきケース 顔や手足に麻痺がみられる 呂律が回っていない こちらが言っていることを理解できていない 日頃から再発を意識して、注意深く観察する習慣を身につけましょう。また、医療機関を受診した際に、調子の良し悪しを詳細に医師へ伝えることでその後の治療に役立ちます。 顔や手足に麻痺がみられる・呂律が回っていない・こちらが言っていることを理解できていないなどの症状が見られた場合は、早急に医療機関を受診しましょう。 介護保険など支援サービスの申請 くも膜下出血を発症した場合、働けない分の給料を保証してくれたり保険範囲内の医療費が一部払い戻されたりする制度などが使用できる場合があります。また、介護保険制度を活用すれば、必要な介護サービスを受けられます。 くも膜下出血を発症した方が利用できるサービスを下記にまとめました。 くも膜下出血を発症した方が利用できるサービス 高額療養費制度※ ※参照:全国健康保険協会「高額な医療費を支払ったとき(高額療養費)」 介護保険※ ※参照:厚生労働省「介護保険制度の概要」 傷病手当金※ ※参照:全国健康保険協会「病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)」 障害年金※ ※参照:日本年金機構「障害年金」 自立支援医療制度※ ※参照:厚生労働省「自立支援医療制度の概要」 くも膜下出血を発症した本人がひとりで申請するのは難しい場合は、家族が申請をサポートしましょう。 高額療養費制度 高額療養費制度とは、1日から月末までに支払った医療費が自己負担額を超えた場合、払い戻される制度です。 医療費は保険診療の範囲内なので、くも膜下出血による診療代や検査料が対象です。一方で、差額のベッド代や先進医療の費用、食事代は対象ではありません。 自動で払い戻しはされないので、申請が必要です。国民健康保険の場合は各市区町村の窓口に問い合わせてみてください。 介護保険 介護保険とは、介護が必要な方にサービスを提供する制度で、訪問介護や福祉用具の貸与、施設の入所などさまざまです。 くも膜下出血による後遺症で介護が必要な場合は40歳から利用できます。しかし、利用には介護保険の申請や介護度の認定が必要で、認定のないまま介護サービスを利用すると全額が自己負担となります。 介護保険の申請からサービスの開始まで時間がかかる場合があるため、早めの申請がおすすめです。 傷病手当金 病床手当金とは、くも膜下出血による入院や治療で働けない場合、月給のおよそ2/3程度の金額を保証してくれる制度です。支給には4つの条件がありすべてに当てはまっている方が対象です。 傷病手当を受けられる条件を下記にまとめました。 傷病手当を受けられる条件 業務外の病気やケガで治療を受けている 病気やケガが原因で働けない 4日以上仕事を休んでいる 休んでいる期間、給与の支払いがない 該当している方は、加入している保険組合や協会けんぽから申請書を取り寄せておきましょう。 障害年金 障害年金は、くも膜下出血による後遺症によって労働や日常の生活が制限される場合に国から支給されます。受給に障碍者手帳の有無は問いませんが、書類による審査が必要です。 障害年金は2種類あり、くも膜下出血の発症で初めて診療を受けたときに加入していた年金によって請求できる障害年金が異なります。 障害年金の種類 障害基礎年金・・・国民年金に加入していた場合 障害厚生年金・・・厚生年金に加入していた場合 申請の際は、近くの年金事務所に問い合わせてみましょう。 自立支援医療制度 くも膜下出血による後遺症で怒りっぽくなったり、ぼんやりしてしまったりする高次脳機能障害にお悩みの方は自立支援医療制度を活用してみましょう。 自立支援医療制度とは、高次機能障害を治療するための医療費が1割の負担まで軽減される制度です。通院の際の診療や薬代、往診、訪問看護などが対象です。 申請の際は、市区町村の障害福祉課に問い合わせてみましょう。 転倒防止のための工夫 くも膜下出血に関して家族ができることに転倒防止の工夫が挙げられます。くも膜下出血は麻痺などの後遺症が残り、転びやすくなるケースが多いため、なんらかの工夫を講じる必要があります。 主な転倒防止策 小さな段差をなくす 転倒しそうな場所に手すりを設置する マットを敷かない 明るさを保つ 玄関や部屋、廊下の境目に段差がある場合は、段差をなくす・手すりを設置するなど、歩くための障害を極力なくしましょう。 また、床や浴槽、マットが置いてある場所など、滑りやすくなっていないか確認することも大切です。また、床や廊下での物の置きっぱなしに気をつけましょう。 くわえて、足元が見にくい場所にライトを設置する工夫も有効です。 食事や喫煙・飲酒などの管理 くも膜下出血の危険因子(原因)を取り除くことも家族にできることのひとつです。くも膜下出血は脳動脈瘤の破裂が主な原因ですが、その危険因子となるのが高血圧や喫煙、飲酒などです。 喫煙や飲酒は自制するのが難しいため、家族のサポートを必要とします。また、高血圧の対策として脂肪や塩分を控えた食事の提供も大切です。 定期的な会話 くも膜下出血後の家族間の定期的な会話は身体的な回復だけでなく、精神的な健康を維持する上で重要です。 患者は不安や孤独感を抱きやすい状態にあるため、家族との対話が心の支えになります。日々の出来事や患者の気持ちについて、ゆっくりと話し合う時間を設けましょう。 認知機能の維持や改善にも会話は効果的です。また、会話を通じて患者の状態の変化にいち早く気づくことができます。 【ご家族向け】寝たきりのくも膜下出血患者に関する知識 寝たきりになったくも膜下出血患者の家族として、適切なケアを提供するためには、病状や回復過程に関する正しい知識が不可欠です。 寝たきりのくも膜下出血患者に関する知識 くも膜下出血の回復過程 くも膜下出血の平均入院期間 くも膜下出血になった方の平均余命 ここではくも膜下出血の回復過程や入院期間、予後について解説します。 くも膜下出血の回復過程 くも膜下出血からの回復期間は個人差が大きく、一様ではありませんが全治までに6カ月以上かかるとされています。 一般的には、急性期・回復期・生活期と3つの段階を経ていきます。 段階 発症からの期間 過程 急性期 発症後約2週間 生命の危機管理が最優先され集中的に治療 回復期 2週間〜3カ月 集中的なリハビリテーション 生活期 3カ月以降 定期的な通院によるリハビリテーション 上記の過程で、患者はさまざまな症状(頭痛・めまい・認知機能の低下など)を経験する可能性があります。家族は、医療チームと密に連携し、患者の状態に応じたケアの提供が重要です。 くも膜下出血の平均入院期間 くも膜下出血の平均入院期間は、患者の状態や治療方法によって大きく異なります。 一般的には、軽症例で1〜2カ月、中等症から重症例では3〜6カ月程度の入院が必要となることが多いです。 症状レベル 入院期間(目安) 軽症 1〜2カ月 中等症〜重症 3〜6カ月 ただし、これはあくまで平均的な目安であり、個々の患者の回復状況によって大きく変動します。 また、入院中は定期的な面会や病室の環境整備(写真や好みの物の配置など)を通じた家族間の寄り添いが大切です。患者の回復意欲を高めることにもつながります。 くも膜下出血になった方の平均余命 くも膜下出血になった方の平均余命は、年齢・合併症・治療内容などにより個人差が大きいため確実なことは一概に言えないものの、生存率に関しては以下のようになります。 くも膜下出血は特徴として発症直後は死亡のリスクが非常に高い傾向にあるだけでなく、再出血や血管攣縮といった合併症のリスクが伴うため、5年後の生存率は約55%となっています。 しかし、適切な治療と発症後のケアによって予後を改善できる可能性もあります。 とくに急性期治療はもちろんのこと、その後のリハビリテーションや生活習慣の改善は、再発予防や後遺症の軽減につながるでしょう。 くも膜下出血後の余命や生存率について不安を感じる方は多いと思いますが、医師としっかりと相談したうえで、状況に合った治療計画やケアプランを立てることが大切です。 くも膜下出血の後遺症を改善するためにできる再生医療 くも膜下出血の発症後、後遺症なく元通りの生活ができる人は約33.5%※(内訳 全く症候がない:19.8% / 症候あるが明らかな障害はない:13.7%)です。 ※出典:日本脳卒中データバンク報告書2023 後遺症を少しでも改善したいとお考えの方は、再生医療を検討してみましょう。 当院では再生医療を取り扱っていて、後遺症が改善する効果が期待できます。神経や血管などに変化できる性質のある幹細胞を自身の体から採取し、点滴にて体に送り込む治療方法です。 くも膜下出血の治療は早ければ早いほど良い結果が出る傾向にありますが、時間が経っている方についても効果が期待できますので、興味のある方はお気軽にお問い合わせください。 くも膜下出血患者に対して大切なのは家族の思いやり くも膜下出血になってしまった患者に対して家族にできることは、まずは思いやり、そして行動観察・生活環境の改善・飲食の管理などたくさんあります。 思いやり 行動観察 生活環境の改善 飲食の管理 精神面での支えになる 大切な家族をしっかりとサポートし、精神面でも支えになれるようにしましょう。 また、脳をはじめとするさまざまな治療で注目を集めている再生医療は、くも膜下出血の再発予防に効果的です。 家族の後遺症に悩んでいたり、再発を恐れている場合は、再生医療による治療も検討してみましょう。
2021.08.06 -
- 脳梗塞
「ラクナ梗塞にはどのような後遺症がある?」 「ラクナ梗塞の後遺症は治る?」 ラクナ梗塞を発症してしまった方や後遺症にお悩みの方の中には、上記のような疑問やお悩みがある方もいるでしょう。 本記事では、ラクナ梗塞の後遺症やリハビリについて詳しく解説します。 ラクナ梗塞の後遺症を根本的に治療するための「再生医療」についても解説しているので、ぜひ参考にしてください。 ラクナ梗塞とは? 「ラクナ梗塞」とは、脳の血管が詰まる脳梗塞の病型の一つで脳の深部を流れている細い血管が詰まってしまう病気です。 脳は太い血管から細い血管へと枝分かれしており、深部を流れている穿通枝(せんつうし)と呼ばれる細い血管があります。 穿通枝が詰まると脳の深部に血液が流れなくなり、脳細胞が壊死して「ラクナ梗塞」を発症します。 細い血管が詰まるため、脳細胞が壊死する範囲も15mm以内と小さいことが特徴です。 しかし、脳細胞が壊死する範囲が小さいことで症状が出ない「無症候性脳梗塞」となっている可能性があります。 症状が進行、放置してしまうと他の場所に脳梗塞を発症したり脳出血につながるリスクが高くなるため、定期的に検査を受けることが重要です。 ラクナ梗塞の主な後遺症 ラクナ梗塞を含む脳梗塞は、脳細胞がダメージを負うことで以下のような後遺症が残ることがあります。 それぞれの後遺症について、詳しく解説していきます。 運動麻痺 ラクナ梗塞の代表的な後遺症として、全身または手足が思い通りに動かせなくなる「運動麻痺」があります。 脳の血管が詰まることで神経細胞に血液が行き渡らなくなり、以下の症状がみられます。 ラクナ梗塞発症から14日程度までの急性期では、脱力したような状態になる「弛緩性麻痺(しかんせいまひ)」の症状がみられます。 急性期を過ぎて6ヶ月目までの期間を指す回復期には、徐々に手足が動かせるようになりますが「指の細かい動きができない」など思い通り動かせないことが多いです。 また、体を動かそうとすると手足がこわばって硬くなってしまう「痙性麻痺(けいせいまひ)」の症状もみられます。 体を自由に動かせるようにするには、最も機能回復が見込まれる回復期でのリハビリが重要です。 感覚障害 ラクナ梗塞によって、しびれや感覚異常が生じる「感覚障害」の後遺症が残る場合があります。 手足の感覚を脳に伝える感覚神経の経路にダメージを負うことで、以下のような症状がみられます。 感覚障害の後遺症が残ってしまった場合、全身または身体の一部分に「しびれ」を感じることが多いです。 また、触れたり動かしている感覚が薄くなることや、逆に感覚が過敏になることもあります。 感覚の低下や感覚過敏によって運動が阻害されるため、日常生活に影響が出てしまう後遺症です。 構音障害 ラクナ梗塞の後遺症には、言葉をはっきり発音する能力が失われる「構音障害」があります。 構音障害では、以下のような症状がみられます。 構音障害では、言葉の内容や意味が理解できても「呂律が回らない」など、言葉をはっきり発音するのが困難になります。 「唇」「舌「喉」周辺の麻痺や協調運動ができないことで、言葉を発音できなくなることが多いです。 構音障害と似ている後遺症として「失語症」があります。 失語症は「言葉を理解できない」「頭の中で単語や文章を組み立てられない」などの言葉を理解する能力が失われる高次脳機能障害の一つです。 高次脳機能障害 ラクナ梗塞によって、脳細胞がダメージを負うと「高次脳機能障害」の後遺症が残る場合があります。 高次脳機能障害とは認知障害全般のことを指し、以下のような症状がみられます。 高次脳機能障害には、新しい出来事を覚えられない「記憶障害」や言葉を理解できない「失語症」など、さまざまな認知機能の低下がみられます。 また、集中力の低下や感情のコントロールやできなくなるなど、日常生活に影響を及ぼす障害が多いです。 嚥下障害 ラクナ梗塞の後遺症には、飲み込みに関する機能が低下してしまう「嚥下(えんげ)障害」があります。 嚥下障害の後遺症が残ると、以下のようなリスクが考えられます。 嚥下障害によって、誤嚥性(ごえんせい)肺炎につながるリスクがあります。 誤嚥性肺炎とは、誤嚥によって食べ物や唾液が気道に入り、口の中の細菌が肺に侵入して発症する肺炎のことです。 また、食事や水分が上手く取れずに栄養状態の低下や脱水症状になることで、リハビリの阻害にもつながってしまいます。 ラクナ梗塞の原因 ラクナ梗塞の主な原因は、動脈の壁が厚くなったり硬くなったりすることで血流が悪くなる「動脈硬化」です。 動脈硬化によって、血流スペースが少なくなることで血液が途絶えてしまいます。 また、以下のような疾患は動脈硬化の危険因子となるため、間接的にラクナ梗塞の原因となります。 上記のような生活習慣病がラクナ梗塞につながることもあるため、生活習慣の改善が重要です。 ラクナ梗塞の後遺症を改善するリハビリ方法 ラクナ梗塞の後遺症を改善するために行うリハビリを紹介します。 それぞれ後遺症の症状に合わせたリハビリ方法について、詳しく解説していきます。 運動機能に関するリハビリ 運動機能に関するリハビリでは「機能障害の程度」「筋力・関節の動かせる範囲」に応じて、以下のリハビリを行います。 主に日常生活に戻るための「自立・歩行訓練」「日常動作訓練」のリハビリを重点的に行います。 言語機能に関するリハビリ 言語機能に関するリハビリでは、言語聴覚士による機能の評価を元に以下のリハビリを行います。 構音障害により正しい発音ができない場合、上記のリハビリを重点的に行いコミュニケーションを取る練習をします。 高次脳機能障害に関するリハビリ 高次脳機能障害に関するリハビリでは、患者さまの障害や程度に応じて以下のリハビリを行います。 「記憶障害」や「遂行機能障害」などのさまざまな認知障害に対して、危険なく日常生活動作を行えるように訓練します。 ラクナ梗塞の再発を防ぐためのポイント ラクナ梗塞の再発を予防するためのポイントを3つ紹介します。 それぞれのポイントについて、詳しく解説していきます。 三大危険因子を予防する ラクナ梗塞の再発を予ぐためにも、以下の三大危険因子を予防しましょう。 いずれも聞いたことがある生活習慣病ですが、ラクナ梗塞の再発を防ぐために治療すべき病気といえます。 ラクナ梗塞の発症・再発原因となる「動脈硬化」につながる可能性があるためです。 細い血管が詰まることで起こるラクナ梗塞は、動脈硬化によって血流が途絶えやすくなる影響を受けやすいです。 動脈硬化の原因となる生活習慣病を予防することで、間接的にラクナ梗塞の再発予防につながります。 生活習慣を改善する 生活習慣の改善もラクナ梗塞の再発を防ぐために重要なポイントです。 以下の要点を押さえて、生活習慣を改善しましょう。 生活習慣病は、さまざまな病気の原因となることが多いです。 身体を守るためにも健康的な生活を目指して生活習慣を改善しましょう。 再生医療による治療 ラクナ梗塞の後遺症や再発を防ぐために、再生医療による幹細胞治療を検討しましょう。 再生医療では、幹細胞のさまざまな細胞へ変化する性質を利用し、損傷した機能を再生することを目的とした治療を行います。 患者さまの細胞を用いるため、アレルギーや拒絶反応などの副作用の心配が少ないのが特徴です。 また、手術や入院が不要な治療方法なので日常生活へ復帰しやすい点も再生医療の強みといえます。 「ラクナ梗塞の後遺症にお悩みの方」「ラクナ梗塞の再発を防ぎたい方」は、ぜひ当院へご相談ください。 【まとめ】ラクナ梗塞の後遺症はさまざま|再生医療による治療を検討しよう 本記事では、ラクナ梗塞の後遺症について解説しました。 ラクナ梗塞の発症後は、以下のようにさまざまな後遺症が残る可能性があります。 症状や程度は個人差がありますが、日常生活に影響する後遺症がほとんどです。 ラクナ梗塞の再発を予防するためにはリハビリだけでなく、生活習慣の改善も意識して行う必要があります。 「後遺症によってリハビリが上手くいかない」「後遺症を治したい」という方は、再生医療による治療を検討してください。 再生医療は、幹細胞のさまざまな細胞へ変化する性質を利用し、損傷した機能を再生することを目的としています。 損傷した脳細胞を再生することで「リハビリの効果を促進」や「後遺症の改善」が期待できます。 再生医療による治療を検討する方は、ぜひ当院へご相談ください。
2020.07.29