- 足底腱膜炎
- スポーツ医療
足の裏が痛い!足底腱膜炎かどうか確かめる方法は?治し方について解説【医師監修】

足底腱膜炎とは、足の裏にあるかかとから足の指の付け根までを支える組織(足底腱膜)に炎症が起きる疾患です。
朝起きた最初の一歩目でかかとに強い痛みを感じることが特徴で、中高年の方やスポーツをする方に多く見られます。
「もしかして足底腱膜炎かも?」と不安を感じている方もいらっしゃるかもしれません。
この記事では、足の裏が痛いときに考えられる原因、足底腱膜炎かどうかを確かめる方法、そして効果的な治し方について解説します。
足の裏の痛みで悩まれている方は、ぜひ最後まで読んで適切な対処法を見つけましょう。
また、現在リペアセルクリニックでは再生医療に関する情報をLINEで発信しております。治療の選択肢を広げるためにも、ぜひご登録ください。
目次
足の裏が痛いときに考えられる疾患・症状
足の裏が痛いときに考えられる主な疾患として以下の3つがあります。
それぞれの疾患について正しい知識を身につけて、適切な対処法を選択しましょう。
足底腱膜炎
足底腱膜炎は、かかとの痛みの原因として多い疾患です。
足の裏には、かかとの骨から足の指の付け根にかけて足底腱膜という強靭な組織が膜のように広がっています。
この足底腱膜に繰り返しの負荷がかかることで組織が変性し、微小な損傷や炎症が生じて痛みが現れます。
足底腱膜炎の主な症状
足底腱膜炎には以下の症状があります。
- 朝起きて最初の一歩目にかかとの内側前方に強い痛みがある
- 長時間座った後に立ち上がった直後に痛みがある
- 歩き始めは痛いが、しばらく歩くと痛みが軽減する
- 夕方になると痛みが再び強くなる
- 階段を上るときやつま先立ちをすると痛みが増す
- 足の指を上に反らすと痛みが増す
特徴的なのは、朝起床して最初の一歩目に感じる強い痛みです。
これは睡眠中に足底腱膜が硬くなり、起床後に急に伸ばされることで痛みが生じるためです。
5〜10分ほど歩くと痛みは徐々に軽減しますが、日中の活動量が増えると夕方にかけて再び痛みが強くなる傾向があります。
足底腱膜炎の主な原因
足底腱膜炎が発症する主な原因は、足底腱膜への過剰な負担です。
以下のような要因が発症リスクを高めます。
- 長時間の立ち仕事や歩行による過剰な負担
- ランニングやジャンプなどのスポーツによる使いすぎ
- 体重増加による足への負荷の増大
- ふくらはぎの筋肉やアキレス腱が硬い状態
- クッション性の低い靴やサポート性の低いサンダルの使用
- 足のアーチが高すぎる、または低すぎる構造的な問題
とくに硬い地面でのランニングや、不適切な靴の使用は注意が必要です。
複数の要因が組み合わさることで、足底腱膜に慢性的な炎症が起こりやすくなります。
かかとの骨折
かかとの痛みは、骨折が原因となっている場合もあります。
とくに注意が必要なのは、一度の大きな衝撃ではなく、繰り返しの負荷によって生じる疲労骨折です。
かかとの骨折には、高所からの転落や交通事故などで起こる外傷性骨折と、スポーツなどで繰り返し負荷がかかることで起こる疲労骨折の2種類があります。
外傷性骨折の場合は、強い痛みとともに足首周辺が大きく腫れ、皮下出血であざができることが多いです。
疲労骨折は、長距離走者などのスポーツ選手に多く見られます。
初期は軽い痛みや違和感程度ですが、放置すると痛みが強くなり、腫れや熱感が出てくることもあります。
足底腱膜炎との違いとして、疲労骨折では患部を押したときの痛みが強く、足首を動かしたときにも痛みが出やすいことが挙げられます。
痛みが長引く場合は、レントゲンやMRI検査で骨折の有無を確認することが大切です。
扁平足などの足の構造の問題
足のアーチ構造に問題がある場合も、足の裏の痛みの原因となります。
主な問題として、扁平足とハイアーチがあります。
扁平足とは、足の裏の土踏まずが平らになった状態です。
足のアーチが低下すると、歩行時の衝撃を十分に吸収できなくなり、足底腱膜に負担がかかります。
一方、ハイアーチとは、土踏まずが極端に高い甲高の状態です。
足の動きが硬くなり、かかとと前足部に圧力が集中します。
これらの足の構造の問題は生まれつきの場合もありますが、加齢や筋力低下、不適切な靴の使用などによって後天的に生じることもあります。
足の裏が痛いときに足底腱膜炎かどうか確かめる方法
足の裏の痛みが足底腱膜炎によるものかどうかを確認するには、セルフチェックと医療機関での検査があります。
まずは自分で症状をチェックし、必要に応じて医療機関を受診しましょう。
セルフチェックで複数の項目に当てはまる場合は、早めに医療機関を受診することをおすすめします。
セルフチェックリスト
足底腱膜炎の疑いがある方は、以下の項目に当てはまるかどうかチェックしてみてください。
☐ 朝起きて最初の一歩目にかかとの内側前方に強い痛みがある
☐ かかとの内側前方を指で押すと強い圧痛がある
☐ 足の指を上に反らすと痛みが増す
☐ 長時間座った後に立ち上がった直後に痛みがある
☐ 歩き始めは痛いが、しばらく歩くと痛みが軽減する
☐ 階段を上るときやつま先立ちをすると痛みが増す
☐ 夕方になると痛みが再び強くなる
これらの症状が複数当てはまる場合は、足底腱膜炎の可能性があります。
ただし、かかとの痛みには様々な原因があるため、自己判断せずに整形外科など専門の医療機関で正確な診断を受けましょう。
医療機関で受けられる検査
医療機関では、問診・触診に加えて画像検査を行い、正確な診断を下します。
まず、生活習慣や症状について問診を行い、触診で痛みの程度や部位を確認します。
かかとの骨に足底腱膜が付着する場所を押して圧痛があれば、足底腱膜炎が疑われます。
画像検査としては、以下のものが行われます。
| 検査の種類 | わかること |
|---|---|
| レントゲン検査 | かかとの骨棘(こつきょく:骨のトゲ)の有無を確認できます。 骨棘は足底腱膜炎に伴って生じることがあります。 |
| 超音波検査(エコー) | 足底腱膜の腫れや肥厚、炎症の有無を確認できます。 足底腱膜の厚さは通常約2〜4mmですが、炎症があると4〜5mm以上に厚くなることがあります。 |
| MRI検査 | かかと周辺を含めた全体像の把握や、炎症の程度・範囲、腱の異常まで詳しく調べられます。 |
これらの検査によって、足底腱膜炎かどうかを診断するとともに、他の疾患(神経の圧迫や筋・腱の断裂など)の可能性も確認します。
足の裏が痛い足底腱膜炎の治し方は?主な治療法
足底腱膜炎の治療方法には、主に次の3種類があります。
一般的には保存的治療から始め、症状が改善しない場合には手術へ進んでいきます。
本章では、3つの治療法についてそれぞれ解説します。
理学療法
理学療法では足底腱膜炎の痛みを軽減し、炎症の抑制、足底への負担軽減を目的とした施術が行われます。
主なアプローチは以下のとおりです。
- ストレッチ運動
- 靴の調整と足底挿板(インソール)の使用
- 冷却療法(アイシング)
アキレス腱や足底腱膜・ふくらはぎの筋肉を中心とした足裏全体の柔軟性を高めることで、過剰な牽引力を和らげ、症状の緩和が期待されます。
足底腱膜への負担を軽減するためには、足の形に合った靴の選択や足底挿板(インソール)の装着も効果的です。
クッション性やアーチサポートに優れたインソールを使うことで、かかとへの衝撃を吸収し、腱膜にかかる負荷を分散させられます。
また、氷や冷却パックを用いた冷却療法では、患部を冷やすことで炎症反応や腫れを一時的に抑える効果が期待されます。
こうした理学療法は、医師や理学療法士の指導のもとで症状や生活スタイルに応じて適切に行うことが大切です。
薬物療法
薬物療法は、主に足底腱膜炎による痛みや炎症を軽減するための基本的な治療法のひとつです。
症状の程度やライフスタイルに応じて、以下のような薬剤が使用されます。
- 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)
- ステロイド剤の局所注射
最も一般的なのは非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)で、外用剤(塗り薬)や経口剤(飲み薬)などがあります。
痛みが強く、他の治療で効果が不十分な場合には、ステロイド剤の局所注射を行うこともありますが、副作用のリスクもあるため慎重に行う必要があります。
手術療法
手術療法は保存的治療でも症状の改善が見られない重症例に対して検討されます。
代表的な手術方法は、以下のとおりです。
- 筋膜切離術
- 骨棘(こつきょく)切除術
- 内視鏡手術
最近では、体への負担が少ない内視鏡手術も行われるようになっています。
手術後はリハビリテーションが重要で、適切な回復プログラムに従うことで日常生活やスポーツ活動への早期復帰が目指せます。
足の裏が痛いときによくある質問
足の裏の痛みや足底腱膜炎について、よくある質問にお答えします。
正しい知識を持って、適切なケアを行いましょう。
足底腱膜炎でやってはいけないことは?
足底腱膜炎を悪化させないために、以下の行動は避けてください。
- 痛みがある状態での無理な運動
- 炎症が強い時期に患部を強く刺激すること
- 足に合わない靴を履き続けること
- 足元を冷やすこと
ランニングやジャンプなど足裏に負担のかかる運動は一時中断し、痛みが落ち着くまで安静にしましょう。
また、ゴルフボールで足裏を直接刺激する運動やタオルを足の指でつかむ運動は、痛みが落ち着いてから行うようにしてください。
靴はクッション性が低いものやサイズが合わないものを避け、縦の長さだけでなく横幅やアーチの高さにも注意して選びましょう。
足底腱膜炎は自然に治る?
足底腱膜炎は自然に治ることもありますが、安静や市販の湿布だけでは改善しにくいのが現状です。
保存的治療を行えば8〜9割の方が改善するとされていますが、痛みが軽快するまでに3〜6カ月程度かかることが多いです。
適切な治療を行わず放置すると症状が慢性化し、半年以上続く「難治性足底腱膜炎」になる場合もあります。
痛みが長引く場合は、医療機関を受診することをおすすめします。
足底腱膜炎などの足の裏の痛みには再生医療をご検討ください
足底腱膜炎は適切な治療を行うことで多くの場合、手術をせずに改善が期待できます。
まずはセルフチェックで症状を確認し、複数の項目に当てはまる場合は医療機関を受診しましょう。
ストレッチやインソールの使用、適切な靴選びなど、日常生活での対策も重要です。
保存療法で症状が改善せずにお悩みの方は、再生医療をご検討ください。
再生医療とは、患者さまの細胞や血液を用いて、損傷した組織の再生・修復を促す医療技術のことです。
入院を伴う大きな手術を必要としないため、早期改善が見込める治療として、近年注目されています。
当院リペアセルクリニックでは、患者さま一人ひとりの症状に合わせた治療プランをご提案していますので、ぜひご相談ください。
監修者
坂本 貞範
Sadanori Sakamoto
医療法人美喜有会 理事長
「できなくなったことを、再びできるように。」
人生100年時代、皆様がより楽しく毎日を過ごせることの
お手伝いができれば幸甚の至りでございます。
略歴
1997年3月関西医科大学 医学部卒
1997年4月医師免許取得
1997年4月大阪市立大学(現大阪公立大学)医学部附属病院 勤務
1998年5月大阪社会医療センター附属病院 勤務
1998年9月大阪府立中河内救命救急センター 勤務
1999年2月国立大阪南病院 勤務
2000年3月野上病院 勤務
2003年3月大野記念病院 勤務
2005年5月さかもとクリニック 開設
2006年12月医療法人美喜有会設立 理事長就任
2019年9月リペアセルクリニック大阪院 開設
2021年5月リペアセルクリニック東京院 開設
2023年12月リペアセルクリニック札幌院 開設




















