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登山をすると膝が痛い!痛みの原因やケアについて

公開日: 2020.07.01
更新日: 2024.11.19

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膝が痛くなる原因とは

登山中の膝の痛みの原因としては、筋力不足や柔軟性の不足、靭帯の損傷や関節軟骨のすり減り、骨の異常、道具のミスマッチなどいくつかの要因が挙げられます。特に筋力不足や道具がミスマッチしている場合、長時間・長距離に渡って歩くことで膝へ過度な負担がかかってしまうことも珍しくありません。

また、性別や年齢、普段の運動量など個人によってもさまざまなので、詳しい原因を知るためには早めの医療機関への受診が推奨されます。

登山では下りでの怪我が多い

登山は上るときよりも、下るときのほうが、ケガのリスクが高いといわれています。山を登る際には、大腿四頭筋と呼ばれる太ももの前の筋肉を収縮させて使いますが、下山の際にはこの筋肉を引き伸ばして使います。

長時間にかけて連続で使用されることが少ないため、より負担を感じてしまうのです。大腿四頭筋が疲労して硬くなることで膝の柔軟性が低下し、痛みが出てしまいます。

そして、膝への負担が膝関節の筋力を超えてしまうことで、十分に関節を支えられず炎症を起こしてしまうのです。

痛みのケアについて

登山のときに膝が痛いという場合は、その多くが膝の外側の痛みを感じます。反対に、膝の内側に痛みを感じる場合は、関節に異常がある場合が多く、登山前から痛みがあるでしょう。

登山中に、膝に痛みが出てしまった場合には、以下のようなセルフケアがおすすめです。まずは安静にして、それ以上の炎症を防ぎます。

マッサージ

ゆっくりと安静を取った後、太ももの表や裏をゆっくりとマッサージして、筋肉の疲労を取ります。

アイシング

炎症が起きてしまっている場合は、ビニール袋に水と氷を入れるなどして、患部を冷やしましょう。

圧迫

さらに患部の内出血や腫れを防ぐためにスポンジやパッドを患部に当て、テーピングや包帯で軽く圧迫しながら固定します。膝の少し上あたりを圧迫することで、靭帯への負担を減らす効果が期待できます。

登山で膝を痛めない歩き方

具体的に、登山で膝を痛めない歩き方を具体的にご紹介します。

  • 背筋を伸ばし、おなかを引き締めて歩く
  • 顎を引き、前を向いて歩く
  • 歩幅は大きすぎないようにする。着地したときに膝が軽く曲がって衝撃を吸収できるような歩幅が理想的
  • 腕は足の動きに合わせて軽く振り、首はまっすぐに保ってゆらさないようにする
  • 着地はかかとだけで行わず、足裏全体で地面をとらえるようにする

平地と登山では歩き方が違う

平地ではかかとから着地し、体の重心の軸を歩幅の中間に持ってくるように歩きます。しかし登山では、靴全体で足を下ろして地面をとらえるように歩くのが特徴です。重心は踏み出した前足へゆっくりと移し、それを繰り返します。

足全体で着地することで足関節も大きく使うため、衝撃が膝関節にダイレクトに伝わらず分散されるので、膝を痛めにくくなります。このとき、膝の関節の向きにも注意するようにしましょう。

膝が内側や外側にずれた内股やガニ股の状態で歩くと、関節がねじれた状態で歩き続けることになります。この関節のねじれが痛みへと繋がってしまうので、登山で膝を痛めないように歩くためには、膝関節がまっすぐ正面を向いた状態で歩くことが大切です。

両足のつま先がそろって正面を向き、膝を曲げるときにまっすぐと正面に動かし、膝とつま先が同じ方向を向くようにして歩いてください。歩くときの癖には、体の硬さが原因の場合があります。

股関節や足首の関節が硬かったり、長年の偏った体の動かし方が癖になっていると、正しい歩き方へ矯正するのに時間がかかります。日頃からストレッチや柔軟体操をしたり、歩行時以外の姿勢にも気を付けて過ごすようにしましょう。

登山で膝を痛めないために・予防

登山靴の選び方について

登山靴を選ぶときには、まず、基本の日常生活における正しい靴の選び方をしましょう。

【正しい靴の選び方(基本)】

①靴の中敷きが取り外せる

②靴のつま先部分で足指が自由に動かせる空間がある

③かかと部分が硬くてしっかりと支えられる

④靴の全方部が柔らかく、足指の付け根が楽に曲げられる

⑤紐やマジックテープでしっかりと固定ができる

この条件を満たしている靴を履くと、日常生活でも疲れにくい歩行を続けることが可能です。

【登山靴の選び方】

登山靴は、正しい靴の選び方(基本)の①から⑤を満たしていることにプラスして、以下の⑥から⑧を満たしたものがおすすめです。 

⑥かかと部分に硬さのある

⑦ソール(靴底)に十分な剛性がある

⑧防水性がある

このような条件を満たす登山靴であれば、膝への負担もかかりにくく、快適な登山を楽しめるでしょう。また、上記の条件の他にも、登山靴は登山する山の標高によっても靴を使い分けることが重要になります。

自分で登山靴を選ぶのが難しいという場合は、靴屋さんに選んでもらうと安心です。

サポーターを活用する

一口にサポーターと言っても、さまざまなものが販売されています。目的や使用時間によっても使い分けが必要なので、サポーターの特徴を知っておくことが大切です。

  • ベルト型サポーター
  • タイツ型サポーター
  • 支柱つきの膝サポーター

ベルト型サポーター

装着も簡単で自分で調整できるベルト型です。膝関節に合わせて自分でしっかりと固定することで、筋肉や骨をしめつけ、痛みの改善をはかることができます。

登山時においては、負担のかかりがちな屈伸の動きをサポートして膝への負担を軽減させる効果が期待できます。

しかし、締め付けがきつすぎるとうっ血したり、固まって動きにくくなってしまう場合もあるので、きちんとサイズを合わせて買うようにしましょう。

タイツ型サポーター

生地が薄く、日常的に使用していても違和感がないタイプです。履くだけで良いので着脱も楽で、膝への保温効果による痛みの軽減作用も期待することができます。

簡単な分ずれやすいため、テーピング機能のあるものが良いでしょう。

支柱つきの膝サポーター

サポーターの中に金属の支柱が入っており、膝関節を金属で固定するので、サポート力に優れています。

支柱付きの膝サポーターは、さらにタイツ型のように履いて装着するもの、巻いて装着するもの、その二つをあわせたハイブリッドタイプがあります。

トレーニング

脚部の筋力不足が原因である膝の痛みは、適切なトレーニングで改善を期待できます。行うトレーニングは、「筋力の向上」と「筋持久力の向上」の大きく2種類です。

筋力向上は登山中の登り下りに必要な力を、筋持久力は長時間の登山でもバテないスタミナを養います。そのため、この2つを意識したトレーニングを行うことが重要です。ここでは、代表的なトレーニングを2つご紹介します。

脚力アップにはスクワット

一つ目のトレーニングは「スクワット」です。脚を肩幅程度に開き、ゆっくりと膝を曲げ伸ばしします。膝の角度が90度ほど曲がる程度で十分です(お尻を地面につける必要はありません)。動作に慣れてきたら、バックパックを背負って行うと負荷が高まり、さらなる筋力アップ効果が期待できます。

スクワット10回を1セットとし、セット数を増やしたり、荷物の重さを調整したりするなどして、自分に合ったトレーニングを続けましょう。はじめは負荷を重視して筋力を高め、慣れてきたら回数を増やして筋持久力を強化を意識してみてください。

バランスと足裏感覚を強化にはかかと上げ

二つ目のトレーニングは、「かかと上げ」です。バランスを取りながら爪先立ちを繰り返す動作で、低めの台を使うとより効果になります。登山道は平坦な場所ばかりではないため、足裏の筋力とバランス感覚が重要です。爪先立ちを繰り返すことで足裏の筋力が鍛えられ、不安定な地形でも安定した歩行が可能になります。これにより、脚部への負担を軽減することが可能です。

日常生活の中では、あまり足裏に力を入れることがありませんが、「かかと上げ」は、電車の中や待ち時間など、ながらでも手軽にできるトレーニングです。スクワットと同様に、バックパックを背負ってみたり、片足だけで挑戦したりするなど、トレーニング中の負荷を調整してみましょう。

3.その他のトレーニング

荷物を背負って階段を上り下りするのも有効です。慣れてきたら、一段飛ばしで負荷をかける、荷物を増やす、往復回数を増やすなどのアレンジを加えましょう。

膝の痛みの主な原因は「日常的な運動不足」であることが多いです。山で膝の痛みに悩まされて登山が楽しめないのは誰しも避けたいものであり、最悪の場合は下山できなくなるリスクもあります。

日頃から脚力や体力をしっかり維持し、把握しておくことが大切です。トレーニングは地味ですが、登山においては非常に役立ちます。膝の痛みがなくなり、脚力が強化されれば、登れる山も見える景色も変わってくるので、日常生活の中でコツコツ行っておくようにしてください。

治らない痛みへの治療

膝痛が治らない場合の原因として、関節やその周辺組織の損傷が考えられます。一度損傷したり、変形が進んでしまったりすると、自然治癒はほぼ不可能です。手術を行うことで、膝痛が劇的に改善し、再度登山をしている人もいるため、登山をしたいと希望するのであれば、手術を検討するのも1つの方法です。

主な手術方法としては、骨切術のように骨の変形に合わせて人為的に骨を削って整える方法が挙げられます。

再生医療という選択肢も

最近注目を集めている治療法に、再生医療といった選択肢が挙げられます。

この再生医療では、自身の細胞で軟骨損傷を修復することで症状の進行を遅らせ、膝痛の改善を促します。外科的手術と比べて身体への負担も少ないため、高齢の方でも受けることが可能です。また、副作用が少なく高い効果が期待できる治療法として話題になっています。

「膝痛が治らない、でも、また登山を楽しみたい!」と思っているのであれば、検討してみる価値のある治療法です。

まとめ

登山での膝の痛みの原因の多くは、日常的な運動不足になります。登山中の膝の痛みに悩まされないためにも、日常生活の中でも行えるトレーニングを取り入れ、脚部筋力の向上や筋持久力の向上をはかりましょう。万が一、膝痛を抱えてしまった場合は、早期に医療機関を受診し、適切な治療を受けるのがおすすめです。

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