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免疫療法が効く人と効かない人がいるのはなぜ?向いている人の特徴について解説

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公開日: 2020.04.12 更新日: 2025.11.28

免疫療法とは、私たちの体が持つ免疫システムを活性化させ、がん細胞を攻撃する治療法です。

手術や抗がん剤、放射線治療に次ぐ「第4の治療法」として注目されています。

これから免疫療法を検討している方や、すでに治療中で効果が見られないと感じている方は、「本当に自分に効果があるのか」と不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、免疫療法が効く人と効かない人の違いや、どのような人に向いているのかを詳しく解説します。

免疫療法を受けるかどうか迷っている方は、ぜひ最後まで読んでご自身に適した治療法を見つけましょう。

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免疫療法が効く人と効かない人がいるのはなぜ?

免疫療法はすべての方に同じ効果が出るわけではありません。

効果に個人差が生じる理由は、がんの性質と体の免疫状態の違いにあります。

免疫療法が効きやすい人の特徴としては、免疫を強く活性化できる人、がんの種類が免疫療法に合う人(非小細胞肺がんやメラノーマなど)、特定の遺伝子変異を持つ人が挙げられます。

一方、効きにくい人の特徴としては、がん細胞が免疫を抑制する物質を出している人、がんが進行して転移がある人、他の疾患や服用中の薬剤の影響で免疫療法が行えない人などがあります。

このように、がんの種類や特性、患者さまの免疫状態によって治療効果が大きく異なるため、治療前に検査を行い、自分に合った治療法かどうかを医師と相談することが大切です。

免疫療法が効きやすい人の特徴とは

免疫療法の効果をより引き出すためには、いくつかの条件が揃っていることが重要です。

ここでは、免疫療法が効きやすい人の特徴として以下の3つを解説します。

これらの特徴を理解し、ご自身が該当するかどうかを医師に確認することで、治療の見通しを立てやすくなります。

ホットチューマーを持つ人

ホットチューマーとは、免疫細胞が多く集まり活性化している状態の腫瘍のことです。

このタイプのがんは免疫細胞が入り込みやすいため、免疫療法の効果が出やすいとされています。

ホットチューマーの特徴を示すことが多いがん種は、以下のとおりです。

  • メラノーマ(悪性黒色腫)
  • 非小細胞肺がん
  • 腎細胞がん
  • 膀胱がん
  • MSI-H(高頻度マイクロサテライト不安定性)大腸がん

反対に、免疫細胞がほとんど存在しない「コールドチューマー」と呼ばれるタイプは、免疫療法の効果が出にくい傾向があります。

特定のバイオマーカーを持つ人

バイオマーカーとは、治療効果を予測するための指標となる検査値や物質のことです。

免疫療法では、特定のバイオマーカーの数値が高い方が効果を得やすいことが分かっています。

免疫療法の効果を予測する代表的なバイオマーカーは、以下の表を参照してください。

バイオマーカー 内容
PD-L1 ・がん細胞表面のタンパク質
・免疫細胞の働きが抑制される
TMB(腫瘍変異量) ・がん細胞が持っている遺伝子変異の量
MSI(マイクロサテライト不安定性) ・DNAの修復機能の異常があるがん細胞
腸内フローラ ・善玉菌のバランス

免疫機能が良好な人

免疫細胞が治療の中心となる免疫療法は、白血球やリンパ球が良好であることが大切です。

以下のような条件が整えば、免疫機能が良好といえます。

  • パフォーマンスステータスが0〜1
  • アルブミンやプレアルブミンが正常範囲で栄養状態が良好
  • 炎症マーカーが安定している
  • 重度の自己免疫疾患がない

免疫療法が向いている人

免疫療法は多くのがんに対応できる治療法ですが、とくに向いている方の特徴があります。

ここでは、免疫療法を検討すべき方の特徴を3つ解説します。

ご自身の状況に当てはまるかどうかを確認し、治療法の選択に役立ててください。

免疫療法が効きやすい特徴を持っている

免疫療法が効きやすい特徴を持っている方は、免疫療法を積極的に検討する価値があります。

具体的には、ホットチューマーを持つ方、免疫療法の効果を予測するバイオマーカーの数値が高い方、免疫機能が良好な方が当てはまります。

これらの特徴は治療前の検査で確認できます。

がんの種類や体の状態を医師に詳しく調べてもらい、免疫療法の適応があるかどうかを判断しましょう。

効きやすい特徴を持っている場合は、他の治療法と比較しても高い効果が期待できる可能性があります。

がんの転移や再発を予防したい

全身を対象する治療法のため、転移や再発の原因となる全身の微小ながん細胞に対しても効果が期待できる可能性があります。

また、免疫療法が適しているがんの進行状況にも関係しています。

免疫療法は即時に結果が出る治療方法ではなく、効果が出るまでに数週間から数カ月が必要です。

そのため、急速に進行していないがんや、他の治療と組み合わせて使用する場合に適していることがあります。

治療に時間的な余裕がある

免疫療法は、効果が出るまでに数週間から数カ月かかることがあります。

そのため、治療に時間的な余裕がある方に向いている治療法です。

抗がん剤治療や放射線治療のような即効性はありませんが、効果が出始めると長期間持続することが免疫療法の大きな特徴です。

初期のがんや、進行がゆるやかながんの場合は、時間をかけて免疫の力を高めながら治療を進められます。

また、免疫療法は体への負担が比較的少ないため、日常生活を続けながら通院で治療を受けられます。

入院の必要がなく、生活の質を維持しながら治療したい方にも適しています。

免疫療法が向いていない人

免疫療法は多くの方に適用できる治療法ですが、状況によっては適さない場合もあります。

ここでは、免疫療法が向いていない方の特徴を3つ解説します。

これらに該当する場合でも治療が完全に不可能というわけではありませんので、必ず医師に相談して判断を仰いでください。

がんが進行している

がんが大きく進行し、複数の臓器に転移している場合は、免疫療法の効果が十分に得られない可能性があります。

進行したがんでは、がん細胞が免疫システムを抑制する物質を大量に放出していることが多く、免疫細胞の攻撃力が低下してしまうためです。

また、免疫療法は効果が出るまでに時間がかかるため、急速に進行しているがんには即効性のある治療法が優先されることがあります。

ただし、がんの種類や状態によっては進行がんでも効果が得られるケースもありますので、医師と相談して治療法を選択しましょう。

免疫抑制剤を使用している

臓器移植後やリウマチなどの治療で免疫抑制剤を使用している方は、免疫療法が向いていない場合があります。

免疫抑制剤は体の免疫反応を抑える薬であるため、免疫療法の効果も抑えられてしまうためです。

免疫療法は患者さま自身の免疫細胞を活性化させて治療を行うため、免疫機能が薬で抑制されている状態では十分な効果が期待できません。

現在服用している薬がある場合は、必ず医師に伝えて、免疫療法が適しているかどうかを確認してください。

自己免疫疾患がある

関節リウマチや全身性エリテマトーデス、1型糖尿病などの自己免疫疾患を持っている方は、免疫療法に注意が必要です。

自己免疫疾患は、免疫システムが自分自身の組織を攻撃してしまう病気です。

免疫療法によって免疫機能が活性化されると、自己免疫疾患の症状が悪化する可能性があります。

とくに免疫チェックポイント阻害薬は、免疫のブレーキを外す働きがあるため、自己免疫反応を強めてしまうリスクがあります。

自己免疫疾患をお持ちの方は、治療前に必ず医師にその旨を伝え、リスクと効果を十分に検討してから治療を決定しましょう。

免疫療法が効く人と効かない人についてよくある質問

免疫療法に関して、よくある質問にお答えします。

免疫療法の完治率は?

免疫療法の完治率は、がんの種類や進行度、患者さまの状態によって大きく異なるため、一概には言えません

免疫療法は完治を目指す治療というよりも、がんの縮小や進行の抑制を目標とした治療法です。

ただし、免疫療法の大きな特徴は「効果が出た場合に長期間持続すること」です。

これは「テールプラトー」や「ロングテール効果」と呼ばれ、免疫チェックポイント阻害薬の臨床試験で確認されています。

効果が得られた患者さまの中には、長期にわたり病態が安定し、完治に近い状態を維持できる方が一定の割合でいます。

ただし、すべての方に効果があるわけではないため、治療前に検査を受けて効果が期待できるかどうかを確認することが大切です。

免疫療法のデメリットは?

免疫療法には以下のようなデメリットがあります。

  • 効果が出るまでに時間がかかる(数週間〜数カ月)
  • すべての人に効果があるわけではない
  • 免疫関連の副作用が起こる可能性がある
  • 自由診療の場合は費用が高額になることがある

副作用については、従来の抗がん剤治療のような吐き気や脱毛は少ないとされていますが、免疫が活性化しすぎることで自分自身の臓器を攻撃してしまう「免疫関連副作用」が起こることがあります。

具体的には、皮膚のかゆみや発疹、下痢、肺炎、甲状腺機能の異常などが報告されています。

また、副作用がいつ起こるか予測が難しいという特徴もあります。

治療中だけでなく、治療終了後数週間から数カ月後に症状が出ることもあるため、体調の変化を感じたらすぐに医師に相談することが大切です。

免疫療法は病状や目的に合わせて治療法を選択しよう

免疫療法は入院が不要で、日常生活を続けながら治療を進められることが大きな魅力です。

体への負担も比較的少なく、高齢の方や体力が低下している方でも受けやすい治療法として注目されています。

しかし、免疫療法が効く人・向いている人がいる一方で、効かない人・向いていない人もいます。

以下の特徴を参考に、免疫療法を受けるかどうか検討してみましょう。

免疫療法が効きやすい人 免疫療法が向いている人
ホットチューマーを持つ人 免疫療法が効きやすい特徴を持っている
特定のバイオマーカーを持つ人 がんの転移や再発を予防したい
免疫機能が良好な人 治療に時間的な余裕がある

免疫療法を受けるかどうかを決める際には、必ず医師と相談し、ご自身のがんの種類や体の状態を詳しく検査してから判断することが大切です。

治療法にはさまざまな選択肢がありますので、納得した上で治療を始めましょう。

当院「リペアセルクリニック」では、がん予防を目的として免疫細胞療法を行っています。

興味がある方は、ぜひお気軽にご相談ください。

監修者

岩井 俊賢

Toshinobu Iwai

医師

略歴

2017年3月京都府立医科大学 医学部医学科卒業

2017年4月社会医療法人仁愛会 浦添総合病院 初期研修医

2019年4月京都府立医科大学附属病院 整形外科

2020年4月医療法人啓信会 京都きづ川病院 整形外科

2021年4月一般社団法人愛生会 山科病院 整形外科

2024年4月医療法人美喜有会 リペアセルクリニック大阪院 院長