免疫療法とは?どこよりもわかりやすく解説!治療の仕組みやデメリットについて
公開日: 2020.06.30更新日: 2025.08.04
がん治療の選択肢は、医学の進歩とともに大きく広がっています。
その中でも「免疫療法」は、私たち自身の免疫力を活用する新しいアプローチとして、「第4の治療法」とも呼ばれ注目を集めています。
本記事では、免疫療法の基本的な仕組みから、メリット・デメリット、具体的な治療法の種類や費用について解説します。
- 免疫療法の仕組みと効果
- 主な免疫療法の種類とそれぞれの特徴
- 治療のメリットと知っておくべき注意点
免疫療法について理解を深め、治療を考える上での不安を解消したい方は、ぜひ参考にしてください。
目次
免疫療法についてわかりやすく解説!
ここでは、免疫療法について以下の観点からわかりやすく解説します。
私たちの体には、外から入ってきた細菌やウイルス、そして体の中で異常な細胞が発生した際に、「異物」と認識して攻撃し、排除しようとする「免疫」というシステムが備わっています。
免疫システムを活用した免疫療法について確認していきましょう。
免疫療法の仕組み
免疫療法は、人間に備わっている免疫機能を活用した治療法のことです。
がん細胞によって弱められたり、ブレーキをかけられたりしている免疫細胞の力を回復させ、再びがん細胞を攻撃できるようにする治療法です。
- 患者さま自身の免疫細胞を増殖・活性化させて体内に戻すことで免疫力を高める
- がん細胞によって免疫が抗原を攻撃する力にブレーキがかけられるのを防ぐ
人間の持つ免疫システムは、体に侵入した細菌やウイルスを異物と認識し、攻撃・排除する働きをしています。
しかし、がん細胞は非常に巧妙で、免疫のブレーキ機能をうまく利用して免疫細胞からの攻撃をかわす場合があります。
免疫療法は、このようながん細胞の妨害を排除し、免疫細胞が再びがん細胞を攻撃できるように手助けする治療法です。
主な免疫療法の種類
免疫療法には「免疫力を高める方法」「免疫力の攻撃力を保つ方法」の2種類があります。
アプローチ |
主な治療法 |
概要 |
免疫力を高める方法 | NK細胞免疫療法 | 患者さま自身のNK細胞を体外で活性化・増殖させ、点滴で体内に戻す |
免疫力を高める方法 | エフェクターT細胞療法 | 患者さま自身のT細胞に遺伝子操作でがん認識力を付与し、増殖させて体内に戻す |
免疫力の攻撃力を保つ方法 | 免疫チェックポイント阻害薬 | がん細胞による免疫へのブレーキを薬剤で解除し、免疫細胞の攻撃力を回復させる |
「免疫力を高める方法」は、患者さまご自身の免疫細胞(NK細胞やT細胞など)を一度体外に取り出し、その能力を強化したり数を増やしたりしてから体内に戻すもので「免疫細胞療法」とも呼ばれます。
一方、「免疫力の攻撃力を保つ方法」は、がん細胞が免疫細胞の攻撃から逃れるために利用する「ブレーキ」の仕組みを薬剤によって解除し、免疫細胞が本来の力を発揮できるようにする治療法です。
免疫療法のデメリット2つをわかりやすく解説
免疫療法は効果が期待できる一方で、以下の2つのデメリットが考えられます。
それぞれのデメリットについて、以下で詳しく見ていきましょう。
保険適用外で治療費が高い
免疫療法の中には、まだ治療効果や安全性が科学的に十分に証明されておらず、国が定める標準治療として認められていないものも多くあります。
そのため、免疫治療の多くは公的医療保険の対象外(自由診療)となり、治療にかかる費用は全額患者さまの自己負担です。
例えば、NK細胞療法などの一部の免疫療法は、1回の治療で数十万円、治療計画によっては総額で数百万円に達することもあります。
当院リペアセルクリニックで提供している免疫細胞療法の料金は以下の通りです。
回数 | 料金(税込) |
1回 | 385,000円 |
3回 | 1,155,000円 |
5回 | 2,310,000円 |
ただし、自由診療であっても、治療目的の医療費であれば確定申告の際に医療費控除の対象となり、税金の一部が還付される場合があります。
自己免疫疾患の患者さまは受けられないケースもある
自己免疫疾患をお持ちの患者さまは、免疫療法によって症状が悪化する可能性があるため、治療を受けられない場合があります。
自己免疫疾患とは、本来体を守るはずの免疫システムが、誤って自分自身の正常な細胞や組織を攻撃してしまう病気です。
そのため、免疫療法の治療前には、自己免疫疾患の既往歴や治療中の薬(免疫抑制剤など)について必ず医師に正確に伝えることが重要です。
ご自身の状態を正確に伝え、医師と十分に相談したうえで、適切な治療法を選択しましょう。
免疫療法のメリット3つをわかりやすく解説
免疫療法は、がん治療における新たな選択肢として注目されており主に3つのメリットが期待されています。
がん治療にはさまざまな方法がありますが、免疫療法は患者さまご自身の力を活用する点が特徴です。
これにより、従来の治療法が抱える課題を克服できる可能性があります。
副作用リスクが少ない
免疫療法は、ご自身の免疫細胞の力を利用してがん細胞を攻撃する力を高める治療のため、副作用リスクが少ないメリットがあります。
- 自身の免疫力を活用するため副作用が少ない
- 生活の質(QOL)を維持しやすい
ただし、副作用が全くないわけではありません。
免疫が過剰に反応することで、皮膚のトラブルや倦怠感などの症状が現れる可能性があり、どのような副作用がいつ出るかの予測が難しい場合もあります。
高齢者や体力の低下した患者さまにも治療できる
免疫療法は、体に元々備わっている免疫機能を活用するため、正常な細胞へのダメージが少なく、身体への負担が比較的小さい治療法です。
- 正常な細胞へのダメージが少ない
- 通院治療が可能で入院不要な場合も
- 幅広い患者さまに検討できる選択肢
手術や抗がん剤治療・放射線治療といった標準治療は、効果が期待できる一方で、患者さまの体力的な負担が大きい場合があります。
免疫療法は、そのような患者さまに対しても、比較的身体への負担を抑えながら治療を行える可能性があります。
多くの場合、採血と点滴のみで治療を進めることができ、入院の必要がなく日常生活を送りながら通院での治療が可能です。
がんの標準治療と併用できる
免疫療法は、手術療法・化学療法(抗がん剤治療)、放射線治療といったがんの標準治療と組み合わせて行うことが可能です。
- 各治療の長所を活かし相乗効果が期待できる
- 再発や転移の抑制も期待できる
- さまざまながんに適応可能
免疫療法を従来のがん治療と組み合わせることで、それぞれの治療法の良い点を活かし、より高い治療効果を目指すことができます。
例えば、手術で目に見えるがん細胞を取り除いたあとに免疫療法を行うことで、体内に微量に残っている可能性のあるがん細胞を攻撃し、再発や転移のリスクを低減する効果が期待されます。
当院の免疫療法について
当院リペアセルクリニックでは、患者さまご自身の免疫細胞を活用する「高活性NK細胞免疫療法」をご提供しています。
血液中に存在するNK細胞(ナチュラルキラー細胞)という、がん細胞やウイルス感染細胞を発見し攻撃する能力を持つ免疫細胞を用いた治療法です。
- 患者さまの血液からNK細胞を採取
- 専門の培養施設で数を大幅に増やし、さらに活性化させる
- パワーアップしたNK細胞を点滴で体内に戻す
- 免疫力の向上を目指す
「高活性NK細胞免疫療法」により、がんの再発予防や、他の感染症などにもかかりにくい体づくりが期待できます。
ご自身の細胞を用いるため副作用が少なく、身体的負担も比較的小さいのが特徴で、日帰りでの治療が可能です。
まれに点滴後に一時的な微熱や注射部位の痛みが出ることがありますが、数日で自然に軽快します。
当院の高活性NK細胞免疫療法の費用は、以下の通りです。
回数 | 料金(税込) |
1回 | 385,000円 |
3回 | 1,155,000円 |
5回 | 2,310,000円 |
免疫細胞療法による治療を検討している方は、ぜひお気軽にご相談ください。
免疫療法とは免疫機能を活用した治療法のこと!向き不向きの見極めが重要
免疫療法には、免疫力を高める方法と免疫力の攻撃力を保つ方法の2つがあります。
主に以下のようなメリットがあります。
一方、保険適用外で治療費が高額になる場合や、自己免疫疾患をお持ちの方は受けられないケースがあるなどのデメリットも存在します。
免疫療法は、全ての方に同じような効果が期待できるわけではありません。
ご自身の状態・がんの種類や進行度、そして治療法の特性をよく理解し、医師と十分に相談したうえで、適切な治療法を選択しましょう。

監修者
岩井 俊賢
Toshinobu Iwai
医師