足底腱膜炎が重症化するとどうなる?主な症状・治療法を再生医療専門医が詳しく解説
公開日: 2019.12.01更新日: 2025.04.30
足底腱膜炎が重症化すると、日常生活に大きな影響を及ぼすほど痛みが強くなることがあります。
初期段階は我慢できるほどの軽い症状ですが、放置すると治療期間が長引く可能性があるため早期に治療を受けることが重要です。
特に6ヶ月以上痛みが続く場合は「難治性足底腱膜炎」と呼ばれる状態に進行することもあります。
この記事では、重症化した足底腱膜炎の症状と、さまざまな治療の選択肢について詳しく解説します。
足底腱膜炎が軽症の場合
- 長時間立ちっぱなしになると足の裏にしびれや痛みが生じる
- 歩行やランニングで足が地面に着く際に痛みが生じる
- 特に朝起きた直後の最初の一歩で痛みを感じることが多い
足底腱膜炎が重症の場合
- 立ちっぱなしや動いている時に生じる痛みが激しくなる
- 立ったり動いたりしていなくても痛みが生じる
- 踵骨棘(しょうこつきょく)ができてさらに痛みが増す
踵骨棘(しょうこつきょく)とはかかとに痛みを伴うトゲです。
踵骨棘ができるほど重症化した場合、治療が難しくなり回復までの期間も長期化します。
また、保存療法では改善が見られない場合、足底腱膜を切離する手術や骨棘を切除する手術が検討されることがあります。
重症・慢性化すると「難治性足底腱膜炎」と呼ばれる
足底腱膜炎が、重症・慢性化して6ヶ月以上痛みが続く場合は「難治性足底腱膜炎」と呼ばれる状態になります。
多くの足底腱膜炎は適切な治療を受けることで6ヶ月程度で回復するケースがほとんどです。
しかし、難治性足底腱膜炎の状態では治療に1年以上、時には数年かかることもあり、日常生活に大きな支障をきたします。
難治性足底腱膜炎に進行する主な原因は以下の通りです。
- 初期治療の遅れや不適切な治療
- 過度な足への負担
- 扁平足などの足の構造的問題
- 体重増加
難治性足底腱膜炎に進行した場合は、体外衝撃波治療やPRP療法、手術療法などの専門的治療が必要になることが多いため、早期に専門医を受診することが重要です。
足底腱膜炎が重症化してしまう原因
足底腱膜(足の裏)の過剰な負担が足底腱膜炎の重症化を招く原因です。足底腱膜の負担が増すと、ダメージが蓄積されて炎症反応が起こります。
具体例を以下にまとめました。
- 加齢とともに足底腱膜炎の機能が低下する
- 増加した体重が足の裏に負担をかける
- ふくらはぎやアキレス腱の柔軟性が低い
- 足の裏のアーチが崩れていて足底腱膜が適切に機能しない
- 痛みを我慢して激しい運動や長時間の立ち仕事をする
体質や年齢、日常の過ごし方によって足底腱膜炎が重症化してしまう可能性があります。
重症化する前に足底腱膜炎の悪化を防ぐポイント
足底腱膜炎は早期に適切なケアを行うことで、重症化や慢性化を防ぐことができます。
症状が軽いうちにこれらのポイントを実践することで、痛みの悪化を防ぎ、早期回復を目指せます。
長時間の負荷は避ける
足底腱膜炎の主な原因は、足底腱膜への過度な負担です。
足への負担を減らすために以下を意識しましょう。
- こまめに休憩を取り、足を休める時間を作る
- 軽くストレッチしてから動き始める
- 運動量や運動強度を一時的に調整する
- 痛みを感じたらすぐに休み、無理をしない
特に立ち仕事やウォーキング、ランニングなどで長時間足に負担をかけると、炎症が悪化する恐れがあります。
症状がある場合は無理をせず、足底腱膜への負担を減らしましょう。
サポーターやインソールで負荷を軽減する
適切なサポーターやインソールの使用は、足底腱膜への負担を大幅に軽減します。
- 足底腱膜炎専用のサポーターで踵部分をしっかり固定する
- 医療機関で保険適用のオーダーメイドインソールを作成する
- クッション性の高い靴を選び、衝撃を吸収する
医師の診察・処方により、健康保険が適用される医療用オーダーメイドインソールが作製できます。
専用機器で足の重心バランスを測定し、個人の足形や症状に合わせて作られるため、既製品より効果的です。
インソールを取り外せる靴であれば複数の靴で使用可能ですが、効果を最大限に発揮するには適切なサイズの靴選びが重要です。
ストレッチや筋力トレーニングを行う
足底腱膜や周辺筋肉の柔軟性を高め、筋力を強化することは、足底腱膜炎の予防と改善に効果的です。
- 朝起きる前のふくらはぎと足底腱膜のストレッチ
- タオルギャザー(足の指でタオルをたぐり寄せる運動)
- 足底腱膜を伸ばすストレッチ(足の指を手で反らせる)
これらのストレッチを毎日継続することで、足底腱膜の柔軟性を高められます。痛みがある場合は無理をせず、痛みの出ない範囲で行うことが大切です。
ただし、ストレッチは根本的な治療につながらないため、早めに専門医に相談することをおすすめします。
重症化した足底腱膜炎の治療方法
足底腱膜炎が軽度である場合は、ストレッチやインソール、テーピングなどの保存療法があります。
しかし、重症化すると保存療法だけでは十分な治療に繋がりません。
そこでこの項目では、重症化した足底腱膜炎の治療法にフォーカスして紹介します。
それぞれの治療法には特徴や適応があるため、症状の程度や患者さまの状態に合わせて適切な方法を選択することが重要です。
本章では、各治療法について詳しく解説します。
体外衝撃波疼痛治療
足底腱膜炎に対する体外衝撃波治療は、体への負担が少ない治療法です。この治療法では音波の一種である衝撃波を患部に照射し、組織修復を促進します。
体外衝撃波治療には、以下の特徴があります。
- 手術に比べて体への負担が少ない
- 痛みを感知する神経に作用し疼痛を緩和
- 血流促進効果により組織の自然修復を促進
- 主に重症化・慢性化した足底腱膜炎に有効
- 高齢者や手術リスクの高い方にも適応可能
- 日帰り治療で可能
慢性化した足底腱膜炎に対して、手術せずに治療ができます。
ステロイド注射
重症化した足底腱膜炎の治療には、ステロイド注射が有効な場合があります。ステロイドはアレルギー反応や炎症を抑えられる薬です。
患部に注射して痛みを和らげる効果がありますが、副作用により処置できる回数が限られています。
考えられる副作用は、以下の通りです。
- だんだん効果が感じられなくなる
- かかとの皮下脂肪が傷つく
- 筋膜が損傷する
また、足の裏は敏感なため処置の際に大きな痛みを感じやすい部位です。慎重に検討しましょう。
手術
ストレッチやインソールなどの保存療法を半年から3年程度行っても効果がない方や、日常生活で支障をきたしている方には手術が検討されます。
主な手術内容は、以下の通りです。
- 足底腱膜が炎症したり損傷したりして厚くなっている場所を切り取る
- 腱の移植や部分的に切れ目を入れて足底腱膜を延長する
足底腱膜や骨棘(こつきょく)の切除を目的とした手術がありますが、成功率は高くないとされているため、留意しておく必要があります。
再生医療
重症化した足底腱膜炎の治療には、再生医療という選択肢があります。
再生医療は、患者さま自身の細胞を活用し、損傷した組織の修復・再生を促す治療方法です。
- 自己由来の細胞を利用するため、拒絶反応のリスクが低い
- 幹細胞やPRP(多血小板血漿)などの治療法がある
- 損傷した足底腱膜の組織修復を促進する可能性がある
- 治療を受けられる医療機関は限られている
当院「リペアセルクリニック」では、再生医療を提供しています。興味がある方は、ぜひお気軽にご相談ください。
【まとめ】足底腱膜炎の重症化を未然に防ごう
足底腱膜炎が重症化すると、安静時の痛みや踵骨棘の形成など深刻な症状が現れます。
治療法としては体外衝撃波治療や再生医療など、手術以外も選択肢となり、患者さまの状態に合わせた方法があります。
足底腱膜炎の重症化を防ぐには、早期対応が何より重要です。足の裏やかかとに痛みを感じたら無理をせず、適切な休息とケアを心がけましょう。
過度な負担を避け、サポーターやインソールの活用、定期的なストレッチなど予防策を実践することで重症化リスクを減らせます。
足底腱膜炎でお悩みの方は、ぜひ当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。無料のメール相談やオンラインカウンセリングで、再生医療についての疑問にお答えします。

監修者
坂本 貞範
Sadanori Sakamoto
医療法人美喜有会 理事長
「できなくなったことを、再びできるように。」
人生100年時代、皆様がより楽しく毎日を過ごせることの
お手伝いができれば幸甚の至りでございます。
略歴
1997年3月関西医科大学 医学部卒
1997年4月医師免許取得
1997年4月大阪市立大学(現大阪公立大学)医学部附属病院 勤務
1998年5月大阪社会医療センター附属病院 勤務
1998年9月大阪府立中河内救命救急センター 勤務
1999年2月国立大阪南病院 勤務
2000年3月野上病院 勤務
2003年3月大野記念病院 勤務
2005年5月さかもとクリニック 開設
2006年12月医療法人美喜有会設立 理事長就任
2019年9月リペアセルクリニック大阪院 開設
2021年5月リペアセルクリニック東京院 開設
2023年12月リペアセルクリニック札幌院 開設