脂肪肝を早く治すには?今すぐ始めたい改善方法を解説
公開日: 2020.01.11更新日: 2025.04.30
「脂肪肝は治る?」「脂肪肝を早く治したい」と思っている方はいませんか。
脂肪肝は、肝臓に脂肪が過剰に蓄積した状態であり、進行すると肝機能が低下する可能性があります。
脂肪肝の状態によって改善に要する期間は異なりますが、生活習慣を見直すことで、脂肪肝の改善が期待できます。
本記事では、脂肪肝の早期改善を目指すための方法について、詳しく解説します。
脂肪肝が重症化する前に、生活習慣を見直したり、医療機関を受診したりしましょう。
目次
脂肪肝を放置しないで!早期治療が重要な理由
脂肪肝には、大きく分けてアルコールの飲み過ぎが原因の「アルコール性脂肪肝(ALD)」と、肥満・糖尿病・脂質異常症などの代謝異常が原因となる「代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)」の2つがあります。
代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)※はさらに、以下の2つの病型に分類されます。
※2023年6月にNAFLD/NASHからMASLD/MASHに名称変更
単純性脂肪肝(NAFL) | 肝臓に脂肪が蓄積しているが、炎症や組織の損傷がない比較的軽度の状態 |
脂肪性肝炎(MASH) | 脂肪蓄積に加えて、肝臓の炎症や線維化が起きている進行性の病態 |
こうした脂肪肝をそのままにしておくと、以下のような重大な病気に進行する恐れがあるため、早期から治療を受けることが重要です。
- 脂肪肝炎
- 肝硬変
- 肝がん
- 心疾患(狭心症・心筋梗塞など)
- 肝機能の低下
肝臓は人間の体のなかで最大の臓器ですが、機能低下や病期の進行に気づくことが難しいため、「沈黙の臓器」と呼ばれます。
重篤な状態になってからでは治療が難しくなることもあるので症状がないからといって安心せず、定期的な健康診断や脂肪肝を指摘された段階で医療機関を受診しましょう。
脂肪肝が肝硬変に移行する理由については、以下の記事で詳しく解説していますので合わせてご覧ください。
脂肪肝の改善が期待できる!見直したい生活習慣のポイントを紹介
脂肪肝の改善を目指すには、以下のポイントに注意して生活習慣を見直すことが大切です。
無理なく継続できるよう生活習慣を工夫し、改善目標を設定しましょう。
食事改善|糖質と脂質の摂取量を見直す
脂肪肝の改善を目指すには、以下の糖質と脂質の摂取量を見直す食事改善の実践が大切です。
糖質の見直し |
・白米、パン、砂糖入り飲料、スイーツなどの精製糖質を控える ・野菜や玄米、全粒粉など食物繊維を含む糖質に置き換える |
脂質の見直し |
・飽和脂肪酸(脂身の多い肉・バター・加工肉など)を控える ・不飽和脂肪酸(青魚・ナッツ・オリーブオイルなど)を積極的に摂る |
エネルギーの総量を調整 | 年齢・性別・活動量に応じた適切な摂取カロリーを意識する |
糖質と脂質を過剰に摂取すると費しきれなかったエネルギーが中性脂肪に変わり、肝臓に蓄積されやすくなります。
余剰エネルギーが長期にわたって肝臓に蓄積すると、肝臓の炎症や線維化を引き起こし、肝機能が低下するリスクが高まります。
食事改善は、制限するよりも無理なく続けられることが大切です。
自身で調整が難しい場合は、医師や管理栄養士など専門家のサポートを受けるのも有効な方法です。
運動習慣|有酸素運動や筋力トレーニングを継続的に行う
継続的に有酸素運動や筋力トレーニングを行うと、脂肪肝を改善できる可能性があります。
近年の研究では、運動療法単独でもNAFLD患者の肝機能や肝脂肪の蓄積が改善することが明らかになっており、一定の効果が得られると報告されています。
※出典:日本肝臓学会
脂肪肝の改善が期待できるおすすめの運動は、以下のとおりです。
- ウォーキング
- スイミング
- ジョギング
- サイクリング
- スクワット
- 腕立て伏せ
- ダンベル運動
- 自重トレーニング など
週3〜4回、1回30〜60分の有酸素運動を4〜12週間継続することで、体重変化がなくても肝脂肪化が改善するという研究結果※もあります。
※参照:日本肝臓学会
また、筋力トレーニングは筋肉量を増やすことで基礎代謝を高め、脂肪を燃焼しやすい体づくりに役立ちます。
心肺機能への負担が軽いため、有酸素運動の実施が難しい方でも行いやすい運動です。
無理のない範囲で身体を動かし、運動習慣を身につけましょう。
適正体重|体重の3~10%を減らすことが推奨される
脂肪肝を改善するには、適正体重を意識して生活することが大切です。
適正体重は以下の計算式で求められ、肥満症の方は現体重の3%以上・高度肥満症の方は10%を減らすことが推奨※されています。
※参照:日本肥満学会「肥満症診療ガイドライン2022」
- BMI=体重(kg)÷身長(m)2
判定 | BMI値 |
---|---|
痩せ気味 | 19以下 |
正常 | 20~24 |
太りすぎ | 26.5以上 |
自分のBMIをチェックして、体重が適正範囲に収まっているか確認してみましょう。
もし基準を超えている場合は、食事や運動習慣の見直しから始めるのが効果的です。
禁酒・節酒|お酒の飲み過ぎに注意
脂肪肝を改善するには、禁酒や節酒を心がけ、お酒の飲みすぎに注意することが大切です。
アルコールを過剰に摂取すると、肝臓にある酵素がアルコール分解を優先し、脂肪の分解が抑制されます。
お酒を飲む際は、以下の表を参考にし、純アルコールを約20g/日※に抑えましょう。
※参照:厚生労働省「アルコール」
お酒の種類 | 純アルコール量 |
---|---|
ビール(中瓶1本500ml) |
20g |
清酒(1合180ml) |
22g |
ウイスキー・ブランデー(ダブル60ml) |
20g |
焼酎(35度)(1合180ml) |
50g |
ワイン(1杯120ml) |
12g |
アルコールが原因で起こるアルコール性脂肪肝は、健診を受けてたまたま発見される場合が大半です。
健診や受診の際に脂肪肝を指摘された際は、早めに治療を開始しましょう。
睡眠の質を改善|不眠症や睡眠時無呼吸症候群は脂肪肝のリスクに
不眠症や睡眠時無呼吸症候群の方は、睡眠の質を改善すると、脂肪肝の悪化リスクを低減できる可能性があります。
睡眠障害は、肝臓の脂肪量やグルコース産生量を増加させる因子であることが示唆されています。
また、脂肪肝になり気道周囲に脂肪が蓄積すると気道が狭くなり、睡眠時無呼吸症候群のリスクを高めるため注意が必要です。
脂肪肝には再生医療という選択肢も
脂肪肝の改善は生活習慣の見直しが基本となりますが、それだけでは効果が得られない場合や進行した病態がみられる場合は、再生医療による治療も1つの選択肢です。
再生医療とは、患者様自身の細胞を利用して、損傷した組織の修復・再生を促す治療法です。
- 慢性的な症状にも効果が期待できる
- 入院や手術が不要
- 患者様自身の細胞を用いるため副作用やアレルギーのリスクが低い
脂肪肝を治療せずに放置していると、肝硬変や肝臓がんなどに進行する可能性があります。
脂肪肝が悪化しほかの肝疾患を発症した際は、肝臓の組織が線維化し硬くなるため、生活習慣の改善だけでは回復が望めないケースもあり進行度に応じた治療の選択が重要です。
生活習慣を見直しても、脂肪肝の改善がみられない場合は、再生医療による治療も検討しましょう。
肝臓疾患のお悩みに対する新しい治療法があります。
【まとめ】脂肪肝は早期の改善が大切!自己判断せず医師に相談を
脂肪肝は、乱れた食生活や運動不足などの生活習慣が主な原因で、放置すると以下のような症状に進行するリスクもあります。
- 脂肪肝炎
- 肝硬変
- 肝がん
- 心疾患(狭心症・心筋梗塞など)
- 肝機能の低下
一般的な治療方法は、食事療法や運動療法などの生活習慣改善が基本となります。
初期の段階では、こうした取り組みで改善が期待できることが多いため、できるだけ早い対応が大切です。
ただし、生活習慣を見直しても脂肪肝の改善がみられない場合は、再生医療を含めた多角的な治療アプローチについて医師と相談することをおすすめします。
脂肪肝の治療法にお悩みの方は、ぜひ一度当院(リペアセルクリニック)へご相談ください。

監修者
渡久地 政尚
Masanao Toguchi
医師
略歴
1991年3月琉球大学 医学部 卒業
1991年4月医師免許取得
1992年沖縄協同病院 研修医
2000年癌研究会附属病院 消化器外科 勤務
2008年沖縄協同病院 内科 勤務
2012年老健施設 かりゆしの里 勤務
2013年6月医療法人美喜有会 ふたこクリニック 院長
2014年9月医療法人美喜有会 こまがわホームクリニック 院長
2017年8月医療法人美喜有会 訪問診療部 医局長
2023年12月リペアセルクリニック札幌院 院長