筋断裂が太ももに起こりやすい理由は?主な原因や治し方を再生医療専門医が解説
公開日: 2019.12.27更新日: 2025.04.30
筋断裂はスポーツなど運動をする方に多く見られ、準備運動不足や太ももに強い負荷がかかるなど、さまざまな理由があります。
太ももは膝関節を曲げ伸ばしする際に重要な役割となるため、スポーツや日常生活の中でも筋断裂が起こりやすいです。
この記事では、筋断裂となる原因やさまざまな治療法を紹介していきますので、参考にしてください。
目次
筋断裂(肉離れ)が太ももに起こりやすい理由
筋断裂が太ももに起こりやすい理由は、スポーツでダッシュやジャンプなど急な動作や、準備運動が不足しているためです。
特に太ももの表側にある大腿四頭筋や、裏側にあるハムストリングスは筋断裂を起こしやすい筋肉です。
太ももに急激な負荷がかかることで筋膜や筋組織が耐えられずに、損傷・断裂してしまう可能性が高くなります。
筋肉の疲労や筋力低下によって小さい負荷でも筋断裂を起こす可能性があるため、ウォーミングアップや運動後のケアを意識して行いましょう。
また、スポーツ以外にも日常生活の中で膝関節の曲げ伸ばしの際に大きな負荷がかかることで、太ももの筋断裂が起きやすいので注意する必要があります。
筋断裂の主な原因と症状
太ももに起こりやすい筋断裂の主な原因や症状について解説します。
筋断裂が発症する主な原因は、急な動作による太ももへの負荷や準備運動が不足している場合です。
軽度の場合は患部の痛みや腫れなどの症状が出ますが、完全断裂など重症の場合は、内出血などの症状が出ることもあります。
以下では、筋断裂の主な原因や症状を詳しく解説していきますので、参考にしてください。
筋断裂の主な原因
筋断裂の主な原因は、スポーツや運動中に筋肉が急激に収縮することで発生します。
特に太ももの表側の大腿四頭筋と裏側のハムストリングなど、膝関節の曲げ伸ばしに負荷がかかりやすいことが原因です。
大腿四頭筋とは、太ももの表側の筋肉で、内側広筋、外側広筋、大腿直筋、中間広筋という4つの筋肉の総称のことです。
またハムストリングは、太ももの裏側にある筋肉で、大腿二頭筋、半腱様筋、半膜様筋の3つの筋肉の総称です。
どちらも筋断裂を起こしやすい筋肉なので、太ももは筋断裂が多いといわれています。
特に短距離走やサッカー、バスケットボールなど、瞬発的な動作を行うスポーツでは、発症のリスクが高まります。
筋断裂の主な症状
筋断裂は、発症時に「ブチッ」といった音が聞こえることがあり、断裂部の激しい痛みや内出血、患部を押したときの痛みなどの症状があります。
太ももの表側にある大腿四頭筋が断裂した場合は、膝関節の曲げ伸ばしの可動域が制限されやすいです。
一方で、太ももの裏側にあるハムストリングの場合は膝関節の屈曲運動で抵抗を加えると痛みがあることが特徴です。
どちらも重症の場合は、強い痛みにより歩行が困難となる場合があります。
太ももの筋断裂の再発を予防する対処法
太ももの筋断裂の再発を予防する対処法として、太もも周辺のストレッチや筋力トレーニングなどがあります。
ただし、ストレッチや筋力トレーニングで無理をすると、症状が悪化する可能性があるため注意が必要です。
それぞれの対処法について詳しく解説していきます。
太もも周辺のストレッチ
筋断裂は筋肉の柔軟性が悪くなっていると起こりやすくなるため、太もも周辺のストレッチが重要です。。
太もものストレッチのやり方は、以下の通りです。
- 1.うつ伏せになって両腕を顔の下で組む
- 2.かかとをお尻に近づけるように脚を曲げる
- 3.足の甲を掴み、お尻に寄せるように太ももの前面を伸ばす
- 4.30秒間キープする
- 5.反対側の脚でも同じ動作を行う
太ももが痛いほど伸ばしてしまうと痛める可能性があるため、無理のない範囲で伸ばしましょう。
また、筋断裂を起こしている場合はストレッチだけで治るわけではないため、早めに医療機関へ受診することをおすすめします。
この動作を30秒くらいかけて3~5セットくらい行いましょう。
太もも周辺の筋力トレーニング
筋断裂は筋力が低下することでも起こりやすくなるため、大腿四頭筋やハムストリングスを強化するトレーニングが重要です。
太ももを鍛えるおすすめのトレーニングは、以下の通りです。
- 1.仰向けになって両脚を伸ばす
- 2.身体と垂直になるように脚を伸ばしたままゆっくり上げる
- 3.脚を上げられるところまで上げたら数秒キープする
- 4.ゆっくり両脚を元の位置に戻す
上記の筋力トレーニングを3〜5セット繰り返し行いましょう。無理をすると症状悪化につながるため、無理のない範囲で継続してください。
ストレッチと同様に筋力トレーニングだけで筋断裂が治るわけではないため、早めに医療機関を受診しましょう。
太ももの筋断裂に対する治療法
太ももの筋断裂では、以下のような治療法があります。
- 保存療法
- 手術療法
- 再生医療
症状の度合いに応じて治療法に違いがありますので、それぞれ紹介していきます。
保存療法
保存療法とは、手術せずに症状の緩和・改善を目指す治療法で、軽度な筋断裂に適応される治療法です。
筋断裂の受傷直後は、安静(R)、冷却(I)、圧迫(C)、挙上(E)のRICE処置を行いましょう。
初期段階の筋断裂では、受傷部位の筋肉を休ませ、痛み止めや抗炎症剤で痛みや炎症を抑えることが優先されます。
症状に改善がみられるとストレッチや筋力トレーニングを行い、歩行や日常動作が無理なく行えるようにリハビリテーションを行います。
徐々に競技や職場復帰を目指して必要な動作の訓練に移行していきます。
手術療法
保存療法で改善が見られない場合や完全断裂など重度な場合は、手術療法が検討されるケースもあります。
症状に応じて、断裂した筋肉の腱を縫合する縫合術や、他の部位の腱を移植する再建術が用いられます。
手術後の経過については、断裂の状態や手術法によって異なりますが、筋の関節可動域制限、術創部の癒着の予防のために、早い段階でリハビリテーションを開始します。
再生医療
筋断裂の治療法には再生医療という選択肢もあります。
再生医療ではPRP療法という、患者自身の血液から採取した血小板を患部に注射する治療法で、患者自身の血液を使うことで副作用が少なく、短期間で治療できることが特徴です。
また、再生医療は手術療法に比べても患者自身への負担も少ないため、近年ではスポーツ外傷の治療の選択肢の一つとして注目されています。。
太ももの筋断裂は何日で治る?
太ももの筋断裂は、軽症、中等症、重症と、症状によって回復する期間が異なります。
- 筋繊維のわずかな損傷の場合:1〜2週間程度
- 筋繊維の一部断裂の場合:3〜5週間程度
- 筋繊維の完全断裂の場合:2〜3ヶ月程度
筋繊維のわずかな損傷や軽傷の場合は、保存療法により、約1〜2週間程度で回復する可能性があります。
また、筋繊維の一部断裂を伴う中等症の治療期間は約3〜5週間程度で改善することが多いです。
しかし、筋繊維が完全に断裂する重症の場合は約2〜3カ月程度の治療期間が必要となるケースが多いです。
【まとめ】太ももの筋断裂を早く治したいなら再生医療も選択肢の一つ
太ももに筋断裂が起こった場合、症状の度合いにもよりますが、重症の場合は2〜3カ月の治療期間を要する可能性もあります。
スポーツや職場への復帰を早めたいという方には、保存療法や手術療法よりも短期間で治療できる可能性がある再生医療をご検討ください。
筋断裂による治療方法でお悩みの方や、再生医療による治療を検討したい方は、ぜひ当院(リペアセルクリニック)にご相談ください。

監修者
坂本 貞範
Sadanori Sakamoto
医療法人美喜有会 理事長
「できなくなったことを、再びできるように。」
人生100年時代、皆様がより楽しく毎日を過ごせることの
お手伝いができれば幸甚の至りでございます。
略歴
1997年3月関西医科大学 医学部卒
1997年4月医師免許取得
1997年4月大阪市立大学(現大阪公立大学)医学部附属病院 勤務
1998年5月大阪社会医療センター附属病院 勤務
1998年9月大阪府立中河内救命救急センター 勤務
1999年2月国立大阪南病院 勤務
2000年3月野上病院 勤務
2003年3月大野記念病院 勤務
2005年5月さかもとクリニック 開設
2006年12月医療法人美喜有会設立 理事長就任
2019年9月リペアセルクリニック大阪院 開設
2021年5月リペアセルクリニック東京院 開設
2023年12月リペアセルクリニック札幌院 開設