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変形性股関節症の画像診断まとめ!検査の種類と特徴も徹底解説

公開日: 2020.06.04
更新日: 2025.04.30

「歩くたびに股関節が痛む」「階段の上り下りがつらい」といった、違和感や痛みを感じながらも、原因がわからず不安に思っている方も多いのではないでしょうか。

これらの症状は変形性股関節症によるものかもしれません。

そしてこの病気を適切に診断し、治療方針を決めるうえで欠かせないのが、画像検査による客観的な評価です。

本記事では、変形性股関節症の診断に欠かせない画像検査の種類とその特徴について詳しく解説いたします。

変形性股関節症は進行性の疾患のため、早期に状態を把握することで、将来的な選択肢も大きく変わります。

「この痛み、放っておいても大丈夫かな?」と感じたら、まずは検査による正確な評価を受けることをおすすめします。

変形性股関節症の主な画像診断まとめ|検査の種類別に紹介

変形性股関節症で用いられる主な画像診断について、検査の種類別に紹介します。

変形性股関節症の診断では、病期や症状の進行度を正確に把握するために様々な画像診断が用いられます。

単純X線検査(レントゲン検査)

変形性股関節症の診断で最も基本となるのが単純X線検査(レントゲン検査)です。

単純X線検査では、軟骨のすり減りや股関節周囲の骨化の状態を確認可能で、以下のような所見を観察できます。

  • 関節裂隙の狭小化:軟骨がすり減り、骨と骨の間隔が狭くなる
  • 骨棘形成:関節縁に沿って異常な骨の突起が形成される
  • 骨嚢胞:骨の内部に形成される空洞状の変化がみられることがある
  • 骨硬化:関節面の骨が硬くなり、白く映し出される

これらの所見から病期を判断し、治療方針の決定に活用します。変形性股関節症の診断において最初に選択される検査方法です。

CT検査

CT検査は、X線を使用して股関節構造を立体的に捉える画像検査です。

単純X線検査では分かりにくい細かな骨の変化や、全体的な構造を詳しく観察できます。

CT検査の特徴は、以下の通りです。

  • 立体的な画像:様々な角度から股関節を観察可能
  • 骨の微細な変化:小さな骨折や変形を詳細に確認
  • 関節周囲の状態:周辺組織の状態も評価

CT検査では微量の放射線被曝を伴うため、医師の判断により必要な場合に限って実施されます。

手術の検討が必要な症例や、より精密な評価が求められる際に参考となる検査方法です。

MRI検査

MRI検査は、磁気と電波を用いて体内の状態を画像化する検査方法です。

MRI検査では、変形性股関節症における以下のような状態を評価することが可能です。

  • 軟骨の詳細評価:すり減りの程度や範囲を正確に把握
  • 骨髄浮腫の有無確認:骨内部の炎症反応を検出し、痛みの原因を特定
  • 軟部組織の観察:関節唇や靭帯の状態を評価
  • 初期変化の検出:レントゲンでは見えない早期変化を発見

放射線を使用しないため、被曝の心配がなく軟骨や周囲組織の状態を詳しく知りたい場合に有用です。

またMRI検査は軟骨や軟部組織の詳細な評価が求められる場合や、病気の進行度をより詳しく把握したいときに適しています。

変形性股関節症の診断に画像検査が重要な理由

変形性股関節症の診断と治療方針の決定には、以下の情報を客観的に把握できる画像検査が重要です。

  • 軟骨のすり減りの程度
  • 骨の変形や骨棘(こつきょく)の形成
  • 関節周囲の靭帯や関節唇など軟部組織の状態(MRIなどによる)
  • 骨内部の炎症反応(骨髄浮腫など)

変形性股関節症は、股関節の軟骨がすり減り、痛みや機能障害を引き起こす疾患です。

しかし股関節は体の深部に位置しており、外見からの視診や触診だけでは関節内部の状態を正確に評価することは困難です。

また、変形性股関節症は進行性の疾患であり、病期の正確な判定には画像による客観的情報が必要です。

画像検査によって、初期段階の変化を捉えられる可能性があるため、保存療法など手術以外の選択肢を検討できることもあります。

さらに、治療後の効果判定や経過観察においても、画像検査は欠かせません。

変形性股関節症の画像診断の結果を踏まえた治療方法

画像診断で明らかになった変形性股関節症の病期や症状の程度に基づいて、最適な治療方法が選択されます。

治療法は大きく分けて次の3つがあります。

それぞれの特徴を解説します。

保存療法

保存療法は、変形性股関節症の軽度から中等度の症状に対して行われる手術を伴わない治療法です。

具体的には、以下の治療が保存療法に含まれます。

  • 痛みを和らげる薬物療法(消炎鎮痛剤など)
  • 物理療法(温熱療法や電気療法)
  • 体重管理
  • 運動療法(筋力強化運動や関節可動域訓練)など

これらの治療により症状の進行を遅らせ、痛みを軽減する効果が期待できます。

手術療法

手術療法は、保存療法で十分な改善が見られない場合や、画像診断で高度な関節の変形が認められる場合に検討されます。

代表的な手術には、以下があります。

  • 人工関節に置き換える人工股関節全置換術(THA)
  • 関節表面の骨や軟骨を再形成する骨切り術
  • 内視鏡を用いた股関節鏡視下手術 など

画像診断でX線やCTにより骨の変形が著しい場合や、MRIで広範囲の軟骨損傷が確認される場合は、手術が選択されることも。

手術の種類や方法は、患者さまの年齢や活動性、画像診断の所見などを踏まえ医師と相談のうえ個別に検討されます。

再生医療

再生医療は、変形性股関節症に対する治療選択肢の一つで、主に幹細胞治療とPRP(多血小板血漿)療法が行われます。

  • 幹細胞治療:脊髄や脂肪由来の幹細胞を患者さまから採取・培養し、患部に投与する治療法
  • PRP(多血小板血漿)療法:血液を加工し血小板を濃縮した液体を患部に投与する治療法

脂肪由来の幹細胞治療の場合は、患者さまから採取した少量の脂肪組織から幹細胞を抽出・培養し、股関節内に注入するという手順が一般的に取られます。

脂肪の採取時に小さな切開は行いますが、採取する脂肪は米粒2~3粒程度のため傷口が小さく、入院不要で治療できるのが特徴です。

変形性股関節症に対する再生医療について詳しくは、以下のページをご覧ください。

【まとめ】画像診断は変形性股関節症の診断と治療選択に不可欠

変形性股関節症の診断には、画像検査による客観的な情報が欠かせません。

初期評価では単純X線検査(レントゲン)は、軟骨のすり減りや股関節周囲の骨化の状態を視覚的に把握できます。

より詳細な評価が必要な場合はCT検査やMRI検査が用いられ、それぞれ立体的な骨の評価や軟部組織の詳細な観察ができます。

これらの画像診断結果に基づいて、病期や症状の程度に応じた適切な治療法が選択されます。

治療法には、主に保存療法、手術療法、再生医療があり、患者さまの状態に合わせて検討されます。

早期発見・早期治療が股関節機能の温存につながるため、症状がある場合は速やかに医療機関を受診しましょう。

再生医療による治療をご検討、あるいはお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」へお気軽にお問い合わせください。

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監修者

岩井 俊賢

Toshinobu Iwai

医師

略歴

2017年3月京都府立医科大学 医学部医学科卒業

2017年4月社会医療法人仁愛会 浦添総合病院 初期研修医

2019年4月京都府立医科大学附属病院 整形外科

2020年4月医療法人啓信会 京都きづ川病院 整形外科

2021年4月一般社団法人愛生会 山科病院 整形外科

2024年4月医療法人美喜有会 リペアセルクリニック大阪院 院長

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