変形性股関節症にヨガは逆効果!正しい運動療法を解説
公開日: 2019.05.08更新日: 2025.07.31
ヨガは体にいい運動として一般的に知られていますが、変形性股関節症を患っている方は注意が必要です。
ヨガは股関節に大きな負担がかかるポーズが多く、床に座る時間が長いため股関節に痛みがある方にはおすすめできません。
変形性股関節症を改善するためには、症状に合わせた運動療法が必要です。
しかし「どんな運動がいいの?」「やり方が間違っていたら怖い」という方も多いのではないでしょうか?
そこで本記事では、変形性股関節症の症状や正しい運動療法について解説します。
- ヨガが変形性股関節症に適していない理由
- 変形性股関節症の原因
- 変形性股関節症を改善する運動療法
運動療法で改善を図り、日常生活で注意すべきことを意識して、痛みと上手に付き合っていきましょう。
また変形性股関節症の根本的な改善を目指す方に向けて、再生医療の治療法についても紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
目次
変形性股関節症にヨガが適さない理由
結論から述べると、変形性股関節症の方や脚の付け根に痛みを感じる場合、ヨガは基本的にNGです。
床に座る姿勢が続くことで、股関節に負担がかかります。股関節の痛みがあるのに我慢してヨガを行うと、症状が悪化する可能性が高いです。
変形性股関節症やその症状が疑われる方は、専門家の指導を受けてからヨガを行いましょう。
変形性股関節症とは
股関節は太ももの骨である大腿骨が骨盤にはまり込むようにできています。
この股関節が変形してくると、以下のような状態が見られるようになります。
- 関節の隙間が狭くなり、軟骨が硬くなる
- 骨の縁に「骨棘(こつきょく)」というトゲ状の骨組織ができる
- 「骨嚢胞(こつのうほう)」という骨の空洞が形成される
このような構造の変化により、股関節の可動域が徐々に狭まり、以下のような動作が難しくなっていくことも。
- 股関節を深く曲げる
- 足を大きく外側に開く
- 正座やあぐらなど床座りの姿勢
最初の頃は立ち上がりや歩き出しの際に足の付け根に痛みが見られます。
症状が進行してくると痛みも強くなり、場合によっては夜寝ていても痛みを感じるようになる人もいます。
対して、骨の変形により狭くなった可動域をヨガなどで無理に動かすことは、痛みをさらに増強させることになりかねません。
症状が軽いうちにケアを始めることが、将来的な手術回避や生活の質の維持につながります。
「痛みが出てきたかも」と感じたら、早めの受診・相談をおすすめします。
変形性股関節症にはヨガ以外の運動療法が効果的
変形性股関節症とヨガの相性は良くありませんが、股関節や下肢をまったく動かさないことも問題です。
そのため、変形性股関節症の患者さんに対して治療の一環として「運動療法」が取り入れられることが多いです。
運動療法の目的は、股関節のリラックスによる股関節軟骨の健康維持と股関節の可動域の確保です。
運動療法を適切な方法で継続すると、股関節を正しく動かせるため、筋力の維持にもつながります。
変形性股関節症の正しい運動療法
変形性股関節症は原則として担当医から指導された内容を実施することが重要ですが、股関節に過度な負担がかからない運動や継続が容易である運動が効果的です。
股関節や下肢に負荷のかかる運動は、かえって変形性股関節症の症状を悪化させる可能性があります。
運動療法は根治的な治療とはなりませんが、症状の改善に役立つため継続が大切です。
しかし、患者さんによっては継続が難しい場合もあるため、軽めかつ簡単に実施できる以下の運動をおすすめします。
- ストレッチ
- ももあげ
- かかとあげ
他にも「水中運動」は負荷が少ないため、変形性股関節症の運動療法として適しています。
日常動作における改善方法
変形性股関節症は股関節の軟骨がすり減ることにより、痛みや運動の制限を引き起こします。
日常生活のさまざまなシーンで動きや姿勢に注意を払うと、痛みを軽減できたり、生活しやすくなったりします。
以下の方法を実践してください。
正しい姿勢を保つ | 立つときや座るときに背筋を伸ばして肩を後ろに引く |
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座るときに工夫する | 背もたれがある椅子にする、足は組まない |
歩くときに工夫する | ゆっくりと大きな歩幅で歩き、足を引きずらない |
階段を使用する | 1段ずつ足を上げる、手すりを使用する |
荷物の持ち方を工夫する | 重い荷物は肩に掛ける、両手で持つ |
動作に気をつける | 重いものを持ち上げる・しゃがむときは腰を丸めずに足に力を入れる |
睡眠時の姿勢を意識する | 背骨が自然なカーブを保つようにする、ゆっくりと寝返りをする |
運転するときに配慮する | 運転席の位置を調整して膝を曲げやすくする |
変形性股関節症は再生医療も選択肢の一つ
変形性股関節症は、軟骨がすり減ることで痛みや歩行障害を引き起こす疾患でこれまでの治療は、以下のような方法が一般的でした。
- リハビリや鎮痛剤などの保存療法
- 人工関節置換術などの手術療法
しかし、「手術は避けたい」「もっと身体に優しい方法で治したい」という方は、以下の再生医療も選択肢の一つとして検討しましょう。
- 手術なし・入院不要
- 軟骨の再生を促し、根本的な改善が期待できる
- 身体への負担が少なく、高齢の方や持病がある方にも対応可能
再生医療は、自分の脂肪から採取した幹細胞を活用し、傷ついた軟骨の再生を促す最新の治療法です。
まだ症状が軽い段階の方から手術を勧められた方まで、幅広く適応可能です。
「股関節の痛みをなんとかしたい」「でも人工関節は不安」という方は、当院(リペアセルクリニック)にご相談ください。
治療法や症例は、当院の公式LINEでも詳しくご紹介していますので、ぜひ参考にして治療して本当に良かったと実感できる毎日を取り戻しましょう。
変形性股関節症はヨガでなく適切な運動療法で改善しよう
変形性股関節症における運動療法は効果的です。
一方、体に良いイメージがあるヨガは、股関節への負荷が大きいことから変形性股関節症の治療法として適していません。
逆に症状を悪化させる恐れがあるため注意が必要です。
運動療法を取り入れる場合は、担当の医師から指導された内容を遵守して、継続的に行いましょう。
調子が良いからと運動量を自分の判断で増やしても良くならないため、無理は禁物です。
一度の運動量を増やすのではなく、決められた運動を毎日継続してください。
また、近年では変形性股関節症の再生医療が注目を集めています。リスクを抑えつつ治療効果が期待できる治療方法です。
興味のある方はお気軽にお問い合わせください。
股関節の痛みは⼿術しなくても治療できる時代です。

監修者
岩井 俊賢
Toshinobu Iwai
医師