筋断裂による後遺症を紹介(コンパートメント症候群・骨化性筋炎)
公開日: 2019.12.02更新日: 2024.11.19
筋断裂とは、その名の通り筋線維が断裂を起こす疾患を指します。筋断裂からなる一部の状態を肉離れと呼ばれ、一般的にも馴染み深い疾患です。
そんな筋断裂で注意すべきは後遺症です。適切な対処をしないと、長期にわたり痛みや動きの制限に悩まされることもあります。
そこで本記事では、筋断裂による後遺症の種類を解説し、それらを防ぐための注意点を紹介します。
- ・筋断裂による後遺症の種類
- ・後遺症を残さないための注意点
目次
筋断裂による後遺症
筋断裂は深刻な筋肉の損傷であり、適切な治療と管理が行われない場合、長期的な影響を及ぼす可能性があります。
この項目では、筋断裂による主な後遺症と、それらを予防するための注意点について詳しく説明します。
- ・コンパートメント症候群
- ・骨化性筋炎
コンパートメント症候群
筋断裂による代表的な後遺症はコンパートメント症候群です。コンパートメントとは、区画という意味です。
ふくらはぎには計4つ(前部・外部・浅後部・深後部)の区画された部屋のような部分があり、筋断裂による内出血で区画されたいずれかの部分に血液が溜まってしまいます。区画内で血液が溜まってしまうとその中にある血管や神経が圧迫され、痛みやしびれなどの症状が出ます。
また、区画内の組織が強く圧迫された状態になると筋肉の壊死や神経障害を引き起こし、さまざまな機能障害の後遺症が残る可能性があります。
- ・受傷直後の適切な冷却と圧迫
- ・専門医の指示による管理
骨化性筋炎
筋断裂がきっかけとなる後遺症には骨化性筋炎と呼ばれるものもあります。
骨化性筋炎とは、筋肉内に骨様組織が形成されることによって、腫れや痛み、関節の動きに制限がかかるなどの症状が出る疾患です。
筋断裂で内出血を起こし血液が溜まったところにカルシウムが沈着し、石灰化してしまうことが原因です。太ももの前側のように、骨に近い部位で筋断裂が起こった際にに発生しやすい点が特徴です。
- ・炎症や腫れを抑える冷却療法
- ・初期治療と段階的なリハビリテーション
- ・不適切なマッサージを避ける
筋断裂による後遺症を残さないために注意点
筋断裂の後遺症であるコンパートメント症候群や骨化性筋炎を慢性化させないためにも、無理をしないことが大切です。
スポーツや作業などで筋断裂になった場合、以下の行為は後遺症を招いてしまいます。
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筋断裂の後遺症を予防するには、適切な初期対応と継続的なケアが不可欠です。自己判断ではなく、専門医の指示に従い適切に行動しましょう。
筋断裂の後遺症に関するよくある質問
この項目では、筋断裂の後遺症に関してよくいただく質問に対して、当クリニックが回答します。
現在、筋断裂を発症している方や筋断裂の疑いのある方は参考にしてください。
筋断裂と肉離れの違いは?
筋断裂 | 筋肉の線維が完全に切れてしまう |
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肉離れ(筋挫傷) | 筋肉の線維が部分的に損傷する |
※筋断裂の部分的な症状を肉離れ(筋挫傷)と呼びます
筋断裂と肉離れは混同されがちな疾患ですが、実際には異なる状態を指します。
筋断裂は、筋肉の線維が完全に切れてしまう重度の損傷を指します。一方で肉離れは、筋肉の線維が部分的に損傷する状態で、軽度から中程度までさまざまです。
筋断裂は肉離れよりも重症度が高く、完全に回復するまでにより長い時間がかかります。また、後遺症のリスクも高くなります。肉離れでは、痛みや不快感はあるものの、通常は筋断裂ほど重症ではありません。
筋断裂の後遺症は治らない?
筋断裂の後遺症は、適切な治療とリハビリテーションによって多くの場合改善されます。しかし、完全に元の状態に戻るかどうかは、損傷の程度や部位・個人の回復力・治療の質によって異なります。
たとえば、コンパートメント症候群や骨化性筋炎などの重度の合併症では、早期の適切な治療が行われなかった場合、永続的な機能障害が残る可能性があります。一方で、適切な治療とリハビリテーションを受けることで、多くの方が日常生活やスポーツ活動に復帰されています。
重要なのは専門医の指導の下で、個々の状況に応じた適切な治療計画を立て、忍耐強くリハビリテーションに取り組むことです。
適切な治療で筋断裂の後遺症を防ごう
筋断裂による後遺症にはどういったものがあるか、また、後遺症を残さないために注意すべきことについて紹介しました。
筋断裂の後遺症を残さないためにも、決して無理をしないことが大切です。医療機関で適切な治療を受けるようにしましょう。
また近年はスポーツ医療も進歩し、従来の治療法だけでなく再生医療という高い効果が期待できる治療法もあります。興味のある方は当クリニックにお問い合わせください。