脂肪肝と言われたらどうすればいい?生活習慣を改善する方法も紹介
公開日: 2020.01.22更新日: 2025.04.30
健康診断で脂肪肝と診断され、不安や戸惑いを感じている方は多いのではないでしょうか。
しかし、脂肪肝と言われた場合でも、食事や運動といった生活習慣の見直しによって改善が期待できます。
この記事では、脂肪肝と言われた際の対処法や脂肪肝のリスクなどについて解説します。
肝臓の病気は症状が現れにくく、気付いたときには病気が悪化している場合があります。
肝硬変や肝臓がんに進行する可能性があるので、検診で脂肪肝と言われたら早めに医療機関を受診しましょう。
目次
【結論】脂肪肝と言われたら、まずは食事と運動習慣を見直すことが大切
脂肪肝は食生活やアルコール、運動不足などの生活習慣が原因で肝臓に中性脂肪がたまっている状態です。
健康診断で脂肪肝と指摘された場合は、消化器内科や内科を受診し、以下の生活習慣を見直して改善を目指すことが大切です。
また。脂肪肝の改善には、半年から1年程度の生活習慣改善が必要とされています。
改善が見られた後も、再発を防ぐために継続的な取り組みが大事になるので、焦らず長い目で取り組みましょう。
食生活の見直し|食べ過ぎ・栄養バランスに注意
脂肪肝と言われたら、日々の食事内容や食べる量を見直すことが大切です。
中性脂肪が肝臓にたまるのを防ぐために、以下のような食品を意識的に取り入れましょう。
- ミネラルやビタミン:野菜、きのこ、海藻など
- 良質なタンパク質:魚介類、肉類、豆類など
お菓子やジュース、ベーコン・ソーセージなどの加工食品は、脂質・糖分や飽和脂肪酸が多く、脂肪肝の悪化を招くリスクがあります。
主食・主菜・副菜を意識してバランスよく食べましょう。
また、食べる量の見直しも大切で食事量は年齢や性別だけでなく、日常の活動量(身体活動レベル)によっても異なります。
レベル | 特徴 |
---|---|
高い | 立ち仕事・移動が多い/週に運動習慣がある人 |
ふつう | 座り仕事中心/軽い運動や散歩などをする人 |
低い | 一日の大半を座って過ごす人(運動習慣がほぼない) |
この活動量に応じた1日のエネルギー摂取量の目安は、以下の通りです。
性別 | 活動量が少ない | 活動量がふつう以上 |
---|---|---|
女性 | 約1,400〜2,000 kcal | 約2,000〜2,400 kcal |
男性 | 約2,200±200 kcal | 約2,400〜3,000 kcal |
1日の活動量に合わせた食材をどれくらい食べればよいかは、以下の画像を参考にすると適切な目安が分かるので参考にしてください。
※農林水産省「食事バランスガイド早分かり」
上記はあくまで一般的な目安ですが、過剰なエネルギー摂取は肝臓への脂肪蓄積につながるため、年齢や体格、日常の運動量に合わせた調整が大切です。
バランスの良い食事を心がけながら、自分に合った適正な摂取量を意識して食生活を整えていきましょう。
飲酒習慣の見直し|アルコールは適量に
脂肪肝と言われたら、飲酒の習慣も見直しも重要です。
アルコールは肝臓で分解されるため、飲みすぎると肝臓に大きな負担がかかり、脂肪の蓄積や肝機能の低下を招くおそれがあります。
厚生労働省では、1日あたりの純アルコール摂取量20g※を「節度ある適度な飲酒」と定めています。
※厚生労働省「アルコール」
純アルコール摂取量20gに相当する主な酒類の目安量は以下の通りです。
- 日本酒:1合(180ml)
- ワイン:グラス2杯弱(200ml)
- ウィスキー:ダブル1杯(60ml)
- 25度の焼酎:グラス1/2杯(100ml)
- ビール中ビン:1本(500ml)
- 7%のチューハイ:1本(350ml)
適切なアルコールの量は、肝臓の状態によって個人差があるので、自己判断せず医師に相談のうえ調整しましょう。
また、空腹時の飲酒は避けたり、週1回以上の休肝日を設けたりするのも効果的です。
運動習慣の見直し|無理なく続けられる運動を
日常的に運動を取り入れることで、脂肪肝の改善が期待できます。
運動は、肝臓に蓄積された中性脂肪を燃焼させる効果が期待されており、継続することで肝脂肪の減少が見込まれます。
アルコールを飲まず、運動不足や肥満などが原因の脂肪肝の場合、以下のように運動療法で体重が減らなくても肝脂肪が改善した※ケースもあります。
※日本消化器病学会・日本肝臓学会「NAFLD/NASH診療ガイドライン2020(改訂第2版)」
- 運動の種類:有酸素運動
- 運動の時間:1回あたり30~60分
- 頻度:週3~4回
- 継続期間:4~12週間
また以下のような運動は肝臓への負担が少なく、無理なく続けやすいためおすすめです。
- ウォーキング
- ジョギング
- サイクリング
- 水泳
1日30分程度から、できる範囲で運動を習慣化しましょう。
脂肪肝は肝臓に脂肪がたまりすぎた状態!放っておくと深刻な疾患へ進行するリスクも
脂肪肝は、肝臓に脂肪がたまった状態で、放置すると肝硬変や肝臓がんなどの深刻な疾患へ進行する可能性があります。
肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれるように、症状が現れるまでは時間がかかる傾向にあるので、気づいたときには病状が進行しているケースも。
脂肪肝の段階であれば、食事や運動の見直しといった生活習慣の改善によって、回復が見込める可能性があります。
しかし、肝硬変や肝臓がんは従来の治療では元に戻らないとされています。
そのため、肝臓の回復が期待できる脂肪肝のうちに適切な治療を受けるのが重要です。
【まとめ】脂肪肝は生活習慣の見直しで改善が期待できる!根本的な治療なら再生医療という選択肢も
脂肪肝は、生活習慣の見直しで改善が期待できます。
医療機関で適切な治療を受けながら、改善に向けて、以下のポイントを日常生活に取り入れていきましょう。
食事 | 工食品や高脂肪食を控え、野菜や良質なたんぱく質を意識して摂る |
---|---|
アルコール | 1日の摂取量を控えめにし、可能であれば休肝日を設ける |
運動 | 1日30分程度のウォーキングなど、継続できる有酸素運動を習慣にする |
脂肪肝の治療に特効薬はなく、食事や運動などの取り組みを長期的に行う必要があります。
また、治療法の1つとして、再生医療も選択肢の一つです。
再生医療とは患者さま自身の幹細胞を用い、脂肪肝によって損傷した肝臓の修復や再生を目指す治療法です。
生活習慣の改善だけでは効果が見られない方や、より根本的な治療を希望される方は、当院へお気軽にご相談ください。

監修者
渡久地 政尚
Masanao Toguchi
医師
略歴
1991年3月琉球大学 医学部 卒業
1991年4月医師免許取得
1992年沖縄協同病院 研修医
2000年癌研究会附属病院 消化器外科 勤務
2008年沖縄協同病院 内科 勤務
2012年老健施設 かりゆしの里 勤務
2013年6月医療法人美喜有会 ふたこクリニック 院長
2014年9月医療法人美喜有会 こまがわホームクリニック 院長
2017年8月医療法人美喜有会 訪問診療部 医局長
2023年12月リペアセルクリニック札幌院 院長